平成28年度事業計画

平成２８年度事業計画
景気は緩やかな回復基調が見られると言われているものの、海外経済の減速な
どから先行きの不透明感は増しており、地域経済における個人消費、企業活動も
慎重な姿勢をとっており、財団を取り巻く環境は依然として厳しいものがある。
このような中、平成２８年度は、アクロス福岡の第３期指定管理期間（H28～
H32）の初年度であり、新たに策定した「第４次中期経営計画」に基づき、「福
岡県、九州さらには西日本地域における文化芸術振興と情報発信の交流拠点施設
として県民の誇りとなり、親しまれる施設」を目指し、活力ある事業運営と一層
の利用者サービスに努め、県民文化の向上と地域社会の活性化に寄与していく。
Ⅰ 組織・運営
公益財団法人として適切な財団運営に取り組むとともに、収益力の強化を図
り、安定した財政基盤を整える。
１ 組織体制の充実
文化振興事業を的確かつ効果的に広報・宣伝するとともに、より戦略的な
チケット販売、斡旋を展開するため、新たに事業企画グループを設置するな
ど、組織体制の充実を図る。
２ 財政基盤の強化
貸館事業、文化振興事業等における営業の強化や事務改善による効率化、
事業経費節減の管理徹底により収益力を高め、財政基盤のより一層の強化を
図る。
３ 人材育成の推進
研修機会の充実に努め、職務能力の向上を図るとともに、コンプライアン
ス意識の向上を図る。また、職員各自が業務目標を設定し、その結果を評価
する人事評価制度の運用を通じて士気の高揚を図る。
Ⅱ 施設サービス（貸館）事業
平成２６年度以降企業の新卒者採用スケジュールが「後ろ倒し」になったこ
とにより会議室利用動向が変わり、会議室の稼働率に影響が出てきている。平
成２８年度については引き続き会議室を重点とした広告展開を継続すると同
時に、施設ごとの利用者層に応じた営業活動を展開する。
また、日常的な防災訓練の実施等による防災管理体制の継続的な充実を図る
とともに、より実践的な防災意識を高める。併せて「中長期修繕計画」に基づ
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く施設の維持・保全に努める。
１ 積極的な営業誘致
比較的景気に左右されない医学会・全国大会や国際会議等のイベント誘致
を積極的に行う。
また、会議室について稼働率の向上を図るとともに、収益性の高い商業展
示等の誘致など、経営の安定を目指した営業活動を展開する。
（１）全国からコンベンション関係の団体・企業が来場するイベントへの参加
など、積極的な対面営業による医学会・全国大会等の誘致
（２）インターネットによる検索連動型広告（リスティング広告）を活用した
会議室の利用促進
（３）収益性の高い催事の誘致強化のため、イベントホールでの商業展示など
の催事の誘致促進
２ 利用者サービスの充実強化、利用しやすさの向上
時代に沿った顧客ニーズに対応するとともに、施設利用者及び来場者の満
足度を一層高めるために質の高いサービスの向上に努める。
（１）赤外線ワイヤレスマイク等の導入など、顧客のニーズにあった備品の充
実
（２）館内のフリーＷｉ-Ｆｉスポットの拡大と利用促進
（３）ＷＥＢサイトによる備品、付帯サービス等のモデル見積の例示
（４）ホスピタリティ向上を目指した業務研修の実施及び参加
３ 施設機能の充実
施設の維持管理・補修についてビル管理会社との連携を図りながら、より
安全で快適な空間の提供に取り組む。
併せて「安全の確保、トラブルの防止」を基本とした保守点検の遵守、日
常的な防災意識・防災体制の充実強化に向けた取り組みを行う。
（１）アクロス福岡共同防火・防災管理協議会主催の防災訓練への積極的参加
（２）防火・防災について、より具体的な事態を想定した財団独自の緊急時対
応研修の実施
（３）計画的な維持・修繕（円形ホール舞台機構、館内空調設備更新等）
Ⅲ 文化振興事業
音楽・舞台芸術を中心とした文化芸術の振興を図るため、新たに掲げる「３
つの理念」に基づくバランスのとれた事業展開を行う。
平成２８年度は、春と秋の音楽祭として定着しつつある「福岡グランドクラ
シックス」及び「福岡・音楽の秋フェスティバル」等、質の高い音楽・舞台公
演の充実を図るとともに、クラシック音楽愛好家以外の観客層の開拓を目指し
た新規事業にも挑む。
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また、育成系の事業として、小学生を対象としたアウトリーチ「学校キャラ
バン事業」や「舞台芸術感動体験事業」等を実施する。
そして、オリンピック・パラリンピック開催に合わせた文化プログラムを
視野に入れながら、福岡の地域文化の良さを見直し、紹介・体験できる場を
提供していく。
さらに、県内市町村・地元マスコミや企業・地域の文化団体のみならず、全
国及び九州の類似ホールとの連携を強化し、積極的な事業を展開する。
《 ３つの理念に基づく事業展開 》
○ グローバルな感動体験
（質の高い音楽・舞台芸術の鑑賞機会の提供）
バンベルク交響楽団、東京都交響楽団、チョ・ソンジン ピアノリサイ
タル、プラハ国立歌劇場など３７事業を主催・共催・協賛する。
○ 芸術文化を支える人の育成
（広範な聴衆・次世代の演奏家・ホール運営等文化を支える人材の育成
強化）
学校キャラバン事業、舞台芸術感動体験事業、ランチタイムコンサート、
こどものためのオペラなど３３事業を主催・共催・協賛する。
○ 参加・交流と地域文化の発信
（身近に文化に触れる参加・交流の場を提供し、多彩な地域文化を紹介）
クラシックふぇすた、新・福岡古楽音楽祭、ミュージアムコンサート、
女性伝統工芸士展、天神薪能など２６事業を主催・共催・協賛する。
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「福岡グランドクラシックス２０１６」の開催
春の音楽祭として５月６日から６月７日まで室内楽３公演を実施する。
（１）ギャリック・オールソン ピアノリサイタル
（２）アンドレアス・オッテンザマー＆カメラータ・シュルツ・ウィーン
（３）フォルクハルト・シュトイデ ヴァイオリンリサイタル
２ 「福岡・音楽の秋フェスティバル」の開催
秋の音楽祭として９月３０日から１１月１３日まで、管弦楽、オペラ、室
内楽など国内外の一流演奏家による公演のほか県民参加型の事業など５事
業を展開する。
（１）アクロス・クラシックふぇすた
アクロス館内の三つのホールを活用して、一日中家族連れで楽しめる
ように、無料のミニ・コンサートや音楽に関するイベント等を開催する。
また楽器の展示や試奏コーナーを設置し、音楽を身近に感じる空間づ
くりを目指す。さらに、好評の自由演奏会を開催し福岡シンフォニーホ
ールのステージを多くのアマチュアに開放する。また第 10 回目の開催を
記念した特別事業を実施する。
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（２）ストラディヴァリア・ナント・バロック・アンサンブル
（※新・福岡古楽音楽祭事業）
（３）プラハ国立歌劇場
（４）バンベルク交響楽団
（５）合唱とオーケストラのための組曲「筑紫讃歌」
３ 「ショパン・コンクール入賞者シリーズ」の実施
2015 年に実施されたショパン国際ピアノコンクール優勝者によるリサイ
タルのほか、2 位入賞者と九州交響楽団の公演を実施する。
（１）チョ・ソンジン ピアノリサイタル
（２）九響と若いソリストの饗宴
４ 「Meets Classics」シリーズの実施
これまで福岡シンフォニーホールに足を踏み入れたことのない新たな観
客層を開拓するため、クラシック音楽とその他ジャンルのコラボレーション
企画を新たに展開する。今回は没後 10 年となる日本を代表する作曲家、伊
福部昭の作品にスポットを当て、代表作「ゴジラ」をステージ上で上映しな
がら生のオーケストラで音楽を楽しむ。
５ 「夏休みこども企画」の実施
夏休みに合わせ、親子で参加できる音楽入門公演や展示会、体験教室、未
就学児も入場できるオペラ公演などを実施する。
（１）遊べる！デジタルアート展
（２）こどものためのバレエ「ドン・キホーテ」
（３）こどものためのオペラ「花咲かじいさん」
（４）夏休みこども手作り体験（匠ギャラリーでの工芸品製作体験）
６ 「学校キャラバン事業」の実施
県内の小学校へヴァイオリンやフルートなどのプロの演奏家を派遣し、楽
器演奏体験をメインとした出前授業を年１５回程度実施する。
７ 「新・福岡古楽音楽祭」の実施
新・福岡古楽音楽祭を１８世紀音楽祭協会ほかとの実行委員会とともに引
き続き実施する。
８ 九州交響楽団との連携
人気のニューイヤーコンサートや定期支援のほか、「名曲・午後のオーケ
ストラ」シリーズを共催する。
９ 地域サポート体制の強化
公演事業に対する地域企業・団体の協賛、ボランティア団体との事業連携
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など地域サポート体制の一層の強化に努める。
10 地域・伝統文化等の振興
日本固有の伝統文化や福岡独自の地域文化をテーマとした舞台や企画展
等の実施や助成事業を通して、地域・伝統文化の振興を図る。
（１）地域・伝統文化の活性化
①天神薪能
②女性伝統工芸士展の実施
③合唱とオーケストラのための組曲「筑紫讃歌」
④かるた祭りの実施
（２）九州大学と連携した夏休み子ども向けの事業の実施
夏休みの期間における、親子で参加できる体験型事業の開催
（３）共催・協賛事業の開催
青少年等音楽サポート事業や地域文化交流イベント助成事業の実施
11 友の会事業の充実
財団事業の積極的参加者である会員の増員を図るため、次の情報提供や、
参加企画を実施し、継続会員率の向上と新規会員の獲得に努める。
（１）情報紙、発売・公演情報の毎月の送付
（２）友の会機関紙の発行送付
（３）特別価格公演の実施
（４）新たなクラシックファン層の拡大を図るため、音楽専門家によるクラシ
ックやオペラの講座の実施
（５）友の会会員の交流を目的とした参加型事業「歌声アクロス」の実施
・友の会会員数：４，５９６人（H28 年 3 月 1 日現在）
12 販売活動の強化
文化振興事業をより多くの人に利用してもらうため、新たに次の取り組み
を行い、公演情報の提供や窓口サービスの向上を図る。また、安定した事業
収入のため営業促進に努める。
（１）アクロス福岡チケットセンターをリニューアルし、受付窓口担当を設け、
利用者のサービスを向上
（２）販売公演や残席情報を提供するため、デジタルサイネージ表示板を設置
（３）インターネットチケット購入者のチケットを自宅でプリントできるサー
ビスに加え、スマートフォンでバーコード画面を表示して入場できるサ
ービスの実施
（４）子育て層の音楽鑑賞の機会を増やすことを目的とした、アクロス主催公
演における託児サービス無料化の実施
（５）オーケストラやオペラ、室内楽などニーズに応じた顧客への販売促進
（６）企業及び会員組織団体販売斡旋の新規獲得
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Ⅳ 情報提供事業
急増するアジア地域からの外国人旅行者に対応するため、通訳ボランティア
デスクをコミュニケーションエリアに設置するとともに、文化情報ラウンジを
活用し文化・観光に関する情報の収集、整備を充実する。また、ホームページ
の多言語情報コンテンツの充実を図り外国人利用者に向けた情報発信の強化
を行う。さらに、福岡県が誇る伝統工芸を広く紹介するとともに文化活動の交
流の場及び活動を支援する場を提供する。
広報活動については、アクロス主催公演や文化イベントの告知、施設案内を
はじめアクロスの活動について情報誌やインターネット、メディアを活用した
効果的な広報を実施する。
１ 時代の変化に対応した多彩な情報の受発信
九州・沖縄、山口各県の行政や観光協会、文化施設、文化団体、文化活動
者（個人）からの情報収集を図り、窓口のほか紙媒体やインターネットサー
ビス、大型画面等で文化・観光情報をより広く発信する。また、２階の文化
観光情報ひろばの一部を１階へ移設し、観光情報提供のサービスを拡充し、
市町村等と連携したイベントの検討を進め、コミュニケーションエリアの賑
わいと交流の場づくりを進めていく。
（１）文化情報ラウンジにおける文化情報・観光情報の提供
① 福岡県を中心に九州・沖縄、山口の音楽、美術、演劇に関する文化情
報（チラシや情報誌等 350 種類）を収集し、「文化観光情報ひろば」
で提供
② 福岡県内市町村、九州・沖縄、山口各県の紹介や祭りイベントに関す
る観光情報（パンフレット等 600 種類）を収集し、1 階「コミュニケー
ションエリア」で提供
③ 窓口・電話・メールによる文化・観光に関する相談及び情報提供
④ 九州・沖縄、山口各県のイベントや文化施設情報を画像やテキストで
収集のうえ、コミュニケーションエリアの大型画面を活用し放映
⑤ 通訳ボランティアデスクによる外国人利用者への情報サービス提供
（２）IT を活用した文化・観光情報の充実強化
① ホームページ上で多言語（英語・中国語・韓国語）による公演や文化
イベント情報を提供
② 多言語版コンテンツの充実（アクロスオリジナル情報）
③ ユーチューブを利用した、公演や伝統工芸の動画配信
④ 検索サイト「おでかけナビ」を九州・沖縄、山口エリアに拡大し、文
化情報をタイムリーに提供
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２ 多様な主体と協働・連携した地域・伝統文化の紹介と活動支援
伝統文化の継承と普及活動を支援するため、関係団体との連携により、
地域・伝統文化の紹介や文化活動者に発表の場を提供する。
（１）福岡県の伝統的工芸品の普及
① 匠ギャラリーにおける国、県指定工芸品の常設展示
② 匠ギャラリー企画展の開催（年５１企画）
③ 子どもを対象にした夏休み手作り体験企画の開催
④ 小学校の社会科見学、外国人の見学受け入れの実施
⑤ 伝統工芸品（国指定７産地）を大型画面で多言語により紹介
（２）地域文化活動者への活動支援
① 匠ギャラリーにおける県内を中心に活動する工芸作家に対する活動の
場の提供
② メッセージ・ホワイエを活用した作品展示の場を個人・グループの文
化活動者へ提供
③ コミュニケーションエリアを活用した作品等の展示の場を行政、文化
団体等へ提供
（３）文化施設と連携した文化講座の開催
九州、山口各県の文化施設と連携し、各地で開催される企画展の事前レク
チャー講座「アクロス・文化学び塾」を開催（年１６講座）
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広報・PR 活動
アクロスの主催事業等を県内外に向けて効果的に広報・ＰＲするため、SNS
等を含め多様な媒体を活用する。
（１）効果的な広報の実施
① 情報誌「ACROS」（月 1 回）
コンテンツとレイアウトの見直しを図り誌面を通じて主催公演、文化イ
ベントの魅力を分かりやすく紹介
② ポスター、パンフレット、DM 等
館内、地下鉄などの交通機関、文化施設等において掲示、配架する他ア
ンケートに記入いただいた個人に対し公演情報告知の DM はがきを送付
③ ホームページ
施設、公演情報をタイムリーに提供するとともに PC やスマートフォン向
けのメルマガを配信
外国人向けに英語・中国語・韓国語による多言語情報を充実
④ フェイスブック
公演当日チケット情報、アウトリーチ事業、文化イベント情報等の当日
の情報をタイムリーに発信
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（２）メディアの活用
定例記者発表の実施、九州各県の県政記者クラブへの投込み等効果的な
プレスリリースを実施する他、県、市政だよりをはじめとする無料系パブ
リシティの充実を図る。
（３）広聴機能の充実
公演や企画展毎のアンケートや窓口、電話、ホームページを通じて寄せら
れる意見や要望を収集し、事業の改善に取り入れる方向で財団内での対応・
改善策を協議する。また、その結果を情報誌やホームページ等で公開する。
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