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(1) 施設総量削減の目標設定について
(1) 施設総量削減の目標設定について 1. 公共施設に掛かるコスト削減の目標設定の必要性 (1)今後発生する修繕・更新コストの推計 公共施設を現状規模のまま保有した場合の修繕・更新コストは、時期による変動が大きい ものの、既存施設の更新が一巡する 60 年間で見ると、現在の公共施設に要している投資的 経費と維持修繕費の合計歳出を大きく上回る。 ① 平成 22 年度から平成 24 年度の公共施設の建設・更新・修繕に要した経費の実績 平成 22 年度から平成 24 年度に要した公共施設に係る投資的経費と維持修繕費を平均す ると歳出ベースで約 42 億円、一般財源ベースでは約 22 億円となる。 《平成22年度から24年度の施設の建設・更新・修繕に要した経費》 平成24年度 平成23年度 平成22年度 平均 歳出ベース(百万円) 投資的経費 維持修繕費 2,752 850 3,579 915 3,840 779 3,390 848 一般財源ベース(百万円) 計 投資的経費 維持修繕費 計 3,602 1,286 669 1,955 4,494 2,126 701 2,827 4,619 1,117 575 1,692 4,238 1,510 648 2,158 ② 平成 25 年度から平成 84 年度(60 年間)の将来コスト 平成 25 年度から平成 84 年までの 60 年間の将来コストは、歳出ベースで約 3,938 億 円、1年度あたり約 66 億円(平均)となり、一般財源ベースでは、約 1,848 億円、1 年度あたり約 31 億円(平均)となる。 《全ての公共施設を維持した場合の10年毎の将来コストの状況》 年度 歳出ベース(百万円) 1年度あたり 修繕費 計 累計 27,718 39,210 39,210 3,921 更新費 5,153 一般財源ベース(百万円) 1年度あたり 修繕費 計 累計 23,872 29,025 29,025 2,903 H25~34 更新費 11,492 H35~44 35,138 23,929 59,067 98,277 5,907 9,166 21,092 30,258 59,283 3,026 H45~54 76,241 18,403 94,644 192,921 9,464 17,944 16,312 34,256 93,539 3,426 H55~64 68,537 16,351 84,888 277,809 8,489 17,368 14,029 31,397 124,936 3,140 H65~74 50,907 19,699 70,606 348,415 7,061 13,851 16,719 30,570 155,506 3,057 H75~84 19,325 26,058 45,383 393,798 4,538 6,926 22,382 29,308 184,814 2,931 60年計 261,640 132,158 393,798 6,563 70,408 114,406 184,814 3,080 ※ 今回の将来のコスト推計は、大津市公共施設白書の策定基準日である平成 23 年 3 月末からの公共施 設の変動及び平成 25 年度以降に建設等が予定されている建物を含むとともに、独立採算で経理してい る企業会計において自主財源で賄われている修繕経費は控除している。 1 今後 60 年間の将来コストの状況(歳出ベース) 160 4,500 修繕費 4,000 140 更新費 3,500 120 事業費(億円) 3,000 100 2,500 80 2,000 60 1,500 40 累計事業費(億円) 累計 1,000 H22~24年度 平均投資額 20 500 0 0 H25 H30 H35 H40 H45 H50 H55 H60 H65 H70 H75 H80 年度 今後 60 年間の将来コストの状況(一般財源ベース) 60 2,000 修繕費 1,750 50 更新費 事業費(億円) 1,250 30 1,000 750 20 累計事業費(億円) 1,500 累計 40 500 H22~24年度 平均投資額 10 250 0 0 H25 H30 H35 H40 H45 H50 H55 H60 H65 H70 H75 H80 年度 (2)今後の将来コストに対する財源不足の状況 ① コストの不足状況 このまま全ての施設を現状のまま維持し、更新していくと、この先 60 年間で歳出ベー スで約 35%、一般財源ベースで 30%もの施設において、現状の投資水準を上回ることと なり、現在の投資水準からは見ると、一般財源ベースで約 553 億円の財源が不足するこ ととなる。 《現在の実績と将来コストの比較表》 区分 歳出ベース(百万円) 今後60年間のコスト (A) H22~24年度実績平均 (B) 4,238 2,158 (C) 不足するコスト C-A 254,280 129,480 (B)×60 コスト不足率(%) 1-C/A 393,798 一般財源ベース(百万円) △ 139,518 (△ 2,325) 35.4% ※( )内は、1年度あたりの不足コスト 2 184,814 △ 55,334 29.9% (△ 922) ② 現在の投資水準から見た、今後60年間の10年毎の1年度あたりの財源不足の状況 10年平均での将来負担及び財源不足額(歳出ベース) (百万円) 10,000 1,840 8,000 1,635 1,970 6,000 2,393 4,000 2,000 2,772 4,238 7,624 6,854 3,514 5,091 1,933 1,149 0 ▲ 1,669 ▲ 2,000 2,606 ▲ 5,226 ▲ 4,251 H45~54 H55~64 ▲ 2,823 ▲ 300 H65~74 H75~84 ▲ 4,000 ▲ 6,000 H22~24実績 H25~34 H35~44 更新 (百万円) 修繕 実績 (年度) 財源不足 10年平均での将来負担及び財源不足額(一般財源ベース) 4,000 3,000 1,631 2,000 1,000 2,387 1,794 515 1,737 916 ▲ 745 ▲ 868 H25~34 H35~44 1,672 2,238 2,158 0 1,403 2,109 ▲ 1,000 1,385 693 ▲ 1,267 ▲ 982 ▲ 899 ▲ 772 H45~54 H55~64 H65~74 H75~84 ▲ 2,000 H22~24実績 更新 修繕 実績 財源不足 (年度) このままでは、社会保障経費などの公共施設以外の行政経費に影響を及ぼすか、無理に現 在の投資水準を維持したとしても、施設維持や更新に十分な投資が出来ず、老朽化により危 険な公共施設が増えるか公共施設でのサービスが提供不能となる恐れがある。 《そのためには》 長期的なスパンで、コスト削減目標を設け、その実現に向けた取り組みを進める 必要がある。 3 2. 公共施設に要するコスト削減と目標設定の考え方 管理床面積の削減 ○施設の廃止 ・・・・・・ 施設そのものを廃止する。 ○減築 ・・・・・・ 施設の余剰部分の撤去により、管理床面積の削減 を図る。 ○施設の集約化・複合化 ・・ 余剰のある施設に他の施設機能を移転し、移転元 施設を廃止する。または、施設建替えの際に複数 あった施設を統合し、全体面積の縮減を図る。 施設維持コストの縮減 ○施設サービスの適正化 ・・ 公共施設でのサービスを、市民ニーズの状況や代替 サービスの創出などにより適正化し、コストの低減 を図る。 ○施設維持運営手法の見 ・・ 従来の運営方法の見直しや指定管理者制度の更なる 直し 導入、各種契約方法の見直しにより施設運営費の縮 減を図る。 ○PPP/PFIなどの ・・ 民間資金や民間ノウハウを活用した施設整備や維 推進 持、管理運営の推進 新たな財源の確保 ○既存施設を有効活用した新たな財源の創出 ○将来の大規模改修や更新に備えた基金の造成 ・既存施設のコストの縮減による効果額 ・廃止等した施設の資産の売却益や運用益 ○施設使用料の見直し 修繕・更新事業費の不足への対応 事業費抑制と財源確保、公民連携なども視野にいれた実現可能な施設総量(目標) の設定が必要! 施設総量の削減による修繕・更新コストの発生そのものの抑制 多様なコスト縮減手法により、施設更新・維持のための財源の確保 PPP/PFIなど民間資金やノウハウの活用 4 3.総量削減の目標設定 (1)削減のターゲットとするコスト 不足するコストの設定 → 歳出ベース or 一般財源ベース 現在の実績と将来コストの比較 (百万円) 8,000 6,563 7,000 970 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 特 定 財 源 1.5倍 4,238 (35.4%) 2,513 809 1.4倍 981 一 般 財 源 290 (29.9%) 歳 出 3,080 2,158 0 平成22~23 平成 22~24 年度平均 年度平均 一般財源 60年平均 の将来コスト その他特定財源 地方債 国県補助 特定財源(国・県支出金等)は、その時々で制度の変革が大きく、特定財源を含んだ比較 検討は現状との乖離が大きくなることがある。そのため、地方公共団体において財政状況の 比較検討等を行う場合、地方税等の一般財源を基に考えるのが標準的である。また、特定財 源の確保は、事業実施担当部署のインセンティブや創意工夫、アイデアの創出を高める要素 であるため 当該検討の削減目標の設定等は、 一般財源 を基礎として考えることとする。 (2)修繕・更新コスト抑制の考え方 上記のとおり一般財源で将来コストを考えた場合、 本市においては、将来コストのうち 約30% が不足することとなる 5 《面積削減による効果額の考え方》 集約化や減築、建物の更新時による施設の規模の縮小において、管理床面積を削 減することができれば、面積削減の割合に応じて、更新費および以降の修繕費もそ れに比してコスト削減が可能となる ●更新時の面積削減に於ける効果● ( 事 業 費 ) 面積削減に比例し 事業費も削減 新 規 整 備 1 修 繕 15 修 繕 30 新 規 整 更 備 新 修 繕 45 60 1 (経過年数) 修 修 繕 繕 15 修 修 繕 繕 30 修 修 繕 繕 45 上記に加え、面積削減により管理床面積が減ると、施設保全等の守備範囲も縮小 され、各種保全委託等に要するコストが縮減し、その縮減分を将来コストにあて ることが可能となる。 → (将来コストに対する財源の確保) しかし・・・!? コスト削減が実現するのは、取り組みの実施以降であり、それまでの期間は試算と同様 の修繕費や運営費が発生することとなる。今後60年の期間で見た場合、取り組みの実施 が早いほどコスト削減効果も大きくなるものの.. . ..! 削減の取り組み開始が遅くなると更なるコスト縮減が必要となる! そのため!? 各期間毎に実現可能なコスト縮減に併せ、さまざまな手 法を取り入れ、目標を設定する必要がある。 6 (3)コスト削減目標(案) 各期間後との更新面積及び将来コスト、財源不足の状況 H25~34 更新面積(㎡) ※1 比率 各10年毎 の将来 コスト (百万円) H35~44 33,695 128,051 H45~54 H55~64 298,669 274,537 H65~74 181,695 H75~84 62,784 計 実績額※3 不足額 979,431 3.4% 13.1% 30.5% 28.0% 18.6% 6.4% 100.0% 修繕費 23,872 21,092 16,312 14,029 16,719 22,382 114,406 更新費 5,153 9,166 17,944 17,368 13,851 6,926 70,408 129,480 計 29,025 30,258 34,256 31,397 30,570 29,308 184,814 129,480 ▲ 55,334 ※2運営費 20,398 20,398 20,398 20,398 20,398 20,398 122,388 122,388 合計 49,423 50,656 54,654 51,795 50,968 49,706 307,202 251,868 ▲ 55,334 ※1 は、各期間中の更新床面積を表示(歴史的な建物などは除外) ※2 は、公共施設白書における、平成19年度から21年度の人件費及び指定管理者管理委託料を除く管理運営費の一般財源分の経費の 10年分を記載している。 ※3 は、平成22年度から24年度の公共施設に要した経費の60年分として額を算定(2,158百万円×60年) 削減時期によるコスト削減の目標達成状況は下表のとおりとなる。 (億円) 管理床面積削減時期別削減効果額の状況 1,200 削 減 目 標 達 成 1,100 1,000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 削減効果額 ~10年 ~20年 10% 15% ~30年 ~40年 20% 25% ~50年 30% ~60年 (経過年数) 35% 将 来 コ ス ト 超 過 40% 上記のグラフによると将来コストの削減目標達成の条件は以下のとおりとなる。 約 20% 以上 ・今後 20 年間で 約 25% 以上 ・今後 30 年間で 約 30% 以上 ・今後 10 年間で ・今後 40 年間で 約 40% 以上 しかし、施設の更新時期はさまざまで、この先10年間で比較的大規模な施設の更新時 期も来ない。そのため・・・・!? 施設の更新時期等を勘案し、段階的な目標設定が必要 7 《削減目標の設定》 社会情勢等の変化とそれに伴う市民ニーズの変化に柔軟に対応してくためには、目標の設 定期間としては、60 年間は長期となりすぎるため、 中間地点である 30 年後(平成 54 年度)までにコスト 30%削減を目標 に掲げ、取り組みを進めることとする。 しかしながら、既存施設の約半数は今後 30 年以内に耐用年数を迎えないため、今後 30 年間での面積削減目標は 30%の半分となる 15%と考える。 《削減目標》 30 年後までに、延床面積で現行の 15%(約 147 千㎡)を削減するとともに、 公民連携(PPP/PFI 等)や新たな財源の確保、その他コスト縮減の取り組みに より、30 年後時点で必要となる残りの 15%分の削減は、コストを縮減の取り 組みで対応する。 今後 30 年間で ●公共施設の延床面積を、15%削減 ●新たな財源確保やコスト縮減の取り組みで、将来コストを 15%縮減 ※なお、将来の社会情勢の変化や各施設における将来コスト削減の取り組みの進捗状況 により柔軟に対応できるように、5 年毎に進捗状況などの検証・評価を実施し、削減 目標を随時ローリングしていく。なお、30 年後時点で、当該目標の達成が見込めな い場合は、平成 55 年度以降で床面積の更なる削減目標を設定するものとする。 8 3 0 年後ま での各10年毎に1 5 % の面積削減を振り 分けた場合の効果額の目安 H25~34 H35~44 H45~54 H55~64 H65~74 H75~84 計 削減コスト(面積割合(%)) 3.0% 5.0% 7.0% 15.0% 更新費 ▲ 2,112 ▲ 3,520 ▲ 4,929 ▲ 10,561 修繕費 0 ▲ 633 ▲ 1,305 ▲ 2,104 ▲ 2,508 ▲ 3,357 運営費 0 ▲ 612 ▲ 1,632 ▲ 3,060 ▲ 3,060 ▲ 3,060 ▲ 11,424 計 A ▲ 2,112 ▲ 4,765 ▲ 7,866 ▲ 5,164 ▲ 5,568 ▲ 6,417 ▲ 31,892 一 般 財 各10年間の 源 削減効果額 ベ (百万円) ー ス ( 百 万 円 コスト不足額 (百万円) B ▲ 9,907 ▲ 55,334 ) コスト不足解消額 B-A ▲ 23,442 この分を 30 年後までのコスト縮減等で対応 《コスト縮減に向けた取り組み内容(再掲)》 施設維持コストの縮減 ○施設サービスの適正化 ・・ 公共施設でのサービスを、市民ニーズの状況や代替 サービスの創出などにより適正化し、コストの低減 を図る。 ○施設維持運営手法の見 ・・ 従来の運営方法の見直しや指定管理者制度の更なる 直し 導入、各種契約方法の見直しにより施設運営費の縮 減を図る。 ○PPP/PFIなどの ・・ 民間資金や民間ノウハウを活用した施設整備や維 推進 持、管理運営の推進 新たな財源の確保 ○既存施設を有効活用した新たな財源の創出 ○将来の大規模改修や更新に備えた基金の造成 ・既存施設のコストの縮減による効果額 ・廃止等した施設の資産の売却益や運用益 ○施設使用料の見直し 9 《削減量の目安》(参考) 主な施設分類の面積の割合(公共施設白書時点) 施設分類名称 棟数 小学校 中学校 幼稚園 その他学校教育施設 文化施設 体育館・格技場 体育館・プール プール 運動競技場など競技施設 その他スポーツ施設 公園施設 病院・医療施設 その他医療施設 保健施設 福祉施設 市営住宅 本庁舎 市民センター その他 合計 316 237 54 7 6 10 1 7 4 2 3 9 4 3 86 183 6 35 119 1,092 延床面積 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 棟 243,410 151,197 35,324 9,539 14,321 11,750 3,796 3,653 20,816 1,918 7,642 54,177 6,186 1,561 42,642 157,851 41,640 38,399 133,257 979,082 ↓ 割合 ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ ㎡ 1校当たりの平 1校あたりの全体 に占める割合 均面積 6,579 ㎡ 0.7% 8,400 ㎡ 0.9% 1,039 ㎡ 0.1% 24.9% → 15.4% → 3.6% → 1.0% 1.5% 1.2% 0.4% 0.4% 2.1% 0.2% 0.8% 5.5% 0.6% 市営住宅10%が全体 0.2% 市営住宅 に占める割合 4.4% 11.5%分の面積 16.1% → 18,153 ㎡ 1.9% 4.3% 3.9% ※平成25年2月末管理戸数2,825戸(A) 13.6% マスタープラン目標戸数2,500戸(B) 100.0% (A-B)÷ A ≒ 11.5% 15%分の面積 = 約147,000㎡ 施設分類別・年度別更新費(大分類) 35 市民センター 30.0 30 生涯学習施設 27.7 コミュニティ施設 公園・文化・スポーツ施設 更 25 新 面 20 積 ( 万 15 ㎡ ) 学校教育施設 19.0 福祉施設 保健・医療施設 13.0 環境施設 庁舎 10 5 その他教育施設 6.4 3.3 消防施設 市営住宅 葬儀施設 産業・観光施設 10 H75~H84 H65~H74 H55~H64 H45~H54 H35~H44 H25~H34 0 その他