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「文学は日本語・日本文化教育にどのように役に立つか。」

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「文学は日本語・日本文化教育にどのように役に立つか。」
南山大学外国人留学生別科創立 40 周年記念事業
日本語・日本語教育研究大会
(主催:南山大学外国人留学生別科 協力:南山大学人文学部日本文化学科)
基調講演
「文学は日本語・日本文化教育にどのように役に立つか。」
牧野
成一
プリンストン大学
日時:2015 年 6 月 14 日(日)13:20-14:50
会場:南山大学名古屋キャンパス R 棟フラッテンホール
<要約>
日本語・日本文化学習にどうして文学を使うのか。文学を読むことが日本語・日本文
化学習にどのように役に立つのか。文学を読む能力をどうやって測るのか。こうした問
題を多角的に参加者といっしょに考えたいと思う。
文学と言っても幅広い領域であるが、私が今まで日本語教育で使ってきたものは主と
して、俳句、短歌、詩のような韻文、小説(短編)、アニメ絵本などである。では、ど
うして文学なのか。文学には無論思想性があるが、なんといっても文学は読んでその創
造性と想像性を楽しめる。最近は外国語教育の中で「批判的思考」に主力が置かれて、
すばらしい教育法が出ているが、私は「批判的思考」と相補的な関係にある「創造的・
想像的思考」を育てることも外国語教育では必須だと考える。さらに、文学は言語文化
(=言語)だけではなく非言語文化(=文化)の学習にも豊かな材料を提供してくれる。
実際に文学を読むにも、速読、精読、多読などさまざまな方法があるが、言語の部分を
どう教えるのか。精読で行う文体教育はどうすべきなのか。読むことだけでなく学習者
にも文学を創らせるべきか。日本語教育ではどのレベルで文学を教え始めるべきか。文
学を読む能力基準をどうたてるべきか。(→アメリカ外国語協会 (American Council
on the Teaching of Foreign Languages )の読みのプロフィシェンシーの基準))日本
語作家を生むような指導はできないのか。さらに、日本の文学の翻訳をさせるべきか。
させるなら、どのような方法がよいのか。等々の問題について話し合いたい。最後に村
上春樹の短編『螢』([注意] この作品を参加者は学会の日までに読んでおいていただき
たい。)を実例に使って、参加者のみなさんに活発に参加していただき、具体的に日本
語と日本文化を教える方法を模索したい。
<講師紹介>
牧野 成一(まきの せいいち)プリンストン大学東洋学科日本語及び言語学名誉
教授。英文学と言語学の学士号と修士号を、それぞれ、早稲田大学と東京大学で取
得。イリノイ大学から言語学の博士号を1968年に取得。コロンビア大学夏期日本語
教育修士号の教育を1996年から続けている。
(主著)Some Aspects of Japanese Nominalizations, Tokai University Press, 1968、『ことばと空
間』東海大学出版、1978、『くりかえしの文法』大修館、1980、 『ウチとソトの言語文化
学』アルク、1996、Aspects of Linguistics (with S.Kuno and S. Strauss), Kurosio, 2007、『OPI
入門』( 鎌田修ほかと共著)、アルク、2001、 A Dictionary of {Basic/Intermediate/Advanced}
Japanese Grammar.(3 volumes) (筒井通雄氏と共著), Japan Times, 1986/1995/2008、『日本語
教育と日本研究の連携』(C. Thomsonと共編) ココ出版、2010、目下『日英語共通比喩辞典』
(仮題、くろしお出版)校正中、『翻訳で何が失われるか』(中公新書のため執筆中)など。
その他、言語学、日本語教育関係の論文多数。
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