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包装材料 - HKTDC
2009 年 6 月 19 日 包装材料 概要 • 中国本土の包装材料市場は香港にとって最大のマーケットであり、多く の香港の製造業者は製造拠点を中国本土に移転して、コスト削減と市場 への好アクセスという優位性を確保している。中国本土においては、国 内製造セクターの成長を背景に、包装材料に対する需要も増加している。 • 世界的に包装材料の使用を制限する法律や規制規定が厳しくなる中、包 製造される包装材料がより高い環境基準を満たすことが求められるよ うになってきている。顧客の多様化が進む中、最終製品の販売の際には それぞれの国・地域における環境基準をクリアしなくてはならない。 • 包装材料のトレンドは、再利用・再使用が増加傾向にある状況下、回収 基準が重量をベースに計算されるため、軽量且つ少量の素材で作ること が求められている。また、一般的な傾向として、食品や飲料用の包装に ついては、衛生面と安全面における改良が進んでおり、機能性、利便性 が高まっている。 • 香港と中国本土間の「経済貿易緊密化協定(CEPA)」のもと、中国本 土は、香港で製造された全製品については、2006 年 1 月より免税(関 税フリー)扱いとすることに同意している。該当する既存の CEPA 規 定がない製造品目の場合は、香港地場製造者による申請が、製造工程に おける定められた要件を満たしていることを条件に、然るべき手続を踏 めば、非課税という扱いになる。 業界の特徴 包装材料業界は消費者向け包装と産業用包装に分類される。前者は消費者に販 売される製品を包装するもので、主に買い物袋、包装用バッグ、保護材(クッ ション)付き封筒、箱、ギフト用ラッピングなどに関連する包装があり、食品 及び飲料用包装としては、ペットボトル、テトラパックの紙容器や伸縮性のあ るパッケージ、フォームシート、などが該当する。産業用包装は、主として中 身の製品保護と輸送の目的で使用され、真空パック、ヒートシール、圧縮包装 フィルム、段ボール箱、板紙製の箱、発砲スチロール、気泡緩衝シート、フォ ームシートなどがあげられる。 香港の製造業者は多岐に亘る種類の包装材料を生産しており、それらには紙容 器(波形の段ボール箱、手提げ紙袋、板紙製の箱、新聞紙や波型紙のパルプ・ モールドなど)、ポリエチレン(PE)包装(食品や衣料包装用袋、包装用ス トレッチ・フィルム、多数アイテムを包装する際の圧縮フィルムなど)、ポリ 塩化ビニール(PVC)包装(消費包装材用フィルム及びチューブ、ブリスター 包装用プレートなど)、更には飲料及び食用油用の金属容器などが含まれる。 香港企業は対応の速さ、製品カスタマイズにおけるフレキシビリティ、発注か ら配送までの時間短縮において定評があり、且つ地場の包装材料業界は好調な 印刷業界に支えられている。香港企業の中には、消費者製品の開発に当たり、 包装デザインも併せて行うなど、より高付加価値サービスを提供する企業もあ る。例えば玩具業界では、包装と玩具を一体として設計することにより、使用 する包装材料の軽減に繋げている。また香港企業は、例えば食品用レトルト・ パックのような先進的技術トレンドや、顧客から求められるより高度な衛生基 準にも確実に対応している。 香港の包装材料の輸出実績 1 2007 年 百万香港 ドル 国内輸出 1,248 2008 年 前年比 % 2009 年 1 月~4 月 百万香港 前年比 百万香港 前年比 % % ドル ドル - 971 - 235 - 16 22 再輸出 24,029 +1 23,017 中国本土生産品 の輸出 13,609 +3 13,199 輸出合計 25,277 * 23,988 2007 年 市場別 構成比% 4 3 5 2008 年 23 5,371 24 3,015 22 5,606 24 2009 年 1 月~4 月 前年比 前年比 前年比 構成比% 構成比% % % % 中国本土 57.4 -1 55.7 -8 57.6 - 26 米国 11.5 -6 11.6 -4 9.9 - 27 EU(27) 11.4 +11 12.0 * 10.7 - 24 英国 2.9 +11 3.1 * 2.4 - 24 ドイツ 2.4 +16 2.3 -9 2.1 - 27 フランス 2.2 +19 2.4 +4 1.9 - 29 日本 4.9 -3 5.1 -1 5.8 -9 アセアン域内 5.2 +11 5.7 +4 5.7 - 22 オーストラリア 1.4 -9 1.5 +5 1.4 - 20 2007 年 カテゴリー別 構成比% 2008 年 2009 年 1 月~4 月 前年比 前年比 前年比 構成比% 構成比% % % % プラスチック製のプ レート、シート、フ ィルム、フォイル、 ストリップ 41.1 +2 41.8 -4 43.1 - 26 商品の搬送用または 包装用のプラスチッ ク製品 16.5 +2 17.5 +1 17.9 - 18 プラスチク製の袋及 8.1 -1 8.2 -4 8.3 - 22 びバック 非波形の紙でできた 折り畳み式段ボール 箱、ボックスなど 7.5 +2 7.9 * 6.3 - 27 その他の紙または板 紙製の袋・バッグ 4.4 +5 3.8 - 18 3.4 - 26 製紙用パルプ、紙、 板紙製の包装アイテ ム 3.3 … 3.1 - 12 3.1 - 23 1 三国間貿易が通常貿易の統計に計上されていないことから、これらの数字は 必ずしも香港企業によって行われた輸出ビジネスを反映しているとは限らな い。 * 極小数値 ... 1000%以上の増加 中国本土の包装材料市場は香港にとって最大のマーケットであり、2008 年の 輸出合計の 55.7%を占めている。また、中国本土の包装材料の需要拡大は主と して、現地製造業の増産・拡売によるところが大きい。 プラスチック・プレート、シート、フィルム、フォイル、ストリップを含む SITC(標準国際貿易分類)582 に該当するアイテムは香港における主要な包 装材料であり、このカテゴリーだけで 2008 年の輸出合計に対する構成比は 43%を占めた。当カテゴリーは中国本土へ最も多く輸出された包装材料でもあ り、本土向けの輸出合計に対する構成比は 67%となっている。一方、商品の 搬送又は包装用のプラスチック・アイテム(SITC 89319)を主要製品とする 輸出仕向地は、米国、欧州、日本など中国本土以外の市場であった。 販売経路 香港の衣類、電気製品、玩具、靴、時計、ジュエリー、家庭用品、贈答品など の消費財の輸出業者は、主として香港地場の包装材料サプライヤーから調達を 行っている。一方、バッグや容器のメーカーは通常、海外の製造業者又は流通 業者に直接輸出しており、ギフト・ボックス、包装用袋、缶やボトルなどの消 費者包装も直接輸出の方に含まれる。 一般に米国や日本の包材メーカーは、包装用容器の製造を大規模に展開するこ とが可能であるため、香港の輸出業者は、これら大規模工場との関係を持って いない中小規模の工場をターゲットとしている。 業界トレンド 中国本土は世界の中でも主要な消費財製造センターとなっており、包装材料に 対する巨大な需要がある。更には、中国本土内における各方面のビジネスの成 長が、広告、包装、印刷業界に対する需要を急拡大させている。一方、より多 くの消費財製造業者は自身の包材供給を、専門分野に特化した包装業者にアウ トソースしているため、包装下請け業者にも新たなビジネス・チャンスが生ま れている。更に、香港の包装業者は、消費財製造業者の多くが香港企業である ことと、彼らとの間で長期に亘って培われた確固たる関係の点において、他の 海外企業よりも競争面で優位に立っている。また、香港企業は、中国の伝統的 製造業者に比べると、高度な設備と優れたマネジメント能力も有している。 多国籍包装企業の中には、既に本土内販市場参入を目指して中国本土で操業を 開始しているところもある。例えば世界最大の防腐剤用包装紙の製造業者の 1 社である Swiss SIG グループの Combibloc は、ペーパー・ボックスの包装材 料製造工場を蘇州工業団地内に設立している。 中国本土では、国内で包装用に使用される、より高品質な原料の大部分を海外 からの供給に依存している。依存率の高さは、主に紙製品とプラスチックの原 料製造業が十分発達していないことに因るところが大きく、特に高品質セクタ ーにおいては、海外依存度が高くなっている。 デジタル印刷は既に、包装ラベル・デザインや、ブランドのアルコール飲料、 食品、飲料、その他の製品に対する商品生産ラベルとして取り入れられている。 その技術はコンピュータによる直接の製版を可能にしており、事前プレッシン グのフィルムを必要としない。更にデジタル印刷は軟包材において重要な役割 を果たしており、業界でのトレンドとなってきている。 CEPA(香港・中国経済貿易緊密化協定) 2005 年 10 月 18 日、香港及び中国本土政府は、CEPA 補足規定 III に基づく香 港企業への中国本土市場自由化措置について合意・調印を行った。中国本土は、 包装材料も含めて香港で製造された全ての製品を免税(関税フリー)にする措 置に同意し、本協定は 2006 年 1 月 1 日から実施されている。該当する既存の CEPA 規定がない製造品目の場合は、香港地場製造者による申請が、製造工程 における定められた要件を満たしていることを条件に、然るべき手続を踏めば、 非課税という扱いになる。 総じて、包装材料についてのCEPA原産地規定は、主として最終製品として香 港における「実質的加工」、即ち主要製造プロセス、又は加工作業が条件とし て組み込まれている。例えば、古紙や木材パルプ、コーティング材から全てが 製造される、セミケミカルパルプ製の段ボール用中しん原紙、その他の薄く塗 布していない紙、板紙、及びその他の塗布し、または染み込ませ、または被覆 した紙及び板紙において、それぞれ「原産地規定」をクリアするための主要プ ロセスは、フォーミング、乾燥、カレンダリング、コーティングであり、これ ら全てのプロセスが香港で行われなければならない。また、波形の紙または板 紙製の段ボール箱、箱、ケースにおける主要プロセスは、プレート作成、印刷、 カット、組み立てであり、プレート作成後にタイプ設定が必要な場合は、それ も香港で行われる必要がある。このルールは非波形の紙または板紙製の折り畳 み式段ボール箱、箱、ケースにも適用される。詳細については以下のリンクを 参照。http://www.tid.gov.hk/english/cepa/tradegoods/files/mainland_2009.pdf 包装材料の輸出に影響を及ぼす一般貿易法案 大多数の国々は法律を設けて包装材料の製造者の責任について規定している。 例えば EU では、1994 年の Directive 94/62/EC(包装及び包装廃棄物に関する 法令)の導入以降、環境に対する包装廃棄物の影響を極小化するため、業界に 対して包装材料の削減を義務づけてゴミ軽減に繋げている。当該規定によって リサイクリングや再利用の対象範囲も広がる傾向にあり、現在規定されている ガラス、紙、金属、プラスチック、木材などの他にも個別リサイクリング品目 が増加することが予想される。 カナダでは複数の政策のもと、包装材料の使用とリサイクリングについて規定 している。オンタリオ州では Bill 90 または「廃棄物転換法(Waste Diversion Act)」が 2002 年 6 月から施行されており、包装廃棄物の収集とリサイクリ ングについての細則が定められている。具体的には、小売用包装材料をリサイ クリングする際の費用を、市行政機関と、ブランド・オーナーか輸入者のどち らかが公平に負担することが取り決められている。 中国では、「循環型経済促進法(Circular Economy Promotion Law)」が 2009 年 1 月から施行されており、この法案を具現化する目的で包装材料のリサイク リングを規定する措置が発表されることになっている。 製品トレンド 環境に配慮した包装:世界的な環境問題に対する関心の高まりと、包装材料の 使用に対する厳しい法規は材料の選択に影響を与えている。製造業者は製造プ ロセスで再生可能な素材(とその含有物)をより多く使用するようになり、製 品もリサイクルし易いデザインになってきている。生分解性プラスチックの使 用は、非生分解性の比率改善とオゾン層破壊の原因の 1 つであるプラスチッ ク・バックの比率を下げることに繋がっている。再生可能な自然物質から作ら れるバイオポリマーについても、多くの場合、生分解可能で、かつ非毒性であ るため、利用が進んでいる。また、包装材料の場合、増加傾向にあるリサイク リングまたは回収が重さを基準に行われるため、軽量且つ少量の素材で作るこ とが求められるようになっている。詰め替え用や、繰り返し利用可能な容器も 包装廃棄物削減に繋がるため、利用が進んでいる。 可食性フィルム:食品包装に関して消費者が主に懸念する点は、有毒成分が含 まれていないかどうかであり、特に食品を直接包装しているパッケージについ ては関心が高い。PVC(ポリ塩化ビニール)は直接食品に触れる包装及び外装 にも徐々に使われなくなってきており、現在は、OPP(二軸延伸 PP)、BOPP (バリア二軸延伸 PP)、PET、PS などのその他の材料から生成されるフィ ルムの使用が増えている。その他、超純大豆たんぱく質成分によるフィルム、 牛乳成分をベースとした可食性フィルム、セルロースの表面コーティングなど の可食性コーティングとフィルムの利用が将来有望であると見られている。ま た、これらの保護フィルムはフルーツと野菜原料から生成されているため、中 には食品の色、味、においとマッチし、そのまま食べられるものもある。 より長い賞味期限・販売期間:米国では、研究者達が細菌の成長を抑制する抗 菌プラスチック・フィルムを開発した。食品企業もこの新しい防腐技術の包装 システムを利用し、製品の賞味期限を延ばすことに成功している。また、フレ キシブルな包装形態は、生鮮食品の販売期間を長くし、消費者にとっての利便 性や、小売業者及び商品包装業者にとっての利益改善、包装廃棄物の削減など の観点からも今後の需要増加が見込まれる。 便利な包装:安全性の向上に加えて、より機能的で便利であることが飲食包装 市場における一般的なトレンドと言える。例えば、手でつかむ部分と注ぎ口の ついたパウチは、熱湯で温め、冷蔵保存もできるため、特にスープやソースの 包装材料として理想的である。