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国立大学法人 富山大学 地域連携推進機構 産学連携部門 富山大学リエゾンニュース NO.13 〒930-8555富山市五福3190 TEL:076-445-6938 FAX:076-445-6939 URL:http://www3.u-toyama.ac.jp/sangaku/ CONTENTS Sep 2012 □ 大学発新技術の紹介(1 ) …………… 1 □ 大学発新技術の紹介(2 ) …………… 3 □ 新任の紹介 …………………………… 8 □ トピックス …………………………… 9 □ 産学交流振興会 会員企業便り(1 )… 5 □ 産学交流振興会 会員企業便り(2 )… 7 □ 今後の主な行事 …………………… 10 大学発新技術の紹介(1 ) 低炭素社会を実現する バイオマス燃料の汎用快速生産技術 大学院理工学研究部(工学系)教授 椿 範立 生 年 月:1965年8月 略 歴:1995年東京大学工学博士,1995-2000年東京大学助手,講師, 准教授,2001年から富山大学教授,2006年日本学術振興会賞 専門分野:触媒,化学工学,エネルギー 連 絡 先:076-445-6846 現在,熱源用燃料や輸送用燃料として,大量の化石 反応によってBDF( Bio-diesel Fuel )を製造するこ 燃料が消費されています。しかし,これらは地球温暖 とがよく知られていますが,油脂の資源が限られてお 化の原因となる大気中の二酸化炭素を増加させる主な り,あまり普及するとは思われません。バイオマスの 要因となっており,かつ使用される化石燃料は有限な 発酵法もよく研究されていますが,反応が遅い,酵素 資源で近年は価格の乱高下も問題になっています。 の寿命が短い,単一原料に限定する,前処理工程が複 本研究開発は,地域内で発生するバイオマス資源か ら,高品位で汎用性が高く,従来の化石燃料と同様 雑,硫酸などの使用といったように問題点が多いので す。 に利用できる液体燃料(バイオマス液体燃料:BTL 椿研が開発しているBTL技術は,あらゆるバイオ ( Biomass to Liquid ))を製造する技術開発を行う マス(稲わら,剪定枝,廃プラスチック,廃タイヤ, ことで,熱源用や輸送用に大量消費されている化石燃 生活ごみ,鶏糞等)が燃えるものであれば,分類・分 料を代替・削減し,温暖化防止および低炭素社会の構 別処理せず,混合物のままで一括ガス化し,スチーム 築を図ろうとするものです。 との反応によって一酸化炭素と水素の混合ガスまで転 廃油脂などからアルカリ触媒を用いてエステル交換 換し,更に触媒を用いて,この一酸化炭素と水素の混 1 国立大学法人 富山大学 地域連携推進機構 産学連携部門 合ガスからバイオ軽油,バイオガソリンあるいは含酸 素燃料であるアルコール類,エーテル類を生産する技 術です。 あらゆるバイオマスが使用可能であり,厄介な事前 分類・分別も必要としませんし,全工程の反応速度が 数秒ほどで非常に速く,従来のバイオマス転換技術と 比べるとはるかに低コストで済みます。 製品であるバイオ燃料の販売ルートを開拓する必要 がありません。自社のトラック,自動車に入れれば走 らせることが可能であり,典型的な「自産自消」です。 地域産業を振興し,過疎状態である農林業地域の雇用 図1 山梨県にあるBTLプラント 増大にもつながると思います。 ガス化によって生産された一酸化炭素と水素の混合 ガスから発電も可能であり,電気と燃料を同時に生産 できる柔軟な生産方式と言えます。 既に農林水産省,経済産業省,NEDO,JST,資 源機構から実証事業費をもらい,いくつかの試験プラ ントを運転しています。図1は山梨県にあるBTLプ ラントであり,図2は山梨県ワイン業界から提供され たぶどう剪定枝から作られたバイオ軽油です。 原発がほとんど停止している現在,化石燃料価格が 高騰しています。更に二酸化炭素の問題を考えると, バイオ燃料の重要性が益々増大していくと思われます。 2 図2 ぶどう剪定枝から作られたバイオ軽油 富山大学リエゾンニュース 大学発新技術の紹介(2 ) ビジネスモデルの本当の意味とその重要性について 経済学部 教授 内田 康郎 生 年 月:1966年5月 略 歴:1998年横浜国立大学大学院博士課程修了,1998年富山大学講師, 2000年助教授,2002年米コロラド大学客員研究員,2008年より 現職。日本貿易学会理事,国際ビジネス研究学会理事。博士(学術) 専門分野:競争戦略論,国際経営論 連 絡 先:076-445-6464 近年,日本の多くの製造業が抱える問題の一つとし て,優れた技術はあるのに収益に結びつけられないと いう点が挙げられます。実際,日本企業は積極的に研 究開発を進めており,内閣府の調査によれば,2008 年時点で日本企業の研究開発費はGDP比で2.7%に 達するなど, その水準はアメリカやEUの平均を上回っ ていることが分かっています。しかしながら,こうし た研究開発費をうまく成果に結びつけられていないと いうのが,今日の日本企業にとって大きな課題となっ ています。 そこで,ここではこうした優れた技術がなぜ持続的 な収益源とはならないのかについて,経営学の視点か ら原因を探り,またそれをもとに考えられる方策につ での連携が進み,interoperability(相互運用性)も いて検討してみます。 実現されるようになりました。こうした2つの要素か 1.日本企業のおかれている状況 図1は日本の主な製造業における「研究開発効率」 らの影響をまともに受けるような事業領域を持つ企業 の場合,scalabilityやinteroperabilityをうまく活用 できるかそうでないかによって,企業の業績に大きな (図中のA )を示したものです。この研究開発効率と 違いが見られるようになってきています。それらの要 は研究開発費に対する営業利益の割合を示すものです 素によって実現される「複合的なサービス」をユーザー が,これを見ると90年代に入って急激に効率が低下 が選考するようになってきているためです。 してきていることが分かります。2000年代に入ると 例えば,今日急速に普及しているスマートフォンが 改善傾向が見られますが,以前ほどのレベルにまで戻 そうであるように,ユーザーは一つの端末から得られ す勢いは感じられません。 るさまざまなサービスの内容を重視するようになって 90年代に何が起こったかというと,さまざまな事 きていますが,これを実現する上で欠かせないのが 業分野で急速に進んだ「デジタル化」と「インター scalabilityやinteroperabilityです。これらの要素が ネットの普及」です。デジタル化により,他の機器と ユーザーの求める複合的なサービスを実現させ,ユー の接続や機能の統合化が進め易くなるなど,物理的に ザーに対する「利便性」をつくり出しています。場合 scalability(拡張性)が高められ,一方インターネッ にもよりますが,この利便性は今日「価格」や「品質」 トの普及によりそれまでは別々だった情報システム間 以上に重視されるようにもなってきています。一時, 3 国立大学法人 富山大学 地域連携推進機構 産学連携部門 中国では日本製携帯電話が高価格だったことが理由で え,それぞれについての具体的な進め方が「ビジネス 売れ行きがよくありませんでしたが, 日本製よりもずっ モデル」となります。(ここで言う「価値」とは「顧 と高価なアップルのiPhoneが中国市場に投入される 客満足」の意味を持ちます。)そのうち「価値の創出」 と,非常に速いペースで売上を拡大させています。 については,業際化の進む分野では先にも述べたよう しかしながら,こうした状況が進む分野では一つの に1社だけでは難しいため,他社との協働,すなわち 企業で複合サービスのすべてを賄うことは現実的に極 「オープン・イノベーション」が求められるようになっ めて困難であると言えます。高いレベルでの利便性を てきます。 実現するには,複数の事業領域にまたがったサービス ただ,このオープン・イノベーションも誤解が少な がつくられる必要があるからです。業界の枠を越える くありません。オープン・イノベーションとは,単に ことを「業際化」と言いますが,今日多くの企業が「業 他社の技術を利用するということだけではなく,自社 際化」の中で事業経営を進めなくてはならなくなって 内外のイノベーション要素を最適に組み合わせること いると言えます。 で新規技術開発に伴う不確実性要素を最小化し,同時 に新たに必要となる技術開発を加速させながら全体の 2.方策 イノベーション効率を最大化させる手法を言います。 従って,業際化が進む事業領域では,これまでとは 要するに,1社ですべてのイノベーション・プロセス 考え方を切り替えた事業構想をする必要があります。 を完結させるのではなく,顧客満足を最大化させるよ そこで求められるのが,「オープン・イノベーション」 うなイノベーションを複数社で分担しながらつくり出 に基づく「ビジネスモデル」の構築です。 すことを意味します。ここまでは多くの企業が認識し ただ,多くの日本企業においては,この「オープン・ ているところですが,重要なのはその次の段階,すな イノベーション」や「ビジネスモデル」の概念を誤解 わち「価値の収穫」です。他社と価値を作りっぱなし することが少なくないのが現状で,そのことが冒頭で にしておくのではなく,きちんと自社だけで収穫でき 述べたような現象,すなわち研究開発効率の低さにも る領域を確保することが重要となります。 つながってきていると考えられます。そこで,それぞ われわれが普段PCなどで利用するUSBという規格 れの概念について,私の専門とする経営学的な視点か は,インテルが他社との協働により開発したものです ら整理してみましょう。 が,その技術を無償で開放したことにより一気に普及 まず,そもそもビジネスモデルとは,企業の持つ「技 しました。彼らはUSBで儲けようとしたのではなく, 術」と顧客のいる「市場」とを結びつける手段として PCが便利になることによってCPUという自分たちの 捉えるのが経営学的な見方となります。そして,図2 収益源を活かすことを狙いました。第3世代携帯電話 に示すように, 「技術」を「価値の創出」と捉え,ま で使われている通信規格にW-CDMAやCDMA2000 た「市場」については「価値の収穫」を行う場所と捉 という規格がありますが,これも複数の企業により相 互に技術を供与しながら開発されています。その中心 メンバーのノキアやクアルコムは,携帯電話端末,あ 図2 ビジネスモデルとは ビジネスモデルとは、 2つの重要な機能を実現するものと 捉える必要がある。すなわち、 「価値を創出すること」、そし て「創出された価値(の一部) を収穫すること」である。 「技術」による価値の創出 ビジネスモデル ・どのような価値か? ・どのように創るか? 「市場」での価値の収穫 ・どのように収穫するか? 出典) Henry Chesbrough(2006), Business School Publishing Corp. 4 , Harvard るいはそこに組み込まれるチップなど,独自の収益源 を持っています。要は,他社との間で協調と競争の組 み合わせによるビジネスモデルを構想できるかがカギ を握ることとなり,これらの企業はそのことを知った 上で事業を構想していることが分かります。 3.日本企業の課題 私は自分の調査研究の必要上,企業の開発担当者か らお話しを伺うことが少なくないのですが,その際に, 富山大学リエゾンニュース あるいは欧米等で開催される国際標準化機関の総会に 値の創出と収穫の両面から構想している点」で日本企 出席するような際に,他国の技術者が惚れ惚れするよ 業よりも進んでいるように感じます。業際化が進む今 うな技術が日本企業に少なくないことをよく感じます。 日,ますますこうしたことを意識した技術開発が求め ただ,海外の技術者の方が戦略的な志向,すなわち「価 られるのだろうと思っています。 富山大学産学交流振興会 会員企業便り(1 ) 産学連携への期待 北陸電気工業株式会社 代表取締役社長 津田 信治 (富山大学産学交流振興会 会長) 〒939-2292 富山市下大久保3158番地 Tel 076-467-1111 Fax 076-468-2864 最初に,当社を簡単にご紹介致します。 北陸電気工業㈱は富山市の南部の地(旧大沢野町下 通孔)を形成した回路基板 ◦各種圧電製品:圧電セラミック製の低背型で磁気を 大久保)で1943年に抵抗器の製造を開始して以来, 数々の電子部品を開発,製造して参りました。 主な生産品目には, ◦各種センサ: 加速度・圧力・力・湿度など 発生しないスピーカなど があります。 さて企業にとっては継続的に成長するために,他に 類の無い特徴のある強い製品が必要です。 当社は約20年前からMEMS技術に取り組みました。 ◦各種モジュール: MEMSと はMicro Electro Mechanical Systems 液晶コントロール・無線モ の略語で,半導体の加工方法を応用し,微細なセンサ ジュールなど 構造を量産するのに適した技術です。このMEMS技 ◦各種固定抵抗器: 術によって圧力センサや3軸加速度センサなどを開発 携帯機器の回路に搭載され し,現在「センサ&モジュールのHOKURIKU 」のス る超小型( 0.2×0.4mm ) ローガンの下,更なる新製品開発に取り組んでいます。 チップ抵抗器など ところで,この数年電子部品業界に限らず日本経済 ◦各種可変抵抗器: には次々と試練の荒波が押し寄せています。環境の激 軸を回転調整して抵抗値が 変に適応したもののみが生き残れるという種の生存の 変えられる抵抗器 理は経済の世界にも通じ,当社でも困難に耐え,世界 ◦タクティールスイッチ: の変化を見据えて新製品を時宜に違えず世に出そうと プ ッ シ ュ 式 機 構 でON- 日々取組んでいます。その中で新製品を顧客へ提案す OFFを切替えるスイッチ る際に重要と思うことがあります。 ◦プリント基板に導電性イン その1つは,コストを押えつつ複数個の部品の機能 ク,抵抗用インクなどを印 を1つに集約・複合化することで,モジュール化やセ 刷することで,配線や抵抗 ンサの複合化を図る技術です。顧客にとっては,部品 器,スルホール(導通用貫 コストと部品数の低減により管理コストや組立工数が 5 国立大学法人 富山大学 地域連携推進機構 産学連携部門 削減でき,より一層の小型軽量化や,設計自由度の向 いベンチャー企業などではその傾向が顕著です。部品 上に繋がり大きな利点があります。タイミングを失し メーカも顧客の目線で提案出来るセンスと,ある程度 てはなりませんので,我々は一層新分野の技術習得に 顧客の専門領域が議論でき,簡易なデモ機の試作が出 心がけ,スピード感を持って仕事に従事しなくてはな 来る技術力が必要であると感じています。 りません。 6 こうした観点から,これからのものづくり企業に その2は,当社は最終製品の製造を行っていません とって一社の要素技術の蓄積のみでは新商品の売込み が,それでも客先がエンドユーザに対して新商品をど が次第に難しくなりつつあります。今まで以上に専門 のように提案するかという企画段階にまで遡って関わ 外の分野の理論や技術を短期間に効率的に習得するた る必要性を実感しています。さもなければ顧客の新商 めに,大学に新分野の優秀な専門家を求め,連携して 品開発の速度とタイミングに対応できず少ない商機を 早く実をあげることの必要性を実感しています。 逃すことになります。その際,売り込み部品を使った さて本年度から富山大学産学交流振興会の会長を仰 機能提案するだけよりも出来るだけデモ機などで実証 せつかっております。産学連携がより活発で効果的に してみせることが求められます。特に新しいアイディ 進められますように,皆様の益々のご協力をお願い致 アを持ちながら技術者不足で手間と時間をかけられな します。 富山大学リエゾンニュース 富山大学産学交流振興会 会員企業便り(2 ) 43年の会社生活を振り返って 津田駒工業株式会社 顧問 村 弘行 〒921-8529 石川県野々市市粟田5-100 Tel 076-294-5111 Fax 076-294-5157 先ずは当社の紹介を簡単にさせていただきます。 欧米の先進国に追いつき,一時は世界の高みを極め, 当社は明治時代の創業で,1909年津田駒次郎が地 その後は経済のグローバル化と新興国の成長速度の速 元機業場より90台の力織機の注文を受け操業を開始 さに圧倒され,現在では日本のものづくりの一部が追 した時点をルーツとしております。 われる立場から,更に世界に取り残されていくような 100年を経過して,織物技術も大いに変わりまし た。特に,オイルショックを契機に技術革新も進み, 感もあります。ハイエンドで極めた日本の製品が,技 術だけでは生き残れない厳しさがそこにあります。 主に緯糸(横糸)の供給をシャトル(杼)を利用した 更には今後の10年,20年で世界で何が起き,何が ものから,糸のみを水または空気に圧力をかけて供給 予想されるか,ものづくりの覇権も世界をグローバル する形に進化いたしました。現在では革新織機として に移動しています。その厳しい環境の中にありながら, 毎分1000回以上の速度で,昔のシャトル式と比較す 私たちは過去のたくわえを食いつぶしながら,今の居 ると5倍から10倍に生産性が向上し,糸の送り出し 心地の良さに甘んじている一面もあると思います。こ も時速200kmに達するとともに,目に見えないほど のままで生き残っていけるのか。これまでの延長線で の太さの糸も織れるようになりました。 は生き残れないことを,はっきり認識しなければいけ もう一つの柱の工作用機器部門は,戦時色の濃い 1937年に,日本への海外工作機械の禁輸を契機に, ない日が近づいています。 今後に想定される「大いなる混乱」を乗り切れる「人 角度割り出し用インデックス,円テーブル,マシンバ 材」の養成が切迫しています。大学も「市場経済化」 「グ イスの生産を始め,現在はNCテーブルの津田駒とし ローバリゼーション」を念頭に,方向性を変えてきて て内外のお客さまにご使用いただいております。 いますが,社会が要求しているのは,お手本がない中 さて,ものづくりの会社に就職し,人生の過半を過 ごしてきたわけでありますが,その中での山谷の経験 を踏まえて,日ごろ感じていることを少し話をさせて いただきます。 でも自分で課題を見つけ,それを解決しようとする力 のある,意欲のある人材が必要です。 大学ではいかに知的好奇心を養うか。あわせて原理, 基礎をしっかり修めることかと思います。 入社時は日本の高度成長期でもあり,1970年ご 大学を卒業しての学歴が,一生の生活の保証である ろまで年率9%を越える経済成長が続きました。今の 時代はとうに終わりました。社会に出た時点をスター 中国をはじめとする新興国のような状況であり,安価 ト地点として,常に自分を客観的に評価し自分を見つ で質の良い労働力の豊富さもあり,輸出志向での工 め,自分の将来にしっかり投資していかないといけな 業化もドンドン進展しました。欧米の背中を追いか いし,色々な知識,経験を積んでいくなかに,将来へ け,追い越せの非常に勢いのある時代を経験したあと, の明るさが見えてくるとも思います。 1985年のプラザ合意,1991年のバブル崩壊後は, 最近では国内外の有名大学で,教授と学生が対話し 超円高への道を歩みつづけマイナス成長の大変厳しい ながら授業を進める白熱教室なるものも盛んになって 景気変動も経験いたしました。 います。アイデアを出す,それを練り上げていく,皆 7 国立大学法人 富山大学 地域連携推進機構 産学連携部門 と較べあう。教室では講義中心の授業からこのような 対話式の授業も増えているものと思います。 また,外部の講習会,講演会などにも参加し他流試 合を経験して,現在の自分の立ち居地をしっかり理解 する。知識と同時にそれを活用する知恵・工夫を磨き, 自己を冷静に見つめなおす習慣が身につけば,本来実 学を重んじた工学部の学生の活躍の場もますます広 がっていくと考えています。グローバルに通用する人 材の養成,これが私たちの大事な仕事だと思います。 最新型織機ZAX9100 最後に,当社には母校卒業生が60名余り会する雷 鳥会という組織があり,年に一度新入会員から役員ま でが一堂に会して懇親会を開催しています。世代や組 織を超えて親睦を図れる良き機会でもあり,会社の活 力にもなっています。これまで,優秀な学生をご紹介 いただきありがとうございます。また,今後とも母校 の更なる発展を祈念しております。 新任の紹介 地域連携推進機構産学連携部門 産学官連携コーディネーター 平川 龍夫 略 歴:国立富山工業高等専門学校工業化学科卒業後,富山化学株式会社で合成 研究部,特許部,ライセンス部等で,有機合成研究ならびに特許・技術 移転に従事。その後,オリンパス株式会社にて,ゲノム事業部門および 診断技術開発部等で技術移転に従事。また,製薬関係のベンチャー2社 (エスシーワールド,糖質科学研究所)で技術移転部門を担当。 趣 味:天然温泉,蕎麦,地ビール 連 絡 先:Tel 076-434-7196 Tel 076-434-5138 製薬およびゲノム関連での企業(富山化学,オリン 違ったりした点が今思えば大変勉強になったと思いま パス,ベンチャー2社)において,一貫してライフサ す。特に,オリンパスでは,国内・海外の大学と交渉 イエンス分野の知財を担当してまいりました。会社を する機会もあり,アカデミックに対してやや閉鎖的な 転々とすることは日本においては良く見られないので 製薬企業では経験できない経験をしたと思います。今 すが,いくつかの会社にいたお蔭で,特許出願・権利 後は,早期の技術である大学の成果をどう企業との共 化~技術移転・契約,また,企業間のみならず,大学 同開発/技術移転していくかは課題が多いとは思いま /企業間での交渉/契約,また,国内案件のみならず すが,今までの経験を生かして,産学官連携に取り組 海外案件も多く経験できたのはよかったと思います。 んでいきたいと思っています。 会社により技術移転のやり方が違ったり,交渉相手が 8 富山大学リエゾンニュース トピックス 平成24年度第2・3回イブニング技術交流サロンが開催される 6月1日(金)16時から平成24年度第2回イブニ 通信の国際化標準に携わった経験の紹介でした。現在 ング技術交流サロンがカナルパークホテル富山(富山 は,人工知能を用いた人の表情認識に基づき,テレビ 市)で開催されました。話題は人文学部 黒川光流准 電話に背景色や絵文字,さらに香りを加えて相手に伝 教授による「チームワークと職務行動」と題するもの える「気持ち通信」の技術開発に取組んでいることが と,大学院理工学研究部(工学系)菊島浩二教授によ 紹介されました。 る「情報通信―ADSL,光ファイバー通信,そして気 本サロンには学外から12名の参加がありました。 持ち通信―」についてでした。前者では,組織に求め られる成果に組織構成員のチームワークの役割とその 心理学的な観点からの話題提供でした。チームワーク を行動的側面と心理的側面から解析し,職務行動を得 られる成果の質の向上と構成員の心理上の高揚に果た す役割について解説されました。富山県内の企業・団 体の勤務者を対象に調査した事例の紹介がありました。 後者では発表者が論文提案し,現在広く国際標準と して使われている「光ファイバー通信ネットワークの 統計的設計法」の分かり易い解説と,その前後の電気 8月3日(金)16時から第3回イブニング技術交 であるとの指摘がなされました。加えて,バブル崩壊 流サロンがカナルパークホテル富山(富山市)で開催 後の財政悪化と東日本大震災からの復興財源問題など されました。今回は大学院理工学研究部(工学系)参 の日本特有の問題も加わり,996兆円にも達する日 沢匡将講師による「脳科学の応用―福祉から経営まで 本国債と借入金残高が将来のデフォルトの可能性を排 ―」,と経済学部 星野富一教授による「日本は財政 除できないと指摘されました。日本の財政破綻を回避 破綻を回避できるか」についてでした。初めの話題は するためのさまざまな提案,指摘がなされ,参加者か 脳の活動を調査するための非浸襲的脳機能計測技術の ら大いに注目を集めた話題提供でした。 内,発表者が取り組んでいる近赤外分光法( NIRS ) 本サロンには学外から12名の参加がありました。 を用いた研究例が紹介されました。活動中の前頭前野 の血流の寡多を測定する手法の長所と短所を測定の簡 便さ,測定精度,応答性等について解説があり,ニュー ロエコノミクスとして注目されている経営への応用と して,商品嗜好,商品価格評価への利用の紹介があり ました。 後の話題は最近のギリシャで始まったユーロ財政危 機の影響は単にユーロ圏的問題に留まらず,英米日な どの先進諸国でも巨額な財政赤字問題を有し,08年 世界同時不況後に顕在化した先進国に共通の財政危機 9 国立大学法人 富山大学 地域連携推進機構 産学連携部門 今後の主な行事 行 事 コラボフェスタ 2012* 場 所 富山大学 黒田講堂 他 (富山市五福3190 ) 開催日時 内 容 9月24日(月) ・基調講演「地域再生の核となる大学づくり」 13時00分 文部科学省 高等教育局長 板東 久美子氏 ~17時00分 ・新技術紹介ポスター発表他 ・シンポジウム テーマ:地域活性化の拠点となる大学の在り方 司 会:地域連携推進機構長 丹羽 昇 パネリスト: 文部科学省 大学振興課 大学改革推進室長 松阪 浩史氏 富山大学産学交流振興会副会長 蓮池 浩二氏 (株式会社リッチェル 代表取締役社長) 第4回イブニング 高岡商工会議所 技術交流サロン* 商工ビル (高岡市丸の内1-40 ) 富山県民共生センター館長 寺西 外美氏 富山商工会議所会頭 犬島 伸一郎氏 南砺市長 田中 幹夫氏 富山大学長 遠藤 俊郎 10月5日(金) ・「竹材を仮設構造部材として積極的に利用する」 16時00分 芸術文化学部 教授 堀江 秀夫 ~18時15分 ・「富山県内の地熱利用」 第5回イブニング カナルパークホテル 技術交流サロン* 富山 (富山市牛島11-1 ) 大学院理工学研究部(理学)教授 上田 晃 12月7日(金) ・「重金属を蓄積する植物たち 16時00分 ~18時15分 ~機能解析と環境浄化への利用〜」 大学院理工学研究部(理学)准教授 蒲池 浩之 ・「『美しく不実な女』―翻訳をめぐる諸問題―」 企業合同説明会* 富山大学 五福キャンパス内 12月中旬 人文学部 准教授 中島 淑恵 ・富 山大学産学交流振興会会員企業による本学学 生向け企業説明会 *:参加には担当者( Tel.076-445-6938 )までご連絡戴き,事前申込が必要です。 10