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第 2 回「作業療法士」
鳥取生協病院広報誌 【特集】 4 4 鳥取生協病院のリハ職 第 2 回「作業療法士」 【特集】 4 1.身体障害の作業療法 病気や事故のため身体に障害を負った方々に対し、今後生活し ていくための問題を的確に評価し、いろいろな作業活動を用い て治療を行います。 また障害があっても残された機能を最大限 活用し、身辺動作や家事動作、仕事への復帰をめざした訓練を 行います。 更に、在宅の障害者やその家族の方々が生活しやす いように指導、援助を行います。 2.発達障害の作業療法 発達時期に障害を受けた子供たちに対して、遊びを中心とした いろいろな作業活動を利用して、個々の子供の発達課題(運動機 能、日常生活技能、学習基礎能力、心理社会的発達など)や現在、 将来にわたる生活を考慮した治療を行います。 また、たとえ障 害があっても家庭や学校、社会で生き生きと生活できるように 指導、援助を行います。 4 鳥取生協病院のリハ職 第 2 回「作業療法士」 3.精神障害の作業療法 精神疾患により生活に障害をもった方々に対し、個別あるいは 他の人たちとの関わりや、具体的・現実的な作業活動(遊び、創 作的なものから日常生活に関連するものまで)を利用し、精神 機能の向上、 対人関係能力の改善、作業能力の改善などをはかり、 その人にとってのより良い生活が送れるように指導、援助を行 います。 4.老年期障害の作業療法 さまざまな疾患や諸機能の低下をもつお年寄りに対して、いろ いろな作業活動を用いて治療、訓練を行います。 また、老化な どによって生じる生きがいや役割の喪失、引きこもりなどの心 理的・社会的な問題に対しても、個々のお年寄りのおかれた環 境の中で、より主体的な生活ができるように指導、援助を行いま す。 当院の作業療法士は病院内、デイケア、訪問リハビリのスタッ フと協力し、主に1.身体障害の作業療法、4.老年期障害の 作業療法を対象として日々働いています。 当院の作業療法士は現在24名、病院内の職員が22名、訪問 リハビリ専従職員が1名、デイケア専従職員が1名います。病 院内の職員でも病院内でのリハビリの傍らデイケアへ支援も行 なっており、病気を患ったばかりの患者から在宅に返った後の 患者のリハビリまで幅広く展開しています。 作業療法とは ? 21 WINTER 2016 子どもからお年寄りまで 作業療法は、子供からお年寄りまで、生活に障害を持つ全ての 人に関わる医療をはじめ、保健、福祉、教育・職業領域と幅広 い分野で展開されています。 身体や精神に障害のある人、また はそれが予測される人に対して、その主体的な生活の獲得を目 指します。作業療法の対象とする領域は大きく 4 つに分類する ことができます。 作業療法士とは? その人らしい生活が送れるように 作業療法士とは? 身体または精神に障害のあるもの、またはそれが予測されるも のに対してその主体的な活動の獲得をはかるため、諸機能の回 復・維持および開発を促す作業活動を用いて行う治療・指導・ 援助を行うこと。( 社 ) 日本作業療法士協会・定義 病気が回復したとしても後遺症の影響などで「また同じような 生活が送れるだろうか」「大好きだった趣味はまた出来るだろう か」など多くの不安を抱えている人はたくさんおられます。作 業療法士はそのよう方々に対し、その人らしい生活を送っても らうため、つまりは患者さんの【主体的】な活動の獲得をはか るために諸機能の回復・維持および開発を促す作業活動を用い て治療・指導・援助を行っています。 ドクターコラム Doctor's column リハビリ科外来と生活期リハビリ 当科の外来で最近増えているのが、生活期リハビリの方。脳 血管・脊髄疾患などで、受傷から一定期間が経過した、片麻痺・ 四肢麻痺などのある方です。 例えば脳卒中片麻痺の方は、発症数か月~数年して痙縮が増 強したり、四肢体幹の筋緊張バランスが崩れ、二次的な運動障 害・変形・疼痛が生じる例もあります。痙縮・変形に対して内服・ 処置(フェノールブロック・ボトックス)・装具療法など、疼痛 に対しては内服・関節内注射・神経ブロックなど適宜行います。 多くの方は通所リハビリ(通所介護個別訓練加算も含む)など を利用されており、診察だけではなく運動学的な(時には心理 的な)諸問題に対して、理学・作業療 法士と情報交換をし、必要なアプロー チを行います。 生活期患者への可能なアプローチ実 施は、リハビリ科外来の大きな役割の 一つ。できることに限りがあっても、 「目 の前の患者をよくする」ことは大切な 目標にかわりありません。 岩田 勘司 Kanji Iwata リハビリテーション科 緩和ケア 無料低額診療 Palliative care Free or Low Cost Medical Service 緩和ケア病棟入院までの流れ 緩和ケア病棟に入院するためには、かかりつけの医師からの 紹介と当院の緩和ケア医の面談、病棟看護師との面接や病棟見 学が必要です。 まず、自宅療養中の方であれば普段受診しておられる医師に、 生協病院以外の病院に入院中の方であればそこの主治医に、緩 和ケア病棟転院についてご相談ください。当院との簡単な相談 の上、緩和ケア病棟への紹介が決定します。その後、それぞれ の医療機関(開業医や病院)を通して生協病院の地域連携室へ 紹介状が送られます。 紹介状が届きましたら、生協病院の地域連携室から紹介元の 医療機関へ面談日をご連絡いたしますので、患者さん(あるい はご家族)は、その日に生協病院にご来院ください。緩和ケア 外来にて担当医との面談の後、緩和ケア病棟の見学と病棟看護 師の面接を受けていただきます。 最終的には、緩和ケア病棟入院適応 の判定会議を経て入院を決定します。 入院の可否および入院日は、他病院入 院中の方には各医療機関に、自宅療養 中の方にはかかりつけ医にご連絡しま す。 このほか、緩和ケアについての説明 や病棟見学のみのご希望でも対応いた しますが、予約が必要です。あらかじ め、生協病院地域連携室にご連絡くだ 小原 美穂 Miho Ohara さい。 緩和ケア病棟師長 自宅療養中患者の 他院に 入院中患者の 主治医 主治医 地域連携室を通して紹介 緩和ケア外来にて担当医と面談 緩和ケア病棟見学・病棟看護師との面接 緩和ケア病棟入院判定会議 ◆発行・編集・デザイン 鳥取生協病院広報委員会 ◆地域連携室 直通(0857)25-8208 入院決定 無料低額診療事業は、社会福祉法第 2 条第 3 項にて経済的に 困難なご事情を抱える患者さんを対象に、当院での保険診療 にかかる窓口負担の一部または全額を免除させていただく事 業です。詳しくは医療相談室までお問い合わせください。 無料低額診療適応基準 最低生活基準額 110% > 世帯収入 = 全額免除 最低生活基準額 130% > 世帯収入 = 半額免除 低所得の事例 <難病があるのに受診中断> 40 代女性。他院で喘息治療中。 もともと消化器系の難病を患っていましたが、経済的問題 があり、わずかな収入が入ったときに喘息治療しかされず、 難病の方は症状があったにもかかわらず 8 年間も放置してい ました。受診中断を心配した知人から当制度を聞き来院、無 料低額診療の適用となりました。その後、難病の特定疾患の 申請と生活保護の申請を行い、高い検査代も気にすることな く、定期的に受診することができるようになりました。 他にも癌など持病があるにもかかわらず、経済的理由で受 診すらできない人、薬代が払えず少ない残薬を頼りに受診中 断していた方もいました。当制度を利用し、検査代や治療費 を気にすることなく受診を再開できるようになった方など状 況は様々です。