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ロシア中銀がルーブルを事実上の変動相場制に移行
Strategy Report Mitsubishi UFJ Asset Management 2014年11月12日 ロシア中銀がルーブルを事実上の変動相場制に移行 グローバル・マーケット・ストラテジー・チーム シニアストラテジスト 並木 日出男 CBR(ロシア中銀)は、ルーブルの許容変動幅を撤廃し、事実上の変動相場制に移行するこ とを決定しました。CBRは、これまで米ドル及びユーロからなるバスケットに対してルーブル に一定の許容変動幅を設けてきましたが、今後は市場実勢に応じた変動を容認していく方 針です。 ルーブルの下落は、ウクライナを巡る地政学リスクが高まるなか、高インフレ下で景気の先 行きに不透明感が台頭するとともに、ルーブルの先安観が高まり、外貨手当の前倒し実施 や、国外の有利な投資先への資金移動の加速などが影響したとみています。 ルーブルは、当面波乱含みになる可能性があると予想しています。しかし、ロシアが巨額の 外貨準備を持つ経常黒字国であることや、ロシア中銀がインフレ抑制に向けて大幅な利上 げを実施してきたことなどを勘案すると、徐々に落ち着いた展開になると予想しています。 ルーブルを事実上の変動相場制に移行 CBRは、ルーブルの許容変動幅を撤廃し、事実上の変動相場制に移行することを決定しま した。CBRはこれまで米ドル及びユーロのバスケット対してルーブルに一定の変動幅を設定 し、実質的に市況をコントロールする余地を残してきました。しかし、今後は、急速なルーブル 安などでロシアの国内金融に重大な悪影響が発生しない限りは為替介入を控え、市場実勢 に応じたルーブルの変動を容認していく方針です。 (円) 3.5 ロシアルーブル(対円および対米ドル)の推移 (ルーブル) 30.0 ルーブル高 3.2 35.0 2.9 40.0 2.6 45.0 対円(左軸) 対米ドル(逆目盛)(右軸) 2.3 2013/11/11 50.0 2014/2/11 2014/5/11 (出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成、NY市場、土日祝日は前営業日 2014/8/11 2014/11/11 (年/月/日) 当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定 はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前 の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当 社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。 Strategy Report Mitsubishi UFJ Asset Management ロシアは豊富な外貨準備を持つ経常黒字国、ルーブルは徐々に安定へ ルーブルは、今年7月のウクライナ情勢を巡る欧米の対ロ経済制裁強化などを契機にして、 主要通貨に対して大幅な下落が続いてきました(11日のNY市場では1米ドル=46.69ルーブ ルと、6月末比でルーブルは対米ドルで約27%下落)。 一連のルーブル下落は、ウクライナを巡る地政学リスクなどを背景にした投機勢による短期 的な為替取引とともに、高インフレ下で景気の先行きに不透明感が台頭するなか、ルーブル の先安観が強まり、ロシア企業が外貨手当てを前倒しで実施したことや、国外の有利な投資 先への資金移動を加速したことなどが要因であると考えています。 今後については、欧米の経済制裁の行方などの不透明要因が残り、ロシアのファンダメンタ ルズ(経済の基礎的条件)の改善には時間を要するとみており、このためルーブルは、当面波 乱含みの動きになる可能性があると予想しています。 しかしながら、中長期的には、①ロシアが豊富な外貨準備を持つ経常黒字国であること、② CBR総裁が、通貨政策の変更発表と同時に、投機的なルーブル売りを抑制するため、ロシア 国内の銀行への流動性供給を一時的に制限する考えを明らかにし、「必要な額の為替介入 をいつでも実施する」と表明していること、③ロシア中銀がインフレ抑制に向けて大幅な利上げ を実施してきたこと、などを勘案すると、ルーブルはファンダメンタルズの改善などを確認しな がら、徐々に落ち着いた展開になると予想しています。 (%) ロシアの消費者物価指数 (前年比) 8.5 8.0 7.5 7.0 6.5 6.0 5.5 2012/10 2013/04 (出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成 2013/10 2014/04 2014/10 (年/月) 当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定 はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前 の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当 社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。