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No.13 日本の自動車メーカー⑤スバル
03.7.11 No.13 内山 貴史 日本の自動車メーカー ⑤スバル [概要] 「スバル」は、航空機等も手がける富士重工業の自動車ブランドで、自動車生産は 富士重工業の生産の 95%を支える中心事業である。スバルは業績がバブル期に赤字で、 バブル崩壊後、黒字に転じた珍しい会社である。スバルは 80 年代後半からバブル期に かけて米国工場の立ち上げ、新型車「レガシィ」のゼロからの開発、エンジン工場の移 転などの大規模な設備投資を行ったものの、レガシィの米国での不人気などにより業績 が伸びず、多大な投資負担が重荷となりバブル期に赤字を計上することとなった。しか し 94 年以降、レガシィの日本でのヒットにより息を吹き返すに至ったのである。 また 1968 年から続いてきた日産との業務提携も、日産が新たに外資(ルノー)と提携 を結び経営再建を図るといった動きから解消され、99 年に GM から 20%の資本出資を 受け、GM グループ入りした。これからは同じ GM グループ内の「いすゞ」、 「スズキ」 などと技術協力し、新たな攻勢をかけていくと見られている。 「水平対抗エンジン」や「無段変速機 CVT」などに見られるように、スバルは高い 技術力を持っているが、顧客層が幅広く確保できていない、という課題も残されている。 現在の国内ラインナップを見ても、登録車は「インプレッサ」、 「レガシィ」、 「フォレス ター」、それと GM から OEM 供給を受けている「トラヴィック」の 4 車種しかなく、 それに数種類の軽自動車が加わるのみ、と寂しい状態である。成長市場であるミニバン、 やリッターカーへの車種の拡大を急ぐ必要がありそうだ。 [歴史] 1917 年に創業し、戦闘機「隼」や「零戦」のエンジンなどを手がけていた中島飛行 機製作所が前身。終戦後、富士産業と改称し 1950 年には財閥の指定を受け 12 社に分 割された。その後「東京富士産業」をはじめとしたグループ 5 社を統合し、富士重工業 としてスタートした。トヨタや日産に比べると後発となってしまった富士重工業だが、 高い技術力から生み出されるユニークな車はユーザーから高い評価を得た。中でも 1958 年に発表した「スバル 360」は空前のヒットカーとなり、日本のモータリゼーシ ョンの先駆けとなった。 また、自動車以外の事業でも伝統の航空機事業部がビジネスジェット「エアロスバル」 の開発や、エアバスの次世代超大型機プログラムへの参画などを行っている。