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第52回下水道研究発表会セッション別・会場別日程表

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第52回下水道研究発表会セッション別・会場別日程表
2015/7/10
第52回下水道研究発表会セッション別・会場別日程表
H27.7.10
2015.7.28(火) 第1日目
会 場
第1会場
第2会場
第3会場
第4会場
第5会場
第6会場
第7会場
名 称
605室
606会議室
607会議室
608会議室
609会議室
610会議室
102会議室
人 数
126名
126名
126名
126名
72名
72名
100名
8:30
9:30
・開会式 東京ビッグサイト 展示棟 :下水道展と同時開催
10:40
11:00
~
12:00
13:00
15:00
・特別講演 (東京ビッグサイト 会議棟 1FレセプションホールA)
東京大学・政策研究大学院大学教授 家田 仁氏 (11:00~12:00)
テーマ「進化する都市インフラ ~その将来展望~」
・パネルディスカッション (東京ビッグサイト 会議棟 1FレセプションホールA )
「持続的発展が可能な下水道の実現に向けた取り組み)
(13:00~15:00)
・口頭発表
15:10
S-4
S-1
震災対策 7編
アセットマネジメント 8編
15:10~17:05
15:10~17:20
N-4-1
地球温暖化/省エネ対策
(1) 8編
15:10~17:20
N-12
S-2
S-3
理化学試験と微生物試 国際協力・海外展開
BCP・リスクマネジメント
験
7編
8編
4編
15:10~17:05
15:10~17:20
15:10~16:15
1
N-6-3
ポンプ場・処理場施設
(建設)(3) 4編
15:10~16:15
2015/7/10
第52回下水道研究発表会セッション別・会場別日程表
2015.7.29(水) 第2日目
会 場
第1会場
第2会場
第3会場
第4会場
第5会場
第6会場
第7会場
名 称
605室
606会議室
607会議室
608会議室
609会議室
610会議室
102会議室
人 数
126名
126名
126名
126名
72名
72名
100名
・口頭発表
9:30
S-5
集中豪雨対策 7編
9:30~11:25
N-10-3
N-9-1
汚泥処理技術(3) 7編 水処理技術(1) 8編
9:30~11:25
9:30~11:40
N-2-1
雨水対策(1) 6編
12:45~14:25
N-10-6
N-9-2
汚泥処理技術(6) 5編 水処理技術(2) 8編
12:45~14:05
12:45~14:55
S-7-1
膜処理技術(1) 7編
9:30~11:25
N-4-2
地球温暖化/省エネ対策
(2) 8編
9:30~11:40
N-7-2
管路(維持管理)(2)
7編
9:30~11:25
N-6-1
ポンプ場・処理場施設
(建設)(1) 6編
9:30~11:10
N-4-3
地球温暖化/省エネ対策
(3) 7編
12:45~14:40
N-7-3
管路(維持管理)(3)
8編
12:45~14:55
N-6-2
ポンプ場・処理場施設
(建設)(2) 5編
12:45~14:05
12:45
S-7-2
膜処理技術(2) 7編
12:45~14:40
休憩 15分
N-2-2
雨水対策(2) 6編
14:40~16:20
17:05
N-10-1
汚泥処理技術(1) 4編
14:20~15:25
N-9-3
水処理技術(3) 8編
15:10~17:20
N-1-1
経営・計画 6編
15:40~17:20
S-7-3
膜処理技術(3) 6編
14:55~16:35
17:30~19:30 交流会
2
N-4-4
地球温暖化/省エネ対策
(4) 8編
14:55~17:05
N-7-4
管路(維持管理)(4)
6編
15:10~16:50
N-11-1
計測・制御(1) 5編
14:20~15:40
N-11-2
計測・制御(2) 4編
15:55~17:00
2015/7/10
第52回下水道研究発表会セッション別・会場別日程表
2015.7.30(木) 第3日目
会 場
第1会場
第2会場
第3会場
第4会場
第5会場
第6会場
第7会場
名 称
605室
606会議室
607会議室
608会議室
609会議室
610会議室
102会議室
人 数
126名
126名
126名
126名
72名
72名
100名
・口頭発表
9:30
N-8-2
ポンプ場・処理場施設
(維持管理)(2) 8編
9:30~11:40
N-10-5
N-9-4
汚泥処理技術(5) 7編 水処理技術(4) 7編
9:30~11:25
9:30~11:25
S-8
化学物質対策・水系水
質
リスク 7編
9:30~11:25
N-3-1
環境・再生・リサイクル
(1)7編
9:30~11:25
S-6-1
バイオソリットの利活用/ N-2-3
りん等有用資源の回収 雨水対策(3) 7編
(1)
9:30~11:25
7編 9:30~11:25
ポスター発表表彰式 11:45~12:00(会議棟6Fロビー)
12:45
N-8-1
ポンプ場・処理場施設
(維持管理)(1) 5編
12:45~14:05
N-10-4
汚泥処理技術(4) 6編
12:45~14:25
N-9-5
水処理技術(5) 8編
12:45~14:55
N-5
管路(建設) 7編
12:45~14:40
N-3-2
環境・再生・リサイクル
(2)6編
12:45~14:25
N-1-2
経営・計画(2) 8編
12:45~14:55
N-2-4
雨水対策(4) 5編
12:45~14:05
S-6-2
バイオソリットの利活用/ N-1-3
りん等有用資源の回収 経営・計画(3) 7編
(2)
15:10~17:05
5編 14:40~16:00
N-2-5
雨水対策(5) 6編
14:20~16:00
休憩 15分
N-8-3
ポンプ場・処理場施設
(維持管理)(3) 5編
14:20~15:40
N-10-2
N-9-6
汚泥処理技術(2) 7編 水処理技術(6) 5編
14:40~16:35
15:10~16:30
N-7-1
管路(維持管理)(1) 6
編
14:55~16:35
17:35
3
第52回下水道研究発表会 ポスター発表セッションプログラム
2015年7月29日(水)
ポスター発表会場 (会議棟6Fロビー) 12:30~14:00
発表
番号
1
2
3
4
5
6
発表題名
地方公営企業法適用後の資
産整理の方法について
所 属
姫路市
施設見学用看板の改善及びマ
横浜市
スコットキャラクターの作成
「煉瓦下水道場」の設立と仙台
市における新たな人材育成の 仙台市
取組み
温室効果ガス排出量からみた 東北大学
AO法とA2O法の比較
大学院
無機態窒素濃度自動モニタを
用いた曝気時間制御による省 (株)ヤマト
エネ化
AE計測に基づく通水状態での
下水道パイプラインの損傷度 新潟大学
評価
氏 名
松村有倫
米田豪
平成27年7月10日現在
論文要旨
近年、地方公営企業法を適用する団体は増加の一途だが、法適用後の資産整理
に関して法適用済みの団体から「決算確定までの処理期間が短く詳細に整理でき
ない」、「事務職なので設計書の見方がわからない」、「繰越が多く財源内訳や間
接費配賦計算が複雑だ」、更には「法適用後の資産整理のことまで考える余裕が
なかった」などといった声を耳にする。本市では、毎年200件以上の工事を発注し
ているが、法適用に合わせて「資産整理支援システム」を開発し、詳細かつ迅速に
資産整理業務を実施している。本稿では、本市の資産整理支援システムの仕組み
について解説しながら「法適用後の資産整理の方法」について論じていく。
都筑水再生センターでは毎年約900人の市民が見学に訪れ、下水道の役割や仕
組みについて学んでいる。その見学者への説明ツールとして見学通路に看板を設
置している。この看板は長年使用し、センター内の施設や設備の更新に合わせ部
分的に修正し使用していたため、劣化が著しく図や文字など記載内容が理解しに
くい部分があった。そのため、分かりやすい表現や視認性の向上、正確な情報の
提供を行うため見直を実施した。本稿では、センター内全ての処理施設説明用看
板の更新に伴い、多数の職員の意見や様々な視点により、看板のデザインや表現
に工夫や改善を図り、機能向上のみでなく下水道事業のPRとしても多大な効果が
あったため報告する。
職員削減や技術継承といった課題を抱える中で,公共団体における人材育成が
極めて重要になってきている。国土交通省においては,全国の地方公共団体の下
水道若手職員が自己研鑽等を行う場として,平成24年度に「下水道場」を設置し
ているところである。仙台市においても,本市下水道事業の将来を担う「明日の下
青田由希雄 水道人」を育成し,持続的・安定的な運営や一層の発展を図るため,組織の枠を
越えた若手職員の自己研鑽・切磋琢磨の場として,平成26年度に「煉瓦下水道
場」を設置し,技術継承に関する研修や組織力向上のための様々な取組みを実
施した。本ポスターでは,それらの取組み内容とともに,取組み成果について発表
する。
神山和哉
住谷敬太
永井太耀
地球温暖化問題を背景に、下水道分野でも温室効果ガス削減の取り組みが求め
られている。CH4・N2Oといった、水処理過程から直接発生する温室効果ガスの
排出特性は下水処理方式によって異なることが知られており、様々な下水処理場
において排出特性の調査が進んでいるが、それぞれ異なる処理場を対象としてい
るため流入下水の性質が異なり、処理方式ごとの温室効果ガス排出特性の違いを
正確に評価できていない可能性がある。本研究では、同一の流入下水に対し、疑
似AO法、A2O法の二種類の処理を行っている下水処理場で調査を行い、処理
方式による温室効果ガス排出特性の違いとその要因について詳細な検討を行っ
た。
近年、生活系排水処理施設では、曝気ブロワの省電力化のために、窒素負荷に
応じた適正な送風量制御システムの導入が望まれている。著者らは連続流入間欠
曝気式の小規模処理施設にて、曝気槽の無機態窒素を自動モニタリングし、アン
モニア性窒素を制御因子とした曝気時間制御の試験運転を行った。本制御では1
サイクルを90分として、アンモニア性窒素の平均値が2mg/L以下で30分曝気に、
2~4mg/Lで36分に、4mg/L以上で42分に変化させた。その結果、ブロワ最高出力
57Hz設定で42分曝気時の電力量53kWh/日を基準として、冬季では約25%の削
減率が見込め、その時の放流水T-Nは2~3mg/L程度であった。
下水道パイプラインの損傷度をAE(Acoustic Emission)により通水状態で評価診
断した事例を報告する.AEとは弾性波を受動的に検出する手法であり,本報では
AE現象のカイザー効果に着目した検討を試みた.実験的検討にはφ1100㎜のコ
ンクリートパイプを供試した.AE計測は管体上部にセンサを設置し,載荷・除荷を
繰返すことでAE現象を評価した.検討の結果,AEパラメータであるCalm比と損傷
度との関連が示唆された.
発表
番号
7
8
発表題名
AEパラメータ解析に基づく大
規模パイプラインの排水過程
の不具合検出
所 属
新潟大学
大学院
NADH風量制御を利用した嫌
(株)九電
気無酸素好気法に関する共同
工
研究
氏 名
論文要旨
本報では,既設構造物(排水パイプライン)の排水過程において発生した漏水など
の不具合事例を対象に,その種類とAEパラメータ解析による特性評価結果を報告
する.解析データは,AEモニタリング実施した9日間の全データを対象とした.検討
の結果,AEパラメータ解析により排水過程に発生する漏水事故等の不具合を検
山岸俊太朗 出可能であることが明らかになった.
福田貴子
平成26年度より、NADH風量制御を利用した嫌気無酸素好気法に関する共同研
究を福岡市・日本下水道新技術機構との3者で実施している。NADH風量制御と
は、活性汚泥微生物の補酵素NADHを指標とした風量制御により好気槽で硝化
脱窒を行う技術である。本報では、標準活性汚泥法の高度処理プロセスへの更新
技術としての改造内容の他、実規模施設で行った1年間の実験より得られた窒素・
りんの処理特性、NADH・ASRT・MLSSなどの管理項目の状況、各反応速度、
省エネ性能などについて報告する。また、従来の嫌気無酸素好気法との相違につ
いても検証する。
MAPと類似の構造や結晶形態をもつリン酸マグネシウムカリウムの生成と回収条件
を検討した。リンとカリウムは枯渇見込み資源であり、排水からの回収の手法を確
立することが重要である。本論文ではし尿に比べて低濃度(8mM程度)のリンを対
象として、pH、共存物質の影響や連続処理の可能性について検討を加えた。
9
10
11
12
13
カリウムとリンの同時回収操作 県立広島
条件の検討
大学
UASBプロセスによるメタノ―ル 東北大学
系廃水の処理性能
大学院
Effects of Dissolved Oxygen
Conditions on Biodegradation
Kyoto
and Transformation of 8:2
University
Fluorotelmer
Alcohol(8:2FTOH)
中濃度アンモニア含有廃水処
理向け多孔性ゲル担体を用い 東洋大学
た高速硝化処理技術
UASB型Anammoxプロセス運
転に及ぼす基質濃度の影響
東北大学
大学院
原田浩幸
陸雪琴
本研究はメタノールを唯一の炭素源とする(COD:3 g/L)有機合成人工廃水を用
いて,容績負荷(OLR)を1.5 g-COD/L・dから60 g-COD/L・dまで変化させた連続
実験を行い,UASB処理性能に及ぼすOLRの影響を評価した。連続実験の結果か
ら,OLR 12 g-COD/L・dの条件では,T-CODの除去率は安定して91%以上と高
かった。活性実験の結果,グラニュールはのメタン生成活性2.1g-COD/g-VSS•dが
得られた。CODの物質収支では、OLR 3~48 hの条件において流入CODの
81.9~94.1%がメタンガスに変換された。
環境中フッ素テロマーアルコール類(FTOHs)の動態把握するため、8:2フッ素テ
ロマーアルコール(8:2FTOH)の微生物分解に及ばす溶存酸素の影響を検討し
た.具体的に、工場排水処理場の活性汚泥を用いて各溶存酸素の状態が好気・
無酸素・嫌気及び前半曝気後半曝気なし、前半曝気なし後半曝気のように設定し
XiaolongYU て8:2FTOHの微生物分解速度及びペルフルオロカルボン酸類(PFCAs)の生成
特性を解明した.
武井彩夏
馬海元
廃水中に含まれるアンモニア態窒素(NH4-N)は水圏の富栄養化の原因となること
から,環境保全の観点でその除去が必要となっている。下水処理場の汚泥処理系
で発生する返流水(NH4-N 200~500 mg/L)の硝化処理を想定し,無機合成廃水
を用いた生物膜法による高速硝化処理を検討した。多孔性ゲルPVA担体に生物
膜を形成させ高速硝化処理運転(NH4-N 400 mg/L)を実施し,最大硝化速度
1.95kg-N/m3/dayの高速硝化を達成した。さらに硝化速度に及ぼす水温の影響
について検討した。また菌叢解析として,リアルタイムPCR解析及び次世代アンプ
リコンシーケンス解析を行ったので報告する。
水環境の富栄養化を防止するために、排水から窒素を除去することが求められて
いる。嫌気性アンモニア酸化反応(Anammox)を用いた窒素除去プロセスは、従来
の脱窒プロセスと比較して、曝気コストと炭素源を削減できる経済的な脱窒法とし
て注目されている。本研究は流入水のトータル窒素濃度を段階的に変化させて
UASB反応槽の連続実験を行い、UASB型Anammoxプロセスの処理性能に及ぼす
基質濃度の影響を検討した。
発表
番号
14
15
16
17
発表題名
所 属
North
China
Municipal
Study on anaerobic ammonium
Engineerin
oxidation sludge immobilized
g
in different gel carriers and its
Design&Re
nitrogen removal performance
search
Institute
Co.,Ltd.
東京都下
脱水用高分子凝集剤の溶解
水道サービ
濃度変更による脱水性の調査
ス(株)
新開発コンパクト省ユーティリ 国立群馬
ティ型無機態窒素濃度自動モ 工業高等
ニタの性能評価
専門学校
高分子凝集剤の機能発現要
因探索
三菱レイヨ
ン(株)
氏 名
LiuMing
龍ノ口豊
青井透
磯部和美
論文要旨
To maintain Anammoxbiomass,different materials were used as carriers to
immobilize Anammox sludge. The adsorptive property,anaerobic ammonia
oxidation activity,and stability of the particles were evaluated.The results
indicated waterborne polyurethane(WPU) was the most suitable immobilizing
material. In a continuous flow experiment, we further investigated the resistance
to impact load and the anaerobic ammonia oxidation activity by increasing the
influent load.It was found that for WPU-immobilized particles,no effluent SS or
particles fracture was observed during the 66-day operation,and the WPUimmobilized particles showed a strong capability to retain sludge and good
stability in the long-term.
みやぎ事業所の脱水用高分子凝集剤(薬品)の溶解水(薬液)注入ポンプは、そ
の性能上、0.3㎥/h程度までしか注入量を下げられない。このため、雨天時や沈砂
池フラッシング後の脱水性の良い汚泥に対しては、薬品の注入が過剰となって脱
水ケーキの含水率が下がり過ぎ、搬送系でのトラブルの要因となっている。今回の
調査は、薬品の注入率を抑えて脱水ケーキ含水率の急落を制御する目的で、低
濃度の薬液を用いて汚泥を脱水する。この時の運用上の問題点や薬品の最適溶
解濃度及び効率的な運用方法を引き続き追跡調査する。
筆者らは、曝気混合液の窒素制御のために、NH4-N計(ガス抽出導電率変化測
定法)及びNOX-N計(UV2波長吸光度演算法)を用いた長期モニタリングを継続し
ている。昨年度は、小型・軽量なモニタ(2台セットで320W×200D×380H、約
10kg)を新規製作し、性能調査のための試運転を行った。その結果、応答速度は
NH4計が10分から約5分に、NOX計が10分から約1分に短縮され、また、NOX計は
セル長を短くすることで無希釈測定が可能となったことを確認できた。新開発装置
は従来型よりもメンテナンス周期が拡大され試薬消費量も減少した。
高分子凝集剤は、基本的に水溶性成分ではなく、固形分の表面電荷に対して架
橋吸着を起こして凝集を促し、効率的に固液分離を起こす作用を持つと考えられ
てきた。しかし、実際の作用機構は正確に捉えられておらず、従来より、凝集剤選
定は凝集挙動観察によるマクロな評価が主であり、汚泥種と高分子凝集剤の種類
とに相関性があるか否かは明確になっていない。そこで、高分子凝集剤の機能発
現要因探索のため、固形分中の大半を占めると思われる微生物とそれらが分泌す
るEPS(細胞外多糖類≒糖、糖タンパク、タンパク質)に着目して、様々な分析を実
施した。
第52回下水道研究発表会 口頭セッションプログラム
平成27年7月28日(火)
発表
発表題名
番号
平成27年7月10日現在
所 属
氏 名
論文要旨
第1会場(605会議室) S-1 アセットマネジメント 15:10~17:20
1
2
3
4
5
6
7
8
~未普及解消事業の既成に
向けて~水洗化総合計画2015 京都府
(仮称)中間報告
静岡市下水道アセットマネジメ
ントの評価と対応方向性につ 静岡市
いて
A市におけるアセットマネジメン
日本水工
トの取り組みとAM支援システム
設計(株)
の構築事例
技術継承に向けた先輩との対
横浜市
話による温故知新プロジェクト
統計的劣化予測手法を適用し
た下水管渠の改築更新事業長 大阪市
期見通しについて
代表検査手法を用いた管路の
仙台市
網羅的サンプリング調査
管路施設のリスク評価結果に
(株)日水コ
基づく点検・調査優先度と頻度
ン
に関する一考察
アセットマネジメント手法を活用
日本下水
した再構築基本計画の見直し
道事業団
事例
岸良平
廣瀬勝康
高野伸彦
京都府内の市町村では、平成22年度に策定した水洗化総合計画2010(都道府
県構想)により、平成32年度の事業概成に向けて下水道等の整備が進められて
いる。同計画は経済性の比較と目標年次までの投資可能額をもとに集合処理、個
別処理、当面個別処理の区域分けしている。普及率の上昇に伴い、未普及人口
に占める整備困難(個別処理区域内の水洗化を希望しない世帯など)な人口の割
合が高くなってきており、なにをもって「概成」というのかを整理すべき時期をむか
えている。そこで、今年度内の策定を目指している水洗化総合計画2015では、概
成の概念を普及率という数値以外のもので整理する予定であり、策定状況につい
て報告を行う。
静岡市では、日本下水道事業団との共同研究を経て、平成20年度より我が国で
最初となる処理場、ポンプ場を中心とした下水道アセットマネジメント手法を導入し
た。本稿では、現時点での導入効果や課題を再確認し、課題への対応の方向性
整理等、本市の取り組みについて記載するものである。
A市において、アセットマネジメントに必要となる①中長期計画、②支援システムを
活用した業務プロセス、③中長期財政計画と財政分析、の検討を行うと共に、業務
の効率化を目的とした支援システムの構築を行った。
この事例を基に、事業体の経営資源となる「ヒト・モノ・カネ・情報」をキーワードとし
たアセットマネジメントの取り組み方法(検討手法や課題など)を整理すると共に、
検討作業の中で得られた知見・課題などについて報告する。
横浜市では、中部水再生センター供用開始50周年記念のイベントを機に、本市
の下水道の礎を築いていただいたOB職員と現役職員の対話会を毎年1回実施し
ています。対話会の内容はOB職員の基調講演や現役職員とOB職員によるディス
カッションとし、ディスカッションでは技術(経験)の伝承に主眼を置いています。
小早川茉由 ディスカッションは別途テーマを設け、現役職員からの質問に当時の経緯や経験
談を踏まえOB職員が回答することとしています。対話会の開催は、現役職員の横
浜下水道に対する知識や意識の向上に役立てられております。
三井裕貴
小松孝輝
山本整
井上賀雅
下水道施設において、急速な高齢化が進行するなか、下水道サービスを安定して
確保するため、アセットマネジメントを取り入れた効果的・効率的な維持管理・改築
更新を行っていくことが求められている。今回、管渠について、これまでに蓄積さ
れたテレビカメラ等による調査データを活用した統計的手法に基づく劣化予測を
用いて、改築更新事業の長期見通しを試算するとともに、アセットマネジメントによ
るコスト縮減効果を取りまとめたので、報告するものである。
仙台市では4,600kmあまりの管路を保有しているが,限られた予算の中で十分な
調査費用が確保できず,改築や修繕の対象となる管路の状況把握が不十分で
あった。そこで,代表検査による統計的な手法を用いて必要最小限の調査で本市
全体の管路の劣化傾向を把握することを目的とした調査計画を立案し,排除方
式,材質,年代等を網羅したカメラ調査を行った。本調査結果から,経過年数や管
材の規格の違いによる劣化状況,地区的な劣化傾向などが明らかとなった。さらに
調査結果のGISによる可視化とリスク評価を行い,リスクに基づく調査・改築計画の
立案が可能となった。
管路施設の維持管理手法として、全地域・全路線を対象に一律の維持管理を行う
方法は相当の時間と費用が必要となることから、必ずしも効率的とは言えない。本
稿では、これから点検・調査計画を策定予定の自治体への参考となるべく、過去に
実施した管路内調査データを用いたリスク評価結果に基づく点検・調査の優先度
検討結果について提示するとともに、将来の改築事業量予測結果や予算制約を
考慮した点検・調査頻度、すなわち管理基準の設定に関して事例報告を行う。
日本下水道事業団では、アセットマネジメント手法を活用し、老朽化した下水道施
設の再構築に向けた計画策定業務を実施してきている。これまでに、我が国にお
いて、下水道事業におけるアセットマネジメント手法の導入事例はいくつかある
が、導入後の評価の実施、さらには、評価結果を踏まえた計画の見直し事例はな
い。ここでは、再構築基本計画策定から5年が経過し、評価・検証を行った結果を
踏まえ、計画策定に関する課題の対応概要及び再構築基本計画の見直し事例を
報告する。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第2会場(606会議室) S-4 震災対策 15:10~17:05 1
国土技術
応急復旧の実態調査と今後の
政策総合
課題
研究所
尾﨑正明
東日本大震災による甚大な被害を受けた箇所では、「下水道地震・津波対策技術
検討会」の報告において、緊急措置及び段階的復旧の考え方が示され、これに基
づき段階的な応急普及などが実施された。さらに、国総研では、その後の調査や
対応事例の検討による知見等に基づき「災害時における下水の処理・排除に関す
る考え方(案)」を作成した。本報告は、応急復旧を対象に文献調査やアンケート
調査を行い、その実態を把握するとともに、設置期間、処理方式等の分析を行い、
今後の課題についてとりまとめたものである。
東日本大震災で被災した浦安市の下水道管路を、応急復旧から下水道災害復旧
工事の設計監理、施工監理を行った。この経験をもとに、今後想定される震災対
応に活用すべきかを報告する。
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3
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浦安市災害復旧支援での経
験を伝える
東京都下
水道サービ
ス(株)
凝集剤添加による段階的水処
仙台市
理施設の機能向上について
(一財)宮
震災復旧時の活性汚泥育成と
城県下水
嫌気性消化機能の復旧
道公社
(公財)日
津波シミュレーションを活用し
本下水道
た下水道施設における津波対
新技術機
策に関する研究
構
横浜市の震災支援の歴史
横浜市
水再生センター・ポンプ場にお
ける耐津波対策の基本的な考 横浜市
え方
高橋淳
阿部昂久
伊藤宏志
井上智行
東日本大震災により壊滅的な被害を受けた仙台市南蒲生浄化センターは、現在、
接触酸化法を用いた段階的な生物処理を行っている。接触酸化法による下水処
理では、復旧段階における目標水質であるBOD60mg/L以下の放流水質が得られ
ていたものの、負荷変動や季節変動の影響により、安定した放流水質を確保する
ことが困難な状況であった。そこで、処理水質の向上及び安定化を目的に、処理
工程に塩化アルミニウムとポリ塩化アルミニウムの2種類の凝集剤を添加した運転
を行った。本研究では、南蒲生浄化センターにおける凝集剤添加に関する課題や
工夫、放流水質の改善効果等について報告する。
宮城県仙塩浄化センターの東日本大震災からの復旧では、機械・電気設備等の
復旧に合わせて、段階的に活性汚泥処理や嫌気性消化といった微生物を利用し
た処理機能を復旧してきた。活性汚泥については、送風量や流入量、各種セン
サーが復旧していない中、種汚泥を使用することなく運転方法を工夫することで流
入下水から短期間で育成を行った。嫌気性消化については、1年以上放置された
消化汚泥を種汚泥として復旧を着実に達成した。
近年、東日本大震災等の震災を受け、下水道における地震、津波対策が進めら
れている。その一環として、当機構は宮崎県、宮崎市、延岡市、日南市、日向市お
よび串間市と共同研究会を設立し、津波対策の検討を行った。
本共同研究会では、せき上げを含む詳細な浸水深を用いた浸水被害想定や津波
対策基本計画を策定するため、津波シミュレーションを行った。基本的な解析条件
は、宮崎県が実施した津波解析条件を踏襲したが、下水道施設を対象に、より詳
細な2mメッシュの地盤高データを用いた。詳細な津波解析結果より、フルード数を
用いて水深係数を評価し、波力を精査したところ、全ての施設で既存計算方法より
も大幅な波力の低減が見られた。
横浜市では、平成7年の阪神・淡路大震災における神戸市への災害派遣を皮切り
に、中越地震や中越沖地震、東日本大震災における仙台市への災害支援を行っ
てまいりました。その災害派遣の経験で得られた経験やノウハウを災害派遣の歴
史としてまとめ、横浜市下水道BCPへの反映や実際に被災地に派遣された本市職
黒羽根能生 員による研修会、災害時実地訓練などを通し経験の伝承を行っております。これら
の震災および災害派遣で得られた教訓を風化させることなく、発生の危険性が増
大している首都直下型大地震への備えとするべく、日頃より対応に取り組んでいま
す。
矢野明信
横浜市は東京湾に面しているため、一部の水再生センター・ポンプ場では津波に
よる浸水被害が想定され、耐津波対策を講じる必要がある。「最大クラスの津波」
(慶長型地震による津波)による被災時でもトイレ使用の継続や汚水溢水の防止等
が図れるよう、「汚水揚水機能」確保に向けたハード面での耐津波対策を実施す
る。さらに、汚水揚水施設・設備の中でも優先順位を設定し、電源の確保を最優先
とする。電気設備は、老朽化対策(更新)に合わせて、高所(津波で浸水しない高
さ)への移設(建屋新設を含む)を検討し、機械設備は、建屋開口部の防水化、防
護壁の設置等を検討する。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第3会場(607会議室) N-4-1 地球温暖化/省エネ対策(1) 15:10~17:20 1
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国土技術
下水処理運転方式の違いによ
政策総合
るN2O排出量の比較
研究所
担体投入によるN2Oガス抑制
効果に関する一考察
名古屋市
担体利用嫌気無酸素好気法
における一酸化二窒素排出量 川崎市
の調査と抑制方法の検討
アンモニアセンサを活用した高
(株)日立
効率硝化制御システムの実用
製作所
化に関する実証研究
下水汚泥焼却におけるストー
(株)タクマ
カ炉の温室効果ガス削減効果
ターボ型流動焼却炉導入にお
ける温室効果ガス削減効果の 東京都
検証
過給式流動炉における電力削 月島機械
減効果と安定性の検証
(株)
汚泥焼却炉の計画的管理によ
東京都
る温室効果ガスの削減
道中敦子
浅野勝広
湯澤久佳
下水道事業における温室効果ガス排出量のうち、水処理工程に伴い発生する一
酸化二窒素(N2O)の割合は約1割を占めているにもかかわらず排出状況の実態
は把握されていない。これまでに処理方式別にN2O排出量の実態調査を実施して
きた結果、窒素除去を行う処理方式に比べて、行わない処理方式のほうが排出量
が高いことが示された。そこで、本研究では、比較的排出量が高いとされる標準法
について反応槽の前段にてばっ気風量を抑えた擬似嫌気好気運転に変更するこ
とで排出量が抑制される効果についてパイロットプラントを用いて検討し、排出量
が減少することを確認した。
旧年調査において、高度処理法を採用する水処理センターの反応槽から発生す
るN2Oガスを実測し、標準活性汚泥法の実測値より整理した当局独自係数と比較
した。その結果、担体投入型A2O法施設の排出係数は当局独自係数の約1/10の
値となり、他のA2O法施設よりも低い値となった。
こうした担体投入型A2O法施設のN2Oガス排出傾向は、担体中に硝化細菌が多
く保持され、その結果硝化活性が高まり、N2O排出量が減少したと推定された。そ
こで、本調査では旧年調査によりN2O排出係数の高かった当局AO法施設の汚泥
を用いて、担体投入によるN2Oガス排出抑制効果について検討した。
川崎市の担体利用嫌気無酸素好気法施設において、一酸化二窒素の連続測定
やスポット測定を行うとともに、水質調査等を行い、排出係数の算出結果からその
排出傾向や抑制方法について検討した。その結果、麻生水処理センターでは一
酸化二窒素の排出量が多く、その大部分が反応タンク好気槽から排出しているこ
とが明らかとなった。また、一酸化二窒素の排出抑制には、反応タンク運転制御因
子であるDO濃度設定値を上昇させ、空気量を増やす方法が有効であった。
本研究では、ICTとしてセンサーと制御技術を活用による下水処理水の水質維持
と省エネルギーの両立を実現することを目指し、国総研の委託研究「ICTを活用し
た効率的な硝化運転制御の実用化に関する技術実証研究」により茨城県霞ヶ浦
浄化センターにおいて実証研究を実施する。制御システムには、好気槽中間地点
山野井一郎 と好気槽よりも上流側に設置するアンモニア計をセンサーとして用い、モデル予測
と実測値による制御機能・処理特性の見える化機能等を組みこんだ。本報告で
は、硝化運転の安定化と風量削減による動力費低減効果の実証実験結果につい
て報告する。
渥美幸也
小川誠
浅岡祐輝
北島秀彦
本技術は、汚泥焼却時の燃焼ガスに含まれる廃熱を利用し脱水汚泥を乾燥させ、
乾燥汚泥を階段式のストーカ炉により焼却するシステムであり、以下のような特長
を有する。
(1)900~1100℃程度の高温焼却が可能となり、N2O排出量の削減が可能。
(2)(立上げ・立下げ時以外)補助燃料を不要とする運転が可能となり、CO2排出量
の削減が可能。
実証試験の結果、N2O排出量は0.05kg-N2O/t-DS、CO2排出量は100kgCO2/t-DSとなり、温室効果ガス削減効果が確認できた。
東京都下水道局では、下水道事業初のエネルギー基本計画「スマートプラン201
4」を策定しエネルギー削減に向けた様々な取り組みを推進している。
このような中、葛西水再生センターでは、省エネ機器の導入を積極的に進めてお
り、平成26年度からは「ターボ型流動焼却炉」と呼ばれる新しい形式の焼却炉が
運用を開始した。本焼却炉は従来の流動焼却炉で必要となる流動ブロワと誘引
ファンが不要となり消費電力が大幅に削減されるとともに、加圧高温下にて焼却処
理することでN2O排出量の削減効果が期待できる。
本報告では、ターボ型流動焼却炉と従来炉との比較を行い、エネルギー削減及び
温室効果ガスの削減効果について検証を行う。
「神奈川県流域下水道中期ビジョン」では地球温暖化対策や資源・エネルギーの
循環等を掲げている。過給式流動炉は温室効果ガスおよび電力使用量の大幅な
削減効果が期待できることから、本設備の採用を決めた。過給式流動焼却炉は、
過給機を導入することにより従来必要であった流動ブロワ・誘引ファンが不要とな
り、消費電力が削減される。また加圧下で脱水汚泥を焼却することによりフリー
ボード下部に高温領域が生成され、N2Oの分解が促進される。本設備が、相模川
流域右岸処理場にて平成26年度より稼動を開始したことを受け、同規模の従来型
流動炉と比較を行い電力減力削減効果、燃料削減効果、温室効果ガス削減効果
について検証を行った。
流域下水道では、平成25年度から「汚泥焼却炉温室効果ガス排出量管理図」に
基づき、パフォーマンスの良い焼却炉を中心に高温焼却や、連続運転実施などに
より、温室効果ガスを削減している。平成26年度は、上半期に効率の良い第二世
代型焼却炉の連続運転などを徹底して温室効果ガス排出量を削減し、その成果
を踏まえ下半期は補助燃料削減運転による動力費削減を基本とした。具体的に
は、センターごとの年間・四半期ごとの削減目標を設定し、良好な取組事例は他セ
ンターでも水平展開を図る。一方、目標達成できない場合は、原因分析は勿論、
次の四半期で焼却温度をさらに上げるなど対策を考え実施している。これらの取
組みについて報告する。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第4会場(608会議室) S-3 BCP・リスクマネジメント 15:10~17:20 1
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下水道管路施設の耐震化優
先度評価に関する研究
国土技術
政策総合
研究所
既存建築構造物の地震対策 日本下水
における免震技術の導入検討 道事業団
下水処理場の被災による放流
(株)日水コ
先水域への影響予測とその対
ン
策検討
地震リスクを考慮した下水道管
路施設のアセットマネジメント 兵庫県庁
の検討事例
熊本県における下水道BCPの
熊本県
取組み事例
(公財)日
長野県下水道BCP作成に関す 本下水道
る取り組み
新技術機
構
水処理関連施設における災害
想定リスク対応への取り組み 川崎市
(その2)
(公財)日
大規模災害に対する早期機能
本下水道
回復のための情報システムの
新技術機
あり方
構
松橋学
三神文太
永松由有
常井友也
久富光祐
小関進介
栃堀健一
馬場理
今後、内閣府等で想定されている首都直下や南海トラフを震源とする大規模地震
に対し、早期に下水道管路施設の耐震化を進める必要がある。また、限られた時
間とひっ迫した自治体の予算で対策を行うためには、事前耐震対策、事後応急対
応それぞれの長所を生かした役割分担のもと、総合的な優先順位を決定して戦略
的な耐震対策を実施する必要がある。本研究では、過去の下水道管路施設の地
震被害を収集し、それらの情報に基づき下水道管路施設の優先順位付に必要な
評価手法について検討した。また、検討結果より事前対策及び事後対応それぞれ
の視点から優先順位を示すための指標を提案した。
下水道施設における建築構造物の地震対策は、従来から耐震壁の新設や既存耐
震壁の増厚といった強度型の耐震補強を主として進められてきたところであるが、
機能確保の面から対応が困難なケースも多いのが現状である。そこで、耐震補強
を軽減し、実現性の高い対策の検討を進めることを目的とし、既存の建築構造物
をモデルとした免震技術の導入に関する調査・検討を行った。
東日本大震災では多くの下水処理場が被災した。その後、国土交通省から「下水
道施設の復旧にあたっての技術的緊急提言」が出されたように、公衆衛生の確保
等のため、被災処理場の早期復旧の必要性が認識されている。琵琶湖・淀川流域
は、流域内に多数の下水処理場と、その放流先に多数の水道取水点を有してい
る。下水処理場が被災すれば、水道水源が汚染され、近畿圏1,400万人の生活に
支障をきたしかねない。本報では、水質シミュレーションモデルを活用し、地震によ
る被災から復旧までの期間を対象に琵琶湖・淀川の水質予測を行った。また、そ
の予測結果を基に、水道水源への影響を緩和するための対応案を検討した。
近年、下水道管路の老朽化に伴う改築・更新事業が多くの自治体で実施されてお
り、その事業計画の実施手法として、アセットマネジメントによる長寿命化計画が実
施されている。本研究では、下水道管路施設の地震リスクアセスメントを行い、地
震リスクの影響を考慮したアセットマネジメントの実施手法、事例の検討を行う。解
析モデルとしてPVC管φ200mm、HP管φ250mm、シールド管路φ1800mmを対象
とし、被災した地中埋設管の補修・補強、再構築費用等の損失額、機能不全によ
る営業損失、下水道施設を使用できないことにより生じるユーザー損失を算出し、
これらを基に下水道管路施設の地震リスクアセスメントを実施する。
熊本県では、東日本大震災や平成24年7月に発生した九州北部豪雨災害の経
験を踏まえ、下水道BCP策定は喫緊の課題として取り組んでいる。県では県内市
町村が早急に下水道BCPの策定が可能となるよう支援するため、”熊本県下水道
BCP作成の手引き”を作成した。平成25年度末では、県および政令市以外の市
町村は未着手の状況であったが、市町村へ実務研修会等を開催し、策定への促
進活動を実施したことで平成27年1月末現在約8割の市町村が策定に着手してお
り、簡易的に作成し易く、有事の際に各市町村間の相互連携支援を図れるよう標
準書式を定めたことなどの工夫事例を、ここに紹介するものである。
下水道BCPは、下水道施設が被災した後、資材や人員が限られた中でも、下水道
の有すべき機能を維持・確保していくことを目的として定められる計画であり、下水
道の「減災」対策として非常に有効な手段である。この度、下水道機構は、長野県
と県下の市町村との共同研究により、勉強会等を実施しながら、実行性のある下水
道BCPを作成する取り組みを行ったので報告する。
3.11東日本大震災以降、災害リスクの想定やその対応といった、災害リスクマネ
ジメントの確立が急務となっており、川崎市においても、危機管理検討部会を設置
し、危機管理に資する取組事項について検討を進めています。昨年度は、水処理
関連施設を対象とし、迅速な被害状況の把握と可視化を目的として「施設被害状
況(健全度)図」「施設被害状況(健全度)チェック表」を作成したので、その内容を
報告しました。本年度は「施設被害状況(健全度)図」「施設被害状況(健全度)
チェック表」を災害対策訓練に用い、実際の現場でどのように使用・報告するか、
操作性や使用方法を検証し、必要な情報の反映を行いましたのでその内容を報
告します。
わが国では地震対策の強化が進められ,ハード対策とともにソフト対策の強化が
求められている。本研究では下水道BCP等の活用により,大規模災害時において
被害を受けた下水道の機能を,早期回復させるための情報システムのあり方につ
いて整理することを目的に調査研究した。結果として、下水道BCPや被災自治体
等へのヒアリング等に基づき要求機能を整理し,大規模災害に対して早期機能回
復に有効なシステム機能とその構築方法をするとともに、災害時に被害を受けた下
水道機能を早期に回復するだけでなく、通常時のアセットマネジメント管理にも活
用可能な情報システムのあり方を研究した。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第5会場(609会議室) N-12 理化学試験と微生物試験 15:10~16:15 1
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4
大腸菌試験方法の検討
横浜市
国立研究
処理水中のノロウイルス定量値
開発法人
に及ぼすリアルタイムRT-PCR
土木研究
法の影響因子
所
活性汚泥による様々な基質か 大阪大学
らの細胞内貯蔵物質蓄積特性 大学院
微生物付着担体中の有機性
一時貯蔵物質PHAの測定
東京大学
大学院
小川雅道
諏訪守
横江和典
黒木雄介
現在、大腸菌群数の環境基準が大腸菌数に変更されることが検討されており、
2012年より国土交通省が放流水質基準等を設定するため全国で調査を行ってい
る。この調査で本市は、特定酵素基質培地法のコリラートQTトレイ法を用い処理
水・放流水の大腸菌数、大腸菌群数を簡単に測定することができた(2013)。また、
本市は特定酵素基質培地法のクロモアガーを試し良好な結果を得ている
(2007)。今回は、これらの培地の他、XM-G培地を用い処理水・放流水を測定し
た。また、疎水性格子付きメンブレンフィルター法(HGMF)を用い放流水の試験も
行った。これらの結果について報告する。
分子生物学的手法の発展に伴い、培養法により検出できなかった微生物などの存
在の評価が可能となり、リアルタイムRT-PCR法によりノロウイルスの定量が行われ
ている。定量にあたり極微量のRNAと逆転写したcDNAを扱うことから、ウイルス低
濃度試料に対しても安定かつ高感度な検出結果を得る必要がある。特に下水の
高度処理水や清浄な河川水である場合には低濃度となるため、定量値のバラツキ
が大きくなる可能性があり定量精度に及ぼす影響が懸念される。本報告では、下
水や河川水試料を対象としたノロウイルスの定量において、逆転写やPCR条件な
どが定量値へ及ぼす影響を明らかにし検出感度向上のための改善方策を考察し
た。
下水処理場は分散型バイオマスである下水の集約場所であり、理想的な資源回
収拠点となる可能性を秘めている。その構想の一つとして、下排水中の有機炭素
を汚泥に供給し、プラスチックの1種であるポリヒドロキシアルカン酸や生体適合性
を有するグリコーゲンなどの細胞内貯蔵物質に変換することが提案できる。酢酸や
グルコースが細胞内貯蔵物質に変換されることは知られているが、他の炭素源を
基質に用いた研究例は少なく、本構想を実現するうえでは、基質が細胞内貯蔵物
質の蓄積に及ぼす影響を明らかにしておくことが望まれる。本研究では、活性汚
泥より細胞内貯蔵物質を蓄積する混合微生物系を作成し、様々な基質を用いてそ
の蓄積能を評価した。
ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は微生物による代表的な有機性一時貯蔵物質とし
て知られている。微生物中のPHAをモニタリングすることは、処理プロセス中の有
機物挙動を把握することにつながり、微生物相の制御や処理効率の向上に寄与
すると期待される。しかし、これまで活性汚泥法においては微生物中のPHAを測定
した研究が多く報告されている一方で、回転円板法などのように担体上に生長し
た付着微生物を利用した下水処理法において、微生物付着担体中のPHAを測定
した研究はない。そこで、微生物付着担体としてスポンジを用い、従来のPHA測定
手法を基にして、付着微生物中のPHAを担体ごと処理・測定する方法を検討した。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第6会場(610会議室) S-2 国際協力・海外展開 15:10~17:05 1
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タイ王国地方都市における下
水道処理技術支援事業-埼
玉の技術を世界に-
(公財)埼
玉県下水
道公社
東京都下
日本初の官民連携による海外
水道サービ
下水道プロジェクト
ス(株)
日本下水道事業団における海 日本下水
外向け技術確認
道事業団
中国湖南省において実施した
下水道に関する環境教育の概 滋賀県
要について
国立研究
日中水環境パートナーシップ
開発法人
事業による分散型生活排水処
国立環境
理技術協力の考察及び課題
研究所
日本下水道事業団の海外技
術者向け研修
日本下水
道事業団
国際戦略拠点を備えた管理棟 日本下水
の整備
道事業団
若狭公一
林田成子
辻幸志
北井剛
水落元之
今島祥治
大藪裕美
埼玉県下水道公社は、埼玉県下水道局が行うJICAの「草の根技術協力事業」(平
成24年度から平成26年度)を活用したタイ王国下水道公社(WMA)に対する下水
道処理技術支援に協力した。タイでは急速な経済発展と都市化により水質汚濁が
問題化し、90年代から下水処理場が建設、供用されたが、その運用に関する技術
が伴っていなかった。そこで、県と公社が長年培ってきたノウハウを生かし、マネジ
メントと併せた技術支援を行うことで下水道処理技術の健全化を目指した。WMA
からの研修生受け入れや、タイへの技術者の派遣を行い、WMAが管理する全国
の処理場に技術力の水平展開を図った。
TGSは、東京都下水道局と一体となり、東京下水道として、下水道施設に問題を抱
えている国や地域の課題解決に寄与すること、下水道関連企業の海外展開の後
押しによる産業力の強化に貢献することを目的に、国際展開を行っている。その活
動は、海外インフラ整備に係るもの、東京発の技術を海外で展開するもの、人的
ネットワークの構築に係るものに分類される。海外インフラ整備の事例として、2014
年10月に、全国初の官民連携による、下水道システム全般に渡る海外大規模案
件である「ランガット下水道プロジェクト」がマレーシア政府とMMC-住友商事コン
ソーシアムの間で契約合意された。本プロジェクトの概要と経緯等について発表す
る。
日本下水道事業団では、下水道分野の国際展開を支援しており、国が進める海
外水ビジネス戦略の一環として、海外向け技術確認の制度を創設した。この制度
は、公的な第三者機関であるJSが、民間企業が開発した技術の処理性能や維持
管理性などの妥当性を確認するものである。海外向け技術確認の第一号として、メ
タウォーター株式会社が発展途上国向けに開発を進めている「先進的省エネ型下
水処理システム」の技術を対象に技術確認を行った。ベトナム国ダナン市内の下
水処理場に設置された300m3/日規模の実証試験装置を用いた実証試験結果に
基づく処理性能や、標準活性汚泥法と比較した敷地面積・維持管理性などの妥当
性を確認した。
中国湖南省では、下水処理場技術者の経験不足や、市民の環境意識の未熟さも
あり、十分に処理場の性能を活かせていない。そのため、姉妹県である滋賀県の
協力により、処理場運営能力の向上と市民の環境意識の向上を目指し、また、県
においても人材育成と水ビジネス展開に繋げることを目的として、JICA草の根技術
協力事業を実施中である。環境意識向上の取り組みとして、現地モデル校の小中
学校教員と処理場技術者との協力により、中国では例の少ない生活汚水処理に
関する授業(簡易な水質実験や処理場パンフレットを利用した施設見学)について
日本の手法を参考にして実施されたので、その取り組みを紹介する。
環境省では2008年度から2014年度にかけて日中水環境パートナーシップ事業の
一環として中国農村地域での分散型生活排水処理技術協力を実施してきた。本
協力では中国全土の9地域に11カ所の処理施設をモデル的に設置し、その適用
性や稼働状況を検討してきた。本発表では7年間に及ぶ協力事業について、中国
国内の関連する状況変化を含めて総括を行うと共に、事業を通して得られた技術
協力に関する知見を基に我が国から当該技術分野での技術発信を行う上で今後
の課題を整理しる。さらに、今後の水環境分野における日中協力の展望を述べ
る。
日本下水道事業団は平成24年3月に立てた「第4次中期経営計画」に従って業務
を実施しているところである。その一つの柱として国際展開支援を位置づけてい
る。その中でも、海外技術者向けの研修は大きなウエイトを占めている。日本下水
道事業団の研修の特徴として、自ら所有する研修センターを活用し、水質実習を
始めとする実践的かつ実習的な研修を実施していることが挙げられる。また、現地
(海外)に職員を派遣し、現地実地研修も行っている。今回の論文では、日本下水
道事業団が支援している海外技術者向け研修について紹介する。
平成24年4月、国土交通省は「水・環境ソリューションハブ(WESHub)」を発足さ
せ、北九州市は、日本の水・環境インフラの技術と政策を海外に積極的に提供す
る役割をもつ、ハブ都市に登録された。そのような中で、本市においては、日明地
区の国際戦略拠点としての整備を進めている。本地区にある日明浄化センターで
は、老朽化した管理棟の建替えに併せ、下水道の情報発信に積極的に活用でき
る管理棟の建設が行われた。本稿では、下水道の広報施設、新技術・製品の展
示、国際研修やセミナー開催等の機能を設けた管理棟の設計事例として、日明浄
化センター管理棟について述べる。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第7会場(102会議室) N-6-3 ポンプ場・処理場施設(建設)(3) 15:10~16:15 1
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横軸水中ポンプのチャタリング
(株)石垣
低減手法の開発と実証実験
散気装置の圧力損失特性が (公財)愛
及ぼす曝気システムへの影響 知水と緑の
の検証
公社
汚泥処理施設における安定的
な電源確保について
東京都
~ガスエンジン発電機の導入
~
沈砂の撒き上げを抑えたエ
ジェクタ式集砂装置の開発(そ 川崎市
の2)
山科健一
中岡優亮
片岡紘亮
中村典昭
近年はヒートアイランド現象の影響で、狭い地域で豪雨が繰り返されるようになっ
た。このような降雨による浸水被害防止のための排水機場の中で、特に水中ポン
プを用いた排水機場は、補機を必要とせず、操作が簡単で始動が早いという特長
がある。しかし運転水位によって水中モーターがチャタリングを起こすと、モーター
温度上昇による故障の不安があった。今回横軸水中ポンプにおいて水中モー
ターのチャタリング低減の手法を開発し、その実用性を実証実験により評価したの
でに報告する。
水処理施設の増設・更新や、新たな散気装置の開発により、水処理施設の曝気シ
ステムは多様化している。水処理施設を安定かつ効率的に運営していくために
は、多様化した曝気システムの特徴を把握することが第一歩になる。近年多く採用
が進んでいるメンブレンパネル式散気装置の圧力損失を平成23年度から4年間継
続的にモニタリングし、圧損特性や稼働状況に対する考察を行った。また、この考
察結果やその他の散気装置の圧損特性を踏まえ、曝気システムの増設・更新設計
時に配慮すべき事項を、現場における風量バランス制御管理の視点で整理した。
東日本大震災の発生後、計画停電の実施や電力使用制限令が発動され、電力需
要に対し供給不足に陥った。汚泥処理施設においては貯留設備の活用や水再生
センター間の送泥調整等を行い、処理量を低下させることで対応した。このような
停電や電力不足に対応する汚泥処理施設の自己電源の増強として、南部汚泥処
理プラントに都市ガスによるガスエンジン発電設備(7,800kW)を新設した。発電し
た電力は停電時に使用するほか、電力需給逼迫時における電源確保も実現す
る。ここでは、ガスエンジン発電設備の概要、機器構成及び他の発電機関との比
較検討等について報告する。
川崎市の汚水沈砂池では、集砂ノズルから水を噴射して沈砂を集め、ポンプで揚
げる揚砂ポンプ方式の除砂設備の導入を進めているが、集砂時に発生する沈砂
の撒き上げや集砂ノズルの閉塞によって発生する沈砂の堆積などが確認されてお
り、これらの課題への対応が求められている。
第51回下水道研究発表会では、沈砂の撒き上げを抑えた新たな集砂技術である
エジェクタ式集砂装置について、ポンプ場汚水沈砂池における実証実験により、
既設高圧式集砂装置と除砂量等を比較した結果を発表した。
本発表は、実験方法を見直し、改めて既設高圧式集砂装置との比較を定量的に
実施した結果と、エジェクタ式集砂装置の能力等を検証した結果を発表する。
平成27年7月29日(水)
発表
発表題名
番号
平成27年7月10日現在
所 属
氏 名
論文要旨
第1会場(605会議室) S-5 集中豪雨対策 9:30~11:25 1
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超過降雨を考慮した雨水計画
(株)日水コ
策定事例(100mm安心プラン
ン
等)
X-Rainによる豪雨データを用
早稲田大
いた都心部のリアルタイム浸水
学大学院
予報に向けた試み
石神井川流域を対象とした集
中豪雨時の浸水危険度に関
する数値予測
早稲田大
学大学院
時間75ミリの降雨に対応した
下水道幹線の設計手法につい 東京都
て
近年および将来の降水パター
ン分析と住民説明手法の一考 大東市
察
3次元浸水ハザードマップ作成
郡山市
事例
排水設備の汚水噴き上げ現象
名古屋市
に関する調査(その2)
稲井義明
関根貴広
神山宙大
渡邊裕介
山本晃
住谷賢
藤井俊明
下水道の雨水対策(内水対策)は、計画降雨等、所定の条件下における安全度を
確保すべく、その降雨に対して浸水が発生しない施設の整備を進めてきた。その
結果、整備した施設は、計画降雨等の所定の条件下では十分な効果を発揮する
が、超過降雨(集中豪雨)発生時等においては脆弱となっている場合がある。
近年、下水道施設の整備水準を越える超過降雨(集中豪雨)が頻発しており、超
過降雨時においても一定の効果を早期に発現し、且つ実現可能な雨水計画の策
定が求められている。本論文では、通常手法の組合せを工夫し、超過降雨に対し
て一定の効果を早期に発現させた粘り強い雨水計画の策定事例(100mm安心プ
ラン等)を紹介する。
東京都心部には下水道と都市河川が一体となって雨水を排除するシステムができ
上がっている.しかし,今後発生が懸念される高強度の集中豪雨に対して,これが
どこまで有効に機能するのかは定かでない.このため,これまでに行ってきた浸水
危険度の事前評価に加えて,リアルタイム浸水予報技術の開発・確立が必要であ
る.本研究では,この予報の実現に向けた試みとして, XバンドMPレーダによる実
降雨データを入力値とした東京都心部の浸水事象の再現計算を行った.本論文
では,実際の被害情報との比較・検討をした上で,雨水が区域内の下水道に集中
してくるプロセスやその特性,区域内の浸水プロセスなどについて詳しく論じる.
石神井川流域は東京都23区の北西部に位置し,これまでにもたびたび浸水被害
に見舞われてきた.本研究では,このエリアを検討の対象として,集中豪雨時に下
水道と都市河川とからなる「雨水排除システム」がどのように機能するかを明らかに
する.この検討には独自に開発した精緻な数値予測手法が用いられており,予測
計算の結果を踏まえて,地上で発生が懸念される浸水の危険度についての可能
な限り精密な知見を提示することを目指した.また,隣接する神田川流域で行われ
た検討の結果との比較・検討を通じて,対象区域が固有に抱える「雨水排除システ
ムならびに都市浸水」に関わる特性ならびに課題についても論じる.
平成25年の集中豪雨により都内で浸水被害が多く生じたことから、東京都下水道
局では「豪雨対策下水道緊急プラン」を策定し、これまでの時間50ミリ降雨整備に
加えて時間75ミリ降雨整備を進めることとした。本論文では、75ミリ対策地区の1つ
として都で地下街以外で初めて位置づけた蛇崩川幹線流域での新たな施設の設
計手法について報告する。対策施設の設計にあたっては、合理式で評価を行うと
ともに、時間75ミリ降雨の流出解析シミュレーションを実施した。その結果に基づ
き、既設下水道幹線のバイパス管となる新たな増強幹線の整備案を提案した。
温室効果ガスの増大に伴って、気温上昇だけではなく、降水パターンの変動が顕
著になり、ゲリラ豪雨が近年多発している。各地方自治体では、それぞれ整備基準
である計画降雨量を定め、雨水整備を進めているが、ゲリラ豪雨に対応できず、内
水氾濫が発生し浸水被害を受けている。本研究では、気象庁が公表している降水
量および地球温暖化予測情報に基づいて、2095年までの降水量シナリオを作成
する。将来における計画降雨量を算出し、現在からさらにハード整備を行う場合、
どの程度の整備が必要となるか検討を行い、浸水被害を受けた住民への説明手
法について考察する。
都市部における内水被害のリスクが増大していることから、被害を緊急かつ効果的
に軽減し、住民の自助を導くための取り組みとして内水ハザードマップの作成及び
公表が全国で進められている。内水ハザードマップでは最大浸水深を用いて想定
氾濫区域が示されるため、時系列的に発生する浸水の状況が捉えにくいことに課
題があった。このことから、浸水被害に対する住民理解の深化と避難行動の迅速
化を目的に、最新の写真測量技術であるオブリークカメラを用いて作成した3D都
市モデルの上に、時系列の浸水想定区域図やその他避難行動に必要なコンテン
ツを重ね合わせて表示する3次元浸水ハザードマップの作成を行った。
近年、集中豪雨の際にトイレや流しから水が噴き出す、ゴボゴボという異音がする
等の問い合わせが急増しており、その多くが比較的新しい建物で発生している。こ
れは、集中豪雨の増加及び排水設備の通気確保が十分でないことが背景にある
と考えられるが、近年の密閉性の高い塩ビ製排水設備の普及等が本現象を招い
ている大きな要因と推測される。本市では、その原因及び対策について平成22年
度から継続的に調査し、第49回下水道研究発表会で報告を行った。本調査では、
前回の報告からさらに実際的な状態に近づけて実験を行った。とりわけ、下水本管
の水位変動に伴う噴き上げ現象の対策については新たな知見が得られたので、
今回報告を行う。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第1会場(605会議室) N-2-1 雨水対策(1) 12:45~14:25 1
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名古屋市が取組む浸水対策
についての一考察
超過降雨を対象とした浸水対
策計画の策定について
名古屋市
(株)日水コ
ン
末端管渠を集約化した小排水 東京大学
区の非線形貯留池モデル係数 大学院
の設定手法の提案
(一社)全
異なる降雨条件での浸水解析 国上下水
モデルにおける小排水区集約 道コンサル
化手法の適用性評価
タント協会
篠原敎文
吉井啓貴
李星愛
矢嶋邦憲
(一社)全
5
6
浸水解析モデルにおける小排 国上下水
水区の溢水発生を考慮した集
道コンサル
約化手法の検討
タント協会
下水研モデルを用いた合流式 (株)建設
下水道緊急改善事業の事後 技術研究
評価について
所
山田龍男
名古屋市南区柴田地区については、緊急雨水整備事業の前期事業として、雨水
調整池の整備などを実施した。この地域は、東海豪雨などにより著しい浸水被害
が発生したことから、平成13年度より整備を進めてきたが、平成23年度に事業が完
了したことから、その事業効果について、平成24年8月の名古屋市南区豪雨にお
ける施設の稼働状況や浸水実績状況等から浸水シミュレーションモデルを活用
し、その効果を分析した。
対象地区は雨水整備済であるが、計画を超える豪雨(超過降雨)が襲来した際に
局地的な浸水が発生している。浸水対策として雨水調整池の整備が考えられた
が、超過降雨に対して浸水を解消するには多大な費用が必要な上、放流先河川と
の浸水安全度のバランスが確保できないという問題点があった。そこで、ある程度
の浸水発生を受忍し、適切な浸水被害軽減目標を設定することを課題解決の方
針とした。具体的には放流先河川との浸水安全度のバランスがとれる雨水調整池
の規模をシミュレーションにより設定し、既往最大降雨に対して床上浸水の回避が
可能と想定されることを確認した。さらに自助対策等を組合せ、効率的に浸水被害
を軽減する計画とした。
豪雨時に発生する都市河川流域での浸水状況の予測には、下水道管渠ネット
ワークを考慮したモデル解析が求められる。しかし、複雑で膨大な下水道管渠に
対して計算時間を要する解析では、リアルタイム予測は不可能である。そこで、計
算の高速化を目指して、主要幹線に接続する小排水区を集約化するランピング手
法を検討した。細い末端管渠を考慮した詳細モデルとランピングモデルの解析結
果を比較し、詳細モデルの流出量を再現するために、集約化された小排水区に
おける地表面流出現象として非線形貯留池モデルを適用した。非線形貯留池モ
デルで求められる集水域幅は小排水区の属性パラメータから統計的に推定できる
回帰式を作成し、検証した。
河川流域単位を対象としたシミュレーションでは、広大な流域を一体的に解
析する必要があるが、モデル化の対象となる管渠情報が膨大になり解析時間
が非常に長くなるという問題がある。解析時間の短縮にはモデルの集約化が
有効であるが、排水区の集約化を行った場合、集約化を行わない枝線管渠ま
で対象とした詳細モデルと解析結果が乖離することが懸念される。本検討
は、代表的な雨水流出解析モデルのひとつを用いて、降雨強度が異なる複数
の降雨を対象に、集約化されたモデルと集約化を行わないモデルとの解析結
果の比較を行い、降雨規模による適用性を検証したものである。
河川流域単位を対象としたリアルタイム浸水予測を行うには、下水道管渠ネット
ワークを考慮したモデル解析が求められる。しかし、下水道施設の膨大な管渠情
報を全てモデル化する詳細モデルでは、解析に時間を要するため、そのまま使用
することができない。そこで、解析時間を短縮するために管渠を小排水区単位で
集約化するランピング手法の適用が有効であるが、管渠能力を上回る規模の降雨
の場合、小排水区内において溢水が発生することで詳細モデルの解析結果と乖
離する場合がある。本検討は、溢水が発生する小排水区の集約化手法として流量
制限モデルを導入し、その効果について雨水流出解析モデルを用いて検証を
行ったものである。
茨城県ひたちなか市における合流式下水道緊急改善事業では、対策方法として
遮集量の増強および雨水沈殿池の設置を採用している。
これらの対策による改善効果の事後評価を行い、対策施設の機能が発揮され、改
善目標である未処理放流回数の半減および汚濁負荷の削減(分流式下水道並み
角田真奈美 以下)を満足していることを確認した。事後評価にあたっては、流量・水質のモニタ
リングを実施し、その結果を基に簡易な分布型流出解析モデルである下水研モデ
ル(JAMSOOP)を用いた流出解析を行った。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第1会場(605会議室) N-2-2 雨水対策(2) 14:40~16:20 1
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濁度計を用いた合流改善施設
岡山市
の運転方法の改善とその評価
水理模型を用いた合流改善対
策用貯留管の水理現象および 東京都
圧縮空気塊に関する検証
「不明水対策としての流量調整 オリジナル
施設基本計画」
設計(株)
松江工業
新しい分水施設の遮集特性に
高等専門
関する検証実験
学校
(株)和建
確実な下水量制御での合流式
設計事務
下水道の改善提案
所
目黒川における合流式下水道
東京都
改善の取り組み
大月孝将
遠藤光
池内隆司
荒尾慎司
小田收平
中道元紀
岡山市では、平成17年度から平成25年度を計画期間とする合流式下水道緊急
改善計画に基づく施設整備を終え、平成26年度から雨水滞水池、簡易処理及び
高度処理等を組み合わせた施設の本格運用を開始した。これまで、下水道法施
行令に定める放流水質基準(BOD40mg/L)を達成しており、現在、処理コスト
の縮減も考慮し、施設をより効率的に運転することをめざしているところである。本
論文では、施設の運転状況を報告するとともに、施設に流入する合流下水の濁度
をリアルタイムでモニタリングしたデータを用いた、施設の運転に係る効率化の可
能性について検討した結果を報告する。
閉鎖性水域である勝島運河は、品川区大井七丁目付近から発生する汚水の一部
が雨天時に放流されることにより、水質汚濁が問題となっている。このため、合流式
下水道の改善策として、越流雨水(3Q超雨水)のうち流域内の降雨6 mm分(汚濁
負荷の高い初期越流雨水)を一時的に貯留する合流改善施設(φ2200の貯留
管)を施工中である。本施設の問題点として圧縮空気塊の噴出等が想定される
が、空気抜きや取水構造が及ぼす複雑な水理挙動は、机上の検討では十分に把
握できない。このため、水理模型実験による検証を行った。本稿では、実験により
明らかになった課題と、対策の検証結果を報告する。
大阪府下の吹田市における単独公共下水道である正雀処理区では、昭和38年8
月に下水処理場を供用開始しており、管渠及び処理場ともに約50年が経過して
いる。これら施設の老朽化と共に、雨天時において汚水量の増加が確認され、汚
水処理に支障をきたす状況にあった。この状況を踏まえて本計画は、この雨天時
浸入水の一定量を削減可能な流量調整施設について基本計画の策定を行ったも
のである。施設計画内容は貯留管についての一事例である。なお、本計画は平成
22年度時点の計画内容であり、現在は流域関連公共下水道となっている。
著者らは、既往の研究において雨水吐室への流入量が増大しても遮集量をほぼ
一定にできる新しい分水施設を開発しており、その有用性を数値計算と模型実験
により実証している。本研究では、従来の模型よりも約2.5倍大きい1/13のスケール
の模型を作成し、流量の測定精度を向上させることにより、新しい分水施設の有用
性を再確認した結果、本実験の範囲内では遮集誤差(=(超過遮集量/計画遮集
量)×100%)を2%以下にし得ることを明らかにした。
本研究では、間接的な遮集下水量制御で高い分水性能を発揮する新技術開発を
受け、従来の下水道事業の雨水滞水池理論と治水事業の時系列的な洪水防御
理論を統合した新規の下水道システムに取込み、社会構造の変化や持続発展が
可能な社会構築への貢献を目指した合流式下水道改善を図った。研究成果は、
従来の合流式下水道システムの有効活用を図り、新技術の下水量制御施設で豪
雨対策、時系列的な遮集下水量管理システムで合流式下水道改善事業の当面
目標と長期目標達成を大きく前進させた。研究開発は、まだ水工学の理論段階で
あり、今後は官学産共同研究で現場検証を通した下水道設備やシステムの改善
調整、機械電気部門との機能調整が望まれる。
東京都目黒区、品川区を流れる目黒川は、上流が旧河川に蓋かけをした下水道
幹線であり、降雨初期の汚れた下水の放流が課題となっている。これまで合流式
下水道の改善として、雨水貯留機能を兼ねた遮集幹線を整備したが、河川整備が
進んでいないため浸水対策の貯留管として暫定利用している。今回、河川管理者
と連携し、河川整備の進捗に合わせ目黒川への放流量を拡大する方針となった。
これにより、浸水対策効果を損なうことなく、遮集幹線を本来利用し、合流式下水
道の改善と浸水対策を両立させることができる。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第2会場(606会議室) N-10-3 汚泥処理技術(3) 9:30~11:25 1
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住友重機
新しいベルトプレス脱水機によ 械エンバイ
る消化汚泥の低含水率化
ロメント
(株)
二重円筒加圧脱水機を用いた
月島機械
濃縮・脱水一体システムの適
(株)
用可能性
後注入二液型ベルト式脱水法 メタウォー
の実証試験(その2)
ター(株)
高効率型圧入式スクリュープレ
ス脱水機における大規模汚泥
(株)石垣
処理施設(消化汚泥)への適
用
同一処理場でのハイブリット型
と高効率型スクリュープレス脱 (株)石垣
水機の稼動事例
低動力型高効率遠心脱水機
の自動制御について
下水道バイオマスからの電力
創造システムにおける低含水
率化技術について
巴工業
(株)
(株)西原
環境
柄澤俊康
得地勇亮
丹雅史
本機は下水処理場で発生する汚泥を連続脱水するための脱水機です。30年以上
の実績があり現在でも最も多く運用されているベルトプレス脱水機の運転管理の
容易さを引き継ぎ、さらに性能向上とライフサイクルコスト削減を実現した新しいベ
ルトプレス脱水機です。装置の特徴は長い重力濃縮部と多くのローラーによる脱
水を密閉構造で実現したことです。長い重力濃縮部による高濃縮化により、脱水
機の処理量増加と含水率低減を両立し、低圧から高圧脱水部に14本の加圧ロー
ラーを使用することで汚泥中の水分を限界まで絞ることが可能になりました。実証
実験の結果、処理量(ろ過速度)125kgDS/m・h含水率78.4%を達成しました。
二重円筒加圧脱水機の前段に濃縮機能を付加し、濃縮後に無機凝集剤を添加
することで従来よりも脱水汚泥含水率を低減できることが既往研究により確認され
ている。今回、濃縮機能を付与した二重円筒加圧脱水機を用いた「濃縮・脱水一
体システム」を考案した。本システムは、既存重力濃縮設備で生汚泥濃縮を行い、
余剰汚泥を重力濃縮または未濃縮として、低濃度汚泥を脱水するものである。某
下水処理場にてパイロットプラントによる検証テストを実施し、同システムの適用可
能性について検討した。その結果、未濃縮余剰汚泥を含む汚泥でも既存同等に
脱水可能であり、維持管理費と温室効果ガス排出量の削減に貢献できるということ
が分かった。
処理場では、脱水ケーキ量や薬品使用量の削減等によるコスト削減が求められて
いる。このことから脱水技術には省エネ、省コストで、より効率的に脱水ケーキを低
含水率化する技術が求められている。我々は、性状変動に強く、操作性・維持管
理性が良好なベルト式脱水法を用いた低含水化技術を考案し、消化汚泥と混合
生汚泥を対象としてテスト機による実証実験を実施している。これより脱水ケーキ
含水率を1液法のベルト式脱水機と比べて大幅に低下する結果が得られたのでこ
こに報告する。
高効率型圧入式スクリュープレス脱水機について、大規模消化汚泥を対象とした
適用策の実施状況と、その日常運転状況について調査し、処理状況の推移、省
エネルギー性、維持管理特性について調査した。
犬塚充志
東泰史
松本光司
西川豊康
新型スクリュープレス脱水機「ハイブリッド型圧入式スクリュープレス」は、効率良く
安定した脱水ができることで、実設備の稼動台数も順調に増えており好評を得て
いる。また、従来型の「高効率型圧入式スクリュープレス」も数多くの実設備の稼動
台数がある。これらハイブリット型と高効率型の脱水機を導入した設備が現在稼動
を行っており、効率よく処理が行われている。本発表では同設備の運転事例の紹
介と運転状況を報告する。
近年、地球温暖化防止に対する要求が高まるなか、汚泥脱水機にはより低消費電
力のものが求められている。低動力型高効率遠心脱水機は従来機に比べて低薬
注率、低消費電力で大幅なGHG削減を達成した遠心脱水機である。低動力型高
効率遠心脱水機は差速を変化させることでケーキ含水率を容易に調整することが
できる。今回、その差速の自動制御方法について調査したので報告する。
国土交通省のB-DASHプロジェクトにて、和歌山市、日本下水道事業団、京都大
学、西原環境、タクマ共同研究体は、低コストで省エネ・創エネを図れる「下水道バ
イオマスからの電力創造システムに関する技術実証研究」を平成25、26年度事業
として実施している。本発表ではシステムを構成する3つの技術である脱水汚泥低
含水率化技術、エネルギー回収技術、エネルギー変換技術のうち、機内二液調
質型遠心脱水機による脱水汚泥低含水率化技術について平成26年度の実証運
転から得られたデータ得られた知見を報告する。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第2会場(606会議室) N-10-6 汚泥処理技術(6) 12:45~14:05 1
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(公財)日
混合バイオマスメタン発酵技術
本下水道
(いしかわモデル)事業計画策
新技術機
定の手引きについて
構
(公財)日
下水処理場への複合バイオマ
本下水道
ス受入れに関する実態調査及
新技術機
び導入効果の検証
構
下水汚泥と刈草の混合嫌気性 長岡技術
消化システムの実証実験
科学大学
下水汚泥と未利用バイオマス
長岡技術
の一括バイオガス化技術の開
科学大学
発
食品廃棄物と脱水汚泥の混合 東北大学
メタン発酵の効率化
大学院
大規模処理場ではメタン発酵施設の導入が進んでいるが、小規模処理場では、
脱水による汚泥の減量後、外部へ委託処理・処分を行っている事例が多く、メタン
の有効利用が実施されているとは言い難い。また、自治体内に類似処理施設が複
数存在し、非効率な処理となっているケースが多く見られる。手引きの目的として、
芹沢佐和子 地域内の未利用・廃棄物系バイオマスを利用した混合バイオマスメタン発酵技術
を導入しようとする自治体に対し、事業実施に必要な法手続きや、下水道法に基
づく事業計画の策定に必要な項目、考え方を示すことで、同事業の事業計画策定
を支援し、以て各自治体の下水道経営の安定化を図るものである。
赤阪勇哉
笹渕晃洋
竹田悠人
外内和輝
下水処理場に求められる役割は多岐に渡ってきており、省エネ・温室効果ガスの
削減はもとより、これからはエネルギー創出プラントとしての役割が求められるよう
になってきている。このような中、近年では複合バイオマスの受け入れによる有効
活用が好例である。本研究では、複合バイオマスを受入れている下水処理場に対
して施設の稼働状況を調査し、家庭系生ごみを効率的に集約(約150g/人・日)し
た場合の消化ガス発生量の増大効果等を明らかにしている。また、ケーススタディ
で消化槽の新設に合わせて複合バイオマスを受け入れた場合の費用及び温室効
果ガス排出量を試算し、経済性や環境性の面で効率的なシステムであることを示
している。
下水処理場の汚泥消化槽を利用し,バイオマスからのエネルギー増産を図る混合
嫌気性消化が注目されている。本研究では,河川敷の景観保護などの理由により
夏季に大量に排出される刈草に着目し,下水処理場に 500Lの消化槽を設置し
てパイロットスケール実験を行った。下水汚泥と刈草のTS 混合比を1:0.85,1:1.1
の条件で消化槽の運転を行い,刈草の投与負荷の影響を検討した。その結果,
TS 混合比1:0.85 では終始良好な運転ができ,下水汚泥のみを投与した汚泥単
独系よりもガス発生量が50%以上増大した。一方,TS 混合比1:1.1 では,pH 調
整や馴致を設けての運転を行わなければ安定した運転は難しいと考えられた。
現在、生物由来の有機資源である未利用バイオマスの利活用が注目されている。
また、下水道分野においても嫌気性消化によるエネルギー回収の効率化が求めら
れている。本研究では、消化槽を有する全国の下水処理場に適用可能な技術とし
て下水汚泥と未利用バイオマス(刈草、およびBDF製造時の副生成物である廃グ
リセリン)との混合消化のパイロットスケール実証実験を行った。その結果、下水汚
泥のみを投与した汚泥単独系と比較して刈草系(湿潤重量で5%投入)は約45%の
バイオガス量増産と同程度の固形分分解率を、廃グリセリン系は微量(0.1~
0.2%)投入により約10%のバイオガス増産と廃グリセリンのほぼ全量分解を確認し
た。
本研究は、組成の変動が大きい食品卸売業及び食品小売業から発生する混合食
品廃棄物と脱水汚泥のメタン発酵による減量化とエネルギー回収について評価し
たものである。投入基質として、食品関連業者から発生する食品廃棄物15種類を
混合した後、TS濃度を10%程度に調整し、水理学的滞留時間30日の条件でメタ
ン発酵の室内連続実験を行った。有機物の分解状況やバイオガス生成ポテンシャ
ル、エネルギー収支などの検討を行った。また、効率的に減量化及びエネルギー
回収を行うために、単槽メタン発酵と二相循環式メタン発酵について比較検討を
行った。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第2会場(606会議室) N-10-1 汚泥処理技術(1) 14:20~15:25 1
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汚泥濃縮設備の運転実態調
査と濃縮効果に関する考察
(公財)日
本下水道
新技術機
構
ベルト式ろ過濃縮機導入にお
横浜市
ける初期運転報告
汚泥処理プロセス変更に伴う
運転の有効性について
東京都下
水道サービ
ス(株)
汚泥濃縮機前への汚泥し渣破 兵神装備
砕機導入による効果検証結果 (株)
伊藤禎泰
伊藤義彰
上坂久夫
西村太作
アンケートにより濃縮設備の構成機器仕様と維持管理データを収集した。機械濃
縮は,本体の消費エネルギーが比較的小さい機種(常圧浮上,ベルト,スクリュー)
の設備について,構成機器仕様と運転時間から消費エネルギーを分析すると,濃
縮機本体よりも補機で消費するエネルギーが多く,補機を含む濃縮システム全体
での省エネ対策を講じる必要があることが判明した。また重力濃縮は,水温や汚泥
性状データを分析すると,月変動が大きいことに加え,分流化の推進による有機分
の上昇や水温の上昇によって汚泥の重力沈降濃縮性が以前よりも悪化しており,
汚泥界面やpH等の指標を監視しながら運転管理することが重要であることが再確
認された。
下水処理で発生する汚泥を処理する過程で最初に行う濃縮工程は、後続プロセ
ス(消化・脱水)の確実な性能発揮と安定運転を実現するために、重要な位置づけ
を持っている。横浜市においては、従来、機械濃縮機として遠心濃縮機を採用し
てきたが、高速回転機器のため、消費電力が大きく、消耗も激しい。そのため、機
器の低動力化や修繕費の削減が求められている。今回、遠心濃縮機と比べ低動
力化、ランニングコストの縮減を図るため横浜市として始めてベルト式ろ過濃縮機
を導入し、1年が経過したので初期トラブルの対処、改良を含めて運転状況を報告
する。
東京都下水道局葛西水再生センターでは、他の水再生センターからの送泥汚泥
(混合汚泥)を濃縮して、脱水機に投入する汚泥濃度を高め、脱水効率を上げる
ためにベルト濃縮機を導入した。導入に伴い、ベルト濃縮汚泥の移送経路も新設
された。この移送経路で運用を開始したところ、ベルト濃縮汚泥・重力濃縮汚泥・
余剰濃縮汚泥が均等に混合しない現象や、生汚泥と余剰汚泥の混合割合の把握
が困難となる等、問題が発生し、後段の処理プロセスに支障を来たした。本調査
は、これらの問題を解決するため、当初予定の汚泥処理プロセスを変更した運用
を行い運転の有効性を探った。
下水汚泥処理工程で流入するし渣(繊維状の夾雑物)は、様々な機械(攪拌機、
ポンプ等)に絡みついて、過負荷、閉塞、摩耗、処理効率低下等の問題現象を引
き起こす原因となる。飯能市浄化センターでは、これらの現象を回避するため、定
期的な洗浄作業と同時に濃縮後汚泥の濃度を下げて運用せざるを得なかった。そ
こで、汚泥濃縮機前に汚泥し渣破砕機を設置し、実証試験を行ったところ、①攪
拌機・ポンプへの絡みつきがなくなり、②前述洗浄作業がほとんど不要となり、③
汚泥濃度も高く運用することができ、④し渣処分量の減少して汚泥の減容化と円
滑な処理運営が可能となることが確認できた。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第2会場(606会議室) N-1-1 経営・計画(1) 15:40~17:20 1
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マンホールで魅せる伝える横
浜下水道
横浜市
下水道施設等を活用した広報
福岡市
活動
データを活用した未水洗家屋
京都市
解消に向けた取組について
家屋等の新築・改築に伴う取
付管・接続ますの改善業務に
ついて
神戸市
横浜市設備積算システムにお
横浜市
ける入力作業の改善について
技術継承・人材育成の取組み 東京都
佐藤洋哉
江﨑正
伊藤優一
竹内康
横浜市では、マンホール蓋は横浜の魅力を発信するめための重要な広報手段と
捉え、プロスポーツチームのマスコットをデザインしたマンホール蓋の設置やマン
ホールストラップ、コースターなどのグッズの開発を民間企業と協同で展開していま
す。また、あわせてマンホール蓋の歴代図面集を作成し適切な維持管理を行い、
着実な技術伝承が行えるような環境整備も積極的に行っております。色々な側面
を持ち合わせているマンホール蓋について本市では様々な取り組みを行っていま
す。
今日下水道の担う役割はますます重要かつ多様化しており,市民や民間事業者
の方々へ下水道事業の役割,大切さ,更には魅力や可能性を感じてもらう事は,
非常に重要である。しかし,一方で,下水道施設等の大半が地下構造物で物理的
に見えにくいものとなっていることから,下水道事業への理解が得られにくい現状
がある。このため,市民や民間業者の方々へ,より下水道事業について,理解を得
るために本市で実施している下水道施設等を活用した下水道事業の広報活動に
ついて報告する。
下水道法では,供用開始の告示後3年以内にくみ取便所を水洗化することが義務
付けられており,本市では下水道処理区域内の未水洗家屋の解消に向けて対象
家屋の状況を調査するとともに水洗化の勧奨を強化している。今回,限られた人
員・期間の中で未水洗家屋に対してより効率的に勧奨できるように,過去からの勧
奨状況,水道使用情報,くみ取利用者情報など様々なデータを活用し,集約・分
析することで詳細な実態把握を行った。本発表では,実態把握を行った手法及び
今後の取組について報告する。
神戸市の下水道事業は昭和26年に着手し、汚水管渠については高度成長期(昭
和45~50年頃)に集中して布設されたため老朽化した汚水管渠が急増しており、
将来の改築事業費を平準化するため平成23年度から計画的な改築更新事業を実
施している。しかし改築更新事業では、取付管・接続ますの改築が居住者の都合
により困難なケースが多く、改築の遅れによる不良箇所からの不明水の浸入や土
砂流出による道路陥没が懸念される。そのため神戸市では建築物の新築・改築に
合わせて、施主等が下水道法第16条の規定に基づき、老朽化した取付管・接続
ますを改築する場合に、支援費用として市が給付金を支払う制度を平成26年度に
新設した。
荒井美帆
公共工事の発注者は、設計積算業務の精度向上や更新工事の増加に伴う作業
量の増大に、しっかりと対応していく必要がある。これまでも横浜市では、機械電気
設備の積算システムを構築・運用し、積算ミスの防止及び積算業務の効率化に努
めてきた。今回、設計委託を受託した設計コンサルタントが本市積算システムへの
データ入力作業を行えるようにシステムを改良することで、積算業務の改善を図っ
た。
本発表では、今後の業務量の増加を見据えた新たな積算システムの開発に加え
て、運用を開始するにあたって得られた知見や、今後の積算業務の改善の方向性
について述べる。
金森史郎
団塊世代の退職による労働力の減少など職員構成が変化する中で、下水道施設
の再構築需要の増加、効率的な維持管理など課題に対応し、継続的かつ安定的
な下水道事業執行に資するため、下水道技術を着実に継承していかなければな
らない。そこで、管理・監督職と若手及びベテラン職員との意見交換により双方の
声を聞き、何を残して欲しいのか、残すべきノウハウを把握して、組織として危機感
を共有化するともに、OJTや局研修などに反映させていく。今回、若手に経験を積
ませるため、工事安全パトロールにおける新人とベテランとのペア、報告会での工
事や維持管理の事例発表など、実務を通じた人材育成、技術継承の取組みを報
告する。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第3会場(607会議室) N-9-1 水処理技術(1) 9:30~11:40 1
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擬似嫌気好気法の導入による
横浜市
処理状況の検証
循環式硝化脱窒法の運転変
更による窒素除去率の向上に 茨城県
係る調査結果
(公財)岐
嫌気・硝化内生脱窒法(AOAO
阜県浄水
法)の運転条件の検討
事業公社
浅槽式反応槽での窒素削減に
向けた新たな取り組みについ 東京都
て
イオンクロマトグラフを活用した
横浜市
水再生センターの処理調整
(公財)愛
年始の流入水質と窒素除去方
知水と緑の
法について
公社
(公財)埼
高濃度窒素対応のための低コ
玉県下水
ストな循環脱窒法
道公社
標準槽(浅槽)での好気タンク
東京都
内脱窒促進運転について
佐藤直之
飛田憲至
西澤貴樹
佐藤麻貴
福井宏人
鬼頭昌子
川崎豊
近松康樹
横浜市では、東京湾の富栄養化の原因となる窒素・りん処理の向上のため、高度
処理施設の導入を進めているが、導入までの間、より簡便な方法として既存の標
準活性汚泥法施設において擬似嫌気好気法(擬似AO法)による処理を実施して
いる。南部水再生センターでは、平成16年度より擬似AO法による処理を行ってき
た。今回、擬似AO法を導入して10年が経過したことから、導入前(平成6~15年
度)と導入後(平成16~25年度)の処理実績を比較し、水質管理状況及び処理水
質の検証を行った。その結果、りん処理の向上を中心として処理水質の改善等が
認められたので報告する。
循環式硝化脱窒法により高度処理を行っている潮来浄化センターにおいて,放流
先である霞ケ浦への窒素の流入負荷量を削減することを目的として,過去の調査
結果を踏まえて,施設改造を行わず,反応槽の運転方法の変更により窒素除去率
を向上させるための調査を行った。反応槽の運転方法を定常運転の「無酸素-好
気」から,無酸素槽の一部を好気槽にする「無酸素-好気-無酸素-好気」に変
更した。さらに,好気槽の一部を微好気槽にする「無酸素-好気-無酸素-微好
気-好気」の運転に変更することにより,窒素除去率を約6%ポイント向上させるこ
とができた。
各務原浄化センターでは、一部の系列において、処理方法を嫌気・無酸素・好気
法(A2O法)から、嫌気・硝化内生脱窒法(AOAO法)に変更した。AOAO法の処理
の安定化を図るため、8槽に分割された嫌気、無酸素及び好気の各生物反応槽で
の滞留時間や曝気風量等を適宜調整し、運転している。各運転条件下において、
各槽ごとに硝酸、リン酸、アンモニア性窒素、COD等を定期的に測定し、測定結果
結果から、窒素・りんの除去効率の向上に最適な運転条件を検討したので報告す
る。
落合水再生センターは、放流水が河川水質に直ちに影響を及ぼす特徴があるた
め、水質のさらなる向上が課題である。しかし、余剰汚泥が初沈に戻る構造である
ため硝化促進型制限曝気(疑似AO)運転によるりん除去、反応槽の大部分が浅
槽式であり内部に嫌気部分ができないことから窒素除去が容易ではない。また、処
理能力や敷地に余裕がないことを鑑みると、新規施設の導入も容易ではない。そ
こで、既存の施設での取り組みとして、反応槽中段で制限曝気を行い疑似的な無
酸素槽を設ける方法と、さらにそこへ沈殿下水をステップ流入させる方法の二種類
を試みたところ、いずれも窒素削減の効果がみられたので報告する。
横浜市の終末処理施設(水再生センター)は、窒素りん系イオン濃度測定のためイ
オンクロマトグラフを保有している。イオンクロマトグラフは前処理が簡単で、全自動
測定であり、測定時間が短いため、多検体にも対応でき、非常に有用な分析機器
である。中部水再生センターでは流入下水や放流水のイオンクロマトグラフの測定
を毎日行い、下水の各処理工程の窒素りん系イオン濃度の変動を評価し、処理調
整に役立てている。また、多種イオン濃度の変動を把握することで、海水流入状
況、コンクリート系排水の異常流入の検討を行ったので、紹介する。
年始には、通常時と流入水質が異なるため、放流水全窒素濃度の上昇とpHの低
下が、問題となっている。平成24~26年度年始の流入水量と流入水質(C-BOD、
NH4-N)を調査し、通常時の状態と比較を行った。年始は初沈越流水C/N比が
通常よりも低いことが原因で、脱窒が起こりにくくなることが推測された。そのため、
平成26年度年始に脱窒を促進するための水素供与体としてメタノールを添加を
行った。メタノール添加における放流水全窒素濃度の上昇及びpH低下抑制の効
果について報告する。さらに、窒素除去としてメタノール無添加方法の提案を行
う。
高濃度窒素下水の影響で、最終沈殿池での脱窒汚泥浮上やN-BOD上昇などの
水質障害が発生した。この対策として、窒素除去率を向上する高度処理施設への
転換が有効であるが、その施設導入は容易ではない。ついては、汎用ポンプを活
用した循環脱窒法を行ったので、その処理性能について報告する。高濃度窒素
下水の影響で、最終沈殿池での脱窒汚泥浮上やN-BOD上昇などの水質障害が
発生した。この対策として、窒素除去率を向上する高度処理施設への転換が有効
であるが、その施設導入は容易ではない。ついては、小型ポンプを活用した安価
な循環脱窒法を行ったので、その処理性能について報告する。および、調査過程
において反応タンクのばっ気方法として、旋回流式と全面式とにおいて脱窒性能
差が確認されたので併せて報告する。"
深槽式反応タンクでは、風量の調整により、散気設備の下層で脱窒させることが可
能であるが、水深5m程度の反応タンクでは、散気設備の下層がほとんどないた
め、風量の調整だけでは脱窒させることができない。そのため、一部のライザーバ
ルブを閉めることで、好気タンク内での脱窒促進運転を行った。操作方法と効果に
ついて報告する。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第3会場(607会議室) N-9-2 水処理技術(2) 12:45~14:55 1
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空見スラッジリサイクルセンター
稼働に伴う宝神水処理セン
名古屋市
ターへの影響調査
月島テクノ
修正バーデンフォ法の窒素除
メンテサー
去管理
ビス(株)
国立研究
炭酸添加が下水処理水を用い
開発法人
た藻類培養に与える影響に関
土木研究
する研究
所
加藤慧
榊康祐
高部祐剛
平成25年10月より宝神汚泥処理場の老朽化に伴い、新たな汚泥集約処理施設と
して空見スラッジリサイクルセンター(SRC)が稼働し、それに伴い宝神汚泥処理場
が停止した。宝神水処理センターでは汚泥処理に伴い発生する汚泥返流水を受
け入れているが、宝神汚泥処理場が停止し空見SRC返流水の受け入れを開始す
ると、宝神水処理センターの流入水質は大きく変化し、りん除去性能等が変化する
ことが予想され、運転管理手法を変更する必要がある。そこで、空見SRC稼働前後
の宝神水処理センターの水処理状況を確認し、適切な運転管理手法について検
討することを目的として調査を行ったので、その結果を報告する。
横浜市南部汚泥資源化センターは、市内6ヶ所の水再生センターと1ヶ所の浄水
場の汚泥の集約処理を行い、濃縮汚泥は嫌気性消化処理を行っています。その
ため、処理工程で発生する分離液中には高濃度の窒素とリンが含まれており、こ
れを処理するため修正バーデンフォ法による活性汚泥処理を行っています。
この処理ではBOD源が不足することから、濃縮供給汚泥を初沈に投入しています
が、供給量の調整が難しく課題となっていました。そこで、過不足なく供給すること
により、アンモニアや硝酸の残留を低減する運転管理の知見を得られたのでご報
告致します。
下水に含まれる窒素・リンを用いた微細藻類培養による下水からの栄養塩回収、
オイル生産に注目が集まっている。本研究では、炭酸添加が藻類培養状況および
栄養塩回収に与える影響を、レースウェイ型培養装置を用いて検証した。2014年6
月から11月まで下水処理水を用いて連続培養を行った結果、炭酸を添加しない
系に比べ、炭酸を添加し培養水pHを8に制御することで、窒素回収率が47.7%から
62.6%まで向上した。炭酸を添加することで、Dictyosphaerium科からScenedesmus
科へと優占藻類が代わり、これが窒素回収率向上に寄与したと考えられた。
Although the permit concentration guideline of phosphorus in effluent from
sewage treatment plants were enforced in 2012, algal bloom has still occurred in
water environment such as lakes and rivers of Korea. Factors affecting to algal
bloom outbreak include nutrients, water temperature, dissolved oxygen and solar
Korea
radiation etc. Among these factors, much attention has been paid to nutrients,
Institute of
especially nitrogen because N permit concentration of sewage treatment plant is
Civil
韓国における下水処理場の処
Engineerin KIM, ILHO considered to be a little high compared with other contries. In this study, current
理状況および今後の課題
nutrients discharge situation and operational conditions of sewage treatment
g and
plants of Korea were investigated, and operation parameters showing a
Building
corelationship with high nitrogen removal were explored. The results were also
Technology
compared with those of Japan. Based on the results, we suggested future
challenges to meet with the strengthern of nitrogen permit concentration.
Effects of Micro-bubble
Supply on Water quality
Korea
Institute of
Civil
Engineerin
g and
Building
Technology
ステップ流入比と生物学的りん
除去の関係
大阪市
‐改築中施設の運転結果を踏
まえて‐
回分式活性汚泥法における凝
(株)日水コ
集剤添加によるりん除去プロセ
ン
スに関する研究
日本メンテ
低濃度領域における浮上型急 ナスエンジ
速リン吸着剤の基礎的研究
ニヤリング
(株)
Lee, JaiYeop
笹本琢士
塚原純哉
赤松和史
The effluent from sewage disposal plant being flowed in into natural water system,
PO4-P absorbed by the cyanophyceae can raise algae bloom. Therefore,
appropriate process for treatment of PO4-P, such as electro-coagulation is
required. Because the effluent on the sewage disposal plant includes not only
PO4-P, but also T-P, oxidization process for T-P including organic phosphorous
makes process efficient regarding in treatment and operation. There was
treatments by chemical agents for oxidation of various phosphorous, in this
research, we examine the oxidation effect using micro-bubble in this research.
From experimental results of the oxidation by the aeration using micro-bubble
displayed shows a significant effect on the conducts.
本市下水処理場の1つでは、施設の改築更新と合わせて、従来の擬似嫌気好気
法から凝集剤添加型ステップ流入式2段硝化脱窒法(以下「本法」という。」へと改
造した。しかし工事期間中にブロワから反応槽までの送気管で老朽化が原因とみ
られる深刻な漏気が顕在化した。また、本法では、りんは鉄塩等の添加により除去
するが、多量の添加は溶融炉壁を損傷させ、維持管理費増大を招く。これらの制
限の中で、一定の放流水質を確保するために凝集剤を使わずに本法による運転
を行い、窒素及びりんの生物学的な同時除去を試みた。
凝集剤添加によるりん除去プロセスでは、処理目標達成に必要な凝集剤添加率を
りんに対する金属のモル比から設定し運用されることが通例であるが、回分式活性
汚泥法における処理目標達成に必要な凝集剤添加率に関する知見は少ない。ま
た、添加した凝集剤が効果を発揮し始めるまでの反応速度や、添加終了後の残存
効果に関する知見も少ない状況である。そこで、本研究では回分式活性汚泥法施
設を対象とした凝集剤添加実験を実施し、処理目標達成に必要な凝集剤添加率
に関する知見を得るとともに、アルミニウム塩、鉄塩を用いた回分実験を行うことで
化学凝集の反応速度に関する知見を得たのでその成果を報告する。
終末処理場でのリン回収技術は実用化されて久しいが、高濃度に特化されてお
り、低濃度域においては開発が緒に就いたばかりであるのが現状である。我々は、
低濃度域において急速吸着が可能で農業への転用までを想定した結果、農業用
資材で構成されたリン吸着剤が最適であると判断し、開発を試みた。吸着剤は、土
壌改良材に用いられる黒曜石発泡体のパーライトをベースに、消石灰とセピオライ
トを担持させた構造とした。これにより、急速吸着の性能を有しつつ浮上が維持で
きることから柔軟性のある使用方法と、施設に対しての負荷を低下させることが可
能となった。実用化への知見を得るために最終沈殿池においてパイロットスケール
の検討を行った。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第3会場(607会議室) N-9-3 水処理技術(3) 15:10~17:20 1
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担体投入型高度処理施設に
おける不具合改善に向けた取 堺市
り組み
担体利用酸素循環式硝化脱
窒法+脱窒ろ過法の処理性能 川崎市
の向上に関する調査報告
担体利用嫌気無酸素好気法
におけるメンブレン式散気装置 川崎市
の適用性に関する調査
ひも状ろ材を用いた下水処理 (株)西原
技術の開発
環境
汚泥処理施設の焼却排水によ
る硝化阻害とシアン馴致に関 札幌市
する調査
固定床型アナモックスプロセス
の低コスト化に向けた運転条 (株)タクマ
件の検討
脱アンモニア処理による高濃
度窒素処理の特性評価
(株)明電
舎
担体添加型一槽式Anammox
東北大学
反応槽を用いた窒素除去の研
大学院
究
小西隆
丸山浩司
柴田宗則
松本寿美
藤本崇史
高木啓太
酒井孝輔
劉媛
標準活性汚泥法を用いた旧処理施設の機能移転のため担体投入型ステップ流入
式多段硝化脱窒法及び急速ろ過法の高度処理施設が築造された。平成25年10
月より処理施設の立ち上げを開始したが、低い硝化能力、低いSS除去率が明ら
かになった。調査の結果、低い硝化能力に関しては反応タンク内の旋回流の不良
による担体の沈降が原因と判明したため、反応タンク内にバッフル板を設置した。
また低いSS除去率に関しては、最終沈殿池でのフロック形成不足によるSSの越
流が原因であることが判明したため、凝集剤注入点の変更を行った。これらの取り
組みにより不具合の改善が図られた。
等々力水処理センターは、酸素活性汚泥法を採用し、標準活性汚泥法と比べて
反応槽容量が小さく滞留時間が短いため、水質汚濁防止法上乗せ条例の将来基
準及び東京湾流域別下水道整備総合計画の窒素基準遵守が困難な状況となっ
ている。これまでの研究開発の結果、「担体利用酸素循環式硝化脱窒法+脱窒ろ
過法」により、処理性能として各基準を遵守できる見込みとなった。本報告では、
「担体利用酸素循環式硝化脱窒法+脱窒ろ過法」の処理性能の向上を目的とし
て行った、パイロットプラントでの処理水質等の解析結果や木炭系の新しいろ材に
よる脱窒性能の向上に関する調査結果について報告する。
川崎市入江崎水処理センターでは、平成23年度より担体利用嫌気無酸素好気法
を採用した西系高度処理施設が稼働し、窒素やりんの除去において安定的な処
理性能を発揮している。一方、高度処理法は標準法に比べて、水処理に多くのエ
ネルギーが必要となるため省エネルギー化が求められている。そこで、西系高度
処理施設の反応タンクの一部に、酸素移動効率の高いメンブレン式散気装置の試
験的な導入を行った。本発表は、メンブレン式散気装置を導入した反応タンクにお
いて、担体の流動性や圧損の変化、処理水質を調査し、担体法への適用性と省
エネルギー効果の確認を行った結果について報告する。
本研究では標準活性汚泥法にひも状ろ材を浸漬するプロセスにおいて、流入負
荷量の増加に対して適切な処理性能が得られるかパイロットスケール実験で実証
研究を行った。ひも状ろ材はばっ気による循環水流で適度な揺動を繰り返しなが
ら常に一定量の微生物を保持し、活性汚泥とともに有機物を吸着・分解することが
できる。実証実験では標準活性汚泥法の通常の流入水量に対し1.3~2倍量の運
転条件で処理水質としてT-BOD濃度15mg/L以下を満足した。
札幌市の東部スラッジセンターでは、汚泥焼却排水中に含まれるシアンが活性汚
泥の硝化阻害の要因となることから、設計値を超える温度での高温焼却を行い、シ
アン抑制に努めている。しかし、助燃のための重油使用量の増加が問題となって
いるほか、熱負荷による焼却炉設備への影響が懸念されている。そこで焼却炉の
降温を目的に、実験プラントにおいてシアンの連続投入試験や回分試験を行い、
硝化に影響を与えないシアン濃度を検討した結果、活性汚泥のシアン馴致が確
認でき、硝化阻害について一定の知見が得られた。またこの知見をもとに、実施設
で焼却炉を降温し、焼却排水を受け入れる下水処理施設の影響について調査し
たため、併せて報告する。
平成24~25年度の国土交通省B-DASHにおいて、熊本市東部浄化センター内に
設置した実規模実証施設を用いて「固定床型アナモックスプロセス」による汚泥処
理返流水(嫌気性消化汚泥脱水ろ液)の窒素除去実証試験を実施した。B-DASH
終了後も引続き実証試験を行っており、平成26年度は本プロセスのさらなる低コス
ト化を目的とした検討を行ったのでこれを報告する。本研究では、加温熱量の低減
を目的とした亜硝酸化槽の水温条件と処理安定性の検討、および流量調整槽の
容量縮減を目的とした停止・再稼働試験を行った。その結果、水温30℃の条件に
おいても高い処理性能が維持できること、約10日間の長期停止後に速やかな再稼
動が可能であることが確認された。
嫌気性アンモニア酸化を用いた窒素処理技術は従来の窒素除去法と比較し低コ
スト高効率な処理技術である。海外では既に本技術が実設備として導入が始まっ
ており、国内においても技術評価が進んでいる。横浜市と明電舎は消化汚泥脱水
分離液に含まれる高濃度アンモニア性窒素を効果的に除去するために嫌気性ア
ンモニア酸化反応を利用した1槽型回分処理(脱アンモニア処理)の共同研究を
行い、長期実証試験中に様々な知見を得ることができた。今回の報告では、実証
試験によって得られた脱水分離液のアルカリ度による窒素除去率などの特性に関
する知見について報告する。
好気性アンモニア酸化細菌(AOB)と嫌気性Anammox細菌を共存させるために
担体をリアクターに投入し、バイオフィルム内でアンモニアの部分的亜硝酸化とそ
の後のAnammox反応を同時に1つの反応槽で起こす実験を行った。反応槽の
温度を25度に制御し、250mg/Lの単一な窒素源であるNH4+-Nを連続的に
投入した。水理学的滞留時間は12時間とし、pHは8.0~8.5であった。曝気量を
調整することにより81.1%の窒素除去率を達成し、平均76.2%の窒素除去率が
30日間維持することができた。活性実験の結果によりリアクター内のAOBとAnam
mox細菌の分布状況が明らかになった。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第4会場(608会議室) S-7-1 膜処理技術(1) 9:30~11:25 1
2
膜分離活性汚泥法における間
(株)日立
欠散気制御が膜面洗浄に及ぼ
製作所
す影響に関する研究
PTFE製中空糸膜を用いた浸
前澤工業
漬型MBRによる省エネ化効果
(株)
の実証
花本陽
介
筆者らは、膜分離活性汚泥法(MBR)の課題である膜のファウリングを抑制しながら
電力使用量原単位が0.4kWh/m3以下で運転可能な浸漬型MBRを実現する目的
で、新規に開発したPTFE製中空糸膜モジュールを用いた浸漬型MBRの省エネ化
NGUYENTH に関する実証実験を行った。実下水を用いた約1年間の長期実証実験の結果、薬
液濃度が異なる2種類のインライン洗浄を組合せることで曝気洗浄風量を抑制しな
ANH
PHONG がら安定した膜処理が可能である点を示した他、流量変動対応を盛込んだ運転方
法についても実証した。更に、これらの結果を受けた試算により、開発目標である
0.4kWh/m3以下を達成可能である点を確認した。
3
新規高集積型MBRモジュール
三菱レイヨ
における省エネルギー化実証
ン(株)
試験
古野真介
4
管状UF膜を用いた槽外型MB 積水化学
R運転動力削減の検討
工業(株)
福井佑
5
6
7
セラミック平膜を用いたMBRの
(株)明電
雨天時流量変動対応と省エネ
舎
化の検証
膜分離活性汚泥法(MBR)の 日本下水
合流対応に向けた検討
道事業団
堺市三宝下水処理場における
(株)クボタ
MBRの処理性能について
膜分離活性汚泥法(以下、MBR)は、設置面積がコンパクトで高度な処理水が得ら
れる特長がある一方、システム動力削減が課題となっている。特に、膜面洗浄と生
物処理に必要な散気動力は、システム動力全体の約60%を占める。そのため、
MBRの適用拡大の為には、この散気動力を削減する技術の開発が望まれている。
本研究では、MBRにおけるシステム動力削減を目的に、膜面洗浄方法に関し、散
気制御方法(間欠散気)により、洗浄効率を向上させると同時に散気量を低減する
ことで省エネ化を向上させる技術について報告する。
膜分離活性汚泥法(MBR)導入促進のため、処理水量当たりの電力消費量
0.4kWh/m3以下を目標としたエネルギーコストの低減を目的として、新規細径膜を
用いた高集積モジュールを用いたパイロットプラントによる実証試験を日本下水道
事業団技術開発実験センターにて行った。また、合流式下水処理場への展開の
ためのピークフラックス対応の検討も行った。本発表では以下の検討結果につい
て報告する。
・新規細径膜モジュールによるMBRの季節変動下での低エネルギー及び安定運
転
・膜分離活性汚泥法採用におけるピークフラックス対応
・日間変動を与えた条件による安定運転
内径4mmの管状UF膜を用いて、初沈流入水を原水とした槽外型MBRのパイロッ
トスケールでの運転特性の検討、および動力削減の検討を行った。槽外型MBR
においては全運転動力のうち、反応槽から膜へ原水を供給する汚泥循環動力が
大きな割合を占めている。そこで、汚泥の移送手段を変更し最適な方式を適用す
ることで汚泥循環動力の削減を図った。また、膜素材の親水化、膜洗浄方法の最
適化によって膜処理効率の向上を行ったので報告する。
MBRの導入促進には、中・大規模の合流式下水道への適用と省エネが課題であ
る。飯能市と(株)明電舎は、日本下水道事業団との共同研究「膜分離活性汚泥
法の導入促進に向けた技術開発-セラミック平膜を用いた浸漬型MBRの省エネ
ルギー化・合流対応の研究-」を実施している。目標は、合流式下水施設へのセ
打林真梨絵 ラミック平膜を用いた浸漬型MBRの適用と、処理水量1立方メートルあたりの消費
電力を0.4kWh以下とすることである。これまで、合流式下水道における雨天時の
流量増大を模擬したろ過流量変動試験による運転特性の評価や、運転条件の最
適化による省エネ効果の検証を行ってきた。本報ではこれまでに得られた知見を
報告する。
山下喬子
柳瀬仁志
膜分離活性汚泥法(MBR)の導入拡大に向けては、今後改築時期を迎える下水
道施設に対する導入検討を行なうことも必要である。既設の改築更新時における
MBRの導入可能性を整理すると、特に、大規模・合流施設への導入が有効であ
ることが分かった。MBRは、SSや大腸菌群がほとんど検出されない清澄な処理水
を得られることから、合流施設へ導入した場合には、雨天時の放流水質を改善す
ることができると期待される。本報では、実下水を用いたMBRパイロットプラントの
運転結果と下水処理場の雨天時調査結果を基に、標準活性汚泥法の既設反応タ
ンクの一部をMBRに改築した場合の、合流改善効果について試算を行なった結
果を報告する。
MBRの処理水質は極めて良好であり、既設処理場に導入することにより、処理水
質向上および高度処理化が図れる。流入変動に対しては、1.5~2.5倍の水量変
動比に対する膜ろ過性能を確認しており、長い運転SRTに伴う処理性能の安定性
も期待できる。本論文では堺市三宝下水処理場(処理能力60,000m3/d)における2
年間の実運転結果から得られた下記の知見について報告する。
①MBR処理水質は、BODが0.8mg/L、CODMnが7.4mg/Lであり、既設の担体法
+繊維ろ過と比べて良好であった。T-Nは3.6mg/Lであり同等であったが、リン除
去を行っていないためT-Pの処理性能は低かった。
②MBRの処理性能は、HRTの短縮・雨天・冬季低水温・日間変動等の変動要因に
対して、安定していた。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第4会場(608会議室) S-7-2 膜処理技術(2) 12:45~14:40 1
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ダイセン・メ
機械的洗浄方法による浸漬型 ンブレン・
MBRの送風量削減効果
システムズ
(株)
スポンジ担体の投入による浸
北海道大
漬型MBRにおける膜ファウリン
学大学院
グの制御
浸漬型MBR槽内における粒状
北海道大
担体の流動性と膜洗浄効果の
学大学院
評価
新規膜洗浄機構を用いた浸漬 JFEエンジ
型膜分離活性汚泥法の省エネ ニアリング
化に向けた基礎的検討
(株)
災害時等仮設水処理施設へ
(株)日立
の適用に向けた単槽式MBRの
製作所
実証
嫌気性MBRによる下水処理に 東北大学
及ぼす界面活性剤の影響
大学院
UF膜を用いた下水の直接膜ろ
京都大学
過処理におけるウイルス除去
大学院
に関する検討
瀧広志
内田大貴
栗田宗大
我々は、新規浸漬型平膜ユニットと担体による新たな物理的洗浄方法(機械的洗
浄)を組合せて送風量削減を図る新たな省エネ型MBRの実証実験を実施してい
る。機械的洗浄は、膜分離槽内に担体を投入することで、膜の物理的洗浄効果を
向上させ曝気洗浄風量の削減を図るものである。パイロット規模の実験装置にお
いて担体の有無が異なる2系列を並行して運転している。本報では、実証実験装
置において膜ろ過のFLUXを意図的に変化させる「FLUXステップ試験」を実施し、
担体を用いた機械的洗浄の効果を明確化すると共に曝気洗浄風量の最適化を
図った検討結果、更には本システムの省エネ効果の試算結果を紹介する。
担体を浸漬型MBRの槽内に投入することによって物理的な洗浄効果により膜ファ
ウリングを効果的に抑制できることが報告されている。また、微生物を保持すること
ができるスポンジ担体を用いることで膜ファウリング抑制とともに処理水質の向上が
達成できることが報告されている。しかし、異なるスポンジ担体を用いた場合の
MBR運転に与える影響についての知見は不足している。本研究では、特性の異な
るスポンジ担体を投入した浸漬型MBRの連続運転を行い、スポンジ担体の違いが
膜ファウリングの抑制および処理水質、汚泥性状に与える影響を比較し、浸漬型
MBRの運転に適した特性を持つスポンジ担体について検討した。
浸漬型MBR槽内に粒状担体を投入することで、膜ファウリングを効果的に抑制でき
ることが報告されている。MBR槽内における粒状担体の膜洗浄効果を向上させる
ことで、従来のMBRと比較して膜ファウリング抑制のための曝気を大幅に削減で
き、MBR運転コストの低減が期待できる。本研究ではパイロットスケールMBR槽内
の散気管形状や曝気量を変更しながら運転を行い、粒状担体の動きを画像解析
によって評価した。また、最適と考えられる曝気条件下における粒状担体の膜ファ
ウリング抑制効果と曝気削減量について検討した。
冨田洋平
従来の浸漬型膜分離活性汚泥法(MBR)では,膜の曝気洗浄の所要動力が大き
い点が課題である。筆者らは,従来の曝気洗浄における膜面洗浄と酸素供給の機
能を分割し,各々に高効率の装置を適用した新たな物理的洗浄方法を考案し,従
来のMBRからの消費電力量の削減を図る新たな浸漬型MBRの検討を実施してい
る。
本報では,水流による物理的洗浄を適用した浸漬型MBRシステムに関して,1)膜
面洗浄に必要な洗浄流速に関する基礎検討,2)小型パイロットでの処理実験,3)
流体解析(CFD)によるスケールアップ検討,4)実規模の反応タンクを想定した所
要動力の試算値を報告する。
佐々木暁
近年の豪雨や地震等による大規模自然災害の頻発を受け、下水道事業において
も災害への対応強化が求められている。そこで、筆者らは、災害時等仮設水処理
施設への適用に向けた下水処理技術として、物理化学的処理技術である「高速凝
集沈殿法」と生物処理技術である「膜分離活性汚泥法(MBR)」を並列に組み合わ
せた処理システムを開発している。高速凝集沈殿法については合流改善で使用さ
れている技術の最適化を図り、MBRについては設備の簡素化を図った新たな「単
槽式MBR」を開発している。本報では、本システムの実規模の装置を用いて実施し
た実証試験のうち、単槽式MBRの運転条件及び処理機能に係る検討結果を報告
する。
歌代哲也
李善太
嫌気性MBRは近年注目されている新しい技術である。界面活性剤は実下水にも
含まれ、嫌気性処理では処理されにくく、微生物への毒性も持っている。そこで本
研究では排出量が多いAEとLASが嫌気性MBRの処理特性に対して与える影響を
メタン生成活性試験と連続運転により評価した。活性試験の結果、AEよりもLASの
方がメタン生成古細に対する阻害性を持っており、特に酢酸資化性細菌は水素資
化性細菌よりも界面活性剤による影響を受けやすいことがわかった。また、実下水
に含まれる程度の界面活性剤濃度(AE:5.0mg/L、LAS:2.5mg/L)では、嫌気性
MBR処理に顕著な影響を与えないことがわかった。
近年、膜分離活性汚泥法が注目されているが、生物処理を含まず最初沈殿池越
流水を直接膜ろ過処理することは、膜分離活性汚泥法と比べてエネルギーの削減
や省スペース化、サテライト処理が可能となるなど様々なメリットがある。さらに、震
災時の下水の簡易処理として適用できる可能性もある。そのため、最初沈殿池越
流水を用いた膜処理での運転性評価と運転条件によるウイルス除去の検討を行っ
た。Fluxや膜処理前段の凝集処理における凝集剤注入濃度条件ではウイルスの
除去率があまり変わらず、2から3log程度が得られた。しかし、腸管系ウイルスは添
加実験で用いた大腸菌ファージと比べてかなり高い除去率が得られた。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第4会場(608会議室) S-7-3 膜処理技術(1) 14:55~16:35 1
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MPCポリマーコート膜の耐ファ
日油(株)
ウリング性評価
MBRにおける膜のMPCポリ
マー加工によるファウリング抑
制効果の薬液洗浄耐性
東京都市
大学大学
院
東京都市
MBRにおけるポリマー加工が
大学大学
ファウリング抑制に与える効果
院
浸漬型膜分離活性汚泥法に
おけるバッフルが流体条件に
及ぼす影響
東京都市
大学大学
院
東京都市
MBRにおいて曝気による平膜
大学大学
の振動特性の検討
院
膜分離活性汚泥法において曝
東京都市
気の気泡流による平膜の振動
大学大学
がファウリング抑制効果に及ぼ
院
す影響
中島光康
新井広基
山田朋子
丸林修
膜分離活性汚泥法(MBR)の運転では、膜のファウリングによる膜間差圧の上昇 が
問題となる。ファウリングの原因の一つに、タンパク質や糖類等の膜表面への吸着
が挙げられる。そこで、高い親水性、汚れ防止性 を持つ2-メタクロイルオキシエチ
ルホスホリルコリン(MPC)ポリマーに着目し、MBR用膜をMPCポリマーで処理し、
ファウリング防止性を評価した。MPCポリマー処理膜(MPC膜)と未処理膜を用いて
模擬下水のろ過試験を行うと、MPC膜は透水量の低下を抑制し、試験後の顕微鏡
観察では、MPC膜は汚れ成分の吸着が少なかった。実下水を原水としたMBRベン
チプラント試験ではMPC膜は膜間差圧の上昇を抑制した。
膜分離活性汚泥法(MBR)における事前のファウリング抑制策として膜にポリマー
コーティングを施す方法に注目した.ファウリングはたんぱく質と多糖類で構成され
るEPSが主な原因であり,タンパク質吸着抵抗性の特性を持つMPCポリマーと親
水性を持つPVAの混合ポリマーをPVDF膜にコーティングすることでファウリング抑
制効果を示した.本研究では不可逆的膜ファウリングを除去する際の薬品洗浄に
よりコーティング効果が低下することが考えられるため、コーティング効果の持続性
に注目した.次亜塩素酸ナトリウムによる薬液洗浄と吸引ろ過装置を用いたろ過性
能によってコーティング効果の持続性について検討した.
MBRにおけるファウリング抑制策として,膜加工に注目した.既存の研究では,
PVDF膜にMPCポリマーとPVAの質量比を変えて加工し,膜が高親水性やタンパク
質吸着抵抗性をもつことでファウリング抑制効果を示したと報告している.また,
MPCポリマーと類似した性質のポリマーとしてPEGポリマーが知られているが,ファ
ウリング抑制に関する研究は少ない.本研究では,MPCポリマーとPVAの質量比を
変えて加工した膜を浸漬型MBRにより継続して運転し,ファウリング抑制効果の持
続性を検討する.また,PEGポリマー加工膜を作製し,PEGポリマーの加工がファウ
リングに与える効果の検討及びMPCポリマーとの比較を行う.
膜分離活性汚泥法ではファウリング抑制方法として曝気によるクロスフロー流速が
効果的であることが知られているが、どのような状態で膜に供給するのが良いの
か、いまだに最適な条件が確立されていないのが実際のところである。これまでに
気泡径や液相流速が槽内に及ぼす影響に着目した研究は報告されているが、曝
気流路内にバッフルを設置するとによる槽内の流体の変化に着目した研究は乏し
い。そこで本研究では、槽内の流体条件を変えるようなバッフルを設置しその時の
槽内の流体条件を解析することで、膜への最適な曝気供給パターンについて検討
した。
井上美穂
MBRでは,ファウリングを抑制するため曝気による膜表面の洗浄が行われている
が,曝気にかかる消費電力が大きいことが課題であり,より効率的に洗浄が行える
曝気条件の設定が必要である.また,MBRの生物反応槽内では,曝気の気泡によ
り膜間にある曝気流路に連続して瞬間的な速度差が生じ,速度差から圧力差が発
生するため,平膜は振動している.厚さを変化させ,剛性の異なる平膜を比較する
ことでファウリング抑制効果の違いが明らかとなれば,低曝気量での運転が可能と
なり,消費電力削減につながる.そこで,本研究では平膜の振動がファウリング抑
制に与える影響及び平膜の振動特性について,レーザー変位計を用いて検討を
行った.
酒井駿治
膜分離活性汚泥法(MBR)の更なる普及拡大にあたっては、曝気に関わる消費電
力の削減が求められており、効率的な曝気制御方法の開発が重要となる。MBRユ
ニット内では平膜が不規則に振動する現象が存在すると考えられている。既存の
研究により膜モジュールの振動がファウリング抑制効果に寄与していることが示唆
されており、曝気量削減の打開策になることが期待される。また、平膜の振動により
膜表面近傍付近のせん断速度などに影響を与えることなどが考えられているもの
の、流体に関する定量的な評価はほとんど行われてきていない。本研究ではろ板
の厚さを変更し、異なる振動条件が液相流速やその他流体に及ぼす影響につい
て検討した。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第5会場(609会議室) N-4-2 地球温暖化/省エネ対策(2) 9:30~11:40 1
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湯島ポンプ所ファジィ制御の更
新に伴う新機能の検証につい 東京都
て
(公財)日
下水処理場への省エネ型撹拌 本下水道
機の導入効果について
新技術機
構
返送汚泥ポンプの全揚程低減
による省エネルギー推進に関 札幌市
する取り組み
効率的な水処理運転管理の為 (公財)愛
のブロワ風量一定運転につい 知水と緑の
て
公社
スクリュー式ブロワによる消費
電力削減効果の検討
前澤工業
(株)
二軸管理手法を用いた水質改
善と省エネルギー化の両立の 東京都
取り組みの拡大について
送風量制御方式による送風機 国土技術
の電力使用量への影響に関す 政策総合
る調査
研究所
(一財)札
遠心脱水機の低回転運転によ 幌市下水
る省エネ調査について
道資源公
社
高柳圭吾
湯島ポンプ所は、合流式の汚水ポンプ所であり日量約16万m3の汚水を三河水再
生センターに送水している。湯島ポンプ所では、雨天時に阻水扉、連絡扉、汚水
ポンプの回転数など複雑な操作の判断を運転職員が行っていたが、平成元年に
熟練運転職員のノウハウを反映したファジー制御を導入し、自動運転を行ってい
る。 平成25年度にファジィ制御コントローラが更新され、上流幹線へ光ファイ
バー水位計を設置し、その情報をファジィ制御のプログラムに取り込み雨天対応
モードなど新機能を追加した。新しいファジィ制御の運用やその機能の検証を行
い、併せて新機能を活用した省エネ運転を行ったので、その結果について報告す
る。
岩下栄
下水道分野の消費電力量の約半分が水処理設備の消費である。東日本大震災
以降、電力費高騰が下水道経営を圧迫しており、省エネに努めることが極めて重
要となっている。全国の下水処理場のエネルギー消費状況を分析した結果、撹拌
動力密度の高い水中撹拌機を設置している下水処理場で、消費電力が大きい
ケースが多いことが判った。水中撹拌機は高度処理を行っている処理場ばかりで
なく、標準法でも導入しているケースが見られる。調査によれば、従来型の水中撹
拌機の平均動力密度は11.3W/m3に達しており、これを省エネ型の撹拌機(1~
3.5W/m3)に変更することにより、下水処理場の消費電力削減へ大きく寄与するこ
とが判った。
西村真幸
畔柳裕充
中町和雄
当市は、5年間の行動計画である「札幌市下水道事業中期経営プラン2015」を
策定して、省エネルギーの推進や新エネルギーの導入に努める等、積極的に環
境負荷の低減に努めている。処理施設で使用電力量が多い主ポンプやブロワに
ついては、既に省エネルギーを推進している。そこで今回は、新たな対象設備とし
て、連続運転を行っている返送汚泥ポンプに着目した。返送汚泥ポンプの全揚程
低減方法として、「送泥管口径の拡大による損失水頭低減」や「送泥先液位の低
下による実揚程低減」を検討し、試行事例として実揚程低減による使用電力量の
削減と今後の取り組みについて紹介する。
下水処理場における電力消費量の中でも、水処理用ブロアで消費される割合は
極めて高い。ブロワの運転を効率的に行うことにより電力消費量の削減が期待でき
ることから、ブロワの定格運転を可能な限り長時間連続で行う水処理運用を検討し
実践した。これまで水処理の安定化のため揚水量の変動幅をなるべく小さくするよ
うに運転し、ブロワからの送風量を調節することによって流入水質の負荷変動に対
応していた。今回の試みでは送風量を定格風量で一定とし、負荷変動に対しては
揚水量を変動させることにより対応する方針とした。このブロワ風量一定運転につ
いて電力消費量削減効果と水処理に与える影響について検討を行った。
小中規模下水処理場の曝気用送風機としては、容積式(ルーツ型)が多く用いら
れている。容積式送風機はサージング領域を有しないため風量制御運転に適す
るが、ルーツ式は外部圧縮方式であることによる断熱効率の低下や騒音・振動の
軽減が課題である。一方、近年開発された容積形送風機の一種であるスクリュー
式送風機は、内部圧縮方式のため断熱効率が高く省エネ性に優れる。本稿では
熱力学的な考察から、ルーツ式とスクリュー式の断熱効率の違いを明らかにすると
ともに、下水処理場の曝気用送風機として連続運転した際の送風量や消費電力
のデータから消費電力の削減効果を検討する。
流域下水道本部では、平成25年度からトレードオフの関係にある放流水質の改
善と省エネルギー化の両立を目指し二軸管理を実施している。平成25年度は夏
季の13時~16時の送風機電力量原単位の目標値を示し電力削減に取組んだ。
平成26年度は、年間を通し夏季13時~16時、夏季13時~16時以外、夏季以外
伊藤喜代志 の3つの時季別、時間別の設備運転台数を設定し、送風機電力以外にも循環ポン
プや攪拌機等の電力削減も加えた水処理電力使用量全体の原単位の目標値を
示し実施した。その結果、運転課題が明らかとなり、他センターでの成功事例の共
有化が図られるとともに、水質改善、電力削減とも良好な結果が得られたので報告
する。
浜田知幸
湯村貴史
下水処理場における使用電力のうち大部分を送風システムが占めており、電力使
用量の削減が課題となっている。送風システムにおける省エネ方策として、高効率
散気装置などの省エネ設備を導入、流入水量や汚濁負荷などのセンサを活用し
た制御技術による送風量の削減が挙げられる。一方で、送風量の削減による電力
使用量の削減効果については、処理場の送風機により異なることが予想されるが、
これらの影響については調査事例が少ない。そこで本研究では下水処理場の送
風機について実態調査を行い、これらの関係を明らかにした。
札幌市西部スラッジセンター脱水施設は、市街中心部を流れる豊平川の左岸地
区に位置する6か所の水再生プラザから発生する汚泥を集中処理している。
25年には、横軸高効率遠心型脱水機を運転中に遠心力を変更する一連の操作を
自動で行えるよう改修し、汚泥性状に対応した遠心力で効率的な運転が可能に
なった。このことから、遠心力可変システム導入後の省エネ等効率的な運転方法
について調査したので報告する。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第5会場(609会議室) N-4-3 地球温暖化/省エネ対策(3) 12:45~14:40 1
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下水再生水複合利用事業に
ついて
堺市
管底設置方式による下水熱を
利用した歩道融雪の導入計画 新潟市
について
全体最適を目指した革新的下
水汚泥エネルギー転換システ 池田市
ム実証研究(その2)
B-DASH(バイオマス発電)の
ガイドライン策定
国土技術
政策総合
研究所
汚泥焼却炉の低温廃熱を利用
東京都
した補助燃料削減の取組み
東京下水
汚泥焼却廃熱及び太陽熱を活
道エネル
用した廃熱投入型ヒートポンプ
ギー株式
の実用運転
会社
エネルギー自立型焼却システ
東京都
ムの開発
池田聡志
本事業は、堺市三宝下水処理場の高度処理水を同処理場南東約2kmにある内川
水系に新たに送水すると共に、送水の途中で下水熱利用を行うものである。
内川水系への送水する背景として、内川水系の水環境改善のために定めた「仁徳
陵・内川水環境再生プラン」の長期計画である「下水再生水活用」を実現するもの
である。下水再生水を熱源利用と水源利用する「複合利用」は全国初の事例とな
る。また、下水熱は温熱利用後に冷熱利用する「カスケード利用」も全国初の事例
となる。本研究発表では、2つの全国初に至った経緯等及び検討内容について発
表する。
清水淳
新潟市は、低炭素型都市づくりを進めており、低炭素型交通への転換を図ることと
している。また、公共交通機関の利用促進を図る上で、積雪がある新潟市では、冬
季の利便性や歩行の安全性の確保が課題となっている。このため、下水熱を利用
した歩道融雪の取組みに合わせ、交通結節点の整備を行うものである。下水熱の
採熱は、更生済管路の管底に採熱管を配管する管底設置方式とし、下水熱と熱
交換された循環水を循環ポンプにより融雪部へと導く下水熱交換方式による融雪
装置を設置する。融雪範囲はバス停付近の歩行者道に限定し、ヒートポンプを用
いない簡易的な融雪システムを計画しており、設置後は、効果検証を進める予定
である。
森数樹
メタウォーター・池田市共同研究体は、国土交通省のB-DASH事業に採択され
た「脱水・燃焼・発電を全体最適化した革新的下水汚泥エネルギー転換システム
の技術実証研究」について、平成25年度に池田市下水処理場にて実証設備の建
設と、基本的な機能の確認試験を実施した。平成26年度も実証研究を継続し、四
季変動および負荷変動時の設備能力等について長期的な評価を行い、当初設定
した目標値が安定的に達成されていることを確認した。また、脱水・燃焼・発電の3
技術の「連携・最適化機能」を用いることにより、設備の運転条件が自動的に最適
状態へ推移し、コスト、温室効果ガス排出量が従来技術に比較し削減できることを
確認した。
田隝淳
佐藤崇仁
長塚栄児
竹谷修平
バイオマスである下水汚泥の焼却排熱を活用した発電を行い、下水道施設のコス
トを大幅に低減し、省エネルギー・創エネルギー効果の増大に寄与することを目的
として、平成25年度より26年度にかけて行われたB-DASHプロジェクト(バイオマス
発電)の実証研究の成果等を基に、下水道管理者が当該技術の導入検討に活用
するためのガイドラインを策定した。
既設の汚泥焼却炉に、焼却炉の低温燃焼ガス(300~450℃)のみを熱源として利
用する汚泥乾燥設備を設置し、脱水汚泥の約2割を含水率20%程度まで乾燥させ
る。この乾燥した汚泥と残りの脱水汚泥を混合し、焼却することで、焼却時に使用
する補助燃料の大幅な削減を行う。これにより、エネルギーコストと都市ガス由来の
温室効果ガス排出量の削減を図るという、省エネルギー化と環境負荷の低減をよ
り一層推進させる。
東京都江東区新砂三丁目地区の地域冷暖房事業は、平成13(2001)年11月から
東京都下水道局砂町水再生センターの再生水と汚泥焼却炉の廃熱(洗煙水)を
熱源として熱供給を開始した。温水製造熱源の洗煙水は、熱交換して温水を製造
した後も45℃程度のポテンシャルがある。この洗煙水の廃熱と太陽熱を利用可能
な廃熱投入型吸収式ヒートポンプと組み合わせることで、より効率的な冷温熱製造
システムを構築したモデル事業での検証後、引き続き実用運転を行っているの
で、その成果について報告する。なお、実証実験は「環境省低炭素地域づくり集
中支援モデル事業」等の補助を得て行ったものである。
東京都下水道局では,下水道事業における地球温暖化防止計画「アースプラン
2010」の取り組みを不断に継続し、地球温暖化対策を積極的に推進するために、
省エネ効果の高い技術の導入を進めている。汚泥処理工程で発生する温室効果
ガスに関しては、焼却炉の高温焼却や、運転管理の工夫により二酸化炭素(CO2)
排出量を大幅に削減してきたが、電力使用によるCO2排出量は横ばいであった。
そこで、汚泥焼却時に発電を行い、汚泥焼却炉における使用電力量を発電電力
量が年間で上回り、かつ補助燃料を必要としない第三世代型焼却システムの構築
に向けた共同研究を実施し、その成果について報告する。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第5会場(609会議室) N-4-4 地球温暖化/省エネ対策(4) 14:55~17:05 1
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水再生プラザにおける小水力
札幌市
発電設備の導入について
架台基礎形状を工夫した太陽
東京都
光発電導入のコスト削減策
次世代型階段炉を用いた汚泥
焼却発電システムに関する実 (株)タクマ
証運転報告(その2)
下水実廃水を用いた浮遊型微
日本工営
生物燃料電池の電流回収試
(株)
験
国土技術
汚泥固形燃料化方式の違いに
政策総合
よる維持管理上の特性の比較
研究所
二酸化炭素回収型消化ガスP 大陽日酸
SA技術
(株)
下水バイオガス原料による水
素創エネ実証研究
三菱化工
機(株)
国土技術
下水バイオガスを原料とした水
政策総合
素製造に関する基礎調査
研究所
渡邊翠
大西博英
水野孝昭
麦田藍
釜谷悟司
斎藤達央
宮島秀樹
堀尾重人
東日本大震災に伴う、福島第一原子力発電所の事故以降、エネルギー政策の転
換が求められており、下水道事業においても更なる省エネルギー対策や再生可能
エネルギーの利用が必要となっている。小水力発電設備は、再生可能エネルギー
の中で発電効率が高く、温室効果ガス排出量が少ないクリーンエネルギーであり、
地球温暖化防止に貢献することができる。また、近年の技術開発により、低落差で
も発電可能な機器が実用化されており、小水力発電の効率化が進んでいる。この
ような背景を受け、本市では、手稲水再生プラザに小水力発電設備を導入するこ
とを決定したので、導入までの検討内容について報告する。
東京都下水道局では災害時等における電力使用制限に備え、自前の電力を再生
可能エネルギー等により確保することにしている。太陽光発電の導入にあたって
は、費用対効果を得るため建設費をいかに削減するかが課題となっている。今
回、南多摩水再生センターの丘陵地スペースを活用した太陽光発電(メガワット
級)導入にあたり、架台・基礎の設計において日影の影響を考慮しつつ架台傾斜
角度や基礎重量を検討し、風荷重減による基礎コスト削減等に取り組んだ。傾斜
角30度を10度にすることで発電効率は若干低下するものの基礎コストは安価とな
り、建設コストを削減した事例について報告する。
国土交通省のB-DASHプロジェクトにて、和歌山市、日本下水道事業団、京都大
学、西原環境、タクマ共同研究体は、低コストで省エネ・創エネを図れる「下水道バ
イオマスからの電力創造システムに関する技術実証研究」を平成25、26年度事業
として実施している。本事業は、平成25年度に建設した焼却量35t/日、発電量
100kWの下水汚泥焼却発電システムの実規模実証施設を用いて、消費電力の低
い焼却炉および自燃運転による省エネ効果、発電による創エネ効果のほか、コスト
縮減効果等を評価するものである。今回、平成26年度の実証運転にて得られた
データに基づき、実証施設の運転状況および各種性能について報告する。
本研究は、新たな下水処理技術として着目されている微生物燃料電池(以下、
MFC)について、下水実廃水を用いた試験を実施することで下水処理分野への適
用を検討した。特にアノードとして、微生物により酸化グラフェンを導電性の還元体
へと還元することで微生物を効率的に担持した電極(以下、還元GO)を用い、高効
率な電流生産が可能か試みた。具体的には、①下水実廃水中の微生物を用いた
還元GOの作成、②還元GOを用いた下水実廃水からの電流生産室内試験、②還
元GOを充填した浮遊型MFCの電流回収現場試験を実施した。これらの試験か
ら、浮遊型MFCを下水廃水に適用した際の電流回収、COD除去および汚泥削減
効果を試算した。
地球温暖化や資源・エネルギー需給逼迫への対応として、再生可能エネルギー
への転換が強く求められている。下水道分野においても対応が求められており、そ
のような状況において、下水処理場で発生する下水汚泥の持つエネルギーが注
目されている。近年、焼却炉の改築・更新に伴って汚泥固形燃料化施設の導入が
盛んに行われているが、汚泥固形燃料化方式ごとの実際のエネルギー特性等に
ついてあまり知られていない。そこで本報では、汚泥固形燃料化施設を導入して
いる自治体に対して調査を行い、汚泥固形燃料化方式ごとのエネルギー消費量・
生産量、温室効果ガス排出量・削減量等について報告する。
消化ガスからメタンを濃縮し、都市ガス導管導入やCNG自動車の燃料として近年
利用されているが、二酸化炭素は未利用にて殆ど放出されている。純度99%に高
濃度化した二酸化炭素は、工業用途として利用が期待できる。そこで、メタンと二
酸化炭素の両方を同時に回収・分離できる技術開発を行い、メタンは代替エネル
ギーとして、二酸化炭素は再利用することで環境負荷低減に貢献する。
都市型のバイオマス資源である下水汚泥由来の消化ガスは、全国的に見て充分
に有効利用されていないのが現状である。この消化ガスを水素に転換し、近年開
発が進んできている燃料電池自動車の燃料として利用することができれば、消化
ガスの有効利用と共に、温室効果ガスの削減に繋がる。本実証研究では、下水の
消化ガスを原料として、メタンを水蒸気改質して水素を製造し、燃料電池自動車に
充填するまでのシステムを実証し、その成果について報告するものである。
汚泥処理過程で発生するバイオガスのうち約3割は焼却処分され未利用となって
いる。平成26年度下水道革新的技術実証事業(B-DASH)として、本研究所の委託
により「下水バイオガス原料による水素創エネ技術実証研究」が進行中であるが、
未利用バイオガスの利活用方策の一つとして、FCV等に向けた水素製造・供給が
考えられる。そこで、本稿では、上記実証研究成果の今後の全国への普及展開を
見据え、余剰バイオガスを水素化することを想定し、全国における余剰バイオガス
賦存量、水素供給可能量、バイオガス集約効果等の基本情報を整理した。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第6会場(610会議室) N-7-2 管路(維持管理)(2) 9:30~11:25 1
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管路管理の「見える化」におけ
管清工業
るスマート下水道台帳システム
(株)
活用事例
下水道台帳システムを用いた
効率的な維持管理情報の活用 (株)パスコ
事例
管路内調査技術の効率化と管 東京都下
きょ施設情報を用いた損傷予 水道サービ
測に関する研究
ス(株)
管路内調査機器の走行性向
上に関する基礎的検討
国土技術
政策総合
研究所
国土技術
スクリーニング調査を活用した
政策総合
管渠マネジメントシステム
研究所
主要圧送管路に関する硫化水
北九州市
素対策の新たな取り組み
顆粒状消石灰を用いた硫化水
下関市
素抑制実験
櫻井俊之
渡辺智弘
安藤浩隆
宮本豊尚
従来、下水道設備に関する情報(住宅地図や施設の属性情報、または維持管理
記録等)は主に紙媒体で管理されていたため、情報の検索や更新に時間がか
かっていた。財政面で比較的余裕のある大都市では下水道台帳管理システムが
導入され、情報の電子化を進めている。しかし、財政基盤の弱い中小の自治体で
はシステム化が遅れている実態がある。
今年から下水道施設の長寿命化や大規模災害に備え、国では全国レベルで下水
道施設(インフラ)のデータベースを作成することを決めており、その利用方法の1
つの実例として、財政的に厳しい自治体でも導入可能なスマート下水道台帳を提
案する。
多くの下水道施設の老朽化が進んでいる中、劣化に起因する事故の未然防止や
施設の延命化の観点から、維持管理情報の効率的な運用が求められている。本
稿では、GISをベースとした下水道台帳データベースについて、維持管理情報の
蓄積・活用方法から、管路施設の長寿命化計画策定に有効なデータ活用方法に
ついて紹介する。
老朽化等の対応や予防保全型の維持管理を行っていくには、管きょ内の状態を
把握するための管路内調査が必要である。一方、限られた財源や人員で広域な
下水道区域を調査するにあたっては、損傷が多いと考えられる地区を優先的に調
査を行うとともに、管路内調査の方法も効率化が求められる。そこで、下水道台帳
に蓄積されている下水道管きょの施設情報(土被りなど)から管きょの損傷状態を
予測する技術と、管路内調査においてテレビカメラ調査機の調査速度を速くするこ
とによる効率化について、実際のフィールドで研究を行った。今回、その成果につ
いて発表するものである。
老朽化した下水道管路が増大しており、より省力・低コストで調査点検が可能とな
る手法が求められている。従来の管内調査には自走式TV カメラが用いられてきた
が、日進量や調査コスト等の課題が指摘されている。そこで、下水道管路維持管
理の効率化に向けて、調査機器の走行性能向上が調査時間に与える効果につい
て検討を行った。その結果、機材設置等の作業時間が総調査時間の大きなウエイ
トを占めており、マンホール部における段差の克服を行うことで日進量を4倍にでき
る可能性が示唆された。
下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)の一環で,下水道管路施設
の維持管理費縮減や点検調査実施率の向上を図るための管渠マネジメントシステ
ム技術(3技術)を対象とした実証研究を実施した。実証の結果、従来の調査方法
に比べ日進量が最大3倍向上、コストが最大6割削減されることを確認した。
深谷渉
川口良成
島田幸信
圧送管路については、吐出し先の人孔及びその下流の管路部分において、硫化
水素の発生による腐食が大きくなりやすいため、特に重点的な点検を実施してい
るが、圧送管路部分は、その特性上、管内調査の実施が困難なケースも多く、計
画的な圧送管路の腐食対策が課題となっている。昨年の9月に発生した圧送管路
の腐食による道路陥没事故を契機に本市では、市内の主要圧送管路について、
硫化水素による腐食が懸念される区間の調査に着手するなど、圧送管路の腐食
対策に関する取り組みを本格的に開始したところであり、これらの事例について紹
介するもの。
伏越等の滞留部分に顆粒状消石灰を投入し、堆積する嫌気性汚泥に混入するこ
とで汚泥のpHを上昇させ、硫化水素の発生を抑制するとともに、嫌気化をもたらし
硫化水素を生成する微生物群の活動を阻害する実験を行った。顆粒状消石灰は
高比重で、かつ表面積が小さいため持続性が高く、管路の底層部分や滞留部分
にのみ留まる。また、少量ずつ溶出するCaイオンは汚水中の腐食性物質である硫
化水素イオンや硫酸イオン等と反応し、硫酸カルシウムとして固定化されるので管
渠の長寿命化に役立つとともに、リンもリン酸カルシウムとして固定化する。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第6会場(610会議室) N-7-3 管路(維持管理)(3) 12:45~14:55 1
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「下水道維持管理指針」改定
に伴う、硬質塩化ビニル管の
緊急度判定に与える影響
(株)パスコ
塩化ビニル管の健全率予測式
積水化学
の作成に向けた緊急度の出現
工業(株)
傾向分析
東京多摩地域における管路施 (公財)東
設の劣化予測に関する調査研 京都都市
究
づくり公社
大規模パイプラインのAE計測 新潟大学
に基づく排水過程評価
大学院
Acoustic Emissionを用いた下
水道圧送管路の充水過程モ 新潟大学
デルの検証と安全性診断
管口TVカメラ調査による成果
の設計への利用について
横浜市
高度な画像認識技術を活用し
た管路内テレビカメラ調査の事 日本下水
例-効率的な管渠マネジメント 道事業団
についての一考察-
圧送管内検査のための蠕動運
中央大学
動型ロボットの開発
髙野誠
賀屋拓郎
木下大輔
本田泰大
鈴木哲也
小林昌平
前田勝
冨田健
下水道維持管理指針が改定され、本管詳細調査の判定基準に使用実績が多く
なっている硬質塩化ビニル管の判定基準が案として追加された。これまで、調査結
果に重度の変形が報告されていても、鉄筋コンクリート管等及び陶管の判定基準
に該当がなかったことから、緊急度の判定に考慮されていなかった。また、硬質塩
化ビニル管には腐食がなく、破損やクラック等が発生し難い材質であるため、緊急
度の判定で緊急度Ⅱになる確率は非常に低いものであった。今回指針が改定さ
れたことで、硬質塩化ビニル管の緊急度判定結果に与える影響について検証を
行った。
鉄筋コンクリート管や陶管等の剛性管と塩化ビニル管等のプラスチック系可とう管
は、発生する異常の特徴が異なる。下水供用下における塩化ビニル管に関する異
常発生の経年的変化については、まだ解明されていない。国土技術政策総合研
究所では、平成23年度から塩化ビニル管特有の異常特性を明らかにし、異常の判
定基準や緊急度診断基準について研究を実施してきた。本稿では、先行研究で
明らかにした異常に関する基準に基づく、異常項目、異常ランク、ならびに緊急度
ランクごとの発生傾向の経年的変化を分析した結果を示す。
本調査研究は,多摩地域自治体の下水道経営健全化を図るため、管路施設の維
持管理に関する合理的な調査手法と計画的かつ適正な管理手法(ストックマネジ
メント)の導入を目的として,平成26年度~平成27年度の2カ年を掛けて多摩地域
において実施されたテレビカメラ調査等に基づく管渠の劣化予測式を作成するも
のである。本発表では,既往文献に基づく劣化予測式の種別等の整理結果とテレ
ビカメラ調査結果等における分析方針と事例を踏まえ報告を行う。
下水道施設の補修・補強工は,排水に伴う管内空虚が前提となる場合が多い.本
論では,排水過程のAEモニタリングに基づく定量評価を試みた事例を報告する.
評価対象は直径4,000㎜の排水パイプラインである.AEモニタリングは路線中間部
の立坑において9日間,実施した.評価パラメータはエネルギ値とAE発生頻度で
ある.検討の結果,漏水が発生した時点のAE発生挙動とポンプ運転時,夜間休止
時のAEパラメータ特性の相違から管内状況を評価可能であることが明らかになっ
た.
下水道パイプラインの充水過程は多様な水理現象が混在する.既存施設を安全
に管理運営するためには,水理特性を十分考慮する必要があるが,非破壊モニタ
リング法が確立されていないのが現状である.本報では内水圧が作用する区間の
充水過程を対象にAE法によるモデルの構築と検証を試みた事例を報告する.検
討の結果,配管内の水理現象とAE発生挙動との関連から安全性評価が可能であ
ることが明らかになった.
従来の自走式TVカメラ車の進入が困難な場所に布設されている管きょを再整備
するため、調査機材が人力により運搬可能な管口TVカメラを使用し調査を行っ
た。また、自走式TVカメラにより調査可能なスパンについても管口TVカメラ調査を
実施することで、管口TVカメラにより確認可能な調査項目を検証した。その検証結
果を踏まえ、管口TVカメラの成果が設計に利用可能か考察する。
平成25年度にB-DASHプロジェクトで実証を行った「高度な画像認識技術を活
用したTVカメラ(以下、画像認識型カメラ)」を活用した管路調査を平成26年度に
実施している。画像認識型カメラを用いた管路スクリーニング調査では、管路の止
水や事前清掃等を行わず調査が可能であることや調査速度も速いことから、通常
のTVカメラ調査より調査期間の短縮及び調査コスト縮減を図る事が可能となる。
当該調査を実施した効果や課題のほか、画像認識型カメラを用いた効率的な管
路マネジメントに関する今後の展開について述べる。
下水道における圧送管は地形による制限を受けにくく,比較的自由に管路を設定
できるため広く使用されている.しかし,管路が複雑になりやすく傾斜も多く存在す
るため、内視鏡カメラ等を使用した管内検査が難しい.そこで本研究では,ミミズの
移動手法を模した蠕動運動型管内検査ロボットを開発した.本ロボットは,管径
100Aの水平管内を約50mm/sで走行し,50m以上の長距離の検査や垂直管や
90°エルボ管等を含んだ複雑な管内での移動が可能である.本報告ではこれら
の管内での走行実験の結果に加え,本ロボットを用いた実地試験等の結果も合わ
せて報告する.
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第6会場(610会議室) N-7-4 管路(維持管理)(4) 15:10~16:50 1
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作業性及び安全性向上のため 東京都下
の電動式無翼扇型送風機の 水道サービ
開発
ス(株)
下水汚泥焼却灰を活用した防 東京都下
食被覆材料による下水道マン 水道サービ
ホールの補修について
ス(株)
自走式製管による大口径自立 積水化学
管更生技術の開発
工業(株)
アイスピグによる消雪パイプ内 東亜グラウ
洗浄技術の開発
ト工業(株)
堺市 下水道管路施設維持管 大阪環境
理等の民間委託における受注 整備協同
者の実務報告
組合
下水道管路施設維持管理等
の民間委託化について
弓削龍
飯島豊
津田順
結城啓治
武内靖樹
下水道管路施設内の作業の際に用いられる従来の換気方法は、送風ダクトが人
孔入口部を塞ぐ形で設置されるため、資材搬出入時や作業従事者の昇降時にお
ける送風の常時確保と緊急時の脱出等の安全対策が課題となっている。このよう
な背景から、TGSは関連会社と協力しながら送風ダクトを使用せずに大量の空気
を連続送風できる「無翼扇型送風機ホールエアストリーマ(HAST)」を開発し実用
化している。今回、更なる作業性の向上を目指して風源にコンプレッサーを使用し
ないコンパクト化した電動式ホールエアストリーマ(HAST-e)を開発した。本発表
では、開発において実施した各種の実験、現場モニタリング調査の内容について
報告する。
老朽化した下水道施設を修繕・改築するにあたって、供用中でも施工が可能な工
法が求められている。エコロガード工法は、下水処理過程で発生する汚泥焼却灰
を樹脂のフィラーとして添加した材料を開発し、それを劣化した下水道施設に塗布
することにより、既存の下水道施設が建設時に持っていた「せん断破壊強さ(圧縮
や引張り強度)」を復元するものである。本工法の塗布型ライニング工法の防食要
求性能に対する評価や、既設構造物の「強度」の復元、「防食性能」の効果につい
て発表する。
大口径管路(φ900mm以上)を対象とした更生工法は、「製管工法」に分類される
ものが多く、老朽化管路を複合管として更生する。しかし、残存強度が大幅に低下
した老朽化管路や、更生材である裏込め材との一体化が困難な管種においては、
複合管による更生が適用できないという課題がある。このような課題を解決するた
めに、元押し式製管により自立管として更生を行う「SPRーPE工法」を開発し市場
導入を行ってきたが、さらに施工性を向上させた自走式製管による「SPR-SE工法」
を開発した。今回は、施工性、管体性能について実施工および実験による検証結
果を報告する。
積雪地域においては、融雪施設である「消雪パイプ」が市街地に広く敷設されてい
る。これらのインフラには多大なエネルギーや地下水が使用され、特に、老朽化し
た消雪パイプの揚水量不足が問題となっている。それらの原因が地下水の枯渇と
されているが、管内堆積物による能力低下の可能性も十分に考えられることから、
原因を解明することも重要である。消雪パイプの管内洗浄技術はこれまで報告さ
れておらず、本技術が適用できれば適切に管内洗浄を行うことで、送水量の回復
やポンプの消費電力削減などが期待できる。発表では実際の消雪パイプに対して
アイスピグを用いた洗浄効果を発表し、有効性を検証する。
堺市では平成26年4月1日から平成28年3月31日まで2年の期間で、政令指定
都市としては全国初となる下水道管路施設維持管理等の民間委託を開始しており
ます。下水道管路施設維持管理を事後対応型から予防保全型にシフトする為、
『気づき』を意識した維持管理を行っており、地域に密着した迅速対応・住民の方
を最優先した判断を基本としています。また、民間委託が行われていることを地域
の住民の方達にご理解していただく為、地域イベントに積極的に参加しておりま
す。
下水道管渠等の維持管理について、本市の北区、東区及び美原区においては、
美原下水道管理事務所として本市職員直営による維持管理を実施していたが、平
成26年4月1日から民間委託による維持管理へと移行した。今後も継続して民間委
託を行っていくうえで、課題と効果を検証するとともに改善点等の提案を行った。
堺市
浦崎秀樹
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第7会場(102会議室) N-6-1 ポンプ場・処理場施設(建設)(1) 9:30~11:10 1
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大規模ポンプ施設における効
率的な浸水安全度向上に向け 大阪市
た更新計画
浸水被害解消を目的とした雨
水ポンプ場新設の事例紹介
日本下水
道事業団
多段ステップ流入式硝化脱窒 (公財)愛
法における均等流入に配慮し 知水と緑の
た流路構造について
公社
被圧帯水層への止水壁築造
による地下水低下工法時の揚 東京都
水量削減
ケーソン沈設に伴う近接構造
物への影響と対策について
川崎市大師河原貯留管送水
ポンプ棟(ニューマチックケー
ソン工法)の施工事例報告
東京都
川崎市
工藤康弘
山下敬裕
藁科亮
白石祐也
山口貴士
佐藤光正
大阪市の平野市町抽水所は、約61m3/sの排水能力を有する全国的にも大規模な
ポンプ場であり、一部のポンプ系統において排水能力が不足しており対策が必要
である。対策として、ポンプ施設の増強などが考えられるが、用地上の制限から、
既存の躯体を最大限活用しつつ、抜本的な躯体改造及びポンプ施設の再配置に
より能力不足の解消(浸水安全度の向上)を図ることとした。本稿では、効率的な
浸水安全度向上に向けた、ポンプ施設更新計画の検討事例について報告を行う
ものである。
鹿児島県指宿市の大牟礼地区は雨水排水を大牟礼雨水幹線より排水しており、
潮位や降雨状況に応じて既設の潟口雨水ポンプ場より強制排水を行ってきた。し
かし、現在の計画降雨に対して既設ポンプ能力が不足している為、浸水被害が発
生している。また、建設後50年が経過していることから、既設の改修ではなく新た
に能力を増強した新潟口雨水ポンプ場を建設することとなった。日本下水道事業
団ではこの新潟口雨水ポンプ場の基本設計から詳細設計、工事発注、施工管理
までを指宿市より受託し事業を進めている。
本発表では、今後既設改修等の事業が増える中で、新設する運びとなった本件の
設計事例を紹介するものである。
水処理施設の運転管理における重要な要素の一つは、反応槽に汚水を適切に分
配することである。特に多段ステップ流入式硝化脱窒法では、基本的に各段の槽
に均等分配することを想定されており、その管理は容易にできることが望まれる。し
かし、実際の現場における均等分配の調整は苦慮する場合があり、その原因とし
て本報告では流路構造に着目した。実際の現場の事例から維持管理状況を整理
し、二次元流れモデルによる解析から考察を行った。そこから施設構造のどの部
分に配慮して設計・建設すると、より良い管理ができるかをまとめた。
通常、盤膨れ防止のためには、地下水の低下が必要である。工事施工箇所は、多
摩川沿いのN値50超の玉石・粘土混じり礫質地盤であり、透水係数が非常に高く
排水能力の優れているスーパーウェルポイント(SWP工法)であっても11本も必要
となり大量に揚水する必要がある。しかし、既設沈砂池ポンプ棟、管廊やJR等にも
近接しており、地盤沈下等も懸念され、安全面から大量の揚水は困難であり、さら
に、固い巨礫を含む地盤のため、確実に施工できる地下水の低下を図る地盤改
良工法も限定される。そこで、薬液注入による止水壁を築造して、透水係数を低
減、揚水量を大幅に削減したうえ、安全かつ確実に施工した事例を紹介する。
東京都下水道局では、都市化の進展に伴う雨水流出量増大等に対応するため、
新規のポンプ所の整備を進めている。これらのポンプ所建設においては、ニュー
マチックケーソン工法の採用の割合が大きくなっている。小松川第二ポンプ所の
ケーソン沈設の際には、傾斜・搖動による周辺地盤の引き込みと押し出しによる近
接する重要構造物への影響が懸念された。このため、近接する重要構造物への
影響を最小限にするため、周辺地盤の変位量を二次元FEMにより解析し、地盤の
引き込みに対しては鋼矢板をケーソン周辺に設置し、地盤の押し出しに対しては
近接構造物に近い位置に場所打ち杭を設置することとした。今回、この取組につ
いて発表する。
川崎市の臨海部に近いエリア(大師河原排水区、大師臨港排水区)を対象として、
浸水対策・合流改善などを目的とした、大師河原貯留管事業を平成20年度から
着手している。本事業は、大師河原ポンプ場から入江崎水処理センターまでの区
間の市道下に貯留管(仕上り内径5,000mm、延長約2Km)を築造し、貯留した雨水
及び貯留管内の汚水管により集積する汚水を送水ポンプ棟にて揚水し、入江崎
水処理センターの着水井に送るものである。 本論文は、上記事業のうち、入江崎
水処理センター内で現在施工している送水ポンプ棟の地下施設をニューマチック
ケーソン工法にて実施した施工事例を報告するものである。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第7会場(102会議室) N-6-2 ポンプ場・処理場施設(建設)(2) 12:45~14:05 1
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既存水処理施設更新実施設
計における設計手法の課題と 横浜市
考え方
既存施設の建築耐震補強に (株)東京
おけるIs診断を考慮したGIs官 設計事務
庁診断について
所
動的解析(非線形時刻歴応答 (株)東京
解析)による複合構造物の耐 設計事務
震性能評価
所
光硬化型防食工法の特徴に
ついて
日本下水
道事業団
(株)東京
維持管理性を考慮した今後の
設計事務
処理場返流水管について
所
北澤恵子
大西武
大庭勝
横地達雄
横浜市では、計画汚水量の将来的な減少により水処理施設の新設はほぼ不要と
なる見通しとなっています。 したがって今後は、処理機能向上については、既存
水処理施設の高度処理化を図ることが主要な整備手法となり、新設から更新の時
代へと移り変わってきました。しかし、既存土木躯体を活かした更新においては、
従来の新規増設時と同様の設計手法が必ずしも適合せず、最適な水処理施設の
構築が難しいという課題を抱えておりました。本発表では、既存土木躯体を活かし
た更新における設計手法の課題と解決に向けた考え方を「既存水処理施設更新
設計ガイドライン(案)」として取りまとめた事例を紹介します。
下水処理場及びポンプ場における既存建築施設の耐震補強では、保有水平耐力
Quを用いたGIs診断(官庁施設の耐震診断)による耐震補強設計が行われている
が、現行の構造計算規定を満足しないことが多く、またQu算定方法の判断が難し
く、補強が困難な場合もある。本件は、下水道建築施設の耐震補強におけるGIs
診断に際して、Is診断(建防協RC診断基準)を考慮したQu算定(壁・梁・柱のせ
ん断破壊及び脆性破壊)の取扱いについて述べるとともに、提示する手法に基づ
き第3者委員会(判定委員会)にて評定を受けた事例を報告する。機能確保・設備
移設等が困難な補強施設に対して、問題解消となる代替案となれば幸いである。
複合構造物の地下土木部の耐震性能評価には、震度法が一般的に用いられてい
る。震度法は簡便である反面、構造物の地震時挙動や地盤の応答特性を精度よく
再現することが難しいとされている。そこで今回、震度法の欠点を補うべく、動的解
析(非線形時刻歴応答解析)の手法を取り入れた耐震性能評価を試みることとし
た。動的解析では、「ステップ1:有効応力解析手法による地盤と構造物連成の二
次元非線形地震応答解析」と「ステップ2:梁・板要素を用いた静的三次元非線形
漸増載荷解析」を組み合わせた2ステップでの解析手法を採用した。本稿はこの
検討内容の一例を紹介するものである。
下水道施設特有の硫酸によるコンクリート腐食は、中性化による腐食より、はるか
に速い速度で進行するため、強い腐食環境に曝されるコンクリートには防食被覆
工が施工される。従来では、硫酸に対するコンクリート防食被覆工法として、防食
被覆層を現場で塗布もしくは打設する塗布型ライニング工法及び耐硫酸モルタル
防食工法や、工場製作した防食被覆層を対象コンクリートに貼り付けるシートライ
ニング工法が用いられてきた。本稿では、工場で製作したシートを、半硬化状態で
コンクリート表面に貼り付け、光を照射することで硬化させ、防食被覆層を形成させ
る、新たな防食被覆工法の光硬化型防食工法について、その特徴を整理したの
で報告する。
高度経済成長期に建設された下水処理場の多くが,耐用年数を迎える時期とな
り,処理場の再構築を検討する事例が近年増加している。また,再構築とは別に,
硫化ガス等の劣化により施設を補修する場合がある。中でも,汚泥理施設からの
返流水管は,代替施設がなく,地下構造物のため満足な点検が行われず,陥没
小野田康二 事故等の原因となるケースが報告されている。また,返流水管の補修等は,汚泥
処理施設全体に影響するため,容易に行えないケースもある。さらに,これら返流
水管の劣化は,焼却炉施設を含む場合,顕著となる事例が多い。このため,焼却
炉施設を有する処理場を例に,今後の再構築検討における返流水管の基本設計
方針の提案を行う。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第7会場(102会議室) N-11-1 計測・制御(1) 14:20~15:40 1
2
3
4
5
横河ソ
フィールド無線を活用した監視 リューション
制御システムの検討
サービス
(株)
横河ソ
人間工学と知識工学を取り入
リューション
れた監視制御画面設計への取
サービス
組み
(株)
今後の下水道施設運用に求め
(株)東芝
られる監視制御システム
実施設における風量自動制御 前澤工業
による硝化抑制運転
(株)
アンモニア・硝酸計を用いた送
(株)西原環
風量制御システムの活性汚泥
境
モデルによる検証と評価
井上志生
佐藤香輔
清水涼一
円谷輝美
和田真澄
フィールド機器のインテリジェント化に伴い、これらの機器が発信する計測信号や
診断結果など、多様なフィールド情報の活用が可能となっている。しかし現状で
は、その適用範囲は監視が主であり、高機能かつ高信頼性が必要な監視制御に
関してはまだ導入が進んでいない。しかしながら、操業の全体最適化のためには、
監視のみに留まらない幅広い無線ソリューションが必要である。本稿は、フィールド
無線を活用した監視制御について検討したので報告する。
監視制御システムの監視操作画面は、プラントの安全性向上や運転員の生産性
向上を目的に、人間工学や知識工学の知見を取り入れて、運転員の意思決定を
支援することが求められている。本論文では、画面設計を管理・運用・詳細の3階
層に分けることを提案する。管理階層では、プラント全体のKPIを表示する。運用
階層では、運転タスク毎に画面を分け、運転に過不足ない情報を表示する。詳細
階層では、全てのプロセスデータを網羅的に表示する。この画面設計方針を導入
することで、熟練運転員のノウハウが形式化・システム化され、人間工学的に整理
された監視操作画面を導入し、運転員の誤判断や誤操作が抑制され、安全性の
向上が期待できる。
下水道事業は、技術継承の問題、施設の老朽化、財政の縮小など持続可能性の
危機に直面している。そのような中「新下水道ビジョン」では、今後の下水道が果た
すべき使命とその実現に向けた方向性が掲げられた。本稿では、「新下水道ビジョ
ン」の『「循環のみち下水道」の持続』、『「循環のみち下水道」の進化』で掲げる各
種課題や具体的施策の中で、下水道施設の運転管理の中枢を担う監視制御シス
テムにおける課題と役割を抽出し、その課題解決と役割実現に必要な新たな特性
としての「拡張性と柔軟性」、「新旧機種の親和性」、「情報セキュリティ」について考
察する。また、その特性から監視制御システムに展開した新たな機能の一例を紹
介する。
処理水量約13,000m3/日の標準活性汚泥法実施設を用いて、自動風量制御によ
る硝化抑制運転を行った。反応槽は4槽に区分され、流入側から、嫌気槽、好気
槽、無酸素槽(嫌気好気両用槽)、好気槽となっている。各槽に、省エネ機器とし
て、嫌気槽にはフロート式撹拌装置、好気槽には低圧損型メンブレン式散気装
置、無酸素槽にはフロート式撹拌装置と低圧損型メンブレン式散気装置を設置し
た。また、曝気ブロワーには省エネで自動風量制御に適したスクリュー式ブロワー
を採用した。これらの省エネ機器を用いて、4槽目に設置したDOセンサーによる自
動風量制御実験を行って、処理の安定性と硝化抑制効果を確認した。
筆者らは反応タンクの送風量を削減することを目標とした送風量最適制御システム
を開発し、下水処理施設において実証試験を実施してきた。本システムは、反応タ
ンクに設置したアンモニア・硝酸・DOセンサからの信号および流入水量の信号よ
り、ファジィ制御により、送風量増減値を算出し、反応タンクへの送風量を制御する
ものである。本発表では、活性汚泥モデルと組み合わせて本システムの制御を再
現できるモデルを構築し、モデルのキャリブレーションおよびバリデーションを行っ
た後、本システムの効果検証や挙動解析に適用した結果を報告する。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第7会場(102会議室) N-11-2 計測・制御(2) 15:55~17:00 1
2
3
4
赤外線レーザー光を用いた汚 東京都下
泥消化ガス中メタン濃度の連 水道サービ
続測定技術の開発
ス(株)
東京都下
汚泥処理における工業計器の
水道サービ
測定誤差に関する調査
ス(株)
下水道管渠内光ファイバー網
を活用した映像等による情報
東京都
連絡・収集ツールの導入につ
いて
下水管渠内における光ファイ
バーの外装損傷調査に関する 札幌市
報告
野本睦志
今井悠斗
大塚匡英
高橋伸禎
東京都下水道局森ヶ崎水再生センターでは、汚泥の一部を嫌気性消化させ、PFI
事業による発電を行っている。東京都下水道サービスは消化槽の運転管理を受託
しており、PFI事業者に消化ガスを安定的に供給できるよう、細かな運転管理が求
められている。原料となる汚泥の濃度、性状は刻々と変化するため、それに応じて
発生する消化ガス中のメタンガス濃度も変動すると考えられるが、これまでメタンガ
ス濃度をリアルタイムで連続測定する方法がなかったため、消化槽運転条件とメタ
ンガス濃度の関係は不明であった。そこで、消化ガスを効率的に生成するための
条件検討を行うために、メタンガス濃度を連続測定する技術を開発したので報告
する。
汚泥処理施設では、濃度、流量など管理目的に応じて多種多様な工業計器が性
状を時々刻々多様に変化させる汚泥、分離液などを連続測定している。測定方式
は、超音波式やマイクロ波式など多種多様であるが、その測定値は、施設の運転
状況を把握し、良好な維持管理を行うえでの重要な指標となっている。したがっ
て、適切な汚泥処理を行うためには、工業計器で正確な測定を行うことが必要不
可欠である。本報告では、汚泥処理施設の濃度計を対象として、計器値と実測値
(手分析値)とを一年間継続的に比較することにより、計器の測定誤差の程度及び
その傾向について調査した結果を報告する。
東京都では、下水道管渠内にソフトプランと呼ぶ800km超の光ファイバーケーブル
を敷設し、遠方監視制御を始めとする施設の運転管理に導入して維持管理効率
化への活用を推し進めてきた。一方、東日本大震災時には、地中(管渠内)敷設さ
れた専用回線がもつ断線や輻輳が発生しにくい性質等、災害への強さが注目さ
れ、以降は危機管理向上も目的に、テレビ会議装置や直通電話といった情報連
絡手段の整備を進めてきた。さらに、新技術の採用や既存設備との組合せにより、
多地点会議や現場映像の収集にも機能を充実し、利用範囲を拡げている。ここで
は、情報連絡・収集ツールの導入状況と導入にあたっての技術的課題と対応につ
いて報告する。
札幌市では、無人ポンプ場と水再生プラザの遠方監視用として、下水管底に光
ケーブルを敷設している。平成26年8月に、設置後14年経過した光ケーブルの切
断事故が発生した。切断部分には激しく摩擦した跡がみられた。また切断した場
所は特殊マンホールで、管底の段差があり、更に他の流入管の接続部分でもあっ
たことから、同様な条件の場所についても光ケーブルの外装状態の調査を行っ
た。その結果、光ケーブル外装が損傷している場所があることが判明した。本調査
をもとに、光ケーブルの外装が損傷する原因について考察する。
平成27年7月30日(木)
発表
番号
発表題名
平成27年7月2日現在
所 属
氏 名
論文要旨
第1会場(605会議室) N-8-2 ポンプ場・処理場施設(維持管理)(2) 9:30~11:40 1
2
3
4
5
6
7
8
送泥汚泥からのメタンガス発生
堺市
抑制に関する調査
光触媒反応を利用した消化ガ
岩手大学
スの脱硫処理に関する研究
下水道閉塞物の成分分析に
ついて
福岡市
浄化センターにおける他都市
北九州市
のし尿等の受入処理について
(公財)愛
ピグ洗浄による長距離圧送区
知水と緑の
間の管理状況その2
公社
東京都下
ICT技術を用いたハンズフリー
水道サービ
点検システムの開発
ス(株)
(公財)福
放流水の消泡器材による消泡
井県下水
効果に関する調査について
道公社
最終沈殿池への傾斜板設置
に関する共同研究(その3)
積水アクア
システム
(株)
汚泥の集約処理では、下水処理場から汚泥処理施設までの送泥距離が長くなる
ため、送泥過程で汚泥が腐敗し、ガスが発生することがある。堺市泉北下水処理
場から大阪南下水汚泥広域処理場への送泥においても、夏期に送泥管内でメタ
ンガスが発生し、送泥障害を起こすことが問題となっている。泉北下水処理場で
山口多嘉子 は、これまで汚泥からのガス発生対策として、鉄含有硝酸塩を添加することで対策
を行ってきたが、薬剤によるガス発生抑制にはコストが掛かることが問題である。そ
こで今回、水処理における運転変更によるガスの発生抑制について検討を行った
ので報告する。
光触媒連続反応装置を用いて消化ガスに含まれる硫化水素の除去を検討した。
光源としてブラックライトランプ、殺菌ランプおよびオゾンランプをそれぞれ用いて
硫化水素除去の効率を比較検討した。また、消化ガスへの酸素注入の効果につ
いても検討した。
伊藤歩
河野嘉了
山田紀之
前田邦博
川上博行
市内のマンホール形式ポンプ場においてラード状の物質による閉塞事故が起こっ
た。閉塞物を除去するには閉塞物の性状を知る必要があるため,成分分析を実施
するとともにその除去方法について検討した。閉塞物の特徴をもとにGC/MSによる
脂肪酸及びコレステロール代謝物の分析,顕微鏡観察,揮発性物質の測定を実
施した結果,閉塞物は食品に含まれる動植物性油脂が固まって蓄積したものと推
測された。また除去方法を検討したところ,閉塞物は温水や適当な濃度の水酸化
カリウム溶液に溶解させることが可能と分かった。
北九州市の下水道普及率は99.8%に達しており、市内の一部地域のし尿等は環
境局のし尿投入所で受入れた後、上下水道局の浄化センターに圧送し処理して
いる。北九州市に隣接する自治体から、老朽化したし尿処理施設の改修工事期間
中に処理できないし尿等について、受入処理の検討の依頼があった。北九州市で
は当該自治体の一般廃棄物を受入ており、平成25年度にし尿等の受入について
検討を行い、平成26年度にし尿処理施設の更新工事期間中に発生するし尿の受
入処理を実施した。本稿は、自治体の広域的な連携の事例として、浄化センター
における他都市のし尿等の受入処理について報告する。
日光川下流浄化センターは平成22年度より供用を開始しており、弥富ポンプ場か
ら浄化センターまでの約8.4kmの区間を径600の圧送管にて送水している。平成
25年度の下水道研究発表会ではピグ洗浄時の運転ならびに水質の状況、洗浄
前後の管渠内TV調査等の結果について報告したが、課題となった適正なピグ洗
浄の実施時期について、平成26年度の洗浄実績から検討した。
ハンズフリー点検ツールは、タブレットやウェラブル装置など、ICT技術を活用した
現場点検業務サポートツールである。本ツールの利用により、「点検の確実実
施」、「設備異常などの気づきの促し」、「点検技術の習得・継承」が図れるととも
に、点検時に両手が開放されるため、より安全な点検業務が可能となる。ハンズフ
リー点検ツールの中核となる技術は、ガスタービン設備稼働中など強い環境騒音
下でも正確な入力を可能にする「声帯マイクを用いた音声入力」である。本論文で
は「声帯マイクを用いた音声入力」の開発および点検業務での活用について報告
する。
九頭竜川浄化センターでは、放流口の景観維持のため消泡剤による発泡抑制を
行ってきた。今回の調査では、コスト縮減の観点から消泡剤に代わる放流口への
泡の流出を抑制するための器材の検討および製作を行い、消泡効果の確認およ
び消泡剤との効果の比較を行った。
小林知晃
黒住悟
傾斜板沈降装置は水道施設設計指針に記載されている固液分離技術であり、効
率的かつ無動力の固液分離装置として知られている。しかしながら、懸濁物質の
濃度が高い下水処理場での導入実績は現時点では試験的な適用に限られてい
るのが現状である。そのため、本共同研究では下水処理場の最終沈殿池に対す
る傾斜板沈降装置の適用性を検証し、実用化を図ることを目的として設備仕様お
よび維持管理手法について検討した。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第1会場(605会議室) N-8-1 ポンプ場・処理場施設(維持管理)(1) 12:45~14:05 1
2
3
4
5
下水汚泥からの硫化水素発生 (公財)三
抑制のための消臭剤注入量の 重県下水
最適化に関する研究
道公社
汚泥処理返流水から発生する (公財)神
硫化水素濃度の挙動と施設へ 奈川県下
の影響について
水道公社
LAS微量分析を利用した下水
福岡市
道施設診断
ポリ硫酸第二鉄添加による硫
化水素抑制効果及び返流水
負荷低減効果について
(株)データ
ベース
水処理施設コンクリート部の硫
酸腐食以外の劣化要因に関 神戸市
する一考察
森政美
荒原浩貴
下水汚泥の濃縮工程、脱水前工程における消臭剤注入量の最適化を図ることは、
作業環境の維持及びコスト削減の両面から重要な課題となっている。このため、平
成24年4月1日から26年10月24日までの期間を対象として、脱水汚泥を搬出車両
に積載するときの硫化水素濃度日最大値、消臭剤注入量、消臭剤注入率、気温
の調査及びデータ収集を行い、多変量解析手法(重回帰分析)により数値(線形、
指数)モデルを検討し、消臭剤注入量の最適化モデル(硫化水素濃度日最大値
予測モデル)を作成した。今後は、本モデルを本格運用するとともに、その科学的
妥当性についても検証していく予定である。
相模川流域下水道四之宮管理センターでは、平成24年度に沈砂池流入主ゲート
の弁棒腐食が発見され、緊急時以外のゲート使用を禁止とする維持管理制限を
実施した。この原因は、汚泥処理施設の返流水による影響(硫化水素による腐食)
であると考えられ、沈砂池室内では夏期に硫化水素が検出される事例も見られて
いる。そこで、汚泥処理施設の返流水から発生する硫化水素濃度を調査し、施設
の腐食対策(硫化水素対策)について検討を行った。
平成25年度,福岡市で管理している6か所の下水処理施設において,流入下水
および放流水のLAS調査を初めて行った。1か所の下水処理施設での放流水濃度
は,他の施設とは異なる濃度を示し,各水処理工程での濃度を確認するために追
加調査を行った。各水処理工程でLCMSMSを用いたLAS分析を行うことによって,
山﨑理恵子 LASは下水処理施設での動向を掴みやすい物質であることが判明した。下水中に
多く存在し,微量を分析できるLASは,下水処理施設の水処理工程の良否を判断
する有用な分析診断ツールとなることが分かった。
山田桂子
十勝川浄化センターでは、2012年度、2013年度に重力濃縮槽にポリ硫酸第二鉄
(以下ポリ鉄)を添加することで、硫化水素抑制効果、臭気抑制効果、ユーティリ
ティ削減効果を確認した。2014年度は気温の高い夏季(6月から8月)を中心として
添加試験を行い、比較的低い添加率(流入汚泥量に対して200ppm程度)でも、良
好な硫化水素発生抑制効果が確認された。加えて、重力濃縮槽越流水のSS濃
度、溶解性リン濃度を測定したところ、水処理に与える返流水負荷が低減されるこ
とがわかったので、その結果を報告するものである。
下水処理場の土木構造物は、硫化水素による腐食対策に重点が置かれ、流入部
~生物反応槽までの処理過程前半のコンクリート部の防食対策が実施されてき
た。最近、防食対象外の施設である砂ろ過のコンクリート部について、劣化状況の
報告が寄せられたことから、神戸市内6処理場8施設において外観目視調査を実
施した。その結果、これまで劣化が想定されていなかった好気的環境にある砂ろ
大﨑紗恵子 過や最終沈殿池のコンクリート表面において、軟質化や骨材露出等の脆弱化が確
認された。水処理施設コンクリート部の硫酸腐食以外の劣化要因および劣化機構
について、劣化状況等の現地調査結果や処理水質・運転状況より考察した結果を
報告する。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第1会場(605会議室) N-8-3 ポンプ場・処理場施設(維持管理)(3) 14:20~15:40 1
2
3
4
5
スカムかき寄せ装置の改善に
ついて
東京都下
水道サービ
ス(株)
超音波パルス反射法による大 東京都下
口径汚泥配管減肉調査の評 水道サービ
価
ス(株)
デマンドコントロールによる電
力削減(基本料金・従量料金) 東京都
の取組
中日本建
配管の流れ場における流体の
設コンサル
分配調整
タント(株)
包括管理現場における「プロセ メタウォー
ス総合管理の導入」による管理 ターサービ
水準の向上
ス(株)
玉田輝幸
稲熊和之
森ヶ崎水再生センターでは、スカムかき寄せ用スプレー装置を平成13年度に第一
沈殿導水渠に改良工事で設置していた。しかし、導水渠のスカム堆積状況をみる
と十分にその機能が発揮されておらず、臭気の発生や人力による清掃作業に伴う
重労働という課題がある。
本調査では、現状のスカムかき寄せ用スプレー装置では、導水渠の中に設置して
ある設備や躯体構造のため流しきれないスカムに対し、発生箇所に簡単に設置で
きる水中ミキサーを具備した装置を設置し、効果を検証するものである。
下水処理場には数多くの汚泥配管が設置されている。これまで汚泥配管を含む配
管類の保全管理は、応急的な部分補修を中心に実施してきた現状があり、全体的
に長年の使用による腐食及び摩耗の進行が懸念される。配管の健全性を保ち汚
泥処理の円滑な運用が可能な設備を構築することを目的として、東京都下水道局
が行う大規模な補修工事の具体的な内容を決める参考資料に供するため行った
汚泥配管の減肉調査について報告する。
小滝勝己
流域下水道本部では、維持管理費の1/4を占める動力費に着目し、夏季の二つの
ピーク時の電力削減を目標に、新たな発想によるネガワット(マイナスの電力使用
=発電)プロジェクトを推進したので報告する。第一に夏季ピーク時間帯(6~10
月の13~16時)に電力使用を抑制することで料金割引を受けられるピーク調整電
力に着目し、①夏季ピーク時、②夏季ピーク時以外、③冬季(11~5月)に分け
て、水再生センターの揚水から水処理、汚泥処理までシステム全体の設備運転台
数の最小化を図った。第二に翌年度の基本料金は、前年度の電力使用実績の最
大値(年間の最大瞬間電力使用量)により更新されるためデマンド管理により極力
削減した。
山本洋一
水処理施設では反応槽各系列への送気、多段ステップの硝化槽へ送気、返送汚
泥の各反応槽への分配など、配管の流れ場による流体の均等分配の必要な箇所
が多数ある。現場では手動および電動バルブによって流体の分配調整を行ってい
るが、均等分配が適正に実現できていない事例が多数ある。バルブ調整によって
均等分配の確保に努めるが、開度に対する流量の感度が微妙で非常に難しいた
め、管理を容易にするため、バルブ調整を必要としない配管設計が求められる。今
回の報告では、空気配管に絞り、均等分配の数値解析例を紹介する。今後、これ
らの結果を踏まえ、均等分配がやりやすい配管の設計時の留意点などを整理して
いく。
渡邉敦
施設運営の改善を支援するためのしくみの構築における課題の整理と、現場での
改良改善ができるシンプルなしくみの構築とその現場での実践について報告す
る。従来、部門ごとに管理され、月報レベルでしか確認できなかった情報を、運転
に必要な1400程度の指標を統合するデータベースに日単位で統合し、タイムリー
にPDCAを回すしくみを構築した。更にこれを用いた改善事例(系列分配の最適
化、送風制御の最適化)による水質向上(冬季運転における処理水CODの低減)
について紹介する。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第2会場(606会議室) N-10-5 汚泥処理技術(5) 9:30~11:25 1
2
3
4
5
6
7
既設消化槽を利用した高温消
京都市
化導入について
嫌気性消化槽の最適運転に
向けた基礎調査
下水汚泥消化槽内の汚泥撹
拌に関する検討-さらなる処
理機能の向上にむけて-
消化槽用「低動力撹拌装置」
の開発
東京都下
水道サービ
ス(株)
大阪市
メタウォー
ター(株)
国立研究
オキシデーションディッチ法の
開発法人
脱水汚泥を対象とした中温嫌
土木研究
気性消化特性調査
所
細胞内貯蔵物質の蓄積による
大阪大学
活性汚泥の嫌気性消化におけ
大学院
るメタン収率の向上
セルロース分解菌添加による
下水汚泥の嫌気性消化効率
化の検討
富山県立
大学大学
院
八嶋学
東藤義洋
島田卓
新屋文隆
日髙平
惣田訓
田中究
京都市ではバイオマスエネルギーの利用促進を目的として重力濃縮槽,消化槽
等の能力拡大を含む更新事業に着手しているところである。更新後は消化槽の運
用を中温消化から高温消化へ移行するとともに,ガス精製設備を導入し,消化ガス
の有効利用をさらに拡大していく計画となっている。施設稼働後は今まで補助的
に運用していた消化設備を処理の中心に置くとともに,創エネルギーに向けた運
転条件へと運用を変えていく必要がある。そこで施設更新中の処理能力低下を補
うとともに,創エネルギー運用へのスムーズな移行が実現できるよう,既設消化槽
を利用し高温消化運転への移行を試みた。
東京都下水道局森ケ崎水再生センターは、下水汚泥を消化処理している。発生
する消化ガスは、PFI事業として民間企業に供給して発電および熱回収を行って
いる。当社は、汚泥の消化処理を含めた汚泥処理全体の維持管理を受託している
が、PFI事業との関係から消化ガス発生量を2.4万Nm3/日以上とする要件が規定さ
れている。しかし、発電の設備能力からは、4.0万Nm3/日以上とすることが最も効
率的であることから、当社も運転条件等を工夫することで消化ガス発生量の増量に
取り組んでいる。本報告では、消化処理の現状を把握したうえで、より安定的に消
化ガス量を増大させる運転手法の検討を行った結果を報告する。
下水汚泥処理プロセスにおいて、汚泥の減量化と性状の安定化を目的に嫌気性
消化を行っている。市内の6処理場に消化槽が設置され、消化槽から発生する消
化ガスは、ガス発電事業を行うなど有効利用を図っている。消化槽の連続した安
定運転は、汚泥性状や汚泥量、消化ガスの発生量に大きな影響を与えるため、非
常に重要な要素となっているが、近年、消化槽への投入汚泥の性状変化に伴い、
消化槽内の撹拌不足による発泡などが発生し、設備停止に至ることもある。そこ
で、既設消化槽内の撹拌状況の把握調査を行い、撹拌能力の評価や効率的な運
転方法の検討結果について報告する。
新規に開発した消化槽用の低動力撹拌装置について,大阪市内のB-DASH実証
設備においてJSとの共研の下で,その性能調査を実施した。超高効率固液分離プ
ロセスから発生した生汚泥を用いて,HRT5日の高温消化を行った結果,消化槽
下部に堆積物が発生することなく槽内の濃度が均一に保たれることで順調な消化
が行われ,同時に動力の大幅な削減を達成した。また,担体を充填した同一条件
による長期運転による影響も実施した。
嫌気性消化で回収するメタンガスによる発電が注目されているものの、小規模施
設での導入例は少ない。従来、小規模向け処理法であるオキシデーションディッ
チ(OD)法から発生する汚泥は嫌気性消化に向かないとされていたのに対して、
石川県ではOD法の脱水汚泥を集約し嫌気性消化を行う事業が計画されている。
下水汚泥を集約する場合、下水汚泥を高濃度化することで処理場間の運搬効率
を上げることが望ましく、脱水汚泥性状などが嫌気性消化特性に及ぼす影響を明
確にする必要がある。本研究では、OD法の脱水汚泥2種類および都市下水処理
場の脱水汚泥1種類を用いた連続式嫌気性消化実験を行い、メタン転換率などの
処理特性を調査した。
嫌気性消化法は下水汚泥を減容化し、メタンを回収できるプロセスであるが、汚泥
の分解率は最大でも60 %程度と低い。近年、細菌の炭素源及びエネルギー源であ
るポリヒドロキシアルカン酸 (PHA)を20 %蓄積させた汚泥を嫌気性消化に供したと
ころ、メタン発生量が25 %増加することが報告された。すなわち、活性汚泥のPHA
やグルコーゲン蓄積機構を利用すれば、嫌気性消化によるメタン発生量が向上す
る可能性がある。しかし、それら細胞内貯蔵物質を蓄積した余剰汚泥の嫌気性消
化に関する知見は未だに乏しい。本研究では、様々な細胞内貯蔵物質蓄積率の
汚泥を嫌気性消化に供し、その蓄積率と消化ガス発生量の関係を調査した。
廃棄物系バイオマスである下水汚泥を利用する手法として,メタン発酵がある.下
水汚泥のメタン発酵は,脱水ケーキの削減と生成したメタンをエネルギー源として
活用できる利点がある.しかし,下水汚泥はセルロースなどの難分解性有機物を
多く含むため,有機物分解率が約50%程度と低いことが課題になっている.本研究
では,下水汚泥中のセルロースの分解を促進することによるメタン発酵効率の向上
を目的とし,セルロース分解菌C.thermocellum添加による下水汚泥のメタン発酵効
率の向上の可能性を評価した.さらに,C.thermocellumをより活性化させるために
下水汚泥中に不足している微量金属の添加も検討した.
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第2会場(606会議室) N-10-4 汚泥処理技術(4) 12:45~14:25 1
2
3
4
5
6
焼却炉廃熱を活用した汚泥乾
明石市
燥設備の概要と省エネ効果
二液脱水汚泥(低含水汚泥)
の常温乾燥システム
洗煙処理塔析出物の発生原
因と再発防止に関する調査
メタウォー
ター(株)
東京都下
水道サービ
ス(株)
流動焼却設備における灰の焼 月島テクノ
結事例と焼結防止対策に関す メンテサー
る報告(続報)
ビス(株)
濃縮工程を省略した新しい処 日本下水
理システムの設計手法
道事業団
(公財)日
汚泥処理におけるエネルギー
本下水道
消費量の分析と省エネ技術の
新技術機
導入効果について
構
北村建人
川崎一平
石塚健一
上野勇
碓井次郎
小野基巳
明石市は焼却炉を2基保有しており、都市ガスのみを補助燃料として使用する1号
炉と都市ガスに加えて消化ガスを利用する2号炉がある。1号炉は平成11年4月か
ら供用開始しており、設備の老朽化が課題となっていた。そこで、更新時期を迎え
た1号炉を改修せずに休止とし、2号炉の機能強化により全量処理することとした。
具体的には、焼却炉の廃熱を活用した汚泥乾燥設備を新設し、乾燥汚泥と脱水
汚泥を混合焼却することで従来よりも安定かつ効率性の高い汚泥処理体系を構築
した。
本報では汚泥処理体系の概要とその省エネ効果について報告する。
従来汚泥の乾燥技術では乾燥熱源に高温、高圧な空気や蒸気を利用しているの
で燃料コストが多くかかり、また加温により臭気成分が蒸発水分中に溶け出すた
め、能力の高い脱臭設備を設ける必要があるなどの課題を有していた。そこで、日
本下水道事業団が実用化した機内二液調質型遠心脱水機で脱水した汚泥の特
長(低含水,低臭気,顆粒)を活かし、常温空気を用いた化石燃料未使用の低燃費
乾燥技術を共同研究した。ここでは、機内二液脱水汚泥の常温乾燥試験を実施
し、乾燥特性(乾燥性能,発生臭気)を確認したのでここに報告する。
東部スラッジプラントでは、汚泥焼却炉から発生する廃熱を有効利用するため、洗
煙塔から出る高温排水(70℃以上)を地域冷暖房の熱供給源(TSE事業)に活用し
ている。2013年10月、汚泥焼却炉2・3号洗煙処理塔の循環ポンプが過負荷により
停止し、排ガスの洗浄不良が発生した。循環ポンプを開放点検したところ、白色の
付着物が確認された。この付着物は、洗煙処理塔下段のスプレーノズル、配管お
よび壁面でも確認され、管内等を閉塞し、洗浄不良を発生させる主原因であること
が分った。我々は、洗浄不良に至った付着物の原因調査を行い、一定の知見が
得られたことから、発生原因と今後の対策について報告する。
近年、分流式下水道において、高度処理化等に伴い、汚泥中のリンの高濃度化
が進みつつある。リンの高濃度化が進んだ汚泥を焼却する流動焼却設備におい
て、高温焼却時(850℃)に炉出口ダクトや空気予熱器上部管板部での灰の焼結
が発生し、圧力損失の増加、熱交換器の損傷、等により運転不能に陥る事例を報
告した。これらの焼結事例に対して性状分析、焼結実験を重ね、薬品類の追加注
入により、焼結の抑制、防止を図ってきた。本報告は、これらの状況、抑制対策に
ついて実機にて追加調査を行ってさらなる知見を得たので、追加事例を含めて、
昨年発表内容の続報として報告するものである。
下水処理場における従来の汚泥処理フローには、濃縮工程と脱水工程がそれぞ
れ導入されてきた。本研究は、これらの工程における低コスト化と省エネルギー化
をめざし、濃縮工程を省略した新しい処理システムの開発を目的としている。昨年
度は、本システムの概要並びにコスト試算に関する報告を行った。本発表では、四
季を通じた実際の下水処理場におけるパイロットプラントを用いた処理性能確認結
果と本システムを既設処理場へ導入するための設計手法について報告する。
汚泥処理施設におけるエネルギー消費量は,水処理施設に次いで多く,下水処理
場全体の約3割を占めている。このことから,早急な省エネ技術の導入促進が望ま
れているところである。本研究では,下水道統計等を用いて,汚泥処理施設におけ
る処理方式毎のエネルギー消費量の実態を分析するとともに,省エネ技術である
ベルト型濃縮機や過給式流動焼却炉の導入のほか,消化ガス発電を適用した場
合の導入効果について調査した結果を述べる。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第2会場(606会議室) N-10-2 汚泥処理技術(2) 14:40~16:35 1
2
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6
7
北九州市曽根浄化センタース
北九州市
クリュープレス脱水機導入事例
汚泥集約処理施設における汚 東京都下
泥性状の日常変化に関する調 水道サービ
査
ス(株)
初沈汚泥と余剰汚泥の混合比 金沢大学
率が汚泥脱水性に及ぼす影響 大学院
高濃度消化法における消化汚
水ing(株)
泥の脱水特性
低動力型高効率遠心脱水機
の機内二液調質法におけるリ
ンおよび硫黄の挙動
高分子凝集剤高速連続溶解
装置を用いた脱水実証試験
月島機械
(株)
巴工業
(株)
汚泥処分費削減を目的とした
脱水用凝集剤の比較実証試 水ing(株)
験
原田泰徳
早坂政紀
小杉優佳
西井啓典
岡橋諒
北九州市曽根浄化センターでは、基幹設備である未消化汚泥処理設備の老朽化
が進んだことを受けて、平成23年度と平成25 年度に脱水設備の改良工事を行っ
た。脱水機は、従来のベルトプレス式からスクリュープレス式へと方式を変更し、順
次導入した。導入にあたっては、脱水ケーキの運搬費や処分費、その他電気代や
薬品代等の維持管理費の縮減を目的とした処理が行えるよう機器の仕様を設定
し、本年より実運用を開始した。そこで、今回のスクリュープレス脱水機の導入前後
における運転結果を比較し、維持管理費の縮減について検証したので報告する。
当社は、東京都下水道局の汚泥集約処理施設である東部スラッジプラントの維持
管理を一括受注している。当該施設の維持管理では、夏季や冬季に汚泥性状が
悪化することで凝集剤使用量の大幅な増加や脱水ケーキ含水率の上昇等が毎年
発生し、汚泥処理の安定確保に苦労している現状がある。このため、汚泥性状を
日常的に測定し、汚泥性状と薬注率、ケーキ含水率の関係を明らかにすることで、
汚泥性状に合わせた最適運転方法が確立できないかを検討した。本報告では、
汚泥の性状等を様々な側面から測定データに基づく多角的解析について報告す
る。
汚泥の脱水性はその後の処理に大きく影響することから,安定した脱水性能を得
ることが不可欠である。汚泥の脱水性は,汚泥性状に大きく依存し,季節的に変動
することは知られているが,日々,時間によっても,大きく異なる現象がしばしば認
められる。これは,初沈汚泥と余剰汚泥の引き抜き頻度が異なることが影響してい
ると考えられる。そこで,本研究では,初沈汚泥と余剰汚泥の混合比率が脱水性
に及ぼす影響について,実験的に検討を行った。その結果,脱水性は,凝集剤の
種類よりも両者の混合比率に大きく依存し,初沈汚泥の混合比率が多いほど,脱
水性が良好であることが示された。これは,初沈汚泥中の繊維質が多いためと推
定された。
高濃度消化法(投入汚泥濃度8%、消化日数15日)での消化汚泥の脱水性につ
いて報告する。下水処理場に設置した高濃度消化法パイロットプラントの消化汚泥
について脱水試験を行った結果、従来法消化汚泥より良好な試験結果が得られ
た。これは主に消化日数の短縮によって脱水性の向上に寄与する成分が多く残存
したことによるものと考えられた。
この結果を用いて、脱水を含めたトータルの汚泥処理システムとしての従来消化法
と高濃度消化法の比較・評価を行った。
低動力型高効率遠心脱水機の機内二液調質法は、脱水汚泥の含水率を低減で
きることが既往の研究で明らかになっている。機内二液調質法の薬剤として使用す
るポリ硫酸第二鉄は、含水率の低減のほか汚泥中のリンを脱水汚泥側に固定化
し、返流水負荷を低減する効果も発揮する。また、本薬剤に含まれる硫酸イオン
(硫黄分)は、脱水汚泥側に移行することにより、後段設備の腐食問題や排気ガス
としてSOx発生の原因となることが懸念される。本研究では、二液調質法で排出さ
れる分離液および脱水汚泥中のリン、硫黄分を測定し、その挙動を調査した。
下水処理施設等で使用される粉体高分子凝集剤の多くは撹拌溶解方式が使用さ
れている。撹拌溶解方式では、通常複数の大型溶解タンクおよび2時間程度の溶
解時間が必要で、また、水質によっては溶解した凝集剤の経時劣化の問題があっ
た。そこで、溶解設備の小型化と安定的に新鮮な凝集剤をすぐに供給できるよう
波多野恵一 に、渦流ターボミキサーを用いた高速かつ連続で溶解する装置を開発した。今回
は、開発した高分子高速連続溶解装置の概要と、脱水実証実験の結果を報告す
る。
髙橋広治
ポリアミジン系高分子凝集剤はアクリルエステル系凝集剤に比べて、難脱水性汚
泥に対し優れた脱水性を有している。この度、ポリアミジン系凝集剤を使用し現状
含水率が83~85%で更なる含水率低減が望まれる処理場において、含水率低減
による搬出費用削減を目的に、無機凝集剤を併用したアクリルエステル系凝集剤
による脱水実証試験を実施した。含水率は83.0%から81.6%へ1.4%低減し、薬剤
費用及び搬出費用を含む汚泥処分費は2.2%削減が見込まれる結果となった。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第3会場(607会議室) N-9-4 水処理技術(4) 9:30~11:25 1
2
3
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5
6
7
NADH風量制御を利用した嫌
気無酸素好気法に関する実証 福岡市
実験
OR(酸素必要量)制御の硝化
抑制型運転への適用
OR(酸素必要量)制御の複数
系列への適用方法
(株)ウォー
ターエー
ジェンシー
(株)ウォー
ターエー
ジェンシー
包括管理現場における運転上 メタウォー
の課題解決事例~アンモニア ターサービ
計を用いた送風制御の改善~ ス(株)
低圧損型メンブレンパネル式
超微細気泡散気装置の深槽
適用及び運転状況報告
三機工業
(株)
住友重機
反応タンク用低動カインペラ式 械エンバイ
撹拌機の撹拌特性
ロメント
(株)
低圧損型メンブレン式超微細
気泡散気装置の長期追跡調
査
白水千穂
小泉栄一
池田洋平
中大輔
福岡市では、平成23年度より、活性汚泥微生物の補酵素NADH(還元型のニコ
チンアミド-アデニン-ジヌクレオチド)を指標とした風量制御を嫌気好気法に試験
導入し、実証実験を行った【実験1】。一定の効果は得られたものの、冬期の高濃
度窒素の流入時は目標水質を超過することがあったため、対策として硝化液循環
設備等を追加し、嫌気無酸素好気法へ処理フローを変更し、平成26年度より、実
験2として、硝化液循環の効果や、処理性能、省エネルギー性、等を調査中であ
る。本報では、実験2により得られた窒素・りんの処理特性、省エネ性能などについ
て報告する。
筆者らは、反応タンク流入負荷をオンライン測定して算出した酸素必要量に基づく
曝気量のフィードフォワード制御と、反応タンク内水質のセンサーによる測定値を
用いたフィードバック調整を組み合わせた酸素必要量制御(OR制御)を開発した。
これまでは、硝化促進型の運転を実施している施設を制御対象としてきたが、OR
制御は硝化抑制運転への適用も可能である。本報では、1年間の運転データをも
とにして、硝化抑制型運転における、OR制御の導入効果について検証する。
筆者らは反応タンク流入負荷をオンライン測定して算出した酸素必要量に基づく
曝気風量のフィードフォワード制御と、反応タンク内水質センサーの測定値を用い
たフィードバック調節を組み合わせた酸素必要量(OR)制御を開発した。これまで
は制御対象とした反応タンクそれぞれにフィードバック調節用のアンモニア・硝酸
センサーを追加設置していた。しかし、制御対象とする系列ごとに水質センサーを
設置することは、導入コストの増加につながる。そこで、既存設備の水質センサー
を代替指標として使用することでOR制御の対象系列数増加に対応する試みをお
こなった。本報では、この方法を用いて得られた運転データをもとに、その効果を
検証する。
反応槽における送風量調整の高度化による省エネと水質の安定化を目的として、
アンモニア計を用いた送風制御方式を検討した。一つの濃度センサーで数ヵ所の
アンモニア濃度を測定可能とする流路切り替え式の濃度測定設備を構築し、1時
間毎の手動によるフィードフォワードの送風制御を実施した。その結果、従来の送
風制御方式に比べ、安定した水質と過剰送風抑制の効果を得られた。また、反応
槽へ流入した流量とアンモニア負荷量の時間変動曲線を解析し、流入アンモニア
負荷には一定の時間変動パターンが存在することを確認した。
低圧損型メンブレンパネル式散気装置は、実績のある従来型メンブレンパネル式
散気装置と同構造・同材質でありながら、高い酸素移動効率と低い圧力損失を特
徴とした省エネルギー型の散気装置である。今回、深槽タンクにおける清水での
性能把握および、実施設での運転状況について報告する。
海鋒充
村田圭三
反応タンクの嫌気槽・無酸素槽に用いる槽上設置型撹拌機は、下水処理施設の
高度処理化、省エネルギー化に大きく貢献している。従来のテーパーインペラ式
撹拌機は、水槽の下部にインペラを設置していたためシャフトが長くなり施工性や
維持管理性に改善の余地があった。また、継手が必要な場合にはし渣の絡み付き
などのリスクも懸念された。今回、揚力向上と抗力の低減化を図った翼形状の最適
化を行った新しいテーパーインペラ式撹拌機を開発し、水槽上部に設置しても十
分な底部流速を得ることができ、更に省エネルギー性向上を実現したので、その
撹拌特性について報告する。
国内の下水処理において、多孔体製の散気板は広く採用されているが、経年的な
目詰まりによる圧損上昇や更なる酸素供給能力向上などの課題がある。当社で
は、上記課題の解決のため、多孔体製の散気板と互換性のあるゴムメンブレンタイ
ダイセン・メ
プの散気装置を開発した。本散気装置は、目詰まりがなく、低圧損・高酸素移動効
ンブレン・
平川圭一郎 率といった性能を有することを特徴としている。実処理場に納入し、定期的にサン
システムズ
プリング評価を実施しており、2015年に使用10年が経過する。長期に渡って追跡
(株)
調査を行ってきたが、新品時と比較して大きな劣化もなく性能が維持できているこ
とが確認された。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第3会場(607会議室) N-9-5 水処理技術(5) 12:45~14:55 1
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5
6
7
8
ステップ流入式嫌気無酸素好
気法の処理特性及びNH4-N 東京都
制御適用の効果について
東陽Ⅲ系における硝化液循環
東京都
ポンプの運用について
高効率固液分離技術と二点D
前澤工業
O制御技術を用いた省エネ型
(株)
水処理技術実証研究
使用電力の大幅低減が可能な
メタウォー
新しい水処理プロセスの実規
ター(株)
模実証
活性汚泥一時貯蔵物質PHA
の実態調査および活性汚泥処 横浜市
理における挙動について
汚泥返送比と最終沈澱池堆積 日本下水
汚泥に関する一考察
道事業団
実施設調査と回分実験を組み
(株)日水コ
合わせた活性汚泥モデルの調
ン
査・解析手法に関する研究
創成川水再生プラザにおける
札幌市
脱窒速度定数の算定について
和光一紀
有野貴
ステップA2O法では、A2O法等の他の高度処理と異なり、前段ステップ流入比や
第一・第二好気槽の硝化量についての制御が必要となる。処理プロセスを考慮す
ると、これらは処理性や必要送風量に強く影響を与えると考えられるが、両者の関
係は十分に明らかにされていない。北多摩二号水再生センターではこの点に関す
る調査を平成24年度から継続している。これまでの取組で、前段ステップ流入比が
りん処理性に強く影響することや、処理性を維持しつつ送風量を低減するための
処理条件等が明らかになった。本稿では、これらを中心とした、ステップA2O法に
ついて得られた技術的知見を報告する。
一般的に硝化液循環運転の効果は、硝化液に含まれるNOx態窒素の脱窒作用
による窒素除去率の向上であるとされている。また、硝化液に含まれる溶存酸素や
脱窒に際した有機汚濁物の消費による曝気風量削減効果も期待できるとされてい
る。本調査では、硝化液循環を行うことによる窒素除去性能と水処理電力量の関
係を明らかにすることで、硝化液循環運転の最適化を図ることを目的とした。その
結果、硝化液循環運転の効果から、窒素除去率は約10%向上し、さらに風量削減
効果により水処理電力量は3.1%削減されたことに加え、低DO条件下における硝化
促進効果も得られたため、単位電力量当たりの窒素除去量は従来法と比べ25%
向上した。
本研究は、平成26年度の下水道革新的実証事業(B-DASHプロジェクト)として採
択されたもので、前澤工業(株)・(株)石垣・日本下水道事業団・埼玉県の4者による
共同研究体で実施している。既設の活性汚泥処理施設を使って、最初沈殿池を
「前沈殿+高速繊維ろ過」設備に改造して、下水中の固形性物質を高効率に除去
綿引綾一郎 することで反応タンクへの負荷低減を図り、反応タンクを嫌気槽と無終端水路に改
造して高負荷二点DO制御OD法の技術を適用することで、窒素・リン除去と省エネ
化を狙っている。本発表では、H26年度の成果として、実証設備の概要と初期の運
転性について報告する。
大和信大
従来の下水処理では水処理工程の曝気が使用動力の多くを占めている。そこで
散水ろ床法を採用することにより曝気を不要とし、使用電力の低減を図るプロセス
を構築した。本プロセスは、まず前ろ過(第一BR)で固液分離とBOD除去を行い有
機物負荷を低減後に、散水ろ床(第二BR)で溶解性有機物除去と硝化を行い、最
後に後ろ過(FF)で固形分を分離し清澄な処理水を得る。実規模実験設備は、高
知市の下知水再生センターの一水路に設置した。本報告では今年2月に行った実
証試験における、立上げ運転の結果を報告する。
坂本俊彦
活性汚泥一時貯蔵物質PHAは、高度処理のりん除去に深くかかわる物質である
とともに、近年、活性汚泥プロセスの有機物除去機構の一つとして位置づけられつ
つあり、活性汚泥モデル(ASM)No.3へ有機物の一時貯蔵プロセスが導入、記
述されるようになっている。このため、水再生センターの下水、反応タンクおよび汚
泥処理過程でのPHAの実態、挙動を把握することは、高度処理法でのりん除去
のみならず活性汚泥法での良好で安定した下水処理のためには重要であると考
えられる。このため、下水試料、汚泥試料、活性汚泥中のPHAの実態、および活
性汚泥処理でのPHAの挙動、りん等関連因子との関係を調査したので発表す
る。
栗田毅
標準活性汚泥法をはじめとする下水処理では、運転操作条件によっては、最終沈
澱池に汚泥が堆積し、反応タンク内活性汚泥濃度の低下、最終沈澱池流出水
COD濃度の上昇などの障害の原因となることがある。これらの現象は、どのような
条件で引き起こされるのかについて、経験的には認識されているが、理論的には
解明されていない。そこでわれわれは、返送汚泥の最終沈澱池における機能に着
目し、返送汚泥の反応タンク内滞留時間から一日当たりの系内循環回数を求め、
最終沈澱池での汚泥堆積発生に関する理論的考察を行った。加えて、現在、経
験的に設定されることの多い汚泥返送比を、理論的に設定する手法についても検
討した。
石原裕孝
石川翔太
活性汚泥モデル(ASM)は反応タンク内での生物反応をモデル化したものであ
り、任意の流入・運転条件に対して処理水質の予測が可能なツールである。ASM
では対象とする処理場での特性を反映させるため、水質データをもとにモデルの
パラメータ調整(キャリブレーション)を行うが、施設構造によっては水質データだけ
でキャリブレーションが困難なケースがある。そこで本研究では、凝集剤併用型ス
テップ流入式多段硝化脱窒法を採用している下水処理場を対象に、実施設での
水質調査に加えて室内で回分実験を実施し、施設構造上の特徴と生物反応の特
性の切り分けたキャリブレーションを行い、実施設の再現を目指した。
平成25年度に行った硝化速度定数の見直しに続き、新たに脱窒速度定数を算定
し、活性汚泥の基礎的能力を把握することとした。この脱窒速度定数と、現状の硝
化脱窒運転結果との照合や、硝化速度とのバランスを考慮し、反応タンクの運転
方法を再度検討することを目的として本調査を行った。脱窒速度試験結果から、
創成川水再生プラザにおける脱窒速度定数DNは、Tを水温として、第1処理施設
でDN=0.59×exp(0.081T)、第2処理施設ではDN=1.16×exp(0.055T)と算定し
た。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第3会場(607会議室) N-9-6 水処理技術(6) 15:10~16:30 1
2
3
4
5
オゾンマイクロバブル応用によ
(株)日立
る分散型下水再生処理システ
製作所
ムの中国実証
バイオソープションによる下水
(株)明電
最初沈澱池の有機物分離能
舎
力向上の検討
散水ろ床型バイオリアクターに
おける硝化速度の時空間変動 高知大学
特性
ICTを活用した革新的水処理
(株)東芝
運転管理技術の実証
グラニュール汚泥の形成とそれ
オルガノ
を用いた高効率窒素処理技術
(株)
の開発
JST(科学技術振興機構)CREST国プロの一環として、独自のマイクロバブル生
成方式に基づく下水再生処理システムを構築し、中国・四川省において実証試験
を実施した。本システムは、膜分離活性汚泥処理(MBR)+逆浸透膜処理(R
O)、およびオゾン処理から構成される分散型システムであり、特にMBR余剰汚泥
圓佛伊智朗 とRO膜濃縮水を対象とするオゾン処理が特徴である。本方式では、RO膜の余剰
圧力を用いることで、無動力でマイクロバブルを生成できる。実証試験の結果、R
O膜濃縮水に余剰汚泥総量の約75%を添加しても、中国の下水放流水質基準
(一級B)をクリアできることを確認した。
福崎康博
現在、活性汚泥法を用いた下水処理施設が日本では主要な下水の処理手段と
なっているが、下水に含まれる有機物は消化ガスとして嫌気性消化槽を用いて再
資源化できるため、可能な限りエネルギーとして分離回収及び再生されることが望
ましい。そのために本研究では、下水由来の細菌が持つ有機物を吸着する能力
であるバイオソープションと呼ばれる現象を利用し、下水に含まれる有機物を固形
物だけでなく溶存態有機物まで可能な限り多く沈澱池で分離し消化槽へ送ること
ができるA-stageと呼ばれる処理方式について評価実験を行い、十分高い有機物
分離能力が確認された。そこで、本研究で得られた有機物分離特性について報告
する。
都甲満
筆者らは,1)流入水の固形物を効率的に除去可能な前段のろ過槽,2)プラス
チック担体を使用することでろ床の洗浄を可能とした散水ろ床型バイオリアクター,
3)処理水中の微細なフロックを除去し良好な透視度を得る後段のろ過槽から構成
される省エネ型下水処理プロセスの開発に取り組んでいる。本稿では,パイロット
試験装置による7月から11月の下水の処理特性を示すとともに,散水ろ床型バイオ
リアクターにおける硝化速度の時空間変動特性を明らかにした。その結果,安定し
て良好なBOD処理が行われるとともに,担体に付着した硝化菌が運転にともない
増殖し,結果としてバイオリアクターの上部から高い硝化速度が得られたと考えら
れた。
小原卓巳
B-DASHプロジェクト「ICTを活用したプロセス制御とリモート診断による効率的
水処理運転管理技術実証研究」の初年度成果を報告する。本研究では、①NH4
-Nセンサーを活用した曝気風量制御、②制御性能改善、③多変量統計的プロ
セス監視の三つの要素技術を組み合せた革新的運転管理技術について、実規模
施設の運用結果に基づく評価を行った。技術①では硝化機能を維持しつつ、DO
制御比10.3%の風量低減効果を実証し、技術②ではDO制御の制御安定化指
標であるDO標準偏差の低減効果が得られ、技術③ではDO計等の異常兆候を、
個別センサーの上下限値による異常検知に比べて早期に検知できることが確認さ
れた。
三宅將貴
窒素成分を含有する排水を効率的に処理するため、微生物汚泥を粒状化させた
グラニュール汚泥を形成させ、高速で処理を行う技術の検討を行った。
硝酸排水を用いた検討において、脱窒槽へ添加する水素供与体を間欠的に行
い、脱窒槽において濃度変動を与えることで汚泥のグラニュール化が誘導されるこ
とを確認した。また、硝化槽および脱窒槽からなるアンモニア処理系において、同
様に脱窒槽への水素供与体の添加方法を間欠的に行うことで、硝化能および脱
窒能を併せ持つ硝化脱窒グラニュールの形成が確認され、高速処理が達成され
たため、その結果を報告する。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第4会場(608会議室) S-8 化学物質対策・水系水質リスク 9:30~11:25 1
ノニルフェノール関連物質の下
横浜市
水処理における挙動調査
2
水再生センターにおける直鎖
アルキルベンゼンスルホン酸
及びその塩の実態調査
3
国立研究
下水処理におけるノニルフェ
開発法人
ノールエトキシレート(NPEO)の
土木研究
除去特性
所
4
TiO2/UV/セラミック膜による
京都大学
純水中PPCPs除去評価に関す
大学院
る検討
東京都
The Beijing
University
of
Technology
5
Adsorption of Sunset Yellow
from Aqueous Solutions by
lnactivated Aerobic Granular
Sludge
6
国立研究
孵化仔魚期から下水処理水に
開発法人
曝露したメダカの産卵に与える
土木研究
影響
所
7
川崎市の下水処理施設等に
おける化学物質リスクアセスメ
ントの実施について
川崎市
酒井真美
平成24年に水生生物の保全に係る環境基準項目として、ノニルフェノール(NP)が
追加された。NPおよび、その関連物質であるノニルフェノールエトキシレート
(NPnEO)、ノニルフェノールエトキシ酢酸(NPnEC)を含有する排水は水再生セン
ターに流入し、下水処理過程で分解・吸着されて河川や海域に放流されることか
ら、これらの下水処理過程における挙動を把握することは重要である。そこで平成
24年度から25年度にかけて、横浜市内の全水再生センターおよび、汚泥資源化
センター内の分離液処理施設において、NP関連物質の挙動調査を行ったので、
その結果を報告する。
樫原慎久
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(以下LASという。)及びその塩について、平成
25年3月に環境基準が定められた。将来的には排水基準が設定されることも想定
される。そこで、東京都区部13水再生センターを対象として、各水再生センターの
流入水、放流水及び汚泥処理工場返水におけるLASの実態調査を行った。加え
て、反応槽内の挙動を確認した。これらの調査結果について報告する。
小森行也
平成24年8月22日にノニルフェノール(NP)が環境基準に追加され、今後、排水基
準の検討がなされるものと予想される。NP はNPEO の分解により生成するものもあ
ることが知られている物質である。本研究ではNPEOが高濃度で流入した場合、下
水処理過程でNPの生成がみられるのかについて確認することを目的とした。実下
水を流入水とする活性汚泥処理実験装置を用い、高濃度のNPEO を添加した系
においてNP類(NP、NPEO、NPEC)の挙動把握を行った結果について報告する。
本間亮介
下水の高度処理や再生技術としてセラミック膜の利用が注目されている。セラミック
膜はその機械的強度の高さから、他の処理プロセスとの併用が期待されている。そ
こで本研究では、新興汚染物質として同じく注目されている医薬品類52種
(PPCPs)を純水に添加し、その除去性能から、セラミック膜ろ過と酸化チタンもしく
は紫外線照射の併用を想定した処理プロセスの評価を行ったので報告する。
LiJun
北村友一
成島正昭
The ability of aerobic granular sludge (AGS) to adsorb Sunset yellow (SY) from
aqueous solutions was studied. Adsorption studies were carried out at varying
pH, dosage of adsorbent, initial dye concentration and temperature. The
experimental results showed that pH was an important factor affecting the
adsorption efficiency. The optimal adsorption conditions were pH 2.0, adsorbent
dosage of 2.0 g/L, and temperature at 35 ℃. The equilibrium adsorption
capacity was positively correlated with the initial concentration of dye.
Adsorption data were modeled using Langmuir, Freundlich, and DubininRadusckevich (D-R) adsorption isotherms. The equilibrium data of the adsorption
process fitted very well to the Freundlich model. The results of kinetics showed
that the experimental data fitted well to the pseudo-second-order model. Both
intraparticle diffusion and membrane diffusion might affect the adsorption rate.
The thermodynamic parameters such as enthalpy change (ΔH°), entropy
change (ΔS°) and Gibbs free energy (ΔG°) were evaluated. There results of
ΔH°>0, ΔS°>0 and ΔG°<0 indicated that the adsorption of dye was a
spontaneous and endothermic process. Furthermore, the results of ΔS°>0
reflected high affinity of dye SY. Fourier Transform infrared spectroscopy
indicated that functional groups such as amine, hydroxyl, carboxyl, sulfur, and
phosphorus in AGS played an important role during the adsorption of SY. These
results showed that AGS could be used as an effective and low-cost adsorbent
for removal of dye SY from wastewater.
下水処理水が魚類の繁殖に与える影響を明らかにするため、活性汚泥2次処理
水、脱塩素水道水で50%に希釈した2次処理水、対照区とする脱塩素水道水に、
仔魚期メダカを成魚になるまで曝露し、成魚に成長した後、産卵数を調査した。そ
の結果、活性汚泥2次処理水100%曝露区の受精卵数は、2次処理水50%曝露
区、対照区よりも、少ない傾向を示し、2次処理水50%曝露区では、対照区よりも多
くなる傾向を示した。2次処理水が50%に希釈されると産卵への悪影響は、認めら
れなくなることがわかった。
化学物質リスクアセスメントの実施については、労働安全衛生法第28条の2の規
定により事業者に努力義務が課せられており、さらに平成26年6月25日付け「労
働安全衛生法の一部を改正する法律」(平成26年法律第82号)が公布され、今
後、一定のリスクのある化学物質についてはリスクアセスメントの実施が義務として
課せられる。そのため、下水処理施設等で使用する化学物質の有害性・危険性の
リスクアセスメントの実施及びリスク低減を図ることは、喫緊の課題となっている。今
回、川崎市の下水処理施設等で使用する化学物質について、対象作業の抽出、
有害性・危険性の特定、リスクの見積り及びリスク低減対策の検討を実施した。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第4会場(608会議室) N-5 管路(建設) 12:45~14:40 1
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管路内での間欠接触酸化によ
積水化学
る下水処理技術の開発(第2
工業(株)
報)
管路内下水浄化の導入による 東京大学
浄化効果評価システムの開発 大学院
横浜駅再開発に伴う浸水対策 横浜市
自然排水区における合流式下
水道改善貯留施設の基本的な 東京都
検討事項について
シールド工事における可燃性
札幌市
ガス対策について
(株)東京
雨水管きょにおけるベント管伏
設計事務
越しの検討事例
所
不明水対策:下水道用透明支 積水化学
管の開発
工業(株)
玉木聡史
佐藤弘泰
大橋一将
岡田大吾
安田絢一
鈴木克紀
神山章
下水道の重要なストックである、下水管きょを積極的に活用するために、浄化機能
付下水管(浄化管)を開発し、実下水を用いてパイロットスケールでの長期試験を
実施した。セパレーター構造とした改良型浄化管においても、前報とほぼ同等の
浄化性能が得られた。また、9カ月間の長期運転においても、処理性能低下や目
詰まりは見られなかった。さらに、浄化管の処理水を直接凝集沈殿処理することに
より、BOD20mg/L以下の処理水が得られた。浄化管の採用により、処理場での
生物処理槽(反応槽)を大幅に縮小または廃止でき、またエアレーションや汚泥処
理にかかる費用を大幅に削減できる可能性がある。
管路内下水浄化の導入による水質浄化効果を簡易的に評価するためのシステム
を開発した。地理情報データはshape形式、また、管やマンホールの属性情報はテ
キストファイルとして入手した。属性情報を汎用データベースFileMaker Proに取り
込み、各マンホールに流入負荷量を割り当て、また、リレーショナル機能を利用し
最上流端のマンホールから流下方向に下水量と汚濁負荷量を積算した。さらに、
管路の流下条件から管路内浄化に適した管を選出し、単位長あたりの酸素供給
量を設定することで、管路内を流れる下水の水質を評価した。水質データはdbf形
式のファイルを介してGISに引き渡し可視化した。
横浜駅周辺のまちづくり計画である「エキサイトよこはま22」においては総合的な
治水対策の取り組みとして、二級河川帷子川の河口部の改修や橋梁の架け替え
等と下水道整備や開発にあわせた敷地内貯留を位置付けています。本市では、
横浜駅周辺に近年最も甚大な浸水被害を起こした平成16年10月の台風22号と同
等の時間降雨量74mmにも対応できるように、新たに雨水貯留管等の整備に着手
します。雨水貯留管の排水先が横浜駅周辺の河川の影響を受けないように排水
先の選定にあたっては、本市のまちづくり(土地区画整理事業)とも整合をとりつつ
施設計画の策定を行いました。
東京都では、これまで、自然排水区での合流改善貯留施設の整備事例が少なく、
設計にあたって必要な検討項目、施設形状、付帯施設が明確にされていなかっ
た。また、維持管理上の課題やそれに対する対応策についてもまとめられたものが
なかった。
今回、自然排水区で設置されている貯留管や、ポンプ所に併設されている貯留池
の現状を調査し、自然排水区での合流改善貯留施設を設計するうえで必要であ
る、基本的な検討事項についてとりまとめを行った。
近年、都市化が進み集中豪雨等による雨水流出量が増大しており、浸水被害が
増大している。札幌市では、区画整理事業区域を含む東雁来・東苗穂地区の浸
水対策として雨水拡充管及び雨水ポンプ場の整備を進めている。雨水拡充管に
ついては、内径2600mmの拡充管を約1.1kmにわたり整備する計画である。拡
充管の布設工法としては、泥土圧式シールド工法を採用している。シールド工事
の施工に先立ち、工事区間内にて詳細な地質調査を実施したところ、シールド掘
進深度において高濃度の可燃性ガスが存在することが判明した。本論文では、今
回の工事で実施した泥土圧式シールド工法での可燃性ガス対策の概要について
報告する。
雨水管渠の伏越しは一般的に伏越し室を上下流の両側に設け、土砂等が伏越し
管内に流入するのを防止するため泥だめを設置している。しかし、伏越し管の流下
能力を適切に維持するためには定期的に伏越し室を清掃する必要があり、この維
持管理作業が大きな負担となっている。そこで、雨水ベント管伏越しを導入して伏
越し室をなくすことにより、建設コストの縮減と維持管理作業の軽減を図ることにつ
いて検討した。更に維持管理性の向上を図るため簡易な除砂機能を雨水ベント管
伏越しに組込む検討を行ったことから、その検討事例について発表する。
近年、雨天時でもないのに処理場等に流入する汚水、いわゆる不明水が問題と
なっている。不明水は、処理場処理費用の増大や道路陥没の原因となったりする
ため自治体では流入を低減するため不明水調査を行い対策を行っている。不明
水の流入原因は、管路の誤接続、下水道本管の破損や下水道本管と住宅等から
流入する取付管部からの地下水等の浸入である。そこで本研究では、不明水調査
の原因の一つである取付管設置工事時、例えば本管と取付管の接着不良等の施
工不良により地下水等が流入してきていることから、接着不良等の施工不良を低
減するため目視で容易に管理できる製品と施工法の開発を行ったので報告を行
う。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第4会場(608会議室) N-7-1 管路(維持管理)(1) 14:55~16:35 1
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(公財)日
管きょの長寿命化を目的とした
本下水道
部分改築工法の開発に関する
新技術機
共同研究
構
下水道用マンホール改築・修
繕工法に関する共同研究
下水道マンホールふたの浮
上・飛散等に関わる安全対策
(公財)日
本下水道
新技術機
構
東京都下
水道サービ
ス(株)
道路陥没防止対策における重
点化
東京都
(取付管の計画的補修)
管きょ再構築整備における新
たな老朽化対策先行整備手法 東京都
について
(株)G&U
マンホール鉄蓋の腐食劣化に
技術研究
関する基礎的研究
センター
亀田瞬
浅野雅則
矢野新吾
近年、管路施設の老朽化等に起因した道路陥没事故が増加している。また、高度
経済成長期に敷設された施設が一斉に耐用年数を迎えることから、効率的な対策
が求められている。本研究では、こうした背景のもと、更生工法のようなスパン全体
を対象に改築するのでなく、異常発生個所のみを更生の対象とした部分改築工法
の開発を行った。更生材料として、自立管相当の更生材と端部の止水層として水
膨張フェルト材を採用した事で、管路の変状にも追随性を有し、レベル2地震動に
対応する事を確認し、長期的な止水性能を保持することを確認している。
下水道用マンホールについては,既に非開削工法(更生工法・防食工法)が開発
され実用化されているものの,設計方法や性能評価方法等が統一化されておらず
対策工法の選定が容易で無いことや長寿命化計画の策定について対象外である
などの課題が存在した。本研究では,下水道用マンホールの調査診断・計画・設
計・施工管理までの一連流れを網羅し,長寿命化計画策定の事例を技術資料とし
て取りまとめたものである。
東京都下水道サービス(株)管路部は、出張所業務を通じこれまで様々な人孔蓋
の浮上・飛散事故等(以下「事故等」という)を経験し、原因の追及と対策を行って
きた。また、事故等の防止或いは被害の最小化を図る装置の開発も行ってきた。
一方、国では平成10年に高知市で発生した人孔飛散による人身事故を受け「下
水道マンホール安全対策の手引き」が取りまとめられている。本論文では、現場で
経験した事故等の事例と、その安全対策について「手引き」を踏まえ管路維持管
理に従事する者にとって実務上参考となる報告をする。
当局では、これまで道路陥没対策として、発生原因の約75%を占める陶管取付管
の塩ビ化を推進しており、道路陥没件数は、減少傾向にある。しかし、取付管の塩
ビ化を着実に実施してきたが、すべての取付管を塩ビ化するには多大な時間を要
するため、下水道台帳小図画(250m×175m)の道路陥没データから近年道路陥
荒井めぐみ 没が多発しているエリアを重点化した対策について説明する。
笹井満
桑原裕樹
東京都下水道局では、今後3か年の事業運営の指針である「経営計画2013」を
策定した。計画策定のポイントの一つとして、「お客さまの安全、安心を支え施策の
スピードアップ」を掲げ、老朽化した下水道管の再構築を約2倍にスピードアップ
することとした。従来どおりの整備手法では枝線再構築のスピードアップは困難で
ある。このため、浸水の危険性の低い地域などにおいて、開削工法による管の増
径を必要とする能力増強に先行して、更生工法を中心に老朽化対策を行う「老朽
化対策先行整備手法」を採用し、更生工法の一層の活用によるコスト縮減を図り、
枝線再構築のスピードアップを図っている。この取組について報告する。
下水道環境下における腐食について、コンクリート構造物においては、硫化水素
ガスに起因する硫酸による腐食が問題となっており、適宜対策がなされている。一
方、マンホール鉄蓋においては、コンクリートと同様の硫酸による腐食に加え、高
湿度環境であるマンホール内では結露による腐食が想定され、その腐食メカニズ
ムは複雑である。本研究では、マンホール鉄蓋の環境因子と腐食の関係を明らか
にするために、熊本市内にて腐食状況の調査と環境因子の測定を実施した。ま
た、管きょとマンホール鉄蓋との腐食状況の比較評価を行った。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第5会場(609会議室) N-3-1 環境・再生・リサイクル(1) 9:30~11:25 1
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福浦工場排水処理場脱水ケー
キ売却による環境負荷軽減と 横浜市
経費削減
建設資材化に向けた下水汚泥
京都市
焼却灰の安全性の確保
硫酸転換型生物脱硫装置の
バイオガス実施設への適用
荏原実業
(株)
横浜市との消化ガス精製への
東京ガス
膜分離技術適用に向けた取り
(株)
組み
都市下水処理水で培養した藻
バイオマスの養殖飼料への適 中央大学
用可能性
カリウム回収の仕上げ工程とし
北海道大
ての塩化物混合物からの塩化
学大学院
カリウムの分離
カリウム回収に利用する好塩古
北海道大
細菌の増殖に及ぼす余剰汚泥
学大学院
とMg添加の影響
古屋聡士
山田啓太
川崎祐
横浜市南部下水道センター所管の福浦工場排水処理場では、近隣のめっき工場
などからの工場排水を公共下水道に放流可能なレベルまで共同で前処理してい
ます。処理の過程で発生する脱水ケーキは、これまで廃棄物最終処分場に埋立
処分していましたが、金・銀等の貴金属が脱水ケーキ中に含まれていることに着目
し、有価物として扱うことを検討しました。脱水ケーキの価値を高める工夫や有価
物と判断するための条件整理等を行うことにより、脱水ケーキを有価物として資源リ
サイクル業者へ売払いすることが可能となりました。これにより環境負荷の低減、経
費の削減、埋立処分量の削減を実現できました。
京都市では下水汚泥焼却灰をセメント原料化等で有効利用している。さらなる有
効利用としての建設資材への利用に向け,下水汚泥焼却灰の安全性を確保する
ことに取り組んだ。安全性は含有量試験(環告19号)及び溶出試験(環告46号)
にて評価した。鳥羽水環境保全センターで発生する流動灰と階段炉主灰につい
て調査を行い,安全性の確保のために消石灰の他に各種薬剤を添加する手法を
検討した。その結果,含有量は全測定項目で基準を下回った。一方,溶出量は流
動灰のヒ素・セレン,階段炉主灰のヒ素が基準を超過したが,階段炉主灰について
は消石灰を1%以上添加することでヒ素の溶出が抑制され,安全性を確保できるこ
とが確認された。
消化ガスなどのバイオガスが再生可能エネルギーとして注目を集める中、バイオガ
ス利用において必須である脱硫工程の低コスト化が求められている。筆者らは、従
来の生物脱硫法で問題となっている硫黄の蓄積が少ない、硫酸転換型生物脱硫
装置の開発を進めている。
本発表では、バイオガス実施設での硫酸転換型生物脱硫装置の立ち上げおよび
通常運転の結果を紹介する。また、今回は脱硫性能に重要である生物脱硫循環
液の活性度を評価する方法を検討したので、合わせて報告する。
近年、下水バイオガス(下水汚泥消化ガス)からCO2を分離し、高濃度のCH4を精
製する種々な技術が注目されている。これら精製技術のうち、特に高分子膜を用
いた膜分離技術はシステムの小型化が容易であるため、中小規模の下水処理場
で発生する消化ガスを有効に利用する技術として期待ができる。そこで、膜分離技
齋藤安佐美 術の有効性を確認するために、2014年度から横浜市と共同で横浜市北部汚泥資
源化センターで発生する消化ガスを用いてメタンガスへの精製試験を開始した。
年間を通した試験の結果から、膜分離システムの課題や消化ガスの季節変動が膜
分離性能に与える影響について検討したので報告する。
後藤圭佑
中山翔太
中川晴菜
近年、世界的な養殖飼料用魚粉の需要増に伴う魚粉価格の上昇を背景に、魚粉
代替のタンパク質源として微細藻類が期待されている。一方で、微細藻類培養に
必要な多量の水と窒素が藻バイオマス生産の課題である。そこで多量の水と窒素
を供給するため、栄養塩を豊富に含む安定的な水源である都市下水に注目した。
本研究では、異なる4つの都市下水を用いた回分式培養を行い、微細藻類の養殖
飼料としての栄養価を検討した結果、どの下水でも魚粉と同程度のアミノ酸含有量
を示した。微細藻体内のタンパク質含有量を最大化しうる培養期間を検討した結
果、液中の窒素が枯渇した時点での藻バイオマスが、高いタンパク質含有量を示
すことが明らかになった。
日本は化学肥料として塩化カリウムをほぼ全量海外からの輸入に依存している。
一方日本の下水処理水には塩化カリウムが豊富に含まれているが下水処理水中
からのカリウム回収は実現していない。本研究は好塩古細菌がカリウムを菌体内に
高濃度に蓄積する特性に着目し下水処理水からカリウムを回収する手法の開発に
取り組んだ。カリウム濃縮後の好塩菌は主に陽イオンとしてカリウムとナトリウムイオ
ンが蓄積されるため、カリウムを選択的に分離する必要がある。そこでそれぞれの
溶解度の差を利用した溶解結晶法を用いてカリウムの分離を行い、カリウムの分離
に適した菌体中のカリウムナトリウム比(K/Na比)を求めた。
日本は自国にカリウム鉱山を有しておらず、化学肥料の原料としてのカリウムをほ
ぼ全量輸入に頼っている。また、施肥されたカリウムの大部分は下水中・畜産排水
に入いるが、日本の下水処理場ではカリウムの除去がほとんど行われおらず、カリ
ウムは環境水中へと放出されている。本研究では、陽イオン交換機能を有するゼ
オライトに下水処理水中のカリウムを吸着し高濃度NaCl溶液である回収液に溶脱
させ、この回収液で好塩古細菌を培養し生物濃縮によるカリウム回収を行うシステ
ムを提案した。低コストでのカリウム回収を実現するため炭素源を余剰汚泥とする
培養液での好塩古細菌の増殖可能性について検討した。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第5会場(609会議室) N-3-2 環境・再生・リサイクル(2) 12:45~14:25 1
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下水処理水の飲用再利用を目
的とした土壌浸透処理プロセス 京都大学
における有機物の挙動
処理水再利用技術の二酸化 国土技術
炭素排出量を考慮した適用可 政策総合
能性評価手法の開発と検証
研究所
再生水利用の技術開発ロード 国土技術
マップ案策定とISO規格開発に 政策総合
よる推進について
研究所
下水道の普及と処理水質の継
続的な改善による良好な水環 札幌市
境の創出について
(株)アクア
再生水オゾン処理の効率化技 環境ソ
術の開発
リューション
ズ
再生水のセラミック膜ろ過にお
メタウォー
ける凝集混和処理方法の効率
ター(株)
化検討
西村文武
重村浩之
山下洋正
林健太郎
中野聡
角川功明
下水処理水を飲用再利用することを目的とした、下水処理-土壌浸透処理-浄水
処理プロセスを想定し、その中での土壌浸透処理(SAT)プロセスにおける有機物
の挙動について実験を行い調査・評価した。有機物群をその性状により分画して
挙動調査したところ、中性の親水性画分の残存が見られ、またその画分は比較的
トリハロメタン生成能が高いものであった。しかしSATにより有機物の除去が促進さ
れ、処理水全体のトリハロメタン生成能は、水道水質基準を満たすものであり、再
利用目的としては有機物に関してはSAT処理は有効であることがわかった。
下水処理水は、渇水時においても安定して供給できる水源と考えられ、特に渇水
の起こりやすい地域において有効な水源と考えられるが、再利用のための処理に
係るエネルギーがかかると一般的に言われ、エネルギー消費に関する検討が必要
である。また、エネルギー消費だけでなく、薬品消費も含めた二酸化炭素消費量
の検討も必要である。本論文では、下水処理水の再利用に係る二酸化炭素排出
量の適用可能性評価手法の開発について検討し、また、その手法を用いて、モデ
ルとして設定した地域における処理水再利用技術の適用可能性について検証し
た。
世界的な水資源の逼迫等を踏まえ、再生水利用の推進が求められている。日本
は膜処理等の先進的技術を有しており、国内外への展開を通じて、国際貢献と水
ビジネスの強化を図ることが可能である。ISO/TC282(水の再利用)を日本が中心
になり設立、幹事国を獲得するとともに、国交省下水道部流域管理官が国内審議
団体となり、関係各機関と協力して、再生水処理技術の性能評価等の国際規格の
開発を進めている。また、新下水道ビジョンを踏まえ、国総研が中心となり下水道
技術ビジョンをとりまとめており、再生水利用についてもロードマップを策定した。こ
こでは、ロードマップとISO規格開発を通じた再生水利用の推進の取組を紹介す
る。
札幌市域には大小約590本の河川があり、従前、これら河川に排出されていた排
水が、下水道整備により下水処理場(以下、「水再生プラザ」という)で処理されるよ
うになった。また、水再生プラザの放流先の水量の多くを処理水が占めており、放
流先の河川水質は処理水に大きく左右される。これまで札幌市では公共下水道の
普及・整備や高度処理技術の導入等により、公共用水域へ排出される汚濁物質
量の削減に努めてきた結果、市内の河川水質は全体的に改善されている。一方
で河川水質の改善状況は地点により違いがみられることから、札幌市内の主要な
河川を対象に、下水道の普及による改善効果と処理水質向上による改善効果に
ついて検証を行った。
東京都下水道局で採用されている再生水製造装置である、オゾン処理+セラミッ
ク膜ろ過システムでは、オゾン処理や凝集混和処理において多大な電力と大きな
設備が必要となっている。今後、再生水利用の増加が予想される中、再生水をより
少ない電力と狭い敷地で製造していくことが求められている。今回、再生水のオゾ
ン処理を、エジェクターによるライン注入と特殊な溶解反応タンクを用いることで、
従来10分程度かかっていた処理を30秒で完了させることができ、オゾン使用量の
削減と大幅な設備のコンパクト化を実現したので報告する。
東京都下水道局で採用されている再生水製造装置である、オゾン処理+セラミッ
ク膜ろ過システムでは、オゾン処理や凝集混和処理において多大な電力と大きな
設備が必要となっている。今後、再生水利用の増加が予想される中、再生水をより
少ない電力と狭い敷地で製造していくことが求められている。今回、セラミック膜ろ
過前の工程であるPACの凝集混和処理をライン注入で行うことで凝集混和槽を不
要とする技術を検討した結果、撹拌動力の削減と設備の大幅なコンパクト化の可
能性を確認したので報告する。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第5会場(609会議室) S-6-2 バイオソリッドの利活用/りん等有用資源の回収(2) 14:40~16:00 1
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余剰汚泥からの元素類の溶出
岩手大学
特性に関する研究
消化汚泥からのリン回収効果
大阪市立
に及ぼす汚泥の酸処理条件の
大学
影響
下水汚泥溶融スラグ硫酸脱着
大阪市
液からのpH調製によるリン回収
「こうべ再生リン」の活用につい
て-オリジナル配合肥料の開発 神戸市
-
嫌気性MBRを用いたbMBR余
剰汚泥からのリン溶出に関する 中央大学
研究
川上北斗
貫上佳則
中尾賢志
田中章史
TaoLu
送泥管閉塞の原因となるリン酸塩の生成抑制と汚泥中の有用元素類の回収を最
終目的とし、余剰汚泥からの元素類(P、Ca、Mg、K、Fe、Al)の溶出特性について
実験的に検討した。具体的には硫酸やキレート剤による抽出法と、嫌気培養による
溶出法により検討した。生分解性キレート剤であるEDDSによる抽出を試みたが、
EDTAに比べて元素類の抽出効果は低く、P、Mg、Kの抽出率は60%程度であっ
た。一方、嫌気培養による溶出法では24時間程度の時間が必要であるが、薬品を
添加しなくてもP、Mg、Kの約50%が溶出することが分かった。
消化汚泥中に多く含まれている浮遊性オルトリン酸態リン(P-PO4-P)を酸処理す
ることで可溶化すれば、脱水ろ液としてより多くのリンを回収することが可能となる。
昨年に引き続き、複数の酸を用いた消化汚泥中のP-PO4-Pの可溶化効果と、酸
処理後の脱水ろ液からのMAPおよびHAPとしての回収効果について実験した。そ
の結果、酢酸を用いた処理により、効率的にP-PO4-Pを可溶化し、かつ脱水ろ液
からのMAPおよびHAPとしての回収処理に支障がないことがわかった。当日はこれ
らの結果について報告する。
下水汚泥溶融スラグには2.5~7.0%程度リンが含まれているという報告があるが,
スラグからリン回収を試みたという事例は報告されていない。本研究ではスラグから
硫酸を使用してリンを抽出し,pH調製によりリンを回収した。具体的には5%硫酸
酸性下で恒温振盪機60℃,130 spmの条件でリンを脱着した溶液を水酸化ナトリウ
ムでpH 2~12に調製し,沈殿物を生成させた。上澄み液の分析により,沈殿物へ
のリンと金属(主に鉄とアルミニウム)の回収率(移行率)を計算した。結果,スラグ
のリン脱着液からのpH調製によるリン回収率はpH 7が最もリン回収率がよく,かつ
鉄とアルミニウムの移行率が比較的低かった。
下水道にはりんが多量に流入しており、下水処理場内における汚泥配管の閉塞
や放流水域の冨栄養化の原因となっている。一方でりんは農業肥料の三大要素
の一つであり、国際的に枯渇が懸念されているため、下水道から効率的に回収す
る技術が求められている。本市では国土交通省の平成24年度B-DASHプロジェク
トとして「神戸市東灘処理場 栄養塩除去と資源再生(りん)革新的技術実証事
業」が採択され、平成25年2月より稼働を開始した。本件では下水汚泥から回収し
たりんの有用性と活用について発表する。
農作物の発育に必要なリンは近年枯渇が懸念されており,リンの全量を輸入に頼
る日本は,長期的かつ安定的なリン資源の確保が重要である.よってリン資源を循
環利用していくことが強く求められる.生物学的リン除去プロセスで除去されたリン
は汚泥中にポリリン酸として蓄積され,嫌気条件下で液相に再放出されるため,嫌
気性処理を用いた下水活性汚泥からのリン回収に関する研究も行われている.本
研究では,リンが高濃度に含まれるbMBR余剰汚泥の嫌気処理に固液分離が容易
にできる膜を導入し(嫌気性MBR),bMBR余剰汚泥からのリン溶出の有用性,バイ
オガスの創エネルギー効果を評価する研究を行っている.
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第6会場(610会議室) S-6-1 バイオソリッドの利活用/りん等有用資源の回収(1) 9:30~11:25 1
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下水汚泥の強制通気式堆肥
化過程における亜酸化窒素の 高知大学
排出
(公財)富
無臭燃料化技術による下水汚
山県下水
泥資源の利用について
道公社
複合バイオマス受入れと汚泥
日本水工
可溶化によるメタン発酵の可能
設計(株)
性について
民設民営方式によるFIT発電
月島機械
事業「大村消化ガス発電所」の
(株)
運営状況について
(公財)日
下水汚泥エネルギー化技術の 本下水道
導入効果について
新技術機
構
下水処理場の既存設備条件を 国土技術
考慮した下水汚泥エネルギー 政策総合
化技術の導入効果検討
研究所
活性汚泥からのPHA蓄積微生
物の集積に及ぼす温度とpHの 北里大学
影響
藤原拓
寺﨑勝
小針伯永
青柳健一
角田太
堀井靖生
井上大介
国内の下水処理場から入手した生汚泥,ならびにこの汚泥をラボスケールリアク
ターで中温消化および高温消化を行った後の汚泥を採取し,脱水後の各汚泥の
堆肥化特性ならびにその過程における亜酸化窒素の排出特性を比較評価した。
その結果,有機物分解にともなう安定化は高温消化汚泥,中温消化汚泥,生汚泥
の順に早く進行し,その結果生汚泥では他の汚泥と比較してN2Oの排出が抑制さ
れた。また,高温消化汚泥では中温消化汚泥より安定化は早かったもののN2Oの
排出速度は低いことが示され,この原因を解明するためには,今後微生物解析等
によるさらなる検討が必要と考えられた。
地球温暖化防止、資源有効利用及び経済性の観点から、バイオマスである下水
汚泥の燃料利用が注目されている。乾燥及び炭化により製造される下水汚泥固形
燃料は、JIS制定されるなど利用促進が図られ、特に炭化燃料が普及しつつある。
一方で、より高い熱量を持ち燃料価値が高い乾燥燃料は、臭気の問題から安定し
た需要家の確保に課題がある。本課題の解決策の一つに、乾燥汚泥をバリアフィ
ルム包装して臭気を抑制する「無臭燃料化技術」がある。本稿は、流域下水道から
発生する下水汚泥を無臭燃料化技術により付加価値を高め、バイオマスエネル
ギー需要家による利用を目的とした燃料搬送及び燃焼試験を実施した事例報告
である。
佐賀県唐津市では、低炭素社会づくりについての施策を総合的・計画的に推進す
るものとし、バイオマスエネルギーなどの新しいエネルギーを活用すべく具体的な
検討を進めているところである。現在唐津市で活用できるバイオマスとしては、下
水汚泥に加え、食品残渣、し尿・浄化槽汚泥、漁業・農業集落排水汚泥があげら
れる。これらを下水処理場の既存消化タンクに投入し消化ガスを有効利用するこ
と、また最近開発された汚泥可溶化技術を用い、バイオマスの更なる効率的・効果
的な有効利用を図ることの可能性について検討した。唐津市の地域・施設特性の
もと、十分に導入の可能性が認められたため、検討ケースの一事例として報告する
ものである。
大村市の大村浄水管理センターに、固定価格買取制度(以下、「FIT」)を利用した
「民設民営方式によるFIT発電事業」として、「大村消化ガス発電所」を建設し、平
成26年7月より全国に先駆けて運営を開始している。この事業スキームは、官民連
携手法の一つとして全国で採用が広がっている。本稿では、民設民営方式による
FIT発電事業のスキームについて大村市の事例を交えて紹介し、従来の消化ガス
発電手法(公設公営による場内利用)、ならびに公設公営方式によるFIT発電手法
との違いについて述べる。また、大村消化ガス発電所の運営状況、ならびに設備
の運転状況(発電や温水回収による消化槽加温など)について報告する。
下水汚泥は固形燃料や電力を創ることが可能な有機性資源であり,再生可能エネ
ルギーとして活用し,温室効果ガスの削減に貢献していくことが期待されている。
本研究では,地方公共団体におけるエネルギー化技術の導入検討に資すること
を目的に,固形燃料化技術およびバイオガス利用技術の導入検討に関するケー
ススタディを行ったので,事業性に関する検討結果について述べる。
下水汚泥の有効利用率を増加するためには、下水汚泥の資源・エネルギー化技
術を更に普及する必要がある。しかし、消化ガス発電や下水汚泥固形燃料化技術
の導入にあたっては、下水処理場の処理規模、既設焼却炉の有無及び更新時
期、消化槽の有無等の諸条件により、既存施設をそのまま更新する場合とエネル
ギー化技術を導入する場合のどちらがLCC、LCCO2が低くなるかが異なる。本検
討では平成27年に改訂された下水汚泥エネルギー化技術ガイドラインに記された
費用関数を用いて、様々な汚泥処理方式の規模・条件別のLCCを算出し、エネル
ギー化技術を導入したほうがメリットが出る処理場規模・条件を整理したので報告
する。
下水処理に伴って発生する余剰汚泥の資源・エネルギーとしての有効活用は重
要な課題である。微生物が炭素・エネルギーの一時貯蔵物質として蓄積するポリヒ
ドロキシアルカン酸(PHA)はバイオプラスチック原料の一つであり、また、PHAの
蓄積により汚泥を用いた嫌気性消化効率を高めることもできる。本研究では、PH
A蓄積による余剰汚泥の資源価値向上を目指し、異なる温度、pH条件下でfeast
-famine法による活性汚泥からのPHA蓄積微生物の集積を試みた。各集積条
件で得られた集積系のPHA蓄積特性と微生物群集の解析により、PHA蓄積微生
物の集積に対する温度、pHの影響について検討した。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第6会場(610会議室) N-1-2 経営・計画(2) 12:40~14:55 1
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下水道管渠の施設健全性推
移予測
(株)パスコ
鉄蓋における摩耗・材質・機能
オリジナル
等の分析をふまえた長寿命化
設計(株)
計画の検討事例
各種消毒技術の経済比較に
関する調査
(公財)日
本下水道
新技術機
構
下水管路建設費の費用関数と 東洋大学
適合性に関する検討
大学院
札幌市下水道改築基本方針
について
札幌市
下水道施設の上部空間の活
用~芝浦水再生センター上部 東京都
利用事業~
下水汚泥消化ガスを活用した
マルチエネルギー創造に向け 横浜市
た構想について
(公財)日
再生可能エネルギー利用技術
本下水道
の導入効果等に関する共同研
新技術機
究
構
丸山雄吉
岡田憲明
森脇隆一
上野修作
下水道管渠の長寿命化計画策定に当たり、改築計画の進捗に伴う長期的な施設
健全性の推移が、効果的な事業計画の重要な要件となる。本研究では、計画策定
の手引き及び既発表の健全率予測式に基づくと共に、実現性の高い事業計画を
実施するため、ブロック単位の維持管理の概念を導入して、事業進捗に伴う施設
健全性の推移をモデル化するツールを作成し、検証を行った。
マンホール蓋は道路上に設置され、管路の一部と道路の一部の両機能を併せ持
つ重要な施設である。また、近年増加傾向にある局地的な集中豪雨(ゲリラ豪雨)
等の大雨に対しては、マンホール蓋の浮上・飛散による事故等を未然に防ぐことも
求められる。このため、管きょと同様、マンホール蓋においても機能や劣化度を調
査・分析したうえで計画的な改築を行っていくことが重要であり、同検討事例につ
いて述べる。
A市の20.8haの処理区域において供用されている真空式下水道では、以前よりい
くつかの機能的な問題が発生しており,支障が生じている。問題への対応として
は、事後に応急的な対処が行われているものの、その原因等についての詳細な情
報把握が十分とは言えず、抜本的な改善対策が図られていない状況である。以上
の様な背景から、当該処理区の真空式下水道における機能確保に向け、原因究
明のための全域詳細調査を実施し、長寿命化計画の短期対策計画及び中長期
対策計画の検討を行った。
下水処理場の建設費は、処理水量との関係式が一般に用いられ、下水道計画に
大きく寄与している。一方下水管路の建設費については一般的なものがなく、事
業計画策定における課題の一つであった。本検討では管路事業費の費用関数を
作成することを目標に、実績データをもとに下水管路延長及び管路事業費と処理
区域面積、処理人口と関係を重回帰分析によって解析し、費用関数として示した。
管路延長についても、同様に関数式を作成した。この関数式をもとに、規模別、年
次別などの母集団の属性に関するグルーピング等を行い検討した。単純な面積当
たり、人口当たりの単価による推定に比べて、概算事業費の精度に貢献できるもの
と考えられる。
札幌市の下水道事業は大正15年に開始し、その後、戦後の急激な人口増加や札
幌冬季オリンピック開催を契機に昭和40年代から50年代に集中的に整備を進め、
平成25年度末では、約8,200kmの管渠及び10箇所の水再生プラザ等、膨大な施
設を管理している。施設の一部は、既に老朽化が始まっているため、適正な改築
佐々木達也 を進めなければ、道路陥没や処理機能の停止等が発生し、市民生活に多大な影
響を及ぼす恐れがある。一方で、集中的に整備をした施設の改築は、大きな財政
負担を伴うことから、可能な限り延命化や事業の平準化を図るとともに、計画的な
改築を進めていく必要があるため、次世代を見据えた長期的な改築の方針を策定
する。
晴山雄太
細川能之
小吉省吾
JR品川駅に近接する芝浦水再生センターでは、老朽化施設の再構築に合わせ
て、雨天時貯留池(合流式下水道の改善対策施設)、覆蓋及び上部公園を整備
するとともに、敷地の余剰容積を活用し、民間事業者への業務・商業ビル用地とし
て利活用する事業を実施し、平成27年春季グランドオープンを完了させた。本事
業計画の概要、事業を可能にするための立体都市計画制度の活用、事業運営の
費用を捻出する土地貸付等の事業スキームの構築等の取り組みについて報告す
る。
横浜市は「環境未来都市」として、環境・エネルギーに関する様々な施策を展開
し、環境問題など社会的課題を解決する成功事例の創出・普及展開を目指してい
る。策定中の「横浜市エネルギーアクションプラン」では、創エネや水素の利活用
などを施策の柱とし、技術開発の推進により下水道資源からのエネルギー活用を
推進することを位置づけている。本発表では、下水道資源の有効利用用途の拡
大、水素社会への貢献等を目指し、以前から研究している消化ガスのメタン高濃
度化技術と最先端の燃料電池技術を組み合わせ、消化ガスから水素などのマル
チエネルギーを創造する構想とその経緯、構想実現に向け発足した民間企業との
研究会について報告する。
消化ガス発電,小水力発電,太陽光発電,風力発電,下水熱利用,焼却排熱利
用といった,再生可能エネルギー利用技術の導入効果等を現在の実態に合わせ
て適切に把握し,対外的な説明等を円滑に行えるようにするとともに,導入に当
たっての各種設計諸元を適切に設定できるようにするため,導入検討に必要となる
手順フローや設計手法,行政と民間それぞれの事業スキーム,導入効果の検討
手法等をまとめた,再生可能エネルギー利用技術ガイドブック(案)を作成するもの
である。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第6会場(610会議室) N-1-3 経営・計画(3) 15:10~17:05 1
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下水道施設維持管理現場へ
のICT導入活用について
水ing(株)
(株)東京
CFDを活用した新たな施設計
設計事務
画の立案
所
下水道クイックプロジェクト(浄
法寺処理区)におけるコスト削 二戸市
減の検証
基本構想レベルでのクイックプ
ロジェクト技術活用効果への地 (株)NJS
域特性の影響
単独処理区の流域下水道へ
の編入事例~水環境向上と下
東京都
水道事業運営の効率化推進
~
『下水道経営改善ガイドライン』
で設定されている経営指標の (株)NJS
分析とその考察
コンセッションにおける下水道
分野特有の課題へのアプロー 浜松市
チ方法について
永渕泰隆
大西 学
古山淳夫
岩瀬範泰
岡田吉人
山田隼也
北嶋敏明
下水道普及率向上につれ総事業費は減少傾向にあり、これまで建設してきた施設
の多くが更新時期を過ぎる一方で財務事情により施設更新が進まないだけでな
く、老朽化する施設の管理費用も年々増加傾向にあります。これらの課題に対応
する為には、施設全体の状況把握を行い中長期的な施設状態を予測しながら、下
水道施設の効率的な管理を進める必要があります。弊社の維持管理業務で実際
に進めているICTサービスを例に施設状態の把握・効率的な管理を進める為の
サービスの導入方法や活用状況を交え、これからの下水道事業に必要なアセット
マネジメント等の基盤となる基礎情報の収集・整理について発表します。
これまで様々な下水道の流体の確認に水理模型実験が実施されてきた。しかし、
経済性もさることながら、模型縮尺や計測手間、施設の保管など問題となる点も
あった。そこで、水理模型実験の代替えとして、CFD(数値流体力学)による下水
道流れの解析を行えることを確認した。実験に代わる現実的な対応としてCFD活
用の必要性を示し、CFD採用に関する提案と課題を示していくものである。CFD
は、種々の視覚的な表現が可能で、模型実験では測定できない項目や場所の測
定が可能となるため、その一例について紹介を行う。
特定環境保全公共下水道 浄法寺処理区(計画面積65ha 計画人口1000人)の
整備が完了したことから、クイックプロジェクトの社会実験検証と処理区全体でのコ
スト縮減効果を検証する。今までは、個別のコスト削減効果は検証してきている
が、本稿では処理区全体でのコスト削減を検証をする。今回検証する工法は、膜
分離活性汚泥法(PMBR)、露出配管、側溝下水道、曲管、小口径マンホール、ベ
ンドサイホンを組み合わせた削減結果である。
クイックプロジェクト等で挙げられるコスト縮減技術で代表的なものには、曲管、小
型人孔、地表勾配設計や改良型伏越し等様々な方法がある。これらの技術には、
道路の形状、水路横断や発生汚水量等、適用に当たり種々の制約条件があるた
めコスト縮減の効果は個々に検討を行って確認することが肝要であり、自治体の規
模によっては多大な労力と時間を要す。本発表は、愛知県で平成26年度から開始
された全県域汚水適正処理構想の中で行われた先進事例を収集し、適用時の地
域特性や設計条件等を整理し、コスト縮減への影響を比較した結果を報告するも
のである。
東京都多摩地域の一部には、市が先行整備した単独処理区がある。都では施設
更新や高度処理化、耐震化への対応が困難な単独処理区の流域下水道への編
入を推進している。八王子市、立川市と東京都は平成24年度に編入に関する基
本協定締結し、現在八王子市は流域下水道幹線に接続する公共下水道幹線を
工事中である。編入による事業効果は、①流域下水道のスケールメリットを生かし
施設更新や維持管理費を縮減、②高度処理化により水環境が向上、③連絡管に
よるバックアップ機能を有する流域水再生センターでの処理が可能となり震災時の
処理機能を確保があげられる。今回、単独処理区の一つである八王子市北野処
理区編入の取組について報告する。
厳しい下水道事業経営を背景として、2014年6月に国土交通省及び日本下水道
協会から『下水道経営改善ガイドライン』が刊行された。本ガイドラインは、下水道
事業者が着実に経営改善を図れる仕組みになっており、下水道事業者が抱える
様々な課題の中から7つの課題を抽出して、それぞれを評価するための経営指標
を設定している。この経営指標は一般的な指標もある一方で、下水道事業では見
慣れない指標もある。そこで、その有用性を確認するために、最新の全国数値を
使用して経営指標を分析し、その結果を考察した。
平成28年3月末に静岡県から浜松市に移管される西遠流域下水道について、浜
松市は公共施設等運営事業(コンセッション)を導入することを想定しており、本年
度、実施方針の公表を経て事業者選定を開始する予定である。コンセッションは
仙台空港や新関空で進捗がみられるものの、未だ下水道では前例がなく、ガイド
ラインや先行する空港案件、また従来型PFI等を参考にしながら、まさに“手探り”
で検討を進めてきた。本稿では、本市がぶつかった壁の中から、コンセッション導
入検討時に議論すべき下水道特有の課題に関する論点とアプローチ方法につい
て考察を行う。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第7会場(102会議室) N-2-3 雨水対策(3) 9:30~11:25 1
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ICTを活用したリアルタイム浸
水予測システムの運用検討
(株)NJS
浸水対策施設の運転支援情
報提供システムの構築に関す (株)NJS
る検討
下水道光ファイバーを活用し
た浸水対策について
広島市
雨水流出解析を活用した浸水
対策事業の効果確認手法に 広島市
ついて
浜松市における雨水管理計画
の策定~浸水対策の段階的 浜松市
整備方針に関する検討~
内水ハザードマップを活用した
「横浜市予測対応型浸水対策 横浜市
計画」
降雨特性を考慮した降雨強度 国土技術
式の試算と現計画が持つ能力 政策総合
の分析
研究所
中井博貴
近年頻発している局所的豪雨に対応していくためには、既整備の下水道ストックを
最大限に活用しつつ、自助・共助を含めたソフト対策による被害軽減が必要となっ
ている。リアルタイム浸水予測システムは、XバンドMPレーダーの予測雨量を活用
して、数時間先の浸水状況をリアルタイムに予測し、情報配信を行うものである。計
算の起点となる実況水位を、流出解析モデルに境界条件として適切に与えた上で
予測を開始することが、配信情報の精度を高める上で重要となる。本稿では、ICT
を活用した観測・施設運転情報の収集伝達、高速シミュレーションの実施、運転支
援情報の提供について、広島市B-DASH事業において検討した内容を報告する。
XバンドMPレーダーの運用が開始され、下水道における浸水対策への適用が期
待されている。本稿では、広島市B-DASH事業において構築した雨量情報管理シ
ステムの概要と浸水対策施設の運転を支援する情報システムの構築について検
討した内容を報告する。
高橋章弘
広森源太
芝池正顕
市川哲也
澤幹直
松浦達郎
近年、局所的な豪雨により、広島市では床下浸水や道路冠水などの浸水被害が
発生しているため、浸水対策施設のハード対策を中心に鋭意整備を進めている
が、対策完了までには相当な期間及び費用を要すことから、既存の下水道施設能
力を最大限活用するようなソフト対策を行うことが重要と考えていた。そこで、国土
交通省が実施する下水道革新的技術実証事業(B-DASH)のうち、「ICTを活
用した浸水対策施設運用支援システム実証事業」に、本市を含めた4社の共同研
究体で参画を決め、現在実証事業を行っている。本稿では、広島市の浸水対策の
現状とB-DASH参画までの経緯を報告する。
近年、局所的な豪雨により、広島市では床下浸水や道路冠水などの浸水被害が
発生しているため、浸水対策施設のハード対策を中心に鋭意整備を進めている。
このハード対策の整備効果について、雨水流出解析を活用した浸水想定区域図
を基に、整備効果を視覚化することはハード対策効果の公表手法として有用な手
段の一つと考えている。本稿では、広島市の浸水対策の現状とハード対策の整備
効果について報告する。
浜松市は、平成17年度に天竜川及び浜名湖周辺の12市町が合併し、全国第二
位の広大な行政区域面積を有することとなった。広大な市域の中に、浜松駅周辺
の都市機能集積地区から、田畑が広がる郊外地まで多種多様な土地利用がはか
られている。雨水計画区域は、市街化区域を中心に約18,000haに及び、財政的な
制約が背景にあるなかで、さらなる選択と集中による効率的な整備が求められてい
る。広域な計画区域を有する浜松市において、地域特性や受け手主体の目標設
定等を考慮した整備優先順位に基づく浸水対策の段階的整備方針について検討
を行った。
横浜市では平成23年度より市域全域を対象に内水ハザードマップの作成に着手
し、平成26年度に作成・公表が完了しました。内水ハザードマップ作成の過程で
得られた流出解析モデルを活用することにより、想定を超える大雨についても浸水
被害の評価を行うことが可能となり、これまで把握できなかった潜在的な浸水被害
の評価も可能となりました。今後は、浸水被害が生じた箇所に対する対策に加え、
地域特性を考慮した目標降雨の設定や既存施設を活用た浸水予測も踏まえた新
たな予測対応型の浸水対策計画の作成をすすめていきます。
一般に都市部において浸水被害を発生させる降雨には、台風・梅雨等による豪雨
やゲリラ豪雨等があり、これらは継続時間や降雨強度等の特性が異なるものであ
る。効率的に浸水対策を進めるためには、降雨特性の違いによる影響を考慮し、
現計画での弱部を優先的に対応していくことが重要である。しかし、現在の雨水管
理計画の中では、降雨特性の違いを必ずしも反映できていないため、各発生要因
に対する現計画の能力や安全性を把握することは困難である。そこで、気候や人
口規模等が異なる複数の都市を対象として、降雨の発生要因別に試算した計画
降雨と現計画を比較・分析することにより、現計画の能力を概略的に把握すること
を試みた。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第7会場(102会議室) N-2-4 雨水対策(4) 12:45~14:05 1
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(公財)日
下水道におけるリアルタイム降 本下水道
雨情報利活用に関する研究 新技術機
構
下水道のポンプ運転調整ルー
ルの策定に関する下水道管理 大阪市
者としての考察
(公財)日
雨天時における下水道(管
本下水道
きょ)の挙動に関する共同研究
新技術機
(不明水対策手法の検証)
構
(公財)日
豪雨時における貯留管の空気 本下水道
圧縮被害事例
新技術機
構
空気圧縮による人孔浮上防止
横浜市
対策の検討
中村誠
石川尚
中野善彰
杉伸太郎
黒瀬裕史
近年、記録的な局地的な大雨等の頻発により、特に都市部において、重大な浸水
被害が発生している。比較的大規模な河川では、水位観測等が行われ、現状の
危険度の把握や予測等に活用されているものの、市街地の浸水状況や下水道管
渠内の水位については、観測機器の整備やリアルタイム情報システムの整備が遅
れている。そこで、本調査研究では、局地的な大雨等に起因する浸水被害に対応
するため、X-RAIN等を活用したリアルタイム降雨情報システム等の下水道分野へ
の活用の促進を図るため、下水道版簡易防災支援システムを構築し、自治体
フィールドを対象に実行可能性調査を実施した。
大阪市東部域を含む寝屋川流域は、東海豪雨災害を契機に施行された「特定都
市河川浸水被害対策法」に基づき、平成18年に特定都市河川流域に指定され
た。その後、法に定めることが明記されている「下水道管理者が管理する特定都市
下水道のポンプ施設の操作に関する事項」について、寝屋川流域協議会におい
てルール化を検討し、平成26年8月15日より運用を開始した。論文発表では下水
道管理者の観点から、浸水被害を軽減するための総合的な対策としての大雨時
のポンプの運転調整について、関係部局などとの操作運用の合意形成に至った
要点について考察を行うものである。
雨天時における下水道の状態は平常時(晴天時)と大きく異なり,計画上では想定
していない挙動を呈することがある。特に,不明水(雨天時浸入水)とマンホール蓋
の飛散については多くの都市で課題として顕在化し,下水道事業の運営にも大き
く影響を及ぼしている。これを受けて,本研究は,不明水及びマンホールの蓋飛散
を対象に,アンケート及び現地調査に基づいて原因分析を行った上で各種の対
策手法等を検討したものである。このうち、本稿では不明水についての現状分析
と,新たなツールを用いた検討手法の検証について報告する。
集中豪雨時において、人孔や舗装が浮上・飛散する現象が発生している。近年、
特に、豪雨対策として整備が進められている貯留管では、管路施設内の空気量が
多いため、管きょ内の水位が急激に上昇した際に空気圧が圧縮されマンホールが
浮上・飛散する等の問題が生じている。本文では、過去の豪雨において、貯留管
で発生したマンホールの被害事例を紹介し、管きょ内の空気圧縮現象について考
察した。
本研究は、平成25年に横浜市で発生した豪雨における、人孔および舗装の浮上・
飛散事例について人孔浮上防止対策の検討を行ったものである。数値流体力学
による解析の結果、貯留管内では、下流域からの急激な逆流現象により0.1MPaを
超える急激な圧力上昇の発生が予想された。この空気圧の上昇によって人孔の浮
上を防止するために、必要とされる排気面積を計算するとともに、空気排気しやす
い排気管の取付構造について検討した。また、排気面積を確保するために、地上
部への排気構造として格子ふたや排気口の設置を検討した。
発表
番号
発表題名
所 属
氏 名
論文要旨
第7会場(102会議室) N-2-5 雨水対策(5) 14:20~16:00 1
2
雨水浸透施設による道路構造
京都市
への影響評価について
改良型雨水桝等の排水性能
に関する調査研究
(株)G&U
技術研究
センター
平野義幸
土手一朗
近年,都市化の進展や局地的な集中豪雨の増加により,雨水の流出量が増大す
るとともに短時間に雨水が流出するようになってきている。そのため,河川改修や
下水道整備による対策に加え,雨水を貯留・浸透させる雨水流出抑制対策を積極
的に取り入れる必要がある。しかし,車道への浸透施設設置については,道路構
造への影響に対する懸念が道路管理者から示されている。本論文は,本市で過
年度に施工した浸透側溝において,現地測量や現地試験等を実施し,懸念される
道路の強度低下による沈下やわだちの発生,空洞化等,道路構造への影響につ
いて検証を行い,その結果を取りまとめたものである。
昨今のゲリラ豪雨や台風等に伴う大雨によって道路冠水が発生し、道路交通等の
都市機能に影響を及ぼす被害が増加している。道路冠水の発生原因のひとつとし
て、下水道管路の流下能力に余裕があるものの、雨水桝蓋や雨水桝内に落葉等
のゴミが堆積し、排水性能の低下を招いていることが挙げられる。本研究では、雨
水桝蓋及び雨水桝を対象に、落葉等の堆積が排水性能へ与える影響を実験に
よって定量的に確認した。また、既存ストックを最大限活用した低コストで効率的な
浸水対策が求められるなか、排水性能の低下対策としての改良型雨水桝等の有
効性について調査を行った。
今後の課題となる大深度幹線に,既設管渠より分水した汚水を流入させる為の接
続にあたり,安全に確実な地盤補強で止水対策を行う施工が必要である。その中
で凍結工法を選択し,その施工例を紹介し,今後に活かす為の課題提供をする。
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大深度幹線の凍結工法による
京都市
接続事例について
(公財)日
斜坑管における流下水理機能 本下水道
に関する調査研究
新技術機
構
東京都下
多機能型マンホール蓋の開発
水道サービ
と雨水管理への適用について
ス(株)
市民の都市水害に対するリスク
関西大学
認知と対応策への態度
安井孝典
佐藤弘之
熱田孝
尾崎平
近年,浸水対策として貯留管や増補幹線の築造が増加している。ここで,雨水管
から貯留管等への流入に当たっては適切な高落差処理により接続させる必要があ
る。しかし、施工上の制約から通常の落差処理が適用できない場合,斜坑管接続
が検討される。しかし,これまで,流量が比較的大きく、高落差で斜坑管接続を採
用した事例は少なく、水理的に未解明な点が多い状況にあった。そこで,本研究
では水理模型実験を行い、斜坑管の水理機能の検証を実施した。その結果,斜
坑管は背水を受けると0.5Qでも流況が不安定となることが判明し,その対策として
吸排気能力と整流機能を有した空気管を設置することで流況が改善されることを
確認した。
「多機能型マンホール蓋」は、マンホール鉄蓋に、管内水位等の測定機能および
通信機能を付加することで、蓋を開けることなくマンホール内の状況をインターネッ
トを通じリアルタイムに把握できるものである。これまで、蓋としての強度や通信機
能などの基本機能、さらに維持管理性の向上等について報告した。今回は雨水管
理(管きょ内水位の実態把握)での利用を目的に、高速化、省エネ化を図ったの
で、その開発について報告するとともに、雨水管理での適用について報告する。
本研究では浸水常襲地域であるA市の市民を対象に都市水害に対するリスク認知
とその対応策に関するアンケート調査を実施した。その結果、現状の水害リスクの
受容度を定量的に示し、対策意識・行動には、水害リスクへの関心、ゼロ里しく意
識、防災行政への信頼が影響していることを示した。また、AHP手法を用いて、都
市水害に対する自助、公助、共助の重要度ならびに今後の気候変動への対応と
して、緩和策、適応策、土地利用規制の重要度に対する住民の意識を明らかにし
た。
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