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腫瘍の画像診断(顎骨の腫瘍性病変)

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腫瘍の画像診断(顎骨の腫瘍性病変)
腫瘍の画像診断(顎骨の腫瘍性病変)
2016/11/25, 2016/12/9
1)歯原性良性腫瘍
エナメル上皮腫 Ameloblastoma
石灰化上皮性歯原性腫瘍 Calcifying epithelial odontogenic tumor
腺腫様歯原性腫瘍 Adenomatoid odontogenic tumor
角化嚢胞性歯原性腫瘍 Keratocystic odontogenic tumor
エナメル上皮線維腫 Ameloblasic fibroma
エナメル上皮線維象牙質腫、エナメル上皮線維歯牙腫、歯牙エナメル上皮腫
歯牙腫 Odontoma
石灰化嚢胞性歯原性腫瘍 Calcifying cystic odontogenic tumor
歯原性線維腫 Odontogenic fibroma
歯原性粘液腫 Odontogenic myxoma
セメント芽細胞腫 Cementoblastoma
Geographic
Motheaten
Lytic Patterns
Permiative
Honeycomb
Soap Bubble
Spider
Tennis racket
Scalloped
1
エナメル上皮腫 Ameloblastoma
Knife edge
Multiplanar
Spiked
• 単胞性・多胞性のいずれの像も示し、歯を含む場合も含ま
ない場合もある。
• 単胞性の場合は境界明瞭な透過性病変で嚢胞との鑑別は難
しい。多胞性の場合は境界明瞭で辺縁に凹凸を有する透過
像を呈する。病巣は帆立貝状辺縁“scalloped margin”を呈
し、病巣内部は弧状の複雑な隔壁様構造により石けん泡状
所見“soap-bubble appearance”あるいは蜂巣状所見
“honey comb appearance”を呈する。
• 皮質骨の菲薄化を伴った著明な骨膨隆を伴う場合が多い。
隣接歯に歯根吸収がみられることが多く(80%以上)、病
巣辺縁に沿った鋭利なナイフカット状の吸収が認められる。
• CT では嚢胞腔内に実質成分が造影される領域として結節
状ないし乳頭状に認められる場合があり、鑑別診断に有効
である。
20代・女性
Ameloblastomaのシェーマ
2
単純
骨表示
造影
10代・男性
3
50代・女性
石灰化上皮性歯原性腫瘍
Calcifying epithelial odontogenic tumor
• 単胞性もしくは多胞性の境界明瞭な透過
性病変であるが、不明瞭な部分も伴うこ
とがあり、内部にさまざまな大きさの不
透過像がみられる。
• 病巣内に埋伏歯を伴う場合が多い。
Calcifying epithelial odontogenic tumor (CEOT)の例
Calcifying epithelial odontogenic tumor (CEOT)の
シェーマ
From Langlais RP, Langland OE, Nortjé CJ. Pericoronal Radiolucencies with Opacities. In:
Diagnostic Imaging of the Jaws. 1st edn. Malvern: Williams and Wilkins, 1995. p 310.
4
腺腫様歯原性腫瘍
Adenomatoid odontogenic tumor
• 境界明瞭な単胞性の透過性病変で、内部に多
数の細かい斑点状の石灰化像が散在性にみら
れる。
• 病巣内に埋伏歯を伴う場合が多く、歯冠部だ
けでなく歯根の一部ないし全部が含まれる場
合がある。
Adenomatoid odontogenic tumorのシェーマ
19歳・女性
角化嚢胞性歯原性腫瘍
Keratocystic odontogenic tumor
• 境界明瞭な単胞性あるいは多胞性の透過性病変で、辺縁は
しばしば帆立貝状“scalloping”を呈する。皮質骨の菲薄化
を伴う骨膨隆がみられ、下顎骨では特に舌側への膨隆がみ
られるが、頬舌的な膨隆よりも前後方向(近遠心方向)に
進展する傾向が強い。
• 歯根吸収や歯間離開がみられることがある。
• エナメル上皮腫と鑑別が困難な場合があるが、歯根吸収が
エナメル上皮腫は高度かつ高頻度であるのに対し、角化嚢
胞性歯原性腫瘍では36%程度で程度も軽い。
• CTでは内部に角化物の集積による高濃度の領域がみられ
る場合がある。
• 多発性や両側性の場合には、基底細胞母斑症候群を疑う必
要がある。
5
20代・男性
31歳・女性
6
28歳・男性 KCOT?
30代・男性
7
69歳・女性
基底細胞母斑症候群にみられた
角化嚢胞性歯原性腫瘍(9歳・女性)
8
エナメル上皮線維腫
Ameloblasic fibroma
• 単胞性透過性病変で埋伏歯を伴うことが多いが、
多胞性の場合もあり、含歯性嚢胞やエナメル上皮
腫との鑑別は困難である。
歯牙腫 Odontoma
1)歯牙腫,集合型(集合性歯牙腫)Compound odontoma
• 界明瞭な透過像の内部に複数の小さな不透過像が散在又は
集合しており、不透過像のひとつひとつは通常の歯と同様
のエナメル質、象牙質。歯髄腔が確認できる(多数の「小
さな歯牙様構造物」)。
エナメル上皮線維象牙質腫
エナメル上皮線維歯牙腫
歯牙エナメル上皮腫
2)歯牙腫,複雑型(複雑性歯牙腫)Complex odontoma
• 周囲との境界明瞭な透過帯を伴う塊状の不透過像として認
められ、外周には明瞭な骨硬化縁が認められる。不透過像
はエナメル質や象牙質が不規則に形成され透過性の異なる
部分が混在している。
• 境界明瞭な透過性病変で、内部に様々な量・形態
の不透過像を有する。
• ※腫瘍の名称であるが、実質的には過誤腫(hamartoma)
として認識すべき病変である。
10代・男性
Compound odontoma
50代・男性
9
Complex
odontoma
石灰化嚢胞性歯原性腫瘍
Calcifying cystic odontogenic tumor
• 旧名:石灰化歯原性嚢胞 Calcifying
odontogenic cyst (COC), Gorlin cyst
• 境界明瞭な単胞性の透過像を呈するが、時
に境界はやや不明瞭である。病変内部に嚢
胞壁に沿った、様々な程度の斑状ないし砂
粒状の不透過像が認められる。埋伏歯の歯
冠に関連したものが約1/3あり、歯牙腫と
関連している場合もある。
Calcifying cystic odontogenic tumor (CCOT)のシェーマ
10
80代・男性
calcifying cystic odontogenic tumor, malignant change
歯原性線維腫 Odontogenic fibroma
• 単胞性・多胞性の境界明瞭な透過像を呈
するといわれるが、まれであり、特徴的
な所見はない。
歯原性粘液腫 Odontogenic myxoma
• 単胞性もしくは多胞性の透過像を呈し、境界は
明瞭な場合も不明瞭な場合もある。増大すると
骨膨隆や歯の移動、歯根吸収を生じることがあ
る。
• 特徴的には透過像の内部において骨性隔壁が繊
細で直線状ないし樹枝状を呈する。テニスラ
ケットのガット状などと表現されるが、こうし
た特徴像は約30%にみられるにすぎず、エナメ
ル上皮腫と鑑別困難なことがある。
• CTでは水と同程度の低濃度域の内部に直線状
の骨性隔壁が見られることが多い。
11
40代・男性
Odontogenic myxomaのシェーマ
セメント芽細胞腫 Cementoblastoma
• 根尖を含むかあるいは根尖から連続した
内部均一もしくは不均一な類円形の不透
過像または不透過像・透過像の混在像を
呈する。
• 病変は境界明瞭であり、不透過像は透過
帯により囲まれ、周囲顎骨とは境界明瞭
である。
• 原因歯の歯根吸収や周囲骨の硬化像を認
めることがある。
12
40代・女性
Cementoblastomaのシェーマ
骨関連病変
骨形成線維腫Ossifying fibroma
線維性異形成症Fibrous dysplasia
骨性異形成症Osseous dysplasia
中心性巨細胞病変 Central giant cell lesion
ケルビズム Cherubism
脈瘤性骨嚢胞Aneurysmal bone cyst
単純性骨嚢胞 Simple bone cyst
その他の腫瘍性病変
骨腫 Osteoma
血管腫(顎骨中心性) Hemangioma
神経鞘腫 Schwannoma
ランゲルハンス細胞組織球症 Langerhans cell histiocytosis
骨形成線維腫 Ossifying fibroma
• 周囲骨との境界は明瞭であり、病期に
より透過像として認められる時期、透
過像と不透過像の混在像として認めら
れる時期、不透過像として認められる
時期に分けられる。
• 病変と周囲の骨組織との境界が明瞭な
点が線維性異形成症との鑑別点
13
50代・女性
Ossifying fibromaのシェーマ
14
線維性異形成症 Fibrous dysplasia
• 一般に周囲骨との境界は不明瞭であるが、
線維組織と骨組織の量により透過性はさま
ざまであり、線維組織の多い初期は境界明
瞭な嚢胞様透過像を呈することもある。
• 骨組織の増加に伴って斑紋状あるいは綿花
状の透過像と不透過像の混在像を呈し、さ
らに多くなるとスリガラス様の不透過像
“ground glass appearance”となる。
• 歯根の吸収や歯の偏位はほとんどみられな
い。
Fibrous dysplasiaのシェーマ
20代・男性
15
骨性異形成症 Osseous dysplasia
•
•
•
根尖部に生じる病変であり、初期では根尖に連続する
透過像、中期には透過像と不透過像の混在像、後期
には全体が不透過像となる。一般に境界は不規則なる
も比較的明瞭であることが多い。
不透過像と周囲骨との境界部には一層の透過帯がみ
られることがほとんどである。硬組織が多発性に多量
に形成された場合、以前は開花型セメント質骨異形成
症と呼ばれ、下顎大臼歯部に好発するが、全顎的に及
ぶこともある。
周囲骨との境界は不明瞭なことが多く石灰化物が不規
則な形態でみられ、歯根と連続する不透過像としてみ
られることが多い。また非典型の単純性骨嚢胞を併発
することも多い。
Osseous dysplasiaのシェーマ
30代・女性
16
50代・女性
1995/4/17
2001/7/11
1993/10/04
1995/4/17
2001/7/11
1993/10/04
2001/7/11
1995/4/17
1993/10/04
17
50代・女性
30代・女性
18
40代・女性
70代・女性
19
中心性巨細胞病変
Central giant cell lesion
• 境界明瞭な多胞性あるいは単胞性の透過
像として認められ、皮質骨は膨隆し菲薄
化する。
• 顎骨は膨隆し皮質骨に破壊が生じること
もある。
• 歯は位置異常を起こし、歯根の吸収、歯
の転位や離開がみられることもある。
40代・女性
central giant cell lesionのシェーマ
20
ケルビズム Cherubism
単純
造影
早期相
骨表示
造影
遅延期相
脈瘤性骨嚢胞 Aneurysmal bone cyst
• 臨床所見:小児・幼年期初期に発生する家族的傾向
を有する病変。顎骨に対称性の膨隆を来す。天使様
顔貌という特有の容貌を呈する。病理組織学的には
中心性巨細胞病変と区別できない。
• エックス線所見:骨膨隆伴った多胞性のエックス線
透過像を呈し、上下顎ともに侵される場合が多い。
Hitomi G , Nishide N , Mitsui K. Cherubism: diagnostic imaging and review of the literature in Japan.
Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod.1996 May ; 81(5):623-8.
10代・男性
• 明確な成因は不明なるも骨髄内の動静
脈瘤及び局所の循環障害?
• 血液で満たされた多数の腔から構成さ
れる
• 境界明瞭で凹凸不整な辺縁を有する多
胞性透過像
• 石けんの泡状透過像(soap bubble
appearance)と著明な骨膨隆
21
単純性骨嚢胞(外傷性骨嚢胞)
Simple bone cyst(Traumatic bone cyst)
30代・女性
• 明確な成因は不明なるも外傷による骨髄内の血腫の
器質化障害?
• 上皮裏層を有さず嚢胞壁は粗な線維性結合組織
• 境界やや不明瞭で辺縁は凹凸不整な透過像
• 辺縁の骨硬化縁(白線)は繊細で鉛筆で書いた下絵
の線のよう(preliminary pencil-sketch appearance )
• 大きいものでは歯槽中隔に入り込んだ帆立貝状の辺
縁を呈する(interdental scalloping margin)
• 歯槽硬線は残存しており、歯根吸収は生じない
• 病変内部に不透過像を伴う非典型タイプが存在し、骨
性異形成症(根尖性セメント質骨異形成症)に併発す
る場合が多い
骨腫 Osteoma
T1-WI
T1-WI
Gd+(FS)
T2-WI(FS)
• 一般に20~30歳以上の男性に多く、上顎よりも下顎
に多い。境界は明瞭で硬く有茎状であることが多い
が、反応性の過形成と考えられる部分もあり、真の
腫瘍であるか否かについは不明である。
• 組織学的には内骨症(海綿骨の過形成)外骨症(骨
の過形成)、骨硬化症と区別がつかない。顎骨中心
性骨腫と周辺性骨腫に大別されるが、ほとんどが周
辺性骨腫で皮質骨の増殖によるものである。
• 骨の増殖による塊状の境界明瞭な不透過像として認
められることが多いが、内部が緻密で均一な不透過
像を呈するものから正常の骨梁に近いものまでさま
ざまである。
22
60代・女性
Osteomaのシェーマ
口蓋隆起
内骨症 30代・男性
23
血管腫(顎骨中心性) Hemangioma
• 微細で境界の明瞭な多胞性のエックス
線透過像を呈し、病巣内部は複雑な隔
壁様構造により石けん泡状所見“soapbubble appearance”あるいは蜂巣状所
見“honey comb appearance”を呈する
ことが多く、エナメル上皮腫に類似し
た所見を呈することがある。
10代・男性
Central hemangiomaのシェーマ
単純
骨表示
造影
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ランゲルハンス細胞組織球症
Langerhans cell histiocytosis
20代・女性
• 単発性で境界が明瞭な透過像から多発性で辺縁が
不整な骨吸収像まで多彩である。周囲に辺縁硬化
像を伴わない打ち抜き像“punched out
appearance”といわれ透過像を呈することがあ
る。
• 歯槽骨の破壊が主であり、病変部に含まれた歯は
支持歯槽骨を失い浮遊歯“floating teeth”の所見
を呈する。
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