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ノン ア ル コ ー ル ・ ビ ー ルと 休 肝 日

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ノン ア ル コ ー ル ・ ビ ー ルと 休 肝 日
ノンアルコール・ビールと休肝日
ノンアルコール・ビールが最近人気らしい。厳密に言うと完全な「ノンアルコール」
(アルコールが入っ
ていない)という製品が出てきたのはここ数年らしく、その前は「ローアルコール・ビール」
(アルコール分
が1%未満で酒税法上、酒類には分類されないもの)だったようだ。成長のなくなった日本において、年
率20%近い成長をしていることから、ビール各社にとっては大変魅力のある新市場らしい。このように
ノンアルコール・ビールが多種類開発され、いろいろなレストランで一般的に置いてくれるようになった
ことは酒飲みにとってはうれしいことである。
休肝日のための「技」
ノン(ロー)アルコール・ビールとの付き合いはもう25年近くになる。80年代後半のバブルのころに飲
み始めたのを覚えている。その当時、ほとんど毎日酒を飲んでおり、休肝日を作ろうと決心したのがきっ
かけになった。ところが休肝日に「今日は酒を飲めない」と思うと、猛烈に酒が恋しくなり、夕方にはい
ろいろな言い訳を思いついて、休肝日をやめてしまうことが続いた。そこで思いついたのが、カレーを夕
食に食べてノンアルコール・ビールを飲むという「技」である。カレーは香辛料が強いのでそもそも酒の
うまさを殺すのであまり酒が飲みたくならないところに、ビールの味がするものを飲むと、それほど苦
しまずに禁酒ができるのである。このようにしてノンアルコール・ビールを時々飲むようになった。
ところが、当時はノンアルコール・ビールは人気もなく、手に入れるのは簡単ではなかった。とても
おいしいとは言えないものも多かった。いろいろと探したところ、オーストリア製の「スワン」という
ブランドがあり、これは結構いい味だったので、長い間愛用させていただいた。
ノンアルコール・ビールは美味しくなった
そうこうしているうちに2002年と2007年の道路交通法の改正があり、飲酒運転が厳罰化され
てから、ノンアルコール・ビールの需要に火が付いたようだ。ゴルフ場でまず見つけたのが
2005年にアサヒから発売された「ポイントワン」というアルコール度数 0.1%の製品である。
昔のノンアルコール・ビールのような臭みもなく、すっきりとした味で、初めて飲んだ時は感
激した。ところが、0.1%でも何本か飲むと飲酒検知器は反応するのではないかという話
を聞いて気にしていたら、
2009年にキリンから「フリー」という本当の「ノンアルコール」
の製品が出てきたのである。これもすっきりしていていい味だった。ところが、しば
らくすると小瓶1本飲むともう飲みたくなくなるようになった。何か後味や甘み
があって、たくさん飲みたいという気にさせないのである。一方、
「フリー」
のヒットにより、ビール4社が競うように新製品を投入し始め、2010年に
はサントリーが「オールフリー」というアルコールだけでなくカロリーも糖
質もゼロの製品を出し、サッポロも「プレミアムアルコールフリー」を発
売した。今年の初めにはアサヒが「ドライゼロ」という麦芽を使わない製
法の新製品を発売したのだが、麦芽を使わないことから変な甘さがなく、
ビールに近い味わいになっている。現在はこれを休肝日に愛飲している。
周りの人間に聞いてみたら、香りを優先する人と苦みを優先する人によ
り好みの銘柄は若干違うようで、酒飲みは「ドライゼロ」が好きだという
ノンアルコール・ビールと
休肝日
者が多いように思う。いずれにしろ、かつてのノンアルコール・ビールか
らすれば本当にすばらしい味になったものだと感慨深い。
結局酒飲みはアルコールが好き
国際企業戦略研究科
特任教授
伊藤友則
でも今でもやはり酒を飲んでもいいという日にノンアルコール・ビールをわざわざ飲もうと
は思わないのである。味はかなりビールに近くなっているのになぜだろうかと先日考えていたら、
閃いた。そうだ! ビールはアルコールが入っているから美味しいのである。やはり酒好きにはア
ルコールは何物にも代えられないものなのだ。
「ビールよありがとう」
「酒よありがとう」
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