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調査時期: 2010 年 6 月中旬~下旬 調査対象: 学生男女 110 名 男性

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調査時期: 2010 年 6 月中旬~下旬 調査対象: 学生男女 110 名 男性
色には赤は気分が高揚し、青は沈静するといった心理的効果があると言われ、室内空間と衣服の色
は、部屋で安らぐ際のリラックス効果に大きく影響があると考える。これまで室内空間の色、衣服の
色についての心理・生理的実験は、本研究室において行われてきた。そこで今回は、室内空間と衣服
の色を組み合わせて実験を行い、各色がストレスを緩和・解消しているかどうかを心理的・生理的測
定を行い、関係性を検討した。
調査時期:
調査対象:
2010 年 6 月中旬~下旬
学生男女 110 名
男性 40 名(学外学生)
女性 70 名(本学科学生)
調査内容:
・部屋と部屋着の実態について
・部屋と部屋着のリラックス効果に対する
意識について
黄緑
白
水色
ベージュ
緑
白
★部屋に取り入れたい色
白
黄緑
水色
白
ピンク
赤
★部屋着においてリラックスと思う色
白
青
ピンク
水色
白
★部屋においてリラックスすると思う色
ベージュ
図1
★部屋の色がリラックス効果に影響があると思うか。
女性
男性
図2
部屋のリラックス効果
リラックスする色について
★部屋着の色がリラックス効果に影響があると思うか。
男性
図3
女性
部屋着のリラックス効果
★部屋と部屋着の色の組み合わせがリラックス効果に影響
があると思うか。
・部屋・部屋着に使用する色は男性と女性の
間に違いがある。
・部屋、部屋着に対するリラックス効果につ
いては、女性の方が意識が高い。
・全体に衣服の色よりも部屋の色のほうが効
果は高い。
男性
図4
女性
部屋と部屋着のリラックス効果
実験条件
実施期間:9 月~10 月
被験者 :16 名(男性 4 名・女性 12 名)
実験場所:実験室(618 室)
平均温度:25 度
平均湿度:52%
実験方法
生理反応:脳波(α波・1/f ゆらぎ)
心電(心拍数・心拍変動数)
心理評価:SD 法による 5 段階評価
実験で使用する部屋には、カーテン・テーブル・ソファー
を設置し、部屋着としてパーカーを着用する。部屋と部屋着
の色は意識調査より白・ピンク・水色・黄緑の 4 色とし、カ
ーテン・ソファーとパーカーを順次組み合わせ、16 通りと
した。
親しみやすい
自然な
くどい
平凡な
快い
穏やかな
動的な
落ち着いた
陽気な
開放的な
癒される
好きな
過ごしたい
取り入れたい
表1
図5
親しみにくい
不自然な
あっさり
個性的な
不快な
激しい
静的な
落ち着きのない
陰気な
圧迫感のある
癒されない
嫌いな
過ごしたくない
取り入れたくない
SD 法形容詞対
実験の流れ
使用した衣服
脳波・心電装着
閉眼状態(30 秒)
生理測定
(脳波・心電) 繰
開眼状態(90 秒)
り
返
し
閉眼状態(30 秒)
図6
SD 法評価
実験室の様子
心理評価
衣服・室内の色を変える
…リラックスしている時に多く出現する。
男性
室内のカーテン・ソファーを水色、黄緑にした場合、全体的に高いα波出現率を示し、白の室内に
おいてα波出現率が低い傾向にあった。衣服の色は、室内が水色や白のようにα波出現率の高低に関
わらず、視覚をつかさどる後頭葉(o1・o2)で、衣服が水色の時に高いα波出現率を示した。(図 8)
女性
男性と同様に室内の色が水色や黄緑の場合、高いα波出現率を示した。衣服の色は黄緑が高いα波
出現率を示した。
室内:水色
図7
α波出現率
男性平均
室内:白
…心地よさや、なごみを示す。
男性
室内において白や水色を使用
すると、ゆらぎ出現人数が多い。
衣服の色は水色や黄緑を着用す
ると出現人数が多いが、ピンクを
着用すると出現人数は少なくな
り、生理的負荷がかかることが分
かる。
女性
男性と反対に女性は、室内でピ
ンクを使用するとゆらぎ出現人
数が多くなる。特に衣服のピンク
や水色を着用すると高い出現人
数を示した。
図8
1/f ゆらぎ出現人数
…心拍数が高いと緊張状態である。
男性
全体的に女性よりも心拍数が高い。室内、衣服の色ともに水色のとき、心拍数は 69.8 と最も低く、
室内衣服の色ともに白のとき 76.7 と数値が最も高い。
女性
全体的に男性よりも心拍数は低い。室内が水色、衣服の色が黄緑のとき、心拍数は 68.3 と最も低
く、室内が白、衣服の色がピンクのとき心拍数 70.5 と高い。
同じ室内において、衣服との組み合わせよって得られる生理的影響が男女によって異なることが
認められた。
…数値が低いとリラックス状態である。
男性
室内や衣服の色に水色を取り入れたと
き、LF/HF 成分が低い数値を示した。特に
室内が水色・黄緑で衣服が水色のときに低
く、衣服の色が生理的に影響していること
が分かる。
女性
室内がピンクを除く他の色空間におい
て、衣服の色が白のとき LF/HF 成分が低
い。これは白を取り入れた組み合わせによ
り緊張状態が緩和されていることが認め
られる。
衣服
室内空間
白
ピ
ン
ク
水
色
黄
緑
白
白
ピ
ン
ク
水
色
黄
緑
白
ピ
ン
ク
水色
ピンク
図9
LF/HF 成分
水
色
黄
緑
白
ピ
ン
ク
水
色
黄
緑
黄緑
平均値
男性は、1/f ゆらぎの結果と類似した結果が得られた
が女性は異なる結果となった。女性は日常生活におい
て、男性よりも多様な色を身につけており、結果に大き
く影響していることが考えられる。
形容詞対
親しみやすい―親しみにくい
好きな―嫌いな
自然な―不自然な
過ごしたい―過ごしたくない
癒される―癒されない
快い―不快な
取り入れたい―取り入れたくない
落ち着いた―落ち着かない
穏やかな―激しい
開放的な―圧迫感のある
暖かい―冷たい
動的な―静的な
陽気な―陰気な
平凡な―個性的な
くどい―あっさり
親近性
0.894
0.878
0.878
0.848
0.848
0.838
0.829
0.795
0.749
0.711
-0.213
-0.588
-0.482
0.575
-0.617
活動性
-0.296
-0.342
-0.401
-0.494
-0.425
-0.455
-0.473
-0.573
-0.458
-0.390
0.887
0.785
0.781
-0.749
0.635
形容詞対
親しみやすい―親しみにくい
好きな―嫌いな
自然な―不自然な
過ごしたい―過ごしたくない
癒される―癒されない
快い―不快な
取り入れたい―取り入れたくない
落ち着いた―落ち着かない
穏やかな―激しい
開放的な―圧迫感のある
暖かい―冷たい
動的な―静的な
陽気な―陰気な
平凡な―個性的な
くどい―あっさり
親近性
0.960
0.923
0.921
0.913
0.902
0.891
0.879
0.855
0.851
0.845
0.827
-0.693
-0.256
-0.245
-0.570
活動性
-0.248
-0.259
-0.311
-0.319
-0.377
-0.341
-0.321
-0.445
-0.432
-0.443
-0.518
0.621
0.925
0.892
0.781
男性
室内や衣服の色に水色や
黄緑、白を取り入れたとき
に「親近性」が高い。
女性
室内及び衣服の色に、白
とピンクを使用したときに
「親近性」、「活動性」が高
い。
心理評価に影響する色も男
女で異なり、1/f ゆらぎで
得られた結果と類似した。
男女ともに意識調査であげ
られた好きな色、嫌いな色
が、影響している。
白:白
水:水色
ピ:ピンク
き:黄緑
図 10
室内空間×衣服
fp1
c3
p3
o1
fp2
白×白
-0.413 *** -0.443 *** -0.243 * -0.222 *
白×ピンク
白×水色
白×黄緑
-0.447 *** -0.344 *** -0.502
ピンク×白
ピンク×ピンク
-0.264 **
ピンク×水色
-0.258 **
-0.386
ピンク×黄緑
-0.425 *** -0.282 ** -0.493
水色×白
水色×ピンク
-0.242
水色×水色
水色×黄緑
0.272 ** 0.229 *
黄緑×白
-0.395 *** -0.386 *** -0.319 ** -0.240 * -0.378
黄緑×ピンク
-0.599 *** -0.359 *** -0.622
黄緑×水色
0.335 *** 0.259 **
-0.360
黄緑×黄緑
0.296 ** 0.282 **
因子分析による心理評価
c4
p4
o2
-0.278 ** -0.379 ***
*** -0.337 *** -0.449 *** -0.234
***
*** -0.356 *** -0.246
* -0.216
*
*
*
*** -0.478 *** -0.220 * -0.214
*** -0.557 *** -0.378 *** -0.310
***
-0.407 ***
図 11
*
**
室内空間×衣服
fp1
白×白
白×ピンク
白×水色
白×黄緑
ピンク×白
ピンク×ピンク
ピンク×水色
ピンク×黄緑 0.198 ***
水色×白
水色×ピンク
水色×水色
水色×黄緑
黄緑×白
0.241 ***
黄緑×ピンク
黄緑×水色
黄緑×黄緑 0.125 *
c3
-0.127
p3
o1
fp2
c4
p4
o2
0.222 *** 0.248 *** 0.192 ** 0.160 ** 0.167 ** 0.209 ***
*
0.150 ** 0.171
-0.164 ** -0.152 ** -0.169
0.156 **
** 0.232 ***
0.261 ***
-0.127 * 0.157 ** 0.178 **
** -0.218 *** -0.144 * -0.129 *
0.136 * 0.158 **
0.205 ***
-0.188 ** -0.127 *
-0.278 *** -0.212 *** -0.286 *** -0.286 *** -0.205 *** -0.174 **
0.161 ** 0.174 ** 0.155 ** 0.187
0.169 **
0.126
* 0.177 **
** 0.243 ***
0.129
*
室内空間・衣服と生理反応の対応(脳波)
男性
室内および衣服の色に白や黄緑を取り入れた時に相関
関係がみられた。
女性
室内や衣服の色にピンクや水色・白を使用した場合に相
関関係がみられた。図は省いたが、特に心電では、室内
が水色の場合に顕著に見られる。
男性は負の相関が多いことから、普
段使用していない室内や衣服の色
であったため違和感が生じたと推
測される。女性は好む色が各々に異
なることが影響し、正の相関が男性
より多くなっている。
心理・生理実験より、男性は室内空間および衣服の色に水色や黄緑などを取り入れた場合に、女性は
白やピンクを取り入れた場合において緊張状態を緩和していることがわかった。これは、事前に行った
調査と本実験から得られた生理反応、心理反応の両面から、類似した傾向を示した。以上より、心理的
に心地よいと思われる色に対しては、生理的にも心地よいと感じているということが確認できた。
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