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東京災害ボランティアネットワーク 東日本大震災被災者支援活動報告
東京災害ボランティアネットワーク 東日本大震災被災者支援活動報告 <第一期> 東京災害ボランティアネットワーク事務局 2011.06.25 2011 年 3 月 11 日に起こった東日本大震災。未曾有の津波被害となった東 日本の太平洋沿岸部では 2 万人を超える死者・行方不明者となりました。 東京災害ボランティアネットワークは発災直後から被災者支援活動に取り組 んでまいりました。 3 月 11 日午後には関係機関と連絡を取り、都内の帰宅困難者への支援を呼 びかけ、同時に関係する都内外の関係団体と連絡を取りながら被災地での被災 者支援活動の準備に取り組みました。 当時は、東京にも大きな被害が出てしまったこと、また震災の影響で交通網 が寸断されてしまったことから早急な支援活動に着手できないこともあったが、 発災から 2 週間後の 3 月 25 日に、宮城県へ先遣隊を派遣し、大きな被災を免 れ、かつ沿岸部からほど近い宮城県登米市のご協力をいただき、登米市登米町 保健センターにボランティア宿泊拠点を設置し、主に南三陸町の被災者支援を 実施してきました。 東京災害ボランティアネットワークは、これまでの被災者支援と同様に、赤い 帽子をかぶって活動し、「常に被災者の方々のそばにいる」ということをメッセージ として発信しながら被災者の方々と交流しております。 4 月 2 日からはじめたボランティア派遣とその活動内容についてご報告いたし ます。 東京災害ボランティアネットワーク 代表 山崎美貴子 東京災害ボランティアネットワーク 被災者支援活動 ■名称 :東日本大震災被災者支援活動 ■期間 :2011 年 4 月 2 日~6 月 25 日(先遣隊派遣:3 月 25 日~28 日 4 名) ■場所 :宮城県南三陸町、および登米市 ■主体 :東京災害ボランティアネットワーク ■V 参加数 :240 名(のべ 1652 名/日) ■プログラム:南三陸町災害ボランティアセンター支援/避難所支援(南三陸町内 3 ヵ所、登米 市内 7 ヶ所)/物資配布支援 他 ■協力 :ジャパンソサエティ、中央労働金庫、真如苑、東京都共同募金会、東京ボランティ ア・市民活動センター、連合東京、東京都生活協同組合連合会、シャンティ国際ボ ランティア会、youth for 3.11、TKM、パルシステム連合会、パルシステム東京、い たばし総合ボランティアセンター、日野市社会福祉協議会、真如苑 SeRV、海鴻社、 東京精神保健福祉士協会、三宅村、三宅島社会福祉協議会、みやけじま<風の 家>、セカンドハーベスト・ジャパン、日本財団 ROAD プロジェクト、荒川交通、 他多数の個人・団体の方々 ■被災地からの協力 :南三陸町、南三陸町災害ボランティアセンター、登米市、登米市社会福祉協議会、 登米市登米町三日町町会、障害者地域支援センター「どんぐりの家」、大徳寺、 他多数の被災者の方々 ボランティアの派遣 ・第 01 期 (04/02~04/07)ボランティア派遣 14 名 ・第 02 期 (04/09~04/16)ボランティア派遣 24 名 ・第 03 期 (04/17~04/23)ボランティア派遣 22 名 ・第 04 期 (04/24~04/30)ボランティア派遣 20 名 ・第 05 期 (05/01~05/07)ボランティア派遣 24 名 ・第 06 期 (05/08~05/14)ボランティア派遣 17 名 ・第 07 期 (05/15~05/21)ボランティア派遣 21 名 ・第 08 期 (05/22~05/28)ボランティア派遣 15 名 ・第 09 期 (05/29~06/04)ボランティア派遣 23 名 ・第 10 期 (06/05~06/11)ボランティア派遣 18 名 ・第 11 期 (06/12~06/18)ボランティア派遣 15 名 ・第 12 期 (06/19~06/25)ボランティア派遣 17 名 ・短期派遣 14 名(1 泊 2 日、および 2 泊 3 日) ボランティア派遣は、4 月 2 日の第 01 期から 6 月 25 日の第 12 期までで合計 240 名、のべ 1652 名/日となった。当初は 6 日間の派遣(第一期のみ)を予定していたが、避難所支援活動 での継続的な支援の必要性より、第 02 期以降については 7 日間の派遣となった。また、活動に使 用する資機材/物資運搬、配車などの環境整備のために短期ボランティアの派遣も数回実施して いる。なお、ボランティア宿泊拠点との関係上、最大で 28 名、適当人数を 20 名と設定し、被災者 ニーズに応じて派遣ボランティア数を調整した。 GW 期間のボランティア派遣の増減員も検討したが、被災者ニーズの大きな変更がなかったた め、それまで同様の派遣に終始した。 また、ボランティア派遣に際し、被災地入りする前の段階で事前研修を実施している。突然被災 地に行くのではなく、現地の状況、活動内容、期間中の生活環境などについてレクチャーを受けて いただき、被災地でのトラブルを未然に防ぐようにしている。 派遣ボランティアの内訳 派遣ボランティアの内訳は、多種多様となっている。特にこれまでの派遣で目立つのが大学生 の派遣である。これまでの災害ボランティアでも大学生が大きな役割を果たしたが、今回の震災で は被災各地に大学生のボランティアが多数活動している。 東京災害ボランティアネットワークでも、震災以後に立ち上げられた学生ボランティア NPO である 「youth for 3.11」と深い連携をして、数多くのボランティアを派遣している。また、これまで同様、消 費者団体、宗教団体等とも連携しながら安定的にボランティアを派遣できる体制を構築している。 また、女性の参加が予想よりも多くなっている。当初は、床上・床下浸水した家屋の片づけや泥片 づけなどの肉体労働を活動内容として想定していたが、避難所内でのコミュニティ支援に早期の段 階で活動内容を変更したため、被災者の方々との交流活動が主になったことから、女性の参加が増 えることとなった。いくつかの団体では、「東京災害ボランティアネットワークの被災者支援活動は女性 でも可能」との話が広がり、4 人に 1 人が女性という割合となっている。 活動内容 ・南三陸町災害ボランティアセンタープログラム支援 ・避難所支援 ・物資配布支援 ・仮設住宅支援 ボランティア活動内容については、先遣隊、および第 01 期、第 02 期で定めていった。当初は 家屋内外の泥/ガレキ除去を想定していたが、南三陸町の実情(ボランティアが除去できる泥/ガ レキが少ない)に合わせて、南三陸町災害ボランティアセンターのプログラム支援と避難所支援を プログラムの中心に据えることとなった。 南三陸町災害ボランティアセンターでは、ガレキの中から思い出となる写真や品物を捜索し、そ れを洗浄して被災者に届ける「思い出探し隊」プログラムを実施していた。東京災害ボランティアネ ットワークでは、このプログラムを推進するボランティアの派遣を実施。また、避難所支援プログラム としては、第一期~第四期までは、南三陸町最大の避難所であったベイサイドアリーナ避難所、お よび志津川地区の中規模避難所である志津川小学校避難所、志津川中学校避難所、志津川高 校避難所での物資管理/配布支援、炊き出し支援、子どもの学習支援、被災者交流支援などを 実施。 第 05 期以降は、南三陸町民が多数避難している登米市での避難所支援を実施。登米市内に 設置された 11 ヶ所の避難所のうち、7 ヶ所の避難所で「ふれあい食事会」を開始した。「ふれあい 食事会」は、炊き出し支援というだけでなく、被災者同士、被災者とボランティアの交流を目的とし た交流プログラムとなっている。 また、避難所のニーズに合わせ、必要な物資を必要なタイミングで配布する物資配布支援も数 回にわたり実施した。 第 09 期となる 5 月末からは、仮設住宅での支援を具体的に検討するため、各種関係機関との 調整に入り、第 11 期となる 6 月 16 日には、仮設住宅での「ふれあい食事会」を実施することとな った。 ボランティア宿泊拠点 今回の災害では、大きな被害を受けた沿岸部の建物が軒並み倒壊・流出してしまい、被災地に 近い場所のボランティア宿泊拠点設置が困難となっていた。東京災害ボランティアネットワークで は、沿岸部に近い登米市に協力を要請し、登米市登米町保健センターを借用し、ボランティア宿 泊拠点を設置した。 宿泊拠点のある登米市は、沿岸部である南三陸町に隣接しており、南三陸町民が非難する避 難所も多く設置され、南三陸町内での支援だけでなく、支援の届きにくい避難所での支援のきっか けともなった。 また、宿泊拠点の登米町の地域住民の方々には東京からのボランティア団体が宿泊拠点を設 置したことを好意的に受け入れていただけるよう、地域住民の方々のご協力を得ながら拠点運営 を実施している。 赤帽子と被災者との距離 派遣されたボランティアには全員赤い帽子の着用を義務付けている。これは三宅島帰島支援 活動時に採用した手法であり、一週間で交代するボランティアが組織性・継続性を持っていること を被災者、および関係団体にアピールするためのものでもある。 第 12 期まで継続的に赤い帽子を着用していることから、組織性・継続性を持ったボランティアと して認知され、「次の赤帽子さん」として派遣ボランティアの活動初日から好意的に受け入れてい ただいている。 今後の支援活動の展開 東京災害ボランティアネットワークの被災者支援活動は、被災者の方々の気持ちに寄り添う活 動を基本にしている。作業に没頭することなく、被災者の方々との交流を活動の中心に据え、被災 者の方々に勇気と元気を届けられるような活動を実施してきた。 これは、三宅島支援でも実践されてきた東京災害ボランティアネットワークの被災者支援活動 の最も大切にしているテーマであり、仮設住宅支援へ移行する今後も変わらずに掲げていくテーマ でもある。 具体的には、現在着工が急ピッチで進んでいる仮設住宅でのコミュニティ復興に向けたプログラ ムを実施していく。 東京災害ボランティアネットワーク 被災者支援活動活動記録 第 01 期(04/02~04/07)14 名 ボランティアプログラムが確定していない中でのボランティア派遣となったことから、南三陸町や石 巻市、登米市など、いくつかの地域での活動となった。活動メニューも、家屋内清掃や物資配布、 避難所名簿作り等、日替わりで実施し、被災者に最も効果的で寄り添える支援を検討する期間と なった。 第 02 期(04/09~04/16)24 名 当面の活動先として、南三陸町を設定して活動を始めた。週半ばまでは南三陸町最大の避難所 であるベイサイドアリーナの支援を主にしていたが、週後半から支援の手が届いていない避難所へ の支援へと移行した。中規模避難所への支援となったことから、継続性を重視し、当初の予定を 変更し 1 週間のプログラムとした。 第 03 期(04/17~04/23)22 名 避難所での継続的な活動を展開するため、避難者との人間関係構築を目指し、避難者とのコミュ ニケーションを最重要視した。いずれの活動でも、被災者との交流を第一に考えるとともに、第 02 期から引き継いだ避難所内での物資仕分け作業のシステム化を図った。また、南三陸町内のいく つかの避難所が閉所する。 第 04 期(04/24~04/30)20 名 4 月 29~30 日で全国の商店街が特産品を持ち寄った福興市が志津川中学校で開催されるなど、 復興の歩みが産業復興にまで波及してきた時期。一方、避難者自身によって構成される避難所 の食事班に疲れが出てきて、いくつかの避難所で食事のお手伝いの声が聞こえ始める。また、仮 設住宅への入居が始まった。 第 05 期(05/01~05/07)24 名 ゴールデンウィークということもあり、被災地では数多くのボランティアを見かけることとなった。5 月 1 日より、登米市内 7 ヶ所の避難所での「ふれあい食事会」が始まる。東災ボのプログラムが、避 難所運営支援、災害 VC 支援、ふれあい食事会の 3 つとなる。 第 06 期(05/08~05/14)17 名 避難所での活動が定着し、避難所にいる避難者から「赤帽さん」と呼ばれるようになってくる。避難 者、および避難所で支援をしているボランティアにも、東災ボのボランティアが被災者とのコミュニ ケーションを大切にしていることを理解していただけるようになる。 第 07 期(05/15~05/21)21 名 避難所内でのコミュニケーションが少なくなり、「赤帽」がコミュニケーションツールとして機能し始め る。避難所内での「御用聞き」役として避難者に声かえをして、ニーズを集めるとともに、話し相手と しての役割を果たすようになる。 第 08 期(05/22~05/28)15 名 南三陸町災害 VC の取り組みでもある「思い出写真展示」が始まる。3 月下旬から自衛隊等によっ てガレキ内から集められた写真・品物、約 10 万点が町内で展示された。これまで首を長く待って いた被災者の方々はもちろんのこと、写真洗浄などをお手伝いさせていただいていたボランティア にとっても喜ばしい出来事となった。 第 09 期(05/29~06/04)23 名 ふれあい食事会が定例化して、各避難所でも食事会を楽しみにしてくれるようになる。また、ふれ あい食事会で登米市民のボランティア参加が増えてくる。地元ラジオ局で協力を呼びかけたことが きっかけとなった。また、6 月を避難所から仮設住宅への移行期と位置づけ、主に登米市内に設 置された避難所への訪問を始める。同時に、仮設住宅での支援プログラム構築に向け、南三陸町、 登米市との調整に着手する。 第 10 期(06/05~06/11)18 名 いくつかの避難所では、かなりの避難者が仮設住宅への入居を始め、避難者の数が少なくなってく る。一方、仮設住宅への入居できるにも関わらず入居しない・できない避難者に対し、様々な意見 が聞かれるようになる。水道・買い物等の環境が整っていず、炊き出し等の支援がなくなる仮設住 宅への入居を拒む避難者も多い。避難所と仮設住宅の間で被災者の気持ちが大きく揺れ動いて いる状況。また、6 月 11 日には移転を余儀なくされた中学校での授業参観での食事会を実施。 第 11 期(06/12~06/18)15 名 5 月 16 日、仮設住宅でのふれあい食事会が開催される。仮設住宅近辺の登米市民、近所のお 寺の協力を得ての開催。支援の少ない登米市内の仮設住宅での食事会ということもあり、仮設住 宅入居者に大変喜ばれる。6 月 18 日には登米市内で被災者を対象にした初のフリーマーケットが 開催される。 第 12 期(06/19~06/25)17 名 南三陸町役場からの呼びかけで、仮設住宅への入居率が上がり、避難所の避難者の数が大幅に 減ってくる。 東京災害ボランティアネットワーク 被災者支援活動活動財政報告 2011 年 04 月 01 日~06 月 25 日 収入 東京災害ボランティアネットワーク災害準備金 \10,000,000 支援金 団体 \15,678,597 個人 \728,058 合計 \26,406,655 支出 交通費 (※1) \1,871,800 食費 ボランティア食費(※2) スタッフ人件費 4.5 名分(東京 1.5 名、現地 3 名) \3,375,000 車両費 3 台分(※3) \1,201,081 \903,678 拠点設備費 \2,190,208 資機材購入費 \1,536,511 その他 \369,557 合計 繰越金 (※1) \11,447,835 第二期活動へ(※4) \14,958,820 交通費に関しては、実金額からバス料金補助という形でご協力いただいており、1/4 の金 額でお願いさせていただいております (※2) 食費については、4 月 2 日~6 月 18 日までとなっております。 (※3) 車両はリースではなく、購入となりました (※4) 繰越金については、第二期活動への活動資金として計上します 第一期の活動費については、活動内容が定まらないままの活動開始だったこともあり、事業費・管理 費等の費目分けをせずに報告させていただきました。第二期以降については、支援プログラムを予想 した上で、事業費・管理費の費目分けをさせていただきます。 本報告書に関する問い合わせ先 東京災害ボランティアネットワーク事務局 〒164-0011 中野区中央 5-41-18 東京都生協連会館 3 階 TEL 03-3380-1614 FAX 03-3380-1615 E-mail [email protected]