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大学発新技術の紹介(1) ステレオ録音の 4 チャネル再生

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大学発新技術の紹介(1) ステレオ録音の 4 チャネル再生
CONTENTS
□大学発新技術の紹介 (1) … ………………1
□産学交流振興会 会員企業便り (2)… ……6
□大学発新技術の紹介 (2)……………………3
□トピックス…………………………………7
□産学交流振興会 会員企業便り (1) … ……5
□今後の主な行事……………………………8
大学発新技術の紹介(1)
ステレオ録音の 4 チャネル再生
大学院理工学研究部(工学)教授 安藤 彰男
生年月:1956 年 3 月
略 歴:1980 年九州芸術工科大学大学院修士課程修了 同年,日本放送協会入局
2013 年より現職 博士(工学)
共同研究可能な分野:高臨場感オーディオを中心とする音響工学全般
賞 等:電子情報通信学会論文賞,日本音響学会技術開発賞,情報処理学会功績賞,
映像情報メディア学会功績賞など
連絡先:076-445-6995,[email protected]
複数チャネルに録音されたオーディオ信号から,
ル間の相関が低いという性質があります。そこで,録
チャネル間で相関の高い成分を抽出する技術を開発し
音された信号から,チャネル間相関の高い音の成分を
ました。この技術を利用すれば,2チャネルステレオ
抽出できれば,直接音成分の取り出しが可能となりま
の 4 チャネル再生が可能となります。特に,5.1 チャ
す。
ネルシステムを導入されたご家庭では,市販のコンパ
クトディスク(CD)を 4 チャネル再生することによ
音の臨場感
り,音で包み込まれるような臨場感の高い音響を楽し
音の臨場感という言葉が使われることがあります
めます。
が,オーディオの場合,何が臨場感をもたらすのでしょ
録音された音の分類
うか?一般的には,音の迫力と空間性が臨場感をもた
らすと考えられています。前者は音の大きさに関係し,
CD に録音された音は,楽器などから直接マイクロ
再生時の音量を上げれば達成できます。そこで,後者
ホンに到達する直接音と,部屋の響きなどの拡散音に
に着目してみましょう。
分類できます。これを音の信号という観点から見ると,
音の空間性の知覚は,主に二つの心理的要素に依存
直接音はチャネル間での相関が高く,拡散音はチャネ
します。一つは音の方向性の感覚,もう一つは音によっ
1
て包み込まれる感覚です。ステレオ録音では,ある音
を左右のチャネルに分配することで,その音の方向性
を定めます。例えば,ある音が左チャネルに沢山分配
されれば,その音の方向性は左側に寄るといった具合
です。このような音は,左右のチャネル間で相関が高
い音であり,先の分類で言えば,直接音に対応します。
一方,音によって包み込まれる感覚は,左右のチャネ
ル間で相関の低い音,即ち拡散音によってもたらされ
ます。
直接音成分の推定
直接音はチャネル間の相関の高い音で
あることを利用し,あるチャネルの直接
音成分を,他のチャネルの信号から推定
します。但し,このような推定をうまく
行うためには工夫が必要です。私たちは,
人間の聴覚が持つ周波数分析機能に着目
して,聴覚フィルタとよばれるフィルタ
図1 本方式のブロック図
バンクを利用し,周波数帯域ごとに,あ
るチャネルの直接音成分を
他のチャネルの信号から推
定する手法を開発しました
( 特 願 2016-089417)。
こ の と き, 拡 散 音 成 分 は,
元の音から推定した直接音
成分を差し引くことにより
求めることができます。
市販の CD 音源に本手法
表1 原音,直接音成分,拡散音成分のチャネル間相互相関係数
音源種類
ジャズヴォーカル
ジャズトリオ
交響曲
ヴァイオリン独奏
ピアノ独奏
声楽(オーケストラ伴奏)
声楽(ピアノ伴奏)
を適用し,チャネル間の相互相関係数を求めてみまし
た。その結果を表1に示します。表1から分かるよう
に,直接音成分は原音よりも相関係数が高くなってい
る一方,拡散音成分は,原音よりも相関係数が低くなっ
ています。
原音
0.7521
0.2386
0.4172
0.7685
0.3581
0.7002
0.5474
直接音成分
0.9101
0.7983
0.4745
0.8620
0.6012
0.7657
0.6484
拡散音成分
- 0.3998
0.0691
- 0.3865
- 0.5840
- 0.2674
- 0.6053
- 0.4938
まとめ
オーディオ信号から直接音成分を抽出する技術を紹
介しました。より豊かな音社会の実現に向けて,さら
に研究を進めて参ります。
2 チャネルから 4 チャネルへ
直接音成分は音の方向性を担っていますので,直接
音成分のみを左右のスピーカから再生しても,音の方
向性はほとんど変化しません。一方,拡散音成分は,
側方から再生した方が音に包み込まれる感覚を効果的
に与えることができます。そこで,5.1 システムのス
ピーカ配置を利用し,直接音成分を L,R チャネルか
ら,拡散音成分を LS(Left Surround),RS(Right
Surround)チャネルから再生すれば,前方の音の方
向性を維持しつつ,音によって包み込まれる感覚を高
めることが可能となります。
2
図2 CD の 4 チャネル再生
大学発新技術の紹介(2)
天然物ハイブリッド化戦略による薬物設計と新薬創出への取り組み
大学院医学薬学研究部(薬学) 教授 松谷 裕二
生年月:1969 年 2 月
略 歴:1993 年 東北大学大学院薬学研究科博士前期課程修了,同年 昭和大学薬
学部助手,1998 年 博士(薬学),2001 年 富山医科薬科大学薬学部助手,
2005 年 富山大学薬学部助手(大学統合),2007 年 富山大学大学院医学
薬学研究部(薬学)助教,2010 年富山大学大学院医学薬学研究部(薬学)
教授
共同研究可能な分野:有機合成化学,医薬品化学
受賞歴:2006 年 とやま賞(富山県ひとづくり財団),2006 年 日本薬学会北陸支
部学術奨励賞
連絡先:076-434-7530,[email protected]
<はじめに>
<抗腫瘍性マクロスフェライドのハイブリッド化>
自然界で産生される有機化合物,いわゆる「天然物」
マクロスフェライド類は,糸状菌より単離された天
には,何らかの生理活性を発現するものが数多く見ら
然物であり,ある種の腫瘍細胞に対して増殖抑制活性
れ,新しい医薬品創出のための重要なソースとなって
を示し,またガン転移抑制効果も確認されています。
います。実際,現在臨床利用されている医薬品の半分
従って,新規な抗癌性医薬品候補として期待されます
以上が,天然物をもとに開発されたものとされていま
が,天然物そのものだと,実用化には活性が不十分で
す。ただし,天然物そのものでは副作用や活性強度の
あるという難点がありました。そこで,活性の増強を
不足,物性に難点があるなど,そのままの形で医薬品
目指して,ハイブリッド化戦略に基づいたドラッグデ
として採用できないケースが大半であり,通常は何か
ザインを行いました。着目したのは,マクロスフェラ
の根拠のもと,構造最適化のためのドラッグデザイン
イド類と同じ 16 員環マクロライド構造を有し,生理
を実施する必要があります。設計化合物の化学合成と
作用も類似している別の天然物,エポチロン類です。
活性・物性評価を行い,そこから構造活性相関につい
エポチロン類は,チアゾール含有側鎖部が活性発現に
ての情報を蓄積して,先導化合物(リード)となる新
重要であることが分かっており,この側鎖をマクロス
薬の種(シーズ)を探索していきます(Scheme 1)。
フェライド類の 16 員環コア構造に組み込んだ人工ハ
ドラッグデザインの根拠としては,経験則からくる
イブリッド化合物を設計しました(Scheme 2)。
ドラッグライク構造への変換,薬理活性発現に必須な
設計化合物の化学合成にあたっては,16 員環骨格
構造(ファーマコフォア)の特定,バイオアイソスター
の構築に閉環メタセシス法を応用する合成ルートを確
の活用,ターゲットタンパクとのドッキングシミュ
立し,多種多様なハイブリッド化合物を合成すること
レーションによる in silico デザインなど,そのアプ
ができました。薬理活性については,腫瘍細胞のア
ローチは多岐にわたります。その中で,「天然物ハイ
ポトーシス誘導能を目安としてスクリーニングを実施
ブリッド化」という戦略があり,これは複数の生理活
し,いくつかの有望化合物を見出だすことに成功しま
性天然物のそれぞれが有する有用構造を,同一分子に
した。これらのヒト大腸癌細胞に対する増殖抑制活性
組み込んだ完全なる人工設計分子の創製です。複数の
は,天然物の持つ作用を大きく上回ることが確認され,
分子標的が活性に関わっている場合など有効とされて
天然物ハイブリッド化戦略が有効に働いた一例となり
います。本稿では,最近私たちが取り組んだ「天然物
ました。
ハイブリッド化」戦略によるドラッグデザインとその
成果について,2つの事例を取りあげて紹介したいと
思います。
<脳神経系賦活薬デノソミンのハイブリッド化>
インド生薬の一種が産生する,天然ステロイド配糖
3
体のアグリコンであるソミノンが,顕著な脳神経系賦
する経路にて効率よく達成することができました。ま
活作用を示すことが見出だされ,新規な認知症治療薬
たこれらのハイブリッド化合物は,いずれも親化合物
としての可能性から構造活性相関研究に着手すること
であるデノソミンを上回る活性を示すことが見出ださ
にしました。ソミノンの独自の化学合成法を確立する
れ,認知症治療薬の有望なシーズとなっています。
と同時に,その方法を非天然型類縁体合成にも応用し,
それらの活性比較を行ったところ,天然のソミノンを
<おわりに>
上回る活性を示す誘導体デノソミンを発見しました。
天然物ハイブリッド化戦略により,有望な医薬シー
その後,種々の研究結果から,デノソミンのターゲッ
ズ発見に結びついた事例について,2例紹介しました。
トタンパクが,Vitamin D3 受容体である可能性が示
癌や認知症は,その治療薬開発が社会から強く要請さ
されました。そこで,更なる活性の向上を目論み,ター
れている疾患であり,更なる実用性向上に向けて,取
ゲットとの親和性が増大することを期待して,デノソ
り組みを強化していくべき課題であると捉えていま
ミンと Vitamin D3 とのハイブリッド化合物を設計
す。「薬都・富山」から新薬を発信できるよう,創薬
しました(Scheme 3)。これらの化学合成は,A 環
研究を継続して行きたいと考えています。
部と CD 環部とを Sonogashira カップリングで連結
ハイブリッド化
ハイブリッド化
ビタミン
4
富山大学産学交流振興会 会員企業便り (1)
自動車の安全・軽量化に貢献するアルミ技術開発
アイシン軽金属株式会社 取締役副社長 村上 哲
〒 934-8558 射水市奈呉の江12番地の3
Tel 0766-82-8800 Fax 0766-82-1109
当社は 1970 年2月に富山県新湊市(現射水市)
ています。またアルミ新材料や押出技術の開発につい
で創業し今年で46周年を迎えます。当時は自動車産
ては富山大学と40 年以上に渡り共同開発を続けてお
業が急成長する中,エンジンやトランスミッションに
り,次世代の当社の製品の優性を確保するためのシー
使用されるアルミダイカスト製品の生産からはじま
ズ材料の開発や押出し加工の精度・生産性を高める
り,現在ではダイカストマシン 110 台が稼働する日
ニーズ開発を進めています。
本有数のアルミダイカストメーカとして成長してきま
また人材交流も盛んで,富山大学の学生が当社の製
した。中でもシリンダヘッドカバー等は国内トップの
品開発を体験してもらうために,インターンの受入や
シェアを誇っています。また 1975 年よりアルミ押
製品開発体験実習を開催しており,今までに多くの学
出機を導入しトヨタホーム向け押出形材の製造を開始
生が受講し,大学の研究室では体験できない実際の製
しました,その後各国での自動車の燃費規制の導入に
品におけるニーズ・コストを満足する設計や技術開発
より車両の軽量化ニーズが強まる中,日本で初めて
を体験し,広い視野を持った技術者の育成を富山大学
7000 系アルミ合金押出製バンパの生産を開始しまし
と共同で行っています。
た。
また,富山大学産学連携推進センター主導の次世代
アルミ製バンパは高強度材料・断面形状の開発によ
スーパーエンジニア養成コースには当社の若手社員も
り様々な衝突要件をクリヤしながら従来の鉄製に比べ
積極的に受講し,大学での専門知識や異業種交流での
て 50%以上の軽量化を達成し,その優れた技術が認
新しい知見などを学び,自身の開発に役立てると共に,
められ,1990 年には軽金属学会より小山田記念賞を
同コースに講師も派遣しており富山県内企業の技術者
受賞することが出来ました。
育成にも努めています。
昨今では自動車への安全性の高まりや,地球環境保
今後とも産官学金連携を進める中で,富山大学との
全面での軽量化ニーズへの対応に向けて,競合に対し
連携活動をより強化し,自動車の安全性・軽量化に貢
て優位性のある製品設計・新材料・新技術開発を進め,
献すると共に,富山県のアルミ産業の発展と,人材育
自動車部品への適用を図っています。
成に貢献していきたいと考えています。
【富山大学との産学連携】
当社と富山大学とは関わりが深く卒業生も多く働い
アルミダイカスト製品
(シリンダヘッドカバー)
アルミ押出し製品
(バンパ)
製品開発体験実習
5
富山大学産学交流振興会 会員企業便り (2)
当社を紹介します
阪神化成工業株式会社 代表取締役社長 高田 順一
〒 939-8183 富山市小中 163 番地
Tel 076-429-1865 Fax 076-429-6042
当社は,1972 年に設立されて以来,阪神グループの中核会社として各種医療及び医薬品用プラスチック容器
の製造を主力に,企画開発から容器製造・販売に至るまですべてを行ってきました。
当社の特徴と強みそして得意とする技術
プラスチック容器の成型には,長年の実績があり,またパッキング及びチューブのノズル加工,スクリーン印
刷やシュリンク加工,また滅菌加工などの最新の設備と技術力を持って,付加価値の高い製品を製造しています。
射出成型はもとよりブロー成型でも長年の実績とノウハウの蓄積により,この技術は関係会社のファーマパック
の BFS(成形同時液剤充填システム)などの新規事業に活かされています。
BFS 精製水製造装置
BFS 医療用浣腸包装ライン
今後について
これまでに当社が築いてきた医療及び医薬品向け容器の専門メーカーとして,その技術力を維持・発展させる
と共に,今後は海外輸出を目指した顧客の取り込みや医療機器や環境に対応した技術力をさらに向上させたいと
思っています。それには地元の富山大学等とも密接な産学連携の絆を築いて企業体質の強化を図りたいと考えて
います。
小口ボトル
6
点眼薬容器
塗布容器
トピックス
黒部川出し平発電所見学会が開催される
5月 12 日(木)に富山大学産学交流振興会会員企業関係者9名及び工学部 4 年生4名と共に黒部川上流に架
かる関西電力㈱出し平発電所を見学しました。出し平ダムと言えば,その特徴として急流黒部川故のダム底に溜
まる大量の土砂を水量の多い梅雨時に流水と一緒に一気に下流に排出する排砂機能,通砂機能を有していること
で広く知られています。
当日の朝,富山大学を貸し切りマイクロバスに乗車して北陸自動
車道を東上し,黒部 IC で下り,黒部峡谷鉄道宇奈月駅に向かいま
した。宇奈月駅では関西電力北陸支社の方々の出迎えを受け,正午
過ぎに一般客用とは別な工事関係者専用のトロッコ電車に乗り,目
的の発電所に向かいました。
出し平発電所は本来ダム機能を主目的に建設されており,平均勾
配1/ 40 の暴れ川として知られる黒部川の流れを発電用の水源と
して堰き止め,下流にある新柳河原発電所(最大出力 41.2MW)
と更に下流にある音沢発電所(最大出力 124MW)へ水を供給す
るする働きを持たせたものです。昨年の 11 月までは発電機能はありませんでしたが,黒部川水系の生態系を維
持するため,最大 1.7t/s の水量が常時放出されているものを,昨今のエネルギー源多様化の流れの中で,この維
持水量を利用した小水力発電機能を持たせることなったものです。これまで無為に流していた水を落差を利用し
て発電用水車を動かす構造に変更したものです。ダムの構造体の中に㈱東芝製のタービンが設置されており,勢
いよく稼働していました。この発電機の増設で一般家庭の 480 世帯の年間電気使用量を賄うとのことでした。
今回の見学会では満々と湛える出し平ダムの意義と河川維持水量を有効活用した電力の回収,そして日本で2
箇所でしか設置されていない排砂機能付きのダムについて詳しく知ることが出来た見学会でした。
第2,3回イブニング技術交流サロンが開催される
6月3日(金)16 時より平成 27 年度第2回イブニング技術交流サロンがカナルパークホテル富山(富山市)
で開催されました。大学院理工学研究部(理学)柘植清志教授からは「強りん光性銅錯体の合成」,大学院理工学
研究部(工学) 石山達也准教授からは「コンピューターシミュレーションで探る水界面の分子構造」と題する発
表がありました。前者では,鉄やコバルトなどの遷移金属イオンを含む金属錯体は,特異な波長の可視光を吸収
する有色物質であることが知れています。金属錯体の発光は発光ダイオード,光センシングにも利用できる特異
な性質を持つことが知られていますが,残念ながら強い発光を示す化合
物は金やイリジウムなどの貴金属を含む化合物が多いも事実です。そこ
でもっと安価な金属を用いて多様な室温発光色を示す化合物の研究を進
めた結果が紹介されました。主にハロゲン配位子を有する錯体を中心に
した配位子制御による発光の調整や混晶形成を利用した発光色の調整が
詳しく紹介されました。後者では,日常生活に密接にかかわる水の界面
に関する現象,すなわちビールの泡,アイススケートの滑り,コンタク
トレンズ,薬の効能等はこの水との界面を介して現れる現象の一例です。
この界面の振舞いをスーパーコンピューターなどの計算機を用いて分子
動力学シミュレーションを行い,相界面での分子の振る舞いを明らかに
した成果が紹介されました。参加者からは質問が相次ぎ,活発な意見交換が行われました。また,出席戴いた㈱
インテックの T 様からは別途用意された資料を用いて企業紹介があり,参加者相互の交流の場として利用して戴
きました。このサロンには学外から7名の参加がありました。
8月5日(金)16 時から第3回イブニング技術交流サロンがカナルパークホテル富山(富山市)で開催されま
した。人文学部坪見博之准教授からは「直感と異なる人の心の働き」,大学院理工学研究部(工学)安藤彰男教授
からは「ステレオ録音の4チャンネル再生」と題する話題提供がありました。前者では,心理学の立場から直感
7
的に想定される心の働きと実際の働きの間には多くの乖離があるとされ,意識や記憶,意思決定には脳が一度に
扱える情報量には限界があり,直感的に感じられる以上に制約があり,一度に多くの情報を処理できないという
だけではなく,脳は無意識の内に別な処理で済ませていることもあるとのことでした。日々の生活の中で思いが
けない心の働きが生じる仕組みについての話題提供でした。後者では発表者が開発した新しい音響技術の紹介で
した。すなわち,複数チャンネルで録音されたオーディオ信号を直接音成分と拡散音成分に分離する技術で,直
接音成分とは音の方向性が明確で,チャンネル間の相関が高い成分を指し,拡散音とは方向性が明確ではなく音
場を包み込むような音の成分を指しています。この技術を使うと特に 5.1 チャンネルの装置でステレオ CD を再
生する際に,L,R チャンネルから直接音成分を再生し,KS,RS チャンネルから拡散音成分を再生すると,臨場
感が格段に向上するとし,会場でそのデモンストレーションが行われました。サロン終了後には恒例の交流会が
開催され,相互の交流を深めることができました。
このサロン並びに交流会には学外から 7 名の参加がありました。
平成 28 年度大学教員等の企業訪問による意見交換と工場見学会が実施される
富山大学が地域産業界とより一層の産学連携を推し進めることを目的に,大学教員並びに在学中の学部学生及
び大学院生を同伴して集中的に地元企業を訪問し,意見交換と企業見学を行う事業を展開してきました。今年度
は大学の講義のない夏季休暇の期間を利用して企業訪問を実施しました。
8月3日(水)には㈱タカギセイコー 新湊工場(射水市川口 800)へ教職員5名,学生3名,8月4日(木)
には協和ファーマケミカル㈱(高岡市長慶寺 530)へ教職員8名,学生7名,8月 10 日(水)には中善工業㈱(富
山市小黒 2048)へ教職員6名,学生
6名が訪問し,日々製造技術に携わって
おいでの技術者の方々と懇談し,最新鋭
の製造現場を見学する機会を得ました。
大学教育の中ではなかなか実感できない
現場の聲を聞くことができ,また,今後
の教員の研究活動に活かせる情報が得ら
れる訪問でした。
今後の主な行事
行 事
場 所
開催日時
内 容
T o y a m a S c i e n c e 総合教育研究棟(工学系) 9月 30 日(金) ・基調講演(学内研究者3名:詳細未定)
GALA 2016
多目的ホール
・研究成果発表(7 名)
(富山市五福 3190)
・ショートプレゼンテーション
・ポスター発表会(若手研究部門,産学連携部門,審査会)
・特別講演
「各種連携こそが日本の新成長を招く」
講師:日本工業新聞社 顧問(前代表取締役社長)
(国法)電気通信大学特任教授 千野 俊猛氏
・情報交換会・審査結果発表
第4回イブニング技術 ウイングウイング高岡
交流サロン*
(高岡市末広町 1-8)
10 月 7 日(金) ・「富山発,地産地消のバイオマス活用の研究開発」
16 時 00 分~
大学院理工学研究部(理学) 助教 酒徳 昭宏
18 時 15 分
・「雨乞いと半鐘~氷見市上日寺行田池から出土した半鐘の音色」
芸術文化学部 准教授 島添 貴美子
第9回とやまビジネス 総合教育研究棟(工学系) 10 月 26 日(水)・学生部門
プランコンテスト
多目的ホール
13 時 00 分~
・一般部門
(富山市五福 3190)
・表彰式/交流会
第5回イブニング技術 カナルパークホテル富山 12 月 2 日(金) ・「脳由来神経栄養因子をターゲットとした創薬研究を目指して」
(富山市牛島 11-1)
16 時 00 分~
大学院医学薬学研究部(薬学) 助教 福地 守
交流サロン*
18 時 15 分
・「免疫システムと創薬研究」
大学院医学薬学研究部(医学)客員准教授 長井 良憲
*:参加には担当者(Tel.076-445-6938)までご連絡戴き,事前申込が必要です。
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