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Title オレフィンスルホン酸塩の研究( Abstract_要旨 ) Author(s) 森, 昭
Title Author(s) Citation Issue Date URL オレフィンスルホン酸塩の研究( Abstract_要旨 ) 森, 昭 Kyoto University (京都大学) 1971-07-23 http://hdl.handle.net/2433/213695 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University あ艶 ) 氏 名 薦 学 位 の 種 類 工 学 位 記 番 号 論 工 博 第 446 号 学位授与 の 日付 昭 和 4 6年 7 月 2 3日 学位授与 の要件 学 位 規 則 第 5条 第 2 項 該 当 学位論文題目 オ レフ ィンスルホ ン酸塩の研究 論 文 調 査 委員 教 授 熊 田 誠 論 内 学 博 士 (主 査) 文 教 授 吉 田善 一 容 の 要 教 授 岡 野 正 弥 旨 本論文 は, 長鎖 オ レフ ィンと無水硫酸 とを主原料 とす るオ レフ ィンスルホ ン酸塩系界面活性剤 の製造 に おける化学反応過程 を有機化学的 ならびに物理有機化学的 に追究 して得 た成果 と, これ よ り得 られ るオ レ フ ィンスルホン酸塩 の界面活性剤的性能 の評価 について調べた結果 をま とめた もので, 7章 よ りな ってい る。 第 1 章 は総論 であ り, 生分解性界面活性剤ベース としての α- オ レフ ィンスルホン酸塩 に注 目して本研 究 に着 した背景 と, 本研究 の 日的お よび意義 を明 らか にし, かつ第 2章以後 の章 に書かれ る本研究 の内容 の概要 を述べてい る。 第 2 章 は第 3 章 とともに本論文 の中核 をなす もので, ここでは実験室的規模 の連続薄膜流下型反応器 を 用 いて行 なった直鎖状 α- オ レフ ィンの無水硫酸 によるスルホン化反応 を有機化学的 ならび に反応機構論 的 に詳細 に検討 し, 特 に反応装置設計のために も必要 な初期反応 については詳 し く調 べてい る。 す なわ ち α- オ レフ ィンの無水硫酸 による連続 スルホ ン化 の初期生成物 と想定 され る 1 ,2 - サル トンお よび カル ビル スル フ ァー トを1- ドデセ ンと無水硫酸 ・ ジオキサ ン錯体 との反応 によっては じめて合成単離 し, その もの の形 で, あるいはアニ リン付加物 の形 として NMR 研究 によって構造 を確認 し, そしてそれ らの加温 な らびに加水分解 によって生ず る生成物 を調 べた後, 実際, 遊離 の無水硫酸 によるスルホン化反応 において , 2 -サル トンが生成す ることを確認 し, 反応時間の延長 とと 低温短時間 とい う条件下 では, ほぼ定量的 に1 もにこれが幾種類かのアル ケンスルホン酸 とサル トンに変化 してい くことを明 らか にしてい るO また加水 分解 によって生ず るオキシスルホン酸 の異性体分布 をしらべ, 従来生成経路 の詳かでなか った21 かキシス , 2 - サル トンに由来す るもの として合理的 な説 明を与 えてい る。 ルホ ン酸 は 1 第 3章 では, 長銀 α- オ レフ ィンの遊離無水硫酸 によるスルホン化 で生成す る主要サル トン, す なわ ち 1,3 - および 1 ,4 - サル トンについて高温加水分解反応 を詳細 に調べ, その結果, 応媒体が アル カ リ性か ら 酸性 に移 るに従 ってアル ケンスルホン酸 の割合が増加 し, 二重結合 の位置 も次第 に鎖 の中心 に移 ることを -5 09- 確認 して, この現象 を水素化物 イオン移動 による異性化 に帰 してい る。 そして このよ うな化学的挙動 の原 因 を明 らか にすべ く加水分解 の速度論的研究を行 ない, 反応 は主 として B AL 1-E l 機構 で進行す ること を確 めてい る。 しか し反応が強 アル カ リ側か, もし くは非水溶媒 中で行 なわれ る場合 には S N 2-E 2 機構 によって もお こ りうることを明 らか にしてい る。 なお, H 2180 を用 いた トレーサー実験 によって, 強 アル カ リ条件下 での加水分解 でお こる C -0切断 と S-0 切断 の割合 を調べ分解機構 を確認 している。 - オ レフ ィン以外 のオ レフ ィンとして 2 - オ レフ ィンとビニ リデ ンをえらび, それ 第 4章 では, 直鎖状 1 らのスルホ ン化 を研究 して得 た結果 について述べてい る。 す なわ ち, 2 - オ レフ ィンは1 - オ レフ ィンとほぼ 同様 な挙動 をなし, サル トンとしては 2 , 3 -, 2, 4 -お よび 2, 5 -体 を形成す るが,ト オ レフ ィンよりの 1 , 2 サル トンに比 べ安定 であ ることを明 らか にし, 一方, ビニ リデ ンのスルホン化はサル トンを形成す ること なしにアル ケンスルホ ン酸 になることを確立 し, これ らのアル ケンスル ホン酸 のい くつかの構造 を決定 し てい る。 第 5章 では, 工業生産規模 で得 られ る α- オ レフ ィン中に含 まれ る異性体 と不純物 の 定量分析法 として ガス クロマ トグラフ ィー と赤外吸収 スペ ク トル分析 との組合せ を接案 してい る。 またスルホン化 に際 して しば しば着色 の原因 となる α- オ レフ ィン中に含 まれ る不純物 を検索 して, これ らは置換基 を もつ単環式 ならびに多環式 の無極性化合物か らなることを明 らか にし, これ らの除去方法 として フ リーデル ・ クラフ ツ触媒 を用 いた処理が有望 であることを述べている。 第 6章 は, 単一 な炭素数 の a - オ レフ ィンか ら得 たスルホ ン酸塩 の界面活性剤 としての性能 を, 別 に調 製 した直鎖 アルキルベ ンゼ ンスルホン酸塩 ならびに高級 アル コール硫酸 エステル塩 のそれ と比較す ること によって, C15-C18 の α- オ レフ ィンスル ホン酸塩 が優れた界面活性能, 洗浄力, お よび起泡力を示す こ とを明 らか にしてい る。 第 7章 は第 6章 までの各章 の要約 と結論 とをまとめた ものである。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 生分解性合成洗剤 の開発 は近年 における洗剤工業 の最大 の問題 として全世界的 に真剣 な努力が払われて い る。 本論文 は, かか る目的 に合致 し, かつ工業的生産 の面か らみて もこれ までの直鎖 アルキルベ ンゼ ン 系合成洗剤 に比 して有利 な界面活性剤 のベース として著者 らが 工業化 に成功 した長銀 α- オ レフ ィンスル ホ ン酸塩 の製造 における化学反応過程 を, 有機化学的ならびに反応機構論的 に研究 して得 た結果 を中心 に ま とめた ものである。 その主 な成果 を列挙す るとつ ぎの とお りである0 1) α- オ レフ ィン(1- ドデセ ン) と無水硫酸 ・ ジオキサ ン錯体 との反応 によ り, 1, 2- サル トンおよび カ ル ビルスル フ ァー トを合成 ・ 単離す ることに成功 し, それ らの形 で, あ るいはアニ リン付加物 の形 として 構造決定 を行 な った。 そ してそれ らの加温 ならびに加水分解 で生 じる生成物 を明らか にした。 2) 連続薄膜流下型反応器 を用 い, 稀釈 した遊離 の無水硫酸 によってオ レフ ィンの直接スルホ ン化 を合 目的 に実施 し うることを確立 し, かつ この反応 において, 低温短時間の条件下 では, ほぼ定量的に1 , 2 -サ ル トンが生成す ることを確認 し, 反応時間の延長 とともにこれが幾種類かのアル ケンスルホ ン酸 と 1 ,3 -, 1 , 4 - な どのサル トンに変化す ることを明らか にした。 - 51 0- 3) 1 ,3 -お よび 1,4 - サル トン高温 における加水分解 では, 反応媒体が アル カ リ性か ら酸性 に移行す る に従 ってアル ケンスルホン酸 の割合が増加 し, 二重結合 の位置 も鎖 の中央部へ移行す ることを明 らか にし た。 4 ) サル トンの加水分解 の速度論的研究 によって, 反応 は主 として BAL トE l 機構 で進行す ることを 明 らか にした。 しか し強 アル カ リ性 の もと, もし くは非水溶媒 中での加水分解 は S N2 -E2機構 で もお こ りうることを示 し, かつ強 アル カ リ条件下 での加水分解 による C -O切断 と SJ O 切断 の割合 を H 21 80 を用 いる トレーサー実験 によって求め, 分解機構 を確認 した。 5) 2 - オ レフ ィンの遊離無水硫酸 によるスルホン化 では 2 , 3 -, 2, 4 -お よび 2, 5 - サル トンが生成す るが, ビニ リデンのスルホ ン化はサル トンを形成す ることなしにアル ケンスルホ ン酸 になることを明 らか にし, これ らのアル ケンスルホン酸 のい くつかの構造 を決定 した。 6) スルホ ン化 に際 してしば しば着色 の原因 となる α- オ レフ ィン中の不純物 を検索 し, それが主 とし て置換基 を もつ単環式 ならびに多環式無極性化合物 よ りなることを明 らか にし, その簡便 な除去法 を提案 した。 7) 界面活性能, 洗浄力, 起泡力などの点です ぐれた ものは C 15- C1 8の α- オ レフ ィンのスルホ ン酸塩 であることを明 らか にした。 以上要す るに本論文 は, 今 まで研究 され ることのほ とん どなか ったオ レフ ィンの遊離無水硫酸 によるス ルホ ン化 お よび関連 ある反応 について広範 な基礎的研究 を行 ない, 多 くの重要 な知見 を得 て, 生分解性界 面活性剤 の分野 に新 しい面 を開 き有力 な指針 を与 えた ものであ り, 学術的 に も工業的 に も寄与す るところ が少 な くない。 よって, 本論文 は工学博士 の学位論文 として価値 あるもの と認 め る。 -5 1 1 -