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2005 年 12 月 16 日 法思想史
法と道徳の関係について
1
Kant
1.1
Kant の説明
• 法的法則の要求 = 合法性 = 行為の普遍化可能性
• 道徳法則の要求 = 道徳性 = 行為の普遍化可能性 + 自由意志
従って
道徳法則から法的法則は導き出せる。また、
道徳的行為→合法行為 (違法行為→反道徳的行為)
法 = 法的法則 + 違法行為に対する強制力
(カントによれば、強制力は作用・反作用の法則からの類推で正当化されるが、、)
1.2
Kant 解釈
そもそもカントには、違法行為に対する関心がない。合法行為が道徳的といえるための
条件(自由意志)が彼の考察対象。法(法的法則+強制力)の道徳的根拠付けは行われて
いない(おそらく不可能)。
では、法と道徳法則は全く無関係であるのか? → 否!
• 法の要求が法的法則に反しない場合
→人は、法に関わらず、道徳法則の要求に従うことができる。
(意志の自由の現実性)
• 法の要求が法的法則に反する場合(不正な法)
→人は、法によって普遍化不可能な行為を強制されるので、法的法則にも、道徳法
則にも従うことができない。(意志の自由の否定)
結論: 法と道徳法則との関係は、法が不正である場合にのみ、顕在化する。
2
2.1
P.J.A. Feuerbach
Feuerbach の説明
• 法の領域: 権利(と対応する法的義務)
• 道徳の領域: 義務 のみ(対応する「道徳的権利」は存在しない)
1
理由: 「強制の可能性のあるところに、道徳的行為は存在し得ない。」
→法が要求する義務的行為と道徳が要求する道徳的行為は、外形的に異なる。
つまり、道徳義務は法的義務と異なる。法と道徳は「適用領域が異なる」。
では、法と道徳は全く無関係であるのか?
→法的権利=道徳的義務履行の手段
法の根拠は理性
理性の法的使用→法
理性の道徳的使用→道徳
2.2
Feuerbach の法理論の長所・短所
長所: 法的強制の正当化(ただし間接的正当化)
短所: 法の領域と道徳の領域の完全分離→ある行為がなぜ義務的であるかを説明できない。
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