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大都市における都市気候変動 とその緩和策 大都市
大都市における都市気候変動 とその緩和策 - 持続可能な都市環境に向けて - 三上 岳彦 首都大学東京 名誉教授 帝京大学教授 加速する地球温暖化 (IPCC 第四次評価報告書) +1.7℃/100 Year +0.74℃/100 Year 東京の気温は100年間で3℃上昇 東京の空間温度パターンはどのような 状況にあるのか ? ↓ 東京において、新たな都市のヒートアイラ ンド監視システム METROS が 2002-2004年に稼動 120に及ぶ METROS の設置場所 典型的な夏における異常気温と風のパターン 2004年7月8日 Early Morning (4 A.M.) Afternoon (3 P.M. ) 2006年5月よ り METROS が 拡大された 夏季における異常気温パターン (2006年7月9日~8月17日) 5:00 am 2:00 pm 矢印は海風を示す まとめ (1) ◆東京における都市ヒートアイランドは、過去100年間で 増大 ◆東京都における特異な変化は、METROSと拡大 METROS の監視システムによって詳細に分析 ◆都市気候要因(気温、湿度、風、降雨)の継続的な監視 により、大都市における都市ヒートアイランドを緩和する ための有用な情報が入手できよう 都市ヒートアイランド(UHI)を引き起こす要因 (1) 工場、事業所ビル、自動車、住居などから の人工排熱の増加 (顕熱と潜熱の増加) (2) 都市部の地表の変化: 土から人工被覆、例 えばコンクリート、アスファルト物質的など ( 顕熱の増大と潜熱の減少) (1) 人因的な熱消費: 1998年の推計年平均値 ・東京都心部 32 W/m2 以上 ・都市部 16 W/m2 以上 ・郊外 4-16 W/m2 ・地方 2W/m2 以下 (2) 夏季のアスファルト舗装の表面温度 は、直射日光下では50℃に達するが、街 路樹の影の下ではより低い30℃ 都市のヒートアイランドの影響 生態学的影響: 亜熱帯の植物相(例、パームツ リー)と昆虫(例、感染症を媒介する蚊) 人間の健康への影響: 暑い夏の高温の影響による 熱中症患者の増大 気象学的影響: 暖かく湿った上昇気流に起因する 激しい豪雨の増大 都市における効果的な ヒートアイランド緩和策 緑化推進策 (1) 大規模緑化公園の保全 → 大規模緑化公園の中とその周辺ではクールアイランド効果 が みられる (新宿御苑の事例) (2) 街路樹と屋上緑化の拡大 (3) 都市の河川と水路を通じた風の道の効果 → ① 東京湾からの海の風の進入 ② ソウル特別市のチョンゲチョンの清流復元事業 エネルギー消費の削減 → 地球温暖化の安定のためにも効果がある! エネルギー消費の削減は、都市からの二酸化炭素排出を削 減させる 大規模都市公園のクールアイランド効果 - 新宿御苑の事例 - 新宿御苑 新宿御苑とその周辺地域の熱イメージ (夏季の日中) Clear Night Radiative Cooling Calm Cold Air Built-up Area Park Built-up Area Ultrasonic Anemometer Thermometer にじみだし現象の大まかなイメージ Temperature (℃) 29 28 Y8 Y7 Y6 Y4 Y5 26 Y3 Y9 25 0 D6 D4 D2 Q2 D7 200 400 Q6 Q4 8/5 3:40~3:50 24 Q7 Q5 Q3 27 80m PARK D5 600 800 D3 D1 1000 90m Q1 1200 1400 1600 Distance(m) にじみだし現象が起きるときの境界部分の気温分布 温度の垂直断面 公園内 (黒)と市街地 (オレンジ) ソウルにおけるチョンゲチョンの清流復元 復元前 (2003年4月12日) 復元後 (2007年7月22日) 北京における水路を組み込んだ大規模緑化公園 元土城遺跡公園(47ha)2003年6月竣工 まとめ (2) 1. 公園との境界部に沿った4つの超音波流体速度計の データにより、にじみだし現象の証拠が得られた 2. 新宿御苑の事例によれば、にじみだし現象による冷 気の幅は、境界線から80~90mである 3. 樹冠は夏季日中により快適な空間の提供に効果があ るが、夏季の夜間に冷気を生み出すためには森林よ りも表面の芝生化が役立つ 4. ソウル(チョンゲチョン)や北京(都市公園)の事例のと おり、水面は都市の気温上昇を緩和するのに役立つ