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各チームリーダーが語るアントレの「魅力」
各チームリーダーが 語るアントレの ﹁魅力﹂と﹁やりがい﹂ 今回の特集企画の主旨は、今年度 が新たな組織に異動して事業化に携 て、予算化され、提案した職員自ら アントレは検討するだけではなく の各検討チームのリーダーに取り組 われるんですよね。 ○事務局による振り返り みを振り返っていただきながら、事 バーの何人かは異動して、次年度か すが、逆にチームからは﹁プレゼン 従来の仕事の仕方では、変化に対応 しかし、社会が大きく変わる中で、 とまどう場面があるかもしれません。 できなくなっています。このような 能力が高まった﹂、﹁自由な議論がで ことを考えると、アントレという従 きた﹂、﹁もう一度、アントレに取り 組んでみたい﹂などの声を聞き、嬉 ら業務に取り組むことになります。 しい気持ちになりました。 来とは違う仕組を導入し、組織内に 変化に対応し、新たな価値やモノを うか。 ・ 2005.3 ■ 79 調査季報vol.156 最終的には選考はどのように行わ れたのですか。 生みだしていく組織になっていくこ 新しい風を吹き込むことで、社会の て、事務局として感じたことをお話 アントレに1年間取り組んでみ 下さい。 執行会議や戦略会議という副市 長・市長などが集まる庁内の会議で アントレにおいては、一定の時間、 職員の意識改革だけではなく、アン そういう意味では、アントレは、 とがことが必要なのではないでしょ 選考が行われます。ただ、16年度は 本来業務を離れて事業の検討に従事 これら会議による選考だけではな く、最終提案発表会を年末に開催し、 しますので、周囲の理解と協力が必 のではないかと思っています。 な組織自体の変革も求められている Λ都市経営局政策課V トレを受け入れることができるよう 解と協力が欠かせません。アントレ であるだけに、様々な場面で関係者が は従来の手法とは異なる仕組の事業 要です。また、事業化された場合も、 会場に来た職員による評価や、チー 来事はありましたか。 それを引き受けていただく組織の理 ム同士の相互評価を加味して選考す るという手法を導入しました。 事務局として、運営面でどのよう なことを心がけてきましたか。 なるべく各チームの自主性が活か 定の制約を除いては、自由に議論で せるように配慮し、やむを得ない一 そうですね。単なる提案に終わる きるような環境づくりを整えること 業の意義を紹介できればという意図 なのですが、その前に、事業を取り 庁内ホームページを活用した積極的 を心がけてきました。 な情報発信を心がけました。 のでなく、実際に事業化されること、 毎年少しずつ課題の手直しをしなが また提案者自ら事業に携わる可能性 ら今に至っています。まずは年度当 まとめる事務局の立場で、アントレ 初に職員がテーマを提案することか プレナーシップ︵※︶事業の目的に 事業の目的は、一つには職員の新 ら始まります。次に、審査を通り提 に伝え、議論の広がりが起こるよう、 たな発想で市民にとって必要性の高 案が認められれば、現在の業務との 検討を進めていた9チーム全部が また、各チームの検討を広く庁内 い事業を実施するということがあり 事業化されるわけではく、残念なが があるということは大きな特徴です。 ます。 兼務辞令が発令され、チーム単位で ら事業化に至らなかったチームもあ アントレは、3年前にスタートし、 又、意欲ある職員がチャレンジで 約半年間の検討を行います。そして、 ります。そういうチームの気持ちを ついてお話いただきます。 きる機会を提供し、事業化に向けて ンを行いながら、年末には最終選考 市長、副市長へのプレゼンテーショ 考えると、心配な部分もあったので ︵※︶起業家精神 職員同士が議論をするという中で、 が行われ、事業化が認定されます。 事務局として何か印象に残った出 積極的な職場風土につなげていくと 事業化が認定されたチームのメン いう目的もあります。 16年度アントレプレナーシップ事業 各検討テーマについて ○﹁街づくり支援ツールとしてのG GISの活用に関しては、街づく のアイディアに関心を持って集まっ −検討チームのメンバーは石黒さん アンケートから、複数の職場でGI さらに、庁内的には職員に向けた づくり支援など、GISの次の展開 りや施設管理などにいかに応用、活 を図っていい時期と考えていまし 用できるか、利用イメージをもてる −すでに以前の職場でGISを構築 考えた訳です。 の新たな展開にアプローチしようと そこで、アントレを通じてGIS グラム2002−2005﹂に基づ 置し、現在﹁GISアクションプロ 5年にGIS関連省庁連絡会議を設 日本の場合、既に国では、199 ですね。 としてはGISが浸透しているそう IOという役職がある程、情報政策 自治体GISの統括責任者としてG −アメリカあたりだと州や郡などの と思います。 組みにより、検討の視点が広がった ませんでしたが、チームによる取り 辞令交付の日まで、一面識もあり 喜びました。 れる人がいるということに、素直に このような提案に、手を挙げてく くりで、いたって地味な内容です。 くりのツールとして活用する環境づ はGISを市民との協働による街づ ピー風に表現しましたが、内容的に ジユアルシンキング﹂とキャッチコ 提案のタイトルは﹁ヨコハマ ビ ントレはそれに対応し、事業化の機 い場合もあるかもしれませんが、ア ようということは、組織的にも難し 新たに職域を超える事業等を展開し 自分の職場からボトムアップ的に Lンはありますか。 みようと考えている人に何かメッセ −機会があったらアントレをやって ります。 横浜で開催してくれたことなどがあ 新のGISの状況にっいて講演会を の普及・啓発活動の一環として、最 検討作業を知った財団法人がGIS くることもできたことや、私たちの Sの利活用を検討するきっかけをつ た。けれどもGISと直接関わらな かが重要と思います。 てきたということですか。 い部署から、その思いを具体化する していたのですか。 いてGISを展開しています。 チームで作業するなかで、これか ことは難しいことです。 というものがあって、土地利用現況 以前の職場では都市計画基礎調査 庁内的には、10年前にGISの利 らのGISの活用は区役所を中心に いかと考えました。また、都市計画 で、これを活用できるものにできな 解析の貴重なストックデータですの 図などが作成されていました。都市 まわったことがありますが、当時は、 活用について、ヒアリングや説明に で市民はコピーもとれず、必要な場 ませんでした。 GISに対する認識はほとんどあり ができました。 進めるなどの方向性を打ち出すこと 実際に経験してみると、物理的に 会を与えてくれる良い制度です。 の縦覧窓口では、基本が閲覧ですの 合はトレーシングペーパーに写し取 の2つの課題解決の方策として頭に ないのか﹂と疑問を持ちました。こ か感じたことはありましたか。 シップ事業が立ち上がった時に、何 庁内で第1回のアントレプレナー の街づくりの有効なツールになるの 業も含めた情報の共有化や市民協働 局・区を横断的につなぎ、市民・企 縦割り組織において、GISは 要素であったと思います。 もらったことは、検討を行う重要な も職場から離れ考える環境を与えて っていました。﹁何故、コピーでき 浮かんだのがGISの利用です。 Λ検討メンバーV 入江 佳久︵市立大学事務局学務課 がでてきた段階でアントレを﹁やっ やはり市民・企業・職場の多くの 究所研究課︶ 井上 友博︵環境保全局環境科学研 古谷 雅孝︵総務局統計解析課︶ −例えばGISの活用はITに精通 てみたいな﹂という気持ちはあった 方々から協力をいただいた検討成果 石黒 徹 ︵都市計画局南部開発課︶ 当時は区画整理事業の立ち上げな −検討チームとして何かうれしかっ ではないでしょうか。 形図のデジタルマッピング化などに ど、自分として最重点で取り組まな 鶴見キャンパス担当係長︶ 企画・構想から、マッピーの構築、地 至るまでに、概ね10年かかりました。 くてはいけない業務があり、見通し たことはありましたか。 していない人にも広げることが大切 と思います。 遠藤 明子︵緑政局北部農政事務所︶ と思いますが。 が事業採択されたことでしょう。 80■アントレプレナーシップの提案報告・各チームリーダーが語るアントレの「魅力」と「やりがい」 ISの展開﹂の検討にっいて −GISというテーマで応募した動 機についてお話ください。 うそろそろ横浜市としても市民の街 ツールになると思っていたので、も り、GISは今後、社会的に必要な このように当初の基盤整備に携わ く評価されていました。 契機をつくったシステムとして、高 計画行政分野でGIS導入の一つの ステムのプロトタイプとなり、都市 した。マッピーは全国の情報提供シ 市のGISの基盤整備に取り組みま 画情報システムを構築するなど、本 提供システム︵マッピ)、都市計 的情報のデジタル化や都市計画情報 時の都市計画の職場で地形図等地図 概ね20年前から約10年かけて、当 「GIS」チームリーダーの石黒徹さん ○﹁世界と近いヨコハマづくりプロ ジェクト﹂の検討にっいて |事業の概要をお話ください。 発端は2009年に羽田が国際化 するということで、それをどのよう に横浜市として活かして行くかとい う問題意識から始まっています。 私自身のこれまでの経歴の中では 国際的イベント、会議の招致に取り 組んできて、国際都市横浜と言われ ながらも市民、職員はどれだけ国際 化を意識しているのかということを 振り返ってみるとあまり意識がない ように感じました。 国際都市として、どういう視点で まちづくりを考えていけばいいかと いうことを、きちんと考えてみょう ということになりました。 −なぜ、今、羽田空港に着目したの ですか。 「世界と近いヨコハマ」チームリーダーの山中研さん 2009年に開港150周年を迎 せん。 で盛り込み切れなかったかも知れま ーダーとしてプロジェクトの作業を 知らない職場の人同士で自分がリ したことはなかったので、新鮮で貴 −自分から手をあげて検討を一つの 方向にまとめあげていくのは大変で ンジしようと思っている人に何かメ ︱来年度に向けてアントレにチャレ 重な経験ができたと思います。 すね。 ロジェクトが体験できたことや、プ さまざまな職場から人が集まるプ レゼンテーションをする機会ができ のメリットをもっと活かせるという 浜からは世界がすごく近くなり、そ 化が進めば京急やYCATもある横 課題となっていますが、羽田の国際 がらも国際線の利用などにっいては 考えもありました。 を出して伝われば良いのではという た施策展開を!﹂というメッセージ 国を中心に国際化されるので意識し のは2009年に当面、東アジア諸 案の発表の場において﹁羽田という るされないは別にして、アントレ提 でした﹂とあり、おもしろいと思っ のはリーダーならではの貴重な体験 でちょっと管理職の役回りができた 出いただいたシートに﹁職員の立場 −今回、インタビューに先がけて提 は思います。 たことなど、いい経験ができたなと います。 状況の中では精一杯できたと思って かったのですが、自分なりには今の ﹁事業化の認定﹂という結果は出な てみて下さいと言いたいです。今回、 こととなりますが、ぜひ本気でやっ うちのチームの提案が事業化され 想は。 −16年度の取組みを振り返っての感 えるという節目があり、港に着目し ましたが、ほかにどんな動向がある かと考えた時に、羽田空港国際化と いうのがありました。 成田空港に行くのは最短で1時間 ことで着目してみました。 事業化されなくても我々は﹁この たんですけど。 ッセージはありますか。 ︱この6人のチームで検討を始めよ 部分はきっちりやろう﹂というベー 半かかり、横浜も国際都市といいな うと集まった時、どんな議論から始 スとなる目標をまず定めて、それに 自己紹介や志望動機を含めた形で ︱山中さんはどうしてリーダーにな ました。 ばいいということで検討を進めてき ん付け加えて、いっか事業化できれ 上積みできる部分があったらどんど 最終的には責任ある決断をしなくて 負うことにはならないが、管理職は 職員の立場なら通常それで責任を な話にも関わることになります。 クトの進捗管理をするなど管理職的 ムのメンバーをまとめる、プロジェ 職員の私かリーダーになるとチー ってまとめあげる覚悟が必要だとい −限られた時間で最後まで責任をも らえればと思います。 などは今後の施策などに活用しても それからこれまでにまとめた資料 アントレは本業と兼務で取り組む めたのですか。 ﹁こういうことを考えているんだよ﹂ ったんでしょうか。 いに持とうという話し合いは行いま ということを整理し、共通認識は互 した。 後までやり遂げるという意思は持っ 結果はどうであれ責任を持って最 た方がいいと思います。 はなりません。 いうプレッシャーがあり、どこまで ﹁自分が決めなくてはならない﹂と 自分かリーダーになったことで うことですね。 羽田国際化というのは議論の入り 最初にやろうと言い始めたからか 口で、具体的に検討したかったのが ﹁アジアとの交流﹂というテーマ。 も知れません。 Λ検討メンバーV 私かリーダーをやるので、皆さん手 山中 研︵経済局経済政策課︶ このテーマにっいて、今回、ハー メンバーの意見を汲むべきかという 早川 綾子︵経済局経済政策課︶ ド系の話ではなく例えば企業の人を イニシアティブも発揮しなくてはな 黒沢 龍一 ︵経済局経営金融課︶ 伝ってくれませんかという感じです。 りません。 呼び込むことなどにどういうソフト 自分のこれまでの職員の立場とは 的な施策が必要かということにいろ −リーダーとしてうれしかったこと 石原 従道︵都市経営局政策課︶ 河原 大︵栄区保険年金課︶ 下村 麗子︵鶴見区区政推進課︶ いろな検討を進めてきました。 いろいろな人の意見をまとめ上げ 違った形で考え、自分としては進め や苦労したことはありましたか。 ていくということでは苦労しました。 −貴重な経験ができたのですね。 たつもりです。 当初はそれを目的にフリーのディ 最終的にそういったアイディアをま スカッションを行ってきましたが、 とめようとしてもなかなか一つの方 向性として集約しきれず、提案の中 ■81 ・ 2005.3 調査季報vol.156 ○﹁横浜版SBIRの構築﹂の検討 にっいて |事業内容についてお話ください。 を優れた研究開発力のある中小企業 各省庁の研究開発予算の一定比率 する仕組みです。 開発から事業化までを一貫して支援 していくという、ベンチャー企業の 発を支援し、最終的には行政が調達 その課題解決に向けて企業の研究開 としては、企業に行政課題を提示し、 んでもうまくいかないだろうという ということで、局の中だけで取り組 行政課題全体をとらえるのは難しい 経済局は企業情報には詳しいものの の解決という話になってきた時に、 中小企業の力を活用した行政課題 した。 が、これまで具体化していませんで 済局の中の課題になっていました うな反応があったのでしょうか。 −12月までのプレゼンの場でどのよ とになりました。 たりきたりしながら議論を進めるこ BIR担当の役割などについて行っ が参加しやすい仕組みづくりや、S 検討課題別に明確な役割分担を決め チームでは週1回会って議論し、 すか。 いますが、議論は盛り上がったので まとまりは抜群だった﹂と評価して −リーダーとしては﹁検討チームの 題を提示して、良いものは取り入れ したが、アメリカが具体的な行政課 日本でも平成10年に制度化されま る期待もあって始めたことです。 的な取り組みとして検討を進めるこ したということになりますが、全庁 たいということで、アントレに応募 経済局の枠を超えて議論していき ことはありました。 浜市に貢献していきたいと言う声を に企業も優れた製品を作ることで横 いたことや、企業ヒアリングした際 た﹂という趣旨のコメントをいただ あり、アントレで提案されてよかっ チームで仕事を進めていく時はま ことができました。 い時間の中で効率的に議論を進める ましたが、職場の了承も得ながら短 点に立ち返って議論することもあり ていきました。検討していく中で原 の打合せ時に報告し、それでまた議 ていくという流れができているのに とができました。 聞き、横浜版SBIRに対する強い とまりが一番だと思いますが、この 戦略会議の場において市長から て、持ち帰って検討したものを次回 に支出することで経済活性化に対す 対して、日本はどちらかというと行 メンバーの中に経済局の職員が多 期待を実感できたことなどが印象に 論を深めていくというやり方で進め 政課題が抽象的であり、企業に対す いチームですが、事務系の人間だけ チームは途中で誰かが参加しなくな ﹁SBIRは全庁的に関わる課題で る支援は研究開発に対する補助金が 残っています。 で全員でやり遂げることができまし るということもなく、最後の最後ま ではなく、技術のことがわかる技術 系の人にも入っていただきました。 −最初にどのような事から検討を始 −企業のヒアリングには随分時間を 中心で採用までできていません。 浜の特性についてお話いただけます −横浜版SBIRとありますので横 た。新しい事業を既存の組織の枠を ング・採用までを一貫して支援する よる研究開発、行政によるモニタリ 異なり、行政課題の抽出から企業に これまでの国の取り組みなどとは ーチが大きく変わってくるので、ま 興を図るのか、それによってアプロ 課題を解決するのか、中小企業の振 うことで、どこに軸足を置くか、行政 まずは、横浜がベースであるとい 見て解決の可能性がある行政課題と かりでなく、技術力のある企業から め行政の担当部局へのヒアリングば になれるかということです。そのた と企業との優れたコーディネーター 担当が行政課題をかかえる担当部局 は行政課題の抽出であり、SBIR 森 健二︵経済局総務課調整係長︶ 産業等振興担当係長︶ 桐原 和博︵経済局経済政策課IT センター企画調整担当係長︶ 長谷川 政男︵経済局工業技術支援 △検討メンバー▽ 越えて検討するというのも新しい形 割いたと思いますが。 だけでなく、横浜発の新技術、新製 ずはその点を中心に議論しました。 めたのですか。 かなと思います。 品として全国展開も視野に入れてい 何度かフリーディスカッションを 高木 秀昭︵横浜プロモーション推 でしょうか。 横浜版SBIRの成否のポイント るところです。 進事業本部︶ 今冨 雄一郎︵総務局国際課担当係 かなど、行政ニーズと企業シースの 長︶ してどのようなものが考えられるの 両方から声を聞きながら検討を進め テーマに議論を進めていくようにな ました。 岩間 隆男︵緑政局金沢動物園︶ な行政課題の抽出が重要であると考 えるようになり各局・区・事業本部 りました。そこで、何よりも具体的 していくうちに、行政課題の解決を −提案の発想はどなたからだったん ですか。 SBIRについてはこれまでも経 「やりがい」 と 82■アントレプレナーシップの提案報告・各チームリーダーが語るアントレの「魅力」 横浜市にはG30、防災など様々な 行政課題があり、当然、行政の力だ けで解決は難しく、民間企業の技術 力など民との協働が必要になってい ます。 横浜版SBIRは中小企業の優れ た技術力を活用して行政課題を解決 し市民生活の向上にっなげていくと いう、民間企業と行政による新しい協 働モデルの確立を目指したものです。 −一般的なSBIRの動向について 教えてください。 SBIRは ﹁スモール・ビジネ ス・イノベーション・リサーチ﹂の 略であり、アメリカでI980年代 に制度化されたものです。事業内容 「SBIR」チームリーダーの長谷川政男さん ○﹁市民との協働が織りなす子育て 支援策﹂の検討にっいて −事業内容についてお話ください。 在宅で子育てをする親が多い中 で、育児の不安感や負担感が強く、 場合によっては虐待にっながる事例 もあることから、在宅家庭への支援 が何かできないかというのが発想の 原点でした。 子育て中の方は公園や買い物な ど、行動パターンが限られているの で、情報を入手しにくく、行動範囲 の限られた方に向けて子育ての支援 ができないかと考えました。 市内が都市化された中で自然体験 が少ないだろうから、当初は、親子 での自然体験を中心とした交流の場 を考えていました。しかし、実際に 子育てのグループに聞いたところ、 市内で類似の事例もあり、違う展開 を考えた方がよいとアドバイスを受 「子育て」チームリーダーの春原隆之さん ﹁親子の居場所﹂にっいては、在 を目指すこととしました。 居場所﹂事業のPRにっいて事業化 けて、市内で増えつつある﹁親子の ない。とすればそこは行政が力を入 う方に対しては情報がなかなか届か て、家にこもってしまっているとい 情報を提供する手段も限られてい 内10万人以上の方々には残念ながら 思います。 は難しく、十分ではなかったように 限られた時間で内容を伝えること 市の広報やインターネットの情報 と思います。 いと手に入りませんので、こうした に有効に情報が届かないのが実情で 手段では在宅で子育てをしている方 ﹁そこに行けば子育てのいろいろ で広がりっっあります。 策のイメージを持っていたことか マに対しそれぞれの考え方と解決方 ったメンバーが、﹁子育て﹂のテー 多岐にわたる職種、職場経験を持 けました。 う実務の問題点についても質問を受 で、新規事業まで手が回るのかとい 在多くの固有事務を抱えている中 か﹂という提案をしたのですが、現 社会福祉協議会ではどうでしょう るのか﹂という問いに対し、﹁区の ﹁最終的にこの事業はどこが進め 各自が自らの発想で課題解決を考 方仕事によい刺激となりました。 アントレの検討と各職場の仕事が双 残念でしたが、一方で、週に一度の であり、結果が出せなかったことは 提案を検討しましたが、難しい課題 広く市民に提供できるのか、新たな 行政から伝えるべき情報をいかに ことの難しさを実感しました。 子育てしている人に情報を提供する あり、乳幼児検診等のほかに在宅で な情報がわかる﹂という場所︵拠点︶ ら、一つの方向に向かって具体の検 残念ながら私たちの企画は事業化 える、こうしたアントレの精神を各 たのですか。 は、市民がその媒体にアクセスしな 宅での子育て支援策として親子が気 れていくべきだろうと考えました。’ −市長からどんなアドバイスがあっ 軽に立ち寄れる居場所を提供してい を、子育て中の方の行動範囲にある 討を始めるまで話し合いを重ね、時 に至りませんでしたが、現在進めら 職場で活かすのはメンバーの今後の くことが注目を集めており、区役所 公園や大規模商業施設の中に設け、 れている子育て支援の取組の課題を lどんな検討チームだったのですか。 ﹃子育て情報のアクセスポイントを生 週1回の打合せでほぼ半年の期間 間を要したことは事実です。 認識していただけたのではないかと 課題であるとも思っています。 や地域ケアプラザ、場合によっては 活の中にもっていくというのが今 限定という時間の制約はメンバーそ 思っています。 地域で開催するなど、さまざまな形 回、目指すところでした。 れぞれ厳しかったようですね。 ︱もともとのアイディアはどなたが 私は企画当時、市立保育所の民間 直接市長にプレゼンテーションで でしたか。 合間を縫って検討を進めてみてどう する﹂とはっきり意思決定をしてい グしましたが、横浜市として﹁実施 地域のいくっかの企業にヒアリン たのですか。 大里 和巳︵鶴見区戸籍課︶ 斎田 恭代︵市民局総務課︶ 長︶ 斉藤 幸子︵都筑区茅ヶ崎保育園園 温めていたのですか。 移管を担当しており、市立の保育所 きたのは非常に貴重な機会であった ない中で話を進めていくことにっい −実際、ほぼ5か月間でプレゼンの いし、多様なサービスの提供に取り と感じています。 平井 由美子︵緑区長津田保育園園 小学校︶ 大須賀 みどり︵教育委員会飯田北 重福祉施設整備担当係長︶ 春原隆之︵福祉局児童家庭課児 組んでもらうことを進めていまし 当然のことながら、その準備には 長︶ ︿検討メンバーV た。あらためて保育所の仕事に接し のかというとまどいもありました。 て、企業側にどう取り組んだらよい −企業へのヒアリングなどには行っ てみて、保育所に子どもを預ければ、 なりますので、事業企画は早い段階 週1回の打合せの時間を使うことに の運営を民間の社会福祉法人にお願 どもを見守っていてくれるというこ み込む時間が取れないことも実感し で大筋を固めないと、深く内容に踏 掘り下げることができたらよかった 全体として、事業内容をもう少し −最終提案が終わっての感想は。 育児の専門家である保育士が日々子 とは恵まれているなと実感しました。 −プレゼンの感触はいかがでしたか。 ました。 就労などにより、保育所や幼稚園 など家の外での子育ての一部をお願 いしている方と異なり、在宅で小学 咬に上がる前の子育てをしている市 調査季報vol.156・ 2005.3■83