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環境配慮型製品の販売状況についての調査結果
環境配慮型製品の県内小売店における販売状況 調査報告書 みやぎグリーン購入ネットワーク 1 Ⅰ、事業の目的 事業目的 宮城県内におけるグリーン購入の普及・促進に向けて、消費者がグリーン 購入をしやすい環境として、販売店等の供給側の整備が必要である。今回の 調査では、環境配慮型製品が小売店においてどのように販売されているのか、 小売店へ実態調査を行った。 事業内容、 方法 ・ 県内小売店 200 店舗へアンケート調査を実施(81 回答を回収。回収率 40.5%) ・ アンケート回答小売店仙台市内 15 店舗へヒアリング調査を実施(文房具 店 5 店舗、スーパーマーケット 8 店舗、ホームセンター2 店舗) ア ン ケ ー ト ・ 環境配慮型製品の品目における調査 内容 ・ 店頭での環境情報提示における調査 ・ 消費者の意識及び販売量の変化における調査 ア ン ケ ー ト 仙台市青葉区 11 店舗 仙台市宮城野区 9 店舗 回答数 仙台市若林区 2 店舗 仙台市太白区 3 店舗 仙台市泉区 7 店舗 石巻市 7 店舗 塩釜市 2 店舗 古川市 3 店舗 気仙沼市 2 店舗 白石市 2 店舗 角田市 2 店舗 岩沼市 1 店舗 登米市 7 店舗 栗駒市 1 店舗 東松島市 2 店舗 大河原町 2 店舗 柴田町 2 店舗 丸森町 1 店舗 亘理町 1 店舗 山元町 2 店舗 利府町 1 店舗 大和町 2 店舗 富谷町 3 店舗 加美町 1 店舗 松山町 1 店舗 鹿島台町 1 店舗 涌谷町 1 店舗 田尻町 1 店舗 南三陸町 1 店舗 計 81 店舗 ヒ ア リ ン グ 文房具店 調査件数 5 店舗、スーパーマーケット ホームセンター 8 店舗 2 店舗 計 15 店舗 2 Ⅱ 環境配慮型製品販売状況アンケート調査結果 1、小売店の環境配慮型製品の取扱い状況調査 ① 環境配慮型製品の取扱いの有無について 小売店を対象とした今回のアンケート調査では、文房具類 4 品目(コピー用紙、シャー プペンシル、ノート、ファイル)と日用品 4 品目(トイレットペーパー、シャンプー、台 所用洗剤、紙ひも)に関する環境配慮型製品の取扱い状況について調査を行った。 アンケートの結果、多くの販売店において環境配慮型製品を取扱っていることが分かっ た。文房具については、コピー用紙が 62 件中 53 件(86.8%)、シャープペンシルが 69 件 中 62 件(89.9%)、ノートが 70 件中 63 件(90.0%)、ファイルが 62 件中 59 件(95.2%)、 日用品については、トイレットペーパーが 57 件中 55 件(96.5%)、シャンプーが 34 件中 26 件(76.5%)、台所用洗剤が 39 件中 32 件(82.1%)、紙ひもが 46 件中 36 件(78.3%) の販売店において環境配慮型製品を取扱っていた。 有 無 合計 コピー用紙 53(86.8%) 9(13.2%) 62 シャープペンシル 62(89.9%) 7(10.1%) 69 ノート 63(90.0%) 7(10.0%) 70 ファイル 59(95.2%) 3(4.8%) 62 トイレットペーパー 55(96.5%) 2(3.5%) 57 シャンプー 26(76.5%) 8(23.5%) 34 台所用洗剤 32(82.1%) 7(17.9%) 39 紙紐 36(78.3%) 10(21.7%) 46 《表:環境配慮型製品の取扱いについて》 ② 環境配慮型製品の売り場で占める割合について 従来、リサイクル製品等が市場に出回っていなかった点を踏まえると、以前よりもリサ イクル製品等の環境配慮型製品が市場で出回ってきていることが予想される。 しかし、多くの小売店で環境配慮型製品を取扱っているものの、売り場の中で環境配慮 型製品が占める割合についてはあまり高くはない。環境配慮型製品は主力商品として扱っ てはいないようである。 日用品類 4 品目に比べ、文房具類 4 品目の方が比較的に占める割合が高かった。 コピー用紙に関しては 53 件中 32 件(61.5%)、シャープペンシルに関しては 63 件中 28 3 件(44.4%)、ノートに関しては 64 件中 26 件(56.2%) 、ファイルに関しては 59 件中 35 件(60.3%)の小売店において環境配慮型製品が全体の 5 割以上を占めていた。 日用品の割合が文房具の割合よりも低い理由としては、文房具類は文房具自体の原材料 が新規資材から再生資材へ変わって来ており、市場自体に環境配慮型製品が多く出回って いることや、日用品は材料そのものよりも詰め替え商品等が環境配慮型製品の対象となっ ていることなど、文具における環境配慮型製品と性質が違うことなどが挙げられる。 5割以上 3∼5割 1∼3割 1割未満 合計 コピー用紙 32(61.5%) 7(11.5%) 14(26.9%) 0(0%) 53 シャープペンシル 28(44.4%) 12(19.1%) 18(28.6%) 5(7.9%) 63 ノート 36(56.2%) 11(17.2%) 11(17.2%) 6(9.4%) 64 ファイル 35(60.3%) 6(10.4%) 15(24.1%) 3(5.2%) 59 トイレットペーパー 25(46.3%) 16(29.6%) 7(13.0%) 6(11.1%) 54 シャンプー 9(33.3%) 9(33.3%) 3(11.1%) 6(22.3%) 27 台所用洗剤 11(33.3%) 8(24.2%) 5(15.2%) 9(27.3%) 33 紙紐 16(43.3%) 7(18.9%) 4(10.8%) 10(27.0%) 37 《表:環境配慮型製品の売り場を占める割合》 ③ 環境配慮型製品の売上げの変化について 環境配慮型製品の売上げの変化に関するデータを見ると、横ばいと答える回答が多かっ た。前述の環境配慮型製品が売り場において占める割合が低い点について、売れない商品 が淘汰され、売れる商品のみが店頭に残っていくことを考えると、環境配慮型製品は選ば れ購入されずに淘汰されていることが予想される。 そのため、売り場において環境配慮型製品の占める割合が増えずにいることが考えられ る。 文房具類 4 品目に関しては、比較的に市場へ出回っていることもあり、売上げが増加気 味である回答も多く得ている。 しかし、この点に関しては消費者が意識をした上で環境配慮型製品を購入しているかは 不明である。むしろ、「環境配慮」という価値が購入へのインセンティブになっているので はなく、環境配慮型製品とそれ以外の製品が混在する中で比較的割合が高いため、 「価格」 や「品質」等の「環境配慮」以外のその他の要因によって環境配慮型製品の購入が増えて いることが予想される。 増加 コピー用紙 24(43.4%) 横ばい 30(56.6%) 減少 0(0.0%) 合計 54 4 シャープペンシル 27(42.9%) 36(57.1%) 0(0.0%) 63 ノート 26(40.6%) 37(57.8%) 1(1.6%) 64 ファイル 26(44.8%) 29(50.0%) 3(5.2%) 58 トイレットペーパー 14(27.4%) 36(70.6%) 1(2.0%) 51 シャンプー 10(37.0%) 14(51.9%) 3(11.1%) 27 台所用洗剤 11(33.3%) 22(66.7%) 0(0.0%) 33 紙紐 7(18.4%) 28(73.7%) 3(7.9%) 38 《表:環境配慮型製品の販売量の変化》 2、企業の環境配慮型製品の取扱い調査 ① 企業による環境配慮型製品の納品指定について 小売店において消費者は店頭で商品を買い求める一般県民だけではなく、企業等の大口 の消費者も存在している。最近では ISO14001 等を取得する企業も増えており、環境配慮 型製品を積極的に購入する企業も増えていると推測される。環境配慮型製品の市場を拡 大・維持するためにも、このような企業等の大口消費者の存在が必要である。 今回のアンケートでは、環境配慮型製品の納品指定を行っている企業がどの程度存在し ているのかの調査も行った。 その結果、納品指定を行っている企業は存在しているものの、全体としては多くない結 果が出た。 小売店の売り場において占める割合が比較的高く、販売量も増加傾向のコピー用紙にお いても、企業からの納品指定はさほどされていないようである。コピー用紙の納品全体の 中で、環境配慮型製品が 5 割以上指定されているのは 50 件中 10 件(20.0%)であった。 納品指定が比較的多くない理由としては、環境配慮へ取組むことの出来る大規模な企業 と取組むことの出来ない中小企業が存在していることが予想される。 5割以上 3∼5割 1∼3割 1割未満 合計 コピー用紙 10(20.0%) 13(26.0%) 18(36.0%) 9(18.0%) 50 シャープペンシル 9(16.1%) 14(25.0%) 16(28.6%) 17(30.3%) 56 ノート 14(23.7%) 11(18.7%) 18(30.5%) 16(27.1%) 59 ファイル 13(24.1%) 14(25.9%) 14(25.9%) 13(24.1%) 54 トイレットペーパー 13(30.2%) 10(23.2%) 9(20.9%) 11(25.6%) 43 シャンプー 4(20.0%) 5(25.0%) 4(20.0%) 7(35.0%) 20 台所用洗剤 8(33.3%) 3(12.5%) 6(16.7%) 9(37.5%) 26 紙紐 8(24.2%) 6(18.2%) 4(12.1%) 15(45.5%) 33 5 《表:企業の環境配慮型製品納品指定について》 ② 卸売業者・製造業者による情報提供・販売要請について 小売店において環境配慮型製品を取扱う際、卸売業者や製造業者からの情報提供や製品 の斡旋が取扱いの有無へ大きな要素になると考えられるが、それら業者から小売店へ環境 配慮型製品の製品説明や販売要請はあまり行われていないようである。 業者側からの環境配慮型製品の取扱い要請について、77 件中 14 件(18%)において「要 請が多い」との回答を得ることが出来た。しかし、77 件中 39 件(51%)において「特に 要請等はない」という回答も得ている。 半数以上の小売店において、卸売り・製造業者等からの販売要請・情報提供が行われて いない状況にあるようである。多くの小売店において、環境配慮型製品の取扱いは小売店 側の選択によって取扱っているようである。一般的に製品は、売れる製品と売れない製品 の淘汰によって品が変わっていく。環境配慮型製品が小売店において多く取扱われるため には、「環境」という要素だけでなく、「品質」や「価格」という要素も必要である。 卸売業者からの販売促進の要請について 18% 51% 31% 要請が多い たまにある 特にない 《グラフ:販売促進の要請について》 3、環境配慮型製品の品質・価格等の調査 ① 環境配慮型製品の品質について 環境配慮型製品が主力製品として扱われない理由として、 「価格が高い」 「品質が悪い」 「デ ザインが悪い」等の多くの理由が障壁となっていると一般的に考えられている。 しかし、アンケート回答では、環境配慮型製品とそれ以外の普通製品の品質を比較した 場合、ほとんど品目において品質は「変わらない」という回答を得ている。 コピー用紙が 53 件中 45 件(85.0%) 、シャープペンシルが 63 件中 56 件(88.9%)、ノ 6 ートが 64 件中 53 件(82.8%)、ファイルが 59 件中 50 件(84.7%)、日用品類においてト イレットペーパーが 50 件中 34 件(68.0%)、シャンプーが 25 件中 20 件(80.0%) 、台所 用洗剤が 31 件中 27 件(87.1%) 、紙紐が 36 件中 31 件(86.1%)の小売店において「ほと んど変わらない」という回答であった。 コピー用紙の品質 8% シャープペンシルの品質 2% 8% 84% よい 88% 変わらない 悪い よい ノートの品質 5% 3% 13% 変わらない 悪い よい 12% 変わらない 変わらない 悪い シャンプーの品質 4% 12% 16% 80% 68% よい 悪い 85% トイレットペーパーの品質 20% 変わらない ファイルの品質 82% よい 10% 悪い よい 変わらない 悪い 7 台所用洗剤の品質 6% 紙紐の品質 6% 7% 87% よい 変わらない 8% 86% 悪い よい 変わらない 悪い 《グラフ:環境配慮型製品と普通製品の品質の比較》 ② 環境配慮型製品の価格について 環境配慮型製品の価格については、コピー用紙において比較的「高い」という回答が多 かったものの、ほとんどの品目において価格は「変わらない」という多くの回答を得るこ とが出来た。 コピー用紙が 53 件中 19 件(64.2%) 、シャープペンシルが 61 件中 53 件(86.9%)、ノ ートが 62 件中 55 件(88.7%)、ファイルが 57 件中 51 件(89.5%)、トイレットペーパー が 51 件中 35 件(68.6%)、シャンプーが 26 件中 16 件(61.5%)、台所用洗剤が 32 件中 23 件(71.9%) 、紙紐が 38 件中 33 件(86.8%)において環境配慮型製品は普通製品と価格 は「変わらない」という回答であった。 全品目において、 「変わらない」という回答を比較的多く得ることが出来たが、文房具類 と日用品類を比較すると、日用品類が比較的回答にばらつきがあるようである。また、紙 類についてコピー用紙とトイレットペーパーを比較すると、トイレットペーパーには「安 い」という回答もあるが、コピー用紙は品質が高いものが要求されているせいか、 「安い」 に関する回答は得られることが出来なかった。 コピー用紙の価格 シャープペンシルの価格 0% 0% 13% 36% 64% 87% 高い 変わらない 安い 高い 変わらない 安い 8 ノートの価格 2% ファイルの価格 10% 0% 88% 高い 89% 変わらない 安い トイレットペーパーの価格 16% 16% 高い 変わらない 15% 23% 62% 変わらない 安い 高い 台所用洗剤の価格 13% 変わらない 変わらない 安い 髪紐の価格 0% 16% 13% 87% 71% 高い 安い シャンプーの価格 68% 高い 11% 安い 高い 変わらない 安い 《グラフ:環境配慮型製品と普通製品の価格の比較》 4、環境情報の提示について グリーン購入の促進において、消費者の判断基準としての環境情報が必要である。今回 のアンケートでは、環境配慮型製品の販売において POP 広告等によっての環境情報を提示 している小売店は少なかった。環境情報を提示している販売店は 75 件中 26 件(35.1%) であった。 9 また、環境情報を提示している小売店への質問として環境情報の提示による販売への影 響についてもアンケートを行った。その結果、環境情報の提示によって「販売量が増加し た」という若干の回答を得ることが出来たが多くの販売店では、環境情報の提示による購 入量はあまり変わらず、「横ばいである」という結果であった。 環境情報の提示による販売量の変化 環境情報の表示 4% 35% 35% 65% 61% している していない 販売の増加 影響なし その他 《グラフ:環境情報の提示について》 5、小括 今回、小売店側へ環境配慮型製品に関するアンケート調査を行った。その結果を見ると、 全体的に環境配慮型製品が増えてきている印象を受ける。 多くの小売店において環境配慮型製品を取扱っており、売り場で占める割合も高く、概 ね 3 割程度は確保されているといえる。文房具類については、素材が再生資材へ変化して きていることもあり、比較的にその割合は高い。 その中で、なぜ社会的にグリーン購入が普及しないのか考える必要がある。今回のアン ケート調査では、一般的にグリーン購入普及の障壁となっていると言われる、環境配慮型 製品の「品質」「価格」という点について小売店での実態を調査することが出来た。 その結果を見ると、障壁といわれている部分について、品目によってばらつきがあるも のの、環境配慮型製品とそれ以外の普通の製品の差は概ね少ないようである。「価格」「品 質」ともに普通の製品と「変わらない」という回答を多く得ることが出来た。昨今の技術 開発やある程度の市場拡大によって、 「品質」 「価格」ともに従来の「低品質」 「高価格」の 環境配慮型製品とは大きく変わってきているようである。 生活の中で身近な文房具 4 品目、日用品 4 品目のみの調査であったが、従来よりもグリ ーン購入をしやすい環境になっていると考えられる。 この 8 品目に関しては障壁と言われている点についてはあまり差がなく、グリーン購入 普及の本当の障壁ではないという感じを受ける。グリーン購入の普及に関し、そもそもの 10 「消費者の意識」や「供給側の意識」が大きく影響していると思われる。 大口の消費者としての企業について、環境配慮型製品の納品指定を行っている企業は全 体的には多くはなかった。また、卸売業者・製造業者に関しても、環境配慮型製品の販売 の要請や情報提供を小売店へ積極的に行っていないようである。 小売店においても環境情報を提示による環境配慮型製品の販売をあまり積極的に行って いないようである。また、これに関し、環境情報を提示しても環境配慮型製品の販売量へ 変化が起きていないことから、環境情報の提示の方法にも問題があると考えられる。 2004 年 10 月に仙台で行われた第 1 回グリーン購入世界会議の中で、環境配慮型製品の 販売の際、環境情報の提示をすることによって「環境配慮」が購入の際の判断基準として より明確になるため、環境配慮型製品の購入へインセンティブが働き、販売量の増加が起 きるとの調査報告があった。 しかし、今回のアンケートではその時の報告と反する結果であった。この点について、 「環 境情報の提示の方法」とそもそもの「消費者の環境に対する意識」に問題があると考えら れる。 今後、一般県民がグリーン購入をしやすい環境として販売店等の供給側の整備を行う場 合、適切な環境情報の提示を行うための担保が課題となる。特に宮城県では、個人商店等 の中小規模の販売店が比較的多いため、それらをバックアップするツールが必要である。 仙台市の施策で、文具の環境配慮型製品を対象とし認定する「せんだいグリーン文具制 度」や、小売店をエコショップとして認定する「エコにこショップ制度」等を行っており、 これらはグリーン購入のしやすい環境整備の一環と取ることが出来る。しかし、このよう な施策のバックアップの体制がどの程度小売店へ行われ、どの程度効果を為しているのか、 別途調査を行う必要があるといえる。 また、今回は販売側の小売店への調査であったが、製造・卸売業者への調査、購入者側 への調査が今後必要である。 11 Ⅲ 環境配慮型製品販売状況ヒアリング調査結果 1、環境配慮型製品のアンケート 8 品目以外の取扱い状況 ① 文房具店・5 店舗 ・ アンケート調査品目以外の文房具全般(5 店舗) (EX.マーカー、カッター、ホッチキス、スタンプ台等) ・ オフィス家具(1 店舗) 文房具店において仙台市内 5 店舗で環境配慮型製品に関する調査を行った。その結果、 文房具店においては、ほとんどの品目について環境配慮型製品を取扱っているようである。 しかし、環境配慮型製品とそれ以外の製品を特段別に取扱うわけではなく、一緒に扱っ ており、店側でもどの品が環境配慮型製品であるのか把握をしきれていないようであった。 (カタログ等を見て、色やデザイン等で売れそうなものを置いているようである。) アンケート以外の環境配慮型製品が売り場で占める割合は正確に把握出来なかったが、 割合は低いと店側は感じている。 販売量に関しては、環境配慮型製品を特別視 しているわけではなく、その点についても把握 出来ていない。しかし、販売店側は売れる商品 を置き、売れない商品は淘汰されているため、 環境配慮型製品が全体的に少ない現状を踏まえ ると、販売量は伸びてはいないことが予想され る。 企業による環境配慮型製品の納品指定は、大 きい企業は指定するものの、小さな企業は安い 《混在する環境配慮型製品と普通製品》 ものを指定することが顕著に現れているようである(3 店舗)。 品質や価格については、コピー用紙についての意見が多かった。再生紙の高品質なもの は中性紙と比べ価格が高く、紙の色も黄色っぽいため、気にする消費者が多いようである (3 店舗)。紙以外の環境配慮型製品に関しては普通の製品と比べ、品質は同じである製品 が多く、若干価格が高いケースが多いと販売店側は感じているようである(3 店舗)。 (* 積極的に環境配慮型製品を販売している店舗 1 店舗あった。) ② スーパーマーケット・8 店舗 ・ サランラップ(3 店舗) ・ 水切り袋(3 店舗) 12 ・ 省エネ電球(3 店舗) ・ アルミ製レンジカバー(1 店舗) ・ 換気扇カバー(1 店舗) スーパーマーケット仙台市内 8 店舗においてヒアリング調査を行ったが、環境配慮型製 品はあまり見られなかった。 その理由としては、スーパーマーケットは食料品がメインの小売店であり日用品の取扱 いが少ない点、文房具店よりも商品の出入りが激しい点が挙げられる。環境配慮型製品を 扱っていたのは大型チェーン店であり、売り場の少ない個人経営店舗(1 店舗)、食料品メ インの店舗(2 店舗)ではほとんど見られなかった。 大型チェーン店においては、環境配慮型のプライベートブランドを販売しているケース が多かった(トイレットペーパーや詰め替え洗剤、サランラップや水回り用品等)。 アンケート調査以外の品目については、日用品自体をあまり販売していないこと等から ほとんど見られなかった。 売り場における割合は、トイレットペーパー に関しては約 5 割程度、詰め替え洗剤等につ いては約 7 割程度と高い割合であったが、前 述の理由から、売り場において環境配慮型製品 はほとんど見られず、全体的には占める割合は かなり低い。 (以前は他の環境配慮型製品をお いていたが、今は無いという例が 2 店舗)。 トイレットペーパーや詰め替え洗剤等につ いては、安価であるため売れ行きは良いとい 《スーパーマーケットの洗剤売り場》 う意見が多かった(4 店舗)。ただし、牛乳パックを使用した再生紙トイレットペーパーは 値段が高く、売れ行きは良くないようである(2 店舗)。 (* チェーン店では、個々の店舗の裁量はあまりない。本部等の指示による仕入れ・指導 のもと行っている。) ③ ホームセンター・2 店舗 ・ 省エネ電球(2 店舗) ・ 省エネストーブ(1 店舗) ・ 間伐材製すのこ(1 店舗) ・ カッター等の替え刃 ・ 芳香剤等の詰め替え品 13 ホームセンターにおける調査は仙台市内 2 店舗において行った。ホームセンターにおい ても前述のスーパーマーケットと同じような結果となった。 洗剤等の詰め替え製品を販売しているものの、その他の製品についてはほとんど扱って いないようである。取扱い製品としては、間伐材を使用した木工製品や省エネ製品程度で あった。売り場における割合も高くなく、販売量も多くはないとのことだった(替え歯や 詰め替え商品の売れ行きは、安価なため比較的良いようである。)。 2、環境情報の提示について 今回のヒアリング調査では店舗における販売時の環境情報の提示方法についても調査を 行ったが、そもそもの環境情報を提示している店舗は少なかった。文房具店において 5 件 中 5 件、スーパーマーケットにおいて 7 件中 1 件、ホームセンターにいて 2 件中 1 件であ った。 その内容を見てみると、 ・ 文房具店…せんだいグリーン文具 5 件、店舗独自の環境配慮型製品マーク 1 件、カタ ログにおいて環境配慮型製品を見やすく独自に表示 ・ スーパーマーケット…せんだいグリーン文具 1 件、日用品類の POP 表示 ・ ホームセンター…省エネ製品に関するメーカー側作成の POP 表示 というものであった。 全体で 15 件中 7 件において何らかの環境情 報の提示はあったものの、独自の取組みとして は 2 件のみ、さらにマーク以外の情報として は 1 件のみであった。 全体的にマーク以外の環境情報の提示は行 われていないようである。 また、せんだいグリーン文具の表示について 6 件あったものの、うち 4 件では、売り場内で 環境配慮型製品と普通の製品が混在しており、 《混在する環境配慮型製品と普通製品》 消費者の購入時の判断基準となっていない状況であった。 環境情報の提示の効果については、分からないという回答が多かった(3 店舗)。独自に マークを作っている小売店においては、その商品が比較的売れるということは分からない が、お客さんがよく「わかりやすい」と会計の際に言ってくれるそうである。購入の際の インセンティブ効果については不明ではあるが、少なくとも、消費者への意識啓蒙にはつ ながっていると考えられる。 14 《独自の環境配慮型製品のマークの提示》 《独自の環境情報の提示》 3、環境配慮活動の取組み状況について ヒアリング調査を行った 15 店舗において、グリーン購入以外の環境配慮活動についても 調査を行った。取組みに程度の差はあるものの、15 店舗中 12 店舗において環境配慮活動が 確認出来、比較的多くの店舗が取組んでいた。 文房具店では 2 店舗、その他のスーパーマーケット、ホームセンターでは全店舗におい て何らかの環境配慮活動を行っていた。 環境配慮活動の内容としては、 ・ 牛乳パックや肉や魚等のトレー、卵のパック等の資源回収(7 店舗) ・ コピー用紙の再生紙の使用、裏面の使用(3 店舗) ・ リサイクルトレーの積極的使用(3 店舗) ・ レジ袋削減の推進(3 店舗) ・ 簡易包装の推進(3 店舗) ・ レジ袋の有料化(2 店舗) ・ 省エネ活動(2 店舗) ・ コピー機はリサイクルトナーを使用(2 店舗) ・ エアコンの温度設定(1 店舗) ・ ごみ削減のため、冷蔵用の保冷剤の配布を禁止(1 店舗) ・ ISO14001 の取得(1 店舗) ・ 営業車におけるエコドライブの推進(1 店舗) というものであった。 15 内訳を見ると、ごみの削減、リサイクル推進等の取組みが多い印象を受ける。スーパー マーケットではほとんどの店舗において何らかの資源回収を行っており、また、販売の際 のレジ袋の削減、簡易包装の推進等の取組みを行っているようである。 ごみ削減の取組みは、環境配慮という観点だけでなく、店舗側のコストの観点からメリ ットが大きく、しかも取組み易いため、多くの店舗において取組んでいることが推測され る。 2 店舗においてレジ袋の有料化を行っている店舗があった。この取組みは、一部の地方自 治体においてレジ袋の有料化が条例によって実施されているような積極的な取組みであり、 レジ袋の削減へ大きな効果が期待できる。また、レジ袋を有料化していない店舗において も、マイバックによるスタンプ制度を実施し、優待制度を設けてレジ袋削減へインセンテ ィブを促している店舗もあった。 エアコンの温度設定も含め、省エネ活動を行っている店舗は 3 店舗であった。小売店に おいては、店内を照明等で一日中照らしているため、省エネ活動は行いづらい環境にある。 そのため、省エネ活動を行っているという店舗は、売り場の省エネではなく事務所内の省 エネ活動という取組みであった。宮城県でも推進している地球温暖化防止という観点から も、小売店の店舗における省エネ活動の普及が、今後必要不可欠であるといえる。 4、小括 市内 15 店舗に対してアンケート内容に追加する形でヒアリング調査を行ったが、環境配 慮型製品は比較的多くないことが感じられる。 文房具類に関しては比較的多く出回っているものの、日用品類に関してはほとんどない ようである。アンケート調査の項目にあった品目以外では、環境配慮型製品をほとんど見 ることは出来なかった。 アンケート結果と照らし合わせ、ほとんどの小売店は環境配慮型製品を意識して販売し ていないことが明らかとなった。 小売店の場合、店舗の面積や商業形態によってその取扱う内容が大きく違ってくるもの の、多くの店舗において意識し環境配慮型製品を取扱ってはいなかった。意識し取扱って いたのは文房具店 2 店舗、スーパーマーケット 1 店舗のみであった。 意識して環境配慮型製品を取扱っていないことから、適切な環境情報の提示が行われて いなかった印象を受ける。また、小売店側の環境配慮型製品への意識の問題だけでなく、 卸売業者・製造業者の情報提供の問題点があるため、適切な環境情報の提示が出来ていな いようである。 スーパーマーケットに関しては日用品類に環境配慮型製品が少ないこと、また食料品が メインの小売であるので、環境配慮型製品の販売に限界がある印象を受ける。そのため、 16 スーパーマーケットでは、グリーン購入でも環境配慮型製品の購入ではなく、簡易包装等 の「買い方」としてのグリーン購入の推進が有効な手段であると思われる。 多くのスーパーマーケットでは、レジ袋の削減や簡易包装の推進等を行っているため、 比較的その推進がしやすいと思われる。買い方を推進することによって、スーパーマーケ ットでも販売されている日用品類に関する買い方が、詰め替え製品やその他環境配慮型製 品を選ぶ形へつながっていくと考えられる。 また、多くの店舗において環境配慮行動を行っていたが、この環境配慮行動も購入の際 の判断基準として見ていくことが今後、必要である。商品や買い方を環境へ配慮するだけ でなく、店舗の環境配慮行動をも考慮し、買う店舗・買う場所自体を選ぶ行動を促すこと が今後必要である。店舗を選ぶことによって、グリーン購入しやすい環境が整っていくと 思われる。 店舗における環境配慮行動を適正に評価し、環境配慮型製品を適正に販売することの出 来る環境を整備し、その情報を県民へ円滑に提供していくことがグリーン購入普及におけ る今後の課題であるといえる。 17 Ⅳ 環境配慮型製品販売に関する小売店側の意見 1、アンケート調査による意見 ・ 市町村の役所の意識が低い。 ・ コピー用紙もまだ白く、購入の指定が少ない ・ グリーン製品は安価でない点が欠点であり、消費が伸びない ・ 現在は、ほとんど商品がグリーン製品なので問題はない ・ 文具事務用品のほとんどにおいてグリーン製品が存在しているが、従来の配慮されてい ない商品と並行販売になっており、かえって商品の数を増やすこととなっている ・ 行政だけの取り組みだけではなく、メーカーや販売店等々との協力による幅広い活動が 必要 ・ メーカー全体がグリーン製品を作る形の働きかけが必要 ・ 環境について自社の方針にもなっており、今後力を入れていく。宮城県にもがんばって ほしい ・ 県からの指定があれば積極的に取り組む ・ 県では取り組んでいるものの、末端まで届いていない。店頭に立つものの意見として、 グリーン購入法が施行されているものの、一般消費者まで普及されていないと感じる。 ・ 県の納品業者について、みちのく EMS や環境マネジメントシステムの認定取得を入札 の必要条件としてほしい ・ 県民への強い PR 活動が必要 ・ 行政が見本となって積極的に取り組むべき ・ 県が取り組むことによって県民の意識が高まる ・ マークが多種多様であり、しかも国の所管も違う点が問題である 2、ヒアリング調査による意見 ・ 小売店への働きかけではなくメーカー全てに働きかけ、環境配慮型製品を増やせばよい ・ ISO14001 認証取得を行政の入札の際の必要要件について欲しい ・ 中小企業では取組めない状態にあるため、全体で取組むには行政のバックアップが必要 ・ マークにこだわる形の環境配慮はよくない。マークが無くとも同じ性質・品質のものは 存在する ・ 商品の仕入れ等は本社で決めてしまうので、店舗に裁量はない。店舗独自の取組みは難 18 しい 19