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全米選手権総合8位、ライト級5位入賞。 - Arabian Horse Ranch

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全米選手権総合8位、ライト級5位入賞。 - Arabian Horse Ranch
全米選手権総合8位、ライト級5位入賞。
今年の蓮見清一のアメリカでの100マイル・エンデュランスの挑戦は3回挑戦、3回完走
という結果で、大変満足な成果を上げている。
第1回目がGit-R-Doneの5位で、AERCとFEIのBC賞ダブル受賞であった。
2回目がTEVIS CUPの5回連続完走だ。10回の連続完走を目指している清一にとっては、
まだ、折り返し地点に立ったところだ。
そして、まさかの全米選手権への出場のチャンスがやってきた。
3回目が全米選手権総合8位、ライト級5位入賞。
という結果だ。
蓮見の北米での100マイルライドの挑戦回数は今年の8月で10回になる。最初に挑戦した
ワッショ・バレーの100マイルだけが完走できなかった。50マイルを1回だけ完走して、
100マイルに挑戦という無茶な計画だったから、致し方ない。
5年間で10回挑戦、9回完走という実績を誇っている。
カメオに声をかける清一
第2レグで休憩中の清一・カメオ
表彰式の清一 全米から集まってきた強豪の中で、なんと8位でした。体重別のライト級で(このクラスは女性が多く、
アン・ホール、フェザー・レイノルズなどの全米チームの候補者たちがいます。優勝者のジョン・クレ
ンドルもいます) 5位という大きな成果を上げることができました。
FEI、AERC登録の38組のエントリーの中、実際に出走したのが31組、19組完走という結果です。
8位の清一・カメオ組の走行時間は12時間48分54秒、前半の55マイルが山岳コースにもかかわ
らず、無事資格を獲得しました。
蓮見にとっては、今年2回目のCOC獲得です。この完走は特別にうれしいものです。
さすが、全米選手権だけのことがあります。多くのスポンサーがついて、セミナー講習会も数多く開
かれ、通常のアメリカのCEIの大会とは雰囲気を異にしています。
この選手権の参加資格は下記の通りとなります。
1. 同一人馬でのAERCの完走記録が1000マイル以上、
あるいは、
2. 同一人馬でのAERCの完走記録が300マイル以上で、さらに2006年2月23日から2007年
8月8日までの自身の体重クラスで5位以内の成績を収めていること。
幸いにして、清一はカメオでも、シネルでも2番目の資格を有しています。
飛行機から撮影したテーブルマウンテン
飛行機から撮影したアイダホの丸い畑
アイダホの南西部に位置しているハイ・デザート地区のオリアナは、アイダホの州都であるボイジー
から車で2時間(時速120マイルで)の場所に位置しており、見渡す限りテーブル・マウンテン(正式
にはPlateau『プラトー』という。頂上が平たいのでテーブルのよう)と潅木、大規模な散水装置の
おかげで青く生い茂っている青草の中に放牧されている牛しかいません。アイダホポテトで有名な
ジャガイモ畑はと探してみても、あまり見当たりません。
この地区は、本当に辺鄙なところで、人家もなく、午前3時ごろにRV車を出て、戸外に出てみると、
空一面の星に驚きの声を上げてしまいます。星座のことをまるで知らない私が、プラネタリウムに
入り込んでしまった気分です。目の前に銀河が横たわっています。ひときわ大きな星が北極星だと
ハル・ホールに教えられ、北極星の見つけ方のレクチャーを受ける羽目になってしまいました。
清一に言わせると、最終レグを走っているとき、星空はお椀型に見え、モンゴルで星空を見たときの
感動を思い出したようです。地球が丸いということが実感できる夜空で、馬に乗っての星座見物は
こたえられないものがあるようです。
トイ・マウンテン風景
摂氏42度の高温で、5月以来雨が降っていないという気象条件ですが、湿度は大体20%以下で
快適ですが、暑さがたまりません。温度計が42度Cをさしていますが、実際の炎天下の砂漠の中
では、もっと高温なのだと思います。
5時半のスタート時には、快適な気候で気温摂氏20度です。最初の55マイルがトイ・マウンテンの
山中に行き1ループで3レグの構成となります。
ベース・キャンプの高度が3000フィートなのですが、一気に6500フィートまで上ってゆき、岩が多い
ところで、足元は決してよくなく、今までのアイダホの大会にはなかったコースです。全米選手権のた
めに作られたコースです。途中、アップダウンがかなりあり、二日前に行われた全米55マイル選手権
では、多くの人馬が、このレグの区間で失権になったと聞きました。ここは慎重に行こうという判断が
蓮見にはありました。強豪とともに思い切って走りたいという清一は、前に馬がいたら何が何でも抜き
たいカメオを慎重に走らせる工夫をいろいろと考えたようです。
歩様検査中の清一・カメオ組
スタート前の歩様検査
第1レグを走行中の清一・カメオ組
心配は第2レグの獣医検査のときに始まりました。心拍の落ちも早く、ゴールしてから、5分ほどで
イン・タイムとなり、歩様検査の後のことです。検査前の心拍が64、歩様検査後の心拍が68と記載
されたべトカードを受け取った清一は、一転して慎重になりました。(話は飛びますが、アメリカの大会
のいいことは、毎回獣医検査の後、ベトカードをライダーに戻してくれることです。ですから、ベトカード
の結果をライダー・クルーともに見て、じっくりとケアーの方針を立てることができます。TEVIS CUPで
も同じことです。日本でも、このような方式が取れればいいと考えます。今後、照月湖の定例会と大会
は、ベトカードを毎回ライダーに戻し、最終検査のときに回収する方式を取りたいと思います。)
第4レグ以降は、平坦な砂漠コースですので、清一は一気にカメオを走らせる考えでしたが、この心拍
の結果で清一は方針を変えました。第3レグは、獣医検査に連れてゆく直前、カメオは周りの馬を見て
興奮、心拍が上がってしまいました。せっかく、ボーガスのことを忘れていたのに、検査場でボーガスの
姿を見たから落ち着きがなくなりました。このため、ハルはカメオの目にハンカチをかぶせて見えなくし
ました。何も見えなくなることで落ち着きを取り戻し、何とか獣医検査を通過しました。
第3レグに出発する清一・カメオ
第3レグまでは、到着してからも心拍の落ちが悪く、カメオがなかなか落ち着きません。この原因は
いくつか考えられますが、それぞれの判断が異なり、ケアーの仕方などに食い違いが出てきました。
まずは、ホール家の考え方ですが、1)仲間のボーガスと一緒ではないから落ち着かない、したがって
心拍の落ちが悪い。――この仲間といつも一緒という考え方には清一は反対で、カメオをボーガス
から放し、距離を置く作戦を清一は第2レグから取っています。
これ以外に、考えられる原因は、2)餌を食べ続けるために、心拍の落ちが悪い。――餌を食べ続け
ることは重要なことであり、まずは心拍を落として獣医検査を通すことを優先させるか、餌を十分食べ
させ、腸音を活発にすることを優先させるか、に判断が分かれます。3)時間がたつにつれ、体内蓄熱
が始まっているのに、クーリングが中途半端。 中途半端なまま、獣医検査に連れて行ってしまう。走り
たいカメオが十分走ることができないので、欲求不満で心拍の落ちが悪い。5)カメオの暴走を抑える
ために、かなりきついはみを使用しているので、これがカメオにとってストレスになっている。
2,3番は清一の考えです。4、5が私の考えで、これだけ考え方に相違があれば、クルーイングの
指示もまちまちになってしまいます。これ以降は、清一の方針通り、清一のペースを守って単独で走り、
清一のクーリングの考え方に沿う、という方針を採りました。砂漠の平坦なコースになる第4レグ以降
は、4,5,6と各レグにすべてリプレゼンテーションがあります。カメオとともに、ドバイでは、リプレゼ
ンテーションで痛い目に合っています。高温と昇りのトレイルの厳しさが、馬体にじわじわと影響を与
え、そのダメージがそろそろ出てくるころです。熱が体内に蓄積され、放熱されない、体温が下がりき
らないなどの問題が馬に出てくるので、後半3回のリプレゼンテーションが用意されているのでしょう。
第3レグに到着した清一・カメオ
清一は、クルーに対し、馬の放熱を徹底的に行い、心拍数のフォローを指示しました。この方針の徹底
が効を奏し、 その後の歩様検査後の心拍の落ちはよくなっていきました。4レグで平地走行になりま
したが、平地では清一はカメオの好きな駆け足もさせて、進んでゆきました。でもこの砂漠地帯が問題
なのです。あちこちに兎が掘った深い穴があり、気をつけて誘導していかないと、この穴に馬が脚を
突っ込んでしまいます。砂漠だからと安心するのではなく、しっかりと前方を見て、穴の有無を確かめ、
穴を避けるように馬を誘導しながら、駆け足をしていくことが重要です。この場所で、昨年、ハル・ボー
ガス組は穴に脚を突っ込み、プルすることになったのです。この地点は車にとっても恐ろしい場所です。
4レグのウオーターポイントで清一・カメオ組と合流した我々クルーはこの人馬を見送って、ふと車に
視線を戻すとパンクしていました。摂氏42度の炎天下、タイヤの交換です。昨年のTevis Cup初日
にハイウエイでタイヤがバーストし、タイヤ交換した経験を持つゲーリーは手馴れたものです。砂埃に
まみれて真っ白になり、トランクの中からスペアタイヤを取り出します(まず、この作業が一騒動です)。
矢口も手馴れたもので、パンクしたタイヤをはずします。私は、何もすることがなく、ただ見つめていま
す。約30分で交換終了、ゲーリーに言わせるとハイウエイでの交換に比べたら、楽だったということ
です。
車がパンクしたウォーターポイント風景
さて、交換も終わり、急いで第4レグのクルーポイントSierra del Rio Ranchに向かいます。ここは
人造湖があり、青草が生い茂り、荒漠とした今までのクルーポイントに比べるとほっとする牧場です。
3年前に来たときの記憶が甦ります。アン・ボーガス組は、すでに獣医検査も終え、休憩に入ってい
ます。清一・カメオ組は単独走行で、ゴールライン地点手前で下馬し、ゆっくりとゲートに入ってきま
す。クルーエリアの右手には放牧場があり、青草が生い茂り、カメオが落ち着きません。清一の指示で、
青草を食べさせず、ゆっくりと引き馬をして、水をかけ、放熱をして心拍を落とすという手順を根気よく
踏みました。ここでも、ハルは青草を食べさせろとの指示を出し、指示の混乱がありました。リプレゼン
テーションを順調に通過し、はみを緩やかなハミに交換して、第5レグの29kmに向かって出発しまし
た。夕方になり、冷えてきました。この地帯は寒暖の差が激しく、クール・ダウンのために水をかけると、
筋肉の硬直の心配があります。幸い、十分クール・ダウンして入ってくれたので、水をかける必要は
ありませんでした。第5レグの獣医検査では、獣医さんからBC賞の最有力候補だと言われました。
この時点での清一・カメオ組の順位は13位でしたから、BC賞の対象となるためには10位以内に
入っていなければいけません。これは無理をしないで、他の人馬が順次脱落していくのを待ったほうが
良いだろうと、清一は慎重に行く考えでした。
砂塵にまみれた車の窓ガラス越しの
清一・カメオ
最終レグ残り10.8kmへの出発です。黄色ループです。ここでは黄色ループには黄色のグロース
ティックがかかり、大変分かりやすかったそうです。ベースキャンプの周りを回る簡単そうなコース
ですが、いざ出発してみると、とてもそんなことではなかったようです。山の周りを周回するようで、
スタートしてすぐに山に入り、トレイルが狭く、急な昇り・下りの繰り返しで、コース自体がうねって
いてかなり難しいコースだったようです。これが終わるとブッシュに覆われた平地に入り、この山全
体が牧場のようでした。なぜなら、暗い中、右手で真っ黒な牛3頭に遭遇したカメオは驚きあわて
ふためき、左手に暴走してゆきます。でも、左手にも牛2頭が待ち構えていました。ということで、
牧場ですから、牛に遭遇するのはいたし方ありません。何とか、この平地を渡りきり、ゴール手前
3kmから急な下りとなって水のないクリークに出ます。ここは川原で石がごろごろあり、足元が
非常に悪い場所でした。川原を渡りきると、遠方にかすかにベースキャンプの明かりが見え、
ゴールが近いことが分かります。ゴールが近づくとカメオが、俄然元気に走り出します。フラットな
一本道を行くとゴールにたどり着き、最終の検査です。クール・ダウンもすぐに終わり、FEIの検査
は、心拍の検査はゴール後15分以内に受けないといけません。これも、すぐにOK。他の検査を
そのまま受けるか規定時間内まで、休憩させるか迷いましたが、獣医さんのすぐに受けさせたほ
うがよいとの忠告で、そのまま獣医検査に入りました。案の定、獣医検査の結果は、順調なもの
でした。
カメオの立派なお尻
今回の大会はAERCの体重別の選手権が重要ですから、結果は翌日の表彰式まで分かりません。
体重別参加者は、フェザー級(9組)、ライト級(13組――この中に、清一・カメオ組はいる)、ミドル級
(3組)、ヘビー級(6組)です。
表彰式会場に行った我々は、清一・カメオ組が8位であり、ライト級の中では5位の成績であったことを
知りました。本当に嬉しい結果です。BC賞は総合2位のフェザー級のシェリル・デルとリーズン・トー・ビ
リーヴという名前の馬のコンビです。
アメリカの愛らしい柴犬
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