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キャリアカウンセリングとは何か

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キャリアカウンセリングとは何か
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キャリアカウンセリングとは何か
❶ はじめに
JCDAではCDA資格の発足のときから “ キャリアカウンセリングとは何か ” を
考え続けてきました。
それらを考えるひとつのアプローチとしてカウンセリングスキルというものについ
て考えました。キャリアカウンセリングも対面支援場面で必要とされるスキルの基礎
はカウンセリングスキルであると考えたからです。
キャリアカウンセリングの各スキルが効果を発揮する根拠、例えば、受容、共感、
信頼関係の構築などはどうして必要で、どのように有効なのか、またそのような態度
や関係をとることは、クライエントに対して何を意図するからなのかをきちんと理解
する必要があります。さらにキャリアカウンセリングの実践にあたって表面的なスキ
ル偏重にならないため、個々のスキルを学ぶ前の段階でそれらを確認し、意識する必
要があると考えました。
そして、最も大きなポイントはキャリアカウンセリングの定義です。より本質に近
い表現を模索し、そしてたどり着いた概念が “ 自己概念の開発(成長)” でした。つ
まりキャリアカウンセリングとは何をしようとするものなのか、その答えを自己概念
の成長、と結論づけたのです。
〈キャリアカウンセリングの定義〉
キャリアカウンセリングとは、発達的視点に立って、成長と適応という個人の
積極的側面に強調点を置き、個人が環境の中で効果的かつ自律的に機能できるよ
うに支援すること。自己概念の開発を通してキャリア形成を図ること。
<定義の説明>
キャリアカウンセリングは、
人間が社会的な存在であることを重視しています。
自分が育った国の文化や社会環境、その中での経験など、個人を取り巻く親、兄
弟、友人、先生などの人間関係、それら全体との関係の中でとらえることが重要
だと考えます。
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Ⅰ
そのような全体との関係の中で、人間が生まれて、成長に向けて進もうとする
存在の中核概念として「自己概念」があります。キャリアカウンセリングは、自
キャリアカウンセラーとしての活躍
己概念の成長を促す働き掛けであると考えます。
キャリアカウンセリングとは何か、それは従来から先人によって問い掛けられてき
た命題で、さまざまな表現がなされてきました。キャリアカウンセリングは変化成長
し続けるものであり、最終的結論はないかもしれません。
JCDAでは、キャリアカウンセリングは何かを考え続けてきました。これまでの
研究成果を学ぶこともし、さまざまな情報を取り入れるために海外を含め多くの研究
会に参加もしました。しかしわれわれは外部にすでに確立しているであろう何かを求
めてきたわけではありません。
その心は、CDA会員の何人かからお聞きした、その方々の勉強動機に近いものが
あります。「キャリアカウンセリングという言葉を耳にしたとき “ これだ! ” と思っ
て資料を取り寄せた」というような言葉です。
これは、先人の研究によるキャリアカウンセリングの定義や理論を知って “ これだ ”
と思ったわけではなく、自分の中の何か求めているもの、大切にしているもの、その
ようなものが “ キャリアカウンセリング ” の中に含まれているのではないか、キャリ
アカウンセリングで表現できるのではないか、実現できるのではないか。そのような
想いの表れではないかと思います。そのような想いの例を挙げてみます。
(受講生の声)
・自動車メーカーの国際マーケティングを担当するAさん
「これからわれわれの子どもは 1 億 2 千万人の日本ではなく、30 億人の世界
で生きていかなければならない。そのような子どもたちに今の大人が人生を教
えていかなければいけない」
・1部上場企業の役員のBさん
「長年サラリーマンをしてきて役員にまでなり、ビジネスの世界では一応成功
を収めたと思う。
しかし何か大切なものを置き去りにしてきたような気がする」
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1
精神分析
❶ 理論の概要
まず、事例を1つ挙げます。
事例
40 歳過ぎの女性が突然耳が聞こえなくなり、耳鼻科で検査を受けましたが異
常はなく、精神科を受診するように言われました。何度か筆談でカウンセリング
を進めていくうちに、夫の声以外は聞こえるようになってきましたが、夫の声だ
けはどうしても聞こえません。まるで「夫の言うことなど聞きたくない」と言っ
ているかのようでした。そのうち女性は耳が聞こえなくなる少し前に、夫が浮気
していることを知人から聞かされたことを思い出しました。そのときは不思議に
怒りも悲しみも感じなかったといいます。しかし、話すうちに心の底から怒りが
こみ上げてきました。だが、
もし離婚となったら生活はどうするのかと考えると、
そのことを夫に問いただすことにも迷いが生じました。こうした葛藤について話
をしていくうちに症状は消失しました。
(河合隼雄(1977)による事例を要約して引用)
浮気
夫の
夫の声
だ
聞こえ けが
ない…
症状が消失
カウンセリング
10
Ⅰ
この女性の場合、辛い出来事に接し、腹立たしさ、くやしさ、情けなさなどの感情
を抱きながらも、それを押し殺し、出来事自体も忘れて生活していましたが、やはり
カウンセリングの8つの理論
無理があって、押し殺したはずの感情が、耳が聞こえないという身体症状の形をと
って現れたのだと考えられます。このような心の葛藤が体の症状へと転換する疾患
は、かつては「転換ヒステリー」と呼ばれ、現在は「転換性障害」と呼ばれる精神疾
患のひとつです。19 世紀の末にウィーンの医師、ジクムント・フロイト(Freud, S.,
1856-1939)が精神分析を創始したのは、
この転換ヒステリーの治療を通してでした。
耳が聞こえないという症状があるが、最初はそれがどこから来るのか、患者本人に
もわかりません。体そのものに異常はないのに、なぜこのようなことが起きるのか不
思議です。しかし治療をしているうちに、自分の中に潜む心の葛藤がその症状を生ん
でいることがわかってきます。そして、その症状の持つ隠された意味が判明し、それ
を患者が理解し、受け入れれば症状は消えます。したがって、治療者は治療の中でそ
の隠された意味を少しずつ明らかにしていき、その内容を患者に伝えることで患者の
自己理解を促します。精神分析療法が始まった頃の治療の原理はこのようなものでし
た。
なぜこのようなことが起きるのかと不思議に思うことは、精神疾患を持つ患者の場
合だけではありません。日常生活において私たちは言い間違いをすることがあります
が、そのときにも、私はなんでこんなことを口走ったのだろうと自分で不思議に思い
ます。私の中には私の意図に反して喋る私がいるのです。あるいは、夜中に見る夢も
目が覚めたときになんでこんな夢を見たんだろうと印象深く思うことがあります。自
分が見た夢でありながら、その意味は自分でもよくわからないものです。
こう考えると、人は自分自身のことをすべて知っているわけではなく、
「私の知ら
ない私」に動かされているということができます。これが、精神分析の基本的な人間
観です。
「精神分析では、心的なものの本質は意識のうちにはない」とし、
「これが精
神分析の入口の最初の〈合い言葉〉だ」とフロイト(1996)は述べています。
「私の知らない私」
、つまり私の中にあって、知らないうちに私を動かしているもの
を「無意識」と呼びます。そして、この無意識の心を探求する方法が「精神分析」で
あり、それを精神疾患の治療に用いたものが「精神分析療法」です。
精神分析という無意識の探求法は、のちに美術、文学、社会システム、文化、宗教
などの分析にも応用されることとなり、1 世紀以上が経過した今日においても多くの
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キャリアカウンセリングに関する理論の発展
専門分野には必ず理論があります。キャリアカウンセリングに関する理論は、職業
にかかわる選択や変更がどのように行われているか、またそれはどのように行うべき
なのかについて、一連の考え方を示すものです。実践する人にとっては、理論は次の
点で役に立ちます。
●人がどのように職業を選択したり、変更したりするのかを説明できる。それに
よって、最も時間的に効率の良い方法で実行するための計画を策定したり活動
したりすることができる。
●理論では、どのように選択を行うべきか、満足のいく選択を可能にする条件は
何か、などを説明しているため、現在の選択になぜ不満なのかもわかる。
●人の性格特性はどのように形成されるのか、職業世界はどのような構造になっ
ているのか、どのように人と職業の橋渡しをしたらよいかに関する考え方や前
提を理解することができる。
本テキストでは、米国における職業選択やキャリア・デベロップメントに関するこ
れまでの理論(1950 〜 1990 年ごろのもの)および、ごく最近の理論について、詳
しく説明しています。キャリアカウンセリングの全般的な方向性や意義づけは、文化
的背景と関連しています。また、キャリアカウンセリング理論も同様に、米国の文化
の影響を受けていますので、必ずしもそのまま日本に適用できるわけではないことに
留意することが大切です。
❶ 初期のキャリアカウンセリング理論における職業選択の考え方
初期の諸理論は、職業選択の過程に関してそれぞれ独自の観点を持っていますが、
次のような共通の考え方が存在しています。
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Ⅰ
● 個人の職業選択や進路に関しては、遺伝や環境の影響も大きいが、本人がコン
トロールできる部分も大きい。
● 個人が選んだ職業やそれを実践する場面(会社や団体など)は、生涯を通じて
ほとんど変わることはない。
● 職業教育や職業訓練は、思春期や青年期に行うことが普通である。
● 仕事人生においては、責任は軽いものから重いものへと進んでいくことが多い。
● 中学校の年齢から一般的に定年を迎える 65 歳に至るまでの職業選択には、一
定のパターンと段階がある。
キャリアカウンセリングに関する主要な理論
● 職業や勤め先の選択は、個人の特性や好みに関連しているべきである。
❷ 現代のキャリアカウンセリング理論における職業選択の考え方
本テキストで取り上げる理論は、スーパー、ホランド、クルンボルツなどの理論家
による研究や、シュロスバーグ、ハンセンやシャインといった新しい理論家および社
会認知的キャリア理論の考え方を反映したものになっています。初期の理論と比べる
と、現代における職業選択の考え方は次の点においてかなり異なります。
● 個人の職業選択は自分でコントロールできるが、この「コントロール」とは、
外的な要因がどのように影響しようとも、自分のキャリアには自分が責任を持
つという意味であり、スキルを用いて絶えざる変化に対処していくということ
である。
● 技術革新の影響によって工場における組立て業務が機械化し、インターネット
の普及などにより、仕事のスタイルが変化する。そして、高度な技術力(OA
スキル、または経営トップレベルの管理能力)へのニーズが急激に高まる。こ
のことは、自分自身で仕事をつくり上げるビジネス、例えば、スモールビジネ
スや契約労働に従事する者の増加を示唆している。
● 職業の内容と仕事の進め方、仕事の場、そして必要となるスキルは、急速に変
化する。企業や組織は、これまで前提とされていた社員との関係を崩し、財務
の健全化を図るためにダウンサイジングやリストラを敢行する。
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キャリア
カウンセラー
養成講座
テキスト4
アセスメント/キャリア情報/メンタルヘルス
アセスメントとは
p.7
アセスメントとは
・キャリアカウンセリングにおけるアセス
メントの目的
・フォーマル・アセスメントとインフォー
マル・アセスメントの違い
フォーマル・アセスメント
・フォーマル・アセスメントの特徴
・フォーマル・アセスメントの種類と内容
・アセスメント・ツールの実施上の注意
インフォーマル・アセスメント
・特徴、種類、利点、限界
・各アセスメント、実習について、
チェック・リスト、
カード・ソート(分類)
、
ガイド・イメージ、強制選択
アセスメントの実施プロセス
・準備、選定、実施、採点処理、解釈・実践
キャリアカウンセリングの支援に関する情報p.77
キャリア情報とは
・キャリア情報の内容 ・意義
・具体的な取り扱い
キャリア情報の種類(日本・米国)
・印刷物、出版物 ・シミュレーション
・コンピュータ
メンタルヘルス
p.101
ストレスの理解
・心と体の症状 ・職業性ストレス
職場不適応/職場のメンタルヘルス・
マネジメント/メンタルヘルスケアの
実践と予防
・職場不適応の要因と対策
・メンタルヘルス対策実施の手順
・4つのケア
復職支援の手引き/復職支援とキャリ
アカウンセリング
・復職支援の流れ
・ライフ・キャリアの再編成
キャリアカウンセリングのリファー
・キャリアカウンセリングの限界
・ネットワークの形成
発達障害
・診断基準と特性(広汎性発達障害・学習障
害・注意欠陥多動性障害)
・支援と対応
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アセスメントとは
❶ アセスメントとは
アセスメントとは「個人についての情報を収集し、それを用いて個人の特性につい
て推測したり、行動を予測したりすること」とされています。そして、狭義にはクラ
イエント理解のための検査や面接に対して「アセスメント」という言葉が使われてい
ます。しかし、アセスメントは、ある基準に従い個人を振り分ける「判定」や「判別」
とは区別される必要があります。
またアセスメントは、司法の領域においては「鑑別」
「鑑定」という意味で用いら
れることもありますし、心理・カウンセリングの領域では「診断」
「検査」
「評価」
「査
定」「見立て」という意味で用いられることもあります。ただし、
「診断」という言葉
が持つ社会的な意味については少し注意を払わなければなりません。
「診断」とは、
一般的に「医学的診断」を意味することが多く、この「診断」を行えるのは医事行為
が行える医師に与えられた役割となるからです。
キャリアカウンセラーがクライエントの支援に用いる職業適性検査など、クライエ
ントの心的状態や課題を「査定」
「評価」することもアセスメントとして理解し、ア
セスメントという言葉の持つ意味は用いられる状況で変わっていくことも理解してお
くことが必要になります。
❷「見立て」の資料としての心理アセスメント
キャリアカウンセラーがクライエントに適したキャリアを「見立て」る上では、ク
ライエントのキャリアに対する興味・関心・スキル・到達度・価値観などを理解し、
クライエントの現在の状況を的確に把握することが必要です。したがって、アセスメ
ントの結果だけでクライエントの方向性を決定したり絶対視したりすることは望まし
いことではありません。
クライエントを理解するにはその基本としてキャリアカウンセラーとクライエント
の間に信頼関係が成立していることが前提であり、キャリアカウンセラーは、その前
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はじめに
キャリアカウンセリングを行うということは、クライエントの人生の中で大きな節
目となる意思決定にかかわることを意味します。
キャリアに関する意思決定プロセスにおいて、
「好ましい結果」を得るためには、
3つの構成要素が一緒に機能することが必要です。3つの構成要素とは、
「クライエ
ント」「キャリアカウンセラー」それに「資源」で、これらがあって初めて満足のい
く意思決定ができます(図表1参照)
。
「好ましい結果」とは、クライエントとキャリ
アカウンセラー両者が合意した目標を達成するために必要な意思決定をし、それを実
行することによって、クライエントが自分の生活の質を向上させることです。
図表1
意思決定プロセスの3つの構成要素
クライエント
キャリアカウンセラー
●
理解度チェック
資源
●
以下はこの項で学んだ内容です。それぞれの理解度を確認してください。内容を忘
れている個所や、正確に理解していない個所については、テキストで再度、確認して
ください。
□意思決定プロセスを構成する3つの要素を挙げなさい。
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8つの意思決定スタイル
Ⅰ
1
キャリアに関するクライエントの意思決定プロセス
キャリアカウンセラーが支援するクライエントは実に多種多様です―年齢、性別、
状況、社会・経済的状況、知的水準、自己概念の強さ、意思決定の緊急度もさまざま
でしょうし、キャリアカウンセラーと一緒に努力していくことにどれだけの時間とエ
ネルギーをかける意欲があるかも異なります。原則として、クライエントはキャリア
カウンセラーのところに自発的に来ているのですから、自分が意思決定をしなければ
ならないことはある程度自覚しています。しかしながら、クライエントの意思決定ス
タイルによっては、時として意思決定を行っていく上での障害が起こることがありま
す。
アメリカの心理学者、ディンクレッジ(Dinklage, L. B., 1968)は、意思決定に8
つのスタイルがあると述べています。次に、各スタイルについて簡単に説明します。
❶ 8つの意思決定スタイル
1 計画型スタイル
体系的、段階的方法で意思決定を行おうとするスタイルです。具体的には、次の段
階を踏んで意思決定するスタイルです。
❶ 決定事項の明確化
❷ 情報収集
❸ 選択肢の明確化
❹ 根拠の評価
❺ 選択肢の中から最終選択
❻ 行動
❼ 決定と結果の検討
例
「私は計画的であり体系的に物事をとらえている」
11
目標の設定
Ⅰ
1
応募書類の重要性と作成方法
❶ クライエントの自己分析を支援する
クライエントが新たに自分に適した職業を見つけようとする場合にも、現在の職業
についての満足度や充実度を評価しようとする場合にも、まずクライエントが自分自
身をよく知ることが重要になります。
そして多くの場合、クライエントが就職を実現するためには、応募書類(履歴書、
職務経歴書、エントリーシートなど)を提出して、書類選考を通過しなければなりま
せん。
説得力のある応募書類を作成するには、クライエントが自分自身を理解した上で求
職活動の目標を設定する必要があります。これが求職活動において最も大切なステッ
プのひとつです。
まずは、クライエントが自分の興味、価値観、能力などを把握し、
「何ができるの
か、何をしたいのか」
「何が強みか、何が弱みか」を正しく認識することが重要です。
その上でクライエントが置かれた環境も考え合わせ、最適な目標を設定します。
クライエントが独力で自分を客観的に評価することは困難です。アセスメントやキ
ャリアカウンセラーの適切な指摘によって、できるだけ正確な自己理解ができるよう
支援する必要があります。
キャリアについて目標が定まっていない学生や転職者にとって、求職活動は自分を
「クライエントの自己理解を支援する」
「クライエントの自己理解を支援する」
るのか
何ができ
何を
した
いの
か
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見つめ直す良い機会と考えられます。新しい環境に飛び込むには、
「自分はどういう
人間なのか、何ができるのか、何をしたいのか」を確認することは大変重要なことで
す。これは、転職を考えたものの、結果的に引き続き現在の職業に従事することにな
っても同様です。そして、この自己分析なしには、説得力のある応募書類を作成する
ことはできません。
クライエントがこれから充実した職業人生を築いていくためには、まず自分自身の
ことをよく理解した上で自分の適職(自分に合った仕事、継続していける仕事)を探
す必要があることに気づいてもらい、自己分析や適性検査、経験の整理に前向きな気
持ちで臨むよう勇気づけていく必要があります。
1 自己分析
クライエントの興味、価値観、能力を明らかにしていきます。方法としては後で取
り上げる「経験の整理」以外に次のようなものがあります。
● 趣味、特技の整理
● 資格、免許の整理
● 長所と短所の確認
● 思考特性・行動特性の確認
実施にあたってはクライエント1人で考えるのではなく、キャリアカウンセラーか
らのツールの提供やアドバイスはもちろんのこと、家族や友人など身近な人へのイン
タビューや各種アセスメントを活用することが有効です。
そして実際の選考時に役立たせるためには、頭で考えるだけでなく、文章や言葉と
して他人にもわかりやすく伝えられるようにしておくことが大切です。例えば、
「安
定した仕事」「良い上司」
「積極性」などの言葉は、人によって意味が異なります。ク
ライエントは自身にとってそれらがどういう意味を持っているのかを表現できなけれ
ばなりません。
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