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スライド - 佐賀大学理工学部都市工学科
佐賀大学理工学部 三島伸雄 伊万里駅通り 大型店等の誘致 第6回 駐車場 都市空間のデザイン (3)街路とその空間 都市デザイン 公園側に開いた店 川の活用 • 裏通りの界隈性 • 「公園」としての駅前空間整備 駅 – 集客力ある店舗の誘致 – 透明感を醸し出す裏空間 – 公園と駅に表情を向けた建物の創出 1.基本的な概念 1)定義 • 「街路」=都市(=街)内の道(=路) 「街」=「行(ミチ)」+「圭(カド)」 • 「通り」=都市において骨格をなす街路 • 「道路」=道路法上の道路(=公道) • 建築基準法上の「道路」 ☞ 接道義務(2m以上) – 幅員4m(6m)以上の道路 – 法制定以前から現有する4m未満の道は特定行政庁 に指定されたもの(みなし道路) 2)役割 • 人間的/社会的活動における 交通等の処理 3)計画・設計の方法 • 近代的アプローチ – 街路網 • 都市活動の場 – 劇場空間として<非日常> – ミセ(店、見世)として<日常> • 生活環境的アプ ローチ – 場所群として捉える こと バーリントン市(アメリカ) チャーチ・ストリート・マーケット 1 佐賀大学理工学部 三島伸雄 4)「街路空間」について → 建築物等との関係づくりが重要 a.街路に対する空間概念の変遷 <近世> • バロック都市(パリ): ブールヴァール等 [合理化] <古代> • ボンベイの遺跡:直線的な道 ⇄ 為政者の権力[奴隷制] <中世> • ヨーロッパ中世の曲がりくねった 道:「ラバ」 [封建制] シャンゼリゼ大通り <近代> • 交通網の体系化 (ル・コルビュジェ)[機能 主義] → 歩車分離:ラドバー ン・システムなど b.街路空間の機能 コルビュジェの道路計画 ◆ ろじ・・・一般には屋根な <現代> どの覆いのない地表面 • ヒューマンスケールな都市 ◆ 路次:みちすじ、 の実現: ◆ 路地:貸家などの間の比 • 例:路地の見直し 較的狭い幅の通行路 • 交通機能:通過交通、地区 内交通、公共交通、搬出 入、アクセス、駐停車 • 供給機能:電気、ガス、上 下水道 • 防災機能:防火帯、消防設 備(防火水槽、消火栓等)、 避難路 • 環境機能:採光、日照、換 気、緑 • 空間機能:賑わい、憩い → ストリートファニチュア ◆ 露地:茶室に通じる狭い 通路に設けられた庭 c.街路景観を決定する 街路空間の基本要素 • • • • • 平面線形: 直線、曲線、屈折 縦断線形: 登り坂・下り坂 プロポーション: D/H、D/L スケール: 寸法と形態 側部の形状: 建築壁面、塀、植栽 など • 街路の交差状態: 交差点、街角 d.所有・管理の形態 • 街路の私有化 →道路内の建築制限 =既存不適格 ☞ 建築基準法 – 中世ヨーロッパ:所有者の 都合による街路の私有 化(貴族) – 中世京都:「巷所化(コウ ショカ)」 – 江戸: 仮設的な見世の固 定化 ☞江戸期には統制 アーケード 中世ヨーロッパ 大路・小路の占拠(巷所化) 中世京都 2 佐賀大学理工学部 三島伸雄 平戸市大島村の道路内建築 ■ 平戸市的山大島の道路内建築 2階部分 �軒 �出窓� 1階部分 �ひさし �持ち送り� 境界標の位置� 昭和40年代に道路舗装工事。 その際にも軒切りされずに残された。 外壁面の位置� 現代日本における管理区分 ■ 道路内建築の抽出 • 公道:国道、県道、市 区町村道、里道 • 私道:街区内の住宅へ のアクセス路 ⇒ 旗竿宅地など 本町北側連続立面図 – 「位置指定道路」 →違反建築を取り締 まってもらえる 本町北側における道路内建築 ☞ 軒の突出などが早くから慣習化されていたと推測される。 すなわち、軒下を公共的空間として利用していた。 ☞ 建築基準法の緩和が必要 建築から見た交通、防災、安全、避難の確保 e.街路内の制限 工作物(看板) • 道路内の建築限界: – 建築物 – 工作物 – 植樹 ☞ 道路構造基準 • 道路占用:道路管理者、警 察からの許可(工事用仮 設工作物等) • 敷地の接道義務: 二 項道路 → 道路中心より 2m(3m)後退 • 建築物の高さ制限: 道 路斜線(用途地域で異な る) 2m(3m)以上 2m(3m)以上 建築限界 • 建築物、工作物、植栽も含 む。 • 河川の管理道路も同じ。 • 仮設物であれば設置可能。 • 例えば、プラントボックスやパ ラソルなど。ただし、交通に 支障がない範囲。 • 法面の植栽は可。 • なお、道路等の種類によって 異なる点もある。 3 佐賀大学理工学部 三島伸雄 2.街路網の構成 道路斜線 1)都市計画標準による街路網の区分 建築基準法の集団規定の一。 • 道路面および対向建築物の環 境への配慮 • 自動車専用道路:都市間交 通の処理 • 主要幹線道路 :都市内の 比較的長いトリップ • 幹線道路 :主要幹線道路 などを結ぶ • 補助幹線道路 :近隣住区と 幹線道路を結ぶ • 区画道路 :宅地への サービス道路 • 特殊道路 :歩行者、自転 車用などの道路 – 日照、採光、通風等 • 適用距離内の建築物の高さ – 道路の反対側の境界線までの 1.5または1.25を乗じて得られ る値以下 • 敷地境界線から後退 – 後退距離分(a)を緩和 3)住居系地区における街路構成 (住区街路網)の変化 2)地区街路の構成 • 都市全体に網状に配置 • 近隣住区の形成 • 地区交通:幹線街路で囲まれる近隣地区や 都心内部などにおける交通 • 多様な形態の歩行者系街路が必要 • 多様な地区特性と課題 (2)近隣住区の6原則 ①規模:小学校区 ②境界:住区は周囲を幹線 道路で区切ること。 ③オープンスペース:公園緑 地のシステムを持つこと。 ④公共施設用地:住区の中 央部か公共用地の周囲 に設けること。 ⑤店舗地区:住区に1カ所 以上、住区周辺、道路の 交差点等に設けること。 ⑥内部街路体系:住区内幹 線道路を設け、通過交通 を排除すること。 • C.A.ペリーの近隣住区 理論(1929年) – 小学校区を単位とした 近隣住区 – 幹線道路で囲む – 人口約6000 8000人 ラドバーン計画(1928年) • C.スタイン、H.ライト • スーパーブロックによる通過 交通排除 • クルドサック(袋小路)による 歩車の完全分離 幹線道路 ブキャナンレポート (イギリス,1963年) 小学校 公共施設 • 居住環境地区の提言 • 分散道路のネットワーク → 道路の段階構成 店舗 4 佐賀大学理工学部 三島伸雄 クル・ド・サック • 一端が行き止まりの袋 路 • 自動車の方向転換が 可能になっている小 街路。 歩車共存道路 • 住宅地における「交通抑 制」は不可欠 • 地区の特性に応じて計画 すること ◆ ボンエルフ = 「生活の庭」 (歩車融合型、オランダ) 駐車、ハンプ、緑、遊び場 などの組み合わせ ◆ コミュニティ道路(歩車分離 型、日本) 幅員は10m以上で、 一方通行 ← 視距の問題 3.街路空間のデザイン 1)基本的考え方 …場所性と役割に応じた デザイン • 場所性 = 周囲の環境 →「個性」「独自性」 • 役 割 =国県市町道or私道、 前面道路 • 通り(街路) ⇒ 道をはさむこと、 垂直方向の動線 2)通行とその内容 4)車道部のデザイン • 自動車の車幅、速度 → 道路の幅員 • 緊急自動車の通行 → 確保すべき幅員=6m • 舗装のデザインの根拠 • 速度の低速化(住宅地)、荷重、 振動 • 植樹帯、交差点 など 3)街路空間の断面構成 5)インターフェース領域 (歩車道の境界域)の デザイン • 地域や沿道の土地利用・交通 の状況の把握 • 私空間の共領域、道路と歩道 のインターフェース領域 • 道路の断面構成の決定 ⇄ 標 準横断構成 ウィーン市グラーベン通りの景観 • 駐停車、人の乗降、荷物の積 み卸し • ストリートファニチュア • その他、アーケード、モール、プ ロムナードなど 5 佐賀大学理工学部 三島伸雄 北九州北方地区 「北方らしさを生かしたまちづくり調査」 • かつて老朽小規模木造住宅が密集する市街地 • 「小集落地区改良事業」による調査 • 高密集住によって醸成されてきた豊かな路地文化の分析 • 「もやい」という言葉に象徴される共同性 • 玄関の向きや居間が対面→ 路地=安定したセミプライベート空間 用賀駅 もやいの路地空間の反映 北方みずき団地 公営住宅 ●供給主体/北九州市 ●設計者/熊本大学延藤研究室、小林建築設計事務所 ●敷地面積/3799㎡ ●戸数/31戸 ●階数/3階建て ●建築面積/1106.8㎡(建ぺい率29.1%) ●延床面積/2445.9㎡(容積率64.4%) まとめ ー街路とその空間ー • 近代的なアプローチ ⇒ 街路体系 – 交通機関とのネットワーク – 段階的、ヒエラルキーをもつ街路網 • 生活環境的なアプローチ ⇒ 街並みへ – 場所群 – 道路や街並みのエレメント – トータルな生活環境 ⇄ 住民との関係 6