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シャトルのお腹はなぜ黒い?(1) −白と黒どちらが良い?− 天気のよい日
2005年1月号(第1号) あいさつ 新年明けましておめでとうございます。 HP宇宙開発史の新たな企画として今年より毎月1回「宇宙開 発史んぶん」を発行することにいたしました。長く続けるため にあまり力を入れず1号当たり基本的に1ページの壁新聞形 式いたします。内容は型にはめずそのときそのときでさまざま な内容になる予定です。皆さんよろしくお願いいたします。 シャトルのお腹はなぜ黒い?(1) 古書籍紹介 書名:宇宙開発 著者:ジョン・F・ケネディ 訳者:関野英夫 時事新書 昭和37年6月1日発行 −白と黒どちらが良い?− 天気のよい日に駐車場に止まっている黒い車と白い車を触 れば黒い車の方が熱くなっている事に気づくと思う。なぜか? 「白は太陽の光を反射して逆に黒は吸収するからさ!」多分 小学生でも答えられるかもしれない。いわゆる反射率の違い である。言いかえればこれは物体に入ってくるエネルギーの 「入りやすさ」を示す物理量である。しかしエネルギーは入る ばかりでなく出て行くときもある。自然界はよく出来ており、入 りやすいものは出やすく入りにくいものは出にくく出来ている。 つまり物理的に言えばエネルギーの「入る」「出る」は符号が 逆なだけで式は同じなのである。で、「吸収」の反対は「放射」 であり反射率の高いものは放射率が低く(エネルギーが入り にくいものはエネルギーが出にくい)、反射率の低いものは放 射率が高いといえる。 ©NASA ケネディー大統領が議会に対して報告 した1961年までのアメリカの宇宙開発 をまとめた報告書、いわゆる宇宙開発 教書の日本語訳。 当時のアメリカの宇宙開発はマーキュ リーでやっと15分間の弾道飛行に成功 したばかりでまだまだソ連にリードされ ていた時代である。 有人に限らず科学衛星や気象衛星・通信衛星などの実用衛 星の実験成果やX-20や原子力ロケットの将来計画など当時 のアメリカの宇宙開発をまとめ上げたもの。 要するに「こんなに成果が上がっておりこれからもこんな計画 があるので議会の方々、予算の方よろしく!」というための資 料。大統領の議会に対する報告書と言うことで最初から読む には退屈する部分も多々ある。読み物というより歴史資料と いう意味合いが大きい本である。 かなり希少な本ではあるがインターネットで探せば入手出来 る可能性はある。 2004宇宙開発10大ニュース 1位:火星探査機着陸成功、火星に水の痕跡発見! 2位:土星探査機土星周回軌道投入成功、土星探査開始 3位:スペースシップワン Xプライズ獲得! 4位:ロシア次世代宇宙船「クリッパー」計画発表 5位:H-2A SRB改良試験成功、打ち上げ再開へ 6位: 「はやぶさ」最後の地球スイングバイ成功 7位:宇宙空間のサンプル回収ジェネシス探査機回収失敗 8位:シャトル打ち上げ再開来年にずれ込む 9位:王立科学博物館第2弾発売 10位:210万円の小型ロケット国内で販売開始!? 今年は1月にホイヘンスによるタイタン探査や2月にH-2A打ち 上げ再開、夏には小惑星探査機「はやぶさ」のイトカワへのラ ンデブーなど期待のイベントもあります。今年も宇宙開発から 目が離せない1年になりそうです。 ここで少し話を変えてみる。冬に着る服の色は何色がよいか? 「天気のよい日は反射率の低い黒の服の方が太陽の光を吸 収するので暖かい。でも夜は黒の服は逆に放射率が高いの で白い服より寒くなる。なので夜は放射率の低い白の服の方 がよい。」 本当だろうか?天気のよい日に黒い服を着ると確かに暖かそ うだ。でも夜に黒や白の色の違いはあるのだろうか? 答えは「夜に着る服は何色でも同じ」なのである。 それじゃ最初に説明したことと違うじゃないか!と言う人もい るかもしれないが別に最初に言ったことは間違いでは無い。 黒と白の反射率/放射率は可視光線での話し。可視光線より 波長の長い赤外線の話しでは無い。赤外線の反射率/放射率 は物質やその表面の状態で決まるので可視光線での色の違 いはほとんど関係ない(素材が同じ服なら色の違いによる赤 外線領域の放射率の差は無い)。黒い服は白い服より太陽 からの可視光線を吸収し熱に変わるため暖かい。しかも素材 が同じ服なら白でも黒でも赤外線の放射率に違いが無いた め体から放射される赤外線は同じである。 ならば「冬に着る服は黒が良い」ということになる。 (つづく) 編集後記 「宇宙開発史んぶん」第1号いかがでしたでしょうか?毎月こ んな感じで行こうかと考えています。また皆さんからの投稿、 寄稿もお待ちしております。私1人でなく宇宙開発に興味を持 つ方々と紙面作りが出来たらと考えています。 最後に私の今年の目標、「1年は続ける、、、」(^^;)。