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梗概集PDFファイル(5MB) - 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援

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梗概集PDFファイル(5MB) - 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援
訓練研究・総合制作発表会
千葉職業能力開発短期大学校
梗
概
集
平成25年3月1日(金)
10:00~15:30
千葉キャンパス
1号館1F 視聴覚教室
〒260-0025
千葉県千葉市中央区問屋町 2-25
本発表会は、職業能力開発施設における日頃の成果を広く一般に公開するものです。
機械系、電気・電子系、居住系の職員及び学生による研究制作活動の成果を展示・発
表をとおして「ものづくり」に関する理解を深めていただくイベントとなります。
発表会の構成は、午前の部を職員による訓練研究発表、午後の部を学生による総合制
作発表で開催します。また、同会場の1階ロビー及び2階 1204 会議室で職員・学生の
作品展示をしおりますので、ぜひご覧ください。
各分野の発表・展示をとおして、段階的・体系的な能力開発の重要性について、多く
の方々にご理解いただければ幸いに存じます。
< Memo >
<<
時
>>
発表会プログラム
間
10:00 ~
発表テーマ
発表者
所
属
ページ
開会式
校長挨拶
(司会)学務援助課長
「職員発表」
(座
長)
10:10 ~
電気エネルギー制御科開設への取り組み
森口
肇
水渡 博幸
鈴木 良行
千葉職業能力開発短期大学校 ・・・ 1
10:25 ~
電子情報技術科におけるネットワーク実習
の取り組み
溶融亜鉛めっき高力ボルト摩擦接合部の特
性
休 憩 (10 分間)
プレス機械の安全性向上について
佐藤
義弘
千葉職業能力開発短期大学校 ・・・ 3
佐野
豊
千葉職業能力開発短期大学校 ・・・ 5
(座
脇本
長)
昭一
佐藤 一晃
鳥塚
健
千葉職業能力開発短期大学校 ・・・ 9
成田校
千葉職業能力開発短期大学校 ・・・ 11
成田校
千葉職業訓練支援センター
・・・ 13
10:40 ~
10:55 ~
11:05 ~
11:20 ~
11:35 ~
航空従事者養成施設としての航空機整備科
の紹介
企業ニーズに応じたセミナーの実践報告
11:50 ~
昼
13:00 ~
総合制作実習について
能力開発部長
13:10 ~
「学生発表」
技能競技を目的とした自動組立装置の開発
(座
田邉
長)
祐
13:25 ~
移設可能な仮設構造物の製作
竹澤
天飛
13:40 ~
ラピットプロトタイピングによるアセンブ
リモデルの製作
アイスモールドの製作
五十嵐 郁弥
13:50 ~
14:00 ~
合田 祐三郎
辻
栄一
食
・・・ 17
・・・ 19
・・・ 21
高橋
敏
篠塚 拓也
飯田 翔生
生産技術科
・・・ 23
電子情報技術科
・・・ 25
(座 長)
黒沢 淳一
幸田
啓
黒瀬 敏浩
電子情報技術科
・・・ 29
青木 光司
鈴木
晃
鈴木 裕吾
小谷中 雄伍
永吉 慧也
制御技術科
・・・ 31
制御技術科
・・・ 33
住居環境科
・・・ 35
住居環境科
・・・ 39
14:30 ~
無線モジュールを使ったバンク角計測シス
テムの製作
休 憩 (10 分間)
ウッドセラミックス湿度測定システムの開
発
プレス用安全装置の設計・製作
14:40 ~
風力発電システムの設計・製作
14:50 ~
風力発電装置架台制作
齋藤
15:00 ~
側板を柱・背板を壁とした家具の家
高橋
淳
中嶋 明日翔
吉川 直希
15:10 ~
講評・閉会式
来賓・校長
要約集
平成 24 年度総合制作実習要約
14:10 ~
14:20 ~
若林
革
坪内 左京
関東職業能力開発大学校
生産機械システム技術科
関東職業能力開発大学校
建築施工システム技術科
生産技術科
※ 職員・応用課程学生発表:15 分(発表 12 分・質疑応答 3 分)
(予鈴:10 分・12 分・15 分)
巧
・・・ 49
専門課程学生発表:10 分(発表 8 分・質疑応答 2 分)
(予鈴:6 分・8 分・10 分)
※ 1号館1F ロビー及び1号館2F1204大会議室にて、職員・学生の作品展示を行っております。
併せてご見学ください。
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
(平成 25 年 3 月 1 日)
電気エネルギー制御科開設への取り組み
The Report on establishment of The Department of Electricity Energy
and Control Engineering
佐 藤 一 晃*1
○森 口
Kazuaki SATO
要約
肇
*1
Hajime MORIGUCHI
2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災を契機に環境やエネルギーに対する国民の意識が高まって
いく中、2012 年 4 月に全国 16 校のポリテクカレッジにおいて、
「電気エネルギー制御科」が開設された。
本発表では、千葉短大における「電気エネルギー制御科」開設までの取り組みを報告するとともに、特徴ある
カリキュラム、実習装置などもあわせて紹介する。
1 はじめに
わが国は省エネルギー型社会にシフトせざるを得な
い状況にある中、2011 年 3 月 11 日、東日本大震災が
発生し、省エネルギーだけでなく、創エネルギー、考
エネルギーも意識しなければならなくなった。
そのような状況の中、環境・エネルギーの技術革新
に対応可能な人材、具体的には、ものづくりの現場で
ある工場や事業所などにおける電力管理やエネルギー
の有効利用に関する企画・立案・実施・評価・改善が
可能な人材、省エネルギー化を考慮した自動機械の設
計・製作が可能な実践技術者の育成を目的として、
「電
気エネルギー制御科」の設置に至った。
千葉短大においても、2011 年 4 月より「電気エネル
ギー制御科」開設に向けて、訓練の実施に必要な機器
の導入、教室および実習場の確保をはじめとしたハー
ドウェア、訓練カリキュラムや時間割の作成、授業担
当者の決定をはじめとしたソフトウェアの両面で、制
御技術科の先生方をはじめ、千葉短大全体の協力を得
ながら、整備を進めてきた。
本発表では、
「電気エネルギー制御科」開設までの 1
年間の取り組みを報告するとともに、カリキュラム構
成、環境・エネルギー分野の特徴的な実習装置、現状
などもあわせて紹介し、訓練開始後 1 年が経過した中
で見えてきた課題について、考察する。
葉短大に配属された。開設時には、訓練担当の中心的
役割を担うことを想定し、
2011 年 5 月から 2011 年 12
月にかけて、
「電気エネルギー制御科担当者研修」を受
講した。訓練実施にあたって、訓練機器の整備、実習
場および教室の確保が急務であったが、制御技術科を
はじめ、千葉短大全体の協力を得ながら、開設までに
ほぼ完了した。
また、開設にあたっては、ガイドブック、ホームペ
ージに科の紹介を新設するとともに、科独自にポイン
トを分かりやすく説明したリーフレットを作成し、広
報資料として高校訪問等で活用している。
その他の広報活動として、主に高校生を対象とした
オープンキャンパス、体験授業、中学生を対象とした
キャリア教育エキシビションなどもあわせて実施して
いる。各種イベントの内容に応じて、説明資料を作成
し、必要に応じて配布している。
3 カリキュラム策定
電気エネルギー制御科の教育訓練目標として、
「電気
技術、環境・エネルギー技術及び制御技術を基礎とし
て、自然エネルギーである風力発電や太陽光発電の電
力制御等を学び、電気自動車やロボットなどで使われ
るモータの効率的な利用技術、工場の自動化技術及び
省エネ化技術を身に付けた実践技術者の育成」が掲げ
られている。また、教育訓練目標を踏まえたカリキュ
ラムは、電気技術、環境・エネルギー技術、制御技術
を 3 つの柱としている。
2 電気エネルギー制御科開設への取り組み
2011 年度は、3 名の指導員が開設準備担当として千
*1 千葉職業能力開発短期大学校 電気エネルギー制御科
Department of Electricity Energy and Control Engineering
-1-
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
提示された履修科目単位表によると、専門課程 2 年
間で習得する 156 単位のうち、標準カリキュラムが
133 単位、標準外カリキュラムが 23 単位であり、非
常に自由度が低い科目構成となっている。
したがって、地域ニーズを踏まえたカリキュラム内
容を策定することは困難であったが、制御技術科に対
して求人票を送付する企業の大多数が製造業であるこ
と、機器の有効利用も踏まえて、機械加工要素を標準
外カリキュラムとして策定し、千葉短大の特徴的な履
修内容として位置づけた。
(平成 25 年 3 月 1 日)
つが仕上がり像に示されている。
修了生の活躍が期待される技術分野のイメージを図
2 に示す。
4 特徴的な実習装置
電気エネルギー制御科開設にあたって、
訓練機器
(実
習装置)を導入した。環境・エネルギー分野の訓練で
使用する特徴的な実習装置を紹介する。
代表的な実習装置として、太陽光発電システム(図
1 参照)
,風力発電実験装置,ヒートポンプ基礎実習装
置,エネルギー回生実験装置などが挙げられる。
図 2 修了生の活躍が期待される技術分野
6 現状と課題
2012 年 4 月、指導員 5 名体制のもと、第 1 期生 20
名が入校し、1 年が経過した。
学生は日々知識・技能の習得に励んでおり、少しず
つ成長している姿も見受けられ、我々指導員も手探り
状態ではあるが、充実した毎日を過ごしている。
訓練開始後 1 年が経過した中で、定員確保、オープ
ンキャンパスの実習テーマ設定、広報資料のアップデ
ート、求人企業開拓、他科との連携などが課題として
見えてきた。
7 おわりに
本発表では、
「電気エネルギー制御科」開設までのさ
まざまな取り組みを報告するとともに、
カリキュラム、
特徴的な実習装置、進路のイメージ、現状と課題を紹
介した。1 年間訓練を担当する中で見えてきた課題も
あるが、環境・エネルギー分野におけるイノベーショ
ンをリードする実践技術者を育成するため、日々精進
する所存である。
最後になりましたが、開設準備、運営に際し、惜し
げもなく時間を割いて協力していただいた電気エネル
ギー制御科、制御技術科の先生方をはじめ、千葉短大
のみなさまのご厚意に深く感謝いたします。
図 1 太陽光発電システム(ソーラーパネル)
5 修了後のイメージ
電気エネルギー制御科修了後は、他科同様「進学」
と「就職」への道が選択可能である。
進学については、2014 年 4 月より、電気エネルギ
ー制御科の進学コースである応用課程「生産電気シス
テム技術科」が開設される予定である。
千葉短大からも環境・エネルギー分野をリードする
技術者を輩出するため、積極的に生産電気システム技
術科への進学を薦めていきたい。
就職については、電気・制御系の設備保守・管理、
各種工場電気設備の設計・施工、自然エネルギー関連
会社、省エネルギー化に関する幅広い分野への就業を
想定している。具体的には、エネルギー有効利用技術
者、電力設備の管理技術者、産業機械制御技術者の 3
参考文献
1)2012 年度 学生便覧
2)千葉職業能力開発短期大学校 HP
http://www3.jeed.or.jp/chiba/college/
-2-
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
(平成 25 年 3 月 1 日)
電子情報技術科におけるネットワーク実習の取り組み
Measurement of a technical level by network training
in the Department of Electronics Information Technology
佐 藤 義 弘 *1
Yoshihiro Sato
要約
2013 年 3 月に電子情報技術科においては、3期目の修了生を送り出すことになる。そこで、実習を主
に担当するネットワーク分野に関して、学科と実習の3年間の訓練状況を整理し、課題となる部分を報告する。
特に、過去に実施したネットワーク分野の実習との差分を示し、当学科修了生の進路状況を踏まえて、今後に向
けて考察する。
1 はじめに
2009 年 4 月に電子情報技術科を設置して以降、以
下に示す3つの技術分野の基本を学びながら、訓練時
間の半数以上を実習に充てることで、実践に強い技術
者の育成に取り組んできた。
① 電子工学
② ソフトウェア開発技術
③ ネットワーク技術
この基礎力を融合して、組込み技術者への道を目指
すことが、当学科の目標の一つである。
但し、高校卒業後2年間の訓練時間だけでは、各分
野の基本技術プラスαを習得するだけの時間的な余裕
しかなく、プラス2年間の訓練となる応用課程に進学
することで、この目標が達成可能となる。
ワーク構築実習は主にサーバ構築とネットワークプロ
グラミングの初歩の内容、移動体通信技術は携帯電話
の基礎と無線 LAN の内容である。
又、移動体通信技術は、従来の学科には無く、電子
情報技術科発足時に採用した科目である。
尚、ネットワーク構築実習は、当校当学科が独自に
設定した科目であり、それ以外は、標準カリキュラム
に準拠した科目である。
3 ネットワーク構築実習の概要
当学科が独自設定したネットワーク構築実習の実習
内容の項目は、表2の通りである。
表 2 ネットワーク構築実習の項目
実習内容の項目
時間
No
Linux インストール
1
4
Network 設定とユーザ作成
2
2
TELNET、FTP サーバの構築
3
6
Web(Apache)サーバ構築
4
4
自己紹介ページのアップロード
5
2
Web プログラミング(CGI etc)
6
8
Web プログラミングの課題
7
4
DBMS(My SQL)の構築
8
4
表定義、SQL の実習
9
4
DBMS I/F AP の作成
10
4
Web-DB
プログラミングの課題
11
4
DNS(BIND)サーバの構築
12
8
Mail(Postfix)サーバの構築
13
8
Socket I/F の AP の作成
14
6
2 ネットワーク関連のカリキュラム
ネットワーク技術関連のカリキュラム体系は、表1
の通りである。
表 1 科目名と単位数
学科科目(単位数)
実習科目(単位数)
情報通信工学
2 情報通信工学実習
2
ネットワーク技術
2 ネットワーク構築実習
4
移動体通信技術
2
各科目の概要は、情報通信工学と同実習はデータ通
信の基礎と Ethernet の内容、ネットワーク技術は
TCP/IP を中心とした通信プロトコルの内容、ネット
*1 千葉職業能力開発短期大学校 電子情報技術科
Department of Electrical Information Engineering
-3-
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
4 ネットワーク構築実習の習得度合
ネットワーク構築実習を2010 年~2012 年と実施し
て来て、専門課程 2 年生の学生がどの程度の割合で実
習内容を習得できているかを、幾つかの実習の達成状
況を用いて下図に示す。
尚、2006 年~2008 年に関しては、従来学科の一つ
である情報技術科のデータである。
(平成 25 年 3 月 1 日)
従来学科の情報技術科の学生と同等か、それ以上の基
本的なプログラミング能力を有しているのがわかる。
しかしながら、当学科の第2期生と第3期生に関し
ては、プログラムの制御構造や構造体の様なデータ構
造、関数の引数にポインタや配列の先頭アドレスを用
いることなどを十分に習得できていない学生が、約3
割程度いることがわかる。
図 3 からは、電子情報技術科の殆どの学生が、Web
プログラムの機能モジュールと DBMS からデータを
取得する機能モジュールを上手に組み合わせることが
できないことがわかる。
5 当学科修了生の進路状況
現時点において、ネットワーク実習の成果を、主た
る業務や勉学で活用できる考えられる修了生は以下の
通りである。
表 3 修了生の進路状況
年度
応用課程等進学者
就職(IT)
3名
2010 生産情報科 2 名+東京校 1 名
0名
2011 生産情報科 5 名
1名
2012 生産情報科 4 名+専門学校 1 名
図 1 幾つかのサーバ構築の達成度
図 2 基本的なプログラミングの達成度
図 3 応用的なプログラミングの達成度
図 1 からは、電子情報技術科となり、Mail サーバの
構築で若干の学生が苦戦しているが、概ね、サーバ構
築に関しては実習を修了しているのが判る。
図 2 からは、
電子情報技術科の第1期生に関しては、
-4-
6 今後に向けての考察
電子情報技術科においては、電子工学の学科と実習
に総訓練時間の 42%の比重を割いており、当学科の修
了生の進路状況を考えるとネットワーク実習にかける
訓練時間は、現状通りで適正と考える。
今後、
以下の2項目に関して、
改善を検討中である。
6-1 ネットワーク機器の設定実習
学生数に対応する機器の環境が整えれば、ルータ設
定やルーティングの実際、
L3 スイッチの設定実習も是
非、行いたいと考える。
6-2 Android アプリケーションの開発実習
年を追う毎に、学生からの要望が増えているのが、
Android アプリの開発である。学生が強い興味を持つ
以上、
効果的に技術力向上が見込まれる可能性もある。
但し、当学科においては C 言語を中心にプログラミ
ング実習を行っており、
Java 言語の習得を担保できな
い時点での導入では効果が得られない可能性もある。
尚、Android OS と中核のライブラリーは、C 言語
や C++で記述されているが、専門課程の学生には、大
分、敷居が高く、難しいのが現状である。
参考文献
1)IT 人材白書 2012,独立行政法人情報処理推進機構
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
(平成 25 年 3 月 1 日)
溶融亜鉛めっき高力ボルト摩擦接合部の特性
Properties of HTB Friction Joints with Hot-Dip Galvanized Faying Surfaces
佐 野 豊
*1
Sano Yutaka
要約
日本建築構造技術者協会関東甲信越支部千葉(jsca 千葉)と構造体接合部における構造の安全に関わる
共同研究を行ってきたところである。
本稿は,その波及効果として特に溶融亜鉛メッキ部材の接合面処理方法について今まで建築分野では取り上げて
こなかった,溶融亜鉛メッキ部材の接合摩擦面へのサンドブラスト処理の可能性を実験により定量的に評価し,
サンドブラスト処理をおこなう際の処理方法の規定を提案している。
以上が本稿の概要であり,溶融亜鉛メッキ部材の接合摩擦面へのサンドブラスト処理の処理方法の規定提案は,
本稿が初めてであることを冒頭に述べておく。
1 はじめに
建物の露出部分に鋼材を使用する場合,その部材を
溶融亜鉛メッキとすることは,今では広く一般化した
ものとなっている。またこの場合の部材接合方法も高
力ボルト接合が一般的である。
溶融亜鉛メッキを施した構造部材を,高力ボルト接
合する場合,接合摩擦面(以下 摩擦面)の粗さを確保
するための処理方法として現在ショットブラスト処理
およびグリットブラスト処理が共通仕様書等に規定さ
れており,
サンドブラスト処理は規定から外れている。
2 実験方法
実験方法は,
「粗さ試験」および「すべり試験」から
なっている。
摩擦面の表面粗さとすべり耐力の関係の詳細につい
ては,本稿で触れていないが,分析結果を図 2-1 に示
す。当該分析結果から表面粗さとすべり耐力に相関が
あることがわかる。
このため溶融亜鉛メッキを施した摩擦面のサンドブ
ラスト処理は,建築分野において検討がなされていな
いところであった。
なお 土木分野においては,
溶融亜鉛メッキを施した
摩擦面のサンドブラスト処理は橋梁等においてメッキ
面の処理方法の1つとして研究が報告されている 3) が,
サンドブラスト処理方法の定量的評価には至っていな
いところである。
そのために,本稿において溶融亜鉛メッキを施した
摩擦面のサンドブラスト処理方法を,粗さ試験および
すべり試験によって定量的に評価し,実用的サンドブ
ラスト処理仕様を提案している。
*1 千葉職業能力開発短期大学校 住居環境科
Department of Housing Environment
-5-
図 2-1 表面粗さとすべり耐力の関係
本稿はこの試験結果を基に,摩擦面の表面粗さを仮
定条件とし,
(しきい値を Rz min≧50 として)これに
適合した仕様をすべり試験により評価するものとした。
粗さ試験においては,東京精密計測社の
SURFCOM1900SD2 型試験機により摩擦面粗さ Rz,
Rz min および Rz max を計測した。
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
図 2-2 に粗さ試験装置を示す。
(平成 25 年 3 月 1 日)
事編 2) によるすべり試験用試験体とし,比較用を含め
溶融亜鉛メッキの有無による2種,8体とした。また
高力ボルトは M16 F8T メッキボルトとした。
試験体詳細は,図 3-1 による。
図 2-2 粗さ試験装置
図 3-1 試験体詳細図
すべり試験においては,島津製作所製 UH-1000 型
粗さ試験用試験体は,上記の試験体のうちのスプラ
油圧試験機により加力をおこない,接合面の変位を,
イスプレートを使用した。
クリップゲージと計測アンプにより電圧信号に変換の
なお,摩擦面の各仕様は,表 3-1 による。
後,計測コンピュータに取り込み UH-1000 の加力信
号とあわせてデータ処理を行った。
表 3-1 摩擦面仕様
また,比較用として溶融亜鉛メッキを施さず,摩擦
面に発錆処理をした供試体も同様の試験をおこなった。
摩擦面
摩擦面サンドブラスト処理
使用数字は吹付け時間を表す(秒)
発錆処理
図 2-3 にすべり試験装置を示す。
発錆
30s
60s
180s
300s
* 使用サンドは4号,吹付は無回収吹き放しでおこなった。
4 実験結果
粗さ試験の結果を,表 4-1 に示す。
表 4-1 粗さ試験結果
試験体仕様
計
測
値
Rz
発錆
30s
60s
180s
300s
84.7
45.0
61.21
66.5
73.7
Rz min
57.1
24.8
41.7
59.7
59.8
Rz max
119.0
61.2
76.9
71.6
85.1
* 使用サンド号数:4号,試験体の数字は吹付時間を表す。
粗さ試験の結果より,粗さの最低値が 50μmRz を
超える 180s 以降の粗さが有効であると考えられる。
よって,溶融亜鉛メッキのすべり試験の試験体は
180s 仕様の試験体において行うものとした。
すべり試験の結果を,表 4-2 に示す。
また試験状況を図 4-1 に示す。
図 2-3 すべり試験装置
3 試験体
試験体は,日本建築学会建築工事標準仕様書鉄骨工
-6-
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
表 4-2 すべり試験結果
試験体
ッ
メ
キ
無
し
サ
ン
ド
ブ
ラ
ス
ト
(平成 25 年 3 月 1 日)
錆処理に比して変位が先行する傾向もみられない。
最大耐力
最大耐力時変位
kN
mm
N-001
237.050
0.207
N-002
242.810
0.207
N-003
243.800
0.203
N-004
244.310
0.216
B-001
238.828
0.174
B-002
217.156
0.183
B-003
230.641
0.177
B-004
230.594
0.189
図 5-1 荷重-変位曲線
すべり試験後の摩擦面に関して,図 5-2 からもわか
るように,サンドブラスト処理も発錆処理も大きく異
なるところはなく,同様のすべり性状を示しているも
のと考えられる。
図 4-1 すべり試験状況
図 5-2 すべり試験終了時摩擦面状況
5 考察
試験結果より,すべり耐力を算出すると表 5-1 に示
すとおりであり,すべり耐力においてサンドブラスト
処理は発錆処理と大きくかわらない耐力を有すること
がわかる。
また,ばらつきを考慮した結果においてもボルトす
べり耐力を上まわっており,日本建築学会建築工事標
準仕様書鉄骨工事編 2) の示す許容範囲内に入っている
ことが表 5-2 からわかる。
表 5-2 ボルトすべり耐力との比較
表 5-1 すべり耐力
試験体
ッ
メ
キ
無
し
サ
ン
ド
ブ
ラ
ス
ト
すべり耐力
平均値
kN
kN
N-001
237.050
N-002
242.810
N-003
243.800
N-004
244.310
B-001
238.828
B-002
217.156
B-003
230.641
B-004
230.594
241.9925
標準偏差
3.353
試験体
信頼区間 95%値
kN
サ
ン
ド
ブ
ラ
ス
ト
239.054
最大耐力
平均値
kN
kN
kN
160.32 kN
229.305
221.437
> 160.32
B-001
238.828
B-002
217.156
B-003
230.641
B-004
230.594
信頼区間 95%値 ボルトのすべり耐力
* 標準偏 差= 8.976
229.30475
8.976
この結果を得た 180s 仕様を,さらに定量化するた
め,サンドブラスト処理をパス回数で規定する。
摩擦面全体を図 5-3 のように,応力に対し平行にす
べてサンドブラスト処理をした後,つぎに応力に直角
方向にすべてサンドブラスト処理をおこなう。これを
1回とし,6回施工したものが 180s 仕様となる。
221.437
荷重-変位の関係も図 5-1 より,サンドブラスト処
理は発錆処理と同等であり,サンドブラスト処理は発
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
(平成 25 年 3 月 1 日)
にサンドブラストを使用することの有利性であるが,
ショットブラストおよびグリットブラストにおいては,
材料の性質上,
溶融亜鉛メッキ部材への金属粉の付着,
金属片の残余が避けられないところである。
ところで構造材に溶融亜鉛メッキを施す目的は,露
出部材の防錆にある。
構造材自体の腐食はなくとも,付着金属の発錆によ
る美観の低下や錆水の滴下による二次発錆などは,庇
やバルコニーといった,建物本体から突出した露出部
分に使用される溶融亜鉛メッキ部材としては避けたい
ところである。
サンドブラスト処理は,その材料からも発錆リスク
は極めて低く,ショットブラスト処理およびグリット
ブラスト処理に対し,非常に有効な方法であると考え
られる。
ただし現行では共通仕様書等にあるとおり,施工の
規定がないため使用できない状況にある。
今後の課題は,
本稿の規定を元に実験データを重ね,
より実況に適するものとすることにある。
図 5-3 サンドブラスト処理パス
6 結果
この考察から得られたおもな結論は以下のとおりで
ある。
溶融亜鉛メッキ部材を高力ボルト接合する場合の摩
擦面処理方法として,適当に処理されていることを条
件にサンドブラスト処理が使用できることがいえる。
そして,適当なサンドブラスト処理の方法とは図
6-1 に示すものである。
参考文献
1)日本建築学会,鋼構造設計基準,2002 年版
2)日本建築学会,建築工事標準仕様書鉄骨工事,2007
年版
3) 川崎製鉄技報,溶融亜鉛めっき高力ボルト摩擦接合
継手のすべり特性および疲労強度,1978 ,
http://www.jfe-steel.co.jp/archives/ksc_giho/10-1
/tobira101.htm
図 6-1 サンドブラスト処理方法の規定
このように溶融亜鉛メッキ部材の摩擦面のサンドブ
ラスト処理を機械的方法で規定したのは,本稿が初め
てであり,この提案は溶融亜鉛メッキ部材の摩擦面処
理に関する重要な情報を提供しうるものであると考え
る。
7 おわりに
以上より,特別な計測装置がなくともサンドブラス
ト処理による,適当な摩擦面処理が可能であると考え
る。
また,溶融亜鉛メッキ部材の摩擦面のブラスト処理
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
(平成 25 年 3 月 1 日)
プレス機械の安全性向上
Improvement in safety of a press machine
脇 本 昭 一
*1
Shoichi Wakimoto
要 約
工作機械、産業機械による労働災害は毎年多く発生している。機械使用時の労働災害を少なくするに
は、使用する人間側の安全な作業方法の徹底はもちろん、機械側で安全を確保することにより安全性を高めるこ
とが重要である。今回、身近なプレス機械において、リスクアセスメントとそれに基づくリスク低減措置を行い
安全性の向上を目指した。
1 はじめに
労働安全衛生法の施行後、機械による労働災害数は
年々減少していたが、近年は横ばいが続いていた。こ
のことは作業者側の意識付けによる注意だけでは、労
働災害の撲滅は難しい、ということを意味すると思わ
れ、一層の低減を図るには機械の危険性又は有害性等
の調査(リスクアセスメント)を行い、機械において
全ての段階において適切な保護方策が実施することが
必要、とされている。現在、労働安全衛生法にも、リ
スクアセスメントを行いその結果に基づく措置を行う
必要がある、と定められている。
【手順2】危険源をすべて洗い出し、その中から
危険状態を漏れなく同定
【手順3】同定されたそれぞれの危険源のリスクを
見積り
【手順4】見積ったリスクをリスク低減の必要が
あるかを判断することにより評価
【手順5】
「安全防護」
、
「付加保護方策」を講じる
ことによりリスク低減、
「使用上の情報の提供」で
機械の残留リスクを使用者に通知
【手順6】保護方策実施後のリスクの再評価
4 使用したプレス機械
図1は、今回題材としたプレス機械である。
使用荷重範囲(加圧力)は 80~300KN(旧表示 8~30t)
ストロークは 250 ㎜の一般的な油圧プレスである。
2 リスクアセスメントとその目的
リスクアセスメントとは、利用可能な情報を用いて
リスク分析及びリスク評価のすべてのプロセスを実施
することである。これによって機械設備が包含するリ
スクの存在とその大小が明らかになるので、そのリス
クを適切に低減することにより、災害に至る危険と健
康障害の要因を可能な限り取り除き、作業に関連する
災害と健康障害が生じない快適な職場を実現するため
の最初の一歩となる。
3 保護方策実施の手順
機械のリスクアセスメント及びそれに基づく保護方
策を実施するには、以下の手順に従って行う。
【手順1】機械の制限に関する仕様の指定
図 1 プレス機械外形図
*1 千葉職業能力開発短期大学校 生産技術科
Department of Production Technology
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
5 リスクアセスメントの実施
プレス機械における機械の特性と作業内容を考えて、
危険性または有害性を見つけだした。そのリスクが発
生する頻度と回避の可能性を勘案してレベルを確定す
る。なお、リスクの特定について JISB9702:2000 を
参考にした。
健康を害すると思われる危険源を全て考えて本プレス
機械のリスクを洗い出しレベルを決めてリスクアセス
メント表を作成した。
リスクアセスメントのリスク程度の値が示す意味は、
以下の通りである。
Ⅲ: 直ちに解決すべき、または重大なリスクがある
Ⅱ: 速やかにリスク低減対策を実施すべきリスクが
ある
Ⅰ: 必要に応じてリスク低減対策を実施すべきリス
クがある
また、レベルの決定は表1に従った。
災害の重大性
致命的
中程度
軽度
/重大
発 高いまたは比較
Ⅲ
Ⅲ
Ⅱ
生 的高い
の 可能性がある
Ⅲ
Ⅱ
Ⅰ
可
能 ほとんど無い
Ⅱ
Ⅰ
Ⅰ
性
表1 レベル決定マトリクス
リスクアセスメント結果において、速やかに対応する
ことを要するレベルであるⅡ以上の項目を抜き出した
ものを図2として示す。
図2 初期リスクアセスメント結果(レベルⅡ以上)
6 リスク低減対策の実施
以上により、速やかに対応すべきリスクが同定された
ので、今回出来る限りの対応を行うことにした。
措置すべき内容として、①プレス部の左右にガードを
装着 ②今回対策できない内容のリスクを出来るだけ
小さくするため警告銘板を貼付し注意喚起、の2点に
(平成 25 年 3 月 1 日)
決定した。
図3に対策措置を行った後のプレス機械の外観を示す。
図3 対策措置後のプレス機械
6 対策後のリスク再評価結果
対策措置後のプレス機械のリスクアセスメント再評
価を行った。その結果の抜粋を図4に示す。
図4 リスクアセスメント再評価結果
改造後のリスクアセスメント結果の通り、プレス機械
においてリスクの高い箇所をある程度低減した。
今回、機械設備の安全性向上の一連の流れを学生主体
で実施したが、比較的取り組みやすいプレス機械で
あったためスムースに行うことが出来た。
前述の通り機械を使用する職場においてリスクアセス
メントを行うことは必須であり、今回の経験を通して
配属された職場でその経験を生かして自分自身の身を
守るだけではなく、職場全体の安全意識の向上によい
刺激となる活躍をしてくれると期待している。
参考文献
1)厚生労働省リスクアセスメント等関連資料・教材
サイト
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneis
ei14/
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
(平成 25 年 3 月 1 日)
指定航空従事者養成施設としての航空機整備科
合 田 祐 三 郎
*1
Yuzaburo GODA
要 約
航空従事者とは航空法で定める「航空業務」を行う者をいう。民間航空の操縦士、整備士などの技能
証明(資格)を受けた者がこれに当たる。一般的には、これら技能証明取得のための「実地試験」は航空局の航
空従事者試験官が行うものであるが、代行として技能審査員による「技能審査」の制度が設けられている。航空
従事者を養成する施設(企業、団体、教育機関の1施設)のうち、申請により所定の基準に適合していると認め
られた場合に指定を受けることができ、
「指定航空従事者養成施設」となる。指定航空従事者養成施設となると、
「実地試験」を「技能審査」に置き換えることができる。
1 航空機の種類
航空法上の航空機とは、飛行機、回転翼航空機(ヘ
リコプタ)
、滑空機及び飛行船のことをいう。これらの
分類を「航空機の種類」といい、操縦士、航空機関士
及び整備士の資格についての技能証明は航空機の種類
を限定して行われる。
2 航空業務
航空法上の航空業務とは、①航空機に乗り組んで行
うその運航②整備又は改造をした航空機について行う
航空法第十九条第二項に規定する確認、
となっている。
①を行う者が操縦士、航空士、航空機関士及び航空通
信士となる。②を行う者が整備士となる。
3 整備士の確認
航空機の整備士の確認とは「航空運送事業用の航空
機(旅客機、貨物機)
」以外の航空機について整備又は
改造をした場合、国土交通省令で定める安全性を確保
するための強度、構造及び性能についての基準に適合
することについて確認することである。
現航空法では「航空運送事業用の航空機(旅客機、
貨物機)
」についての同確認は「認定事業場(者)
」に
よる確認が必要となっており、整備士としての確認の
機会は減少しているが、認定事業場(者)の要員とな
る「確認主任者」になるための要件として整備士の技
能証明(資格)が必要である。
4 整備士の資格制度
航空機の整備士についての技能証明は資格別に行わ
れる。一等航空整備士、二等航空整備士、一等航空運
航整備士、二等航空運航整備士、航空工場整備士の資
格別である。前4者は航空機全体を対象とするのに対
して第5者は航空機の一部分(業務の種類が限定され
る)を対象とする。
「航空整備士」と「航空運航整備士」
との違いは、確認できる作業深度(作業区分)の範囲
の違いであり、
「航空整備士」の方が広い。
「一等」と
「二等」の違いは、対象とする航空機の用途(耐空類
別)の範囲の違いであり、
「一等」の方が広い。一般的
には、
「一等」は大きな航空機まで全て(但し、大きな
航空機は型式が限定される)
、
「二等」は小さな航空機
と考えてよい。
5 千葉職業能力開発短期大学校 航空機整備科
現在、航空機整備科は「二等航空運航整備士」の航
空従事者養成施設として「指定」を受けている。
限定事項
航空機の種類:飛行機
航空機の等級:陸上単発ピストン機、陸上多発ピスト
ン機、水上単発ピストン機及び水上多
発ピストン機
航空機の型式:限定なし
便宜上、
「専門技術課程」と「基本技術課程」の2つ
に分けて「指定」を受けている。
*1 千葉職業能力開発短期大学校 航空機整備科
Department of Aircraft maintenance
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
6 技能証明(資格)取得までの流れ
当校の「二等航空運航整備士」技能証明取得までの
大きな流れは次のとおりである。
1年次3月
学科試験(国家試験)
2年次7月
学科試験(国家試験)2回目
(3月不合格者のみ)
2年次10月 基本技術課程技能審査
(学科試験合格者のみ)
2年次11月 基本技術課程技能審査再審査
(10月不合格者のみ)
2年次2月
専門技術課程技能審査
(基本技術課程合格者のみ)
2年次3月
専門技術課程技能審査再審査
(2月不合格者のみ)
2年次3月
合格者 技能証明の申請
短大専門課程修了後 「技能証明書」の交付
航空力学(翼、飛行力学、安定性、操縦性など)
機体学(飛行機構造、着陸装置、操縦系統など)
ピストン発動機(構造、燃料供給、点火、潤滑など)
プロペラ(分類、推進原理、定速制御、ガバナなど)
計器装備(飛行計器、航法計器、エンジン計器他)
一般装備(酸素系統、空調与圧系統、救急用具など)
電気装備(電気系統、照明、発電機、蓄電池など)
電子装備(無線航法装置、無線通信機器など)
3つの試験又は審査に合格してはじめて技能証明の
申請ができる。
7 授業科目
7-1 基本技術課程の授業科目(学科、実技)
航空機の種類や型式によらず、一般的に通用する共
通の作業技術(航空機の基本技術)を学ぶ。
主な科目は次のとおりである。
航空法規(航空法、航空法施行規則、サーキュラなど)
板金作業(リベット打ち、アルミ板折り曲げなど)
締結作業(ボルトナット、締付トルク、回り止めなど)
ケーブル(張力調整、位置調整、端金具取付けなど)
ホース、チューブ(端金具取付けなど)
機械計測(シリンダゲージ、マイクロメータなど)
電気計測(マルチテスター、メガーなど)
電気工作(コネクタ組立、電線接続、はんだ付け他)
ベンチ作業(手仕上げ、ねじ切り、特殊部品取付)
NDI(超音波探傷検査、染色探傷検査など)
航空機材料(金属、非金属)
表面処理(表面処理法、洗浄法、塗装など)
7-2 専門技術課程の授業科目(学科、実技)
学科目については機械系基礎工学に加え、飛行機の
型式によらない航空工学全般を学ぶ。
主な科目は次のとおりである。
材料力学
流体力学
機構学
(平成 25 年 3 月 1 日)
実技科目については受験機
(主にソカタ式 TB10 型)
に関係する各種マニュアル(英語)を基に、実機また
は実装備品を用いて整備手法を学ぶ。
主な科目は次のとおりである。
機体整備実習(ジャッキアップ、着陸装置、操縦系統、
燃料系統、重量重心計測、油圧系統、防除氷系統など)
発動機整備実習(トップオーバーホール、実機エンジ
ンの取外し取付け、点火タイミング調整など)
プロペラ整備実習(分解組立、静バランス、潤滑など)
電気装備実習(発電実験、電圧調整、充電、外部電源)
計器装備実習(静圧リークテスト、ジャイロ実験など)
電子装備実習(航法通信機器操作、インターコム操作)
航空機取扱実習(実機洗浄、燃料補給、帯電防止、ト
ーイング、実機エンジン試運転、航空機整備の体系、
定時点検、飛行前点検、航空法の実務的運用など)
8 教育規程上のルール
航空従事者の養成施設の「指定」を申請する際には
「教育規程」を添える必要がある。
「指定」を受けた後
は教育規程に記載したとおりに実行しなくてはならな
い。以下、主に学生にとって「厳しい決まりごと」を
列挙する。
①教育規程に記載した各科目内において、各科目の教
育時間数の 80%以上の出席が必要。
②教育時間欠席分は 100%補習が必要。
③関係する学校の授業科目の単位をすべて取得してい
なければ「技能審査」を受けられない。
④「技能審査」においては細分化された各試験科目ご
とに 70/100 点未満は不合格(科目合格はあり)
一方、施設に対する特記的な「決まりごと」として、
実技科目については教官 1 名に対し学生最大 15 名ま
でに制限される。
参考文献
1)航空法 鳳文書林出版販売
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
(平成 25 年 3 月 1 日)
ニーズに応じたセミナーの実践報告
中・高炭素鋼、特殊鋼の溶接 (異材金属の溶接、肉盛り溶接)
The Welding of Middle or High Carbon Steel and Special Steel
(The Welding of Different Metals and Overlay welding)
辻 栄一 *1
Tsuji Eiichi
長田 宗憲 *1
Nagata Munenori
1. はじめに
今回のセミナーは、コース名「中・高炭素鋼、特
殊鋼の溶接」で地元業界団体等に協力を得ながら募
集したが、特殊な溶接(中・高炭素鋼溶接等)であ
り、限られた企業でしか実施していないので受講者
集めに苦労しているのが現状である。
ここでは、企業ニーズによる技術相談を取り入れ
たセミナーを実施したので報告する。事前に受講者
及び企業に今回のセミナーに何を期待しているかニ
ーズを把握するためアンケート・ヒアリングを実施
し、その要望事項をカリキュラム内容に取り入れた
実践例について報告する。
今回、各種実験実習を通して溶接施工管理、溶接
材料の選択及び異材金属接合部や肉盛金属の金属組
織を推察する。
(①溶接部の最高硬さ試験片、②アークストライ
ク試験片、③耐割れ試験片、④異材金属・各種突き
合わせ溶接試験片、⑤蛍光浸透探傷剤と LED ブラッ
クライトによる微小欠陥の検出)⑥肉盛り溶接
3. 実習内容と実習により製作した作品
① 溶接部の最高かたさ試験
SS400、S50Cの予熱有、予熱無を実施し、
材料の違いや電流。電圧を測定して溶接入熱を計算
させて溶接部の最高硬さの違いについて理解させる。
○予熱温度:250℃
○溶接入熱:
H(J/㎝)=60×E(V)×I(A)/v(cm/min)
○溶接熱影響部の最高硬さ(Hmax)をマイクロビッ
カース試験により求める。その際に炭素当量
(Ceq)と Hmax について理解させる。
2. 実施したセミナーカリキュラム
講習は主に午前は学科、午後は実習を実施した。
アンケートの回答例を元にカリキュラムを作成し
た。
Hmax
図1 マクロ試験片と溶接部の最高かたさ試験片
② アークストライク
SS400、S50Cにアークストライクを打た
せて、曲げ試験を実施し亀裂をチェツクし、材料に
よるアークストライクの危険性について理解させる。
溶接施工上いかなる材料に対しても厳禁であるが、
SS400では割れが認めらませんが、S50Cは
割れが発生しています。これは高炭素鋼ほど割れ感
受性が高いことをしめします。
表 1 セミナーカリキュラム
午前
午後
第 1 日目
第 2 日目
第 3 日目
炭素鋼とその溶接講義
溶接欠陥とその防止
中高炭素鋼の特殊溶接
講義
硬化肉盛り溶接講義
ステンレス鋼の溶接講義
硬化肉盛り溶接
割れ
溶接部の最高かたさ試験
アークストライク
耐割れ試験
硬化肉盛り溶接
ステンレス鋼と炭素鋼の
異材金属
*1 千葉職業能力開発促進センター 機械系
〒263-0004 千葉市稲毛区六方町 274
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図2
アークストライク試験片
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
(平成 25 年 3 月 1 日)
ここでは、使用電流による希釈率(溶け込み)の違
いによる割れ発生に影響について理解させる。
溶接材料や溶込み率(電流等)の違いにより溶接金
属組織をシェフラーの組織図より推察し理解する
(図5参照)
。
溶接部にマルテンサイトが析出し、磁性化してお
り、磁石や磁気測定装置を使用して、マルテンサイ
トの析出量の違いが比較できる。
③ 耐割れ性試験
高炭素鋼であるS50CにE4316(低水素系)
とE4319(イルミナイト系)の溶接棒を用いてビードオ
ンプレートによる、耐割れ性試験を実施して溶接棒
の違いによる耐割れ性ついて理解する。
割れ
図6
④-2 ビードオンプレート(SUS304)
使用材料 SUS304 t9×65-150
E4316(低水素系)及び ES308(Ni9%。Cr19%)
使用電流 140A
図3 対割れ性試験片
④ 異材金属突き合わせ溶接
④-1 ビードオンプレート(SS400)
使用材料 SS400 t9×65-200
Cr19%) 使用電流 140A 及び 150A
マルテンサイトの析出量の測定
溶接材料の違いにより④-1 と同じように溶接金
属成分組織を理解する
ES308(Ni9 %。
割れ
割れ
割れ
図7 ビードオンプレート(SUS304)
④-3 異材金属突合わせ溶接
使用材料 SUS304 と SS400t9×65-150
ES08(Ni9%,Cr19%)及び ES309 (Ni13%、Cr24%)
使用電流 140A
図4 ビードオンプレート(SS400)
割れ
図5 シェフラーの組織図
図8
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異材金属(鋼とステンレス鋼)突合わせ溶接
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
(平成 25 年 3 月 1 日)
⑥-2
下盛り ES309(ステンレス溶接棒)
DF3C-700―B(HF800K)
同じ溶接条件により、溶接をしても ES308 と ES309
の違いにより割れの有無の確認。異材金属(SUS304
と SS400)突き合わせ溶接ではシェフラーの組織図
を確認して、溶込み率(電流等)や溶接材料の選択と
溶接金属成分組織が重要となる。
⑤ 蛍光浸透探傷剤と LED ブラックライトによる傷
の検出。
微小欠陥を検出するためブラックライトを使用し
て幅 1~数μm、深さ 10μm レベルの割れまで検出す
ることができる。
図 12 肉盛り試験片(HF800K)
⑥-3
ローラの軸受けをマグ溶接(フラックス入りワイ
ヤ)YF2A-C-350(DW-H350)
図9 蛍光浸透探傷剤と LED ブラックライト
による傷検出の状況
⑥ 肉盛り溶接
硬化肉盛り溶接は摩耗して使用不可となった機械
部品を低価格で再生し優れた耐摩耗性を容易に与え
る。硬化肉盛り溶接を有効に行うためには対象物が
いかなる摩耗を受けるかを考え、それに適した材料
を選択し、適正な施工を行うことが必要である。そ
のためには溶接に対する幅広い知識と技能が必要で
ある。 S45C t19×75-100に図に示
すように3層で多層盛りの肉盛りを実施した。
層間温度、予熱温度 200℃(S45Cくらいの炭
素量では、本来剥離の可能性が低いのでビード下盛り
は省略されていることが多い。)
図 13 ローラの軸受けをマグ溶接施工例
4. おわりに
企業の技術的なニーズから想定して課題を作成し
た。溶接に限ったことではないが、企業ニーズに応
えた技術指導も含めたセミナーは、多くの知識と技
能が組み合わせられたものであり、多くの準備時間
と事前の企業へのアンケート・ヒアリングや事後の
企業への報告も必要になる。これらの実施によりコ
ースの洗い直しや新規セミナーの要望が吸い上げる
一助となる。
目指すものは、技能・技術に創意工夫を加えて、
思考錯誤しながら発展して行くものである。このよ
うなコースは効率が良いとは言えないが、企業や受
講者が喜んでもらえるコースでありたい。ここで示
したデータは教材作成のためのマクロ的なものであ
り、研究データでの多数の実験をおこなった結果で
はない事を付け加える。
今後も考える溶接技術(Thinking Welding)
、創意
工夫を重ねた教材や訓練が必要になる。
図 10 肉盛りの図
⑥-1
下盛り E4316 、
肉盛り DF2B-600-B (HF600)
図 11 肉盛り試験片(HF600)
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
< Memo >
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(平成 25 年 3 月 1 日)
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
(平成 25 年 3 月 1 日)
技能競技を目的とした自動組立装置の開発
~関東 V.S 東海~
関東職業能力開発大学校 生産システム系 開発課題
生産機械システム技術科 ○田邉悠
中條祐
生産電子システム技術科
阿久津大輝 板野隆徳
生産情報システム技術科
植木友哉
古藤野優樹
1.
松井彩音
開発装置概要
開発した装置の外観を図 2 に示す.生産時間の短縮
と省スペース化のために組立ステーション(円テーブ
ル)を中心に各ユニットを配置した.
検査部
出荷部
フタ取付け部
組立ステーション
操作部
モジュール
基板取付け部
供給部
図 2 自動組立装置
組立装置の生産の流れを説明する.
① 操作部で生産する電子製品の注文を行う.
② 供給部でベルトコンベアによりケースが運ばれ,
アームで円テーブルに搬送される.
③ モジュール基板取付け部でアームを動作させス
トッカからモジュール基板を取り,ケースに取り
付ける.
④ フタ取付け部でアームを動作させストッカから
フタを取り,ケースに取り付ける.
⑤ 検査部でフタがケースにはまっているかを画像
処理で検査し,良品か不良品かを判定する.
⑥ 出荷部で判定結果から良品・不良品の出荷スト
ックに振り分けられる.
4.1. 組立ステーション(円テーブル)
省スペース化と生産時間の短縮のため,円テーブル
を採用した.また,回転機構にゼネバ機構を用いること
で動作開始時,停止時の動作速度がゆっくりとサイン
カーブとなり,リニアラインよりも動作時間のロスが
少なくなる.
4.2. 供給部
ケースの搬送にベルトコンベアを用いたのは,他の
直動機構より省スペース化が可能なため採用した. ケ
ースの円テーブルへの搬送はエアシリンダ駆動のアー
ムを用いている. 図 3 に供給部を示す
表 2 の電子製品仕様から東海能開大と協議し,電子
製品は「電子イルミネーション」に決定した.
表 2 電子製品仕様
フタ
モジュール基板
図 1 電子イルミネーション
古澤真也
野口和俊
山本裕輔
4.
はじめに
オリジナルの電子製品を開発し,その電子製品を受
注から組立,検査そして出荷まで行う実際の生産ライ
ンを擬似的に体験できる自動組立装置を開発した.
この課題の特徴は 3 科の技能・技術をバランスよく
発揮できることである.また,競技課題として開発して
いるため,他の大学校とお互いの技能・技術の向上を図
ることができる.今年度は東海能開大と競技を行った.
2. 開発目標
今年度の開発目標を以下の 4 点とした.
① 1 個生産時間 25 秒
② 5 個連続生産時間 40 秒
③ 組立成功率 100%
④ 東海能開大に勝つ
3. 装置仕様と電子製品仕様
この課題は技能競技課題であるため,装置を製作す
るにあたり,東海能開大といくつかの共通仕様を設定
した.表 1 に装置仕様を,表 2 に電子製品仕様を示す.
表 1 装置仕様
図 1 に電子製品を示す.
蛭田雄也
倉澤孝征
森下侑紀
ケース
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
ベルトコンベア
アーム
図 3 供給部
4.3. モジュール基板取付け部
3 種類のモジュール基板は,回転式ストッカに設けら
れたガイドピンで種類別に積み上げてストックする.
アームは先端の吸着パッドでモジュール基板を保持し,
吸着パッドに隣接されたアームガイドによって製品基
板に挿入する.図 4 にモジュール基板取付け部を示す.
(平成 25 年 3 月 1 日)
4.6. 出荷部
出荷部は RC サーボで正逆の回転動作を行う出荷パ
レットにより,良品・不良品ストッカに振り分けられる.
ラック・ピニオン機構で回転動作をするアームに取付
けられたハンドにより電子製品を出荷部へ搬送する.
4.7. 操作部
操作部では電子製品の注文や組立装置のメンテナ
ンス等が行える.ユーザの操作性を考慮し,タッチパネ
ルを採用した.図 6 に操作部のタッチパネルを示す.ま
た,受注データやログなどは組立装置から離れて確認
できるように Android タブレットでも確認できるよ
うにした.
アーム
図 6 操作部
4.8. 制御部
装置全体の制御には PLC を使用し, RC サーボの制
御には H8 マイコンを使用した.また,サーバと PLC 間
の通信は RS232C を使用した. 制御方法としてアクト
スタンバイ方式を用いて,生産時間の向上を図った.
5. 性能評価
東海能開大との競技は,プレマッチを 2 回,本競技 1
回の計 3 回で行う予定である.現段階での装置性能を
表 3 に示す.
表 3 性能評価
2/14 現在
ストッカ
図 4 モジュール基板取付け部
4.4. フタ取付け部
フタの取付けに使用するアームはモジュール基板
取付け部と同じ機構を採用している.フタのストック
にはストッカをスライドさせて,フタを投入できるよ
うにした.
4.5. 検査部
検査部は画像処理を用いて良品,不良品を判定して
いる.判定方法は電子製品の横幅と高さを取得し基準
値と比較して,フタがはまっているかをチェックする.
画像処理にかかる時間を短縮するために検査部は暗室
にした.図 5 に良品・不良品の例を示す.
6.
製作費用
表 4 に製作装置の費用を示す.
表 4 製作費用
基準寸法内
(良品)
7.
おわりに
この開発課題を通して,商品開発から装置開発まで
の一連のものづくりを体験することができた.
また,他の大学校の学生と競い合うことで,技能・技
術をより一層高めることができただけではなく,もの
づくりを通じた交流を深めることができた.
基準寸法外
(不良品)
図 5 良品・不良品の例
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
(平成 25 年 3 月 1 日)
移設可能な仮設構造物の制作
関東職業能力開発大学校
○竹澤天飛
女屋翔太
建築施工システム技術科
芝田和広
佐藤卓也
萩田陽亮
石戸谷誠也
渡辺素朗
1.背景・目的
3.図面・模型製作
本校のグラウンドは、体育の授業の他、サークル活
動、授業の合間の軽い運動等、多くの学生たちに使用
されている.夏の間,激しく運動することもあり,運
動の合間の休憩は欠かすことはできないものである.
しかし,グラウンドには休憩スペースがなく,グラウ
ンド直に座って休憩しているのが現状である.直射日
光を遮る屋根があれば,運動後の疲労回復を図ること
ができると考えられる.グラウンドの使用性を考える
と,休憩スペースの屋根はグラウンドに固定されるも
のではなく,移設可能なものとすることが望まれてい
る.
本テーマでは,本校敷地北側の屋外実習場において,
組立,撤去作業が容易である仮設構造物を制作するこ
とにより,仮設構造物に必要な知識,技術の取得を目
的としている.
構造物の完成像をイメージしやすいように図面作
成と並行して,
1/50模型製作と細かい部分のなどの
修正ができるグーグルスケッチアップを使い,3Dモ
デルを作成した.(図1)
2.概要
4.資格一覧
移設可能な仮設構造物を制作するにあたり,小山駅
に新設された改札口(写真1)を見学に行き,デザイ
ンにインスピレーションを受け,新設された改札口を
手本とした,仮設構造物の検討をし,図面作成をした
そして,設置場所の検討を行い,当初はグラウンドに
制作する予定だったが,金銭的な問題やグラウンドで
授業を行うことから本校敷地北側の屋外実習場に制作
することになった.
なお,便宜上この仮設構造物は柱をコラムポールと
呼び,
ひし形の屋根材をフィッシュボーンとしている.
この開発課題では溶接や重機などの資格がないとで
きない特殊技能を使用しているので必ず有資格者がい
る.以下の有資格者がいるので下の表 1 にまとめた.
これにより班員が適材適所で働くことができ,作業
の効率が上がることになった.
資 格 名
有資格者数
アーク溶接の業務に係る特別教育
7名
ガス溶接技能講習修了
2名
小型車両系建設機械の特別教育
1名
危険物取扱乙4種
1名
応急手当指導員
1名
表1 資格一覧表
図1 イメージ完成図
5.作業内容
作業としては,溶接班と土工事班に分け作業を行っ
ている.
一日の作業の流れとしては,朝礼の後ミーティング
をしてから作業に取り掛かる形をとっている.
溶接班ではガス切断作業とアークによる溶接作業
(写真3)を保護具着用して行っていて,溶接などの作
業では必ず有資格者が行うか,あるいは,有資格者の
指導の下作業を行っている.また,溶接後の部材の表
面研磨や穴あけ加工などをサンダーやボール盤で行っ
ており,作業終了後は必ず掃除や使用した道具の整理
写真1 小山駅南改札口
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
を行い,作業場所を清潔に保つように心がけ,怪我の
ないよう安全に作業をしている.
土工事班は,裏門近くの駐輪場スペースの測量・墨
だしを行い,重機を使った掘削作業(写真4)とコンク
リート打設を行った.なお,重機については有資格者
が適度な休憩をとりながら,
安全に作業を行っている.
(平成 25 年 3 月 1 日)
5.溶接接合部の性能確認試験
コラムポールとフィッシュボーンはφ30mm のピン
で接合されている.
部材に生じる応力を検討した結果,
このピン接合部に大きな応力が生じる.そのため,こ
のピン接合部をモデル化した試験体を制作し,引張試
験を行った.
実験の結果,
接合部に生じる設計荷重 15kN であるが,
232kN まで破断することなく耐えることができた.接
合部は 15 倍以上の強度を有していることが分かった.
写真5は実験終了後の状況である.接合部の母材が6
mm(20%)変形している.この結果から,接合部
のすみ肉溶接は母材の強度を上回っていることが分か
った.
写真2 アーク溶接
写真 3 引張試験後の試験体
謝辞
溶接作業におきましては,相沢先生指導の下,ご協
力していただきました.また,部材の切断や加工に際
して機械系の実習場をお借りしました.ここに感謝申
し上げます.
写真3 掘削作業
表2 工程表
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
ラッピッドプロトタイピングによるアセンブリモデルの製作
千葉職業能力開発短期大学校成田校
生産技術科 五十嵐 郁弥
指導教員
武雄 靖
要 約
ラピッドプロトタイピングの特徴や特性を理解し、アセンブリモデルの高効率な製作方法について検
討する。
1 はじめに
ラピッドプロトタイピング(以下 RP)とは、製品
開発段階において用いられる試作手法であり、主に積
層造形法によるものが多い。RP は、3 次元 CAD との
組み合わせにより、敏速に試作品を製作することがで
きる画期的な技術として注目されている。
本校でも、今年度より ABS 樹脂による RP
「Dimension Elite」が導入され、各講義や実習内で利
用されるようになった。
本総合制作実習では、RP の特徴や特性を理解する
とともに、アセンブリモデルの製作を試みる。試作品
として選んだのは、図 1 のような青森職業能力開発短
期大学校で過去に試作されたブレインギアとした。
てた状態で造形されたのではなく、一つ一つの部品を
分けて造形し、組み立てられたものである。
今回は、ブレインギアをアセンブリし、組み立てる
作業を行わずに一気に造形しようと考えた。
3 RP によるモデル製作の流れ
使用する機器とソフトウエアを表1に示す。
表1 使用した機器とソフト
使用機器
Dimension Elite(RP)
超音波洗浄機(サポート材除去用)
使用ソフト Solidworks(3D データ作成)
CatalystEX(RP 用データ変換)
(1)
(2)
(3)
(4)
図 1 ブレインギア
(5)
2 過去の試作例
全国のポリテクカレッジにおいて、過去の RP を使
った試作例として、青森職業能力開発短期大学校のブ
レインギアと呼ばれるものがある。
ブレインギアとは、
いくつもの歯車が連動し、一つの歯車を回すとすべて
の歯車が同時に回転するものである。部品の構成とし
ては、歯車、歯車軸、連結部、そして土台の 4 つの部
品で構成されている。ブレインギアは最初から組み立
RP によるモデル製作の主な内容を以下に示す。
Solidworks により、造形するモデルを作成する。
CatalystEX により、(1)で作成した 3 次元 CAD
のデータを RP 用のデータに変換する。この時に
造形する方向や配置、積層ピッチの設定、サポー
ト材の付き方のなどの造形条件の確認を行う。
造形機で糸状のモデル材とサポート材をヘッドか
ら吹き出し積層する。
積層厚さ分、表面が下降する。(3)、(4)を繰り返し
モデルが完成。
造形台から造形物を取り外し、サポート材を取り
除く。手作業で取り除くことが難しい場合は超音
波洗浄機とアルカリ洗浄液を用いて除去する。
4 アセンブリモデルの試作と問題点
ブレインギアは複雑な形状をしているので、まずは
形状が簡単な豆ジャッキのハンドル部のアセンブリモ
デルを、一般的な造形条件で製作した。製作したモデ
ルを図 2 に示す。
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
6 ブレインギアの製作
隣り合うモデル同士に必要な隙間が明らかになった
ので、ブレインギアのアセンブリモデルを造形するこ
とにした。まずは歯車を 3 つ組み合わせたものを試作
し、問題がないようであれば歯車を 12 個組み合わせ
たものをアセンブリして一気に造形することにした。
完成したブレインギアを図 3 に示す。完成したブレイ
ンギアはしっかりと歯車が噛み合い、動かすことがで
きた。
図 2 豆ジャッキハンドル部
7 おわりに
RP による製作は、
3 次元モデルのデータを造形機側
のソフトウエアに送るだけで、CAM データは自動で
その試作を通して分かったことは、微小な隙間が、
作成される。意匠性の高いデザインのモデルでも、3
再現されないことである。例えば、3 次元 CAD のデ
次元 CAD のモデルさえあれば簡単に製作することが
ータでは、ハンドルと穴の周囲には 0.2 ㎜の隙間があ
できる。また、我々が普段学んでいる一般的な機械加
るはずのものが、試作品では隙間が全く無い状態で造
工に比べ、危険が少なく、ものをつくるまでの準備が
形されてしまった。
少ないのですぐにとりかかることができる。さらに、
安全に製作できることも強みであると感じた。
5 試作についての考察
3 次元 CAD のデータ上に存在するはずの微小な隙
今回製作した歯車が 12 個連結しているブレインギ
間が、RP により再現されない原因は、隙間の部分に
アは、造形に 72 時間、サポート材の除去に 2 日ほど
射出されるはずのサポート材が射出されずに造形され、 かかった。しかし、一般的な機械加工では不可能な部
密接するモデル同士が癒着してしまったからである。
品を稼働できる状態で製作できるメリットは大きいと
今回の試作品の積層ピッチは 0.254mm であったが、
考えられる。
この条件の場合、材料が厚み 0.254mm ずつ射出され
本総合制作実習を通して、ものづくりに必要な想像
るので、これ以下の隙間や精度については再現できな
力を向上させることができた。失敗したら先入観を捨
いと考えられた。そのため部品同士の隙間は、積層ピ
て、様々なことに疑いを持ち、取り組むことが大切だ
ッチよりも小さかったためにサポート材が射出されな
と感じた。今後検証を重ね、データを増やしていく必
かったという仮説を立てた。そこで積層ピッチをより
要があると考える。
細かい 0.178mm とし、実際に造形したところ、完成
したモデルの穴と軸は完全に離れていた。
参考文献
このことから、密接するモデル同士の隙間は、設定
積層造形機の造形精度と強度(その2)
した積層ピッチ以上の距離をとらなければならないこ
青森職業能力開発短期大学校
とがわかった。
生産技術科 成田 敏明
図 3 完成したブレインギア
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
アイスモールドの製作
- 熱伝導率を利用した製品の製作 -
千葉職業能力開発短期大学校成田校
生産技術科
篠塚 拓也
高橋 敏
指導教員
政宗 芙美江
要約
生産技術科で学ぶ機械加工実習、数値制御加工実習、CAD/CAM 実習、工業材料などの様々な授業で
習得した知識と技術を生かし、ものづくりにおける一連の流れを学ぶ目的として金属の熱伝導を利用した製品の
製作に取り組んだ。題材として取り上げたものは「アイスモールド」という氷の成型器である。想像を超える速
さで氷が成型される様子は、子供だけでなく大人が見ても興味をひくものがある。オリジナルのデザインや応用
製品を含め製作に取り組んだ内容をここに報告する。
1 はじめに
インターネットで「アイスモールド」という金型を
用いて氷を球体形状に成型する動画を見た。その成型
の速さに驚くと共にとても興味を持ち、総合制作実習
でぜひ取り組みたいと考えた。そこで本製作に必要な
金属材料の熱伝導率や金型の加工方法について調べる
と、生産技術科で学んだ多くの授業内容を生かすこと
で製作が可能だということが分かった。また、製作後
の金型は地域の子供達を対象として実施する「ものづ
くり体験イベント」等での活用も考えられる。製作に
あたり、国内で特許を取得している(株)大信製作所
の「アイスモールド」を参考に、企業の方からも製作
に関わるアドバイス等を頂きながら取り組んだ。さら
にその技術を応用してオリジナル製品を作れないかと
考え、
アルミニウム合金の熱伝導率を活かした製品
「湯
さまし」の製作にも取り組んだ。
2 アイスモールドと熱伝導
アイスモールドとは金属の熱伝導を利用して氷を溶
かし、金型の形に成型することができる製品である。
熱伝導とは物質の移動を伴わずに高温側から低温側
へ熱が伝わる(移動する)こと。⁽¹⁾又は逆に低温側か
ら高温側へ熱が伝わることである。
な要素は、
熱伝導率が良い物を選ぶということである。
そこで熱伝導率の良い金属を調べたところ、銀、銅、
金の順に熱伝導率が良いことが分かった。⁽²⁾ しかし
これらに関しては、価格が高く入手困難であることか
ら、比較的熱伝導率が良く入手し易いアルミニウム合
金を使用することとした。アルミニウム合金は、被削
性の良い A2017 を選定した。
試作品として直径 60 ㎜、高さ 45 ㎜の円筒材料に直
径 25 ㎜のドリル加工を行ったものを製作した。
試作品上に氷を置き、既製品と成型スピードの違い
が出るかを確認したところ、ほぼ同一の時間経過で成
型されることがわかった。この実験結果より、A2017
を用いて本製作に取り掛かった。
3-2 本製作
SolidWorks を使用して 3 次元モデルを作成した。
金型のデザインは、直径 30 ㎜の球体型と飛行機型の 2
種類を作成した。図 1 に飛行機型のモデルを示す。
3 アイスモールドの製作
3-1 材料選定と試作品の製作
アイスモールドに使われる材料を選定する際に重要
図 1 アイスモールドの飛行機型
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
この 3 次元モデルをもとに、CAM を用いて工具パス
を生成し、加工用の NC データを作成した。その後マシ
ニングセンタを使用して切削加工を行った。
3-3 ガイドピンとガイド穴のはめあい
金型の両サイドの穴は、上型を垂直に下ろす為のガ
イドピン用の直径 5 ㎜の穴である。当初、加工はすべ
て精度良く加工するべきだと考え、ガイド穴はリーマ
加工を施し、h 公差のガイドピンを挿入し、組立てた。
すると手で上下の金型をスライドさせることはできる
が、上型の自重でスムーズに下がることができなかっ
た。そこで上型の穴を直径 0.3 ㎜ほど大きく広げると
スムーズに下がることはできるが、上下の合わせ目が
ずれてしまい、パーティングラインが出ることで綺麗
な球体状の氷にならないという問題点が発生した。そ
の後、試行錯誤的にはめあいの調整を行った結果、ガ
イドピンとの隙間を直径 0.2 ㎜とすることで、綺麗な
氷がスムーズに成型できることがわかった。
6 今後の展開(オリジナル製品の製作について)
アイスモールドと同様に材料の熱伝導を利用した製
品を製作できないかと考え、熱湯から一瞬で白湯を作
れる「湯さまし」の製作にも着手した。まだ試作品段
階ではあるが、湯のみ一杯(150cc)の白湯が作れ、2
リットル用のポットの注ぎ口に入る高さという仕様で
設計した。製作はアイスモールドと同じ A2017 の丸棒
(直径 60 ㎜、高さ 150mm)に、直径 35mm、深さ 140mm
の穴加工を行った。また軽量化と放熱性の向上を目的
として 3 ㎜幅の溝入れ加工を行ったものも製作した。
製作した湯さましを図 3 に示す。
実際に使用してみた結果、97℃の熱湯が 30 秒で約
50℃まで下がり、一般的に飲みごろとされる白湯を作
ることに成功した。溝入れ加工を行ったものについて
は冷却速度の変化はほとんど見られなかったが、軽量
化という点での効果はあったと考える。
4 氷の成型
製作した金型で実際に氷を成型した。成型中の金型
と成型した後の氷を図 2 に示す。
図 2 氷成型中の金型と成型品
球体形状の金型に対しては 35 ㎜角の立方体の氷を
使用した。飛行機型に対しては厚み 20 ㎜、縦横 45 ㎜
の氷を使用した。綺麗な氷の成型品が確認された。
5 成型後の課題
飛行機型についてはデザイン性を重視した結果、成
型品のリアルさは表現できたと考えるが、全体的に氷
の厚みが薄くなってしまった。特に翼の部分について
はすぐに溶けてしまう状態のため、今後は成型後の氷
が長持ちするようなデザインを検討する必要があると
考える。
図 3 湯さまし
7 おわりに
はじめは熱伝導率についての知識がまったく無く、
アイスモールドを使って氷が解けるのを見てただ驚い
ていたが、調べていくことで多くの熱伝導についての
知識が広がり、その仕組みを理解することができた。
アイスモールドを製造、販売している(株)大信製作
所には、当初から製作に関わるアドバイスをくださる
など様々な協力をいただいた。また「子ども仕事探検
教室」でも実際の製品を使用させていただくなどで、
企業と学校、地域の連携がこのアイスモールドを通し
て行えた事は自分たちにとって大きな経験になったと
考える。
参考文献
⁽¹⁾熱伝導 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E4%
BC%9D%E5%B0%8E ⁽²⁾■各種物質の性質
http://www.sanwa-ent.co.jp/sanwahps/datashee
t/metal_spec.pdf
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
無線モジュールを使ったバンク角計測システムの製作
千葉職業能力開発短期大学校
電子情報技術科
飯田 翔生
指導教員
三浦 雅嗣
要約
今回の研究テーマは、マイコンによるオートバイのバンク角検出と、その計測データを Excel 上に記
録し、グラフ化することを目的としている。オートバイのライディング状態を知ることにより、スムーズなコー
ナーリングを行い、安全走行のための手助けとなるツールの開発を考えた。また、自動車に搭載しても車体挙動
を知ることが可能である。
1 はじめに
マイコンによる計測と通信技術を実習で身に付けた
後、
それらを利用して応用的な計測通信を考えた結果、
バイク好きが高じて車載メータで計測不可能なデータ
を測定したいと思い、このテーマを選択した。
本作品は、カイオニクス社 KXM52-1050 加速度セ
ンサを利用して、PC(パソコン)による演算で角度検知
を行う。
記録を取ることを考慮して PC との無線化したシリ
アル通信接続を行う。
加速度データを PC に転送し、車体の角度変化を随
時検出する。
本作品を通して、専門課程の実習で習得した A/D 変
換技術、C 及び C#のプログラミング、無線化通信技
術のレベルアップが行える。
その二つの合力のベクトル図である。外側に働く遠心
力、真下に働く重力、タイヤとほぼ平行に働く力がそ
の合力となる。
2 計測原理
遠心力の公式及びベクトルについて、図1に示す。
m=物質量 r=回転半径 ω=回転速度
F=遠心力 v=接線速度とする。
加速度センサはその合力を 2 軸方向に分け(センサ
側の遠心力と重力)その瞬間の電圧値を出力する。
今回は、実際の遠心力(F)と重力(G)の合力(Fg)をカ
イオニクス社の KXM52-1050 で検出する。
図 3 のようにバンク角をθ’-θより求める。
合力の計算式は以下の式で表わされる。
図2 遠心力、重力、合力の関係
θはセンサデータから求める角度であり、θ’は重力
(G)と遠心力(F)から求める角度である。
θの計算式は図3から求め、
図1 回転運動と遠心力の関係
図2はバイクをバンクさせたときの遠心力と重力、
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
であり、同様にθ’の計算式は
角度検知計では制御コマンドを受信すると加速度セ
ンサモジュールから出力されるアナログデータは、マ
イコンで A/D 変換処理され、変換データが LCD に出
力される。
同様に無線通信を経由で変換データが PC に転送さ
れる。これを Excel のセルデータとして記録し、演算
により角度を表示している。また、A/D 変換データは
グラフ化している。
システム全体の構成図を図 4 に示す。
である。
図3 実際の傾きとセンサの角度検出の関係
4 加速度センサ回路
加速度センサモジュールとしてはカイオニクス社の
KXM52-1050 を使用した。これは最大 2G までの測定
レンジである。さらに、電源電圧に対応したオフセッ
ト値、感度で測定が行える。モジュール単体使用した
場合は電源電圧 5V なのでオフセット値 2.5V=0G 感
度 1000mV(1V)となる。
このままでは A/D 変換時の計測範囲が狭いため、バ
イアス回路と非反転増幅回路により、オフセット値は
変更せずに、感度増幅のみ 2 倍に設定した。結果、感
度は 2000mV としている。
A/D 変換の Vref 電圧は 5V であるため、センサ回路
の最大出力4.5V に対応し、
分解能も無駄にならない。
製作したマイコンとの接続回路を図5に示す。
3 システム構成
通信システムの構成は、シリアル通信により PC 側
から角度検知計(マイコン側)へ制御コマンドを送信
する。シリアル通信の無線化には XBee モジュールを
利用した。Digi インターナショナル社の XBeePRO シ
リーズ1(XBee 802.15.4 モジュール)を使用した無
線通信を利用することで、計測対象のオートバイに
PC を搭載する必要は無い。
図5 角度検知計の加速度センサ回路
図4 システム構成図
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
5 マイコン側ソフトウェア
今回使用したマイコンボードは、他の実習で利用し
ている秋月電子通商の AKI-H8/3694F タイニーマイ
コンボードである。センサ回路をブレッドボード上に
組立て、制御コマンドの受信により、マイコンのスキ
ャンモードを利用して順次 3 軸のセンサ計測を行い、
A/D 変換データを PC 側へ送信する動作検証を行った。
動作検証の手順を下記に示す。
① コマンド受信:
C#からの制御コマンドを受信割込みで処理した。
② コマンド認識:
Strcmp 関数を使用して、受信した文字列が、任意
の文字列であるか判断した。
③ センサデータ送信:
コマンド認識した場合は、センサ回路の A/D 変換デ
ータを、シリアル通信で送信した。
6 Windows 側ソフトウェア
Visual C# 2010 により図6のシリアル通信用
Windows アプリケーションを製作した。
主なボタンの
機能を次に示す。
① 通信開始/停止ボタン
COM ポートを開く/閉じる。
② 送信ボタン
送信データボックスの中身をマイコン側に送る。
③ Excel へ
Excel を起動、受信データをセルに書込み、
グラフにプロットする。
連続計測停止
また、マイコン側から送信され、PC 側で受信され
るデータは、3 つの文字列として順番に受信される。
[X 軸 A/D 変換データ]¥r¥n
[Y 軸 A/D 変換データ]¥r¥n
[Z 軸 A/D 変換データ]¥r¥n
各データを Excel のセルに転送し、表計算機能によ
り角度データに演算し、A/D 変換データをグラフにプ
ロットする。
任意のセル範囲にデータを転送後、ファイルに保存
を行う。角度計測時の Excel 表示を図 7 に示す。
図7 角度計測中の Excel 表示
7 結果と考察
製作した角度検知計を図8に示す。オートバイへの
搭載は行っていないが、角度検出を行った。
これにより、角度(バンク角)の計測システムの基本
機能を完成させた。
x 軸及び y 軸の角度検知について、±70°までの角
度検出は、誤差 1~2°程度である。
z 軸については、角度ではないので数値は計測可能
であるが未評価である。
図6 C#によるアプリケーション
マイコンへ送信される主な制御コマンドは3つある。
① Read
1 回計測、A/D 変換開始、LCD 表示、データ送信
② Start
連続計測
③ Stop
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図8 製作した角度検知計
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8 今後の課題
今後の課題を下記に示す。
①70°~90°までのデータが安定しない点の原因究
明とその対策
②角度検知計の基板化とオートバイへの搭載
③遠心力をかけた状態でのバンク角の検出とその評価
9 おわりに
本研究を通して、センサーデータを取得における
A/D 変換技術や、マイコン制御における C 言語プログ
ラミング、
Windows アプリケーションソフト作成にお
ける C#のプログラミング、Xbee によるシリアル通信
の無線化を行い、大幅にスキルがレベルアップした。
実際の過程では、さまざまな不具合があり、計画通
りに課題は進まなかった。その都度原因を追究し、改
善してくことで、
実際にモノを作る大変さが味わえた。
しかし、今後の課題で挙げた内容まで、しっかりと
制作できなかったのは、とても悔しかった。
また、課題を進めるにあたり、各段階における目標
設定及び完成までを見越した計画、課題進行のため足
りない時間は自分の時間を使うことが必要であること
を理解した。
10 謝辞
本制作にあたり、指導教諭の三浦先生から、勉学に
対するご指導だけでなく社会生活についてのご指導も
頂きました。ここに感謝の意を表します。
また同じ研究室の仲間にも、以前に習った知識の復習
に協力してもらいました。皆さん、ありがとうござい
ました。
参考文献
1)金藤 仁,C#による制御プログラミング入門,技
術評論社,ページ数(発行年)
.
2)技術評論社
http://www.gihyo.co.jp
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
ウッドセラミックス湿度測定システムの開発
千葉職業能力開発短期大学校
電子情報技術科
黒沢 淳一
指導教員
水渡 博幸
要約
ウッドセラミックス(Wood ceramics:以下 WCMs)は、伝統的炭素材料である木炭に、炭素繊維や
カーボンナノチューブ等に代表される機能性炭素材料の性質を取り入れた、両者の中間的性質をもつ新機能性多
孔質炭素材料である。この WCMs は木質系材料にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸し、焼成することで
作製される。
WCMs は多孔質構造をしており、その表面での水分子の吸着によってインピーダンスが変化する。このインピ
ーダンスの変化を計測することで湿度を測定することができる。また、WCMs は高温下でも素材の変化や劣化が
ほとんどなく、従来では難しかった高温下での湿度センサとして応用が期待されている。本研究は昨年度から引
き続いているもので、今年度は新しい IC を使用して、周波数を可変して WCMs のインピーダンスを測定できる
ように装置を改良製作したので報告する。
1 はじめに
WCMs は多孔質構造であり、その表面に水分子が吸
着することでインピーダンスが変化する。図 1 にイン
ピーダンス測定のために WCMs に電極を取り付けた
資料を示す。
メーターと同等の機能を有するインピーダンス測定装
置(湿度測定システム)の開発を総合制作実習として
取り組んだ。
2 WCMs 測定システム概要
今回製作した WCMs 測定システムを図 2 に示す。
マイコン部
表示部
DDS モジュール部
図 1 WCMs 資料(電極付き)
図2
WCMs のインピーダンスを測定するためには、この電
極間のインピーダンスを、LCR メーターを使用して測
定する。しかし、LCR メーターは高価であり、大きく
重いものでもあるので簡単に計測することが難しい。
近年、ダイレクト・デジタル・シンセサイザ(以下
DDS)
、DSP、A/D 変換が一体となった電気化学分野
向けの新しい IC が供給されるようになった。この IC
を利用して、従来では難しかった安価で小型の LCR
WCMs 測定システム
このシステムは大きく分けると 3 つの部分から構成
されている。
DDS モジュール部では、
交流信号の発生、
インピーダンス等の計測を行う。
マイコン部では DDS
モジュールの制御、データの処理を行い、表示部の液
晶ディスプレイに測定結果を表示する。
このシステムでは周波数を可変してインピーダンス
と位相の測定を行うことができる。
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
図 4 のグラフから製作した測定システムで測定した
インピーダンスと LCR メーターで測定したインピー
ダンスは、ほぼ同じ値を示していることが分かる。こ
のことから製作した測定システムは正常に動作してい
ることが確認できる。
3 測定原理
DDS モジュールは、周波数ジェネレータと A/D コ
ンバータ(ADC)を内蔵している。この周波数ジェネ
レータでは、既知の周波数で外付けの複素インピーダ
ンスを励起することができる。インピーダンスからの
応答信号は内蔵の ADC でサンプリングされ、内蔵の
DSP エンジンで離散フーリエ変換(DFT)が行われ
る。この DFT アルゴリズムは、各出力周波数で実数
(R)と虚数(I)のデータワードを返す。
掃引時の各周波数ポイントでのインピーダンスの大
きさと相対位相は、次の 2 式から計算できる。
インピーダンスの大きさ =
位相
=
DDS モジュール部で取得した実数と虚数のデータワ
ードを I2C 通信でマイコン部に取り込んで、上記計算
式を使用してインピーダンスの大きさと位相を求める。
インピーダンスは湿度と相関関係があるので、インピ
ーダンスから湿度を計算する。
また、周波数を可変してインピーダンスと位相を測
定し、それをガウス平面にプロットすることで、
Cole-Cole プロットを得ることができる。この
Cole-Cole プロットから測定物の等価回路を類推する
ことも可能である。
4 実験結果
製作した測定システムを用いて、図 3 に示す回路の
インピーダンスを測定した。測定に使用した周波数は
1 kHz ~ 100 kHz である。また、比較のために同じ
回路を LCR メーター(HIOKI 3532-50)でも測定し
た。測定結果を図 4 に示す。
68k
68k
82p
図 3 測定に使用した回路
図 4 インピーダンス測定結果
5 まとめ
昨年度に引き続き、WCMs 湿度測定システムの開発
を行った。昨年はウィーンブリッジ発振回路を使用し
た測定回路であったため、単一周波数でのインピーダ
ンスの測定しかできなかった。今年度は DDS モジュ
ール IC を使用することで周波数を可変してインピー
ダンスを測定することが可能となった。製作したシス
テムと LCR メーターとを比較したところ、LCR メー
ターと比べて遜色のない結果が得られた。このシステ
ムを使用すれば、従来の湿度センサでは測定の難しい
高温下で使用できる小型で安価な WCMs 湿度測定シ
ステムを構築できることを示すことができた。
参考文献
1)ANALOG DEVICES AD5933 データシート
2)電子制御・信号処理のための dsPIC 活用ガイドブ
ック
後関 哲也 技術評論社
3)dsPIC 基板で始めるディジタル信号処理
岩田 利王 CQ 出版
4)YS 電子工作 Lab
http://www.ys-labo.com/
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
プレス用安全装置の設計・製作
千葉職業能力開発短期大学校
制御技術科
青木 光司
鈴木 晃
鈴木 裕吾
指導教員
佐藤 一晃
若林 晃
要約
これまで制御技術科の授業で習得した機械設計技術、CAD 利用技術、機械加工技術、空気圧制御技術、
電気回路技術、マイコン制御技術等の集大成として、プレス用安全装置を設計・製作した。
1 はじめに
プレス用安全装置は、プレス工程においてオペレー
タの安全を保つ装置でその方式によって数種類ある。
今回、制御技術科 2 年生の総合制作実習として取り
組んだプレス用安全装置は、オペレータとプレス機の
間をシャッター式のガード板で隔てる事によって、プ
レス時に加工領域へのオペレータの手指の侵入を防ぎ、
また、金型や材料の破片の飛散からオペレータと周囲
の者を防護するガード式の安全装置である。
設計・製作に際しては、本校とも深い関わりのある
S 社(船橋市)と指導教員が共同研究で製品開発を行
図 1 3DCAD によるリンク機構検討モデル
っている装置を参考に、自分たちの技能・技術によっ
て独自性を持たせた装置を設計・製作した。
以上により、機構部及び動力部は S 社製シャッター
また、安全装置の動作をモデル装置にて再現するこ
ガード安全装置とほぼ同じものとなったが、実機では
とにより、各要素の習得と共にその機構部、動力部、
金属製であるリンクアームの材質をアクリルにするこ
制御部を容易に提示できることも目的とした。
とで可動部の軽量化を図った。
しかしその一方で、アクリルの採用により、リンク
2 機構部及び動力部の設計・製作
機構部の設計にあたっては、S 社を訪問して実機を
間の干渉を防ぐ方法に問題が生じてしまった。
詳しく観察し、シャッターを開閉させているリンク機
実機では金属製のアームに直接曲げ加工を施すこと
構と、その動力部について参考とさせて頂いた。
により、干渉を防ぐためのオフセットが確保されてい
リンク機構の設計は、シャッターの開口幅が十分に
たが、アクリル製では必要強度が保てなくなる。
確保できるよう、3DCAD にて動作検証を行いながら
そこで、リンク間にスペーサを挟むことでオフセッ
各リンクの長さを決定した。
(図 1)
トを確保する方法を採用し、この問題を解決した。
シャッターの開閉に用いる動力は、エアシリンダを
そのほか、安全装置の動きを提示するモデル装置と
用い、リンク機構により可動距離を増幅した事によっ
しての目的から、筐体は 2 溝式の汎用アルミフレーム
て、開閉距離よりも短いストロークのシリンダで、必
を用いたフレーム構造とし、フレームの溝をシャッタ
要な開閉距離の確保が可能な仕組みとなっている。
ーの摺動ガイドとして利用し、シャッターのスムーズ
また、シャッター開口時は、シリンダ推力に加えて
な動きを実現するなど、モデル装置としての構造の簡
バネの弾性力を利用することにより、低負荷でより高
素化も図っている。
速な動作が出来るようになっている。ばねの選定では
各部品の製作に関しては主にレーザー加工機を用い、
必要なばねの力の計算に予想以上に時間がかかった。
図面とプログラムを適切に作成することによって、実
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
加工時間を大幅に短縮することができた。
(図 2)
4 考察
製作したモデル装置は、プレス用安全装置の動きの
再現という目的を達成することができた。しかし、シ
ャッター部に対し、軽量化とトレードオフとなった強
度の点が不明確である。そのため、今回製作した安全
装置が実際にどの程度の飛散物に耐えられるかという
点が危ぶまれる。
製品とする場合は強度という点に重点を置き、耐衝
撃性を考慮した材質選定が求められる。
図 2 レーザー加工による部品製作
3 制御部の設計
機構部に関しては S 社の製品を参考としたが、制御
部においては全て自分たちで設計することとした。
制御部の設計に際しては、できるだけコストをかけ
ないこと、またデバッグを考慮してシンプルな回路と
することを考え、PLC 等の装置は使わずに、低コスト
かつコンパクトなワンチップマイコンである PIC マ
イコンを使った制御を採用した。
多くの PIC マイコンがある中で、制御技術科の授業
でも使用し、使い勝手がよく、また慣れている
PIC16F628A を採用することとした。
また、マイコンの開発言語としては C 言語を使うこ
とにしたため、見通しの良いソースコードを記述する
ことができた。ソフトウェア開発に関しては、マイコ
ンとその開発言語の適切な選択により開発時間を短縮
することができた。
一方、ハードウェア部の設計・製作では多くの問題
が起きた。
入力部ではセンサから適切な値が得られない、出力
部ではシリンダとマイコンとのインターフェイスをど
う解決するか等に時間を費やした。結果的には、入力
部の問題は作業環境の不備による回路製作のミスであ
った。慣れてきたためにおろそかにしてしまった作業
環境や実験に関して丁寧に行わなければならない等の
初歩的な事実を再確認することとなった。
出力部は制御技術科で行ってきた制作課題実習の回
路を参考に、フォトカプラや FET を使用することで
解決した。
空気圧回路部に関しては、1 年生では空気圧制御で、
2 年生では制作課題実習で使用してきたため、順調に
設計・製作ができた。
5 課題を通して学んだこと
総合制作実習として製品を参考としたプレス用安全
装置の設計・製作を行った。この実習を通じて、今回
改めて学んだことは、製品の作り手の意図を正確に捉
える事の難しさである。
課題に臨んだ当初、製品を模倣すれば容易に設計・
製作ができると考えていた。
しかし実際はその真逆で、
自分たちで考えたものではないため、何故このような
設計になっているのか等、初めは全く理解できない点
が多かった。そこで、自分たちが設計者の立場になっ
て考えることが求められた。また、独自性を少しでも
加えると多くの修正点が出てくる等、考えさせられる
点が多かった。
他人が設計したものの意図を正確に捉えたうえでそ
れを理解し、自分たちで改めて設計・製作を行う今回
の実習の意義をこの課題を通して学ぶことができた。
この経験で改めて我々は一から考えるものづくりの
困難さを理解した。同時にその困難を解決した時の喜
びやものづくりのやりがいを深く知ることができた。
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図 3 3DCAD による機構部全体図
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風力発電システムの設計・製作
千葉職業能力開発短期大学校
制御技術科
小谷中 雄伍 永吉 慧也
指導教員
森口 肇
要約 2011 年 3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震から一年以上が過ぎたが、いまだに電力不足は深刻な
問題として残っている。現在、再生可能エネルギーを使って個人単位で発電できるものといえば太陽光発電程度
しかないが、これには大掛かりな工事が必要であるしコストも大きい。そこで私たちはもっと手軽に低コストで
行える発電方法はないかと考えたとき、思いついたのが風力発電である。小型化することさえできれば騒音など
いくつかの問題も残るが、風さえ吹いていれば朝夕関係なく一年中発電することができる。
本発表では、私たちが取り組んできた小型の風力発電機の設計・製作について報告する。
1 はじめに
風力発電機とは、風を風車に受け、風の持つエネル
ギーによって発電機を回し、電力を発生させる装置で
ある。
制御技術科では 3 年前より風力発電に取り組んでい
る。初年度は既製品のモータと自作の羽による非常に
小型の風力発電機の実験モデル程度のものとしてスタ
ートした。昨年度のモデルは実用性のある風力発電を
めざして大型の風力発電機の製作に取り組み、発電機
本体も自作したが、
いくつかの問題点が克服できずに、
十分な発電量が得られない結果となった。今年度は前
年度の問題点を克服し、実際に使用できる電源となり
得るようにとの意気込みで設計・製作した。
2 発電機の設計
今回発電機を製作するに当たり、まず、昨年度の装
置の実験を行った。実験を行い、問題点と改善方法を
しっかりと確認した上で製作に入ることにより、設計
時のミスを減らすことができると考えたからである。
何度か実験を行った結果、以下のような問題点・改
善点が見つかった。
 羽が大きく重いため回転数が上がらず、結果と
して電力も稼げない
 発電機が羽の大きさに合っておらず効率が悪
い
 発電機が単相であると出力が安定しない上、効
率も悪い
 羽の端が鋭利で危険


軸が非常に細く、羽を支えられていない
接着剤を多用して、発電機を組み立てたため、
見栄えが悪く、精度もよくない
 コイルが普通の導線を巻いて接着剤で形成し
てあるので、厚みや形にばらつきがあり、結果
として効率が悪くなっている
このような問題点を克服するため、今年度は以下
のように設計した。
 羽を軽量化、小型化、また厚みを持たせ端にフ
ィレットをつける
 軸の太さに余裕を持たせる
 発電機の相数を増やす
 回転数を稼ぐため、回転数を上げやすいプロペ
ラ型にする
 平型の特殊な導線を用いてコイルを作成し、寸
法精度の向上と効率の上昇を目指す
羽を設計するに当たり、もっとも重要なのはその
形である。
風車の形はそれぞれに利点と欠点があり、昨年まで
のものは回転軸が地面に垂直な縦型のものだった。
この形の利点としては、風向製御がいらない、高さ
を必要としない、構造が単純、大型化できる、トルク
が高いなどが挙げられるが、一方で、回転数が上がり
にくく発電機に動力伝達する際に増速が必要になるこ
とや、取り付けの際に上下を固定しないといけないた
め台が巨大化・複雑化するといった問題点もある。特
に、回転数の問題は大きく、低回転では電力が稼げな
いが、かといって増速するとエネルギーのロスが生ま
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
れてしまう。
今年度は最初にも書いたように、実用できる電力を
得るための風力発電を目指しているので、発電量の低
下は非常に大きな障害となり得る。特に、今回自作し
た発電機は構造上、
回転数が発電量に非常に影響する。
そこで、今年度はトルクが少なく風向制御も必要に
なってしまうが、高回転数が得やすいプロペラ式の風
車を採用した。
プロペラ型の欠点に遠心力がある。高速で回転し、
回転半径も大きくなるプロペラ型では羽にかかる遠心
力は無視できない問題であるが、今回は羽の回転半径
を約 500mm と小さくし、また、素材として引張りに
強く、非常に軽い塩ビ管を使用することでリスクの低
減を図っている。
ができた。
図 2 数値制御加工機による加工
4 発電実験
作成した発電機を用い発電実験を行った。
まず、
軸に取っ手を付け、
手で発電機を直接回した。
発電した電力は六相交流で直接の測定ができないため、
ブレッドボード上に簡易的な整流回路を作り、直流電
流としたものを電圧計で測定した。
測定結果を表 1 に示す。
表 1 発電実験結果
回転数(rpm)
60
120
出力電圧(V)
2
5
180
10
図 1 発電機の製作
3 発電機の製作
発電機は精度が直接発電効率に影響するので、加工
精度の向上は非常に重要である。そのため、加工にお
いては数値制御加工機を多用し、
精度の向上を図った。
また、汎用機械によって加工する部分は、できるだけ
発電量に影響の出ない部分となるようにし、発電効率
の低下を防ぐようにした。
使用する材料はアルミを多用し、発電機の軽量化と
加工速度の向上を図った。また、アルミは非磁性体な
のでモータの回転による磁力の変化に対し、影響を受
けにくいことも使用した理由の一つである。
組立にはできるだけねじ止め、はめあいなどを使用
し見た目の綺麗さや、
強度・寸法精度の向上に努めた。
コイルの作成には専用の治具を作り、導線を巻き取
りながら作成できるようにした。今年度は平角線とい
う断面が長方形の特殊な導線を使用したので、単純に
巻重ねるだけで正確な厚みを持ったコイルを作ること
5 おわりに
今回製作した発電機は当初想定していたよりも低い
電圧しか発電することができなかった。しかし、昨年
の発電機では 2mV しか出ていなかったものが、今年
度では 10V 程度まで出すことができた。
単純計算でも、昨年と比較して 5,000 倍程度の電圧
が得られていることが確認でき、かなり進歩したこと
は確かである。
また、今回発電機を製作するにあたって勉強した発
電の仕組みについての知識は、これからの人生におい
て無駄になることはないだろう。
いくつか納得できない点もあるが、何かの機会にま
た取り組みたいと思う。
参考文献
1) 久保 大二郎 著、マイクロ風力発電機の設計と
製作、CQ 出版社(2007 年)
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
風力発電の土台制作
千葉職業能力開発短期大学校
住居環境科
浅井 友
奥山 智裕
齋藤 巧
佐藤 一貴
丸山 雄大
指導教員
はじめに
佐野 豊
今回の総合制作実習の課題は制御技術科と共同制作による風力発電機であり,住居環境科は風力発
電機の土台を担当した。本土台の概要は鉄筋コンクリート造とし,風力発電の電力による LED を装飾して土台周
りに取り付けている。
1 製作過程
授業で学んだ鉄筋コンクリートの技術を使って風力発
電の土台を製作する。土台作りの過程は以下の通りで
ある。
1)土台の模型作り
2)制御技術科との話し合い
3)土台改良
4)施設へのプレゼンテーション
5) 土台作成
2)制御技術科との話し合い
制御技術科とは二度話し合いを行った。
一度目のプレゼンで土台の形状を確認。
二度目のプレゼンで一度目のプレゼンを考慮し,土台
を決定した。
二度の打ち合わせによる内容は以下の通りである。
①強風が吹いても発電機が大丈夫か
②人が発電機に近づけないようになっているか又は近
づいても大丈夫か
3)土台改良
改良した土台の構造計算、土台の寸法・材料,設置場
所を決定した。以上より工程を作成した。
2 1)土台の模型作り
各自で土台のデザインを持ち寄,紙・粘土等を使い模
型を作る。夏休み前と夏休み明けに住居環境科だけで
模型のプレゼンをしてデザインの土台を決定した。
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
4)施設へプレゼンテーション
決定案により施設プレゼンを行った。
プレゼンでの問題点は以下の通りである。
・土台が低いので風力発電に触れてしまわないか
・床に接している木が腐らないようにするにはどうす
るか?
解決策
・土台と心棒を高くし発電機に触れないようにした
・腐りにくい木を使用。
5)土台作成
①基礎の掘削
②基礎梁型枠作成、配筋
梁の型枠は木材加工室で加工し,現場で組み立て配筋
は構造計算を基に組み立てた。
風力発電の土台 立面図
③円盤型枠作成、配筋
ベニヤ板を4枚使い円形を作り,合板に桟木で円形を
打ち付けた。配筋は大きさの違うフープ筋3本と L 字
の主筋。
①~⑨は作業工程
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
④梁,円盤コンクリート打設
コンクリートを打設後約4週間養生し型枠解体。解体
後に梁の周りを埋め戻した。円盤は梁と同時に打設し
た。木取り付け用ボルトは打ち込みとした。
⑥土台円柱上打設
円柱上部の型枠作業も下部と同じように行った。
円柱上部は風力発電機を乗せるためにアンカーボルト
を取り付けるのでコンクリートが固まる前にアンカー
ボルトを取り付けた。
⑤円柱下打設と円盤設置及び円柱上配筋
円柱部分は直径350mmの型枠を900mmに切り
補強桟木を打ち付けたものとした。型枠の中には土台
に LED 用の溝ができるように目地を入れた。
梁の上に円柱の型枠を置き円盤を円柱の型枠に設置し
コンクリート打設した。
コンクリート強度が出るまで円盤はジャッキで支えた。
打設後はすぐに円柱上部用の差筋を行った。
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
⑦床型枠作成、打設
床を打設する際に床を平面に作ってしまうと雨が降っ
たときに床の上に水たまりができてしまうので、床の
中心より外側を低くし勾配を作った。
⑧土台完成
土台には木材で作った柵を取り付ける。木材は決まっ
た長さに切り,鉋で同じ太さに成形。
円盤の取り付け用
のボルトとコンクリートの床に直接触れないよう下部
を金物により止め付けた。
⑨LED 取り付け
LED をコンクリートの溝に取り付け,配線はコンクリ
ートに打ち込んだ配管を通して通線した。
3 まとめ
実際に風力発電の土台を作り,学校で学んだ鉄筋コ
ンクリートの技術で作れることを実証した。この実習
を通して一年時に学んだ測量やレベルや二年時に学ん
だコンクリート打設,型枠の作り方配筋の仕方を再確
認することができた。
作業時間よりもデザインに時間がかかり完成したの
がぎりぎりになってしまった。
今回は安全面に注意して作業を行ったので誰も怪我
することなく完成することができた。
4 参考文献
最新建築構造設計入門 実教出版
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ポリテクビジョン
in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
側板を柱、背板を壁とした家具の家
千葉職業能力開発短期大学校
住居環境科
中嶋 明日翔
高橋
淳
吉川
直希
指導教員
山田
伸典
~はじめに~
地震時に家具が転倒し、負傷者が出ているが、家具自体には大きな損傷が見られていないことに着目し
た建築家「坂 茂」は、家具そのものを構造体とする家、
「家具の家」を提案してきた。住宅には、デザイ
ンの方向性が異なる家具・家電製品が用いられているが、構造体とする家具の内部にそれらを収めること
により、意匠の統一性を図っている。従来は、柱の座屈の検討により、正方形断面の柱を用いてきたが、
現在検討している構造体としての家具の家は、側板に厚さ 50mm、背板に厚さ 25mm の LVL を使用し、
側板(柱)の座屈止めとして棚板を用い、家具の一体化を図っている。
ここで報告する実験は、実寸家具の 1/2 スケールのものを想定し、側板・背板に構造用合板 1 級を、枠組み材
には集成材を、面材の接合にアングルを用いて下記の項目に着目し、設計した供試体の水平剛性・耐力・破壊状
況の把握を試みたものである。
(1) 側材の座屈と棚板の設置
(2) 側板と背板の接合方法
(3) 棚板と側板・背板の接合方法
(4) 上下天板・底板と枠組み材の設計および枠組み材のはり・基礎との接合方法
(5) 家具のねじれ
(6) 水平方向に連なった家具のお互いの接合方法
平面図
屋根伏図
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ポリテクビジョン
in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
1.供試体
1-1 棚板の設置 1)
側板を柱とする場合には、法令で細長比を 150 以下にしなければならない。
側材は 24mm なので、下記の計算により 1000mm 間隔に棚板を設けることとした。
座屈長さ Lk = (24/3.46) × 150 =1040mm
1-2 側材と背板の接合方法
壁倍率を 2.5 相当と仮定し下記の計算により、短期にて背板から側板に軸力 10.9KN が伝達しうるように接合
部を設計した。
軸力 N : 2.5×1.96×1.369 =10.9KN
1-3 側板
合板の短期許容軸力は下式のように若干下回るが側板を 24mm×450mm とした。
棚板の側材・背板との接合は下式による引張力、せん断力とした。
構造用合板 1 級の短期許容軸力:10.2kN
細長比 λ : 137.8
座屈低減係数 η : 0.158
棚板と側材の接合
棚板と背板の接合
2)
2)
引張力 :0.205KN
せん断力 :0.205KN
[=0.158×2×3×24×450/1000]
[=(1000-6-52.5/2-12)/(24/3.46)]
[=3000/137.82]
[=0.02×10.2]
1-4 枠組材(底板・天板)
枠組材と背板との接合は壁倍率相当分のせん断力を対象とした。枠組材と側板との接合は、一体化した家具と
仮定し、せん断中心に前述のせん断力が作用した場合 3)とねじりによる生じるせん断力の合計を側材が負担する
ものとして接合部の設計をした。
1-5 基礎(H 型鋼)とのとりあい
背板に接続する下枠材は、壁倍率相当分のせん断力を、両側材には引張力を伝達しうるように、それぞれ 2-M8
の寸切ボルトを用いた。
1-6 供試体の作製
供試体を図 1-1 に、側板と基礎の納まりを図 1-2 に示す。 家具の実際の寸法は 2700(高さ)×900(横)
×300,450,600(縦)の 3 種類で、供試体の寸法は 1/2 スケールの 1350(高さ)×450(縦)×450(横)とした。
側材は厚さ 24mm、背板・底板・天板・棚板は厚さ 12mmの合板とし、供試体は 2 体をペア―とした。背板と
側材はアングル L30×30×3 を木ねじで接合し、棚板は L25×25×3 を用いて背板・側板に接合した。脚部はアン
グル L130×130×9 の片方を長さ 33mmにカットして合板との隙間に充填剤を注入し、圧縮力が伝達するように
し、アングルの内側にセロテープを貼ることで引張り力は木ネジのみで対処するように意図している。脚部充填
剤は 2 液性のエポキシ E227 を使用した。
アンカーボルトは寸切ボルト 8mmΦ を背板、
側板に各 2 本ずつとし、
1 体につき計 6 本とした。
-40-
ポリテクビジョン
in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
図 1-1-1 供試体 A-A’断面図
図 1-2-2 供試体平面図
図 1-2-3 供試体の基礎の納まり
図 1-1-2 供試体 B-B’断面図
図 1-2-4 供試体の基礎の納まり
図 1-2-1 供試体平面図
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ポリテクビジョン
in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
2 試験方法
治具の詳細を図 2-1 に、試験方法は図 2-2 に、計測
位置を図 2-3 に示す。供試体 2 体が試験機の中心に関
して点対象になるように脚部を治具(③-1、③-2)に
背板の位置が逆になるように接合して柱脚固定の片持
ちとした。載荷は、供試体に鋼 H-100×100×6×8(④)
長さ 3mの梁を架け渡して梁の中央に P を載荷して、
反力としての P/2 を各供試体に作用させて実験した。
したがって、実験は 1-4 で述べたねじりとせん断を受
ける家具の剛性を求めていることになる。
図 2-2-1 試験方法
図 2-1-1 治具平面図
図 2-2-2 試験方法
図 2-2-3 試験方法
図 2-1-2 治具組み立て図
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ポリテクビジョン
in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
図 2-3-1 測定位置
図 2-3-5 変位計設置例 変位計⑤(⑥)
図 2-3-2 測定位置
図 2-3-6 変位計設置例 変位計⑦(⑧)
図 2-3-3 変位計設置例 変位計①,⑨(②,⑩)
図 2-3-4 変位計設置例 変位計③(④)
図 2-3-7 ロードセルの設置例
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ポリテクビジョン
in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
7 考察
7-1 棚板
壁倍率3.14の値から逆算すると家具による側板の座屈止めに必要とする剛性 2)は十分(0.303>0.101)と考えら
れる。
必要な剛性k : 0.101KN/mm
壁の剛性 : 0.303KN/mm
[=4×7.91×1.369/0.45/(1000-6-52.5/2-12)]
[=3.14×1.96×0.45/(1369/150)]
7-2 今後の実験計画
7-2-1 アンカーボルト
本報告におけるアンカーボルトは 8mm の寸切ボルトを用いたが、背板側の引張側側板のアンカーボルトの破
断で破壊した。破壊時の側材と背板との接合耐力は下記の値と考えられ寸切ボルトの耐力を上回るが、その差は
破壊状況から判断して、背板による曲げモーメントの負担と推測される。
接合耐力 : 24.1KN
アンカーボルトの耐力
[=7.91×1.369/0.45]
[=0.385×100×456/1000]
: 17.6KN
今後、SS400 の 12φ のアンカーボルトを用いることにより、家具の靭性を高めるとともに他の接合強度を上
昇させることにより、壁倍率を高めたいと考えている。
7-2-2 水平方向に連なった家具のお互いの接合方法
側板に生じる短期軸力・せん断力は隣り合う側板を接合することによりキャンセルさせ連なる家具の外側の側
材のみでそれらを処理したいと考えている。
謝辞:本実験は、(株)坂茂建築設計事務所の協力のもとに行われた。
また鋼材の加工に関しては当短期大学校・メカトロニクス科の楠 博先生、
また解析に関しては手塚構造研究室代表 手塚 升博士の協力を得た。
ここに深く謝意を表する。
参考文献:
1)木質構造設計規準・同解説 -許容応力度・許容耐力設計法(2006 改定)
日本建築学会
pp.171-pp.179
2)鋼構造設計規準 -許容応力度設計法- 日本建築学会 pp.94-pp.95
3)建築構造学体系
材料力学 松井源吾著 彰国社
pp.52-pp.56
4)木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008 年版) 企画編集(財)日本住宅
・木材技術センターpp.565-pp.572
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ポリテクビジョン
3 解析方法
in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
4)
せん断変形角の算出
ペアとなる 2 体の供試体のうち引張側柱脚にてボル
トが破断し破壊した供試体に関して以下の値を求めた。
見かけのせん断変形角 γ
γ=(δ1-δ7)/H,
脚部のせん断変形角 θ
θ=(δ3-δ5)/V
真のせん断変形角 γ0
γ0= γ-θ
図 4-3 荷重-γ 関係(1/120 部分拡大)
ただし H=1369mm、V=450mm である。
δ1~δ8 の変位測定位置は図 2-3 に示したものをさす。
また δ9、δ10 はねじりを把握するために求めた変位で
ある。
4 解析結果
上記の試験方法による解析結果のうち荷重とせん
断変形角 γ0 の関係を図 4-1 に、荷重と見かけのせん
断変形角 γ との関係を図 4-2 に、図 4-2 のうち、短
期基準せん断耐力の基本値の算出に必要な γ=
1/120 部分の拡大を図 4-3 に、解析方法を示したグ
ラフを図 4-4 に示す。
図 4-4 解析結果
表 4-1 図 4-4 に対応する解析値
図 4-1 荷重-γ0 関係
図 4-2 荷重-γ 関係
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ポリテクビジョン
in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
5 短期基準せん断耐力の基本値の算出
短期基準せん断耐力の基本値は、下記の(a)~(d)の最小値とした。
(a)降伏耐力 Py
3.61kN
(b)終局耐力 Pu×(0.2/Ds)
2.77kN
(c)最大荷重 Pmax の 2/3
5.28kN
(d)特定変形時の耐力
3.51kN
最小値 : 2.77kN
3.14 倍
壁倍率 : 2.77/1.96/0.45=
(最小基本値/基準値/長さ)
設計時には、壁倍率を 2.5 相当と仮定して接合部の強度を決定していたので、今回の試験で得られた結
果は設計強度を上回っていたことが分かる
6 破壊状況
破壊状況を写真 6-1~写真 6-7 に示す。破壊は写真 6-3 に示すように図 1-2-1 の背板側側板の引張側のアンカー
ボルトの破断による。圧縮側側板には座屈は生じず、背板が曲げを負担しているため回転がみられた。枠組材と
背板、側材間には隙間が見られ L130×33×9×12×6 と合板の木ねじ接合部の引張側には孔の変形が見られた。写真
6-2 から、供試体がせん断中心からずれて載荷されていることからねじれが生じているのがわかる。したがって、
実験はねじれとせん断を受ける家具の剛性を求めていることになる。
写真 6-1 破壊状況(全景)
写真 6-3 アンカーボルト(8φ)の破断
写真 6-2 破壊状況(天板側より見る)
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ポリテクビジョン
in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成 25 年 3 月 1 日)
写真 6-5 破壊状況 背板の回転
写真 6-4 破壊状況 背板引張側のくぎの抜け出し
写真 6-6-1 引張側鋼材 L130×33×9×12×6
写真 6-7-1 圧縮側鋼材 L130×33×9×12×6
写真 6-6-2 引張側ベニヤ
写真 6-7-2 圧縮側ベニヤ
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ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会
< Memo >
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(平成 25 年 3 月 1 日)
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成25年3月1日)
平成24年度 総合制作実習要約
制御技術科
No
テーマ名
タワーパーキング型自動
立体倉庫の設計・製作
1
(シーケンス制御負荷装
置教材の設計・製作)
2
風力発電システムの設
計・製作
氏 名
内 容
完成図・写真
指導教員
完成後はシーケンス制御等の負
荷装置教材として活用できるこ
とを前提に、自動化された機械
装置の設計・製作・制御技術の
集大成として、タワーパーキン
グをモチーフとした自動立体倉
庫の縮小モデルを設計・製作し
た。
若林 晃
風力を利用した発電システムと
それにより得られた電力の利用
小谷中 雄伍 例を考案するとともに、住居環
永吉 慧也
境科との共同作業(土台の製
作)も考慮して風力発電システ
ムを設計・製作した。
森口 肇
駒崎 諒
檜垣 貴行
本田 怜大
藤本 信
PLCによる制御技術、マイコン制
御技術等を活用して、生楽器
(キーボード)を人間と同じよ
うに演奏するロボットを設計・
製作した。
若林 革
中島 英一
ターニングセンター、マシニン
グセンター、汎用工作機械を
使った機械加工技術、センサ、
モータなどの制御技術等を活用
したアルキメデススクリューに
よる物体押し上げ機能付きエン
ドレス仕分け装置を製作した。
若林 革
坪内 左京
青木 光司
鈴木 晃
鈴木 裕吾
授業で習得したCAD技術、機構設
計技術、加工技術、空気圧制御
技術、電気回路技術、マイコン
制御技術等の集大成として、プ
レス用安全装置を設計・製作し
た。
佐藤 一晃
遠藤 政也
制御盤製作実習用教材の 小川 菖
6
設計・製作
北崎 大祐
藤田 祥平
有接点シーケンス制御を用いた
制御盤と制御対象(エレベー
タ)を1つのシステムとし、電気
エネルギー制御科で使用する教
材として設計・製作した。
森口 肇
浅見 弘樹
地産物の生産に役立つ装
井出 琢磨
置の製作
辻 直人
PLCを用いた制御技術、センサ技
術等を活用して、画像センサに
よる落花生選別の独自の仕組み
をグループで発案し、千葉の地
場産業に根付いた機械装置を設
計・製作した。
中島 英一
若林 革
大木 信人
生楽器演奏ロボットの設
3
数馬 悠太
計・製作
川津 昭人
4
5
7
アルキメデススクリュ
ウーによる物体押し上げ 前澤 将天
機能付きエンドレス仕分 矢内 泰生
け装置の製作
プレス用安全装置の設
計・製作
-49-
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成25年3月1日)
生産技術科
No
テーマ名
氏 名
内 容
完成図・写真
指導教員
本稿では、身近な企業を実際に
訪問し、荷物運搬用台車につい
てのニーズ調査を行い、製作す
る台車の設計方針を検討したの
で報告する。
武雄 靖
ラピッドプロトタイピングの特
ラピットプロットタイピ
徴や特性を理解し、アセンブリ
2 ングによるアセンブリモ 五十嵐 郁弥
モデルの高効率な製作方法につ
デルの作成
いて検討する。
武雄 靖
市場ニーズを考慮した荷 岡本 知己
1
物運搬用台車の製作
北田 聡平
アイスモールドの設計・ 高橋 敏
製作
篠塚 拓也
生産技術科で学ぶ機械加工実
習、数値制御加工実習、CAD/CAM
実習、工業材料などの様々な授
業で習得した知識と技術を生か
し、ものづくりにおける一連の
流れを学ぶ目的としてアイス
モールドの製作に取り組んだ。
政宗 芙美江
電線被覆剥がし装置の設 河井 聖士
計・製作
鈴木 優介
学校の授業で使われ、捨てられ
る太さ3mmの電線を絶縁被覆
体と導体を分けて、リサイクル
しやすくするための道具の設
計・製作を通じて「ものづく
り」で必要とされる技能・技術
を身に着けることを目的とし取
り組んだ。ここでは、これまで
の取り組みと今後の計画につい
て報告する。
政宗 芙美江
ミニカーの自動搬送仕分 夏海 涼
け装置の製作
松井 航
これまで学んできた金属加工や
機械設計、シーケンス制御など
の知識を活かしてモータを用い
たミニカーの自動搬送仕分け装
置を製作する。
脇本 昭一
プレス機械の安全性向上
6
柳田 和輝
について
身近なプレス機械において、リ
スクアセスメントとそれに基づ
くリスク低減措置を行い安全性
の向上を目指した。
脇本 昭一
ねじ式ジャッキの設計・ 多田 健吾
製作
円山 正平
機械加工の授業を受け、機械加
工に興味を持ち、ねじ式ジャッ
キの設計・製作を通して、設
計、機械加工、組み立て・調
整、検査・評価、報告までの
「ものづくり」に係わる一連の
工程について知識・技能の向上
を目指す。
假屋園 将司
シュレッダーの製作を通して、
設計、加工、組立についての技
川下 智弘
術と技能を習得し、製作スケ
清水 眞輝人
ジュールの計画、役割分担と
いった管理能力も身に付ける。
假屋園 将司
3
4
5
7
8
手動シュレッダーの設
計・製作
-50-
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成25年3月1日)
仲村渠 亮
山越 啓介
機械加工の知識・技術を活か
し、総合製作実習のテーマとし
て「プレスブレーキ」の製作に
取り組むことにした。この課題
に取り組むことで。より機械加
工に関する知識・技術の向上を
目指したい。
隈元 康一
二穴ペーパパンチ器の製 山本 遥平
作
綿谷 恭介
機械加工の知識・技術を生か
し、総合製作実習のテーマとし
て「二穴ペーパーパンチ器」の
製作に取り組むことにした。こ
の課題に取り組むことで、より
機械加工に関する知識・技術の
向上を目指したい。
隈元 康一
9 プレスブレーキの製作
10
電子情報技術科
No
1
テーマ名
氏 名
液晶表示機を使ったデジ
大衡 潤一
タル時計の製作
無線モジュールを使った
2 バンク角計測システムの 飯田 翔生
製作
3
4
VHDLによるディジタル時
加藤 崇博
計の製作
H8/マイコンによる家電
平山 知樹
制御システムの製作
スマートフォンのソケッ
ト通信を利用したH8マイ
安部 学
5
コンの遠隔制御システム
の製作
内 容
完成図・写真
指導教員
H8マイコンでの制御をしたグラ
フィック液晶を使用し、デジタ
ル時計を作成する。製作を通じ
時間の扱い方、通信技術の習
得、デバイスについての知識を
深める研究とした。
三浦 雅嗣
三軸加速度センサを用いた角度
検知器を作成した。加速度セン
サからの出力をA/D変換でH8マイ
コンに取り込み、Xbeeによる無
線化とVC#によるシリアル通信プ
ログラムでパソコン側に送り、
Excelを用いて角度を計算しグラ
フ化した。
三浦 雅嗣
VHDLを用いたディジタル時計の
製作を取り組むにあたって、自
分で製作したハードウェアを使
用し、その中にVHDL言語でプロ
グラムを記述し、自作のディジ
タル時計を製作をしました。
三浦 雅嗣
Xbeeによる無線化とVC#によるシ
リアル通信プログラムを利用し
て、H8/マイコンによって、家電
が持つ赤外線リモコンの受信機
能を利用した遠隔家電制御シス
テムを製作した。
スマートフォンのソケット通信
を用いて、H8マイコンを
XbeeWifi経由のシリアル通信で
制御します。JPEGカメラから取
得したデータをスマートフォン
に表示させることで、新規の言
語開発を始め、本製作を通して
プログラミングの更なるレベル
アップを目指したいと考え、作
成した。
-51-
三浦 雅嗣
井上 隆
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成25年3月1日)
小型携帯パワーアンプの
實川 聡
製作
乾電池、または小型バッテリー
を電源とした携帯可能な小型の
パワーアンプを製作した。なお
実機の製作に当たっては、メン
テナンス性と低コスト化を図る
ために、実習授業の中で使用し
ている部品で製作できるように
設計した。
井上 隆
光入出力に対応したオー
赤松 和哉
ディオアンプの製作
現在のデジタルオーディオ機器
の接続形態として主流のS/PDIF
規格に基づいた光・同軸変換ユ
ニットを用い、光・同軸・デジ
タルの相互で変換が可能な入出
力装置を製作し、オーディオア
ンプとの接続を行った。
井上 隆
エレクトリックコンデンサマイ
クロホンを使用し、音量調整が
可能なマイクアンプを製作し
た。電源は1.5Vの乾電池2本であ
り、小型で携帯可能な装置を実
現できた。
井上 隆
音声データの非可逆圧縮フォー
マットであるMP3の音声ファイル
を再生できるプレイヤーを製作
SDカードを使用した小型 関 寿
9
した。MP3コーデックICの
MP3プレイヤーの製作
矢野 宗一郎
VS1011eを使用し、SPI通信でマ
イコンと音楽データ等のやりと
りを行う。
井上 隆
6
7
8 マイクアンプの製作
10
自作トランシーバーの製
藤林 利裕
作
11 旗揚げゲームの制作
12 スロットマシーンの製作
13
伊藤 佑太
海瀬 友基
工藤 駿
内藤 博貴
Androidアプリによる遠 杉野 友洋
隔操作システム
田中 智文
アマチュア無線の資格が不要
で、近距離で使用が可能なFMト
ランシーバーを製作した。送信
側のマイクから入力した音声で
変調したFM電波を飛ばし、受信
側でFM検波した後、パワーアン
プでスピーカに出力する。
井上 隆
Wiiリモコンを利用した旗上げ
ゲームの作成にあたっては、こ
れまでの授業で学んだプログラ
ミングの技術を活かせる課題と
して、Wiiリモコンに内蔵されて
いる三軸加速度センサを利用す
るゲームを作成したいと考え、
今回の課題を作成した。
幸田 啓
グラフィックLCDを用いたスロッ
トマシーン製作にあたっては、
授業で学んだC#のプログラム、
回路製作の技術を活かせる総合
的な課題とし、スロットマシー
ンを製作した。
スマートフォンを使った遠隔操
作システムの制作にあたって、
これまで学んできたマイコンの
プログラミングや回路製作の技
術を活かしながら、新たなこと
にも挑戦したいと考え今回のシ
ステムを製作した。
-52-
幸田 啓
幸田 啓
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成25年3月1日)
Webカメラを使用してキャプチャ
した画像を2値化(白と黒の2階
調)する事で読み取りの精度を
上げ、OCRで文字を読み取るプロ
グラを制作した。
幸田 啓
豊田 豊樹
中野 将義
町田 佳祐
マイクロマウスの製作を通し
て、マイクロコンピュータやプ
ログラミングの実践的な技能を
習得し、各種の迷路探索アルゴ
リズムの違いを理解して、迷路
探索ロボットを作成した。
佐藤 義弘
佐藤 海
タブレット型端末を用いて
Android OSと各種センサーの扱
いを理解して、誰でも遊べる
Androidアプリケーションを制作
した。
佐藤 義弘
HTML5によるWebコンテン
藤本 雄太
ツの制作
実際にスマートフォン等で利用
されているHTML5によるWebサイ
トを理解し、地図上に撮影した
写真が、アルバムの様に表示さ
れるシステムを構築中です。
佐藤 義弘
ウッドセラミックス湿度
黒沢 淳一
測定システムの開発
昨年度は、ウィーンブリッジ発
振回路とマイコンを利用した
ウッドセラミックス湿度測定シ
ステムを開発した。今年度は
DDS、DSP、A/Dが一体化したICを
使い、周波数を可変してウッド
セラミックスのインピーダンス
を測定できるように改良を行っ
た。
水渡 博幸
船見 直広
ディジタル多機能時計の
小谷 一馬
製作
町田 淳平
ニキシー管は、グロー放電発光
を利用した表示デバイスであ
る。現在は液晶やLEDに取って代
わられ、一般的に使用されるこ
とはない。しかし、その温かみ
のある表示からインテリアとし
ての価値は高い。このニキシー
管とFPGAやマイコンを組み合わ
せてディジタル時計を製作し
た。
水渡 博幸
ipodなどに代表される小型オー
ディオプレーヤーに接続でき
る、オペアンプを使用したス
ピーカー内蔵オーディオアンプ
を製作した。
水渡 博幸
Webカメラを使用した文
14 字読み取りプログラムの 平野 大智
制作
15 マイクロマウスの製作
16
17
18
19
Androidタブレット用
ゲームの制作
20 オーディオアンプの製作
芝崎 智優
西海 康之
-53-
ポリテックビジョン in Chiba 2012 訓練研究・総合制作発表会(平成25年3月1日)
住居環境科
No
1
テーマ名
氏 名
宮崎 駿人
サツマイモによる緑化の
中森 智哉
取り組み
関口 祐貴
内 容
今、地球温暖化と並行して都市
部においてのヒートアイランド
現象の問題がある。この問題の
解決策として屋上緑化があげら
れる。今回私たちは実際に屋上
緑化を行い、どれくらい熱量を
抑えることができるのか調べる
ことにした。
完成図・写真
指導教員
黒瀬 敏浩
鉄筋コンクリート構造物の制作
を通して、設計から施工に至る
建築生産に関わる総合的な実践
力を身につけると共に、施設へ
の提案実習により、プレゼン能
力を、他科との連携によるグ
ループワークにより、コミュニ
ケーション能力を身に付けた。
佐野 豊
篠崎 尚太郎
樋口 敏和
建築・インテリアデザイ
3
森田 昴周
ンコンペ等への取り組み
渡邉 瑞季
牧 東希
建築・インテリアデザインコン
ペへの設計作品制作、現存する
著名建築物の作品研究と3Dモデ
ル製作により、実践的な建築設
計技術、3DCADによるプレゼン
テーション技術を身に付けた。
鈴木 良行
田中 康太
東日本大震災後の生活環
木村 勇輝
4 境等の調査及び復興計画
加藤 誠也
立案
佐藤 槙
東日本大震災によって仮設住宅
へ避難されて居られる方々の生
活環境としての状態を調査する
事を目的として、2012年度
の総合制作実習の課題として取
り組んだ報告である。場所は、
千葉県旭市にある150世帯用の仮
設住宅である。夏期と冬期の測
定実習を実施。
角本 邦久
地震時に家具が転倒し、負傷者
が出ているものの、家具自体に
大きな損傷がないことに着目し
た建築家坂茂は、家具を構造体
中嶋 明日翔
とする家具の家を提案してき
側板を柱・背板を壁とし
高橋 淳
5
た。ここで報告する実験は、実
た家具の家
吉川 直希
大家具の1/2を想定し、側板・背
板に合板を用いた供試体の水平
剛性・耐力・破壊状況の把握を
試みたものである。
山田 伸典
2 風力発電装置架台制作
浅井 友
奥山 智裕
齋藤 巧
佐藤 一貴
丸山 雄大
-54-
ポリテックビジョン in Chiba 2012
運
営
編
査読員
査読員
編集委員長
副編集委員長
学務委員
学務委員
学務委員
学務委員
学務委員
学務委員
委
集
委
員
会
員
平塚 剛一 (校
長)
鈴木 良哉 (能力開発部長)
大野 誠一 (能力開発部長)
小玉 博史 (学務援助課長)
森口
肇 (電気エネルギー制御科)
佐藤 義弘 (電子情報技術科)
黒瀬 敏浩 (住居環境科)
森下
茂 (メカトロニクス技術科)
隈元 康一 (生産技術科)
小田原 尚哉(航空機整備科)
ポリテックビジョン in Chiba 2012
訓練研究・総合制作発表会 梗概集
2013 年 3 月発行
編集・発行
千葉職業能力開発短期大学校
〒260-0025 千葉市中央区問屋町 2 番 25 号
TEL 043(242)4193
http://www3.jeed.or.jp/chiba/college/
Fly UP