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3.商工会議所による観光振興の 取り組み事例
3.商工会議所による観光振興の 取り組み事例 ※各事例内の「地区内人口」「地区内商工業者数」は、下記により分類。 [地区内人口別分類] グループ A [地区内商工業者数別分類] 地区内人口 100万人以上 グループ 地区内商工業者数 1 1,000 人未満 B 20万人以上 100万人未満 2 1,000 人以上 2,000 人未満 C 10万人以上 20万人未満 3 2,000 人以上 3,000 人未満 D 5万人以上 10万人未満 4 3,000 人以上 5,000 人未満 E 5万人未満 5 5,000 人以上 10,000 人未満 6 10,000 人以上 20,000 人未満 7 20,000 人以上 50,000 人未満 8 50,000 人以上 取り組みのカテゴリー別一覧 ブロック 都 道 府 県 北 海 道 東 北 北陸信越 関 東 関 中 四 九 東 海 西 国 国 州 北海道 青 森 北海道 北海道 北海道 北海道 青 森 岩 手 宮 城 秋 田 山 形 福 島 新 潟 富 山 富 山 石 川 石 川 長 野 長 野 長 野 茨 城 栃 木 群 馬 群 馬 千 葉 神奈川 静 岡 静 岡 静 岡 岐 阜 愛 知 愛 知 三 重 福 井 滋 賀 京 都 大 阪 兵 庫 兵 庫 奈 良 鳥 取 島 根 島 根 鳥 取 岡 山 広 島 広 島 山 口 徳 島 愛 媛 愛 媛 高 知 福 岡 福 岡 佐 賀 熊 本 熊 本 大 分 大 分 宮 崎 宮 崎 宮 崎 商工会議所 イ ン バ ウ ン ド 人 材 育 成 ご 当 地 検 定 産 業 観 光 街 道 観 光 都 市 観 光 函館、青森 小樽 札幌 室蘭 富良野 弘前 久慈 塩釜 横手 新庄 会津若松 糸魚川 富山 氷見 小松 輪島 長野 塩尻、岡谷、下諏訪 佐久 ひたちなか 足利 高崎 桐生 佐原 小田原箱根 浜松 三島 熱海 美濃 岡崎、蒲郡、西尾 豊橋、豊川、蒲郡 伊勢 小浜 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 二 次 交 通 整 備 文 化 財 等 活 用 I T 活 用 酒 蔵 ツ ー リ ズ ム ロ ケ ツ ー リ ズ ム ス ポ ー ツ ツ ー リ ズ ム ○ ○ 141 ○ ○ ○ 142 142 143 143 144 144 ○ 145 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ペ ー ジ ○ 125 126 126 127 127 ○ 128 ○ ○ 128 ○ 129 ○ 129 ○ 130 130 131 131 132 ○ 132 ○ 133 ○ 133 ○ 134 134 135 ○ 135 ○ 136 ○ 136 ○ 137 ○ 137 138 ○ 138 ○ ○ ○ 139 139 140 ○ 140 141 ○ ○ ○ グ リ ー ン ツ ー リ ズ ム ○ ○ ○ ○ 地 域 ブ ラ ン ド 125 ○ ○ ○ ○ ○ 大津、京都 大阪 姫路、相生、赤穂、龍野 洲本 奈良 境港 松江 松江、米子、安来、 境港、出雲、平田 児島 広島 福山 防府 阿波池田 松山 八幡浜 中村 北九州 筑後、八女、柳川、大川 武雄 熊本 八代 別府 豊後高田 延岡 日向 日南 ま つ 水 特 広 り 資 産 体 ・ 域 源 品 験 イ 連 開 ベ 携 活 用 発 ン ト ○ ○ 145 146 146 147 147 148 148 149 149 150 150 151 151 152 152 153 151 153 北海道ブロック 【広域連携、特産品開発】 ■青函連携で会員間のビジネスマッチングを推進 〔函館、青森商工会議所(北海道、青森県)〕 ▼新幹線の開通に向け青函圏ネットワークを構築 青森・函館の2商工会議所は、平成28年3月の北 海道新幹線開業後を見据えて、青函経済圏の活力 強化を図るため、連携して24年より「会員事業所 パートナーシップ構築懇談会」を実施している。 この懇談会は、年に1~2回開催しているもので 毎回両商工会議所の約5,500会員事業所が参画し、 「商品開発」「販路拡大」「技術提携・連携」等 の連携事業を促進している。 ▼続々生まれる青函連携コラボ商品 27年12月現在、同懇談会を通じて10の青函コラ ボレーション商品が誕生し、催事への出展などに 結び付いている。 今後は、同懇談会を契機に開発された商品、サー ビスを「青函ブランド」として育成し、道県内外 での各種商談会・物産展の参加など、販路開拓と る流通拡大を目指している。 青森産リンゴのパウダーと 函館牛乳を使用した「青函 ソフトキャラメル」 青森産のカシスと道南産 のクリームチーズから生 まれた大福 青森産ゴボウ、陸奥 湾産ホタテと函館産 ガゴメコンブのコラ ボふりかけ 懇談会を契機に北海道新 幹線開業特別企画「東北 ・道南味覚まつり」に共 同出展 函館 地区内人口:138,833(C) 地区内商工業者数:9,638(5) 青森 地区内人口:275,038(B) 地区内商工業者数:11,371(6) 【広域連携、特産品開発、地域ブランド、グリーンツーリズム】 ■アグリツーリズムによる広域観光開発に着手 〔小樽商工会議所(北海道)〕 ▼「農業」の生産現場を観光資源として活用 小樽商工会議所は、小樽市を含む1市19町村で構成す る後志(しりべし)地域の農業資源に着目し、広域の アグリツーリズムに取り組んでいる。 平成27年度は「トマト」「じゃがいも」「プルーン」 など、作物ごとに旅のテーマを設定してモニターツア ーを開催。延べ120人が参加し、普段は入ることので きない畑で、収穫体験や生産者との交流を通じて、後 志地域の農業を体感した。 ▼商品開発にも「農業」の視点を 同所では、この事業に先掛け、地域力活用新事業∞全 国展開プロジェクトを活用して、後志産の規格外未利 用果実を活用した土産品の開発を行った。事業を通じ て商品化された5種類のリキュール酒は、「2014年春 季全国酒類コンクールリキュール部門」の第1位・第 2位を獲得している。さらに、後志産のプルーンを活 用して開発したスイーツ「小樽美人カタラーナ」等小 樽美人ブランドのシリーズ化も進められている。 - 125 - モニターツア ーの様子 小樽美人シリーズの5種のお酒(右)とカタラーナ(左) 地区内人口:124,122(C) 地区内商工業者数:5,928(5) 【インバウンド、人材育成、ご当地検定】 ■急増する外国人旅行者の受け入れ体制を強化 〔札幌商工会議所(北海道)〕 免コ小 税ス規 用ト模 包の店 装削の 袋減製 で作 好・ 評調 な達 ▼ボランティアガイドをはじめ観光人材を育成 札幌商工会議所は、市内の観光ガイドを育成するため、 平成14年に「札幌商工会議所観光ボランティアガイドの 会」を発足。同所が16年から実施している「札幌シティ ガイド検定」合格者を中心に160人が登録している。 スマイル・サービ ▼消費増大に向けたインバウンド対策を実施 スバッチは、1個100円 で販売。英語・中国語 26年から免税販売用の包装袋を作成し、店舗に低価格で ・韓国語の3種類ある 販売することで、小規模店舗の免税店運営をサポート。 観「 現在22事業所が採用している。 光美 案味 27年から外国人旅行客に対する接客環境の向上のため、 内」 外国語を話せる観光関連従事者を対象に「スマイル・サ 所は に掲 ービスバッチ」を頒布。また、会員事業所のおもてなし て載 配店 を強化するため、各社のニーズに対応した「語学&おも 布舗 や てなし出前講座」を実施し、訪日旅行者の文化・習慣な 札幌アクティビティー 連絡会で開催した研修の様子 どを学ぶ機会を創出している。 札幌商工会議所推奨店協会は、外国人観光客向けに「美味」を毎年発行。4カ国語で翻訳 され、飲食店・観光案内所等を掲載。また、札幌アクティビティー連絡会では、関連事業 者向けにインバウンド対応の研修やツールおよびWEBの作成を行い、外国人旅行客に向け 地区内人口:1,943,343(A) 地区内商工業者数:74,335(8) て札幌アクティビティーのPRを行っている。 【人材育成、産業観光、広域連携、水資源活用】 ■産業文化財を地域資源に観光振興 〔室蘭商工会議所(北海道)〕 ▼協議会を発足し産業観光を推進 室蘭市は、古くから工業のまちとして栄え、明治時代に 建てられた工場など、産業文化財も点在している。室蘭 商工会議所では、こうした地域資源を活用した観光振興 を推進するため、平成21年に室蘭市や観光協会と共に 「室蘭観光推進連絡会議」を発足。ものづくり体験など の産業観光などに取り組んでいる。 特に工場夜景を中心とした夜景観光が好評で、22年に開 始した、洋上から夜景を眺める「ナイトクルージング」 や、25年に開始した夜景スポット5カ所をバスで巡る 「室蘭夜景見学バス」は札幌圏を中心に年間約1800人が 利用する。 ▼夜景ツアーガイドを育成 23年には、同市、川崎市、四日市市、周南市、北九州市 で「全国工場夜景サミット」を開催し、全国の工場夜景 エリアとの連携や工場夜景観光を推進している。 こうした動きを踏まえ、同23年には「むろらん観光ツア ーガイド」を育成し、26年にはガイド組織を設立。定期 的な勉強会等を通じて、ガイド力の向上に努めている。 - 126 - 夜景見学バスの様子 「全国工場夜景サミット」はこれまでに6回 開催され、当初の4市に周南市、尼崎市、富 士市が加わり7市に拡大 地区内人口:89,062(D) 地区内商工業者数:4,494(4) 【都市観光】 ■中心市街地に交流・滞留拠点を設置し、にぎわいを創出 〔富良野商工会議所(北海道)〕 ▼ルーバン・フラノ構想によるまちづくり 「ルーラル(田舎)」と「アーバン(都会)」を組み 合わせた都会と田舎の魅力を併せ持つ、ちょっとおし ゃれな田舎まち「ルーバン・フラノ」構想をもとに、 民間主導によるまちづくりを展開。平成22年に、富 良野商工会議所とまちづくり会社が主体となって、中 心部病院跡地に、市民・観光客などの交流・滞留拠点 として、「フラノマルシェ」をオープン。 敷地中央に、イベントスペースを設け、それを囲むよ うに、2,000種類以上の商品が揃う物産センターや農 産物直売所、テイクアウトの飲食店が並ぶ。イートイ ンの飲食は、周辺の店舗に流す仕組みづくりなどを進 め、単年度年間来場者が100万人を超える人気スポッ トに成長し、雇用の創出や創業が生まれている。 27年6月には、「ネーブルタウン」を竣工。フラノ マルシェ2のほか、介護付き有料老人施設、賃貸マン ション、クリニック、市営保育所等を併設し、三世代 交流と、歩いて暮らせるコンパクトシティの形成によ る中心市街地の活性化が進められている。 多くの市民や 観光客の憩い の場になって いるフラノマ ルシェ 観光客を集めることで まちづくりとの相乗効果を目指す 地区内人口:20,959(E) 地区内商工業者数:1,247(2) 東北ブロック 【都市観光】 ■まちを劇場に見立てた「弘前感交劇場」による交流促進 〔弘前商工会議所(青森県)〕 ▼産学官連携で取り組みを展開 弘前商工会議所は、平成20年4月、東北新幹線新 青森駅の開業に向け、産学官連携組織「弘前感交 劇場推進委員会」を設置した。 「弘前感交劇場」とは、津軽地域全体をひとつの 劇場と捉え、弘前の歴史と文化が世界最大級の原 生林である世界自然遺産白神山地の恵みからもた らされてきたと位置づけ、地域住民も観光で訪れ た人も全ての人々が共感できる感動と交流の体験 型ステージを展開していこうというもの。 ▼観光資源を劇場に見立てた展開 舞台は弘前、舞台背景は白神山地、大道具はりん ご園やさくらまつり、ねぷたまつり、小道具はり んごやこぎん刺し、地酒、音響は津軽三味線や津 軽民謡、助演者は弘前市民……と、様々な観光資 源を旅のスタイルに取り込んだ取り組みを展開。 27年8月から弘前城天守曳屋工事が始まったのを 契機に、天守曳屋を体験するイベントを実施。 - 127 - 「弘前感交劇場」のイメージ図 りんごの木のカトラリー 津軽三味線 地区内人口:163,071(C) 弘前城 こぎん刺しクルミボタン 地区内商工業者数:7,079(5) 【都市観光、体験、ロケツーリズム】 ■「あまちゃん」を起爆剤にロケツーリズムを推進 〔久慈商工会議所(岩手県)〕 ▼事業者の販路開拓と市民のおもてなし力向上に着手 久慈商工会議所は、平成25年のNHK連続テレビ小説 「あまちゃん」をきっかけに、地域住民を巻き込んだ ロケツーリズムに取り組んでいる。 ドラマにちなんで開発された特産品などの販路開拓を はじめ、展示商談会の開催、地域としてのおもてなし の向上に向けた、人材育成に取り組んでいる。 海女さんが捕ったウニを試食する体験ツアー ▼放送終了後もドラマの追体験の場を提供 「あまちゃん」の世界を徹底して追体験できる旅行商 品の造成にも着手しており、海女さんが捕ったウニの 試食や郷土料理「まめぶ汁」づくり、琥珀の採掘体験 などの商品づくりを進めている。 また、あまちゃんの放送時にtwitterを中心に広がった ドラマの一場面をイラストにして、ネット上で公開す る動きが盛り上がったことから、「あま絵」(あまち ゃんのイラスト)と称して商店街のシャッターアート やロケ地看板などで活用している。 「あま絵」を活用した取 り組みは、多くの新聞、 雑誌、テレビ等に取りあ げられた 地区内人口:36,855(E) 地区内商工業者数:1,561(2) 【地域ブランド、酒蔵ツーリズム】 ■地域資源の魅力を学ぶ勉強会を開催 〔塩釜商工会議所(宮城県)〕 ▼地域ブランドの構築を目指して取り組みをスタート 塩釜商工会議所は平成25年から、「塩釜みなとブラン ド推進委員会」を中心に、塩釜の魅力の発信や地域ブ ランドの育成を目的に、会員事業者や地域住民を対象 とした勉強会を行っている。 ▼塩釜ならではの地域資源を活用 初年度は、地域に古くから伝わる製塩の歴史と、三陸 東沖で水揚げされ、目利き人によって選び抜かれたブ ランド魚のメバチマグロをテーマに、座学と見学会を 実施。また、26年度は「酒」「歴史・文化」を、さら に27年度は「志波彦神社・鹽竈神社」をテーマに取り 上げ、これまで延べ450人が参加している。 参加者からは、「塩釜の良さを改めて感じることがで きた」「塩釜をアピールしていきたい」といった声が 寄せられている。 同所は、今後も同事業を継続して、地域の活性化につ なげていく予定。 事業者の生の声を聞ける勉強会が好評 酒造りを学ぶ参加者 地区内人口:55,752(D) - 128 - 地区内商工業者数:2,381(3) 【都市観光、まつり・イベント】 ■イベントの集中実施で冬季の観光客アップを目指す 〔横手商工会議所(秋田県)〕 ▼風景を観光資源として活用 横手市の「かまくら」は、毎年20万人以上が訪れる冬 の風物詩。そこで、横手商工会議所では、平成26年度 に同イベントの開催に合わせ、「冬の横手魅力アップ 事業」を実施した。 その一つとして、明治・大正時代の建物が多く残る旧 市街地で、レトロな建物とかまくらの叙情的な風景を 写真愛好者に提供する「かまくらレトロ浪漫」を開催。 パネル展やプロジェクションマッピングなどを行い、 2日間で3万8,000人が訪れた。 ▼地元商店街とも連携 観光客向けの街歩きマップを作製したり、複数の飲食 店のスタンプを集めてゴールを目指す「ドリンクテー リング@よこて」を開催、400人以上が参加した。 このほか、明治30年代に麹店として建てられた建築 物を活用して、麹を中心に発酵食品の展示や試食・販 売などを行う「かもすフェス」を開催、横手の発酵文 化を広く発信した。 情緒あふれる冬景色「かまくらレトロ浪漫」 HPで公開している まち歩きマップ プロジェクションマッピング を実施 地区内人口:36,803(E) 地区内商工業者数:2,325(3) 【体験、まつり・イベント】 ■地域外の学生をまつりの担い手に 〔新庄商工会議所(山形県)〕 ▼まつり存続のため、門戸を広げる 「新庄まつり」は平成27年で260周年を迎える伝 統的なまつりで、国の重要無形民俗文化財に指定 されている地域資源だが、少子高齢化に伴い、将 来のまつりの担い手となる若者が減少している。 そこで、新庄商工会議所では、この地域資源を後 世まで残していくため、県外からまつりの参加者 を集め、体験してもらうための仕組みづくりを検 討していた。 平成27年のまつりには、 東京都内の大学生十数人 が参加 ▼参加型プログラム「新庄SOUL風土」を展開 26年には、県外の若者(大学生)を対象に、参加型 プログラム「新庄SOUL風土」をスタート。新庄ま つりでの山車曳きへの参加や、山車行列の先導旗 手、まつりの歴史に関する勉強会、地域内の観光 ツアーを行っている。 27年には、東京都内から大学生十数人が参加し、 まつりを堪能した。 地区内人口:37,407(E) - 129 - 地区内商工業者数:2,390(3) 【産業観光、街道観光、広域連携、文化財等活用】 ■産業・歴史・街道を軸に広域観光を推進 〔会津若松商工会議所(福島県)〕 ▼産業観光と広域連携で着地型観光を推進 会津若松商工会議所は、平成16年度から産業 観光、まちなか観光に着手。20年には郡山、 いわき、会津喜多方の商工会議所と連携して 「浜・中・会津産業観光広域連携協議会」を 設立、同年9月に広域連携によるモニターツ アーを実施している。 ▼災害を経て「歴史」「街道」にも着目 23年の東日本大震災と新潟・福島豪雨の被害 を踏まえ、「歴史再発掘」をテーマに全国展開 プロジェクトを実施し、観光商品の開発を行 った。また、24年からは、会津五街道を活用 した街道観光のほか、会津遺産事業を展開し ている。 27年11月には白河街道ツアーを行い、白河、 須賀川商工会議所と連携して、石垣が崩壊し た白河小峰城や藤沼ダム決壊現場見学など、 復興ツーリズムにも力を入れている。 日光、米沢、新潟、新発田、白河、須賀川の商工会 議所と連携して、街道モニターツアーを実施 地区内人口:121,842(C) 地区内商工業者数:6,707(5) 北陸信越ブロック 【ご当地検定、都市観光、体験】 ■異業種連携による新しい着地型観光を提案 〔糸魚川商工会議所(新潟県)〕 ▼異業種間交流を促進 糸魚川商工会議所は、糸魚川市がヒスイ文化発祥の地で あることを活かし、「ヒーリング(癒やし)」をキーワ ードに、若い女性をターゲットにした自然・美容・体験 などを有機的につなぎ合わせた観光メニューの開発に取 り組んでいる。 その一つが、「ヒスイネイル」。これまでヒスイ宝飾品 加工時に廃棄していた粉をパウダーとして活用し、6色 のネイルを開発した。観光事業に縁のなかった美容関係 7事業者と市内ヒスイ加工事業者の連携によって生まれ たこのネイル事業をきっかけに、異業種交流による商品 開発の輪が広がっている。 ▼最大の自然資源を活用 また、日本初の世界ジオパーク認定の「糸魚川ジオパー ク」を活用し、「糸魚川ジオパーク検定」を実施してい るほか、体感型旅行商品の造成に向けたを取り組みを展 開している。 ヒスイネイル技術審査会の様子 6色から選べる「ヒスイネイル」 地区内人口:27,993(E) - 130 - 地区内商工業者数:1,658(2) 【産業観光、広域連携】 ■県内8商工会議所が連携し産業観光を推進 〔富山商工会議所(富山県)〕 ▼平成14年度から産業観光を推進 富山商工会議所は平成14年、観光による地域活性化を 目的に、「とやま産業観光推進協議会」を設立。市内 の産業観光施設やモデルコースを掲載したガイドブッ クの発刊や産業観光フォーラム等を行った。 ▼新幹線開業の好機に広域観光を推進 26年6月には、北陸新幹線の開業効果を生かすため、 富山県下8商工会議所が連携して産業観光を軸とした 広域観光を推進すべく、「富山県広域産業観光推進委 員会」を設置。モノづくり県である富山の魅力を詰め た「富山産業観光図鑑」を翌年1月に発刊した。 図鑑発刊をマスコミが取り上げたことで、掲載企業の PRとなったほか、富山のモノづくり産業を広く周知 できた。また、産業観光が天候に左右されないことか ら、通年型観光商品としての価値が評価され、団体・ グループ旅行の企画として、旅行会社からの関心が高 まっている。 北陸新幹線の富 山県内3駅を基 点に9つの産業 観光・モデルコ ースなど、105 施設を紹介して いる「産業観光 図鑑」 JTBが団体・グループ旅行の企画商品 資料として当図鑑を採用 地区内人口:267,769(B) 地区内商工業者数:13,656(6) 【都市観光、特産品開発、体験】 ■氷見の魅力「三感王」(味わう・触れる・見る)事業 〔氷見商工会議所(富山県)〕 ▼「味覚」「触覚」「視覚」に訴える仕掛けづくり 氷見商工会議所は、「味覚(味わう)」「触覚(触 れる)」「視覚(視る)」を共通テーマに、観光客 の受け入れ態勢強化を図っている。 「味わう」では、地元の特産品を活かした「氷見湯 くぐり料理」や地元の海藻「ナガラモ(アカモク)」 を使った「海とろめし」を開発し、地元旅館等で提 供している。 「触れる」では、氷見の魚文化や産業の体験メニュ ーを開発し、パンフレットにまとめてPR。同所や 氷見市観光協会などで、「氷見市宿泊体験推進協議 会」を設立し、県内外の小学生等を対象にした教育 旅行の受け入れも展開している。 「視る(見る)」では、市内の旅館とバス会社が連 携して「氷見送迎バスコールセンター」を開設し、 観光客の滞在時間延長につなげていくための送迎バ スシステムを構築した。 「湯くぐり料理」の開発の様子 観光客に人気の「海とろめし」 地区内人口:50,303(D) - 131 - 地区内商工業者数:2,369(3) 【特産品開発】 ■伝統工芸と地元食材とのコラボによる特産品開発 〔小松商工会議所(石川県)〕 ▼「こまつ地美絵プロジェクト」をスタート 小松商工会議所は平成24年、「こまつ地美絵プロ ジェクト」をスタートした。里山で捕獲されるジビ エ(猪)と、小松のモノづくりの原点である九谷焼を 地域資源に、新たな特産品の開発を進めている。 地元飲食店を集めた「ジビエ勉強会」を開催し、新 たなメニューの開発に取り組んでいるほか、九谷焼 の特徴を生かしながら、料理人が使いたい、また、 使いやすい器について研究を重ねた。 さらに、日本酒の製造が盛んな地域である特徴を活 かし、酒器や地酒の開発などにも取り組んでいる。 商品開発に向けた勉強会の様子 ▼食のイベントを開催 27年2月には、約1週間にわたり、食の祭典「こ まつ地美絵-餐-」を開催した。ジビエ料理とオリ ジナルの地酒と新作の九谷酒器とのコラボレーショ ンにより、小松発の新たな地産地消メニューを紹介 した。 ジビエ料理を九谷焼に盛り付け 小松の新たな特産品に 地区内人口:108,750(C) 地区内商工業者数:5,950(5) 【都市観光、二次交通整備】 ■電動カートを活用した二次交通の整備 〔輪島商工会議所(石川県)〕 ▼新幹線開業等を見据えた二次交通の整備を目指す 高齢化の進展や公共交通網が十分整備されていない ことから、一人暮らしの高齢者等の買い物弱者のた めの安心安全な“生活の足”の確保、平成27年の 北陸新幹線の開業やNHK連続テレビ小説「まれ」 の舞台となるなど、観光客受け入れのための二次交 通の整備ということから、電動カート(エコカート) を活用した二次交通網の整備に向けた社会実験を 23年から実施した。 市内の観光名所を巡るエコカート ▼「軽自動車ナンバー」を取得し、公道走行へ エコカートのような低速乗合小型車両は、法律の規制で公道走行が認められていなかっ たが、社会実験の成果や行政・警察などの協力・助言のもと、ヘッドライトや方向指示 器等の装着で時速20km未満しかでない構造や定員を4名にする等の改良や基準緩和を経 て、全国で初めて「軽自動車ナンバー」を取得した。 現在では、エコカートを利用して、道の駅や輪島朝市、輪島キリコ会館、足湯など輪島 市内の観光名所を巡る二次交通の役割を担っている。 地区内人口:22,816(E) - 132 - 地区内商工業者数:2,327(3) 【広域連携、まつり・イベント】 ■広域連携の促進で相互誘客と地域間の回遊性を向上 〔長野商工会議所(長野県)〕 ▼地域間の連帯で共同観光プロモーションを展開 長野商工会議所は、県内の商工会議所や周辺の 自治体と連携した広域観光に取り組んでいる。 長野・群馬・新潟の各県内20市町村・53団体、 観光協会が加盟する「上信越ふるさと街道協議 会」では、各地域の道の駅や観光協会の窓口等 で、各地域の観光情報を相互に提供し、観光客 の近隣地域への回遊性向上につなげている。 地域における他団体との連携の現状 ▼新幹線沿線等でのネットワークを構築 また、長野と松本の政財界で「長野・松本政経 懇談会」を設置しているほか、「新幹線沿線商 工会議所連絡協議会」を設立し、広域観光ルー トの開発に向けた活動を展開している。 平成27年の「善光寺御開帳」では、「善光寺御 開帳奉賛会」を設立し、全国9都市へのキャラ バン活動を展開。これにより、例年を上回る観 光入込客数につなげた。 七年に一度の善光寺御開帳 のPRのため、善光寺御開 帳奉賛会を設立 地区内人口:281,989(B) 地区内商工業者数:14,842(6) 【街道観光、広域連携、特産品開発、文化財等活用】 ■初期中山道を活用した街道観光 〔塩尻、岡谷、下諏訪商工会議所(長野県)〕 ▼広域観光を目指し、初期中山道沿いの商工会議所が連携 江戸時代の1614年まで使われていた初期中山道の通る2市1 町(塩尻市、岡谷市、下諏訪町)の商工会議所が連携して、 滞在型の観光振興を推進。 宿場単位での観光という「点」を街道観光で結び、江戸の面 影が残る初期中山道と中山道を周遊する観光商品や特産品の 調査、開発を推進している。 現在のルートに変更されてから開通400年となった平成26年 10月には、3商工会議所が主催して「中山道サミット」を開 催。基調講演やパネルディスカッション、ウォーキングイベ ントを通じて、広域観光の可能性を探った。 「中山道サミット」で下諏訪宿を 実際にウォーキング ▼商品化に向けた商品造成を推進 3商工会議所は、25~26年の2年間、「地域力活用新事業∞ 全国展開プロジェクト」を活用して、初期中山道の実地調査 をはじめ、モデルコースや特産品の開発を進め、展示商談会 に共同出展するなど、事業化に向け取り組みを推進 塩尻 地区内人口:66,767(D) している。 地区内人口:50,334(D) 岡谷 下諏訪 - 133 - 地区内人口:21,094(E) 初期中山道 実地調査 地区内商工業者数:3,095(4) 地区内商工業者数:2,517(3) 地区内商工業者数:1,218(2) 【人材育成、街道観光、特産品開発、二次交通整備】 ■「人」「モノ・コト」「食」の三本の矢で街道観光を推進 〔佐久商工会議所(長野県)〕 ▼1本目の矢「人」 佐久商工会議所は観光ガイドの育成に向けて、平成24年 度にガイド養成講座を開講した。開講当初は、市民向け に行っていたが、25年度からはガイド志望者向けの講座 に内容を変更。実習を交えた研修を加え、26年度現在で 14人のガイドを認定した。 ▼2本目の矢「モノ・コト」 製造業を中心とした異業種連携により、観光用電気自動 車「オカーゴ」や温泉たまご調理器「おん玉君」 、ウォー キングポールなどを開発。市内の観光の目玉として利用 している。 宿場町「岩村田」の商店街には、観光客や地域住民の交 流と憩いの場として多目的商業施設を設置している。 ▼3本目の矢「食」 地元の味噌を使った、「安養寺ら~めん」や「煮こじ蕎 麦」等のご当地グルメを開発し、市内の飲食店で提供し ている。また、統一ブランド「中山道街道蕎麦」を普及 するため、中山道沿いの商工会議所との広域連携を推進 している。 モデルツアーでのガイド実習 中山道の宿場町を走る「オカーゴ」 地区内人口:70,124(D) 地区内商工業者数:3,364(4) 関東ブロック 【特産品開発】 ■ひたちなかご当地グルメでまちおこし 〔ひたちなか商工会議所(茨城県)〕 ▼地元業種組合と連携して新たな特産品を開発 ひたちなか商工会議所は、地元業種組合と連携し、 地域食材を使用した名産品の企画・開発を進めている。 観光客だけでなく、地元市民に支持される商品を目指 し、美味しさ、インパクトのあるネーミングにこだわ っている。 平成19年11月に勝田パン菓子組合と連携して発売した 「勝ったの街の勝つ!サンド」を皮切りに、「干しい もパイ・ほっしぃ~も」や那珂湊料飲業組合と「みな との多幸(たこ)めし」を開発した。 また、那珂湊菓子商工組合とは、ひたちなか産のバイ ンベリーを使用したダックワーズ「イチゴダッペ」、 27年3月には、ひたちなか産のオレンジ玉子と茨城県 産のさつまいもを使用したプリン「ちちんぷりんぷり ん」を勝田パン菓子組合と開発した。 干しいもパイは、水戸駅、勝田駅、常磐道友部IC (下り)などで年間約100万個を販売。また、「多幸 めし」 は、地産地消による地域活性化としてイメージ アップに貢献している。 - 134 - 勝つ田サンド みなとの多幸(たこ)めし ほっしぃ~も ちちんぷりんぷりん 地区内人口:159,212(C) 地区内商工業者数:5,777(5) 【都市観光、広域連携、特産品開発、体験】 ■イベントの一元化で地域の魅力発信力を強化 〔足利商工会議所(栃木県)〕 ▼ 「秋」をテーマに地域資源・まつり等を一元化 足利商工会議所は、平成21年、行政・観光関連団体等 と連携して「足利秋まつり実行委員会」を組織し、秋 に開催される各種行事を「足利秋まつり」として一元 化して、効果的なプロモーションにより、観光客を含 め交流人口を増やしている。 まつりの開催期間中、足利市街から「ぐるワンバス」 を運行して、まつりの目玉となる三大陶器まつりが開 催される栗田美術館、足利グルメグランプリを行うあ しかがフラワーパーク、足利学校さままつり等の見所 スポットを結び、まちなかの回遊性を高めている。 ▼産業遺産「銘仙」の振興でまちなか散策 同所は、20年から足利の産業遺産である足利銘仙(平 織りの絹織物)の振興を図るため、着物を着てまちな かを散策する「足利道楽」事業をスタート。24年から は、着地型観光として推進しようと、「足利道楽・楽 ジュアリーツアー」として実施している。 毎年、春と秋の2回開催しており、近年では、群馬県 桐生市を巡る広域観光への事業を発展させている。 まちなか散歩 「学びの舎のまち 足利」をテーマに 体験教室を開催 11月に開催する足利 グルメグランプリ 地区内人口:134,874(C) 地区内商工業者数:6,868(5) 【都市観光、二次交通整備】 ■まちづくりと一体となった都市型観光を展開 〔高崎商工会議所(群馬県)〕 ▼まち中の回遊性向上で都市型観光を推進 高崎商工会議所は、中心市街地活性化を目的に、道路空 間を利用したオープンカフェ「高カフェ」を平成25年か ら展開し、まち中の魅力創出に努めている。 また、同年にまち中の回遊性向上を図るため、レンタル サイクル事業「高チャリ」を実施。自転車150台と駅や 市役所、図書館、デパートなどにポート16カ所を設置し ている。事業開始から1年半が経過し、26年10月に実施 した「中心市街地通行量動向調査」では、市街地の通行 量は10.6%増加した。 ▼中心部の店舗が連携してイベントを実施 23年にスタートした「高崎バル」は、毎回80店舗が参加 する一大イベントに成長している。また、大型店の共同 企画で開催する「高崎商都博覧会」は、参加店舗を巡る 「ぐるりんスタンプ」を実施して、買回りの促進と客単 価の増加を目指している。これまで個店ごとに開催して いた大型店の催事や商店街のイベントを同時期に行うこ とで、来街者が増加し、中心市街地全体に賑わいが生ま れている。 - 135 - カフェと市内に設置された自転車ポート 店舗の連携を図り、まち中回遊性を推進 地区内人口:251,619(B) 地区内商工業者数:12,255(6) 【産業観光、都市観光、文化財等活用】 ■近代化産業遺産を活かしまちの魅力を創造 〔桐生商工会議所(群馬県)〕 ▼工場の借り手・貸し手の橋渡し役に 絹織物の産地として知られる桐生市には、200を超え るノコギリ型屋根の織物工場が残っている。しかし、 約4分の3が現業で操業しておらず、所有者もその利 活用に悩みを抱えていた。 そこで桐生商工会議所は、桐生ならではの産業風景を 残し、継承していくことを目的に、ノコギリ屋根工場 の借り手・貸し手の仲介をサポート。これまでに、レ ストランやカフェ、菓子店等が出店し、工場のリノベ ーションを通して、魅力的なまちづくりを推進してい る。 ▼交流人口の拡大を目指し、産業観光に着手 平成20年からは、この近代化産業遺産を活かした産 業観光に取り組み、ノコギリ屋根博覧会の開催や産業 観光マップの作成、産業観光ツアーを実施している。 こうした取り組みにより、全国規模の会議の誘致や大 手旅行会社の商品造成につながるなどの効果が生まれ ている。 レストランやカフェ、菓子店として 生まれ変わった工場 大手旅行会社のバスツアーに採用 地区内人口:117,608(C) 地区内商工業者数:5,365(5) 【都市観光、体験、文化財等活用】 ■先人の知恵を活かした新たな地域ブランドの構築 〔佐原商工会議所(千葉県)〕 ▼「江戸優り」と「伊能忠敬翁」でまちの話題づくり 利根川の舟運で栄えた商都である香取市佐原地区は、 佐原商工会議所や行政、企業、民間団体等が一体とな り、歴史的建造物が残るまち並み等を活かして「江戸 優り」をテーマに、地域づくりを展開。しかし、日帰 り観光がメインの同地では近年、地域のアピール力の 低下等に伴う観光入込客数の減少が大きな課題となっ ていた。 そこで平成26年度より、同地にゆかりのある伊能忠敬 翁に着目。同氏の地域経営学を学ぶ研修ツアーの商品 開発や参加者用のテキスト「伊能忠敬翁による佐原地 域経営学読本」の作成に取り組み、新たな地域ブラン ドの育成を進めている。 ▼町家を活用した滞在型観光を促進 さらに、滞在型観光の促進を図るため、26年より関係 者と様々な協議を重ねながら、町屋ステイの検討をス タート。 27年11月には、実証実験を行い、本格実施に向けた 取り組みを展開している。 - 136 - 先人の知恵を学ぶモニターツアーを開催 地区内人口:42,590(E) 地区内商工業者数:2,287(3) 【産業観光、都市観光、体験、文化財等活用】 ■日常の「なりわい(生業)」を観光資源に活用 〔小田原箱根商工会議所(神奈川県)〕 ▼地域内の産業体験を観光の目玉として活用 小田原箱根商工会議所は、職業体験を通じた産業の振 興と観光の促進を図るため、平成24年より「なりわい 体験事業」を実施している。 毎年、「小田原箱根産業まつり」の期間中に行ってお り、27年は、「箱根登山鉄道の1日駅長体験」「日本 一の干物工場を見学!干物ができるまで」「銀行の支 店長体験」「自分だけのオリジナルコーヒーブレンド 体験」など、約150のプログラムを用意し、約2,600人 が参加した。 ▼教育委員会・商店会と連携し新たなまち歩きを提案 また同所では、箱根町教育委員会を中心に実施している 「箱根町歴史探訪会事業」に協力し、経営指導を通して 得た、事業者や調度品、まち並みなどの地域資源を活用 したまち歩きコースを提案している。 さらに同所の呼びかけで、商店会もメンバーに加わり店 主に箱根の歴史や食文化体験の講師として参画してもら うことにも成功し、新たなまち歩き観光の可能性を広げ ている。 職場体験を商品化したなりわい体験事業 写真は取り寄せ中です 地域の人がまちのストーリーを伝える 箱根町歴史探訪会事業 地区内人口:195,095(C) 地区内商工業者数:9,684(5) 【特産品開発、地域ブランド】 ■「やらまいか」精神にあふれる、地域特産品を育成 〔浜松商工会議所(静岡県)〕 ▼ ▼地域輩出の創業者精神をアイデンティティにブランド開発 浜松商工会議所は、地域産品のプロモーションを図るた め、ブランド認定制度「やらまいか」を平成17年から実 施、27年までに延べ501品目の認定を行った。 「やらまいか」は、「とにかくやってみよう」「やろう じゃないか」という意味の方言で、スズキやホンダ、ヤ マハなど、同地域から輩出した創業者精神を地域ブラン ドの礎としていこうという試み。 「うなぎいも」や「祝凧」など、地域の素材や歴史、文 化、技術を活用したやらまいか精神あふれる新商品を認 定している。 ▼アンテナショップで情報発信、中心市街地活性化に寄与 認定商品は、インターネット上に公式サイトを開設して PRしているほか、26年には「まちの駅やらまいかショ ップ」を浜松市の中心市街地に開店して、直接販売して いる。 同店舗は、同所が企画運営しており、地域情報の収集や 無料Wi-Fiの利用が可能で、買い物客の情報収集拠点と して、中心市街地活性化への寄与も目的としている。 - 137 - 「やらまいか」のロゴマーク 地区内人口:582,604(B) 地区内商工業者数:28,322(7) 【都市観光、水資源活用】 ■水辺空間を活用してまち歩き観光を推進 〔三島商工会議所(静岡県)〕 ▼産官民協働で回遊ルートを整備 三島商工会議所は三島市と連携して、市内の水辺空間を 活用した回遊ルートを整備する「街中がせせらぎ事業」 を、平成8年から実施している。 市がハード整備を担い、商工会議所がプロモーション等 のソフト事業を担当。さらに、市民が自主的に清掃やボ ランティアガイド等を行うことで、産官民協働の取り組 みに発展している。 10年から市内を回遊するウォーキングイベントを実施し ており、18回目となる27年には、県内外から2,400人以 上が参加した。 ▼駅入場券キャッシュバックで、南北の往来を推進 JR三島駅に南北をつなぐ自由通路が無く、駅南北で人の 流れが分断されている現状を踏まえ、同所では周辺店舗 と連携し、駅入場券料金をキャッシュバックすることで 駅南北の人の流れをつくる試みを25年から実施している。 27年度には過去最多の37店舗が参加しており、参加ホテ ルでは月80名程度の利用がある。前年利用者がリピータ ーとなるケースも見られるほか、外国人観光客の利用も あり、駅周辺の新たな賑わい創出に繋がっている。 市内の水辺空間を活かした回遊ルート JR三島駅の南北を つなぐキャッシュ バックキャンペー ンを実施 地区内人口:111,616(C) 地区内商工業者数:5,354(5) 【特産品開発、地域ブランド】 ■「A-PLUS」を活用した観光振興と地域連携事業の推進 〔熱海商工会議所(静岡県)〕 ▼熱海らしい魅力ある商品をブランド認定 熱海商工会議所は、観光・産業振興および地域活性化に 寄与することを目的に、平成24年から熱海らしい魅力あ る商品を「熱海ブランド」として認定する「熱海コレク ションA-PLUS事業」を実施している。 販売商品のターゲットを首都圏の女性に設定して、「す ぐに食べられるお土産」を対象に、食味や熱海らしさな どの厳しい審査基準をクリアした商品を認定している。 黒を基調としたブランドロゴ、パンフレットで高級感を 演出し、市民・観光客の認知度向上を図っている。 27年までに41事業所90商品が認定を受け、熱海駅構内や 地元コンビニ、ホテルの売店等で販売されている。 熱海商工会議所では、ブランド認定商品の観光雑誌・旅 行サイト等への掲載支援や、地元美術館などでの催事販 売の仲介等を通してA-PLUS事業を推進しており、認定を 通した新商品開発機運の醸成につながっている。 28年秋に開業する熱海駅新駅ビル内での常設販売店設置 に向け、積極的な事業活動を展開している。 「A-PLUS」のブランドシンボルマーク 富士山とその南東に位置する熱海を表しており 「日本一の地域ブランド」を目指す姿勢を表現 駅前に設置されたアンテナショップでは 認定商品の販促を積極的に支援 地区内人口:38,284(E) - 138 - 地区内商工業者数:3,145(4) 東海ブロック 【インバウンド、体験、まつり・イベント、IT活用、スポーツツーリズム】 ■自然・ITを活用し、新たな顧客層を開拓 〔美濃商工会議所(岐阜県)〕 ▼美濃の自然で「できること」に着目 美濃商工会議所は、美濃市の観光資源である国の重要伝 統的建造物群保存地区に選定されたまち並みや本美濃紙 だけでなく、新たな観光資源の創造を目的に、「自然」 をテーマにした観光振興を進めている。 その一環として行っているのが、美濃の自然で「できる こと」に着目し、平成24年から実施している「長良川ア ウトドアフェスティバル in 美濃」である。ファミリーや 個人客をターゲットに、イベント開催期間中、10~20種 目の催しが行われる。 ▼多言語情報、体験型クイズラリーアプリを独自開発 同所では、独自の多言語対応情報サイト「美濃アプリ」 を開発し、アプリ上でツイッターと連動した観光キャン ペーンや、美濃和紙の体験チケットなどが当たるおみく じイベントなどを実施している。 数カ所のスポットで現れる美濃ならではのクイズに答え 制限時間内にコンプリート(脱出)すると、景品をもら うことができる「ザ・脱出ラリー」を開催している。 長良川アウトドアフェスティバルの様子 ザ・脱出ラリー 地区内人口:21,840(E) 地区内商工業者数:1,295(2) 【広域連携】 ■民間主導で広域観光連携を推進 〔岡崎、蒲郡、西尾商工会議所(愛知県)〕 平成26年4月に「三河観光GON」 を発足 ▼3商工会議所と観光協会等が観光面で広域連携 岡崎、蒲郡、西尾の3商工会議所は平成26年4月、それ ぞれの観光協会などと連携して「三河観光GON(ゴン)」 を発足した。広域観光連携の促進を目的に、民間主 導でタイムリーに各地域の観光情報をPR、観光事業 への協力、推進をしている。 ▼域内交流の活性化を推進 GONの活動や3地域の観光情報を、それぞれの会報 やメルマガを使って共同で発信しているほか、各地 域のイベントに相互出展し、一体となった三河のプ ロモーションを展開している。 23年にはじまった「みかわdeオンパク」は、当初、 蒲郡のみの開催だったが、25年からは岡崎、西尾も 加わり、飲食、知識、芸術などの体験プログラムが 充実。観光客の増加や、三河地域内の回遊を促して いる。 - 139 - 各市のイベントで共同出展 (写真はにしお産業物産フェアの様子) 岡崎 地区内人口:329,574(B) 地区内商工業者数:12,239(6) 蒲郡 地区内人口:81,547(D) 地区内商工業者数:3,596(4) 西尾 地区内人口:111,525(C) 地区内商工業者数:4,459(4) 【広域連携】 ■地域の課題解決に向け、広域による連携を強化 〔豊橋、豊川、蒲郡商工会議所(愛知県)〕 ▼産業観光の振興や地域鉄道の利活用に着手 豊橋・豊川・蒲郡の3商工会議所は平成24年、近隣 の11商工会とともに「東三河広域経済連合会」を結 成。東三河エリアの重要インフラである三河港に集 積する自動車産業に着目し、産業観光商品の開発に 着手。 26年には、自動車工場や新車整備センターの見学、渥 美半島の周遊等をセットにしたモニターツアーを開 催するなど、旅行商品の造成を進めている。 27年には、東三河を縦に結ぶ飯田線を観光資源とし た「飯田線プロジェクト」をスタートさせ、6月に 地元行政、企業、市民らが参画したシンポジウムを 開催した。 ▼行政・観光協会等とも連携 3商工会議所はこのほかにも行政、観光協会等と連 携して、「愛知県東三河広域観光協議会」を発足して ロケ地誘致を展開するなど、「東三河」の認知度ア ップに向けた活動を展開している。 三河港自動車産業観光ツアーの様子 飯田線の利活用を考えるシンポジウムには 須田・日商観光委員会共同委員長も出席 豊橋 地区内人口:377,962(B) 地区内商工業者数:14,813(6) 豊川 地区内人口:123,725(C) 地区内商工業者数:4,850(4) 蒲郡 地区内人口:81,547(D) 地区内商工業者数:3,596(4) 【人材育成、ご当地検定、都市観光、文化財等活用】 ■観光ガイドの育成で観光客の回遊を促進 〔伊勢商工会議所(三重県)〕 ▼市民ガイドを養成し有料観光案内事業を展開 伊勢商工会議所は平成18年にご当地検定「お伊勢さん」を スタートさせ、上級編合格者を「お伊勢さん観光案内人」と して養成し、19年から有料観光案内事業を行っている。 個人、小人数グループ等のニーズへの対応や、利用者の 満足度向上によるリピーターの増加を目的に事業を展開 している。27年時点の案内人の数は約100人で、うち5 人が通訳案内士の資格を有しているなど、外国人観光客 への対応も進めている。 21年度には黒字化を実現、26年度の年間利用者は5,200 件と、伊勢のまち歩きの定番商品となっている。 ▼観光客の回遊・滞留を誘導 滞在時間の延長と中心市街地の活性化を目的に、チラシ やラッピングバスによる「外宮から内宮」の参拝順序の PRや、まち歩きコースのパンフレットの作成・配布等 を展開。市内回遊を促進することで、伊勢神宮内宮に集 中している観光客の分散、拡大を進めている。 「お伊勢さん観光案内人」のパンフレット 地区内人口:110,062(C) - 140 - 地区内商工業者数:6,112(5) 関西ブロック 【産業観光、都市観光、特産品開発】 ■若手事業者を軸に着地型観光を推進 〔小浜商工会議所(福井県)〕 ▼若手事業者が地域おこしグループを組織 小浜商工会議所は平成25年、地域内の若手事業者を集めて 地域おこしグループ「KISUMO小浜」を設立。新たな特産品 の開発や、観光振興事業の企画、情報発信を行っている。 KISUMOは、「来たい」「住みたい」「戻りたい」の頭文字 から命名したもの。Iターン・Uターンの外からの目線、 意見を取り入れた観光資源の発掘、観光ルートの開発を進 めており、日本一の塗箸産地・小浜の特性を生かしたオリ ジナル箸づくりなどの体験メニューは人気。 若狭おばま鯖おでんと共通ロゴ(下) ▼食と風景を核にした滞在型観光 26年には、小浜の海の幸や山の幸をふんだんに盛り込んだ 「若狭おばま鯖おでん」を開発し、市内の8店舗で提供し ている。特産品開発のプロセスをメディアに露出させ、地 域内外から注目を集めることで、開発メンバーや地元飲食 店等のやる気を醸成し、地域全体に一体感をもたらした。 また、Iターン者が感動する小浜の風景を集めたマップを 作成し、食と風景を軸に滞在型観光を推進している。 若狭塗箸の 研ぎ出し体 験の様子 地区内人口:30,456(E) 地区内商工業者数:1,734(2) 【広域連携、水資源活用】 ■「琵琶湖疏水」の通船復活による広域観光推進 〔大津、京都商工会議所(滋賀県、京都府)〕 ▼産業遺産の観光資源活用を検討 大津商工会議所と京都商工会議所は平成26年12月、琵 琶湖疏水竣工125周年を機に、「琵琶湖疏水船下り実 行委員会」に参画し、通船の復活に協力している。 今から120年以上前に完成した琵琶湖疏水は、旅客・ 貨物などの舟運インフラとして京都の近代産業化、都 市基盤確立などに貢献した産業遺産で、24年、大津市 長が京都市長に観光船運航の検討を打診したことが通 船復活の契機となった。 ▼春のモニターツアーに定員の16倍を超える申し込み 琵琶湖疏水の通船の復活は、琵琶湖疏水が市民生活や 産業・文化を支えてきたことを再認識し、大津市と京 都市をつなぐ広域観光ルート開発の糸口として、27年 春と秋に試行運航の体験ツアーを実施した。 春の試行事業では3コースのツアーを各日4便、16日 間運航したところ、全国から定員の16倍を超える参加 申込みがあった。参加者の反応は概ね好評で、マス 大津 メディアの注目も高く、本格実施に向けた機運が 京都 高まっている。 - 141 - 試験乗船の様子 琵琶湖疏水の今昔 地区内人口:195,664(C) 地区内商工業者数:6,655(5) 地区内人口:1,467,020(A) 地区内商工業者数:70,285(8) 【都市観光、水資源活用、体験】 ■「水の都」×「食の都」をテーマに新たな観光メニューを創出 〔大阪商工会議所(大阪府)〕 ▼日本初の常設川床を設置 大阪商工会議所は、都心部が川で囲まれた特徴を活かし て、「水の都」×「食の都」をキーワードに、観光振興を展開 している。 平成21年には、川沿いの飲食店が河川空間を活用した、 日本初の常設川床「北浜テラス」をオープン。行政や不 動産オーナー、飲食事業者などと実験を行いながら、河 川法の規制緩和の活用や、具体運用の仕組みづくりを実 現した。今では、様々なテイストの11の飲食店がテラス を設置、観光スポットとして、人気を集めている。 夜景も人気。話題の水辺スポット「北浜テラス」 ▼舟運事業者と連携し、クルーズ観光を推進 さらに、舟運事業者に声をかけ、「大阪シティクルーズ 推進協議会」の設置をサポート。市内河川を活用した様 々なクルーズ商品の造成を進めている。 飲食店を舟で巡るイベント「大阪水辺バル」の開催を経 て、「鉄道」「クルーズ」「飲食」を組み合わせた恒常的な観光 商品を造成したほか、舟運事業者が共同運航する「さく らクルーズ」等、ネットワークを活かした商品づくりに 地区内人口:2,687,312(A) 努めている。 市内河川を活かし、テ ーマや人数等に合わせ たクルーズ商品を造成 地区内商工業者数:189,234(8) 【産業観光、広域連携】 ■広域産業観光で播磨をアピール 〔姫路、相生、赤穂、龍野商工会議所(兵庫県)〕 ▼滞在時間延長に向け4商工会議所で連携 姫路、相生、赤穂、龍野商工会議所が位置する播磨圏域は 京阪神に近く、交通の利便性も良いため、姫路城周辺 のみを見学する通過型の観光客が大半を占めている。 そこで、4商工会議所は平成23年に「西・中播磨観光 力推進プロジェクト」をスタートし、域内の回遊促進 による滞在型観光への転換を図っている。 平成27年11月は5コー スのバスツアーを実施 ▼日帰り産業観光バスツアーを開催 4商工会議所は、造船業や金属加工業など、播磨の強 みである「ものづくり産業」に着目し、「食」や「歴 ツアーでは、 史」などの地域資源を組み込んだ「はりま発見!産業 JR西日本の総 合車両所などを 見学 バスツアー」を、地元旅行会社と提携して23年から毎 年開催。 地区内人口:487,797(B) 姫路 27年は、平日開催にもかかわらず設定した5コース 相生 地区内人口:30,460(E) 全てが申込開始当日に完売するなど、好評を博して 赤穂 地区内人口:49,769(E) 地区内人口:40,688(E) 龍野 いる。 - 142 - 地区内商工業者数:22,552(7) 地区内商工業者数:1,282(2) 地区内商工業者数:1,800(2) 地区内商工業者数:1,914(2) 【特産品開発】 ■地産食材で新たなご当地メニューを開発 〔洲本商工会議所(兵庫県)〕 ▼39店で「淡路島ぬーどる」を展開 万葉集に「御食(みけつ)国」として登場する淡路島は、 食資源が豊富な地域。洲本商工会議所ではこの特徴を 活かし、食による地域振興を進めている。 平成21年度には、「淡路島ぬーどる」を開発。約180 年の歴史を持つ「淡路手延べ素麺」をアレンジした長 さ38cm・太さ2mmの専用麺と、島産の玉ねぎを使用し たご当地ぬーどるで、カレー味やブイヤベース風に仕 立てたもの等、島内39店舗で提供されている。 同所では、周遊マップを作成して、サービスエリアや 県内のイベントなどでPR。地元メディアにも取り上 げられ、これまでに約37万2,000食が販売されている。 ▼島スイーツをはじめ、様々なご当地メニューが誕生 さらに、淡路島産のフルーツ、牛乳、卵、玉ねぎのい ずれかの使用を義務付けた「島スイーツ」を開発し、 27店舗で販売。こうした取り組みが弾みとなり、島内 では、「淡路島カレー」「淡路島牛丼」など、地場産 品を利用したB級グルメが次々に誕生している。 のどごしの良さが売りの専用麺を使用 島スイーツ パンフレット イベント出展の様子(上)と 参加店舗による研修会(下) 地区内人口:35,981(E) 地区内商工業者数:2,136(3) 【インバウンド、人材育成、ご当地検定、文化財等活用】 ■奈良まほろば検定を通じて市民ガイドを育成 〔奈良商工会議所(奈良県)〕 ▼検定合格者が自発的に活動 奈良商工会議所は、市民ガイドの育成を目的に、平成 19年から「奈良まほろばソムリエ検定」を実施。 27年 の第9回までに延べ1万6,000人以上が受験している。 この検定は 「奈良まほろばソムリエ」 「奈良通1級」 「奈 良通2級」 の3段階の仕組みとなっており、396人が最 上級の 「奈良まほろばソムリエ」 の認定を受けている。 24年には、ソムリエ認定者の有志が「NPO法人奈良ま ほろばソムリエの会」が発足し、同所、県、奈良女子 大学などと連携しながら、一般向けの講演やガイドツ アー、検定合格者を対象とした講習会などを開催し、 ガイド育成に向けた体制整備を進めている。 ▼プロのガイド養成に向け、日英両語でガイドを認定 27年には同所と奈良県が合同で、日本語・英語の両部 門で優秀な観光ガイドを認定する「Nara観光コンシェル ジュアワード」をスタート。 国内外からの観光客のおもてなし向上、リピーターの 創出に向けた受け入れ環境整備を進めている。 - 143 - 奈良の魅力を知識のみでなく実体験として 理解できるよう、「2級」合格者を対象に 複数の体験学習プログラムを設定。履修を 「1級」受験のための要件としている 地区内人口:363,051(B) 地区内商工業者数:10,899(6) 中国ブロック 【ご当地検定、都市観光、広域連携】 ■妖怪コンテンツを活用して観光振興を推進 〔境港商工会議所(鳥取県)〕 ▼漫画家・水木しげるが描く妖怪をテーマに展開 境港商工会議所は、境港市出身の漫画家・水木しげる氏の代表作である『ゲゲゲの鬼太 郎』などに登場する妖怪を活用して、「境港妖怪検定」「境港の妖怪ソング」を作成し、 境港の情報発信、観光客誘致を進めている。 平成27年に10回目を迎えた「境港妖怪検定」は、妖怪を知ることで日本の風土や文化を 再認識しようと行われている検定試験。境港市と水木しげる氏が移り住んだ調布市の2 箇所で、受験することができる。 また、「境港の妖怪ソング」は、「鬼太郎のまち」ならではの妖怪の歌を作ろうと企画 したもので、全国公募で選ばれた3作品の詞に、「境港フィッシュ(FISH)大使」 でもあるトランペッターの日野皓正氏、バイオリニストの寺井尚子氏らが曲を付けた。 20年から6曲入り1枚1,000円のCDを販売している。 「妖怪ブルース」「恋のカランコロ ン~境港妖怪ソング」「さかいみな とで妖怪満開」の3曲が収録され ているCD(税込1,000円) ©水木プロ 平成27年で10回目を迎えた「境港妖怪検定」 ©水木プロ 地区内人口:34,934(E) 地区内商工業者数:1,586(2) 【都市観光、IT活用】 ■「縁むすびスマートナビ」で観光情報を無料配信 〔松江商工会議所(島根県)〕 ▼観光アプリを活用して松江情報を観光客に発信 松江商工会議所は、国内外からの観光客に、観光施設 や飲食店等の情報を入手しやすい環境を整備するため に平成27年3月、無料公衆無線LANスポットを市内観 光施設や指定避難所など35カ所に整備した。4月には 観光客や市民向けに縁結びスポットや観光施設、飲食 店などをナビゲートするためのスマートフォンアプリ 「縁むすびスマートナビ」の提供を開始した。 同アプリには、観光名所など約170カ所の情報が登録 されており、スマホをかざすと現在地からの距離や方 角をリアルタイムで計測することができる。今後は、 既存コンテンツのブラッシュアップ、新規コンテンツ を追加し、利便性の高い情報を発信することで、利用 率と集客効果の向上、また、インバウンド観光の強化 も図る。 ▼ 地域の災害対策の一翼を担う 同アプリは、災害時に利用できる防災メールの受信機 能や市内指定避難所マップ、避難所へのナビゲーショ ン機能が整備されており、災害対策につなげていく。 - 144 - アプリは英語、中国 語、韓国語対応とな っている 平成27年4月から スタートした「縁 むすびスマートナ ビ」のPRチラシ 地区内人口:146,703(C) 地区内商工業者数:9,728(5) 【インバウンド、広域連携、水資源活用、IT活用】 ■中海・宍道湖・大山圏域の広域観光事業を推進 〔松江、米子、安来、境港、出雲、平田商工会議所(島根・鳥取県)〕 ▼鳥取県西部・島根県東部で連携 中海・宍道湖・大山圏域の6商工会議所は、県境を 越えた連携を行うため平成17年6月、「中海・宍道湖 ・大山圏域広域観光連携事業推進協議会」を設立。 同協議会は26年度から、着地型旅行商品を造成する ための人材育成・交流研修会を開催。JTBの協力 のもと、着地型旅行商品開発のためのワークショッ プや視察等を通じて、圏域商品の統一規格の設定や ポータルサイトによる現地旅行情報の提供、旅行者 が直接予約・決済できる環境づくりを進めている。 ▼インバウントに対する取り組み 大型クルーズ船の寄港増に伴う外国人観光客の増加 を踏まえ、外国人観光客対応のための研修を実施。 また、「中海・宍道湖・大山圏域市長会」と連携し て、「インバウンド検討委員会」を発足し、魅力あ る観光商品づくりや情報発信などについて議論を重 ね、「インバウンド総合計画」をまとめている。 ポータルサイト“山と海と湖のシンフォニー「神々の ふるさと」”で着地型観光商品の参加者を募集中 http://furusato.sanin.jp/ 松江 地区内人口:146,703(C) 地区内商工業者数:9,728(5) 米子 地区内人口:138,974(C) 地区内商工業者数:7,107(5) 安来 地区内人口:28,245(E) 地区内商工業者数:1,297(2) 境港 地区内人口:34,934(E) 地区内商工業者数:1,586(2) 出雲 地区内人口:91,660(D) 地区内商工業者数:4,397(4) 平田 地区内人口:26,442(E) 地区内商工業者数:1,408(2) 【都市観光、特産品開発】 ■ジーンズで地域の再生・発展を推進 〔児島商工会議所(岡山県)〕 ▼地場産業を活用し地域を再生 児島商工会議所は、地域の再生・発展を目的に、平成 21年11月に「児島ジーンズストリート推進協議会」 を設立した。児島は、江戸時代から培った高い縫製技 術が発展し、国内で初めてジーンズがつくられた「国 産ジーンズ発祥の地」。地域の持つ産業資源を生かし て、地元生産ジーンズを地元で販売する産業振興を通 じた観光客の誘致を進めている。 藍(青)を使った作品を展示する芸術祭、「KOJIMA Blue International Art Festival」の開催や、ジーンズ雑 誌との協力による「Lightning稲妻デニムフェス」など を企画・運営し、多くの観光客を集めている。 ▼新規店が商店街空き店舗に進出 こうした取り組みにより、商店街の空き店舗にジーン ズショップや、デニムを使った雑貨店、さらには飲食 店などの誘致も進み、商店街の空き店舗対策にも効果 が出ている。 観光客が行き交うジーンズストリート 誘客促進に向けた様々なイベントを開催 地区内人口:71,662(D) - 145 - 地区内商工業者数:3,143(4) 【広域連携、体験】 ■広島湾域の特性を活かした体験型修学旅行 〔広島商工会議所(広島県)〕 ▼広島湾ベイエリア・海生都市圏研究協議会を設立 広島商工会議所は、広島湾地域の交流・連携を目的 に、平成12年、「広島湾ベイエリア・海生都市圏研 究協議会」を設立。湾域の地域資源の調査・研究を 進め自然環境、生活、歴史・文化、特産等を活かし た体験プログラムを整備した。 19年には、体験型修学旅行の誘致を開始し、インス トラクターや民泊家庭などの担い手の育成のほか、 首都、中部、関西圏等の旅行会社約220事業所にプ ロモーション活動を行っている。 ▼誘致拡大に向けての取り組みが続く 体験型修学旅行を受け入れる7地域(山口県周防大島 町、広島県大崎上島町、江田島市、安芸太田町、北 広島町、福山市内海・沼隈町、庄原市) の体験プロ グラム、民泊家庭の登録数は各地とも概ね100軒を 超え、1回につき300名以上の受け入れが可能。 28年度は、当初の目標であった年間1万人の誘致を 超える見込み。27年度は、体験型修学旅行を導入し たことのない学校にその教育効果や安全性などを実 感してもらえるプロモーションDVDを制作する。 民泊先と生徒との交流の 様子(大崎上島町) 船場で生徒を見送る(周防大島町) 魚調理体験 (江田島市) 地区内人口:555,671(B) 地区内商工業者数:31,686(7) 【都市観光、特産品開発、まつり・イベント】 ■「史跡と現代アートの融合」で地域の新たな魅力を創出 〔福山商工会議所(広島県)〕 ▼歴史資産と現代アートのコラボイベント 福山商工会議所は、鞆の浦地区に残る数々の観光資 源を発信するため、毎年9月下旬から約3週間にわ たり、「鞆の浦 de ART」を行っている。平成24年 からの開催から4回目を迎え、今では海外からも来 場者が訪れる、一大イベントに成長している。 鞆の浦の史跡や寺院、町屋等、様々なスポットでア ート作品を展示し、地域の歴史や伝統産業、文化を 紹介。イベントの回を重ねるごとに地域住民にも浸 透し、27年4月には、住民が中心となって実行委員 会を発足、展示場所の提供や開催期間中の来場者の 案内等を住民が対応するようになった。 ▼地元商店等にも波及効果 イベント期間中、地元食材を使ったオリジナルメニ ューや、参加アーティストがデザインした「鞆の浦 手ぬぐい」などの土産品が生まれ、イベント開催に よる経済波及効果も生まれている。 「鞆の浦de ART」は歴 史資産と現代アート のコラボ アート展の参加作家が デザインした「鞆の浦 手ぬぐい」 地区内人口:342,000(B) - 146 - 地区内商工業者数:16,699(6) 【特産品開発、まつり・イベント、地域ブランド】 ■方言を地域ブランドに観光振興を推進 〔防府商工会議所(山口県)〕 ▼身近な言葉をブランド化し地域活性化を推進 防府商工会議所は、山口県の方言で「幸いです、便 利です」などの意味で使用される「幸せます」に、 「幸せが増す」という意味を加え地域ブランド作り に取り組んでいる。 同所が「幸せます」の商標登録を行い、商品開発の 推進、管理を担当。地元の高校と連携してノベルテ ィグッズを開発したり、「幸せます」のイメージを 活用したストーリー性のあるものづくりやサービス の認定を進めている。 ▼ブランド化した「幸せます」を活用し観光客を誘客 イベントを通じて来訪者に「幸せ」を感じてもらう というというコンセプトのもと、市内で行われる主 要イベントを「幸せますフェスタ」として、四季折 々に各種イベントを実施している。 行政や観光関係団体、商工会議所、民間事業者や市 民で形成する観光に関する協議会を立ち上げ、『幸 せます観光戦略プラン』を立案、実行している。 地元高校生と共同で開発した「幸せますグッズ」 誘客促進に向け様々なイベントを開催 地区内人口:117,908(C) 地区内商工業者数:4,461(4) 四国ブロック 【まつり・イベント、酒蔵ツーリズム】 ■地場産業「酒」の活用で地域を牽引するイベントを展開 〔阿波池田商工会議所(徳島県)〕 ▼地域の宝「酒」で地域をPR 三好市池田町周辺は古くから酒造が盛んで、市内に5 つの酒造業者がある。阿波池田商工会議所では、平成 11年の徳島自動車道市内延伸、翌12年の全線開通を きっかけに、地域の酒を活かした「四国酒まつり」を企 画。第16回目となる27年2月には、協賛イベントを 含めて延べ1万8,000人を超える動員があった。 イベント期間中は、四国内の地酒40銘柄を集めた試飲 会や酒蔵見学のほか、各種イベントが行われ、地域内 の回遊促進につながっている。 ▼地域一体となったイベントに成長 22年頃からは酒まつりにあわせて地元商店街等が協賛 イベントを企画するようになり、本年2月のまつりの 際は、期間中、バザーや武者行列など計15のイベント が行われた。 また、26年からは、冬だけでなく、夏から秋にかけて 行われる青年会議所主催のイベントと同時開催するな ど、地域を挙げたイベントに成長している。 - 147 - 地酒試飲会 会場の様子 商店街では「うだつマルシェ」が行われる 地区内人口:13,288(E) 地区内商工業者数:991(1) 【広域連携、IT活用、スポーツツーリズム】 ■オール愛媛でサイクリングをツールに広域観光を推進 〔松山商工会議所(愛媛県)〕 ▼地域の特性を活かしたサイクリングで地域に活力を サイクリングを地域活性化の起爆剤と捉え、愛媛県連合 会、経済・農業5団体において「サイクリング・パラダ イスえひめ推進会議」設立、経済界トップ層や女性をタ ーゲットにしたサイクリング大会の開催や自転車の安全 利用の啓発など自転車新文化の浸透を図っている。 同所は、同推進会議の一員として、各種イベントの運営 や普及啓発を行うほか、「サイクリング特別委員会」を 設置し、松山市におけるサイクリング振興の研究や行政 への提言活動を行っている。 また、サイクリスト向けのポータルサイト「松山サイク リングプラス」(http://www.cyclingplus.jp)を開設。サ イクリストへの「おもてなし」を提供する53カ所の店舗 や施設の情報を発信している。 今後は、松山市内のサイクリングルートを発掘し、イン バウンドも視野に入れた交流人口の拡大を推進する他、 高速道路でつながった今治、尾道、松江とも連携し、サ イクリング振興を広域観光のツールとして活用するため の事業を検討する。 サイクリングイベントの参加者(しまなみ海道) サイクリングを楽しむ 女性の参加者 PRロゴを作成 地区内人口:484,521(B) 地区内商工業者数:16,981(6) 【特産品開発】 ■地域のソウルフードに着目し行政と一丸で普及活動 〔八幡浜商工会議所(愛媛県)〕 ▼商工会議所青年部事業として 古くから海上交易の拠点として栄えた八幡浜市は、地元 食文化と伝来した食文化が融合して、「ちゃんぽん」が生 まれた。現在、市内50ヵ所の飲食店で提供されている。 平成18年、八幡浜商工会議所青年部が「八幡浜ちゃんぽ んプロジェクト」を立ち上げ、ホームページや食べ歩き マップ等を作成して、PRを開始。 20年度には全国展開事業を実施し、ちゃんぽん提供店や 隠れた名所、体験プログラム等を紹介した地元目線の旅 マップ「八幡浜いとなみ観光地図」を発行した。 ▼行政を巻き込んだ取り組みを推進 青年部事業と並行して市にも連携の働きかけを続け、22 年には市役所内に「商工観光課ちゃんぽん担当」「ちゃんぽ ん係長」が誕生。また、26年に「八幡浜ちゃんぽん振興 条例」が制定され、27年には、青年部作成の食べ歩きマ ップを市がリニューアルするなど、官民一体となった取 り組みへと発展している。 地元のソウルフード「八幡浜ちゃんぽん」 観光地図を発行し、まちなか観光を推進 地区内人口:26,368(E) - 148 - 地区内商工業者数:1,810(2) 【特産品開発】 ■「カツオの塩たたき」で地域ブランドを推進 〔中村商工会議所(高知県)〕 ▼「中村でしか」食べられない塩たたきに着目 中村商工会議所は、高知県の名物である「カツオのタ タキ」の食べ方が、高知市と四万十市中村で大きく異 なることに着目。中村で食べられている「塩たたき」 を地域ブランドに育てあげ、観光客などのプロモーシ ョンにつなげていこうと、平成25年8月に「中村の 塩たたきプロジェクト」をスタートさせた。 市内32店舗の取り扱い店を紹介したパンフレットを 作成し、観光施設や道の駅、商業施設などで頒布する とともに、共通ののぼりやタペストリーをつくり、各 店舗に配布するなど、同プロジェクトの積極的なPR を展開している。また、「塩たたきまつり」や「おも てなしキャンペーン」などのイベントを開催すること で、市内への誘客を図っている。 ▼県や旅館組合と連携した事業展開 県が実施する「龍馬パスポート」の特典付与や「プレミ アム旅行券」での利用可能飲食店の登録、旅館組合と協 力した「おもてなしチケット」の発行など、同所では多 様な団体との連携で観光振興事業を展開している。 統一のぼりを 店舗で掲示 中村伝統のカツオの塩たたき 平成27年2月から、 「おもてなしキャン ペーン」を開催(11 月末まで) 地区内人口:32,023(E) 地区内商工業者数:2,232(3) 九州ブロック 【産業観光、都市観光、体験】 ■行政・観光協会と窓口を一本化し、産業観光を推進 〔北九州商工会議所(福岡県)〕 ▼産業観光推進室を新設 北九州商工会議所は平成23年、所内に「産業観光推進 室」を設置。工場見学の受け入れ企業の開拓、産業観 光ガイドの育成・活用、旅行代理店への販促活動等を 展開している。 ▼関係機関が連携し、プラットフォームを設置 26年4月には、北九州市観光にぎわい部・北九州市観 光協会とともに、「北九州観光共同事務所」を設置。 さらに、同事務所の産業観光部門をワンストップ窓口 としていくため「北九州産業観光センター」を新設し た。 同センターでは、専用の電話回線とHPを開設、産業観 光に関する問い合わせを一本化している。同所が推進 してきた「産業観光ツアー」に加え、市が重点的に取 り組む「工場夜景クルージング」、観光協会が取りま とめを行っている産業観光ガイドを連動させ、難しい とされていた産業観光ツアーの商品化を実現させた。 安川電機みらい館を見学するツアー参加者 近代化産業遺産として保存されている東田第一高炉 地区内人口:957,597(B) - 149 - 地区内商工業者数:42,842(7) 【広域連携、特産品開発、まつり・イベント】 ■7地域の特色を活かした広域観光に着手 〔筑後、八女、柳川、大川商工会議所(福岡県)〕 ▼筑後七国商工連合会を発足 福岡県南部の5市2町(筑後市、八女市、柳川 市、大川市、みやま市、広川町、大木町)の商 工会議所・商工会が連携し、平成25年に一般社 団法人筑後七国商工連合会を発足。7地域それ ぞれが持つ魅力を観光振興につなげることを目 的に、「筑後七国観光ビジョン」を策定した。 ▼観光商品・特産品の開発に着手 同連合会では、着地型観光商品の造成に向けて 共同でモニターツアーを実施している。また、 28年に福岡ソフトバンクホークスファームの本 拠地が筑後市へ移転することに伴い、土産品の 試作品開発等にも取り組んでいる。 このほか、筑後市内で開催しているグルメ料理 コンテスト「まかない飯グランプリ」への協力 など、様々な事業でのコラボレーションが生ま れている。 モニターツアーの様子 筑後市で開催の「まかない 飯グランプリ」には、連合 会メンバーも協力 筑後 地区内人口:49,116(E) 地区内商工業者数:2,158(3) 八女 地区内人口:66,242(D) 地区内商工業者数:2,480(3) 柳川 地区内人口:68,714(D) 地区内商工業者数:2,147(3) 大川 地区内人口:35,741(E) 地区内商工業者数:3,007(4) 【インバウンド、人材育成】 ■事業者の語学スキル向上を支援 〔武雄商工会議所(佐賀県)〕 ▼韓国語講座を継続的に実施 武雄商工会議所は、平成21年から韓国からの観 光客を迎え入れる態勢づくりの一環で、韓国語講 座を開催。 年20回3年間を1クールに、第1期 (21~23年)、第2期(24~26年)、第3期(27年~) と継続的に実施している。旅館・ホテルの宿泊業 のみならず、飲食業、土産品店、市民と幅広い層 が受講している。 同講座の特徴は、言語だけでなく、韓国の文化や 生活習慣も学べる内容になっていることで、開講 時間も宿泊業の従業員が参加しやすい昼間に設定 している。さらに欠席者にはDVDを貸し出す仕組 みも整えている。 地元の日韓市民交流団体に講師を依頼 ▼旅館組合と連携してインバウンド対策を協議 韓国だけでなく、台湾、タイからの観光客を誘致するために、同所では、武雄市旅館組 合のインバウンド部会と連携して、外国人観光客誘致に向けた対策を協議している。現 地商談会に出展するなど、積極的な観光PRを展開している。 地区内人口:33,418(E) - 150 - 地区内商工業者数:1,952(2) 【人材育成】 ■おもてなし力の向上を目指し、認定制度を創設 〔熊本商工会議所(熊本県)〕 ▼5年間で103人のマスターを輩出 熊本商工会議所では、平成23年の九州新幹線全 線開業を契機に、増加する観光客の顧客満足度 向上を目指して「おもてなしマスター育成講座 」をスタート。全8回の講座で基本的なマナー はもちろん、コミュニケーション力の向上やプ ロデュース力など、接客に必要な知識を総合的 に学べるカリキュラムを提供している。 5年間で103人のおもてなしマスターを輩出して おり、受講者からは、「お客様に対する考え方 や姿勢が変わった」等の声が寄せられている。 27年度からは、受講日数の短縮や単発講座でも 受講を可能にする等、多くの人が参加でき、地 域内のおもてなしの裾野を広げられる仕組みづ くりを進めている。 100人超がマスターに認定 地区内人口:525,905(B) 地区内商工業者数:21,464(7) 【インバウンド、まつり・イベント】 ■外国籍クルーズ船の誘致促進 〔八代商工会議所(熊本県)〕 ▼物販ブースの運営で域内消費を喚起 八代商工会議所は、重点港湾・八代港を活用して、 行政等と連携して、中国を中心とした東アジア地域 からの大型クルーズ船の誘致活動を行っている。 寄港の際には、地元小売店による物販ブースを港に 設置。ブース設営や販売補助通訳の配置など、同所 が出店を全面的にサポートし、域内の消費拡大を目 指している。 地元小売店の出店を支援 地区内人口:100,019(C) 地区内商工業者数:4,765(4) 〔日向商工会議所(宮崎県)〕 ▼まちなか観光ルートを策定 日向商工会議所は、行政と連携して、重点港湾・細島 港への中国(上海)からの大型客船来航の機会を利用 した中心市街地ならびに市内観光地への誘客を図るた め、お薦め観光ルートを策定した。 入港の際には、会員事業者等を集めた物産展やステ ージイベント等を港で開催し、盛大に歓迎するなど、 おもてなし事業にも力を入れている。 外国人観光客を盛大にお出迎え 地区内人口:63,011(D) - 151 - 地区内商工業者数:3,014(4) 【インバウンド、人材育成、都市観光】 ■留学生と連携したインバウンド対策事業 〔別府商工会議所(大分県)〕 ▼観光施設に留学生の声をフィードバック 別府商工会議所は、立命館アジア太平洋大学など 市内の大学に在籍している約83カ国・3,000人以 上の留学生を対象に、「別府観光コンシェルジュ 事業」を実施。座学・施設見学・意見交換等の研 修を行い、コンシェルジュに認定して、通訳ガイ ド(ボランティア)や母国等への情報発信役とし ての育成を目指している。 また、外国人の視点から見た別府観光に対する意 見や要望を集約し、観光施設等に情報提供してい る。 施設見学や意見交換等を通じて、通訳ガイド(ボランテ ィア)や情報発信役として育成 ▼国内外の記者を招聘し、取材機会を提供 平成6年度から、地域の「生きた情報」を発信す ることを目的に、国内外の編集者や記者を別府市 内に招待して、観光施設等での実体験をもとに取 材をしてもらう「全国タウン誌・情報誌コミュニ ケーション別府大会」を実施している。 地区内人口:120,354(C) 地区内商工業者数:5,453(5) 【都市観光】 ■昭和のまちづくりで商店街を再生 〔豊後高田商工会議所(大分県)〕 ▼全国300件の事例を研究 豊後高田商工会議所は、中心市街地の活性化を 目的に、20年ほど前から徹底的にまちの個性を 探求し、商店街が元気だった昭和30年代をテー マにしたまちづくりに着手。全国300件の事例 を研究し、「昭和の町」づくりの再生素材の検証 と再生構想を策定した。昭和の建築、歴史(一 店一宝)、商品(一店一品)、商人の4つの再 生をテーマに掲げ、総延長約500mに及ぶ商店 街を段階的に再生させることに成功した。 商人が住み着く「生きた」商店街の再生は、事 業者のモチベーション維持につながり、30万人 以上の来街者を呼ぶにぎわいを見せている。 ▼店舗改修も支援 平成13年度から同所のコーディネートにより、 「昭和の町」を構成する商店街の個店で改修な どを行った店舗に対し、補助を行う等の支援を 展開している。 - 152 - 「昭和レトロ」なまち並みを、最大の観光資源として活用 地区内人口:17,020(E) 地区内商工業者数:824(1) 【人材育成、都市観光、体験】 ■住民が主役となった着地型観光開発 〔延岡商工会議所(宮崎県)〕 ▼実行委員会が観光推進のプラットフォームに まち全体を舞台にした着地型観光イベントとし て、平成22年から体験交流イベント「えんぱく」 を開催。行政・観光協会・商工会議所等の関係 団体で構成される「えんぱく実行委員会」を中 心に、専門家や大学等の指導・助言を踏まえな がら運営方針を設定している。 ▼市民が主体となりプログラムを開発 参画事業者や市民が「誘い人」となり、農水産 物の収穫やまち歩き、ご当地グルメなど、この 土地ならではの体験プログラムを提供。 各種プログラムの開発や磨き上げ、おもてなし 人材の育成を目指し、「えんぱく寺子屋」と称 した研修会も実施している。 地域住民に対し、地域の魅力を再発見する場を 提供するとともに、メインターゲットとなる日 帰り圏からの集客を目指している。 市民が企画した多彩な体験プログラムが完成 地区内人口:116,910(C) 地区内商工業者数:4,924(4) 【都市観光、特産品開発】 ■「食」を強化して、さらなる観光客の増加を狙う 〔日南商工会議所(宮崎県)〕 ▼「ここでしか味わえない」がテーマ 日南商工会議所は平成22年、外部から招聘した専 門家からのアドバイスを基に、国内有数の漁獲量 を誇るカツオを使った「日南一本釣りカツオ炙り 重」を開発した。 「その地域でしか食べられないこと」にこだわり、 新鮮なカツオを使用して、漬けガツオを七輪(木 炭)で炙る独特のスタイルを構築。珍しさが人気 を呼び、販売数は累計15万食を超えている。 ▼商店街への回遊促進マップを作成 21年には、「飫肥城」を訪れた観光客に、市内の 商店街にも足を伸ばしてもらうため、飫肥城下町 保存会とともに「食べあるき・町あるきマップ」 を作成。マップに掲載している「商品引換券」1 枚につき、各店舗が用意する100円相当の品一つ と交換する仕組みが人気を集めている。 各店が趣向を凝らしたメニューを提供 食べあるき・町あるきマップを作成 地区内人口:39,945(E) - 153 - 地区内商工業者数:2,158(3)