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SSH通信(第21号) - 徳島県立城南高等学校公式サイト
城南高等学校 スーパーサイエンス ハイスクール指定校 ✿第 54 回 日 本 学 生 科 学 賞 2010.11.5 第 21号 2010 年 12 月 22 日発行 ✿第 67 回 科 学 経 験 発 表 会 ( 高 等 学 校 の 部 ) 2010.10.31 日本学生科学賞徳島県審査と科学経験発表会で,3 年生が次のような賞を受賞しました。 ◆ 第 54 回 日 本 学 生 科 学 賞 ★入賞 ★最優秀賞 (県代表として 県代表として中央審査 として中央審査に 中央審査に出品) 出品) 「愛媛 AI の水質浄化について」 森・細岡・副島 「形状と強度」 鶴田・岩永・廣澤 「ベンケイソウの不定芽について」 飯田・三宅・山中 ★優秀賞 「エタノール燃料電池」 宮本・宮本・村上 「親の保護コストについて~オカダンゴムシの場合~」大畠・橋本・吉野 「砂糖水の濃度による屈折率の変化」 川田・細井・松本・斉藤 「城南高校周辺の土壌における細胞性粘菌の分布について」澤村・川人・森下 「飛行船の自動制御」 寺澤・床櫻・原田 「細胞性粘菌の好む菌を調べる」 大津・今治 「揚力の実験」 山本・岩野・山根 「バイオエタノール」 井上・吉川 ◆ 第 67 回 科 学 経 験 発 表 会 ( 高 等 学 校 の 部 ) 「藍は生きている!」 島・八百原 ★特選 「風車におけるソリディティ原理の研究」 池渕・近藤・田中 「城南高校周辺の土壌における細胞性粘菌の分布について」澤村・川人・森下 ★入選 「親の保護コストについて~オカダンゴムシの場合~」大畠・橋本・吉野 ✿ 第 2 回 徳 島 城 南 塾『 塾『 宇 宙 科 学 の 過 去 ・ 現 在 ・ 未 来 ~「 は や ぶ さ 」を 越 え て ~ 』 2010.11.19 11 月 19 日午後に1,2学年全員・3年希望者・教職員・参加希望の保護者など約 670 人を対象として第2回徳島城 南塾 SSH 特別講演会を実施しました。講師として,徳島県井川町ご出身で,宇宙航空研究開発機構(JAXA)・宇宙 科学研究所名誉教授,技術参与の向井利典先生をお招きし,『宇宙科学の過去・現在・未来~「はやぶさ」を越えて ~』と題したご講演をお聴きしました。向井先生は,日本の宇宙科学の発展に,その黎明期から一貫して研究者・技 術者として関わってこられました。特に,宇宙空間のプラズマ粒子や磁気圏の観測・研究の草分け的存在です。ま た,JAXAとヨーロッパ宇宙機関により,2014 年に2機の探査機を打ち上げる予定の,国際共同水星探査計画(ベピ・ コロンボ計画)の立ち上げに貢献されています。 講演会の直前,小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワの微粒子サンプルの採取に成功していたことが報 道され,絶好のタイミングでの講演会となりました。講演では「はやぶさ」についてだけでなく,糸川博士のペンシル ロケットに始まる日本の宇宙科学黎明期のことから,「はやぶさ2」や「はやぶさ Mk2」といった将来のこと,そして 「宇宙科学」を研究する目的や意味までわかりやすくお話しいただき,宇宙科学に関する理解を高めることができ ました。生徒からは,「天文学」「宇宙科学」「太陽系探査」「航空宇宙工学」等への興味関心が大いに高まったとい う意見や,はやぶさに関わった人たちのあきらめない姿勢に勇気づけられた,あるいは日本の技術力を誇らしく思 ったといった感想などが寄せられました。マスコミの関心も高く,新聞社4社と地元TV局2社の取材があり,講演会 の様子は当日夕方のローカルニュースや翌日の各社朝刊で報道されました。 ✿SSH 交 流 会 2010.10.9~ 10.10 香川県木田郡三木町小蓑 希少糖研究研修センターにて,SSH 交流会「希少糖(単糖)をテーマとして用いた,新しい科学教育システムの研究連 携と先端理数教育研究会」が行われ,生徒 1 名,教員 1 名で参加してきました。 プログラムは初め,ファラデーの「ろうそくの科学」にちなんでろうそくの炎を観察し,生物の動的安定,エネ ルギーの流れと糖,糖の基礎知識について学びました。続いての,参加者各自が持参した糖製品を用いての 自己紹介では,讃岐和三盆糖に押されて今ひとつ有名になりきれない阿波和三盆糖の紹介をしました。次の プログラムでは,酵素の働きについて,でんぷんを消化する酵素で実験しました。粘り気のあるでんぷんのり が,消化酵素による分解が進むにつれてさらさらに変わっていくのは,試験紙による判定以上に視覚に訴え る,わかりやすい実験でした。その後,希少糖の生産設備の見学と,寒天培地を利用しての絵画制作で,一 日目は終了しました。設備では,来春からの量産出荷に対応した大きな装置を実際に見せてもらいました。中 右手に 右手 に 持 っているのが 阿波和三盆糖 でも疑似移動式クロマト分離装置は,クロマトグラフィーは大量の物質の分離には向かないという常識を打ち 破る装置で,先生方からも盛んに質問が発せられていました。 二日目は,最初に,天然物を考えるのには不可欠な立体化学を,さいころやテトラポットを例に取りながら学びまし た。ここで,事前に組み立てて持参していた izumoring pad が大いに役に立ちました。糖の分子には不斉炭素原子が 複数個あるので,各種の糖の相互関係が分かりにくく,学習に際しての難所となっているのですが, izumoring pad で は板をスライドさせるだけで簡単に構造が分かるので,立体化学の概念がすぐに飲み込めるのでした。最後の講義 は,希少糖の世界についてでした。ブドウ糖と深い関係にある糖類には 34 種類あるのですが,そのうち自然界で一般 的に見られるのは 7 種類,多量に存在するのはわずかにグルコース 1 種類。なぜ残りの糖類は自然界で少数派にな 絵画制作中 ってしまったのか,生理的作用は失われてしまったのかなどについて,お話をうかがいました。 この交流会全体の講師である香川大学の何森先生による,おもちゃ箱をひっくり返したようなと形容される,何が飛び出してくるか分からない楽し い講義と実験で,教科書では暗記物になってしまっている天然物化学の広がりを,知らず知らずのうちに体感できた 2 日間でした。 ✿高 大 連 携 事 業 ❀「 カ エ ル の 発 生 」 徳 島 大 学 総 合 科 学 部 2010.9.28❀ 9 月 28 日(火)の総合学習(生物)では,徳島大学総合科学部の渡部稔先生に「カエルの発生」の実習をしていただきました。アフリカツメガエルを用 いて,人工授精実習・初期胚の観察・受精卵の初期の卵割の観察・体色の遺伝・実験動物飼育などについて,208HR40 名対象に実習を行いました。 アフリカツメガエルは飼育が容易であることや,これまでの研究実績の蓄積があり研究しやすいことなど,なぜアフリカツメガエルを用いるのか説明を 受けた後,代表生徒が採卵・人工授精を体験しました。 生きているカエルはぬるぬるしていて,採卵しようと掴んでも手から飛び出して床で暴れるなど,ハプニングも ありましたが,無事に採卵することができました。人工授精では,採卵した卵も精子もこのまま放置すればまも なく死んでしまうが,受精させることで新たな生命となり生き続けるというご説明に,生命の神秘を感じました。 昨年度,去年の 2 年生が受精させた卵が成長した子どもガエル達を見せて下さり,この受精卵たちも来年こう やって子どもになっているのかなあと思いを馳せました。 その後,各発生段階の胚やその切片のプレパラートを顕微鏡で観察し,スケッチを行いました。写真を撮れ ば済むというものではなく,各部の名称や働きを考えながらスケッチをすることでさらに理解が深まると教えて 下さいました。渡部先生をはじめ,お手伝い下さった学生さん方,丁寧なご指導をありがとうございました。 ❀「 科 学 英 語 「 デ ィ ベ ー ト 入 門 」 四 国 大 学 2010.10.7❀ 応用数理科 2 年生の科学英語 40 名を対象に,四国大学からマーク・フェネリー先生を講師にお迎えし,English Debates について学びました。まず,カルタ取りのようなカード合わせの活動で,それぞれの意見をうまく適切に 支える方法を実践しました。この活動で,ディベートで相手を打ち負かすことができるような強い意見を作る大切 さを理解しました。次に,"The life in the country is better than that in the city"というテーマで,小グループに分 かれてディベートを行いました。英語のディベートについての貴重な2時間の講座を受けて,生徒たちは様々な思 考方法や意見を身につけたことでしょう。 ❀「 サ リ チ ル 酸 の 再 結 晶 」 徳 島 大 学 2010.10.15❀ 10 月 15 日の考査最終日の午後,総合科学の授業として,徳島文理大学薬学部の浅川義範教授のご指導で,薬理作用を持つ物質の取り扱いに ついての実験講座を受講しました。 取り上げた物質はサリチル酸。昔,解熱鎮痛剤に用いられていた時代もあったという,有名な物質です。最初,サリチル酸にまつわる歴史的な話 や天然物を医薬品として用いる場合の注意点についての講義を聴き,再結晶によるサリチル酸の精製実験に移りました。再結晶そのものは高校 1 年で既に習っている操作ですが,相手が医薬品となると,通常の化学の実験とは異なる注意が求められます。加熱が直火ではなく湯浴だったり,ろ 紙がひだ折りだったりと,高温による変質を防いだり,操作を迅速にして汚染を防ぐような工夫がなされていました。 結晶の析出のしかたが班ごとに異なっていたり,同じ分量で実験しているのに収率が違っていたりと,興味深いこともありました。 基本的な実験技術である再結晶を,高校とはまた違った視点から体験することができました。 ❀「 活 断 層 と 地 震 」 徳 島 大 学 2010.10.19, 10.26❀ 「活断層と地震」と題した出張講義と現地研修を実施しました。講師は徳島大学の村田明広先生です。19 日 (火)に本校で行われた講義では,兵庫県南部地震,中央構造線活断層,南海地震について,そのメカニズ ムやいつ起こるか,予想される被害などが取り上げられました。そして 26 日(火)には,貸し切りバスで淡路島 まで行き,北淡震災記念公園等で校外研修を行いました。行きのバスの中では中央構造線や淡路島の活断 層地形などについて,また北淡震災記念公園では,活断層露頭や震災に遭った住宅などを見学しながら先 生にご説明をいただきました。そして明石海峡大橋の下では,断層運動によって巨大な橋脚が 1m 以上ずれ たというお話しをお聞きしました。 ❀「 手 巻 き 直 流 モ ー タ ー の 作 成 に 関 す る 実 験 な ど 」 徳 島 大 学 2010.8.16❀ 応用数理科 2 年生物理選択者 21 名は,8 月 16 日(月)徳島大学工学部電気電子工学科の北條昌秀准教授 による『手巻き直流モーターの作成に関する実験』と川崎祐助手による『高温超伝導体の体験』,さらに大西教 授の研究室見学を,5~6 名の班をつくり 14:00~17:00 の間活動しました。 『手巻き直流モーターの作成に関する実験』では,永久磁石,エナメル線,クリップ,紙やすり,電源装置,工 具類が各班に準備してあり,作り方の指示なしに「回転する物体をつくろう」という課題を与えられ,各自モータ ー作成に没頭しました。班員で協力し,お互いに情報交換しながら課題達成に向けてがんばりました。 『高温超伝導体の実験』では,ビスマス(Bi),ストロンチウム(Sr),カルシウム(Ca),銅(Cu)の混合酸化物でつくられた高温超伝導体の特性について 説明を受け,その性質について調べました。超伝導体を液体窒素で冷やし,その上にネオジウム磁石をそっと乗せようとすると,磁石が超伝導体の 上方 1[cm]くらい浮遊するという現象を体験しました。実際に,磁石が浮かぶ現象を観察したことが,深く印象に残ったようです。さらに,液体窒素で気 体酸素を入れた容器を冷却して得られる液体酸素の観察も行いました。 建設棟 1F にある大西研究室の見学では,公道を走行可能な電気自動車の説明を受け,実際に 3 人ずつ試乗させてもらいました。この電気自動車の 加速力は,ガソリンエンジンの自動車に引けを取らないことを実感できました。今回の授業は,高校の授業では決して味わうことのできない多くの貴 重な体験をすることができ,有意義な時間を過ごすことができました。今後の活動に良い刺激となりました。 ❀「 ダ イ オ ー ド と ト ラ ン ジ ス タ ~ 身 近 な 電 子 回 路 ~ 」 岡 山 理 科 大 学 2010.8.17❀ 応用数理科 2 年の物理選択者 23 名を対象に,岡山理科大学工学部の道西博行先生をお迎えして,「ダイオードとトランジスタ~身近な電子回路 ~」という主題での講座を受講しました。 半導体と呼ばれる素子の中で,ダイオードとトランジスタをとりあげ,ダイオードの整流作用やトランジスタの スイッチング特性について初歩的に説明していただき,ブレッドボード(Bread boad)を使用した回路実習により 理解を深めました。7 セグダイオード(デジタル数字を表示するための発光ダイオード)を使用した回路で電光掲 示板のしくみを理解したり,CDS(カドミウムセル;光センサー)とメロディ IC を用いてオルゴールを作成したり,マ ルチバイブレータと呼ばれる回路で踏み切りの遮断機が交互に点灯するしくみを理解しました。 今回作成したダイオードやトランジスタを使用した電子回路をきっかけに,電気分野に対する生徒の拒絶反 応を少し和らげることができたと思います。また,「電子回路をより身近に感じた。」「電気に対する理解が以前 より深まった。」などの感想も多く,楽しく学ぶことができたと思います。 ❀「 医 療 に 役 立 つ 物 理 学 」 岡 山 理 科 大 学 2010.8.18❀ 応用数理科 1 年 34 名を対象に,理学部の臨床工学技士でもある堀純也先生をお迎えして,「医療に役立つ物理学」という 主題での講座を受講しました。 まず,本物の聴診器で自分の心臓の音を聞く実習をし,心臓の音はどこでどのように発生している音であるかを知り,心 電図の波形の見方などを詳しく分かりやすく説明していただきました。AED のしくみや使い方についても指導していただきま した。人工透析に使用されているチューブにで,実際にミルクティを透析していただき,どのように分離しているのかを納得す ることができました。診断用の医療機器である超音波画像診断装置や治療用の医療機器である電気手術メスなどは,物理 の実験などで用いられる測定器や物理の法則を生体に応用させていることから,医療機器を安全に使用するためには,物 理学の知識が大いに役立つことをわかりやすく説明していただきました。また,臨床工学技士は,医療現場に欠かすことの できない重要な役割を果たしていることも実感することができました。物理学の発展は医療技術の発展にも繋がることである ことを知り,物理学を学ぶ意義を見いだせたと思います。 ❀「 ニ ュ ー ト リ ノ の 不 思 議 」 徳 島 大 学 2010.9.17❀ 応用数理科 3 年生物理選択者 21 名は,徳島大学総合科学部の伏見賢一准教授による講義『ニュートリノの不 思議』を受講しました。 素粒子物理学分野の内容で高校物理の内容を越えるものでしたが,生徒を始め教員までもが目を輝かせ伏見 先生の話に引き込まれていきました。素粒子(クォーク)の理論とその名前にまつわる裏話,ノーベル物理学賞を 受賞した小林・益川理論についての話や,ニュートリノを観測する巨大実験装置スーパーカミオカンデに関する話 など興味深い話題を,いとも簡単に説明していただき本当に楽しく学習することができました。 ❀「 電 子 工 学 に お け る 発 光 素 子 と そ の 応 用 」 徳 島 大 学 2010.9.24❀ 応用数理科 3 年生物理選択者 21 名は,徳島大学工学部の富永喜久雄教授による講義『電子工学における発 光素子とその応用』を受講しました。 高校の物理の教科書の内容を更に発展させた講義内容でしたが,LED を例に挙げ,その発光の仕方や原理, 特徴について簡単な実験を通してわかりやすく説明していただきました。中でも,「レーザー光を LED に当てると 発電するのか?」についての実験では,理論的に予想される結果と同様に発電したため,半信半疑であった生徒 も驚きの結果でした。今回の講義を受講し,電子工学がより身近に感じられたようです。 ❀「 イ ン ジ ゴ の 合 成 と 染 色 機 構 の 考 察 」 徳 島 教 育 大 学 2010.9.24❀ 鳴門教育大学の早藤幸隆先生ほか大学院の学生さんの指導の下に「インジゴの合成と染色機構の考察」というテーマで実験を行いました。最初 に,藍染めに使われる「すくも」に含まれる色素を薄層クロマトグラフィ(TLC)を使って確認し,その後 o-ニトロベンズアルデヒドからインジゴの合成を 行いました。また,インジゴを還元した溶液を電気分解し,陽極側にインジゴが酸化されて生成することを確認しました。これからインジゴの酸化と還 元の関係(建て染め染料の原理)を改めて確かめることができました。少人数でしたが,大学院生の皆さんの丁寧な指導で楽しく実験をすることがで きました。 ❀「 環 境 化 学 実 験 」 徳 島 大 学 2010.10.18❀ 徳島大学総合科学部総合理数学科の山本裕史准教授による,「環境化学実験(COD(化学的酸素要求量)測定とクロマトグラフィーによる環境分 析)」というテーマで実験を行いました。 各自がペットボトルに入れて持ってきた水について調べました。原理は、水の汚れの中心である有機物を酸化するのに、強力な酸化剤である過マン ガン酸カリウムがどれだけ消費されるかを求め、その量が多いほど有機物が多い(自然中では酸化に要する酸素量が多い)とみなすものです。逆滴 定の原理の理解や滴定の操作に苦労しながらも興味を持って取り組みました。最後に,算出した COD を徳島市周辺の地図上に記入し,城南高校周 辺の川の水の汚れについてまとめることができました。また、研究室で使用している高速液体クロマトグラフィーなどの分析機器も見学し,環境計測 の方法について解説していただきました。環境問題についてあらためて考えるよい機会になりました。 ❀「 電 気 化 学 セ ン サ ー と 分 析 化 学 」 徳 島 大 学 2010.12.10❀ 徳島大学工学部において化学応用工学科の 3 名の先生方から,2 年生 38 名を対象に 3 種類のテーマで講義を 聴かせていただきました。加藤雅裕准教授からは「光触媒」,藪谷智規講師からは「電気化学センサーと分析化 学」,安澤幹人准教授からは「燃料電池」についてお話を伺うことができました。それぞれ内容はやや難しい点があ ったものの,丁寧にわかりやすく説明していただき,先端的で興味深い話題について多くの知識を得ることができま した。また,講義の後 5 名の生徒は研究室を訪問させていただき,実際の研究の様子を体感することができました。 ✿化 学 グ ラ ン ド コ ン テ ス ト 大阪府立大学 2010.10.31 10 月 31 日(日)大阪市立大学・大阪府立大学主催の「化学グランドコンテスト」に科学部 2 年の中村君と 1 年の鈴木君が参加しました。ポスター発表で「COD の簡易測定法の検討」というテーマで発表しました。残念な がら受賞はできませんでしたが,大勢の化学に興味を持つ生徒達の中で,他校の口頭発表やポスター発表の 高度な内容に驚かされつつ,今後の自分たちの研究に対する意欲を高めることができました。 ✿第 21 回 物 理 教 育 に 関 す る シ ン ポ ジ ウ ム の 高 校 生 に よ る 科 学 研 究 発 表 2010.11.21 応用数理科 2 年生の4班9名は,11 月 21 日(日)に実施された,応用物理学会応用物理教育分科会主催 第 21 回物理教育に関するシンポジウム において高校生による科学研究発表に参加しました。この発表会は,主催者が応用物理学会応用物理教育分科会であるため,参加者のほとんどが 大学で教鞭を執られている先生方でした。発表が終了した後の質問攻めに,初めのうちは圧倒されていましたが,回数を重ねるたびに上手く受け答 えすることができるようになり,大きな収穫がありました。この発表会を経験した9名にとって,大変貴重な時間を過ごすことができたと思います。ま た,他校の発表を聞くことで刺激を受け,多くの先生方からたくさんのアドバイスを頂き,今後の研究にさらに気合いが入ったようです。 ✿鳴 門 教 育 大 学 実 験 講 座 2010.12.10 12 月 10 日の午後,応用数理科1年生 40 名が鳴門教育大学にお邪魔しました。大学では物理・化学・生物・地学の各分野に分かれ,講義・実験を 行いました。 ❀物 理 分 野 ~ 放 射 線 に 関 す る 講 義 ~ ❀ 粟田高明准教授による放射線に関する講義を受けました。まず,放射線が発生するしくみやその性質などをわ かりやすく説明していただき,実際に放射線を観察する『霧箱』という装置を,身近な材料で作成し観察しました。 昨年までは用意された霧箱を用いて放射線の飛跡を観察していましたが,今回は自作することで手軽に放射線 を観測することができることを実感しました。今回観察した試料は,ユークセン石で主にアルファ線(ヘリウムの原 子核)を放出する性質があり,霧箱内でその通った後にできる飛行機雲のような飛跡をしばらく観察しました。全 員が霧箱の観察に見とれていたため,もう一つの熱ルミネッセンスの観察の時間が少なくなってしまいました。低 温状態にした方解石などにガンマ線を照射したものを室温まで温度を上昇させると,赤色に発光する現象にも興 味津々で,時間を延長して観察させていただきました。さらに,大学にあるガンマ線検出器で,あらかじめ準備し た試料を測定していただき,後日測定結果をお知らせしていただくことになりました。今回の講義で,放射線につ いての基礎知識をしっかりと学ぶことができ,本当に有意義な時間を過ごすことができました。 ❀化 学 分 野 ~ 酸 素 原 子 ・ 水 素 原 子 及 び 電 子 の 授 受 に 着 目 し た 酸 化 還 元 反 応 ~ ❀ 火加減が 火加減が難しい 一酸化炭素の 一酸化炭素の捕集に 捕集に成功 銅線の 銅線の光沢が 光沢が復活 早藤幸隆准教授のご指導で,酸化還元反応についての講座を受講しました。 前半は実験です。一酸化炭素を,酸化された銅線と反応させて,銅線が還元され る様子を観察です。一酸化炭素は,教科書通りにギ酸を濃硫酸で脱水して発生 させました。反応は簡単ですが,ピペット操作,加熱,水上置換と,基本的な実験 技術が試されます。演示してくださった早藤先生は手慣れたもので,一人で簡単 にやって見せますが,いざ自分たちでやるとなると,二人一組でもなかなかうまく いきません。気体が十分集まる前に反応が終わってしまったり,捕集が水上置換 になっていなかったりと四苦八苦。しかし,銅線の色が鮮やかに変化することで, 確かに化学反応が起こっているということを実感できました(左の写真)。 次に,酸化された銅線をメタノールと反応させてメタノールが酸化される反応, 最後に銅粉を過酸化水素で酸化して溶解させる反応を行いました。銅を過酸化 水素で酸化する反応では,銅が酸化されるに従って銅(II)イオンが生成し,無色 透明だった溶液が青く着色してきます(右の写真)。気体の発生をともなわず静か に進む反応なので,銅や溶液に起こる変化に注目しやすく,演示実験としても優 れています。 実験の後は講義室に移動して,理論を学びました。中学生レベルの話から始 まって,内容は一気に大学初年級の話へと発展していきました。原子の構造や原 子間の結合についてはすでに学校で習っているとはいえ,細かいところはさすが に難しかったようです。高校では,酸化還元反応は 2 年生で習いますが,多くの 高校生がつまずく難所でもあります。一足早くその難所を越えた生徒たちでした。 酸化される 酸化される前 される前の銅 酸化されると 酸化されると溶液 されると溶液に 溶液に色が着いてくる いてくる ❀生 物 分 野 ~ DNA を 取 り 出 し て み よ う ~ ❀ 米澤義彦教授より「DNA を取り出してみよう」というタイトルで講義と実験を行っていただきました。まだ理数生 物の授業では,遺伝の内容には進んでいないため基礎的な知識が乏しい状況ながらも,米澤先生より丁寧な講 義を受けることができ DNA についての知識を得ることができました。また実験では,4 つの班に分かれて,ニワト リの肝臓,ブロッコリー,カリフラワー,バナナのそれぞれの DNA を抽出しました。ニワトリ班とブロッコリー班は失 敗したものの,その経験を活かして 2 回目は良好な結果を得ることができました。全ての班で実験が成功し,生徒 はそれぞれに達成感を感じていたようです。また,ブロッコリーやカリフラワーと同様の方法では,バナナからは DNA を抽出することができないということも確認でき,有意義な講座となりました。 ❀地 学 分 野 ~ 微 化 石 で 堆 積 年 代 を 推 定 す る ❀ 香西武先生より,堆積岩のチャートに含まれる「放散虫」化石を用いて,堆積年代を推定する方法の実習を 行いました。まず,阿南市津乃峰に産する玄武岩がどこでできたもので,どうやって徳島までやってきたのか, ということを通して,プレート運動や付加体について学びました。 次に,放散虫化石の取り出し方について教わりました。実際の処理作業は危険なフッ酸を用いて半日はかか るので,薬品処理は香西先生が事前に済ませておいてくださいました。生徒は,処理の終わった試料から,双 眼実体顕微鏡と面相筆を用いて,微細な放散虫化石を拾い出す作業から行いました。手先の器用さと根気強 さが必要な作業で,また静電気の反発で化石に逃げられたりと,みんな悪戦苦闘していました。取り出した化石 は,やはり面相筆で試料台に貼り付けます。次に電子顕微鏡室に移動し,香西先生の研究室で購入したばかりの真新しいSEM(走査型電子顕微 鏡)で撮影しました。モニターに映る放散虫の姿にみんなで歓声をあげていました。そしてSEM画像と参照図表と比較して,堆積年代を推定したとこ ろ,ジュラ紀末~白亜紀初期のものと判明しました。 みんな微化石の複雑さや美しさ,そして小さな化石から地球のダイナミックな営みがわかることに感動していました。 徳島県立城南高等学校 http:// jonan-hs.tokushima-ec.ed.jp/ 住所:770-8064 徳島県徳島市城南町二丁目2番88号 TEL:(088)652-8151 FAX:(088)652-3781