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衛星画像から選抜した優良園地の高品質茶をブランド化(PDF:312KB)
農業・生産・茶 衛星画像から選抜した優良園地の高品質茶をブランド化 システム概要 【佐賀大学理工学部】(佐賀県) ○ 茶葉の収穫後整枝を終えた11月から3月に、人工衛星に搭載した近赤外センサーを使って嬉野町の 園地を撮影し(ラジコンヘリでも撮影)、近赤外線の反射率から窒素含有量を調べ、定点調査園地を基 準として樹勢が良いと思われる地帯を推定(3年間の調査で衛星撮影時点(成葉)と摘採期(新芽)の窒 素含有量の相関を検証)。 ○ GIS(地理情報システム)を用いて衛星画像を地図上に表示し、樹勢診断時点で優良園地を特定。 ○ 園地に①パンチルトズームカメラを設置し、インターネットで茶葉の窒素含有量等を随時計測。②気 象モニターシステムを設置し、気温や土壌・茶葉の水分を把握。①及び②により生産者は、園地のカメ ラで詳しい状態を把握し、適期に高品質な茶葉の収穫が可能。 ○ 優良園地で収穫した茶葉は、大型製茶工場で他とは別に製茶され、さらに専用の機械で窒素含有量 等を検証した上、「衛星の恵み・うれしの茶」としてインターネットで販売。消費者はインターネットを通じ て、茶園に設置したカメラの画像をリアルタイムに見ることが可能。 導入経緯・背景 ○ 佐賀県嬉野市嬉野町は、盆地で霧が深く昼夜の温度差もあり、古くからお茶の栽培適地として知られ ている。しかし、園地は急勾配で機械化は難しく、生産者の高齢化が進むにつれお茶生産者は徐々に 減少している。そのため、付加価値(ブランド化)をつけて茶の価格を安定させることが必要だった。 ○ 佐賀大学の新井教授は、平成19年4月、佐賀県茶業試験場と協力して、JAXA(宇宙航空研究開発機 構)の公募研究へ応募し、人工衛星を用いた科学的な園地状態の把握及び、茶の品質との関係の分析 を提案。21年3月、同大学等の産官学共同研究グループは、人工衛星を利用して優良な茶園を判別す るシステムを開発した。 導入者コメント(効果・課題等) ○ 高品質なお茶の生産が可能となり、ブランド茶となることで生産者の生産意欲が向上。 ○ 生産者に対して樹勢診断の結果を基に栽培管理方法を指導することにより、高品質の茶葉の生産が 可能な優良園地が増加した。現在、ブランド茶を生産する優良園地は全体の5分の1となっているが、今 後その比率を上げることが課題。 ○ 人工衛星のデータから栽培適地を特定できることから、新たな茶園開発が可能となり、飲料メーカー 等に技術提供することが可能。 ○ 人工衛星データを活用した他分野での取組 ・ 人工衛星データによる台風被害(潮風害)状況の把握。 ・ もち米(ヒヨクモチ)の品質を上げブランド化するために、佐賀県試験研究センターにおいて、カメラを 搭載したラジコンヘリで取得したデータと化学分析結果(葉の窒素含有率と玄米のタンパク含有率を 計測)を解析し、栽培管理方法の試験を行っている。 ・ 人工衛星で河川水(栄養塩)の分布と赤潮の流れを観測し、生産者が携帯端末から閲覧できるよう にしたことで、のり養殖の栽培管理にも有効利用されている。 (調査年月日 平成26年3月18日)