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189 - 電子情報通信学会
平成 20 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会 講演番号:189 胸腹部表面形状計測を目的とした空間コード化システムの実装と評価 Inplementation and Evaluation of the Structured Light System for the Body Surface Shape Measurement 小石毅*2 生江達哉*3 中口俊哉*3 津村徳道*3 三宅洋一*3,4 岡田銀平*1 Ginpei Okada Takeshi Koishi Tatsuya Namae Toshiya Nakaguchi Norimichi Tsumura Yoichi Miyake *1 *2 千葉大学工学部情報画像工学科 千葉大学大学院自然科学研究科 *3 千葉大学大学院融合科学研究科 *4 千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター *1 Department of Information and Image Science, Faculty of Engineering, Chiba University *2 Graduate School of Science and Technology, Chiba University *3 Graduate School of Advanced Integration Science, Chiba University *4 Research Center for Frontier Medical Engineering, Chiba University 1. はじめに 我々がこれまでに開発してきたプロジェクターに よる腹腔鏡下手術支援システム[1]では,人体胸腹部 表面の形状を,カメラとプロジェクターを用いた空 間コード化法により計測する.空間コード化法では 一般に,投影する構造光の枚数と計測の信頼性がト レードオフの関係にあり,信頼できる計測結果を得 るためには多数の構造光の投影を必要とする傾向が ある.しかし,計測対象が人体のように常に動いて いる場合,複数枚の投影は誤差要因となる.そのた め,最適なシステムを設計するには,計測対象の動 きが引き起こす誤差の影響を評価する必要がある. 本研究では,代表的な空間コード化法である位相シ フト法とグレイコードを用いた計測システムを実装 し,実験により胸腹部表面形状の計測精度を調べた. 2. 空間コード化法による形状計測システムの実装 カメラ(Lumenera 社製 LU-175C-IO,レンズは FUJINON 社 製 HF16HA-1B ) の 解 像 度 を 1280 × 1024,プロジェクター(StereoGraphics 社製 InFocus DepthQ)の解像度を 800×600 として計測システム を実装した.現在は外部信号によるカメラとプロジ ェクターの同期を取っておらず,構造光の撮影には 1 枚あたり 0.29 秒を要する. 位相シフト法の実装においては,キャリブレーシ ョン[2],プロジェクターのγ補正[3],位相のアンラ ップ[4]に Zhang らの手法を用いた.この手法では位 相のシフト量は 2/3πとし,アンラップした位相と カメラ画像座標を対応付けるための基準位置投影と 合わせ,計 4 枚の投影画像を用いる.ここでは,16 周期分の正弦波からなるパターンを用いて実装した. グレイコードは位相シフト法よりも信号ノイズや プロジェクターとカメラの非線形なγ特性に対しロ バストである.しかし,位相シフト法よりも投影パ ターンが多いため,計測対象の動きの影響を受けや すい.ここでは 22 枚の投影画像を用いる最大解像 度の投影パターンを実装した. 実装したシステムを用いて静止した状態の白色の 平面を計測し,理想的な平面にフィッティングした 結果,位相シフト法での RMSE は 0.73mm,グレイ コードでの RMSE は 0.63mm であった. カメラ 750mm 170mm 800 奥行き [mm] 700 プロジェクター 850mm 図 1 実験ジオメトリ 25 20 誤差 [mm] 図 2 位相シフト法の計測結果 位相シフト法 グレイコード 15 10 5 0 図 3 胸腹部表面形状の計測精度(被験者 4 人) するために,B チャネルを使ってプロジェクター座 標が既知である 49 点のドットパターンを投影する. 投影されたドットパターンの三次元座標を用い,空 間コード化システムの計測精度を評価する.着席し, 4 秒に 1 回の間隔で呼吸するよう指示した被験者 4 人についての計測結果の RMSE と標準偏差を図 3 に示す.位相シフト法はグレイコードに比べ誤差が 小さくなった.グレイコードの場合,呼吸による形 状の変化の大きい腹部付近で誤差が大きくなり体動 の影響を受けやすいことがわかった. 4. 結論 空間コード化法による形状計測システムを実装し, 胸腹部表面形状の計測精度を調べた.静止した物体 の形状計測は,位相シフト法に比べグレイコードの 方が高精度である.しかし対象が人体のように常に 動いている場合,位相シフト法の方が誤差は小さく, 我々のシステムに有効であると考えられる.今後は 実際の手術に近い状態での評価が必要である. <参考文献> [1] T. Koishi et al., SPIE MI, 6918-35, 2008 [2] S. Zhang and P. Huang, Optic.Eng., 45 8, 083601, 2006 [3] S. Zhang and S. T. Yau, Appl.Opt., 46 1, 36-43, 2007 [4] S. Zhang et al., Appl.Opt., 46 1, 50-57, 2007 3. 実験 実験ジオメトリを図 1 に,位相シフト法による計 測形状の例を図 2 に示す.プロジェクターの G チ ャネルから構造光を投影し,形状の正解値を算出 -189- Copyright © 2009 IEICE