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日本フネン株式会社(徳島県)

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日本フネン株式会社(徳島県)
中国・四国地域
日本フネン株式会社(徳島県)
∼時代のニーズに応えた製品作り∼
1.創業のキッカケは同業3社と異業種1社のプロジェクトから
1972(昭和47)年、エフ・グループ(ニホンフラッシュ(株)/冨士ファニチア
(株)/(株)布川製作所)と日本油脂(株)がプロジェクトを組み、日本油脂の化学技
術とエフ・グループの木の技術からシラス(火山堆積物)を主材料とした水平材、垂直
材の研究開発を開始した。当然のことながら、開発にあたってはシラスという特異材料
のため、各種技術文献や特許情報などを利用せざるを得ないため、必然的に特許制度に
着目する環境が出来上がった。
その後、住宅分野も高層化・複合化が進み、「不燃」「防火」
「耐火」更に「断熱」
「防
音」「防犯」
「耐震」等が求められる時代となり、それらのニーズに応えられる新素材を
駆使した製品作りをするため、昭和49年に日本フネン(株)を設立した。
設立後、苦しい時代は続いたが、昭和55∼56年分譲マンションの建設が増加し、同
社もそのブームに乗り、約50%の年率成長を遂げ、昭和57年から単年度黒字に転じた。
バブル崩壊の影響も受けたが、製品群の見直しを図るなど、この不況のなかでも研究開
発型企業として努力を続けている。
2.主力製品である住宅用軽量鋼製ドア
同社の主力製品である軽量鋼製ドアは、日本人は優しく暖かいイメージの木製ドアを
好む一方、集合住宅におけるドアの建築基準は、木の持つ特性とは反対に「防火」「耐
火」性能が要求された。その両方の要求に合致するドアを製造するにあたり、鋼板に木
をラミネートする技術を開発し製品化するとともに、類似品を抑えるために特許化を図
り、他製品との差別化を明確にした。現在では鋼板の加工・塗装技術も進歩し、鋼板だ
けの素材で木の風合いを持つドアの製造が可能となっている。最近はドア本体にLSI
とマイコンを組み込み「インテリジェント・ドア・システム」として時代のニーズに応
えた製品を作り出している。
同社は軽量鋼製ドアにおいて、特に玄関防火ドアにおいては堂々大手の一角に食い込
んでいる。この要因は、特に集合住宅建設の場合は、タイトな工期で数多いドアの納品
が要求されるところ、同社は短期納入が可能で且つ細かい注文にも応えられるCIM
(コンピュータによる統合生産)構想の構築とオーダーメイドのレディメイド化的シス
テムによるものである。同社では、新製品の開発にあたっては積極的に特許化を図り、
類似品との差別化が重要と認識している。
3.その他の開発製品
防火ドアの専門メーカーの同社は、研究開発型企業としてその体制を活かし、周辺の
多様な技術領域を統合し、さらに多彩な商品開発を行っており、その一つが“GRC
(ガラス繊維強化セメント)成型品”である。GRC成型品(基本技術はイギリス)開
発のキッカケは、軽量不燃の内外装部材の製品化であった。会社設立前からシラスを活
用した研究ノウハウもあり、この研究の成果を、きちんと権利として確保し、保護した
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日本フネン株式会社
いという考えから、GRC技術を応用した新技術では特許出願も行っている。
同製品のダイレクトスプレー方式分野ではシェア10%、業界第1位である。同社では、
専業メーカーとしての特性を活かし、工芸要素を持った工業用品として、全て機械で完
成させるのではなく、2割程度は人が加工するところを残し、魅力ある製品を作り出し
ている。また、昨今求められているリサイクル製品の開発にも積極的に取り組み、セラ
ミック分野では、
廃ガラスを利用した軽量で断熱効果の優れた建材も生み出されている。
【特許活用製品】
CRGを使用した集合住宅用花台
立体感あふれる粉体塗装仕上げの玄関ドア
●会社概要
代表者:代表取締役社長 久米 徳男
所在地:徳島県麻植郡川島町三ツ島新田179
創 業:1974(昭和49)年
資本金:2億円
従業員:220名
主要製品:鋼製建具(玄関ドア・一般軽量ドア)、GRC製品(各種成型品)、環境製品
(土木関連資材)
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