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(57)【要約】 【解決手段】 本発明に係る痔疾治療薬は、トラネキサム酸

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(57)【要約】 【解決手段】 本発明に係る痔疾治療薬は、トラネキサム酸
JP 2005-29529 A 2005.2.3
(57) 【 要 約 】
【解決手段】 本発明に係る痔疾治療薬は、トラネキサム酸、トラネキサム酸誘導体
、およびこれらの塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物と、医薬上許容
される疎水性基剤とを含むことを特徴としている。
【効果】 本発明の痔疾治療薬によれば、血管収縮を起こすことなく、患部および患
部周辺の腫脹や出血などの症状を鎮めることができ、痔瘻を除く痔疾の症状を改善するこ
とができる。また、本発明によれば、有効成分であるトラネキサム酸類の局所滞留性に優
れ、その放出時間も長い痔疾治療薬、すなわち、従来の痔疾治療薬と比較して安全性およ
び有効性の高い痔疾治療薬を与えることが可能となる。
【選択図】 なし
10
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラネキサム酸、トラネキサム酸誘導体、およびこれらの塩からなる群より選ばれる1
種または2種以上の混合物と、医薬上許容される疎水性基剤とを含むことを特徴とする痔
疾治療薬。
【請求項2】
前記痔疾治療薬が、坐剤であって、該坐剤1本中にトラネキサム酸が20∼250mg
の量で含まれていることを特徴とする請求項1に記載の痔疾治療薬。
【請求項3】
前記痔疾治療薬が、注入軟膏剤であって、該注入軟膏剤1本中にトラネキサム酸が20
10
∼250mgの量で含まれていることを特徴とする請求項1に記載の痔疾治療薬。
【請求項4】
前記痔疾治療薬が、注入軟膏剤以外の軟膏剤であって、該軟膏剤の1回塗布量(0.5
g)中にトラネキサム酸が5∼100mgの量で含まれていることを特徴とする請求項1
に記載の痔疾治療薬。
【請求項5】
前記痔疾治療薬が、さらに、副腎皮質ホルモン剤、局所麻酔剤、解熱鎮痛消炎剤、消炎
鎮痒・創傷治癒剤、ビタミン剤、サルファ剤、殺菌剤、抗ヒスタミン剤、末梢血管拡張剤
、整腸剤、止瀉剤からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有していることを特徴
とする請求項1∼4のいずれかに記載の痔疾治療薬。
20
【請求項6】
前記痔疾治療薬が、内痔核、外痔核、裂肛の治療用薬剤であることを特徴とする請求項
1∼5のいずれかに記載の痔疾治療薬。
【請求項7】
前記痔疾治療薬が、直腸粘膜に投与されるものであることを特徴とする請求項1∼6の
いずれかに記載の痔疾治療薬。
【請求項8】
前記痔疾治療薬が、肛門周辺の損傷部位、術後創に投与されるものであることを特徴と
する請求項1∼6のいずれかに記載の痔疾治療薬。
【発明の詳細な説明】
30
【技術分野】
【0001】
本発明は、痔疾治療薬に関し、より詳しくは、トラネキサム酸、トラネキサム酸誘導体
、およびこれらの塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物を含む痔疾治療
薬に関する。
【背景技術】
【0002】
痔疾は、肛門部または直腸内に発生する疾患で、痔核(内痔核、外痔核)、裂肛、痔瘻
に大別され、その主な症状は、腫脹(浮腫をふくむ)、出血、痒み、疼痛などである。痔
疾は、複合的要因が重なることによって生じるが、直接的または間接的に、肛門部または
40
直腸内での血液循環不全が関与すると考えられている。具体的には、痔核は、排便時の強
いいきみによる肛門部への圧迫や、便意を抑制した結果、直腸膨大部に貯留した便による
直腸の圧迫などによる肛門粘膜下の静脈のうっ血と拡張により発生し、裂肛については、
便秘により水分が減少し硬く大きくなった便が排泄時に肛門管を傷つけたり、肛門部周辺
の皮膚が裂けたりすることにより発生する。
【0003】
従来、このような痔疾を治療するため、あるいは症状を改善するための医薬品が数多く
提案されている。しかしながら、痔疾特有の状況、すなわち、日々の排便の都度に肛門部
にかかる強い圧迫や便の拭き取りによる肛門部への摩擦、温水洗浄器の温水と温風による
皮膚および粘膜の乾燥といった物理的刺激、拭き取り残した便中の酵素による化学的刺激
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、細菌感染などに繰り返しさらされるという状況下においては、充分な効果が得られない
場合が多かった。
【0004】
また、従来、患部および患部周辺の腫脹や出血を鎮めるために、痔疾治療薬に血管収縮
剤を含有させることが行われている。しかしながら、痔疾治療薬に血管収縮剤を含有させ
た場合には、血管の収縮によりさらに血液循環が悪化し、血液循環不全を亢進させるおそ
れがあるため、痔疾治療の観点からは本来的には好ましいことではない。
【0005】
したがって、血管収縮を起こすことなく、患部および患部周辺の腫脹や出血などの痔疾
症状を鎮めることができ、従来の痔疾治療薬と比較して安全性および有効性の高い新たな
10
痔疾治療薬の登場が望まれていた。
【0006】
本発明者らは、このような実情に鑑みて鋭意検討した結果、トラネキサム酸、トラネキ
サム酸誘導体、およびこれらの塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物と
、医薬上許容される疎水性基剤とを含む組成物によれば、血管収縮を起こすことなく、痔
疾の症状を改善することができ、従来の痔疾治療薬と比較して安全性および有効性の高い
痔疾治療薬を得ることができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0007】
トラネキサム酸(トランス−4−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸)は、抗
プラスミン作用による抗出血作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用があり、全身または局
20
所線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向、湿疹や蕁麻疹における紅斑・腫脹・掻痒な
どの症状、扁桃炎や咽喉頭炎における咽頭痛・発赤・充血・腫脹などの症状、口内炎にお
ける口内痛および口内粘膜アフター治療薬として用いられている。また、その他にも、消
化器疾患において局所線溶系が亢進される胃粘膜出血や潰瘍性大腸炎に用いた旨の臨床報
告があるが、痔疾に用いられたという報告はない。
【0008】
また、従来、酸化エチレン(EO)および酸化プロピレン(PO)のブロック共重合体
とトラネキサム酸とを基剤として含む医薬組成物の剤型のひとつとして直腸投与剤が提案
されており、坐剤、浣腸剤などが挙げられている(特許文献1参照)。しかしながら、こ
の医薬組成物では、基剤のEO−POブロック共重合体とトラネキサム酸との相乗効果に
30
より、有効成分であるペプチド類の吸収を促進することを目的とし、直腸投与剤において
も経粘膜吸収による全身投与を対象とし、痔疾治療薬については何ら記載されていない。
【0009】
さらに、従来、止血剤用薬物と薬物とを含む粘膜投与用医薬品組成物が提案されており
、単独投与で血中に移行する薬物が、止血剤用薬物との同時投与により、血中まで移行せ
ずに粘膜組織にとどまることが鼻腔への噴霧実験によって示されている(特許文献2参照
)。このなかで、止血剤用薬物の例としてトラネキサム酸が挙げられ、直腸粘膜に対する
投与形態の例としてカプセル剤を坐剤に用いることが挙げられている。しかしながら、こ
の粘膜投与用医薬品組成物は、具体的には浸透圧が特定値未満の水性組成物であり、また
痔疾治療に用いることについては何ら記載されていない。
40
【特許文献1】特再平07−833474号公報
【特許文献2】特再平11−853899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、痔瘻を除く痔疾の症状を改善しうる安全性および有効性の高い痔疾治療薬を
提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る痔疾治療薬は、トラネキサム酸、トラネキサム酸誘導体、およびこれらの
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塩からなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物と、医薬上許容される疎水性基剤
とを含むことを特徴としている。
【0012】
前記痔疾治療薬は、坐剤であってもよく、該坐剤1本中にトラネキサム酸が20∼25
0mgの量で含まれていることが好ましい。
【0013】
また、前記痔疾治療薬は、注入軟膏剤であってもよく、該注入軟膏剤1本中にトラネキ
サム酸が20∼250mgの量で含まれていることが好ましい。
【0014】
あるいは、前記痔疾治療薬は、注入軟膏剤以外の軟膏剤であってもよく、該軟膏剤の1
10
回塗布量(0.5g)中にトラネキサム酸が5∼100mgの量で含まれていることが好
ましい。
【0015】
本発明に係る痔疾治療薬は、さらに、副腎皮質ホルモン剤、局所麻酔剤、解熱鎮痛消炎
剤、消炎鎮痒・創傷治癒剤、ビタミン剤、サルファ剤、殺菌剤、抗ヒスタミン剤、末梢血
管拡張剤、整腸剤、止瀉剤からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有しているこ
とが好ましい。
【0016】
本発明の痔疾治療薬は、内痔核、外痔核、裂肛の治療用薬剤であることが好ましい。
【0017】
20
前記痔疾治療薬は、直腸粘膜に投与されるものであることが望ましい。
【0018】
また、前記痔疾治療薬は、肛門周辺の損傷部位、術後創に投与されるものであってもよ
い。
【発明の効果】
【0019】
本発明の痔疾治療薬によれば、血管収縮を起こすことなく、患部および患部周辺の腫脹
や出血などの症状を鎮めることができ、痔瘻を除く痔疾の症状を改善することができる。
【0020】
また、本発明によれば、有効成分であるトラネキサム酸類の局所滞留性に優れ、その放
30
出時間も長い痔疾治療薬を与えることができる。すなわち、本発明によれば、血栓形成の
促進や血栓安定化などの副作用を生じさせずにトラネキサム酸類を痔疾治療薬に配合する
ことが可能である。
【0021】
したがって、本発明によれば、従来の痔疾治療薬と比較して安全性および有効性の高い
痔疾治療薬を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0023】
40
本発明の痔疾治療薬は、トラネキサム酸、トラネキサム酸誘導体、およびこれらの塩か
らなる群(以下、単にトラネキサム酸類ともいう。)より選ばれる1種または2種以上の
混合物と、医薬上許容される疎水性基剤とを含むことを特徴としている。このようにトラ
ネキサム酸類を有効成分として含むことにより、血管収縮を起こすことなく、患部および
患部周辺の腫脹や出血などの症状を鎮めることができ、痔瘻を除く痔疾の症状を改善する
ことができる。
【0024】
前記トラネキサム酸類としては、トラネキサム酸、トラネキサム酸誘導体、およびこれ
らの塩が挙げられる。
【0025】
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トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸の二量体、エステル、ビタミンエステ
ル、アルキルアミド、フェニルエステル酸、N,N−マレオイルミノトラネキサム酸など
が挙げられる。前記トラネキサム酸のエステルとしては、具体的には、炭素原子数1∼3
0のアルキルエステル、炭素原子数1∼30のアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシル
基などが置換していてもよいフェニルエステルが挙げられる。トラネキサム酸のアルキル
アミドとしては、具体的には、トラネキサム酸のメチルアミド、エチルアミドなどが挙げ
られる。
【0026】
また、トラネキサム酸の塩としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩などの無機酸塩;酢酸塩
、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩など
10
の有機酸塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩
、などの有機アミン塩;アンモニウム塩;ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属
塩;マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。これらは1種単独で用
いてもよく、2種以上を組み合わせて混合物として用いてもよい。
【0027】
これらのうちでは、トラネキサム酸またはその塩が好ましく、トラネキサム酸がより好
ましい。
【0028】
痔疾の患部においては、拡張した血管内において血栓形成と線溶が繰り返されることに
より、血小板や血管内皮細胞からサイトカイン分泌が促され、肛門移行上皮および粘膜面
20
に血管が新生する。それと同時に、内因系血液凝固の接触相の構成成分であるカリクレイ
ンによって産生したキニンにより血液凝固反応が生じると、浮腫や疼痛が起こる。さらに
この新生した血管が損傷して出血が起こると、線溶活性が亢進するため、凝固止血機構が
破綻し出血を繰り返す悪循環となる。したがって、痔疾患部およびその周辺の血管内では
、プラスミンが過剰産生していると考えられる。
【0029】
トラネキサム酸は、前述したように抗プラスミン作用を有しており、このような痔核ま
たは裂肛における患部あるいは患部周辺の血管内で過剰に産生したプラスミンを阻害する
ことにより、細胞間結合物質の消化および血管透過性を抑制するとともに、炎症初期因子
であるキニンの産生を抑制する。キニン産生が抑制されることにより、肥満細胞からのヒ
30
スタミンの遊離および血管収縮に関与するPAF(血小板活性因子)の放出が抑制され、
ホスフォリパーゼA2活性が抑制され、プロスタグランジンE2の合成が抑制される。そ
の結果、痔核および裂肛の主症状である腫脹、出血、疼痛を改善することができると推測
される。さらに、これらの作用はトラネキサム酸の抗プラスミン作用、すなわち、主とし
てプラスミンのフィブリンへの結合阻害に基づいているため、トラネキサム酸は、他のプ
ロテアーゼを阻害することがなく、副作用が極めて少ないという利点を有する。
【0030】
本発明では、トラネキサム酸類より選ばれる1種または2種以上の混合物、好ましくは
トラネキサム酸を、後述する痔疾治療薬の剤型に応じた有効治療量で含有している。この
ように各剤型に応じた量で、有効成分であるトラネキサム酸類、好ましくはトラネキサム
40
酸を含むことにより、適切な量を的確に患部に投与することができる。
【0031】
さらに、本発明の痔疾治療薬は、前記トラネキサム酸類に加えて、医薬上許容される疎
水性基剤を含有している。このような疎水性基剤の働きにより、有効成分であるトラネキ
サム酸類を、経時的に徐放するとともに、肛門部あるいは直腸内の目的とする局所部位(
患部)にとどまらせることができ、痔核(内痔核、外痔核)、裂肛の治癒に寄与すること
ができる。
【0032】
具体的にトラネキサム酸を例に挙げて説明すると、トラネキサム酸は、分子量157.
2の水溶性化合物であり、水溶液である注射剤(トラネキサム酸500mg含有)の単回
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静脈投与での最高血中濃度到達時間が0.5時間であり、また24時間以内にその約80
%が体外に排泄される体内吸収代謝が早い薬物である。
【0033】
ところが、痔疾治療においては、有効成分である薬物(上記の場合はトラネキサム酸)
を患部へとどまらせること、すなわち局所滞留性に優れることが望まれ、かつ薬剤からの
薬物の放出時間が長いことが望まれる。しかしながら、親水性基剤を用いた場合(たとえ
ば、水溶液などの場合)には、直腸投与後に結腸へ上昇しやすく、薬物との接触面積が大
きくなり粘膜への薬物移行性が高くなるため、疎水性基剤を用いた場合と比較して、薬物
の放出、吸収が早くなる傾向がある。
【0034】
10
これに対して、本発明では、前記疎水性基剤を用いることにより、薬物の局所滞留性を
向上させ、さらにこのような薬物を該疎水性基剤中に分散させているため、親水性基剤を
用いる溶解型薬剤よりも、有効成分である薬物の放出時間を長くすることができる。
【0035】
またトラネキサム酸は、前述したように副作用が極めて少ない化合物であるが、経口投
与や静脈注射などの全身投与においては、まれに血栓形成を促進したり、血栓を安定化し
たりするといった副作用を示す場合がある。
【0036】
これに対して、本発明では、上記のように疎水性基剤を用いることにより、トラネキサ
ム酸を局所にとどめおくことができ、疎水性基剤の融点を調整することにより、直腸投与
20
後の薬剤の溶解速度をコントロールし、血中移行速度を遅くして血中濃度を低くすること
ができる。さらに、部位を限定した局所投与であり全身投与の場合と比較して、トラネキ
サム酸の使用量も少ないことから、このような血栓形成促進および安定化などの副作用の
問題についても実質的に解決できる。
【0037】
前記医薬上許容される疎水性基剤としては、たとえば、カカオ脂、ラウリン脂、牛脂も
しくは半合成品由来のハードファット、ミツロウ、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミ
チン酸などの常温で固形状である基剤、
あるいは常温で液状または半固形状である
ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、オリーブ油、大豆油、ゴマ油、トウモロコシ油、中鎖
30
脂肪酸トリグリセライド、流動パラフィン、白色ワセリン、精製ラノリンもしくはミリス
チン酸イソプロピルまたはモノステアリン酸グリセリンなどの油脂または油剤、
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコー
ル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸
エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの界面活性剤、
ステアリルアルコール、セタノールなどの高級アルコールが挙げられる。
【0038】
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらに
限定されるものではなく医薬品として使用が許容されるものであればよい。
【0039】
40
これらのうち、坐剤に用いる点からは、ハードファットが好ましく、また、軟膏剤に用
いる点からは、白色ワセリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、流動パラフィンが好ましい
。
【0040】
該疎水性基剤は、痔疾治療薬の剤型によっても異なるが、痔疾治療薬100重量%中に
、通常50∼99重量%、好ましくは70∼98重量%の量で含まれていることが望まし
い。
【0041】
さらに、本発明の痔疾治療薬には、副腎皮質ホルモン剤、局所麻酔剤、解熱鎮痛消炎剤
、消炎鎮痒・創傷治癒剤、ビタミン剤、サルファ剤、殺菌剤、抗ヒスタミン剤、末梢血管
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拡張剤、整腸剤、止瀉剤よりなる群から選ばれる1種または2種以上の薬物を配合するこ
とが可能である。
【0042】
副腎皮質ホルモン剤としては、たとえば、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン、酢酸
ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、吉草酸
酢酸プレドニゾロンなどが挙げられる。
【0043】
局所麻酔剤としては、たとえば、リドカイン、ジブカイン、プロカイン、テトラカイン
、メピバカイン、クロロプロカイン、ブピバカイン、プロパラカイン、フェナカイン、コ
カイン、オキシプロカイン、プロピトカイン、アミノ安息香酸エチル、オルソカイン、オ
10
キセサゼイン、塩酸リドカイン、塩酸ジブカイン、塩酸プロカイン、塩酸テトラカイン、
塩酸メピバカイン、塩酸クロロプロカイン、塩酸ブピバカイン、塩酸プロパラカイン、塩
酸フェナカイン、塩酸コカイン、塩酸オキシプロカイン、塩酸プロピトカイン、塩酸パラ
ブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチルなどが挙げられる。
【0044】
解熱鎮痛消炎剤としては、たとえば、アセトアミノフェン、フェナセチン、メフェナム
酸、アスピリン、エテンザミド、サリチル酸コリン、サリチル酸ナトリウム、アンチピリ
ン、イソプロピルアンチピリン、フェニルブタゾン、スルピリン、ジクロフェナクナトリ
ウム、アルミノプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ロキソプ
ロフェンナトリウム、塩酸チノリジン、エピリゾール、塩酸チアラミド、インドメタシン
20
、アセメタシン、グラフェニン、ペンタゾシン、塩化アセチルコリン、メシル酸ジメトチ
アジン、ピロキシカム、サリチルアミドなどが挙げられる。
【0045】
消炎鎮痒・創傷治癒剤としては、たとえば、グリチルレチン酸、アズレン、ジメチルイ
ソプロピルアズレン、イクタモール、クロタミトン、塩化リゾチーム、トリベノシド、硫
酸アルミニウムカリウム、シコンエキス、セイヨウトチノキ種子エキス、ハマメリスエキ
ス、加工ダイサン、精製卵黄レシチン、卵黄油、アラントイン、アルミニウム・クロルヒ
ドロキシアラントイネートなどが挙げられる。
【0046】
ビタミン剤としては、たとえば、酢酸トコフェロール、トコフェロール、エルゴカルシ
30
フェノール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、塩酸ピリドキシン、塩酸ピリド
キサミン、リン酸ピリドキサミン、塩酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサール、リボフ
ラビン、酪酸リボフラビン、ビタミンA油、強肝油、肝油などが挙げられる。
【0047】
サルファ剤としては、たとえば、スルファジアジン、スルフィソミジン、スルフィソミ
ジンナトリウム、ホモスルファミンなどが挙げられる。
【0048】
殺菌剤としては、たとえば、アクリノール、アルキルポリアミノエチルグリシン、イソ
プロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩化デニカリウム、塩化ベンザル
コニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン液、セトリミド、フェノ
40
ール、レゾルシンなどが挙げられる。
【0049】
抗ヒスタミン剤としては、たとえば、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニ
ラミン、塩酸トリプロリジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、テオクル酸ジフェニルピ
ラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、パモ酸ヒドロキシジン、塩酸シプロヘプタジン、塩酸
ヒドロキシジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸プロメタジン、酒石酸アリメマジン、
ベタメタゾン、d−マレイン酸クロルフェニラミンなどが挙げられる。
【0050】
末梢血管拡張剤としては、たとえば、d−カンフル、dl−カンフル、ハッカ油、l−
メントール、dl−メントール、ユーカリ油などが挙げられる。
50
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【0051】
整腸剤としては、たとえば、整腸生菌成分、赤芽柏、阿仙薬、烏梅、ケツメイシ、ゲン
ノショウコなどが挙げられ、これらのうちでは整腸生菌成分、赤芽柏が好ましい。整腸生
菌成分としては、たとえば、多剤耐性ラクトバチルス・アシドフィルス菌生菌製剤、スト
レプトコッカス・フェカリス生菌製剤、耐性乳酸菌生菌製剤、ラクトバチルス・ビフィズ
スの乾燥生菌製剤、抗腐敗性酪酸菌芽胞製剤などが挙げられる。
【0052】
止瀉剤としては、たとえば、塩化ベルベリン、グアヤコール、クレオソート、サリチル
酸フェニル、炭酸グアヤコール、タンニン酸ベルベリン、次サリチル酸ビスマス、次硝酸
ビスマス、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、タンニン酸、タンニン酸アルブミン、
10
メチレンチモールタンニン、カオリン、天然ケイ酸アルミニウム、ヒドロキシナフトエ酸
アルミニウム、ペクチン、薬用炭、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸水素カ
リウム、黄柏、黄連、苦参、五倍子、山査子、センブリ、ヨウバイヒなどが挙げられる。
【0053】
これらの薬物は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
これらの薬剤は、痔疾治療薬の剤型によっても異なるが、痔疾治療薬100重量%中に
、通常0.001∼30重量%、好ましくは0.05∼10重量%の量で含まれているこ
とが望ましい。
【0055】
20
また前記薬物以外にも、必要により、吸収促進剤、pH調整剤、保存剤、分散剤、湿潤
剤、安定化剤、防腐剤、増粘剤、前述以外の界面活性剤などの添加剤を適宜配合してもよ
い。
【0056】
本発明の痔疾治療薬の剤型としては、坐剤、注入軟膏剤、軟膏剤、エアゾール剤、液剤
、懸濁剤、乳剤、貼付剤、パップ剤、リニメント剤、含浸シート剤およびローション剤な
どがあるが、患部に一定量を的確に投与できる点からは坐剤、注入軟膏剤、軟膏剤などの
剤型が好ましい。このような剤型の痔疾治療薬の製剤化は、公知の製剤技術により行うこ
とができる。
【0057】
30
本発明の痔疾治療薬が、坐剤である場合には、トラネキサム酸類より選ばれる1種また
は2種以上の混合物、好ましくはトラネキサム酸を、該坐剤1本中に、通常20∼250
mg、好ましくは25∼200mg、より好ましくは35∼175mgの量で含んでいる
ことが望ましい。なお、ここで、坐剤1本とは、通常、坐剤1本として用いられる成分の
全重量を意味し、通常およそ2g、たとえば1.5∼2.4gの範囲である。
【0058】
また、本発明の痔疾治療薬が、注入軟膏剤である場合には、トラネキサム酸類より選ば
れる1種または2種以上の混合物、好ましくはトラネキサム酸を、該注入軟膏剤1本中に
、通常20∼250mg、好ましくは25∼200mg、より好ましくは35∼175m
gの量で含んでいることが好ましい。なお、ここで、注入軟膏剤1本とは、通常、注入軟
40
膏剤1本として用いられる成分の全重量を意味し、通常およそ2g、たとえば1.5∼2
.4gの範囲である。
【0059】
本発明の痔疾治療薬において、トラネキサム酸類の含有量が、坐剤および注入軟膏1本
中、上記下限値未満であると、所望の痔疾改善効果を発揮することが困難になる場合があ
る。また、トラネキサム酸類の含有量が、坐剤および注入軟膏1本中、上記上限値を超え
ても、もはや含有量の増大に見合った効果の増強がみられず、また血栓形成促進あるいは
血栓安定化などの全身性作用が生じる恐れが増す場合がある。
【0060】
また、本発明の痔疾治療薬が、注入軟膏剤以外の軟膏剤である場合には、トラネキサム
50
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酸類より選ばれる1種または2種以上の混合物、好ましくはトラネキサム酸を、該軟膏剤
の1回塗布量(0.5g)中に、通常5∼100mg、好ましくは6∼75mg、より好
ましくは10∼50mgの量で含んでいることが好ましい。
【0061】
本発明の痔疾治療薬において、トラネキサム酸類の含有量が、注入軟膏以外の軟膏剤の
1回塗布量(0.5g)中、上記下限値未満であると、所望の痔疾改善効果を発揮するこ
とが困難になる場合がある。また、トラネキサム酸類の含有量が、注入軟膏以外の軟膏剤
の1回塗布量(0.5g)中、上記上限値を超えても、もはや含有量の増大に見合った効
果の増強がみられず、また血栓形成促進あるいは血栓安定化などの全身性作用が生じる恐
れが増す場合がある。
10
【0062】
本発明の痔疾治療薬の有効成分であるトラネキサム酸類の患者への投与量は、患者の年
齢、性別、症状、投与回数などにより異なるが、通常痔疾の場合、上記各剤型の製剤を患
部に1日1∼3回程度投与する。投与部位としては、直腸粘膜、肛門周辺の損傷部位、肛
門周辺の術後創などが挙げられる。
【0063】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例
に限定されるものではない。
【実施例1】
【0064】
20
坐剤の製造1
下記処方1に従い、ハードファットを50℃で溶融後、これにトラネキサム酸を加えて
分散した後、坐剤の金型に入れ、冷却して坐剤を製造した。
【0065】
<処方1(坐剤1個を製造するに要する成分と重量)>
トラネキサム酸
175 mg
ハードファット
1715 mg
全量 1750 mg
【実施例2】
【0066】
30
坐剤の製造2
下記処方2に従い、ハードファットを60℃で溶融後、これにリドカインと酢酸トコフ
ェロールを溶解し、さらにトラネキサム酸を加えて分散した後、坐剤の金型に入れ、冷却
して坐剤を製造した。
【0067】
<処方2(坐剤1個を製造するに要する成分と重量)>
ト ラ ネ キ サ ム 酸 8 7 .5 m g
リドカイン 60 mg
酢酸トコフェロール 60 mg
ハ ー ド フ ァ ッ ト 1 5 4 2 .5 m g
40
全量 1750 mg
【実施例3】
【0068】
坐剤の製造3
下記処方3に従い、ハードファットを60℃で溶融後、これにリドカインを溶解し、こ
れに酢酸プレドニゾロンとトラネキサム酸を加えて分散した後、坐剤の金型に入れ、冷却
して坐剤を製造した。
【0069】
<処方(坐剤1個を製造するに要する成分と重量)>
トラネキサム酸 70 mg
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リドカイン 60 mg
酢酸プレドニゾロン 1 mg
ハードファット 1619 mg
全量 1750 mg
【実施例4】
【0070】
坐剤の製造4
下記処方5に従い、あらかじめ60℃で溶融したハードファットにリドカイン、酢酸ト
コフェロールを溶解し、これに酢酸プレドニゾロンを溶かして加え、さらにトラネキサム
酸と塩酸クロルヘキシジンとポリエチレンを加えて均一に混ぜ合わせた後、油浴上で13
10
0℃に加熱してポリエチレンを溶融後、アルミニウム製の型に流し込み、室温(25℃)
に冷却して坐剤を製造した。
【0071】
<処方4(坐剤1個を製造するに要する成分と重量)>
トラネキサム酸 140 mg
リドカイン 60 mg
酢酸プレドニゾロン 1 mg
クロタミトン 100 mg
酢酸トコフェロール 60 mg
塩酸クロルヘキシジン 10 mg
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ポ リ エ チ レ ン (平 均 分 子 量 5,000) 8 7 .5 m g
ハードファット 1291.5mg
全量 1750 mg
【実施例5】
【0072】
軟膏剤の製造1
下記処方5に従い、中鎖脂肪酸トリグリセリドを60℃に加熱し、これに60℃に加温
した白色ワセリンを加えて混ぜ合わせ、さらにトラネキサム酸を分散して軟膏剤を製造し
た。
【0073】
30
<処方5(軟膏剤)>
トラネキサム酸
2g
中鎖脂肪酸トリグリセリド
10g
白色ワセリン
88g
全量 100g
【実施例6】
【0074】
軟膏剤の製造2
下記処方6に従い、中鎖脂肪酸トリグリセリドを60℃に加熱してリドカインとトリベ
ノシドを加えて溶解し、これに60℃に加温した白色ワセリンを加えて混ぜ合わせ、さら
40
にトラネキサム酸を分散して軟膏剤を製造した。
【0075】
<処方6(軟膏剤)>
トラネキサム酸
10g
トリベノシド
10g
リドカイン
3g
中鎖脂肪酸トリグリセリド 25g
白色ワセリン 52g
全量 [比 較 例 1 ]
軟膏剤の製造
100g
50
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下記処方C1に従い、中鎖脂肪酸トリグリセリドと白色ワセリンを60℃で混ぜ合わせ
軟膏剤を製造した。
【0076】
<処方C1(軟膏剤)>
中鎖脂肪酸トリグリセリド 10g
白色ワセリン 90g
全量 [比 較 例 2 ]
100g
坐剤の製造
下記処方C2に従い、ハードファットを60℃で溶融後、これに酢酸プレドニゾロンを
加えて分散し、坐剤の型に入れて冷却し、坐剤を製造した。
10
【0077】
<処方C2(坐剤1個を製造するに要する成分と重量)>
酢酸プレドニゾロン 1mg
ハードファット
1749mg
全量 1750mg
[試 験 例 1 ]
クロトン油による痔疾モデル試験
24時間絶食させた雄性ラットの直腸内に起炎剤(蒸留水:ピリジン:エーテル:6%
クロトン油エーテル溶液=1:4:5:10(重量比))を浸した綿棒を挿入して起炎さ
せた後、直ちに実施例1で得た坐剤を試料として150mg投与して、肛門部を縫合糸で
縫合して閉鎖した。
20
【0078】
起炎24時間後にラットを脱血し、直腸肛門部15mmを摘出し湿重量を測定し、次式
( a ) に 従 っ て 浮 腫 の 程 度 の 指 標 で あ る 直 腸 肛 門 係 数 ( Recto-anus-coefficient, R A C
)を算出した。
【0079】
さらに、RACより浮腫抑制率を次式(b)に従って算出し、痔疾治癒効果の指標とし
た。なお、無処置群は起炎および試料の投与は行わず、対照群は起炎を行ったが、試料の
投与を行わなかった。
【0080】
これらの結果を表1に示す。
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【0081】
【数1】
【0082】
40
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【表1】
【0083】
表1より、実施例1の坐剤は、薬効の面において痔疾治癒効果を有していることが確認
された。
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(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
A61K 31/355
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A61K 31/57
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A61K 31/7028
A61K 31/7028 A61K 47/46
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A61P
3/02
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109 A61P
5/44
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9/14
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A61P 17/00
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101 A61P 17/04
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A61P 23/02
A61P 23/02
(72)発明者 鮫 島 輝 行
京都府福知山市笹尾町995番地 天藤製薬株式会社内
Fターム(参考) 4C076 AA01 AA08 BB29 CC16 DD34A DD46A FF01
4C086 AA01 AA02 BA09 DA10 EA07 MA03 MA05 MA07 MA10 ZA21
ZC08 ZC29
4C206 AA01 AA02 FA44 GA01 GA31 HA31 MA02 MA03 MA05 MA13
MA21 MA28 NA06 NA14 ZA21 ZA66 ZA90
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