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東レ経営研究所
中国ビジネス研究会
China Fashion Week
東レ経営研究所
上海駐在レポート
2009
中国ビジネス研究会
研究員
横川
美都
2008 年11月4日から11日までの8日間、北京にてチャイナファッションウィーク中国国際
時装週(以下 CFW)が開催された。1997 年からスタートした CFW は、これまでにブランド及
びデザイナーによる 481 のショー、59 のコンテスト、そして 12 回のチャイナファッションアワ
ードの授賞式が行われてきた。筆者が見学したショーに関しては、弊社発行の機関誌『繊維トレ
ンド』の最新号(2009 年 1・2月号)に詳しくレポートしているので、どうかそちらをご参考い
ただきたい。本レポートでは『繊維トレンド』で紹介し切れなかったカラーの写真を時系列でご
紹介する。ピンボケであったり角度が悪かったりしているが、その辺はどうかご了承頂きたい。
11月6日10:30~
会場:D.PARK
北京服装学院―莱佛士国際学院 Raffles Design Institute2008 年卒業生作品発表会
名門北京服装学院(以下、北服)とシンガポールの Raffles Design Instuite の提携校の 2008
年度の卒業生による20の卒業制作作品が発表された。数年前に最初に同じ北服のショーを見た
ときには、大げさに言うと「仮装大会でしょうか?」と思うような作品が多かった。しかし、回
を重ねるごとにレベルは確実に上がってきており、今回は筆者も前のめりになってしまうような
作品がいくつかあった。
11月6日18:00~
会場:D.PARK
東華大学中日合作ファッションデザイン卒業生作品発表会
北服が北の被服関係の名門校なら、南の名門校は上海東華大学である。その東華大学が日本の
文化服装学院と提携して開設したファッションデザイン課の学生による CFW 初のショー。2008
年度の卒業生の作品を中心に、各学年の作品が紹介された。北服に続けて行われたショーなので
2 校のスタイルの違いが良く分かり、それもまた非常に興味深かった。非常に大雑把に表現する
と、北服は元気でポップでパンキッシュ、東華大学はシックでシンプル、色彩もモノトーンがメ
イン。
あと数年で物心のついた時から身の回りのすぐ手の届くところに“ファッション”と呼ばれる
ものがある中で成長してきた若者たちが表舞台に立つことになる。学生たちのショーを見ている
とその時が楽しみになってくる。
11月7日14:00~
「GIOIA PAN」
会場:北京飯店
潘怡良ファッションショー
“花に恋をする蝶”というテーマでショーを行ったのは、台湾からの参加となる女性デザイナ
ー潘怡良。今回が CFW での2回目のショーとなる彼女の艶やかなステージにさらに華を添えた
のは、台湾人モデルたち(スキンヘッドの不思議な雰囲気を持った男性モデルがステージに現れ
た瞬間、筆者、中国にもこんなオリジナルな男性モデルがいたのかと非常に驚いた。後で、関係
者から台湾人モデルですと言われ、妙に納得)と 2007 年に中国初のミス・ワールドとなった張梓
琳。ラストに彼女が艶やかな朱赤とゴールドのドレスを身にまとって現れると無数のフラッシュ
がまぶしく炊かれた。
11月7日18:00~
「謎底 MIIDII」
会場:D.PARK
劉星ファッションショー
CFW 初参加となる若手女性デザイナー劉星は“醒来(目覚め)”をテーマにコレクションを展
開した。2008 年に発生したさまざまな自然災害などを通じて(四川大地震後、劉星は自ら数千枚
の衣料と 500 組の布団を被災地に持ち込んだそうだ)
「生と死」についての再考をし、そこから灰
色のさなぎから徐々に純白へ、そして色鮮やかな蝶が生まれるというストーリー性の高いコレク
ションを作り出した。最後に真っ白な翼をつけたデザイナー本人がステージに現れると、会場か
らは暖かい拍手が沸きあがった。個人的には一番好きなショーであった。
11月7日21:30~
「Maryma Series」
会場:D.PARK
馬艶麗ファッションショー
元モデルでその私生活にもメディアがスポットを当てるセレブ・デザイナー馬艶麗のショーは
30 トンの砂を運び込み、サハラ砂漠をイメージしたステージの上で繰り広げられた。チュニジア
の古代王国にインスピレーションを受けたというコレクション、華やかなオートクチュール向け
ドレスも素敵だったか、デザイナー本人の雰囲気にぴったりなパンツスーツが印象的であった。
11月 8 日18:30~
「達衣岩 DAYARN」
会場:D.PARK
丁勇ファッションショー
アーティスト出身の丁勇のコレクションは、まさに D.PARK のある中国現代アートの中心地
798 芸術区にふさわしい非常にアーティスティックなものだった。60 に及ぶスタイルのほとんど
が“ファッション”というより“アート作品”
。“記録”をテーマにしたショーのラストにステー
ジに現れた四角い体をしたモデルの腹部が、赤ちゃんの産声とともにぱっくりと割れ、同時にス
テージの背景として設置されていた水槽の中にデザイナー本人が裸体で現れ、観客をあっと言わ
せた。彼のステージでは、毎回、ラストのシーンに趣向が凝らされておりそれを楽しみにしてい
る人たちもいるという。コレクションも含め、彼の過去のショーがどんなものであったか気にな
って仕方がない。
11月9日21:30~
「DENG Hao」
会場:北京飯店
鄧皓ファッションショー
“飛天馬蒂斯(飛天とマティス)
”という東洋仏教思想のモチーフである天女とマティスをテー
マにした鄧皓。そのショーは緑とフラワープリントを自らのスタイルにして、
“花の妖精”との異
名を持つ彼女らしい南国の花園に紛れ込んだような、うっとりとした気分にしてくれるものであ
った。
11月10日18:30~
「This is you’z clothing」
会場:D.PARK
鄒游ファッションショー
北京服装学院の助教授でもある鄒游を見るのは今回で2回目。前回のCFWで旭化成がスポン
サーとなったクリエイティブ大賞でのショーを見てから、必ず次回のショーも見たいと思ってい
た。“Just A Little”と名づけられたコレクションは、前回見たショーよりもさらにミニマライ
ズされたデザインと色彩、そしてステージを排しスポットライトのみでキャットウォークを表現
した演出と期待以上のものであった。ひとつ挙げるなら、CFWの通常のショーとは異なり、モ
デルがものすごい勢いでウォーキングをするため写真が上手く撮れなかったことだけが残念でな
らない。
11月10日20:30~
会場:北京飯店
「旭化成中国ファッションデザイナークリエイティブ大賞」
顧怡ファッションショー
今回で3回目となる旭化成がスポンサーとなって行われた本大賞は、既製服デザイナーとして
も経験豊富な女性デザイナー顧怡が受賞した。
“新生万象”をテーマとしたショーは非常に女性ら
しい柔らかなデザインと色彩のコレクションであった。ブラックドレスのシリーズも非常に洗練
されていた。かつて旭化成のイメージモデルを務め、今や海外でも活躍する中国トップモデルの
ひとりとなった莫万丹がショーのラストを飾り、デザイナー本人を拍手で迎えると会場からは大
きな拍手と惜しみないフラッシュがたかれた。
11月11日10:30~
会場:北京飯店
喬丹杯 Qiaodan Cup 第3回中国スポーツウェアデザインコンテスト
3年目となる今回のコンテストのテーマは“魅惑”。オリンピックの熱がまだ残る北京のステー
ジには、予選を通過した21点の作品が発表され、ショーの最後には専門家からなる審査団によ
り各賞の受賞作品が決定された。
銅賞受賞作品
銅賞受賞作品
銀賞受賞作品
銅賞受賞作品
金賞受賞作品
銀賞受賞作品
11月11日19:30~
「SEC」
会場:北京飯店
祁剛ファッションショー
2008 年度のファッションデザイン・ゴールデンアワードを受賞したブランドSECのデザイナ
ー祁剛は 1974 年生まれ、まさに今が旬のデザイナーである。デザイナー然としたデザイナーが
少ない中国において、人目でそれと分かる独特の雰囲気を持った彼(毎回ショーの最後にモデル
の誰よりも目立つような衣装で、優雅に現れるのはこのデザイナーくらいであろう)は業界内の
異端児とされているようだ。幼いころに水墨画を学んでいた彼らしく、鮮やかな色彩の上に墨色
の一筆が施されたスタイルは独特の雰囲気を持っていた。また、普段から既製服ブランドとオー
トクチュールのドレスを手がける彼らしく、コレクションもプレタとオートクチュールのバラン
スが取れたものになっていた。
11月11日21:30~
会場:D.PARK
「Mark CHEUNG 馬克・張」
張肇達ファッションショー
大御所デザイナー張肇達(マーク・チャン)のコレクションのテーマは“長江”
(ちなみに前回
は“黄河”であった)。コレクションは“長江万里図”“神秘西藏(チベット)”“風情雲貴川、激
流三峡(雲貴川は雲南・貴州・四川省を意味する。中国でも少数民族が非常に多い地域)”“江湖古
鎮、虎踞龍盘(古い町々を放浪する、虎がうずくまり龍が横たわるような険しい地形)”“灵秀江
南、江海交汇(麗しき江南、長江と海が交わる)”という5つのシリーズに分かれているとのこと。
11月12日20:00~
「空・Oneness」
会場:北京飯店
White Collar 白領ファッションショー
CFW最後の夜を飾ったのは、中国を代表する婦人高級アパレルブランド White Collar のショ
ー。デザイナーチームの中から今回は日本にも留学経験のある王放によるコレクションが披露さ
れた。White Collar らしい優雅なドレスの数々と、それらの中でポイントとなる相反するイエロ
ーとブラックという強い色同士の組合せのドレスが不思議な調和を持って繰り広げられた。ライ
スには、2008 年度の最優秀女性モデルに表彰された劉多がバレリーナのような真っ白なドレスで
ステージに立った。そして、壇上に現れたデザイナーたちが彼女を囲み、イエローとブラックの
スプレーでドレスに即興で模様を描いていく。最後に王放が仕上げの筆を入れるというパフォー
マンスが行われた。
参考資料:『FASHION CHINA 服装設計 2008 年 12 月号』服装設計師雑誌社
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