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外貨投資の視点 (No.235) - 三菱UFJモルガン・スタンレー証券

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外貨投資の視点 (No.235) - 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
外貨投資の視点
(No.235)
リサーチ部 チーフ為替ストラテジスト 植野 大作
2015年8月18日
中国人民元:切り下げショック一巡後の展開を読む
ポイント




中国人民銀行がドル人民元相場の基準値算定方法を変更したと発表、狙いは輸出振興と人民元の国際化
当面は元安圧力が掛り易いが、中国企業のドル建て債務の負担を重くする極端な元安誘導は手控えられる
中国政府の悲願である人民元のSDR参入を実現させるためにも、元安一辺倒の政策運営は回避されそう
米政府が唱える「長期的に人民元は割安」との大局観に賛同、市場化改革が進めばやがて元高圧力再燃へ
中国人民銀行(PBoC)が
人民元の対ドル基準値を
切り下げ、ザ ラ場で一時
5%超も元が下落
真夏の外国為替市場で、ドル人民元相場に激震が走った、8月11日(火)、中国人民
銀行(PBoC)は人民元の対ドル基準値を1ドル=6.2298元にすると発表、前日の基準値
6.1162元より約1.9%のドル高・元安水準に設定した。事実上の人民元の切り下げだ。翌
12日(水)にも基準値が1.6%ほど元安方向にセットされたことが伝えられると「中国政府が
なりふり構わぬ輸出振興を狙って通貨安戦争を仕掛けてくる」との思惑が台頭、同日ザラ
バの上海市場では一時1ドル=6.4489元と前々日の基準値と比較して5.4%もドル高・元
安に振れる場面もあった。
ただ、PBoC は人民元の
基準値を切り下げと並行
して断続的な元買い介入
も実施、その後は基準値
を切り上げるなど、かなり
複雑な為替操作を展開
ただ、市場が更に混乱するのはその後だ。連日の基準値変更による元安誘導を行っ
たPBoCは同日午後の上海市場で突如として元買い・ドル売り介入を実施、一方的な元
安を阻止したかと思えば、翌13日(木)の基準値を再び約1.1%の元安水準に設定するな
ど、人民元を一体どちらに誘導したいのか、良く分からない為替政策の運営が続いた。そ
の後、13日(木)の上海市場の引け間際にもPBoCは元買い介入を実施した痕跡があり、
翌14日(金)と週明け17日(月)の基準値は小幅ながら2日続けて元高方向にセットされた。
「どうやら元安一直線の誘導はなさそうだ」との思惑が広がり、真夏の人民元切り下げショ
ックはひとまず収束している。ただ、PBoCが今回変更した「人民元の基準値算定方式」の
具体的な仕組みは依然としてブラック・ボックスであり、唐突な元安騒動に振り回された市
場関係者の間では、「中国当局の真意」に関する十人十色の解釈が渦を巻いている。
ドル人民元相場の今後の
展開は?
結局、今後の人民元相場については、中国政府の意向で何の前触れもなく、好きなタ
イミングでどちらにでも動かすことのできる状態は、これまでと大同小異であまり変わって
いないようだ。果たして今後、ドル人民元相場はどのような展開を辿るのだろうか。以下、
本稿では現時点までの情報に基づいた我々の推論について述べておきたい。
中国による為替政策変更
の目的:短期的には元安
による輸出振興
中国政府がこのタイミングで為替政策の変更に踏み切った背景は、恐らく2つあったと
考えられる。まず短期的な目的としては、既に各種メディアで報じられている通り、輸出競
争力の改善による景気浮揚効果を狙った措置である可能性が高い。2005年7月21日
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し
てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
-1-
外貨投資の視点
(木)に現在の管理フロート制の基盤となる制度変更を行って以来、PBoCが司る人民元
政策は国内の金融政策との連動性が非常に高いことが知られており、金融引き締め局面
では漸進的な人民元の高め誘導を採用する一方、金融緩和局面になると元高誘導を一
時停止するか小幅ながら安めに誘導する、という傾向が顕著だった(図1)。中国景気の
減速懸念が意識される中、今年3月の全国人民代表大会で目標に掲げた「実質7.0%程
度」の成長を維持すべく、現在PBoCを含めた中国の国務院(政府)は、金融緩和と財政
出動を組み合わせた景気刺激策を強化しているが、今回の元安誘導もその一環だとみる
のが妥当だろう。
図1:中国の金融政策運営とドル人民元相場
(%)
24
元高
1 0 年6月21日
弾力運用再開
22
20
1 2 年4月16日
許容変動幅拡大
0 . 5%→1.0%/日
1 4 年3月15日
許容変動幅拡大
1 . 0%→2.0%/日
0 7 年5月18日
許容変動幅拡大
0 . 3%→0.5%/日
18
(人民元)
6.0
6.5
ドル人民元相場
(逆目盛、右軸)
16
14
12
0 5 年7月21日
2 . 1%切り上げ
管理フロート導入
大手銀行
預金準備率
(左軸)
10
8
1 5 年8月11日
基準値算式変更
上海銀行間金利
(翌日物、左軸)
1 3 年7月19日
貸出金利
下限撤廃
7.0
1 5 年3月以降
預金金利
上限緩和
7.5
貸出基準金利
(1年物、左軸)
6
8.0
預金基準金利
(1年物、左軸)
4
2
0
8.5
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
出所:ブルームバーグ等から三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成
中国が景気の下振れ抑止
に自信を深め るまで、金
融緩和・財政出動・通貨安
是認のポリシー・ミックス
が続きそう
PBoCの説明によれば、8月11日(火)以降の3日間に及ぶ人民元の基準値切り下げは、
「対米ドルでの自国通貨の中心レートの計算方法を変更した」ことが背景であり、従来の
基準値算定方式では市場実勢に比べて3%程度割高だった人民元相場を実勢に合わ
せるための「一度限りの措置」だったそうだ。新しい基準値の算定システムでは、これまで
ある程度恣意的に決めていた日々の為替変動の中心レートを「前日の市場の終値を参
考にする」方式に改めたことから、今後の人民元相場は「市場の実勢レートに合わせて、
これまでより柔軟に上下双方向に動くようになる」との話だが、PBoCの説明を丸ごと鵜呑
みにしている市場関係者は少数派だろう。米国で年内の利上げ期待が発生している最
中にPBoCは金融緩和を強化している訳だから、このタイミングで市場メカニズムに基づく
為替市場の自由化改革を行えば、人民元が売られやすくなるのは自明の理である。中国
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し
てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
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外貨投資の視点
政府が景気の下振れ抑止に自信を持ち始めるまでの間は「金融緩和・財政出動・自国通
貨安是認」という分かり易いポリシー・ミックスが強化される可能性が高そうだ。
中国による為替政策変更
の目的:長期的には人民
元の国際化推進
ただし、単純に景気刺激効果だけを狙って人民元を切り下げるつもりなら、今回のよう
に市場に派手なショックを与えるような制度変更を公表しなくても十分な元安誘導は出来
たはずだ。中国政府が現在採用している人民元の管理フロート制は、具体的な仕組みを
外部に公表していないため、わざわざ市場を驚かせる「計算式の変更」などを発表しなく
ても、ホンの少しだけ時間をかければ、自由自在に自らが望む水準への人民元相場の誘
導は可能だったからだ。現在、ドル人民元相場の基準値からの乖離は、1日当たり±
2.0%が認められているが、例えばそのうち10分の1だけを利用して、毎日0.2%ポイントず
つ人民元の基準値を安く設定し続ければ、10営業日で2.0%の元安誘導は可能である。
PBoCが主張する「3%程度の市場実勢からの乖離」なら、約3週間で埋めることは出来た
はずだ。もう少し早めたいのなら、1日当たりの元安誘導の幅を広げれば良いだけの話で、
仮に0.3%ポイントにすれば2週間で市場実勢からの乖離は解消出来ただろう。
図2:国際通貨基金(IMF)特別引出権(SDR)構成比の推移
100%
13
15
13
12
11
11
12
11
11
90%
80%
70%
13
17
18
11
11
9.4
日本円
11
11
11.3
英ポンド
34
34
37.4
ユーロ
(仏フラン)
(独マルク)
44
44
41.9
18
11
60%
32
50%
19
19
21
21
42
42
40
39
40%
30%
20%
39
米ドル
10%
0%
1981–1985 1986–1990 1991–1995 1996–1998 1999–2000 2001–2005 2006–2010 2011–2015
出所:国際通貨基金(IMF)より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成
人民元の SDR 構成通貨
への昇格は、中国政府の
長年の悲願
中国政府がこのタイミングで敢えて市場にショックを与える制度変更を採用してきた背
景には、もう一つの狙いである「人民元の国際化」を内外にアピールする狙いがあったと
みられる。周知のように、中国政府は国際通貨基金(IMF)が今年秋に予定している5年
に1度の「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨バスケットの見直しに際し、現在のドル、ユ
ーロ、ポンド、円に次ぐ「第5の国際通貨」として人民元の組み入れを求めているが(図2)、
8月5日(水)にIMFは人民元のSDR参入について、2016年9月以降に決定を先延ばしす
ると発表した。中国政府による人民元のSDR組み入れ要請は、前回2010年のIMFによる
構成通貨見直しの際にも自由化改革の未達などを理由に見送られており、前政権時代
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し
てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
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外貨投資の視点
からの長年の悲願である人民元の「国際通貨への昇格」を実現するためには、「市場に
基づく為替レート変動システムへの移行」を一刻も早くアピールする必要があった。
数年以上前から政府と共
産党の方針で着実に進め
られてきた人民元の市場
化計画
実際、今を遡ること約2年前の中国共産党第18期中央委員会第3回会議(3中全会)で
は、「2020年までに今後の資源配置について市場に決定的な役割を果たさせる」という方
針が既に採択されており、当時PBoCが提出した「手引書」の中では、為替政策について
「人民元の変動を秩序だって拡大して上下双方向への弾力性を強化する」、「市場原理
が更に強く機能するよう、原則として常態的な為替介入は行わない」、「市場の為替需給
を基礎とした管理フロート制の構築を目指す」などの方針も明示されていた(表1)。他国
にとっては唐突に思える人民元の制度変更だったが、中国政府にとっては「既定の自由
化方針に則った段階的な為替政策の変更」であった可能性は確かにある。「IMFがSDR
への人民元組み入れの条件として一層の為替自由化を求めてきたので、急いで実施し
たら偶然にも元が安くなり易い時期と一致した」というPBoCの説明は、あまりにも中国にと
って都合が良過ぎる印象が否めないだけに、100%その通りだとは思い難いが、これまで
の中国政府による人民元改革のプロセスを長年にわたって丁寧に観察し続けていれば、
そうした説明が100%虚偽の方便でないことは分かる。PBoCの説明を頭ごなしに全否定
するのも公平な解釈とは言えない。今回の制度変更の背景には、ある程度は人民元の市
場化改革推進という目的もあったのではなかろうか。
表1:人民元の市場化改革に関する中国共産党の最近の決定事項
【第12期全国人民代表大会第1回会議(2013年3月)での決定指針】
①金利と為替の市場化改革を着実に進める
②クロスボーダー取引における人民元の使用を広める
③資本勘定における人民元の交換性を徐々に実現する
【第18期中央委員会第3回全体会議(2013年11月)での決定指針】
①市場の為替需給を基礎とした管理フロート制を構築していく(中銀手引書)
②人民元の変動幅を秩序正しく拡大して双方向の弾力性を強化する(同上)
③原則として常態的な為替市場介入から脱却する (同上)
【第12期全国人民代表大会第2回会議(2014年3月)での決定指針】
①人民元レートの上下双方向への変動幅を広げる
②資本勘定における人民元の交換性を高めていく
出所:各種報道より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成
今後のドル人民元相場:
短期的にはドル高・元安
に振れやすい状態に
以上の考察を踏まえた上で、今後のドル人民元相場の行方について考えてみたい。
短期的には前者の「景気浮揚」という目的の占める割合が高いとみられるため、まだもう少
しはドルに対する人民元安が進む可能性はあるだろう。足下で鮮明になりつつある米国
と中国の金融政策の方向格差などを考慮すると、今後は市場メカニズムに任せて決まり
やすくなるドル人民元相場の上海市場における終値が、どちらかと言えばドル高・元安方
向に振れる日が多くなるのは自然であり、結果的に緩やかな人民元安が進みやすい状
態が続くだろう。
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し
てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
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外貨投資の視点
ただ、極端なドル高・元安
を是認すると 、中国企業
のドル建て債務の返済負
担が重くなるほか、中国か
ら の 資 本 流 出の リ ス ク も
抱える
だが、だからと言って、今後中国当局が極端な人民元の下落を是認する可能性は低
い。あくまで私見だが、今回の制度変更が発表される前日の8月10日(月)の基準値=
6.1162元から1割程度のドル高・元安水準にあたる6.7278元界隈が、PBoCによる当面のド
ル高・元安是認の北限になるのではなかろうか。それ以上の自国通貨安を認めてしまうと、
中国の輸出競争力は改善するものの、中国企業が抱えるドル建て債務の返済負担が重
くなって景気にむしろ悪影響が及ぶ懸念があるほか、人民元の先安観が強まって、中国
市場からの資本逃避が加速してしまうリスクも抱えることになるからだ。
PBoC は定期的な為替介
入はやめたが、効果的な
為替介入は適宜継続する
と明言、極端な元安是認
は手控えられそう
実際、中国政府はこれまでよりは市場実勢を反映させる形で日々の人民元相場の基
準値を決定する仕組みに変更したとはいえ、自国通貨の為替レートを市場メカニズムに
完全に委ねる改革には踏み込んでおらず、12日(水)や13日(木)の上海市場では当日
の終値が極端なドル高・元安にならないように元買い介入を実施して水準や速度をコント
ロールしていたようだ。13日(木)に開催された現地メディア向けの記者会見でPBoCの易
綱・副総裁は、「定期的」な為替介入は既にやめたが、極端な相場変動がみられた場合
には「効果的」な介入は実施すると述べている。同副総裁は、「管理された為替レートの
変動が中国には合っている」とも明言しており、為替相場をある程度人為的にコントロー
ルする現在の政策を完璧に放棄するつもりは無いようだ。「人民元安のメリットとデメリット
が丁度良くバランスする水準」がどこにあるかを判断するのはPBoCだが、一方的な元安
が必ずしも景気にプラス効果だけを及ぼす訳ではないことを加味すると、この先想定され
る元安是認の幅にも自ずと限度があるだろう。
出来るだけ早期の SDR
加入を目指すなら、極端
な元安是認は手控えた方
が無難
加えて、今回の人民元改革のもう一つの目標である「出来るだけ早期のSDRへの参
入」を果たすためには、極端なドル高・元安の是認は手控えるのが無難だ。中国政府が
どんなに「自然体の需給に任せた結果である」と主張しても、実際にドル高・元安一辺倒
の動きが続いた場合、米国政府にヘソを曲げられて人民元のSDR参入が遅れてしまうリ
スクがある。今回PBoCが発表した人民元の制度変更について、IMFは「自由化に向けた
改革の第一歩」として歓迎する意向を示しているが、本当の意味での自由化が進んでい
るかどうかは、この先自然体の需給に委ねて人民元が高くなるときに、中国政府がそれを
是認するかどうかを見極めるまで、外部からは確認できない。
人民銀行要人は、口を揃
えて大幅な元安誘導の可
能性を否定
今回の制度改革によって「たまたま人民元が安くなる時期と重なった」という中国政府
の主張が正しいにしても、米国議会や産業界の一部からは早速、中国政府による元安誘
導への警戒感が台頭している。中国政府が主張する「上下双方向」への為替変動が生じ
るようになったという実績をなるべく早く見せるためには、易綱PBoC副総裁の言う「効果
的」な為替介入を断続的に活用しつつ、「ドル高・元安一辺倒」という印象を市場関係者
や米国政府になるべく植え付けないような為替相場の管理が続くだろう。事実、12日(水)
付けの人民日報でPBoCの馬駿チーフ・エコノミストは「人民元が下落トレンドに入ったと
解釈すべきではない」との見解を示しているほか、13日(木)の記者会見で張暁慧PBoC
総裁補佐は「人民元相場の短期的な調整はほぼ終了した」などと述べている。米国ワシ
ントンDCに本部のあるIMFが「人民元のSDR組み入れを正式に認める」との声明を発表
するまでの間、中国政府は極端な元安是認を手控える可能性が高い。
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し
てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
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外貨投資の視点
長期 的 に 見 た ド ル 安・ 元
高の大局観を維持
問題となるのは、中国人民元のSDR参入が実現した後の超・長期的に見たドル人民元
相場の展開だが、我々の為替市場分析チームでは、金融・為替市場の自由化の推進に
よる循環変動を次第に大きくしながらも、「趨勢的には緩やかなドル安・元高が進んで行
かざるを得ない」との見方を維持している。これまで本レポートで主張してきた通り、現在
中国はほぼ恒常的な経常収支の黒字国であり、この先恒常的な赤字国に転落しない限
り、「自然体の為替需給」に身を委ねれば、長い目で見て人民元の増価は進みやすいと
みられるからだ。今回の政策変更によって短期的な人民元安が進んで中国の輸出が伸
びる場合、中国の経常収支黒字はその後一段と大きくなるので、長期的には元高圧力が
一層強まる可能性もある。
図3:米国の貿易赤字主要対象地域の推移
(億ドル)
500
メキシコ
カナダ
0
-500
日本
-1000
-1500
OPEC
-2000
ヨーロッパ
-2500
-3000
-3500
中国
-4000
-4500
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
2015
注:センサスベースから国際収支ベースに変換。
出所:米商務省より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成
政治的に見てサスティー
ナブルとは思えない米中
二国間の貿易不均衡の一
方的拡大
また、米国と中国の二国間収支の動向をみると、今年1-3月期の季節調整済み年率換
算で米国の貿易赤字は▲3800億ドルと空前の規模に達している(図3)。米国の対中国で
の貿易収支は1986年以降に恒常的な赤字状態になっているが、その後現在に至るまで
米国の対中赤字は「ITバブルが崩壊した2001年」と「リーマン・ショック勃発した2009年」の
2回を除き、29年間ほぼ一方的に拡大し続けている。両国の景気循環とはほとんど無関
係に、まるで一次関数のような形で米国の対中国赤字が膨張してきた事実に鑑みると、
米国政府が「為替報告書」などで主張し続けている通り、恐らく人民元相場は、ドルに対
してまだかなり過小評価されているのではなかろうか。米国の中国向け貿易収支が恒常
的な赤字になっているのは、必ずしも為替だけの問題ではなさそうだが、少なくとも両国
の景気サイクルの違いなどを反映して米国の対中赤字額が循環的な増減を繰り返す状
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し
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外貨投資の視点
態になるまでは、為替需給の側面からみた場合はもちろん、政治的な側面からも人民元
に対する割安是正圧力がかかるのではなかろうか。
1 ドル=6 元台ではまだ人
民元が割安である可能性
が大きい
その水準がどの辺りにあるのかはハッキリ分からないが、これまでの米中二国間の貿易
収支の動きを見る限り、1ドル=6元台では構造的な不均衡の拡大に歯止めが掛らなかっ
たことは明白だ。中国政府が本当に自然体の需給に委ねた為替変動を重視していくスタ
ンスを強化するなら、将来どこかのタイミングでは1ドル=5元台はあり得るだろう。これまで
本レポートで主張して来た通り、超・長期的には天安門事件前の1ドル=4.0元前後まで
元高余地が広がる可能性もあるとみておきたい(図4)。
図4:ドル人民元相場の長期推移と主なイベント
2元
3元
①
4元
5元
2元
①80年代末は1ドル=3.8元程度で元の価値はドルの4分の1以上
②元安誘導に対し、米国は92年上期から94年上期まで中国を為替操作国に認定
③GATT加盟に合わせ94年1月に二重相場制を廃止、同時に元をを半値以下へ
④管理フロートを採用、小幅の元高誘導を実施、97年のアジア通貨危機で停止
⑤05年夏まで1ドル=8.27元台で事実上のドル・ペッグ制を採用
⑥05年7月21日に2.1%の元切り上げを実施、管理フロート制に移行
⑦約3年間の元高誘導で対ドルで最大約19%の元高・ドル安が実現
⑧08年の北京五輪、リーマン危機で管理フロートの安定運用=ドル・ペッグ再開
⑨10年6月に管理フロートの弾力運用再開、為替制度改革を進めて元高を容認
⑩12年4月と14年3月の許容変動幅拡大に伴い、従来よりも柔軟に動く状態に変化
3元
4元
5元
②
⑨
6元
7元
③
8元
9元
10元
1988
6元
⑧
7元
ドル人民元相場
(逆目盛)
⑩
⑥
8元
⑦
二重相場制
時代の
市場レート
④
9元
↑人民元高↑
↓人民元安↓
⑤
10元
1991
1994
1997
2000
2003
2006
2009
2012
2015
注:1994年以前の市場レートは公定レートと上海外貨調整センターのレートの加重平均
網掛けは、米財務省が中国を為替操作国に認定していた期間
出所:ブルームバーグ、米国財務省より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成
人民元切り下げ騒動の最
中にあっても殆ど動かな
かったドル円相場
最後に、今回の中国政府による人民元政策の変更がドル円相場に与える影響につい
て触れておく。結論的に言うと、今後しばらくの間は、十人十色の難しい解釈が錯綜する
ものの、ドル円相場の趨勢に影響を及ぼすほどのテーマにはならないだろう。実際、今回
の人民元切り下げ騒動勃発後のドル円相場は、123円台後半では底堅い一方、125円台
では上値が重く、124円台を中心とする狭いレンジであまり大きく動いていない。この間、
「世界第2位の経済大国の通貨に対してドル高が進めば、日本を含めたその他のアジア
諸国の通貨に対してもドル高圧力が発生する」、「中国景気が緩やかな元安誘導で腰折
れを回避できるなら世界経済にはむしろプラスなのでリスクオンの円安要因になる」など
の見方が強まる場面もあったが、「中国がなりふり構わぬ元切り下げに舵を切ったのは、
それだけ国内景気がボロボロになっている証拠である」、「中国景気の悪化と人民元を震
本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し
てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
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外貨投資の視点
源地とする世界通貨安競争が激化すれば世界的に株価が値崩れしてリスクオフの円高
圧力が強まる」などの懸念も意識され、ドル円相場はどちら側にも動けなかったようだ。
中国の為替政策は、解釈
次第で「円安系の変化球」
にも「円高系の変化球」に
もなりえるが、ドル円相場
のトレンドを決める本筋の
テーマではない
要するに、中国政府が今回実施した為替政策の変更は、個々の市場関係者の解釈次
第で「円安系の変化球」にも「円高系の変化球」にもなり得る可能性を秘めているものの、
本質的にはドル円相場を直撃する材料ではないと言える。中国当局の為替政策運営に
対する我々の読みがもしも外れて、今後かなり急激な元安・ドル高が進んでしまった場合、
世界各国に人民元安に由来するデフレ圧力が輸出されて、米国の利上げ開始時期が後
ズレするかもしれないが、その場合には、全く同じ理由を背景に、日本の異次元緩和も
益々出口の見えない状態に引き摺り込まれていくはずだ。結果的に、米国の利上げ時期
に対する市場の期待は後ズレするかもしれないが、日本の異次元緩和からの卒業時期
に関する市場の読みも同じように後ろにズレていくので、ドル円相場の趨勢を決める本筋
のテーマである「日米の金融政策運営の印象格差」は変わらないだろう。唯一警戒すべ
きは「中国経済=実はボロボロかもしれない懸念」の当否だが、我々の債券市場分析チ
ームでは、日米のマクロ経済や金融政策運営に根本的な変更を迫るほどの中国景気の
腰折れは回避されるとみている。
今後、時の経過とともに
「ドル人民元相場の基準
値」に対するドル円市場関
係者の注目は徐々に減衰
総じて、つい1ヶ月ほど前まで、「上海株の暴落騒動」に国内外の金融市場が振り回さ
れていたこともあり、当面は上海市場発のニュース・ヘッドラインに対する為替市場関係
者の危険探知機の感応度が非常に高い状態が続きそうだ。だが、我々の読み筋通り、急
激な元安も元高も望んでいない中国政府の意向が徐々に明らかになるならば、日本時間
10:15にPBoCが発表する「ドル人民元相場の基準値」に対するドル円市場関係者の注目
度は、時の経過とともに落ちていくだろう。日米の金融政策格差に趨勢判断の軸足を置
いたドル高・円安の大局観を崩すことなく維持しておきたい。
(8月18日 8:00)
Appendix A
アナリストによる証明
本レポート表紙に記載されたアナリストは、本レポートで述べられている内容(複数のアナリストが関与している場合は、それぞ
れのアナリストが本レポートにおいて分析している銘柄にかかる内容)が、分析対象銘柄の発行企業及びその証券に関するアナリ
スト個人の見解を正確に反映したものであることをここに証明いたします。また、当該アナリストは、過去・現在・将来にわたり、
本レポート内で特定の判断もしくは見解を表明する見返りとして、直接又は間接的に報酬を一切受領しておらず、受領する予定も
ないことをここに証明いたします。
開示事項
MUMSS は、MUMSS のリサーチ部門・他部門間の活動及び/又は情報の伝達、並びにリサーチレポート作成に関与する社員の通
信・個人証券口座を監視するための適切な基本方針と手順等、組織上・管理上の制度を整備しています。
MUMSS の方針では、アナリスト、アナリスト監督下の社員、及びそれらの家族は、当該アナリストの担当カバレッジに属するい
ずれの企業の証券を保有することも、当該企業の、取締役、執行役又は顧問等の任務を担うことも禁じられています。また、リサ
ーチレポート作成に関与し未公表レポートの公表日時・内容を知っている者は、当該リサーチレポートの受領対象者が当該リサー
チレポートの内容に基づいて行動を起こす合理的な機会を得るまで、当該リサーチに関連する金融商品(又は全金融商品)を個人
的に取引することを禁じられています。
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本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し
てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
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外貨投資の視点
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ます。MUMSS 及びその関連会社等は、それらの経済的持分又は商品についての売り又は買いのポジションを有することがあります。
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Securities International plc. (以下「MUSI」。電話番号:+44-207-628-5555)により配布されます。MUSI は、英国で登録されており、
Prudential Regulation Authority(プルーデンス規制機構、
「PRA」
)の認可及び Financial Conduct Authority(金融行動監視機構、以下
「FCA」)と PRA の規制を受けています(FS Registration Number 124512)。本レポートは、professional client(プロ投資家)又は eligible
counterparty(適格カウンターパーティー)向けに作成されたものであり、FCA 規則に定義された retail clients(リテール投資家)を
対象としたものではありませんので、誤解を回避するため、同定義に該当する顧客に交付されてはならないものです。MUSI は、本レ
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外貨投資の視点
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IRS Circular 230 Disclosure(米国内国歳入庁 回示 230 に基づく開示)
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せん。本レポート内(添付文書を含む)の税金に関する記述は MUS-USA 及び関連会社以外の個人・法人が本レポートにおいて研究
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日本: 本レポートが日本において配布される場合、その配布は MUFG のグループ会社であり、金融庁に登録された金融商品取引業者
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シンガポール: 本レポートがシンガポールにおいて配布される場合、本レポートは MUFG のグループ会社である Mitsubishi UFJ
Securities (Singapore), Limited (以下「MUS-SPR」。電話番号:+65-6232-7784)とのアレンジに基づき配布されます。MUS-SPR はシ
ンガポール政府の承認を受けた merchant bank であり、Monetary Authority of Singapore(シンガポール金融管理局)の規制を受けて
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して配布、転送、交付、頒布されてはなりません。本レポートが accredited investors 及び expert investors に配布される場合、
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イナンシャル・アドバイザーが全ての重要情報を開示する義務、第 27 条:ファイナンシャル・アドバイザーが合理的な根拠に基づい
て投資の推奨を行う義務、第 36 条:ファイナンシャル・アドバイザーが投資の推奨を行う証券に対して保有する権利等について開示
する義務。本レポートを受領されたお客様で、本レポートから又は本レポートに関連して生じた問題にお気づきの方は、MUS-SPR
にご連絡ください。
香港: 本レポートが香港において配布される場合、本レポートは MUFG のグループ会社である Mitsubishi UFJ Securities (HK) Limited
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その他の地域: 本レポートがオーストラリアにおいて配布される場合、MUS-HK 又は MUS-SPR により配布されています。MUS-HK
は Australian Securities and Investment Commission (ASIC) Class Order Exemption CO 03/1103 に基づき、Corporations Act 2001 が
定める金融サービスの提供者によるオーストラリア金融業免許の保有義務を免除されています。MUS-SPR は ASIC Class Order
Exemption CO 03/1102 により同様に義務を免除されています。本レポートはオーストラリアの Corporations Act 2001 に定義される
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三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社
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(加入協会)日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品
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