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現地見学会コース案内
「現地見学会コース案内」 第 55 回研究発表会及び現地見学会実行委員会 Cコース ●西川地すべり ●怒田・八畝地すべ ●鏡的渕地すべり り Aコース Bコース ●高瀬地すべり 高知空港 ●長者地すべり ●平鍋地区 ●小島地すべり ●室戸ジオパーク 現地見学会コースの位置図 ・Aコース(定員 30 名) :小島、平鍋地区(高知県東部) 【県民文化ホール 8/24 17:15 出発~安芸市(泊)~小島地すべり~平鍋土石流~室戸ジオパー ク~JR 高知駅経由~高知空港 17:30 解散予定】 *宿泊先:安芸市「ホテルタマイ」 (宿泊:1 名/室) ・Bコース(定員 30 名) :長者、高瀬地すべり(高知県西部) 【JR 高知駅 8/25 8:30 出発~長者地すべり~高瀬地すべり~佐川地質館~JR 高知駅経由~高知 空港 17:30 解散予定】 ・C コース(定員 30 名) :西川、怒田・八畝、鏡的渕地すべり(高知県中央部) 【JR 高知駅 8/25 8:30 出発~西川地すべり~怒田・八畝地すべり~天崎トンネル~鏡的渕地すべ り~JR 高知駅経由~高知空港 17:30 解散予定】 *見学地の詳細は調整中ですので、変更となる可能性があります。 ☞以下、各コースの見どころを紹介いたします。 ■Aコース 小島、平鍋地区 高知県東部の室戸半島は、平成 23 年 9 月に美しい自然とそれを守りながら活かす活動が高く評価 され、世界ジオパークネットワークへの加盟が認定されました。室戸世界ジオパークは、 「海と山が 出会い、新しい大地が誕生する最前線」をメインテーマとし、地盤の隆起により形成された海岸段丘 や四万十帯古第三紀の砂岩泥岩互層(タービダイト)などの付加帯からなる美しい海岸露頭が見学で きる一大観光地として多くの人々が訪れています。 見学箇所の小島地区、平鍋地区は、室戸市に隣接する北川村を流下する二級河川奈半利川沿いに位 置しています。奈半利川は、四万十帯の複雑な地質構造や隆起運動を示す広義の室戸半島に属すこと に加え、日本屈指の多雨地帯に当たるため、複雑に蛇行する急流河川を特徴としています。 小島地区は、平成 26 年 8 月の集中豪雨により顕在化した地すべりであり、その規模は幅 120m, 斜面長 170m,平均層厚 30mで、四万十帯の砂岩泥岩互層を移動層としています。小島地すべりは、 奈半利川の穿入蛇行と急流河川がもたらす縦横侵食を要因に発生したものです。ここでは、背後稜線 付近に過去の大規模地すべりに因ったとみられる線状凹地、河道閉塞を物語る対岸への流路変遷など を見ることができます。 平鍋地区は、平成 23 年 7 月台風 6 号に伴う豪雨により発生した深層崩壊を起源とする土石流発生 箇所です。約 13 万m3に及ぶ土砂が渓流を流下し、平鍋集落の県道橋梁や奈半利川本川の平鍋ダム 堤体が被災しました。 災害対策として、上流域では林野庁および高知県により合計 22 基の治山堰堤、 崩壊斜面には山腹工が施され、下流域では、国土交通省により砂防堰堤 3 基の施工が進められてい ます。ここでは、斜面に残る土石流流下跡、土石流堆積物の露頭、貯水池に流入した土砂が対岸へ乗 り上げた痕跡、施工中の砂防堰堤の状況等を見学します。 室戸世界ジオパークでは、室戸岬周辺の海岸段丘地形をはじめとして、海岸遊歩道を散策し、ター ビダイトやカレントリップル等の地質状況、雄大な太平洋の景色を堪能していただく計画です。 小島地すべり全景 平鍋地区の土石流跡 ■Bコース 長者、高瀬地すべり 西日本最高峰の石鎚山に源を発する一級河川仁淀川は、四万十川、吉野川に次ぐ四国第三の大河で す。愛媛県内では面河川と呼ばれますが、四国山地に深いV字谷を刻みながら愛媛県から高知県へと 流下し、仁淀川と呼び名を変えて土佐湾へと注ぎます。 高知県北西部の長者、高瀬地すべりは、仁淀川の上流域に位置しており、周辺には「仁淀ブルー」 と呼ばれる高い透明度と多彩な青色を醸し出す河川水が流下する中津渓谷や岩屋川渓谷などの景勝 地があります。 長者地すべりは、仁淀川の支川長者川右岸に位置しています。蛇紋岩が関与する地すべりとして知 られ、地すべり防止区域の面積は、約 69ha に及んでいます。末端が長者川対岸に達する川越え地す べりとしても広く知られています。また、本地すべりは古文書に残る延暦 11 年(西暦 792 年)の大 崩壊をはじめ、明治 19 年の集落移転となった長者川の氾濫による地すべり大災害など、地すべりと 長者川そして集落との長い歴史を見ることができます。地すべり対策としては、昭和 39 年から高知 県が本格調査に入り昭和 40 年代から集水井、排水トンネルなどの地下水排除工が整備され、1.7m/ 年のピークの移動量を示した地すべりは現在 0.05m/年にまで減少しています。域内には、地すべり 地形を利用した棚田があり、隣接して日本有数の石灰石鉱山として知られる鳥形山を見ることもでき ます。ここでは、蛇紋岩地すべりの特有な地形、地下水排除工等について見学します。 高瀬地すべりは、仁淀川に建設された大渡ダムの貯水池右岸に位置しています。平成 11 年9月の 豪雨災害により大規模な地すべりが発生したことから、平成 16 年より中国四国農政局による直轄地 すべり対策事業が開始されました。地すべり規模は、分布面積約 72ha を示す土塊量 21 百万m3の大 規模地すべりです。地すべり対策として、 排水トンネル、集水井、水抜きボーリング、排水路工、 鋼管杭工、アンカー工などが施工されています。ここでは、地すべりの全体地形および排水トンネル 等について見学する予定です。 佐川地質館は佐川盆地をはじめ県内の地形地質、ナウマン博士、小林博士の紹介、国内外の化石コ レクションや動く恐竜、プレート運動を解説する動く大陸装置・プレートテクトニクスなどが展示さ れた施設となっています。 長者地すべり全景 高瀬地すべり全景 ■Cコース 西川、怒田八畝、天崎トンネル、鏡的渕地すべり 一級河川吉野川の上流域、四国山地の中央部からやや東よりに天界の村と呼ばれる山岳集落が分布 しています。落人伝説で有名な徳島県祖谷と県境を接する高知県大豊町は、山腹緩斜面に広大な水田 を有する集落が断続的に分布し、四国特有の棚田風景を見ることができます。この付近は有数の地す べり地帯となっており、集落の人々は、緩慢な地すべりの動きを許容しながら生活を営んでいます。 地質的には、三波川帯と秩父帯の地質境界に当たり、御荷鉾帯と呼ばれる緑色岩類の分布域となって います。 西川地すべりは、昭和 33 年 12 月に地すべり防止区域に指定され、高知県により地すべりの調査、 対策事業が進められています。 吉野川支川南小川左岸に位置し、 計 20 の地すべりブロックが約 190ha にわたって分布しています。当該地すべりは、過去に南小川を閉塞し、地すべりダムを形成しました。 その後、ダムの決壊により発生した土石流は、約 1km下流で吉野川本川をも閉塞させています。こ こでは、御荷鉾地すべりの全容と対策工を見学するとともに、河道閉塞によるせき止め湖の痕跡や土 石流堆積物の状況を見る予定です。 怒田・八畝地すべりは、御荷鉾帯分布域に位置する代表的な破砕帯地すべりであり、地すべり防止 区域は 411ha に達しています。昭和 57 年4月より国土交通省直轄地すべり対策事業が開始され、地 下水排除による抑制工を主体に事業展開されています。豊富な地下水により営まれる山岳地の田園風 景、地質帯の違いによる浸食地形等を見ることができます。 平成 26 年には怒田地区で崩壊が発生し、地すべり対策災害関連緊急事業が実施されました。 ここでは、天界の村を形成する広大な地すべり地形を見学する予定です。 高知県中央部の鏡的渕地すべりは、平成 26 年 8 月台風 12 号の豪雨により、二級河川鏡川の支川 的渕川右岸斜面で発生したものです。基盤地質は秩父帯に属し、砂岩・泥岩からなる風化岩地すべり で、斜面上部に存在する幅約 120m規模の地すべり土塊が移動し、その末端部が 3 本の谷状地形に沿 って崩壊し土砂が流下しました。さらにその上方 100m には幅 120m にわたって高さ 1~2mの段差地 形が発達しており後退性地すべりが確認されています。地すべりの進行による河道閉塞の発生が懸念 されたため、高知県による災害関連緊急地すべり対策事業により、アンカー工や集水井等の対策が実 施されています。ここでは、地すべり機構と対策工の全容を見る予定です。 最後に天崎鍾乳洞トンネルを紹介します。平成 13 年 11 月トンネル工事下半掘削中に鍾乳洞が発 見されました。石灰岩層は秩父帯南帯の三宝山帯に属しており、約数 10 万年~数 100 万年前より浸 食が開始されたものと考えられています。発見後、空洞内部の調査やトンネルの構造検討、鍾乳洞の 保存等が検討されています。 鏡的渕地すべり全景 怒田・八畝地すべり全景 西川地すべり全景