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HOT2008 10„”
クロック周波数 250 MHz, 消費電力 50 mW の DDS IC AD99 1 3 渡辺 明禎 Akiyoshi Watanabe AD9913( アナログ・デバイセズ) 250 MHz の高クロック・レートに はワイヤレス,ハンドヘルド機器向 より最大 100 MHz までの正弦波を けに設計された低消費電力で低コス 発生できる DDS で,低価格という トの DDS(Direct Digital Synthe 特徴があります. sizer.正弦波発生器)IC です. 本稿では,AD9913 の評価ボード 50 mW という低消費電力で, を使い,その性能を評価すると同時 に,機器への応用などを紹介します. AD9913 の概要 AD9913 の主な電気的仕様を以下 に示します. ¡最大クロック周波数: 250 MHz 25 MASTER_RESET 26 PWR_DWN_CTL 27 I O_UPDATE 28 CS (WR/RD) 29 SDIO (PCLK) 30 SCLK 31 ADR7/D7 32 ADR6/D6 ¡消費電力: 50 mW ¡最大出力周波数: 100 MHz ¡周波数の設定分解能: 0.058 Hz ¡位相の設定分解能: 0.022 ° ¡位 相 ノ イ ズ : − 1 3 5 d B / H z @ 1 kHz オフセット(内蔵 PLL を使 用時:− 115 dB/Hz@1 kHz オフ PS2/ADR5/D5 1 PS1/ADR4/D4 2 24 RSET 23 AGND PS0/ADR3/D3 3 22 AVDD 21 AGND DVDD 4 AD9913 TOP V I EW DGND 5 ADR2/D2 6 セット) ¡10 ビット D − A コンバータ ¡電源電圧: 1.8 V ¡32 ピン LFCSP パッケージ 20 I OUT 19 I OUT 周波数設定では,ナノ秒台でのセ トリングが可能です.また,出力周 18 AGND ADR1/D1 7 ADR0/D0 8 波数の設定分解能が非常に小さく, 位相 発生器 AVDD 16 AGND 15 REF_CLK 14 REF_CLK 13 AVDD 12 AGND 11 SER/PAR 10 SYNC_CLK 9 17 AVDD 位相-振幅 変換器 (1) 図1 DDS IC AD9913 のピ ン配置 10ビット D-A変換器 出力 X1∼X64 外部入力 基準周波数 回路 PLL マルチプライヤ タイミング 制御ロジック ユーザ・インターフェース (シリアル,パラレル) 図 2 DDS IC AD9913 のブロック図 238 写真 1 AD9913 の外観 2008 年 10 月号 M =1717986918 ジャンプ・ サイズ 100MHz M M =687194767 40MHz 0000…0 fout = M ×fC 2n 1111…1 M =429496729 25MHz n 円の点の数 8 256 fout = 1 fC のときの M 10 25 12 4096 409 16 65535 6553 設定できる位相間隔は, 360 °/256 ≒ 1.4 ° となります.基準周波数 f C の 1/10 20 1048576 104857 の周波数を発生させたい場合, M 24 16777216 1677721 として 256/10 ≒ 25 を設定します. 28 268435456 26843545 32 4294967296 429496729 48 281474976710656 28147497671065 図 3 出力周波数の発生原理 (100 mV/div,20 ns/div) すなわち,10 回の基準クロック で,およそ 1 サイクルの正弦波を発 生するので,発生周波数は基準周波 数の約 1/10 となるわけです. 厳密な発生周波数は, SFDR(Spurious − Free Dynamic フェースにより各レジスタを設定し, (25/256)× fC Range)が大きいので,必要な帯域 その設定値に従い,位相発生器を設 = 0.0977 × 250 MHz に,安定した信号を,より高速で正 定します.位相発生器では,タイミ 確に発生させることができます. ングに従い,位相情報を出力します. となります.もし, M = 26 と設定 応用として,携帯バーコード・ス 位相−振幅変換器でこの位相情報に すると,25.39MHz となります. キャナ,レーダ検出装置,遠隔無線 基づいて,振幅情報に変換し,それ 制御機器など,性能と低消費電力の が 10 ビットの D − A 変換器でアナロ 設定できる周波数の間隔は荒くなり コスト効率の高い組み合わせが求め グ信号に変換され,出力されます. ます.そこで,n の値を大きくして, られる製品に最適です. s 正弦波の発生原理 設定できる位相間隔を小さくします. ● AD9913 の動作原理 = 24.41 MHz このように n の値が小さい場合, 図 3 は,出力周波数の発生原理で AD9913 の場合,n = 32 ビットなの す.円は正弦波の発生原理でよく使 で,設定できる位相の数は図 3 のよ 図 1 に AD9913 のピン配置を,図 われるサイクル円です.位相が 1 周 うに極めて大きくなり,逆な言い方 2 にブロック図を,外観を写真 1 に することにより,1 サイクルの正弦 をすると,設定できる位相間隔を非 示します. 波が出力されます. 常に小さくすることができます. 基準クロック周波数を発生する回 図 3 の場合,位相は左回りで回転 路では,外部入力,水晶振動子を選 していき,左に 90 °進んだときに 択できます.この回路の周波数が小 正弦波の最大値,180 °進んだとき さい場合,PLL マルチプライヤによ に出力は 0,270 °進んだときに負 となります.また,周波数設定間隔 って,最大 64 倍までの基準クロッ の最大値となります. は,この 0.058 Hz となることもわか ク周波数を発生することができます. AD9913 の場合,最大基準クロッ まず,0000 … 0 からスタートしま す.制御ロジックではジャンプ・サ 発生できる最低周波数は M =1 の ときで, 250 MHz/232 = 0.058 Hz ります. sAD9913 の出力波形 ク周波数は 250 MHz なので,それ イズ M が設定され,それに従って 実際の AD9913 からの出力波形を に近い値になるように,基準入力ク 次のクロック・タイミングで位相の 図 3 に示します.最大発生周波数の ロック周波数,PLL マルチプライヤ 位置を M の数だけ移動します. 100MHz に設定した場合, を設定します. タイミング制御ロジックでは,シ リアルもしくはパラレル・インター 2008 年 10 月号 たとえば,位相設定ビットが 8 ビ ットの場合, n = 8 となり,円の点 の数は 256 となります.したがって, M = 232 × 100 MHz/250 MHz = 1717986918 となり,2.5 回のクロックで 1 サイ 239