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保育士労働市場からみた保育待機児問題
保育士労働市場からみた保育待機児問題 周燕飛 国立社会保障・人口問題研究所本 本稿は、待機児が発生する要因として、これまで全く触れられてこなかった「保育 士労働市場の不完全市場性」に起因する 2つの仮説を提示し、待機児問題に対して新 たな視座を提供する。第 1の仮説は、保育士の労働市場が地域的な「 買手独占(寡占) 市場」であることから、認可保育サービスの供給不足が生じるというものであり( 買 手独占仮説)、第 2の仮説は、公私保育所聞の賃金格差が原因となって供給不足が生 じているというものである(二重労働市場仮説)。都道府県データを用いて仮説を検 証した結果、 2 つの仮説のどちらもが支持される結果となった。したがって、保育サ ービス分野の規制緩和により新たな保育所を数多く参入させることや、保育士労働市 場の一元化政策が、待機児問題の解消にも有効である。 はじめに .1 認可保育所への入所を望んでいながら定員数が不足していることから入所できな い 、 い わ ゆ る 「 待 機 児 問 題 」 が 社 会 問 題 化 し て 久 し い 。 厚 生 労 働 省 保 育 課 の 調 べ lで は 、 2 000年 4月 の 全 国 の 待 機 児 童 数 は 3万 2933人に上っており、 1 9 9 7年 の 4月 に 2 3人からやや改善したものの、依然として高水準が続いている。また、 おける 4万 5 待機児問題は、特に首都圏(埼玉県、東京都、神奈川県)や近畿圏(大阪府、兵庫県) C.Y フぞ阪大学 ントを 1 賀、 た 。 ま た ちに C ホリオカ教授 養 口 問 坦 研突断盆子 能 宏室 4 マッケ J ジー教綬 犬竹女"教授 鈴木 亘 助教授 失阪フ史学フ史学 院 樽 土 後 期 課 程 若 株 綴 き ん か ら は 犬阪フ史 学 園 際 公 共 政 策 研 究 科 IPP 国 立社会保障 研究会における活発な 隊 総 も 有 益であった . 本 誌 レフェリーからのコメ ν トも 有 益で あ った。深〈 感樹 を取し 上 げた、。また 年 彦厚 生科学研安 政 策科学推 進 事 業 「と 2 どもの ν 人 本 稿 に対して 有 益なコメ る世 帯 に対する所 得 保障 税制 本 稿 は き 2001 保 育 サービヌ 等 の効 果に 閉 する総合的研究 J 及び社会 福 松法人恩賜財団母子 愛 育 会による研究助成を受けて、る. *連絡先 TEL 〒 100-0011 東 京 都 千 代 図 区 内 幸 町 03-5253-1111(内 線 445, )7 1 厚 生 労 働 省 保 育 課 (2000) r保 育 サービヌ 需 紛 保 育 所 入 所 申込 書 が市 区 町村に 提 出きれ 、な、と、うものである. 2-2-3 臼 比 台 国 際 ピ ル 6 F 国 立社会保陣人口 問 題 研究 断 E-Mail日h,占nP i @ i p s s . g o . j p 待機の状況 』 。 厚 生労働 省 の 得 機児 童 数の定義は ②入所要件に骸当しで ν る 者 の中で ① ③実際に入慨を行つで の大都市圏において深刻lであり、これら 5都府県の待機児数は、全国の 62%をも占 めている。 こうした中、政府はエンゼノレプランや設置主体制限の規制緩和など、待機児問題 に対して様々な対策を講じてきた。また、各自治体においても、大阪府堺市の公立 保育所の民営化や東京都三鷹市の公設民営保育所の設置など、待機児解消の為の努 力が続いているが、現在のところ目立った改善はみられない。これは、現在報告さ れている「待機児」の他に、本来、保育サービスの受給を望みながらも自主的に諦 めている「潜在的待機児童」が大量に存在しており、供給量の拡大を図ってもそれ に匹敵する需要増が起きてしまうことが原因であるとみられる t i o n i n g )問題とし 待機児童問題を経済学的にみた場合、これは典型的な割当(R a て捉えられる。つまり、待機児が発生する原因は、需要サイドに問題があって「需 要超過」が起きているか、供給サイドに問題があって「供給不足」が起きているか のどちらかであり、おそらくはその両方ともが原因であろう。これまで、待機児童 問題を経済学的に分析した先行研究は驚くほど少ないが、需要超過とみている代表 が挙げられる。山重 (201) 的な文献として、山重 (201) は、まちる市町村の一人当た り保育費用と保育料の試算結果から、保育料が費用に比して著しく低く 3、政策的に 保育料が低く押さえられていることに問題の本質があるとしている。しかしながら、 保育料の低さと同時に保育費用の高さにも問題があるとすれば、限られた福祉予算 が効率的に使われておらず、供給不足が起きているとみることもできるにこうした 供給サイドの観点から、公立保育所の保育費用の高さと非効率性を論じているもの として、林(1 96) 、福田(1 98 , 20) があり、それぞれ公立保育所の民営化を提言し ているしかしながら、ここで論じられている民営化とは認可私立保育所のことで 2例 え ば 平成 13 年 全 国 の 入 所 児 童 数 が 前 年 よ り 減 少しなかった( 厚 生労働 省 保 育 楳 制 ペ) 結果就学前児童に占める潜在的?号機児 周 12000 人 増 加 し た も の の 童 の劃合が 平 成 8年 の 「 就 業 構 造 基 本 嗣 査 報 告 悶 総 務 庁 ) で 「就業希 望 はあるも のの 家事 る(八代( 待 機児 孟 数 は 1360 人 し か 犬 石 (2002)は 首 都 圏 め 潜 在 約 な ?今 後 児 孟 数 を 計 測 し た 2B% ~ は 子 育 てのために戯 業できな 43% に も な る と と が 明 ら か に な っ た .ま た 子 育 て 期 に あ る 有 配 偶 女 性 (25-39 鰻 ) の う ち νJ と 答 え て ν る者 が 1 40芳 人 に も 上 っ て ν 2000)に よ る 献 算 ) 。 3, 忍可保 育所 め月初保 育 糾 は 各市 町 村が世帯の所 得 楳 税 額 に 応 じて決めており 幅 は 無 料から 8 フザ門 前 後の 問 である。 4 山 重 (2001)自 体 も 供純サイドの 問 煙を軽 視 して、るわけではな〈 隠 可保 育 所制度の原則廃止 等 供総~イドめ改革、提 曾 して、る。 5やや総点は異なるものの 般 として 保 育 所 間 のサーピヌの 特徴 と民営化の 是 非 横 山 (1998,1999)が あ る . 規制緩 和 等 を 総 じた重 要な女 あり B 、認可保育所自体、新規参入が制限されていることに注意が必要である。この 点を論じたのが八代 )02( である。八代 )02( は、公立・私立に限らず、認可保育 所における種々の社会的規制(社会福祉法人を原則とする認可受理、設置基準の規 制)が、強力な参入規制として機能していることが問題の本質であると位置づけ、規 制緩和と競争メカニズムの活用による待機児問題の解消策を提言している。 さて、本稿では、供給サイドの原因(供給不足の原因)に新たに付け加えるべき 要因として、 「保育士労働市場における不完全市場要因」を提示したい。具体的に は、次の 2つの仮説を提示し、実証分析を行う。 一つは、保育士労働市場が、看護婦労働市場と同様、地域的な「買手独占市場(買 手寡占市場) Jであり、 賃金の抑制から均衡市場での供給水準を下回っているという ものである(買手独占仮説)。 もう一つは、公立保育所保育士の賃金が私立と比較して著しく高い水準に設定さ れており、公私聞において一種の「二重労働市場」を形成していることが、限られ た予算制約の下では、本来あるべき供給水準を下回らせているというものである(二 重労働市場仮説)。 以下、本稿の構成は次の通りである。 2 節では、買手独占市場仮説を説明し、 3 節では二重労働市場仮説を説明する。 4 節では、都道府県データを元に両仮説を実 証分析する。 5節は結語である。 8わ が 国 の保 育 所は ① " 可保 育 所と② 無" 可保 育 所 " '可外保 きちに公立保 育 所 と私立保 育 所に分かれて、る。一方 準を満たして、な、保 育 所 であり 可保 育 所の ととに伴、、 ν点 にある 「措 置 制 度 J と ν 院 可保 育 断の入所は措 置 型かち選択型 ( 要保磁者 )は 保 育 際)に入所 れば なちな 悶制 度 と同じように 得 た 場 合には 繍 置 告 書 氏 蔓(私立)を 保 育 所 の 私 立 保 育 所 と は 区 別 ぎ れ て、 利用型ヘ移行されたものの ま ず 行 政 俊 開 (名 偲 可保 育 所 と 無認 ν るに対し 無惚 院 可保 育 所を利用し 義 上市 町 村 果 実際の窓口は市町村の 保 育 楳 の 審査 を受け 入所許可をもちわなけ 各自の所 得 水 噂 に応じた保 育 料を市 町 村に納めて 保 育 料と公費 負 担( 国 庫 負 担 府 県負 担 市 町 村 負 担)を 保 育 サービ ヌ 原資 とした 繍 置 費(公 "可 保 育 所に受付する.保 育 利用 者と"可 保 育 所 問 で直妓~ーピヌと盆銭 の取引契約がなきれておらず かっ個人の所 得 によって利用料が異なると、う 意 味では 悶 箔 置 制度と同じような他紙みで運営ぎれて、る.一方 の補助盆を受けて、る保 育 所 が あるものの 通常の市 場 取引と同様 可保 育 所は ぅ 名 称 は 平 成 g年 の 児 童 福 弘 法 改 正 で 廃 止 ぎ れ た を 取 し 込 み ( 最 犬 3個 所 ま で 希 望 可 能 ) ν。許可を を受 総 する。市町村は 立) "可 " 惚 可保 育 所 としての 殿置基 艇 可保 育 戸 野 が 実 質 上の「措 置 制度 J によっで 運営 きれで 香の相違点は 可保 育 所がそ うではな ν者 私立保 育 断 ではあるが lで き る 。 ① の 本 文 で 「 私 立 保 育 所 J と 、 う 場 合 に は 院 可 保 育 所 の 私 立 保 育 所 を 指 す)。 る(以下 た 育 断 )にフ突如 無惚可 保 育 所とは 原 則 角 医 院可 保 育 所の 場 合には 隠可 保 育 所が 一都で自治体から 遭営費 は盆て利用 者 からの保 育 料で 賄 われでおり 利用 者との 問 に~ーピヌと盆銭の取引関係が成立して、る。 2 2 . 買手独占市場仮説 買手独占市場構造による労働力不足の代表例といえば、洋の東西を問わず、まず 挙げられるのが看護婦の労働市場である。このため、 1 9 7 0年代からその原因を探る 数多くの論文が書かれているが、供給サイドからの説明として最も有力な仮説が「買 手独占 (Monopsony)Jによるものである(例えば、 Yett 1( 9 7 0 ),Hurd 1( 9 7 3 ),Sloan andRichupan 1( 9 7 5 ),iL nkandS e t t l e 1( 9 7 9 ), BoalandRansom 1( 9 9 7 )。わが国で は角田(1 9 9 4 )、漆・角田(1 9 9 8 )が分析を行っている) 看護婦の多くは既婚者であり、配偶者の勤務地や子供の通学先の近くに住むこと を前提に仕事に就くため、やむなく居住地の近くの職場を求めている。このため、 限定された地域内を考えれば、比較的多数の看護婦資格者に対して、就職先である 病院は少数であり、病院が賃金率や雇用量の決定に対して市場支配力 (Market Power)を持ちやすい。 図1 買手独占市場 賃金率 限界労働費用 ド , , W m 労働供給 d , , , , , , w " " " " E m E 雇用量 買手独占(寡占)のときの看護婦労働市場の均衡を表したものが図 l である。単 純化の為に、病院は l つ(独占)とする。はじめにベンチマークとして、看護婦の労 働市場が完全競争である場合を考えると、労働供給曲線と労働需要曲線(限界価値 生産性曲線)の交差する点で均衡となり、雇用量は f 、賃金は W' となる。一方、 買手独占市場では、労働供給曲線から決まる限界労働費用曲線と需要曲線(限界価 値生産性曲線)の交差する点が病院の利潤を最大化する点であり、雇用量は E m 、賃 3 m 金は w に決定される。また、 E m の限界価値生産性は V であるため、 v-wの部 m 分は病院の「留保」利益となる。このとき、雇用量、賃金ともに完全競争の場合に 比べて低いものとなっており、これが看護婦の労働不足(看護サービスの供給不足) の原因とされる。 実際に、数多くの論文が買手独占仮説を実証的に検討しているが、殆どの論文で 仮説を支持する結果が得られている。例えば、わが国初の実証分析である角田 1( 94) では、地方公営企業経営研究会『公営企業年鑑(病院) 病院 (90 ~ 1( 90 年)中の自治体立 施設)の個票を用いた分析がなされているが、病院聞の競争が激しい地 域ほど、看護婦の限界生産力と市場賃金との羊離度が低く、看護婦の雇用量が多い ことが明らかになっている。 保育士の労働市場を考えた場合、看護婦の労働市場と酷似している面が大きい。 まず、両者とも資格を必要とする職業であり、資格を活用しようとする限り、就職 先が限定される。第 2に、両市場とも規制された分野であり、新規参入が制限され 非 競 争 的 で あ る 第 3に、両者とも女性が中心の職種であり、主な所得獲得者であ る配偶者または両親の居住先などにより、労働移動が制約されている。したがって、 保育士の労働市場は、看護婦と同様、地域独占(寡占)的な特徴を持つ可能性が極め て高いと思われる。 3 . 1.3 二重労働市場仮説 賃金・待遇面の公私保育所間格差 筆者が改めて指摘するまでもなく、公立保育所と私立保育所の賃金・待遇格差が 大きいことは良く知られている(二宮 )02( 、前田 )02( 、北海道保育問題研究会 )。これは以下に述べるように、制度的な規制から生じている格差である。 1( 91) 7 既 に 八 代 (2000)が 総 じ て ν る よ う に その 主 なものは 育 所は 20 人 次の遁りである 普通の保 育 所は 以上に相当する 資盆 を 認 可 保 育 所 の 新 規 限 立 を 取 り 巻 く 有 形 無 形 の 諾 規 制 は 数 多ν ①保 育 所の 最 低定 員 制 限 保 育 所の定 員 は 普通預盆 当座預盆 等に有 しで、るとと . ③施殺制約 経 営を行 うために,. 媛必要なす八ての物件につ、て所 有 権を 有 して、るか 体から使用 約 可を受けて、るとと . ④ 殺 置 主体の 制 限 平 成 保 育 以外の 事 業に使うととはできな、 ととにより収入があった 場 合には . ⑤ 財産処分制約 場 合) 原 則として 12分 の 保 育 断の 限置 主体は市 町 村と栓 固 から 受け取る 保 育 所遭営費 保 育 断の財産を処分 ( 例えば 問所) その収入の盆郁または一都を 国庫 に納付きせるととがある。 4 l 又は 国著 しくは地方公共団 12 年 3 月 ま で は 会 福 益法人に実 質 限定ぎれて、た。⑤利益分 配制 限(営利企業の は 夜 間 保 育 所と小規模保 60 人 以 上 が 条 件 で あ る @ ② 資 盆 制 限 保 育 所 の 年 間 事 業 費 の す る 公立保育所の保育士の給与は、基本的に、地方公務員の行政職の給与体系が適用 されているその給与体系は勤続年数にリンクしたものであり、例えば大阪府では 上限である月額 47万 300円(短大卒主任保育士、行政職 8級 22号相当)または 3 8 万 600円(一般保育士、行政職 4級 30号に相当)まで上昇し続けることになる 一方、私立保育所保育士の給与は、措置委託費 10の中に含まれる人件費を原資と して分配される。人件費自体は国の保育単価に基づいて決定されるが、この保育単 価は勤続年数や年齢に関係なく 11 、保育士人数で算出されている。したがって、容 易に想像されるように、公立保育所のように、勤続年数に応じて給与を高めること はできず、二宮 ( 2 0 0 0 )による調査では、勤続年数 5年以降は殆ど上昇しないことが 観察されている。この結果、例えば、 2001年 4月の国の決める保育単価に基づいて 試算してみると 12、私立保育所の主任保育士のモデル年収(国の補助範囲内の年収 上限)は約 445万円、一般保育士のモデル年収は約 370万円であり、これ以上は増 加しない。これは、給与と諸手当と合わせて計算される公立保育所主任保育士と一 般保育士の同一年齢階層のモデル年収と比較して、 2/3程度に過ぎない金額である。 また、公私立保育士間では、保育士の平均勤続年数の違いも大きい。例えば、 1999 年に 36ヶ所の公立保育所を民営化させた大阪府堺市による調べでは、公立所保育士 の平均年齢は 4 2 .9歳、私立所保育士の平均年齢は 27歳であり、その差は 1 6歳にも 及んでいる。したがって、平均勤続年数を加味した賃金格差はさらに大きいものと なる。 8平成 12年 よ り 公 立 保 育 所 の 保 育 土 の 総 与 は 地 方 公 務 員 の 行 政 職 か ら 植 松 職 に と算 ず る と と に な っ た ( 自 治省閥 ベ) . 9 大 阪 府 福 祉 保 育 労 犬 阪 本 音F に よ る 献 算 1 0既に述べたように(脚注 指 置 委 託 費 (私立)で 町 村 負 担金)の合 6 ) 院 可保 育 園の 遭営 経 蔓 は 基 本的に市 町 村 か ち 受 付 き れ る 箔置費 (公立) 賄 われでおり その 原資 は 計 額である@公費 負 担分 は 基 本 的 に 保 育 料 と 公 費 負 担 ( 薗 庫 負 担 +県 負 担 盆 + 市 「保 育 単 価 ( 措 置 費 支 弁 総 額 ) 満 た す た め の 理総 約 支 出 額 か ら 保 育 料 総 額 を ヲ lν た 残 り の 盆 額 で あ り (25% ) 市 町 村 負 担 率 (25% )で 賄 わ れ る ばれ 公立保 育 所の 場 合には 会 計 の 補 填が 行 わ れ て 存在しな ν ので ν る とれに対して J 1 1 国 家 公務 員 植 松職の セJ ティプは無 け ν と :1 える(自 定勤続年め鉛与(主任保 2級 8 号 ) に 準 じ て 決 定 ぎ れ て r 2001 年 私立保 育 所 には ν 総与は勤続年 市 町 村が赤字補 填 を す る動機は 基 本的に 最 低 基準 を上回 治 体独自の補助盆がある 場 合を除く) 育 土は 福 位職(行 ) 3級 B 号 般保 育 土は 福 松職 る。 4 月 改 定 に 基 づ く 国 の 決 め る 保 育 単 価 内 訳献 算 表 J に よ る 献 算 制 整手当 また 市 町村 持ち出しと呼ばれる一般 私立保 育 所 には勤続年数にリングする 貰 盆プロファイルを作った り る人員配 置 をするイ 県負 担率 「薗基 学 支 弁 矧 J と 呼 1989)) 。 最 低基準を上回る人員配 置 をしでおり 「園 基 傘 支 弁 額 J だ け で は 足 り ず 赤 字 と な り 数に応じて決まるので 1 2 公 費負 担と保 育 料を合計した盆矧は 理 紛 約な保 育 所経費の総額である(詳細は成瀬他( しかしながら J と呼ばれる 最 低 基 傘を 国 庫 負 担 率 (50% ) 期末勤勉手当と超過勤務手当はそれぞれ違うが 域の数値を使う 5 臼 本 盆 国 は 8つ の 地 域 に 分 と と で は そ の 中 で 2番 目 に 高 、 、 特 甲 地 こうした公私立聞の待遇格差は、賃金の面にとどまらない。公立保育所保育士の 殆どは地方公務員共済組合に加入しているため、雇用の安定性も確保されている以 外に、年金、医療の福利厚生も手厚く、 これらを合わせた非賃金コストは著しいこ とが明らかである。 また、公立保育所の場合、 自治体の独自財源で最低基準以上の 職員を配置して保育を行う場合が多いため、勤務時間や仕事の密度も l 割程度低い と言われている。 給与面・その他待遇面の公私立間格差を反映し、公立保育所の保育士になるには 2年における大阪市の公立保育 極めて狭き門をくぐらねばならない。例えば、平成 1 2 5人の受験者に対して合格者は 6人であり、競争倍率は実に 2 0 . 8 所の採用試験は、 1 倍にもなった。 また、公立保育所の保育士には、資格要件のほか、年齢制限も課さ 3、 そもそも私立保育所の保育士の中には年齢の関係で公立保育所に応募 れており 1 できない者もいる。 したがって、 2 つのセクターの聞に賃金格差が生じ、そのセク ター聞の移動が制限されているという 「二重労働市場」が、保育労働市場に形成さ れていることは疑うべくもない。 2.3 二重労働市場に起因する供給不足のメカニズム それでは、二重労働市場は保育士の総雇用量にどのように影響するのであろうか。 図 2、3は公立保育所と私立保育所の労働市場の均衡を表したものである。単純化の 4 為に、前節の買手独占市場ではなく、競争市場の需給均衡を仮定する 1 図2 図 3私立保育所セクヲー 公立保育所セクヲー 賃盆 質盆 W, S, S ' , W W .w D, D, 噌一一ー E',E', "' 例 えば "以下の際 E' 雇用 量 20殺 か ら 33 般 犬阪市の短犬卒保 育 土の応 募 可能年齢は 紛 は 買 手独占を仮定しでも 東 京 都は ,E "雇用 量 20殺 か ら 30 織 で あ る 。 公私立 問 で独占め程 度 が変わらな、 場 合に は 一 般的に成 り 立 つ . 6 今、保育士の労働市場が公私セクターの二部門しか存在しないと仮定し、ベンチ マークとして完全競争状態の市場均衡を考えると、両セクターの需要曲線の合計と 供給曲線の合計が交差する点が均衡であり、公立保育所も私立保育所も同じ市場均 衡賃金 (w' ) でそれぞれ E ' oと E ' oの労働量を雇用することになる。 一方、制度的な規制に基づく公私立聞の賃金格差がある場合にはどうなるだろう か。公立セクタ一保育士の賃金が市場均衡賃金よりも高い水準(民)に設定される ' oから E', へ減少することになる。公立保育所に就職で と、公立保育所の雇用量は E ' まで増加 きなかった保育士は、私立セクターに向かうから、労働供給が S から S する。すなわち、制度的な要因により、保育労働者が公立園の職場から締め出され, 私立園の職場に押し込まれるような「混雑現象」が起きる。労働供給曲線のシフト が私立保育所セクターの賃金低下 (w →W) と 雇 用 増 加 ( E'o→E") を招く。 今、単純化の為に公私両セクターの需要の価格弾力性が同じとすれば、公立セクタ ) と私立セクターの雇用増 (E"-E'o) が等しく、総雇用 ーの雇用減 (E'o-E', 量には変化が無いはずである。 しかしながら、現実には、保育士は保育所以外の労働市場に行くこともできるし、 あるいは留保賃金以下であれば働かないという選択肢もあるので、{也の労働市場や 余暇市場との一般均衡を考える必要がある。低下した私立セクターの賃金が、留保 賃金や他の労働市場の 賃金以下になる場合には、当然保育士達は退職や他の労働市 場に流出することになる。したがって、公立セクターで減少した雇用量を十自殺する ことができず、総雇用量が本来あるべき水準よりも減少してしまうのである。この 場合には、公立セクターが高賃金を保つことが、供給不足の原因となり得る。 4 . 実証分析 4 . 1 デ一世と推定モデル 本節では、 2、3節で提示した仮説を実際のデータを用いて検証する。本稿で用い るデータは、全国 47 の都道府県の集計データ(1 997~1999 年)である。本稿で用 いる主な変数とその出所は次の通りである。これらの変数の定義と記述統計は表 l に示す通りである。 7 表 1 記述統計量 平均値 待 機 率 (%) 保育所平均規模(人/所) 公立保育所保育士の賃金(千円/月) 私 立 保 育 所 保 育 士 の賃 金(千円/月) 公私保育所聞の賃金格差(千円/月) 専任保育士数(人) 新規保育士資格取得者数(人) 保育所への新規就職率(%) 共働き世帯比率(%) 拡大家族世帯比率(%) ベビーホテル利用率(%) (人) 幼稚園児数 標準偏差 .1 5 7 7 6 6 。 最小値 2.344736 8.801131 2 .1 4 6 0 5 9 5 .1 8 7 4 4 3 5 8 .0927 17.34017 3 2 8 .0 7 2 284.6145 3 8 .5 8 4 6 7 147.8083 7 3 .47827 33.61994 45.07501 3 8 0 8 .1 9 9 3392.676 1 3 8 9 513.6383 6 9 .1 0 6 6 1 47.30303 12.45018 16.4794 42.60745 9.974007 2 2 .0 9 5 6 .1 8 2 1 8 5.591464 4 2 .9 0.7374 o .82706 3 7 8 5 9 .6 9 3 9 5 5 6 .3 2 5580 0.2166769 .1 455209 3.098607 o .2015927 .1 744413 3 .752828 。 。 賃金 弾 力 性 1 賃金 弾 力 性 2 最大値 1 5 .9 14.95644 416.4 4 4 8 .9 7 5 207.4947 2 3 6 9 1 3 7 5 1 7 8 .33334 63.64 6 8 .3 4 .5 9 4 6 3 1 7 0 8 6 8 3 .307378 5.075539 注)各データは、 「保育所平均 規模」 をのぞき、 1997 年 ~20ω 年の都道府県別データ。各デ ータの言科 目は次の通り。 ①「待機率」 待機児童数/認可保育所入所児童数。単位は%。出所は全国保育団体連絡会/ 保育研究所「保育白 書」各年版。 ②「保育所平均規模」 県内認可保育所の専任保育士数/県内認可保育所の数。単位は「人/ 所」。出所は厚生労働省「社会福祉施設等調査」各年版 ( 1 9 9 7 1 9 9 9 )。 (立公立保育所保育士の平均 賃金 「地方公務員給与実態調査(一般行政職) J各年版から年 齢等を調整して筆者独自推計。早位 は千円/月額(ボーナス分を含む)。 ④私立保育所保育士の平均賃金 出所は「賃 金構造基本調査(賃金センサス) J各年版。早位 は千円/月額(ボーナス分を含む)。 ⑤専任保育士数 出所は厚生労働省「社会福祉施設等調査」各年版。 ⑤新規保育士資格取得者数 出所は、厚生労働省保育課内部資料。単位は人(各県)。 l( 保育所への新規就職率 新 規 保 育 士資格取得者数に占める保育所就職者の割合。単位は%。 出所は、厚生労働省保育課内部資料 。 ③「共働き世帯比率」 共働き世帯数/ 般世帯数。単位は匹。出典は厚生労働省「国民生活 基礎調査J (各年版)。 -(核家族世帯数/一般世帯数)。単位は%。出典は 厚生労働省「国 ⑤「拡大家族世帯比率 J :1 民生活基礎調査 J (各年 版) 。 ⑩「ヘビーホテノレの利用率」ヘビーホテノレの入所児童数/認可保育所の入所児 童数。単位は%。 出所は全国保育団体連絡会/保育研究所「保育白 書」各年版。 ⑪幼稚 園児数 出典は文部科学省「学校基本調査」各年版。単位は人(各県)。 ⑬「賃金弾力性 l J r賃金弾力性 2 Jは 、 「 賃金構造基本調査(賃金センサス) J ( 1 9 8 0 2 0 0 0 ) の各県別の常勤保育士数 (L) とその平均年収(y)を使って保母の 賃 金弾力性を求めたも の。それぞれの推定モデノレは次の通り。 , 「 賃金弾力性 l J: Z o g ( )tL = α 0+日YZ o g ( )tY + α, σ'rend+e 「 賃金弾力性 2 J :[ Z o g ( tL ) Z o g ( Lt l ) ] =仰 + s y [ Z o g ( tY ) Z o g ( tY l ) ] +u 8 「待機率」は、 「供給不足」を表す代理変数として用いることにする。保育サー ビス産業のように労働集約的な産業では、労働力の不足がそのまま供給不足と解釈 できる。したがって、本稿の仮説が成立する場合には、①保育士市場の独占度が高 いほど、②公私保育所の賃金格差が大きいほど、待機率が高くなると考えられる。 保育市場の独占度の指標としては、本来はハーフィンダーノレ指数(H) を用いるのが 15 適切であると考えられるが、ハーフィンダーノレ指数を作成するには、個別保育所の 雇用量を一つ一つ全国にわたって把握しなければならず、データ収集が困難である。 そこで、やや粗い代理指標であるが、②の「保育所平均規模」を用いることにした。 「保育所平均規模」は、それが高いほど、ハーフィンダーノレ指数が高いという関係 にある 16 図 4は、まず、待機率と保育所平均規模の関係についてプロットしたものである。 両者の聞には仮説の通り、正の相関関係が見られるが、保育所平均規模が大きいほ ど待機率の分散も増えており、不均一分散が疑われる。次に図 5は、待機率と公私 聞の賃金格差の関係をみたものである。こちらもやはり正の相関関係があるようだ が、明確ではない。 そこで、仮説を統計的に厳密に検証するために、次のような推定モデルを考える。 , = s C+s , AA 'T :L s"S'J+:L sX.X" +sぷ + sndun制 +sGG , + e lcd ハリ ) l ( 〉 Tm e -0 一 TjAf ハ り ず 、 fIll111lくIll111L T41 (1)式の推定方法は、 +丸 du 澗 9 ;+ ε T o b i t推定および Powell 1( 9 8 4 )の CensoredLAD推定を採用 した。 T o b i t推定を用いる理由は、図 4、5で確認したように、待機率が 0%の都道 府県が存在しているからである。また、前述のように、被説明変数における不均一 分散が疑われるため、不均一分散性のあるデータにも頑健な CensoredLADを用い る 。 1 5 H= :L 1 6 H の代理変数として S2, with S, ι *100% & . + L " ) l( 日+...+L,+ . 保 育 所 め 平 均規 模 L ム =地域(川 , = 主 土 主 土. .+L 乙=主)を市 n 七 平 均規 模 ,. 1 ¥2 H=fzj241fY++fzj= L , L は H 雇用 量 と互 の相 間 関 係が あ る @ エ (L1 +L2+...+L")"-2 エ, L, L, 2 二 9 場 集中 座 の 指 標として使 n l LL ; 寸志「 図 4 待機率と保育所平均規模 も 。 1 8 1 6 1 4 1 2 210 率 B 6 4 2 0 。 5 1 0 保育所平均規模 1 5 2 0 (人/所) 図 5 待機率と公私間賃金格差 も 。 1 8 1 6 1 4 1 2 待 1 0 機 8 Lて合← 歩 6 4 2 。 1 0 0 . 0 5 0 . 0 0 . 0 5 0 . 0 1 0 0 . 0 1 5 0 . 0 2 0 0 . 0 2 5 0 . 0 公私保育所間賃金格差 千 円/ 月 被説明変数は待機率 T" であり、説明変数として、保育所平均規模 A 、公私保育所 間賃金格差 G,をまず考える。次の Sij は、その他の供給側の要因であり、専任保育士 数、新規保育士資格取得者数、保育所への新規就職率がコントローノレされている。 また、 X" では、需要側の要因として、共稼ぎ世帯比率、拡大家族比率、ベビーホテ ノレ利用率、幼稚園児数をとっている。これは「待機率」が供給不足という面の他に、 需要超過としづ側面をもっていることから考慮、した変数であり、推定式は一種の誘 1 0 導型と考えられる。需要側、供給側の変数をコントローノレした上で、 「保育所平均 規模」および「公私保育所間賃金格差」が統計的に正に有意となれば、両者の仮説 9 9 8年 、 1 9 9 9年のダミー変数も考慮する(1 9 9 7 が支持されることになる。この ほか 、 1 年がベンチマーク)。 さて、最後の説明変数 5は、各都道府県の賃金弾力性である。これは、次のよう な理由で加えている。本来、図 2の二重労働市場仮説で提示された厳密な仮説は、 「公立保育所の賃金 (W , ) が、公私二部門が同一労働市場であった場合の『想定上 の均衡賃金~ (W*) よ りも高いことが、供給不足を生み出す」というものである。 したがって本来は、公立 , -W*) と待機率の関係を検証しなけ 均衡賃金格差 (W ればならないが、ここではその「想定上の均衡賃金」が観察不可能であるため、代 理変数として公私保育所聞の賃金格差を用いている。これは、保育士労働市場がも し公私二部門だけで完全に閉じているので あれば、代理変数として適切である。な , - W叫が大きければ、その表裏一体である均衡 ぜ な ら 、 公 立 均 衡賃金格差 (W 私 立 賃金 格 差 (W (W *-w ) も一対ーに対応して大きいはずだから、両者の和 , -w) が正確な代理指標となるか らである。 しかしなが ら、実際には、保育士の直面する労働市場は保育士労働市場だけでは なく、保育士は他の労働市場に移動することもできるから、均衡 (W* 玖)が、公立 私立賃 金格差 均衡賃金格差 (W , -W*) と一対ーに対応するとは限らず、 私立保育所賃金の水準を決める労働市場要因を別途考慮する必要がある。その よ う な労働市場要因を代表する変数として、ここでは賃金の弾力性を考えた。つまり、 私立保育所セクターの 賃金は、その労働市場の賃金弾力性が高いほど、他に代替す る労働市場が多いことを意味するか ら、高くなるであろうし、 i喧に、私立保育所セ クターの 賃金弾力性が低い場合には、私立保育所の賃金が低く抑えられるだろう。 したがって、この 賃金の弾力性を別途説明変数に入れることにより、公私保育所間 賃金格差を、より適切な代理指標とみなすことが可能となる。 賃金弾力性のパラメ 7 ーターの符号は負と期待される 1 賃金の弾力性自体は、 1980 年 ~2000 年「賃金構造基本調査(賃金センサス) L ) とその平均年収 (y) 道府県別常勤保育士数 ( Jの都 から別途推定しておき、その値を取 り出している 18 " 貰 盆 の 弾 力 性 を 考 慮 せず に 推 定 し で も 1 "賃 盆 弾 力性 の推定式自体 は 非 常 に シJ 推 定 結 果 は ほ と ん ど 変わ ら な 、 プyし な ものと な って ν る を 持 っ デ ー タ で あ り 見 せ か け の 回 帰に な る 恐れ が あ る の で 1 た だし 貰 盆や 雇 用 量 はトレンド 終 定 式 の よ うに定 常 性 に 配 慮した 問 4 . 2 推定結果 推定結果は、表 2が Tobit推定を用いたもの、表 3が CensoredLAD推計を用い たものであり、各表はそれぞ‘ れ 、 2種類の賃金弾力性(賃金弾力性l(トレンド付推 定)と賃金弾力性 2(階差推定) )の推定結果が示されている。まず、 「保育所平均規 模」及び「公私保育所間賃金格差」は、全ての推定において 1%基準で有意である。 また、推定結果には示していないが、それぞれの変数を l つずつにしてもやはり有 意であることに変わりはない。したがって、 2節 3節で主張した「買手独占市場仮 説」および「二重労働市場仮説」がともに支持されたと言えよう。 また、これらの変数の係数推計値は、推定方法や賃金弾力性の違いにかかわらず、 非常に近い値となっている。例えば、 Tobit 推定の場合に、 「保育所平均規模」の 係数推定値は .o 44~0. 4 7、 「公私保育所間賃金格差」の係数推定値も .o 25~0. 2 9 の間にある。 その他、表 2においては、専任保育士の人数、保育所への新規就職率、ベビーホ テノレ利用率等が 10%基準で有意な変数であり、表 3においては、共働き世帯比率、 拡大家族世帯比率、幼稚園児数、 賃金弾力性 l等が 10%基準でそれぞれ期待される 方向に有意となっている。 5 . 結語 本稿は、待機児が発生する要因として、これまで全く触れられてこなかった「保 育士労働市場の不完全市場性」に起因する 2つの仮説を提示し、待機児問題に対し て新たな視座を提供した。 2つの仮説とは、第 lに、看護婦の労働市場と同様、保 育士の労働市場が地域的な「買手独占(寡占)市場」であることから、認可保育サー ビスの供給不足が生じるというものであり(買手独占仮説)、第 2に、公私保育所 聞の賃金格差が原因となって供給不足が生じているというものである(二重労働市 場仮説)。都道府県データを用いて仮説を検証した結果、 2 つの仮説のどちらもが 支持される結果となった。 したがって、この推定結果から導かれる政策的な処方筆は、第一義的には、何ら 数形にして、 る 。 推 定 式 1か ら 得 ら れ た 賃 盆 弾 力 性 を 「 賃 盆 弾 力 性 力 性 を「 貰 盆 弾 力性 推 計 方法 1 ?震 計 方 法 2 l J 推 定 式 2から 得 ら れ た 賃 盆 弾 2 J と する. トレンド付推定 階差錐定 l o g(L ρ =α0+αylog(Yt)+α t Trend+et l[ og(Lu l o g( L t -l )] =日。+日 ly [o g(Y t ) l O g ( Y t l ) ]+ U t 1 2 T o b i )t 表 2 待機率の推定結果 1 ( Case1 係数 t値 確率値 限界効果 保育所平均規模 o .4429389 4.03 0.00 o .3683562 公私保育所聞の賃金 格 差 o .0289927 5 .3 0.00 0.0241109 専任保育士数 0.0003154 3.07 0.00 0.0002623 0.000666 .1 4 o .1 6 0.000554 0.0404 2.43 0.02 0.033597 0.03416 o .9 9 o .3 2 0.028408 0.001017 0.02 o .9 8 0.000846 0.3467441 .1 6 5 o .1 0 o .2883588 幼稚園児数 3 .97E-07 0.05 0.96 3 .30E-07 賃金弾力性 1 (トレンド付推定) 0.061585 O .5 6 O .5 8 0.051215 1 9 9 8年ダミー 0.0286261 0.06 0.95 O .0238256 1 9 9 9年ダミー .1 68604 3 .2 9 0.00 .1 313825 .1 543519 0.4 0.69 .1 283619 新規保育士資格取得者数 保育所への新規就職率 共働き世帯比率 拡大家族世帯比率 ベビーホテル利用率 定数項 Case E 係数 t値 確率値 限界効果 保育所平均規模 O .4491999 4.04 0.00 O .3733372 公私保育所聞の賃金 格 差 O .0288226 5 .2 2 0.00 専任保育士数 0.0003157 3.07 0.00 0.0002624 新規保育士資格取得者数 0.000649 .1 3 6 O .1 8 0.000539 保育所への新規就職率 0.040515 2.43 0.02 0.033673 0.0355 .1 0 2 O .3 1 0.029504 拡大家族世帯比率 0.001337 0.03 O .9 8 0.001111 ベビーホテル利用率 0.333178 .1 5 9 0.11 O .2769096 幼稚園児数 .1 12E-07 0.01 O .9 9 9 .30E-08 賃 金 弾 力 性 2 (階差推定) 0.003988 0.04 0.97 0.003314 1 9 9 8年ダミー 0.0438525 0.09 0.93 0.0364926 1 9 9 9年ダミー .1 677566 3 .2 7 0.00 .1 306955 定数項 .1 518645 O .3 9 O .7 0 共働き世帯比率 0.023955 .1 26217 注)サンプノレ数は 1 3 6,CASE1と CASEI Iの Iρgl i k e l i h ∞d は そ れ ぞ れ 254.00995 と 2 5 4 .1 6 4 5 2である。 PseudoR2は、それぞれ o .1 8 4 6と 0 . 1 8 4 1である。 1 3 表 3 待機率の推定結果 2CCensoredLad) 係数 t値 確率値 保育所平均規模 0.4744627 4.93 0.00 公私保育所聞の賃 金格 差 0.0256763 5 .0 9 0.00 3 .19E-06 0.04 0.97 0.000024 0.07 0.95 保育所への新規就職率 0.01645 .1 1 3 0.26 共働き世帯比率 0.096807 3 .0 9 0.00 拡大家族世帯比率 .o 3 .86 0.00 Case 皿 専任保育士数 新規保育士資格取得者数 1 8 2 ベビーホテル利用率 .o 幼稚園児数 0.0000256 155161 0.93 3.64 .o 3 5 0.00 。 1 0 。 169916 .1 64 1 9 9 8年ダミー 0.4585018 .1 0 9 1 9 9 9年ダミー .1 336049 3.05 0.00 定数項 9 .576278 2.74 0.01 賃 金 弾 力 性 1 (トレンド付推定) Case N 係数 t値 .o 2 8 確率値 保育所平均規模 0.4650332 3 .8 0.00 公私保育所聞の賃金 格 差 0.0263775 4.21 0.00 専任保育士数 0.0000329 新規保育士資格取得者数 0.0000644 。 1 4 保育所への新規就職率 0.01804 0.97 共働き世帯比率 0.085244 2.06 0.04 .o 3 1 .o 7 5 .o 8 9 .o 3 3 2.61 0.01 ベビーホテル利用率 。 162652 。 1233998 0.65 0.52 幼稚園児数 0.0000229 2 .6 0.01 拡大家族世帯比率 1 9 9 8年ダミー 。 112477 。 1748386 1 9 9 9年ダミー .1 463532 定数項 8 .135171 賃 金 弾 力 性 2 (階差推定) .1 06 .o 3 2 .o 2 9 .o 7 5 2.67 0.01 .1 7 9 0.08 注)サンプノレ数は 1 3 6,CASE1と CASEIIの PseudoR2は、それぞれ 0 . 4 3 5 5と 0 . 4 3 2 8で ある。 1 4 かの方法によって、買手独占的な市場構造を改善し、公私聞の賃金格差を是正する べきであるということになる。しかしながら、それらをどのような手法で達成する べきなのかは見方の分かれるところである。一つの方法は、規制を強化する方向で、 賃金格差や買手独占を防ぐとしづ方法であり、従来の福祉政策の手段に近いもので ある。もう一つは、規制緩和を徹底する中で、市場メカニズムを通じて両者を発展 的に解消するというものである。筆者は後者の手法をとることが、望ましい解決方 法であると考える。 まず、地域の買手独占の解消にあたっては、規制緩和により新たな保育所を数多 く参入させるべきである。実は平成 1 2年以来、厚生労働省は様々な規制緩和策(設 置主体の制限撤廃、保育所の定員基準の弾力化、設備基準の引き下げなど)を打ち 出してきた。特に平成 1 2年 3月には、これまで原則市町村と社会福祉法人のみに許 されていた設置主体制限が撤廃され、株式会社、 NPO、学校法人、農協等の様々な 設立主体による保育所設置が可能となった。しかしながら、当初の大きな期待にも かかわらず、平成 1 3年 9月現在の調査では、これらの設立主体によって新たに設立 された保育所はわずか 34保育所に過ぎず、予想外に低調な出だしとなった。この原 因については、様々な議論があるが、やはり、様々な経営制限・諸規制が併存する 中で、経営・営業努力が発揮できず、新規参入しでも魅力が少ないことが原因とみ るのが一番自然である。特に営利法人に対して、社会福祉法人と同様な利益分配制 約(固から受け取る保育所運営費は、保育以外の事業に使うことはできなし、)と財 産処分制約(保育所の財産を処分することにより収入があった場合には、その収入 の全部または一部を国庫に納付させることがある)が併存する中では、営利法人が 新規参入するインセンティブは極度に低いと言って良し、 10 したがって、部分的な 規制緩和ではなく、新規参入促進自体を目標とした整合的な規制緩和を徹底するこ とが望ましい。保育サービス市場に新規参入が続き、競争原理が根付くことは、単 に待機児解消というだけではなく、サービスの質を高める上でも重要である。 また、公務員の年功賃金制等に基づく公私聞の賃金格差を解消する為にも、公立 保育所の民営化を検討すべきである 20 私立保育所の歪んだ賃金プロファイノレを生 1~ 例 えば 新 規 に 営 利 企業 に よ っ で 限 立 ぎ れ た 保 育 断 は 体の 聞 週 商品宣伝などの目的で維持ぎれて ν 加民 営 化の定義は 隙 者 によって様々であるが ν る(保 育 行財 政 研究会 ①社会 福 任法人にする方式(社会 人を含む篠々な民 間 団体に完全に売却する方式(完全民 によって 既に単体では経営赤字を抱えており ると 曾 わ れ て 営 化方式) 営 利 団 体 を 含 む よ り 広ν 民 間 団 体 に 委 託 す る 方 式 ( 公 福 益法人イヒ) ③ 施般 の 経営 権 の み を 般 民 営 方式)の 限立本 2001) 。 ② 営 利法 競争入札 3つ が 考 え ら れ る 。 筆 者のととでの民営化の定義はとの盆てを吉むものである@ とれまで民 営 化を 総 じた文献のゆには どちらか色、えば①の社 福 化を想定しで、るものが多く 1 5 ② み出す細かい保育単価の設定をやめ、個別の保育所の経営に自由度を与えるべきで ある。こうした中で、不自然な賃金格差が解消され、待機児問題が解決に向かうと 考えられる。 参考文献 漆博雄・角田由イ圭 ( 1 9 9 8 ) r 医療スタップの労働市場」、漆博雄編『医療経済学~ 7( 章) 141-145 大竹文雄 ( 1 9 9 8 ) ~労働経済学入門』日本経済新聞社、 37-39 駒村康平 ( 1 9 9 6 ) r保育需要の経済分析 J ~季刊社会保障研究~ (国立社会保障・人口問題研 究所) 32( 2 ) :210-223 桜井慶一 ( 1 9 9 6 ) r地方版“エンゼノレプラン" 32 )1( 障研究~ (保育計画)の展開とその問題 J ~季刊社会保 倒的 周燕飛・大石亜希子 ( 2 0 0 2 ) r保育サービスの潜在需要と価格弾力性」 厚 生科学研究費補助金 事 業「こどものいる世帯に対する所得保障、税制、保育サービス等の効果に関する総 合的研究」ディスカーンヨンペーパーNo.0202 角田由佳 ( 1 9 9 4 ) r看 護 婦 の 労 働 市 場 不 完 全 市 場 仮 説 の 日 本 へ の 適 用 可 能 性 J ~医療と社会』 4 )1( : 171-197 成瀬龍夫・小沢修司・武田宏・山本隆 ( 1 9 8 9 ) ~福祉改革と福祉補助金』ミネノレヴア 書房 二宮厚美 ( 2 0 0 0 ) ~自治体の公共性と民問委託』自治体研究社、 116-120 林宜嗣 ( 1 9 9 6 ) r保育サービス 事 業の現状と課題 J ~季刊社会保障研究~ (国立社会保障・人 口問題研究所) 3 2 ( 2 ) :158-166 福田素生 ( 1 9 9 8 ) r福祉サービス供給 νステムとしての措置(委託)制度の考察保育所制度の改 革等を素材として J ~季刊社会保障研究~ (国立社会保障・人口問題研究所) 34 )3( 281-294 福田素生 ( 2 0 0 0 ) r保育サービスの供給についてー 費用面からの検討を中心に J ~季刊社会保 障研究~ (国立社会保障・人口問 題研究所) 36 )1( :90-101 や③では 貿 の低下や低所得者の利用が妨げられると懸念して、るものが多、(株( しかしながら 問 で あり ①め社 福 化では 1996) 市 場 メカニスぉムが 有 効に機能 す るととが期待できな、@したがって筆者は の社 福 化の可能性を排除するものではな、が る.もちろん 横 山 (1998)) • そもそも参入促進や定員拡フそのイ ν セシティプが存在するかどうか疑 最 終的には 保 育 サ ー ピ ヌ の 貿 を 評 価 監視 す る 第 三 機 関 を 限 置 し 備する べ きととは 宵 うまで もな、. 1 6 民営化として① ②③の道を模索するととが 望 まし、と考え 低断 得 世帯への補助策を別途整 保育行財政研究会編 ( 2 0 0 )1 2 0 0 )1 保育行財政研究会 ( ~公立保育所の民営化~ ~保育所への企業参入 1 9 9 )1 北海道保育問題研究会 ( r調 査 (自治体研究社) どこが問題か』 保育士不足を考える J ~北海道の保育 199U 前田王子 ( 2 0 0 0 ) ~保育所は、いま』岩波 書底、 133 丸山桂 ( 1 9 9 8 ) r保育所の利用者負担徴収方法と女性の就労選択 J ~季刊社会保障研究~ 国 ( 4 ( 3 ) :295-310 立社会保障・人口問題研究所) 3 八代尚宏 ( 2 0 0 0 ) r福祉の規制改革」八代尚宏編『社会的規制の経済分析』日本経済新聞社 山重慎二 ( 2 0 0 )1 r日本の保育所政策の現状と課題一経済学的分析 J ~ 橋論叢~ ( 橋大学 2 5 ( 6 ) :6 9 8 6 橋学会) 1 横山由紀子 1( 史的「保育における認可制度の効果 J ~経済論叢~ (京都大学経済学会) 横山由紀子 1( 史的「保育における規制緩和と民営化 J ~季刊社会保障研究~ (国立社会保障・ 4 ( 4 ) :413-420 人口問題研究所) 3 lB au,M.( 1 9 9 0 )“TheChildCareLa borMarket,"刀 1 eゐ u r n a l.0 1HumanResourc 問 2 7 )1( 9 3 9 Boal, W andM.RRansom1( 9 9 )7 "Monopsonyi ntheLa borMarket, " J ournalo fEconomic L i t e r a t u r e,Vo 3.1 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