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H18病害虫対策資料第7号
佐 農 技 防 第 329 号 平成 18 年 6 月 12 日 各関係機関長 様 佐賀県農業技術防除センター所長 病害虫対策資料について このことについて、次のとおり第7号を作成しましたので送付します。 病害虫対策資料第7号 ヒメトビウンカが媒介するイネ縞葉枯病に注意!! 本県の水稲では、平成 15 年頃からイネ縞葉枯病の発生が増加しており、普通期水稲を中心に 県内各地で被害が確認されています。 また、本年はヒメトビウンカ(第1世代幼虫)の縞葉枯病ウイルス保毒虫率が平年より高くな っています。さらに、ヒメトビウンカ(第1世代成虫)の発生量は、平年よりやや多くなってい ます。 このため、今後、イネ縞葉枯病が多発生する恐れがありますので、下記事項を参考に、移植前 に育苗箱施用剤を使用するなど防除対策を徹底してください。 記 1.ヒメトビウンカの縞葉枯病ウイルス保毒虫率 平成 18 年5月 29 日∼6月1日に、県下 14 ヶ所のコムギ圃場から採集したヒメトビウンカ第 1世代幼虫の保毒虫率は、3.1%(平年 0.9%、前年 3.3%)と平年より高く前年並であった(第 1、2表)。<+> 第1表 ヒメトビウンカ第1世代の保毒虫率 調査地点 検定虫数 保毒虫率 みやき町 100 頭 0% 吉野ヶ里町 100 2 神埼市1 100 8 神埼市2 100 3 佐賀市大和町 100 2 川副町 100 4 多久市 100 2 伊万里市 100 2 武雄市 100 1 白石町1 100 2 白石町2 100 5 鹿島市 100 2 嬉野市1 100 4 嬉野市2 94 3.2 注)保毒虫率は、ラテックス凝集反応法で 検定した。 平均 1,394 3.1 第2表 ヒメトビウンカのイネ縞葉枯ウイルス保毒虫率の推移 平成 年次 平成 18 年 17 年 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 16 年 15 年 14 年 13 年 12 年 11 年 10 年 9年 8年 7年 6年 5年 保毒虫率 % % % % % % % % % % % % % % (県平均) 3.1 3.3 0.4 0.5 0.4 1.0 1.8 0.9 0.3 0.3 0.4 0.5 0.2 0.6 注)5∼6月にヒメトビウンカをコムギ圃場から採集して検定した。 2.本年のヒメトビウンカの発生状況 (1) ヒメトビウンカ第1世代幼虫の小麦における生息密度はすくい取り調査で 41.7 頭(平年 48.4 頭、 前年 5.7 頭)と平年並で前年より多かった(第3表) 。<±> (2)農業試験研究センター(川副町)のネットトラップでの5月1日∼6月9日のヒメトビウンカの捕 獲数は 294 頭(平年 169.6 頭、前年 148 頭)と平年及び前年よりやや多かった(第1図)。<±> 第3表 小麦(黄熟期∼成熟期)でのヒメトビウンカの発生状況 すくい取り虫数(20 回振り) 採集場所 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 18 年 17 年 16 年 15 年 14 年 13 年 12 年 11 年 10 年 9年 頭 頭 241.5 6.5 152.5 142.5 481.5 40.0 16.0 114.0 − − 佐賀市大和町 8.0 12.0 27.5 8.0 43.5 19.0 6.5 382.5 14.0 21.5 みやき町市原 1.5 6.5 56.0 0.5 20.5 31.5 3.5 59.5 2.0 18.0 みやき町直代 − 8.0 7.5 0.5 39.0 20.5 15.5 175.0 7.5 68.5 吉野ヶ里町 22.5 − − − 神埼市神埼町 30.0 神埼市千代田町 11.0 多久市西多久町 37.5 − 伊万里市桃川 3.0 0 武雄市橘 7.0 白石町須古 鹿島市常広 川副町南里 − 頭 頭 頭 頭 頭 − − 3.0 13.0 25.0 126.5 49.5 4.5 5.5 8.5 7.5 160.5 66.0 13.0 − − − − − 頭 − 頭 頭 − − 109.5 28.5 44.5 139.5 6.0 22.0 − − − 4.0 5.0 51.5 45.5 0.5 27.0 20.5 6.0 1.5 167.5 7.0 92.0 306.0 2.0 184.0 6.5 13.0 37.0 10.5 4.5 6.0 20.0 30.5 3.0 221.0 13.0 6.5 1.0 8.0 38.0 15.5 44.5 111.5 5.5 52.0 5.5 224.0 嬉野市塩田町 111.5 5.0 66.5 23.5 40.0 65.0 12.5 102.5 27.5 47.5 嬉野市嬉野町 30.5 1.5 33.0 − − − − − − 4.5 平 均 41.7 5.7 71.4 7.5 142.4 14.1 43.3 48.2 21.9 101.8 注)平成 18 年は、5月 18∼22 日に各地点2圃場を調査した。 <参考>昨年(平成 17 年)の縞葉枯病の発生状況 平成 17 年は、普通期水稲を中心に縞葉枯病が県下各地で確認され、9月下旬の巡回調査では、 平均発病株率 4.2%(平年 0.6%、前年(平成 16 年)1.1%)と平年及び前年(平成 16 年)より 高かった。特に、モチ品種で発生が多かった。<+> ︵ 年 800 度 別 600 捕 獲 数 400 ︶ 頭 200 0 S57 S61 H2 H6 H10 H14 年 第1図 ネッ トトラッ プにおけるヒメトビウンカの年度別捕獲数 (川副町: 農業試験研究センター調査、 調査期間5 月1 日∼6 月9 日) H18 3.防除対策 (1) 本病はヒメトビウンカが媒介するので、ウンカ類を対象とした育苗箱施用剤を使用する。 (2) ヒメトビウンカの寄生数が多い圃場では、縞葉枯病の感染防止のため、トレボン剤、MR ジョ ーカー剤などの即効的な効果のある薬剤を使用する。 (3)窒素質肥料の多用、偏用を避け、適正な肥培管理に努める。 (4)発病株は抜き取る。