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動物の生態(第3回)
動物の生態(第3回) 動物の個体群のとらえ方と 個体群動態 ところで基本用語の個体群について • Population: 個体が集合している様子を表す 単語ですが、日本語では、人口、集団、個体 群といった複数の訳語があります。 • 例:Population statistics 人口統計学 Population genetics 集団遺伝学 Population ecology 個体群生態学 個体群サイズ(個体数)の変化 • 自然界で多くの種は、毎年同じような個体数 が生息・出現している。 • このことについて最初に述べたチャールズ・ ダーウィンは、種の起原の中で、生物がもつ 繁殖力は高く、どのような種類も生まれた個 体がすべて生き残れば、その種類で埋め尽く されてしまうが、そうならないのは多数が繁殖 前に死亡するからであるといったことを述べ ている。 つまり自然界には個体数変動についての 何らかの規則性があるに違いない 個体群サイズ(個体数)の変化 • 個体数の変化は出生数(出生率)と死亡数 (死亡率)のバランスによって決まる。 • 死亡率が恒常的に出生率を上回れば、個体 群は絶滅する。 • 出生率が死亡率を大きく上回れば、個体群は 爆発的増加を示すことがある。 出生と死亡のバランスを理論的に モデル化したロジスティック式 • 個体群がきわめて小さいときには、その種が もつ最大の増加率(内的自然増加率:r)で増 加する。 • 個体群が維持される環境内の最大数(環境 収容力:K)に個体数が近くなると増加率は減 少し、増加しなくなる。 • これらを理論式にしたものがロジスティック式。 (個体数密度:N、時間:t) dN/dt=Nr(1-N/K) ロジスティック曲線 60 50 個体数密度 40 dN/dt=Nr(1-N/K) 環境収容力 K 30 20 環境抵抗 N/K 内的自然増加率 10 r 0 0 5 10 15 時間(世代) 20 25 30 実際の個体数密度の変動は不規則な動きとなる 60 50 個体数密度 40 30 20 10 0 0 5 10 15 時間 20 25 30 季節性や周期性のある変動もみられる 60 50 個体数密度 40 30 20 10 0 0 5 10 15 時間 20 25 30 個体数変動を分析する • r(増加率)とK(環境収容力)でみる • b(出生率)とd(死亡率)でみる • ExcelでrとKの設定によるロジステック式とグ ラフの作成を試してみましょう ロジスティック曲線の作成 (J2に初期値、J3にrの設定値、J4にKの設定値を入れておき、B2に初期値、 B3に下の式を入れてB4以下は式をコピー・ドラッグ) A 1時間 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 B 個体数 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 2 2.96 4.352384 6.339144 9.106868 12.83095 17.60009 23.30251 29.52369 35.56906 40.70201 44.48648 46.93925 48.37594 49.1616 49.57377 49.78507 49.89207 49.94592 49.97293 49.98646 49.99323 49.99661 49.99831 49.99915 C D E F G H I N0= r= K= =B2+B2*$J$3*(1-B2/$J$4) J 2 0.5 50 個体数 60 50 40 30 20 10 0 0 5 10 15 20 25 グラフの作成は、挿入→散布図(平滑線とマーカー) 30 繁殖すると寿命がつきるタイプの個体群動態 産卵数は約400卵なので成虫になるのが 20分の1以下で個体群は減少する モンシロチョウの生命表(120株当たり) 発育段階 11月 2月 死亡数(dx) 生存数(lx) 生存数(lx) 4月 死亡数(dx) 生存数(lx) 死亡数(dx) 卵 575 321 792 453 6741 6414 1齢幼虫 254 1 339 230 327 267 5齢幼虫 253 226 109 68 60 26 蛹 27 7 41 1 34 -6 成虫 20 発育段階 40 6月 7月 死亡数(dx) 生存数(lx) 40 生存数(lx) 8月 死亡数(dx) 生存数(lx) 死亡数(dx) 13314 12712 112 89 93 63 1齢幼虫 602 407 23 14 30 30 5齢幼虫 195 193 9 4 0 蛹 2 2 5 2 0 成虫 0 卵 伊藤他(1975) 沖縄に侵入したモンシロチョウの個体群動態Ⅱ 3 0 繁殖後も生き残って世代が 重複するタイプの生活史 生存率と出生率の掛け算 ヤマハリトカゲの生存率・出生率表 年齢区間 (x) (出生率は雄雌区別せず子の生産数の平均) 生存率 (lx) 出生率 (mx) 年齢区間生産率 (lx*mx) 0 1.000 0.00 0.000 1 0.180 1.20 0.216 2 0.086 5.25 0.452 3 0.032 5.75 0.184 4 0.012 6.00 0.072 5 0.000 純生産率 (R0) Ballinger (1973) より 年齢区間生産率の合計 (1以下なら減少、1以上なら増加) 0.924