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多摩川水系の貝類からみたクリプトスポリジウ ム汚染実態と感染防止
多摩川水系の貝類からみたクリプトスポリジウ ム汚染実態と感染防止対策に関する調査・ 実験研究 2005年 笹原 武志 北里大学医学部微生物・寄生虫学 講師 目 次 要約 -------------------------------------------------------------1. 目的 ----------------------------------------------------------2. 材料および方法-------------------------------------------------2.1 クリプトスポリジウムの継代とオシストの調整--------------------------2.2 河川水の採水 -------------------------------------------------2.3 貝類の採取 ---------------------------------------------------2.4 河川水の資料調整 ---------------------------------------------2.5 貝類の資料調整 -----------------------------------------------2.6 オシストの定義 ------------------------------------------------2.7 クリプトスポリジウムの遺伝子解析 ---------------------------------2.8 感染性評価試験 -----------------------------------------------2.9 オシストの感染性不活性 ----------------------------------------3. 結果 ----------------------------------------------------------3.1 被険試料の回収率 ---------------------------------------------3.2 河川水におけるクリプトスポリジウム汚染調査 ------------------------3.3 貝類におけるクリプトスポリジウム汚染調査 --------------------------3.4 PCRRFLP法による鑑別 ----------------------------------------3.5 PCRダイレクトシケンス法による鑑別 -------------------------------3.6 クリプトスポリジウム感染性評価 -----------------------------------3.7 銅管による感染症不活性 --------------------------------------4. 考察 ---------------------------------------------------------5. 文献 ---------------------------------------------------------Figure legends ----------------------------------------------------図表は巻末に収録しています [研究組織] 笹原武志 1)、中村 健 1)、佐藤義則 1)、青木正人 2) 1) 北里大学医学部微生物・寄生虫学、2)北里環境科学センタ 〒2288555 神奈川県相模原市北里 1151 1 2 2 2 3 4 5 5 5 5 6 7 8 8 8 8 9 9 9 10 10 14 20 要 約 クリプトスポリジウム汚染が水系ばかりかその水域に棲息する貝 類 に も 及 ん で い る 。 我 々 は 2003 年 か ら 2 年 間 に わ た り 多 摩 川 水 系 下流域の河川水およびその河口付近に棲息する貝類についてクリプ トスポリジウム汚染実態調査ならびに検出されるクリプトスポリジ ウ ム の 遺 伝 子 解 析 と 感 染 性 評 価 試 験 を 実 施 し た 。そ の 結 果 、(1)1 年 を通していずれの調査地点からもクリプトスポリジウムが検出され、 そ の オ ー シ ス ト 数 は 18 個 〜 221 個 /100ℓで あ っ た 。 ま た 、 ム ラ サ キ イガイやイワガキなどの二枚貝にも河川水のクリプトスポリジウム 汚 染 が 拡 大 し て い る こ と を 本 邦 で 初 め て 明 ら か に し た 。(2)河 川 水 お よ び 貝 類 の ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム は RFLP(restriction fragment length polymorphism) 法 に よ る 解 析 の 結 果 、 Cryptosporidium muris と 判 定 さ れ た 。更 に 、PCR-ダ イ レ ク ト シ ー ケ ン ス 法 に よ っ て 詳 細 に 解 析 し た と こ ろ 、 各 サ ン プ ル か ら は C. parvum cattle type、 C. muris そ し て C. andersoni が 共 通 し て 同 定 さ れ 、 更 に 、 河 川 水 か ら は C. parvum human type も 同 定 さ れ た 。 こ れ ら の 成 績 か ら 、 首都圏を流れる多摩川の河川水およびその下流域に棲息する貝類を 汚染しているクリプトスポリジウムには共通性があり、その種が近 年 、 宮 城 県 や 北 海 道 に て 報 告 さ れ て い る C. andersoni を 含 む C. parvum cattle type や C. muris で あ る こ と を 初 め て 明 ら か に し た 。 (3)今 回 検 出 さ れ た C. parvum cattle type は ヒ ト や マ ウ ス に 感 染 す るとされているが、河川水および貝類から回収されたクリプトスポ リ ジ ウ ム に は SCID マ ウ ス へ の 感 染 性 を 認 め な か っ た こ と か ら 、 ヒ ト へ の 感 染 性 は 低 い も の と 考 え ら れ た 。 (3) 銅 管 に 充 填 さ れ た C. parvum HNJ-1 株 の オ ー シ ス ト は 2 4 時 間 後 に 変 性 し 、 そ の 感 染 性 を失活することが確認された。銅製品は水系のクリプトスポリジウ ム汚染という環境負荷の低減に寄与するものと考えられ、給水用配 管などへの応用が期待される。 1.目的 クリプトスポリジウムはヒトを含む哺乳類の腸管に感染する原虫 であり、非血性水様下痢や腹痛を主症状とするクリプトスポリジウ ム 症 を 起 こ し 、 こ の 患 者 の 糞 便 中 に は オ ー シ ス ト が 排 出 さ れ る 1)。 こ の オ ー シ ス ト は 南 極 を 除 く 世 界 中 の 表 流 水 か ら 検 出 さ れ て お り 2)、 わが国においても首都圏や牧畜地域を流れる河川水系においてその 汚 染 が 確 認 さ れ て い る 3 ) - 7 ) 。 多 摩 川 は 2000 年 5 ) 6 ) 、 そ し て 相 模 川 は 1996 年 5 ) 7 ) に 初 め て そ の 汚 染 が 明 ら か に さ れ て い る 。 オ ー シ ス ト は 浄 水 処 理 レ ベ ル の 塩 素 消 毒 で は 十 分 な 不 活 化 は 期 待 で き な い 為 に 8)、 その汚染は河川水系を浄水の水源としているわが国をはじめとする 国々において深刻な問題である。 ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム 症 は 2003 年 に 改 正 さ れ た 感 染 症 法 で は 五 類 感 染 症 に 類 型 化 さ れ 、 2004 年 度 の 患 者 届 出 数 は 91 名 で あ る 。 過 去 5 年間のクリプトスポリジウム症患者届出数と比べるとクリプト ス ポ リ ジ ウ ム 症 患 者 数 は 増 加 傾 向 に あ る 9)。 そ の 背 景 の 1 つ に 河 川 水系におけるクリプトスポリジウム汚染の拡大が推測されている。 環境水中に排出されたクリプトスポリジウムのオーシストは水系 に棲息する魚介類の体内にも取込まれる可能性があり、これまでに カ キ ( Crassostrea ) や ア サ リ ( Ruditapes ) そ し て イ ガ イ ( Mytilus ) な ど 15 種 類 に も 上 る 海 水 産 二 枚 貝 に お い て ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム 汚 染 が 明 ら か に さ れ て い る 10)-22)。 そ の 為 に こ れ ら の 貝 類 は 環 境 水 系 に おけるクリプトスポリジウム汚染の生物指標の一つに数えられるよ うになってきている。しかし、河川水系に棲息する貝類についてク リプトスポリジウム汚染実態の調査は殆ど行われておらず、これま で に 僅 か に カ ワ ホ ト ト ギ ス ガ イ ( Dreissena polymorpha ) で の 汚 染 調 査 と シ ジ ミ ( Corbicula ) を 用 い た 汚 染 実 験 に 関 す る 報 告 の み で あ る 1 5 ) 1 6 ) 2 3 ) 2 4 ) 。多 摩 川 水 系 に も 巻 貝 を は じ め シ ジ ミ や カ キ な ど の 二 枚 貝 が 棲 息 す る こ と が 確 認 さ れ て い る が 2 5 ) 、こ れ ら の 貝 類 に つ い て の クリプトスポリジウム汚染実態調査は行われていない。 我 々 は 2003 年 6 月 か ら 2004 年 5 月 に か け て 多 摩 川 下 流 域 の 河 川 水と一年を通して採集できた二枚貝についてクリプトスポリジウム 汚 染 実 態 調 査 を 行 い 、更 に 、2004 年 7 月 か ら 2005 年 1 月 に か け て 河川水と貝類から検出されるクリプトスポリジウムについて種及び 遺伝子型の遺伝子解析そして感染性評価試験を行った。 2.材料および方法 2.1 ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム の 継 代 と オ ー シ ス ト の 調 整 Cryptosporidium parvum HNJ-1 株 は 北 里 大 学 バ イ オ セ イ フ テ ィ 2 安全管理規程に基づき、北里大学医学部付属遺伝子高次機能解析セ ン タ ー の 感 染 実 験 エ リ ア ( P2 ) に て 飼 育 さ れ て い る SCID マ ウ ス ( C.B-17/Icr-scidjcl、10 週 齢 の 雄 、日 本 ク レ ア 、東 京 )に 経 口 感 染 させ継代維持した。 糞 便 か ら の オ ー シ ス ト 精 製 は 76.29g/dl シ ョ 糖 溶 液 ( 比 重 =1.20) を 用 い た シ ョ 糖 密 度 勾 配 遠 心 法 8 )( 25℃ で 2000rpm, 10 分 間 )に 従 っ て 実 施 し た 。オ ー シ ス ト は 200µg/ml gentamycin (Sigma-Aldrich Inc., St.Louis, Missouri, USA)含 む 滅 菌 蒸 留 水 に 10 7 個 /ml の 割 に 浮 遊 し 、 4℃ に て 保 存 し た 。 2.2 河 川 水 の 採 水 多摩川は山梨県と埼玉県の県境にある笠取山の源流を発し、東京 都多摩地区及び東京都と神奈川県の都県境を流下して東京湾に注い で い る 、 全 長 138km の 一 級 河 川 で あ る 。 本 調 査 の 採 水 地 点 は こ れ までにクリプトスポリジウム汚染があると報告されている多摩川水 の 下 流 域 の 3 地 点 と し た ( Fig. 1)。 即 ち 、 A 地 点 は 多 摩 川 原 橋 よ り 200m 下 流 、B 地 点 は 田 園 調 布 堰 上 、C 地 点 は 大 師 橋 よ り 1 km 下 流 である。 河川水の調査は2回に分けて実施された。即ち、第1回目の調査 は 2003 年 6 月 か ら 2004 年 5 月 に か け て 隔 月 に 3 地 点 で 、そ し て 第 2 回 目 の 調 査 は 2004 年 7 月 か ら 2005 年 1 月 に か け て 合 計 5 回 B 地点でそれぞれ河川水を採水した。 河 川 水 20ℓ( 一 部 の 実 験 で は 100ℓ)を ポ リ プ ロ ピ レ ン 製 タ ン ク に 採 水 し 、 試 験 ま で 4℃ に て 保 存 し た 。 2.3 貝 類 の 採 取 多摩川河口の汽水域および付近の海水に年間を通して棲息する4 種 類 の 二 枚 貝 、即 ち 、Fig. 2 に 示 す イ ワ ガ キ( C. nippona )、ム ラ サ キ イ ガ イ( M. galloprovincialis )、ヤ マ ト シ ジ ミ( C. japonica )、そ し て コ オ キ ナ ガ イ ( Laternula boschasina ) を 実 験 材 料 に 供 し た 。 貝類の調査は2回に分けて実施された。即ち、第1回目の調査は 2003 年 6 月 か ら 2004 年 5 月 に か け て 月 毎 に 3 地 点 で こ の 4 種 類 の 貝 類 を 採 取 し た 。 一 方 、 第 2 回 目 の 調 査 は 2004 年 5 月 か ら 2005 年 1 月 に か け て 合 計 7 回 行 い 、コ オ キ ナ ガ イ を 除 く 3 種 類 の 貝 類 を 採取した。 採取した貝類は翌日調整するまで水槽に入れ、エアレーションを 行い室温にて飼育した。 2.4 河 川 水 の 試 料 調 製 採 取 し た 河 川 水 は 目 的 に 応 じ て セ ル ロ ー ス 混 合 エ ス テ ル (MF) 製 3 ( SSWP14250、孔 径 3µm、Millipore Co., Bedford, Massachusetts, USA)、ま た は ポ リ テ ト ラ フ ル オ ロ ウ チ レ ン (PTFE)製( LSWP14250、 孔 径 5µm 、 Millipore Co. ) の 2 種 類 の メ ン ブ ラ ン フ ィ ル タ ー ( 径 142mm) を 適 宜 使 い 分 け て 加 圧 ろ 過 し た 。 MF 製 フ ィ ル タ ー は 蛍 光 抗 体 染 色 や 遺 伝 子 解 析 に 、そ し て PTFE 製 フ ィ ル タ ー は 感 染 評 価 試 験にそれぞれ使用するオーシストを回収するために使用した。 加 圧 ろ 過 後 、 MF 製 フ ィ ル タ ー は 50ml ポ リ プ ロ ピ レ ン 製 遠 心 管 に 入 れ 、 ア セ ト ン 50mL を 加 え て ボ ル テ ッ ク ス ミ キ サ ー で 攪 拌 し 完 全 に 溶 解 し た 。 更 に 、 0.1% Tween 80 含 有 リ ン 酸 緩 衝 生 理 的 食 塩 水 ( PBS、 Sigma-Aldrich Inc.)を 用 い て 3,000rpm 10 分 間 で 3 回 遠 心 洗 浄 し た 。 最 終 的 に 沈 渣 は 0.1%Tween 含 有 PBS に 浮 遊 し た 。 一 方 、 PTFE 製 フ ィ ル タ ー は 50ml ポ リ プ ロ ピ レ ン 製 遠 心 管 に 入 れ 、 1%PEF 溶 液( 誘 出 液 、蒸 留 水 1ℓ当 た り 0.2g ピ ロ リ ン 酸 ナ ト リ ウ ム・ 10 水 塩 、0.3g エ チ レ ン ジ ア ミ ン 四 酢 酸 3 ナ ト リ ウ ム 、0.1g Tween80 を 含 有 ) 15ml と フ ッ ト ボ ー ル 型 攪 拌 子 を 加 え て ボ ル テ ッ ク ス ミ キ サーで攪拌した。その懸濁液を新しい遠心管に移した後、新たに誘 出 液 10ml を 入 れ て 同 様 の 攪 拌 操 作 を 2 回 繰 り 返 し た 。 最 終 的 に 回 収 さ れ た 懸 濁 液 は 3,000rpm で 10 分 間 遠 心 さ れ 、 そ の 沈 渣 は 0.1%Tween 含 有 PBS に 浮 遊 し た 。 各浮遊液からクリプトスポリジウムのオーシストはショ糖密度勾 配 遠 心 法 8)に 従 っ て 精 製 し た 。 MF 製 フ ィ ル タ ー と PTFE 製 フ ィ ル タ ー を 用 い た ク リ プ ト ス ポ リ ジウムオーシストの回収率を測定した。即ち、A 地点で採取した河 川 水 20ℓに 2 x 10 5 個 の C. parvum HNJ-1 株 の オ ー シ ス ト を 添 加 し 、 これを前述の如く各フィルターにて加圧ろ過・濃縮後、ショ糖密度 勾 配 遠 心 法 8)に よ り オ ー シ ス ト を 分 離 精 製 し て 回 収 し 、 そ の 数 を 蛍 光 抗 体 染 色 後 に 計 数 し た 。 オ ー シ ス ト の 回 収 率 (%)は 、( 回 収 さ れ た 平 均 オ ー シ ス ト 数 / 添 加 さ れ た オ ー シ ス ト 数 ) ×100 の 式 よ り 算 出 し、3 回の反復実験の平均値として示した。 2.5 貝 類 の 試 料 調 製 採取した貝類は貝殻から組織を取出して貝毎に秤量した。1回の 調 整 に 使 用 し た 貝 の 数 は 、 イ ワ ガ キ 10 個 、 ム ラ サ キ イ ガ イ 20 個 、 ヤ マ ト シ ジ ミ 20 個 、 コ オ キ ナ ガ イ 2 個 で あ っ た 。 貝 類 の 組 織 は 蒸 留 水 10ml と 一 緒 に ス テ ン レ ス 製 ホ モ ジ ナ イ ズ カ ッ プ に 入 れ 、 4,000rpm で 5 分 間 ホ モ ジ ナ イ ズ し た 。 貝 組 織 の ホ モ ジ ネ ー ト は 蒸 留 水 を 用 い て 3,000rpm10 分 間 で 3 回 遠 心 洗 浄 し た 。 沈 渣 は 0.1%Tween 含 有 PBS に 浮 遊 し た 。 各 浮 遊 液 か ら ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム の オ ー シ ス ト は シ ョ 糖 密 度 勾 配 遠 心 法 8)に 従 っ て 精 製 し た 。 4種類の貝類を用いたクリプトスポリジウムオーシストの回収率 4 を 測 定 し た 。 即 ち 、 貝 組 織 に 5 x 10 5 個 の C. parvum HNJ-1 株 の ホ ルマリン死菌オーシストを添加し、これを前述の如く各フィルター に て 加 圧 ろ 過 ・ 濃 縮 後 、 シ ョ 糖 密 度 勾 配 遠 心 法 8)に よ り オ ー シ ス ト を分離精製して回収し、その数を蛍光抗体染色後に計数した。オー シ ス ト の 回 収 率 (%)は 前 述 の 式 よ り 算 出 し 、3 回 の 反 復 実 験 の 平 均 値 として示した。 2.6 オ ー シ ス ト の 定 量 各 被 検 試 料 か ら 回 収 さ れ た オ ー シ ス ト は 、 FITC 標 識 マ ウ ス 抗 C. parvum オ ー シ ス ト モ ノ ク ロ ナ ー ル 抗 体 ( ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム 検 出キット、和光純薬工業、大阪)を用いて免疫蛍光染色後、最終的 に 50µl の PBS に 浮 遊 し た 。 こ の 浮 遊 液 の 1/100 に 相 当 す る 0.5µl に つ い て 落 射 型 蛍 光 顕 微 鏡 ( ECLIPSE E400、 ニ コ ン 、 東 京 ) を 用 い て 倍 率 x400 倍 で 観 察 し 、蛍 光 染 色 さ れ た オ ー シ ス ト を 計 数 し た 。 得 ら れ た 数 値 を 100 倍 し 、さ ら に 各 被 検 試 料 に 関 す る 回 収 率 で 補 正 し た 値 を も っ て 実 際 の オ ー シ ス ト 数 と し た 。 そ の 際 、河 川 水 は 100 ℓ、 貝 類 は 組 織 重 量 ( イ ワ ガ キ と ム ラ サ キ イ ガ イ は 100g、 ヤ マ ト シ ジ ミ は 20g、 コ オ キ ナ ガ イ は 2g)、 そ し て マ ウ ス 腸 管 当 た り の オ ー シスト数として示した。 2.7 ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム の 遺 伝 子 解 析 ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム の 種 及 び 遺 伝 子 型 は Xiao ら の PCR-RFLP(restriction fragment length polymorphism)法 2 6 ) そ し て Morgan ら の PCR ダ イ レ ク ト シ ー ケ ン ス 法 2 7 ) に よ っ て 解 析 し た 。 C. parvum HNJ-1 株 お よ び 河 川 水 由 来 の オ ー シ ス ト は ド ラ イ ア イ ス ・ エ タ ノ ー ル に て 凍 結 後 、 98℃ 温 浴 に て 融 解 す る 操 作 を 6 回 繰 り 返 し た 。そ の 後 、ゲ ノ ム DNA は DNA 抽 出 カ ラ ム( QIAamp DNA mini kit, Qiagen, GmbH, Hilden, Germany ) を 用 い て 精 製 し 、 Diethyl Pyrocarbonate (DEPC, Sigma)処 理 滅 菌 水 30µl に 溶 出 し た 。 精 製 し た DNA 試 料 は 解 析 ま で -80℃ に 凍 結 保 存 し た 。 PCR-RFLP 法 を 行 う た め に 、 ま ず 、 DNA 試 料 に つ い て Table 1 に 示 す ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム 18S rRNA 特 異 的 プ ラ イ マ ー (RFLPF1&R1, RFLPF2&R2)を 用 い て Nested PCR を 行 っ た 。 1st PCR の 反 応 液 は 、 Multiplex PCR mixture (Qiagen) 25µl に 50µM RFLPF1&R1 の 各 プ ラ イ マ ー 0.5µl、 被 検 試 料 15µl、 そ し て DEPC 処 理 滅 菌 水 9µl を 加 え 全 量 を 50µl と し た 。 PCR の 反 応 は 次 の 条 件 で 行 っ た 。 即 ち 、 ス テ ッ プ 1 は HotStar Taq DNA polymerase 活 性 化 を 促 す 為 に 95℃ 15 分 加 熱 し た 。 ス テ ッ プ 2 は 熱 変 性 95℃ 30 秒 、 ア ニ ー リ ン グ 55℃ 90 秒 、エ ク ス テ ン シ ョ ン 72℃ 90 秒 と い う 一 連 の 反 応 を 40 サ イ ク ル 行 っ た 。 ス テ ッ プ 3 は 最 終 エ ク ス テ ン シ ョ ン と 5 し て 72 ℃ 10 分 加 熱 し た 。 サ ー マ ル サ イ ク ラ ー は Takara PCR Thermal Cycler (Takara Biomedical, Otsu)を 使 用 し た 。 次 い で 、 1st PCR 産 物( 1,325bp)は QIAquick PCR purification kit (Qiagen) を 用 い て 精 製 し た 。 2nd PCR の 反 応 液 は 、 Multiplex PCR mixture (Qiagen) 12.5µl に 50µM RFLPF2&R2 の 各 プ ラ イ マ ー 0.25µl、 精 製 し た 1st PCR 産 物 3µl、そ し て DEPC 処 理 滅 菌 水 9µl を 加 え 全 量 を 25µl と し 、 前 述 の 反 応 条 件 で PCR を 行 っ た 。 2nd PCR 産 物 ( 819~825bp) は DNA 抽 出 カ ラ ム に て 精 製 後 、 制 限 酵 素 、 Ssp I 及 び Vsp I( Toyobo Co., LTD., Osaka)を 用 い て 37℃ 2 時 間 消 化 し た 。 消 化 し た PCR 産 物 は 2%ア ガ ロ ー ス ゲ ル に て 電 気 泳 動 後 、エ チ ジ ウ ム ブ ロ マ イ ド で 染 色 し 、 ト ラ ン ス イ ル ミ ネ ー タ ー で 観 察 し た 。 Xiao ら の 類 型 化 基 準 2 6 ) に 基 づ き 、制 限 酵 素 断 片 の 泳 動 パ タ ー ン よ り ク リ プトスポリジウムの種および遺伝子型を決定した。 PCR ダ イ レ ク ト シ ー ケ ン ス 法 を 行 う た め に 、 DNA 試 料 に つ い て Table 1 に 示 す ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム 18S rRNA 特 異 的 プ ラ イ マ ー ( 18SiF&R)を 用 い て PCR を 行 っ た 。PCR の 反 応 液 は 、Multiplex PCR mixture (Qiagen) 25µl に 50µM 18SiF&R の 各 プ ラ イ マ ー 0.5µl、DNA 試 料 15µl、そ し て DEPC 処 理 滅 菌 水 9µl を 加 え て 全 量 を 50µl と し た 。 前 述 の 反 応 条 件 の ア ニ ー リ ン グ 温 度 を 60℃ に 変 更 し て 同 様 に PCR を 行 っ た 。 得 ら れ た PCR 産 物 ( 300bp) は DNA 抽 出 カ ラ ム に て 精 製 後 、 BigDye terminator v1.1 cycle sequencing kit( Applied Biosystems, Foster city, California, USA) と サ ー マ ル サ イ ク ラ ー ( GeneAmp PCR system 9700, Applied Biosystems) を用いてサイクルシーケンス反応を行った。反応産物はエタノール 沈 殿 に よ り 精 製 後 、 ABI PRISM 310 genetic analyzer ( PE Biosystems, Foster city, California, USA) を 用 い て ダ イ レ ク ト シ ー ケ ン ス を 行 っ た 。 得 ら れ た シ ー ケ ン ス は GenBank 登 録 デ ー タ ベ ースとの相同性を検索し、クリプトスポリジウムの種および遺伝子 型 を 決 定 し た 。 検 索 に 使 用 し た GenBank デ ー タ は AF108864( C. parvum cattle type) 、 AF108865( C. parvum human type) 、 AF112571( C. parvum mouse type) 、 AF115378( C. wrairi ) 、 AF112572( C. parvum ferret type)、 AF112574( C. meleagridis )、 AF112569( C. parvum rhesus monkey type)、AF112570( C. parvum kangaroo type) 、 AF115377( C. parvum pig type) 、 AF112576( C. canis ) 、 AF108862( C. felis ) 、 L19068( C. baileyi ) 、 AB089285( C. andersoni )、 X64342( C. muris )で あ っ た 。 2.8 感 染 性 評 価 試 験 河 川 水 及 び 貝 類 か ら 回 収 し た オ ー シ ス ト の 感 染 性 試 験 は SCID マ ウ ス を 用 い て 行 っ た 。 即 ち 、 被 検 オ ー シ ス ト 或 い は C. parvum 6 HNJ-1 株 の オ ー シ ス ト 10 個 を 含 む 50 µl を 1 群 3 匹 の SCID マ ウ スに経口投与し、継時的に糞便を採取した。糞便は秤量後、滅菌滅 菌 水 5 ㎖ に 入 れ て ホ モ ジ ナ イ ズ し 、 前 報 8)に 従 っ て シ ョ 糖 密 度 勾 配 遠心法によりオーシストを精製した。回収されたオーシストは免疫 蛍光染色して計数した。得られた数値は回収率で補正し、糞便 100mg 当 た り の 数 値 で 示 し た 。 マウス糞便からのオーシストの回収率は以下のとおりに測定した。 即 ち 、 正 常 SCID マ ウ ス の 糞 便 1 個 を 滅 菌 滅 菌 水 に ホ モ ジ ナ イ ズ し 、 そ の ホ モ ジ ネ ー ト に 1 × 10 5 個 の C. parvum HNJ-1 株 の オ ー シ ス トを添加後、ショ糖密度勾配遠心法によりオーシストを精製し、回 収 さ れ た オ ー シ ス ト 数 を 計 数 し た 。 オ ー シ ス ト の 回 収 率 (%) は 前 述 の式より算出し、3 回の反復実験の平均値として示した。 観 察 が 終 了 し た マ ウ ス は 炭 酸 ガ ス に て 斃 死 さ せ 、回 腸 末 端 の 1 cm を 切 り 出 し 、4%パ ラ ホ ル ム ア ル デ ヒ ド に よ る 固 定 後 、パ ラ フ ィ ン 包 埋 し た 。 薄 切 し た 組 織 切 片 は ヘ マ ト キ シ リ ン ・ エ オ ジ ン (H&E)に て 組織染色した。 2.9 オ ー シ ス ト の 感 染 性 不 活 化 実 験 に は 長 さ 500mm で 内 径 13~15mm の 各 被 検 配 管 ( 銅 管 、 ス テンレス管、硬質塩ビ管、塩ビライニング鋼管、ポリエチレン管、 架 橋 ポ リ エ チ レ ン 管 、 ポ リ ブ テ ン 管 )お よ び 対 照( control) と な る ガ ラ ス 製 試 験 管 を 使 用 し た 。 1 群 3 本 の 各 配 管 に C. parvum HNJ-1 株 の オ ー シ ス ト 6 x 10 6 個 を 添 加 し た 滅 菌 水 40 ml を 充 填 し 、 25℃ で 水 平 に 振 盪 ( 100rpm) し た 。 24 時 間 後 に 各 配 管 か ら オ ー シ ストを回収した。銅管については回収した蒸留水中に溶出した Cu 2 + 濃 度 を ICP-MS 分 析 装 置 に て 測 定 し 、 mg/ℓで 示 し た 。 回 収 し た オ ー シ ス ト 1 x 10 4 個 を 1 群 6 匹 の Balb/c 系 の 乳 飲 み マ ウス(7 日齢、日本クレア)に経口感染させ、7 日後に摘出した腸 管をガラス製ホモジナイザーに入れてホモジナイズし、ショ糖密度 勾配遠心法によりオーシストを精製した。回収されたオーシストは 免疫蛍光染色して計数した。得られた数値は回収率で補正し、腸管 当たりの平均オーシスト数として示した。 マウス腸管からのオーシストの回収率は以下のとおりに測定した。 即 ち 、 3 匹 の 正 常 乳 飲 み マ ウ ス( 14 日 齢 、 日 本 ク レ ア )の 腸 管 を 同 様 に ホ モ ジ ナ イ ズ し 、 そ れ ぞ れ の ホ モ ジ ネ ー ト に 1 × 10 5 個 の C. parvum HNJ-1 株 の オ ー シ ス ト を 添 加 後 、 シ ョ 糖 密 度 勾 配 遠 心 法 に よりオーシストを精製し、回収されたオーシスト数を計数した。オ ー シ ス ト の 回 収 率 (%) は 前 述 の 式 よ り 算 出 し 、 3 回 の 反 復 実 験 の 平 均値として示した。 回収されたオーシストの一部はノマルスキー微分干渉装置付き顕 微 鏡 ( BX60、 オ リ ン パ ス 、 東 京 ) を 用 い て x 1,000 倍 で 形 態 学 的 観 7 察を行い、オーシストの壁に傷害を受けたり、スポロゾイトの脱囊 によって空洞化をおこしたものを変性オーシストとした。 オーシ ス ト 100 個 当 た り の 変 性 オ ー シ ス ト の 数 を 計 数 し て 変 性 率 ( %) を 算出した。 3.結果 3.1 被 検 試 料 の 回 収 率 被検試料をショ糖密度勾配遠心法によってオーシストを精製した 場合のオーシストの回収率を測定した。河川水をセルローズ膜溶解 法 及 び PTFE フ ィ ル タ ー 法 で 濃 縮 し た 場 合 の 回 収 率 は 、 そ れ ぞ れ 27.2%、 そ し て 30.1%で あ っ た 。 次 い で 、 貝 類 か ら の 回 収 率 は ヤ マ ト シ ジ ミ で 1.69%、 コ オ キ ナ ガ イ で 2%、 イ ワ ガ キ で 2.12%、 そ し て ム ラ サ キ イ ガ イ で 1.86% で あ っ た 。 マ ウ ス 腸 管 か ら の 回 収 率 は 39.4%で あ っ た 。 3.2 河 川 水 に お け る ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム 汚 染 調 査 多摩川本流の多摩川原橋から大師河口付近までの3地点において、 2003 年 6 月 か ら 2004 年 5 月 に か け て 隔 月 に ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム 汚 染 を 調 査 し た 。 そ の 結 果 は Fig. 3 に 示 す 如 く で あ り 、 い ず れ の 月 においても全ての調査地点においてクリプトスポリジウムは検出さ れた。年間を通して各地点で検出されたオーシストの数の平均値は A 地 点 で 82.8±68.6 個 /100ℓ、B 地 点 で 119.6±66.6 個 /100ℓ、そ し て C 地 点 で 67.5±30 個 /100ℓで あ り 、 B 地 点 ( 田 園 調 布 堰 上 ) で 最 も 多 く の ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム 汚 染 が 認 め ら れ た 。 2004 年 12 月 に A 及 び B 地 点 で 検 出 さ れ た オ ー シ ス ト の 数 は 最 高 値( 221 個 /100ℓ)を あった。 3.3 貝 類 に お け る ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム 汚 染 調 査 多摩川河口付近には一年を通して棲息する4種類の二枚貝につい て 2003 年 6 月 か ら 2004 年 5 月 に か け て 毎 月 ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム 汚 染 を 調 査 し た 。 そ の 結 果 は Fig. 4 に 示 す 如 く で あ り 、 月 当 た り に オーシストが検出される頻度は岩礁に棲息するイワガキやムラサキ イガイで高く、砂底に棲息するヤマトシジミやコオキナガイで低い 傾向であった。ムラサキイガイからはいずれの月においてもオーシ ストが検出され、特に、7月から10月にかけてオーシストの数は 400 個 /100g 以 上 の 高 値 を 示 し た 。 各 貝 か ら 検 出 さ れ た オ ー シ ス ト の 平 均 数 は ヤ マ ト シ ジ ミ で 35 個 /20g、 コ オ キ ナ ガ イ で 34 個 /2g イ ワ ガ キ で 116 個 /100g、そ し て ム ラ サ キ イ ガ イ で 425 個 /100g で あ っ 8 た。 3.4 PCR-RFLP 法 に よ る 鑑 別 2004 年 6 月 に 採 取 さ れ た イ ワ ガ キ と ム ラ サ キ イ ガ イ そ し て 河 川 水 ( B 地 点 ) に つ い て Nested PCR を 行 っ た 。 い ず れ の サ ン プ ル か ら も 約 830bp の ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム PCR 産 物 が 得 ら れ た 。 こ れ ら の PCR 産 物 に つ い て 制 限 酵 素( Vsp 1 及 び Ssp 1)消 化 を 行 い 、制 限 酵 素 断 片 ( RFLP) の 電 気 泳 動 パ タ ー ン を 検 討 し 、 Vsp 1 消 化 の 結 果 を Fig. 5A に 、 Ssp 1 消 化 の 結 果 を Fig. 5B に 示 し た 。 い ず れ の サ ン プ ル に お い て も Vsp 1 処 理 で は 731bp そ し て 102bp、そ し て Ssp 1 処 理 で は 448bp そ し て 385bp の PCR 断 片 が 確 認 さ れ 、 こ の パ タ ー ン は Xiao ら の 類 型 化 基 準 2 6 ) か ら C. muris と 判 定 さ れ た 。一 方 、対 照 の C. parvum HNJ-1 株 に つ い て Vsp 1 処 理 で は 625bp そ し て 104bp、そ し て Ssp 1 処 理 で は 448bp、254bp、そ し て 109bp の PCR 断 片 が 確 認 さ れ 、 こ の パ タ ー ン は 前 述 の 類 型 化 基 準 か ら C. parvum cattle type と 判 定 さ れ た 。 2004 年 5 月 か ら 2005 年 1 月 に か け て 採 取 し た 貝 類 及 び 河 川 水( B 地 点 ) に つ い て Nested PCR を 行 っ た 結 果 、 い ず れ の サ ン プ ル に お い て も ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム の PCR 産 物 が 認 め ら れ た 。 得 ら れ た ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム の PCR-RFLP パ タ ー ン 解 析 の 結 果 を 要 約 し 、 Table 2 に 示 し た 。 2 種 類 の 貝 類 お よ び 河 川 水 い ず れ の サ ン プ ル か ら も 全 て C. muris と 判 定 さ れ た 。 3.5 PCR- ダ イ レ ク ト シ ー ケ ン ス 法 に よ る 鑑 別 2004 年 11 月 か ら 12 月 に か け て 採 取 し た ム ラ サ キ イ ガ イ 及 び 河 川 水( B 地 点 )の サ ン プ ル か ら は ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム の PCR 産 物 が全て認められた。しかし、ダイレクトシーケンスが成功率は貝類 で 40~50%そ し て 河 川 水 で 60%と 低 か っ た ( Table 3)。 次 い で 、 シ ー ケ ン ス の 相 同 性 を 検 索 し た 結 果 、 貝 類 と 河 川 水 で は C. parvum cattle type と C. muris そ し て C. andersoni が 共 通 し て 検 出 さ れ た 。 河 川 水 で は そ の 他 に C. parvum human type が さ ら に 検 出 さ れ た 。 ( Table 3)。 な お 、 対 照 と し た C. parvum HNJ-1 株 は 既 報 2 8 ) の と お り C. parvum cattle type と 判 定 さ れ た 。 3.6 ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム の 感 染 性 評 価 2003 年 10 月 に 採 取 し た ム ラ サ キ イ ガ イ 及 び 2004 年 5 月 か ら 11 月にかけて採取した河川水(B 地点)から回収したオーシストの約 10 個 を SCID マ ウ ス に 経 口 接 種 し 、経 時 的 に 糞 便 中 に 排 泄 さ れ る オ ー シ ス ト の 数 を 測 定 し た 。 そ の 結 果 は Fig. 6 に 示 す 如 く で あ り 、 ム ラサキイガイ及び河川水から回収したオーシストを接種した群では 9 いずれにおいても6週間経ても全くオーシストを検出できなかった。 一 方 、C. parvum HNJ-1 株 の オ ー シ ス ト を 接 種 し た 対 照 群 で は 接 種 3 週 目 に 300 個 /糞 便 100mg、 6 週 目 に 12000 個 /糞 便 100mg の オ ーシストが検出された。 接種6週後、対照群の回腸組織を観察したところ、これまで所見 29)と 同 様 に 、 ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム の 増 殖 に 伴 う 小 腸 絨 毛 の 萎 縮 の 他に杯細胞や栄養吸収細胞数の著明な減少、そして陰窩底にあるパ ネート細胞の消失などの所見が認められた。一方、ムラサキイガイ 及び河川水から回収したオーシストを接種した群ではそのような回 腸組織の変化は全く認められなかった。 3.7 銅 管 に よ る 感 染 性 不 活 化 各 被 検 配 管 及 び ガ ラ ス 製 試 験 管 に 24 時 間 充 填 し た C. parvum HNJ-1 株 の オ ー シ ス ト の 乳 飲 み マ ウ ス に 対 す る 感 染 性 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 銅 管 と ス テ ン レ ス 管 を 比 較 し た 場 合 、 Fig. 7A に 示 す 如 く、銅管における腸管内オーシスト数は対照群のそれに比べて有意 に 減 少 し 、 そ の 減 少 数 は -1.31 log で あ っ た 。 な お 、 こ の 実 験 で 溶 出 し た Cu 2 + 濃 度 は 充 填 6 時 間 目 で 1.7 mg/ℓ 、 そ し て 24 時 間 目 で 2.3mg/ ℓ で あ っ た 。 一 方 、 ス テ ン レ ス 管 で は そ の 様 な 減 少 は 認 め ら れなかった。次いで、硬質塩ビ管、塩ビライニング鋼管、ポリエチ レン管、架橋ポリエチレン管及びポリブテン管について同様に検討 を行った結果、各材質の配管について腸管内のオーシスト数は対照 群 の そ れ と 同 程 度 で あ っ た ( Fig. 7B)。 各 材 質 の 配 管 か ら 回 収 さ れ た オ ー シ ス ト の 変 性 率 は 銅 管 で 25% に 達 し た の に 対 し 、 そ の 他 の 配 管 で は 0.5~1.6%と 僅 か で あ っ た 。 4.考察 多摩川水系におけるクリプトスポリジウム汚染が初めて確認され た の は 2000 年 で あ り 、 そ の 汚 染 レ ベ ル は 多 摩 川 原 橋 か ら 下 流 域 に か け て 高 濃 度 で あ っ た こ と が 示 さ れ て い る 5)6)。 今 回 、 我 々 は こ の 汚染レベルが高いとされる多摩川原橋から下流の3箇所の調査地点 を 2003 年 6 月 〜 2004 年 4 月 に か け て 調 査 し 、い ず れ の 調 査 地 点 に おいてもクリプトスポリジウムを検出したことから、この下流域の ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム 汚 染 が 2000 年 以 降 持 続 的 に 存 在 し て い る 実 態 を 明 ら か に し た 。し か し 、検 出 さ れ た オ ー シ ス ト の 数 を 100ℓ当 た り に 換 算 し て 比 較 し た 場 合 、 先 の 調 査 結 果 5 ) 6 ) の 20~1100 個 に よ り 少 な い 35~220.8 個 で あ っ た こ と を か ら 、 こ の 下 流 域 の ク リ プ ト ス ポリジウムの汚染レベルは僅かではあるが低下傾向にあると考えら れた。 10 ま た 、 先 の 2001 年 1 月 の 調 査 結 果 に お い て こ の 下 流 域 の ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム 汚 染 濃 度 が こ れ ま で の 報 告 で 最 高 の 値 ( 630~1100 個 /100ℓ)を 示 し 5 ) 6 ) 、今 回 の 2003 年 12 月 の 調 査 に お い て も 同 様 に 二 カ 所 の 調 査 地 点 で 最 高 値( 220 個 /100ℓ)と な る オ ー シ ス ト を 検 出 し た こ と か ら 、 こ の 下 流 域 で は 12 月 か ら 1 月 の 冬 季 に か け て ク リ プトスポリジウムのオーシスト濃度が増加する傾向にあることがう かがわれた。 河川水系から検出される病原微生物はその下流の汽水や海水域に 棲息する魚介類等の生物に取込まれることがある。特に、貝類はこ れ ま で に ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム を 含 む Cyclospora cayetanensis や Giardia duodenalis な ど の 原 虫 2 0 ) - 2 2 ) 、 Vibrio vulnificus や V. cholerae O1 な ど の 細 菌 3 0 ) 3 1 )、 そ し て Hepatitis A virus や Astrovirus な ど の ウ イ ル ス 3 2 ) な ど 多 く の 腸 管 病 原 微 生 物 を 取 込 む ことが明らかにされている。今回、多摩川の河川水と併せてその水 系に棲息する貝類についてもクリプトスポリジウム汚染調査を同時 に行い、河川水でのクリプトスポリジウム汚染がその下流域に棲息 するムラサキイガイを中心とする二枚貝にも及んでいることをわが 国で初めて確認することができた。河川水のクリプトスポリジウム 汚染状況は4種類の二枚貝の中でもムラサキイガイのそれと最も良 く一致していたことから、今後、河川水系のクリプトスポリジウム 汚染調査にその下流域に棲息するムラサキイガイを生物学的指標と して加えることは有用であると考えられる。 ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム の 汚 染 は イ ガ イ 10)-17)21)22) 、 ア サ リ 1 2 ) 1 4 ) 1 8 ) 2 2 ) 、カ キ 1 2 ) - 1 4 ) 1 8 ) 1 9 ) 2 2 ) 、ザ ル ガ イ 11 ) 1 4 ) な ど の 海 水 産 二 枚 貝 に お い て 数 多 く 報 告 さ れ 、そ の 中 で も イ ガ イ が 最 も 報 告 例 が 多 い 。 今 回の調査によってもクリプトスポリジウムのオーシストはムラサキ イガイ、次いでイワガキから高頻度に検出された。しかし、ヤマト シジミやコオキナガイからの検出は低頻度であった。 これらの二 枚貝は棲息様式により岩礁に付着するムラサキイガイやイワガキと 砂底にもぐるヤマトシジミやコオキナガイに大別できることから、 二枚貝によるオーシストの取込み効率には貝類の棲息様式がかなり 影響を及ぼしていると考えられる。 二枚貝以外に夏場だけ河口の岩場で採取することができる巻貝の ク ボ ガ イ ( Chlorostoma lischkei ) と レ イ シ ダ マ シ モ ド キ ( Muricodrupa fusca ) に つ い て も ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム の 汚 染 調 査 を 2004 年 6 月 か ら 8 月 に か け て 行 っ た と こ ろ 、 オ ー シ ス ト は 全 く 検 出 さ れ な か っ た( 成 績 示 さ ず )。こ の こ と か ら 、巻 貝 に よ る オ ー シストの体内への取込み効率は二枚貝のそれに比べるとはるか低い ものと考えられた。実際に、レイシダマシモドキを使ってオーシス ト の 3 時 後 の 取 込 み を in vitro で 測 定 し た と こ ろ 、 そ の 取 込 み 率 は 11 0.16%で あ り 、 こ れ ま で に 報 告 3 3 ) さ れ て い る ヤ マ ト シ ジ ミ で の 取 込 み 率 ( 90%) に 比 べ 極 め て 低 い も の で あ り 、 現 在 、 こ の 推 定 は 正 し いであろうと考えている。 わが国の河川汚染クリプトスポリジウムの遺伝子解析は主に PCR-RFLP 法 で 行 わ れ 、 そ の 殆 ど が C. parvum cattle type で あ る と さ れ て い る 3 ) 4 ) 3 4 ) 。し か し 、今 回 の 調 査 に お い て 河 川 水 と 貝 類( ム ラ サ キ イ ガ イ と イ ワ ガ キ )を PCR-RFLP 法 で 検 査 し た と こ ろ 、予 想 に 反 し 、い ず れ の 検 体 か ら も C. muris と 判 定 さ れ る ク リ プ ト ス ポ リ ジウムが検出され、河川水とその下流域に棲息する貝類には共通し て C. muris が 存 在 す る こ と が 明 ら か と な っ た 。 し か し 、 PCR-ダ イ レクトシーケンス法によってさらに詳細に解析したところ、いずれ の サ ン プ ル か ら も C. parvum cattle type と C. muris そ し て C. andersoni が 共 通 し て 検 出 さ れ 、 更 に 、 河 川 水 か ら は そ の 他 に C. parvum human type も 検 出 さ れ た 。 こ れ ら の 成 績 か ら 、 河 川 の 下 流域に棲息する二枚貝にも河川水と同じクリプトスポリジウムのオ ーシストが取込まれていることを初めて明らかにすることができた と考える。そしてこれらのサンプルには複数種のクリプトスポリジ ウムが混在している可能性があり、そのような河川水や貝類につい て PCR-RFLP 法 に よ り 正 確 に ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム の 種 や 遺 伝 子 型を同定することはできないと考えられた。 河川水系のクリプトスポリジウム汚染の原因として野生動物の糞 便や家畜として飼育されているウシやブタなどの糞便、そしてヒト 由 来 の 下 水 や 処 理 水 の 流 入 が 指 摘 さ れ て い る 3)-7)。 今 回 、 多 摩 川 の 河 川 水 お よ び そ の 下 流 域 に 棲 息 す る 貝 類 に お い て C. muris 、 C. parvum cattle type そ し て ヨ ー ロ ッ パ に お い て ウ シ へ の 感 染 は 多 く 報 告 さ れ て い る C. andersoni 3 5 ) - 4 0 ) が 共 通 し て 同 定 さ れ た こ と か ら 、 多 摩 川 水 系 に お い て ウ シ の 糞 便 の 流 入 が 示 唆 さ れ た 。ま た 、C. muris や C. andersoni は 成 牛 に 、そ し て C. parvum cattle type は 生 後 10 週 前 後 の 仔 牛 に そ れ ぞ れ 感 染 す る こ と か ら 4 1 ) 、こ の 河 川 水 系 の ク リ プトスポリジウム汚染には仔牛や成牛の糞便が深く関わっているこ と が 推 定 さ れ た 。 更 に 、 今 回 、 河 川 水 に お い て の み 同 定 さ れ た C. parvum human type は 相 模 川 で も 多 く 検 出 さ れ る と い う 報 告 3 4 ) を 加 味 す る と 、 橋 本 7)や 保 坂 6)ら が 指 摘 し て い る よ う に 、 こ れ ら の 河 川においてはヒト由来の下水や処理水の流入も重要な汚染源になっ ていると考えられた。 C. andersoni は 実 験 用 ラ ッ ト へ の 感 染 性 お よ び 遺 伝 子 解 析 に 基 づ き 、ネ ズ ミ や ウ シ の 皺 胃 に 感 染 す る C. muris か ら 新 し い ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム の 種 と し て 最 近 独 立 し た も の で あ る 4 2 ) - 4 4 ) 。C. andersoni の ウ シ へ の 感 染 は ヨ ー ロ ッ パ に 多 く 報 告 さ れ て い る 3 6 ) 4 0 ) 4 3 ) 。わ が 国 に お い て は 2003 年 以 降 、 宮 城 県 や 北 海 道 の 牧 場 で 飼 育 さ れ て い る 12 ウ シ か ら C. andersoni が 検 出 さ れ て い る 4 2 ) 4 5 ) 4 6 ) 。 今 回 の 調 査 成 績 は C. andersoni 汚 染 が 関 東 首 都 圏 を 流 れ る 河 川 水 系 に も 広 が っ て いる可能性を示唆するものと考えられる。 今回、河川水およびムラサキイガイから回収されたクリプトスポ リ ジ ウ ム に は マ ウ ス に 感 染 性 を 有 す る C. parvum cattle type や C. muris が 含 ま れ て い た に も 拘 わ ら ず 、 SCID マ ウ ス に 対 し て 感 染 性 は認められなかった。その理由としてはオーシストの接種量の少な さの他に、河川水中のオーシストが排泄されてからかなりの時間が 経過したことにより変性していた可能性が挙げられる。今回、新鮮 な ク リ プ ト ス ポ リ ジ ウ ム で の シ ー ケ ン ス の 成 功 率 は 100%で あ っ た の に 対 し 、河 川 水 お よ び ム ラ サ キ イ ガ イ で の そ れ は そ れ ぞ れ 60%そ し て 40~50%と 低 か っ た こ と か ら 、 今 回 の 感 染 性 が 認 め ら れ な か っ た原因としてはオーシストの変性が推測された。 クリプトスポリジウム汚染は河川から海水へと拡散し、周辺海域 に棲息するアザラシやジュゴンなどの哺乳類にもクリプトスポリジ ウ ム の 感 染 が 拡 大 し て い る と い う 報 告 が あ る 2 0 ) 。今 回 、多 摩 川 の 河 川 水 に は ヒ ト に 感 染 性 を 有 す る C. parvum human type や C. parvum cattle type が 存 在 す る が 明 ら か に さ れ た こ と か ら 、 河 川 汚 染クリプトスポリジウムのヒトへの感染性評価が今後さらに必要と なると考えられる。現在、我々はヒトへの感染性を評価する為のヒ ト 由 来 小 腸 細 胞 株 を 用 い た リ ア ル タ イ ム PCR 法 に 基 づ く in vitro 感染実験系の開発を進めている。 クリプトスポリジウムのオーシストは浄水処理レベルの塩素消毒 では十分な不活化は期待できない。その為に、その汚染は河川水系 を浄水の水源としているわが国をはじめとする国々において深刻な 問題である。今回、給水・給湯用配管の材質を銅にすることによっ てクリプトスポリジウム感染性を低下させることを確認したことか ら、給水・給湯用配管に銅管を普及させることによりクリプトスポ リジウムの感染防止対策の一助になることが期待される。 13 5.文献 1)Chen, X.M., Keithly, J.S., Paya, C.V., LaRusso, N.F: Cryptosporidiosis. 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