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電気用品安全法施行令の一部改正に係る事前評価書
1.政策の名称
電気用品安全法に係る規制(規制対象の追加、範囲の拡大)
2.担当部局
経済産業省 商務情報政策局 製品安全課長 矢島敬雅
電話番号:03-3501-4707 e-mail:[email protected]
3.評価実施時期
平成22年12月
4.規制の目的、内容及び必要性等
(1)規制の目的
電気用品安全法(昭和36年法律第234号。以下「法」という。)は、電気用品の製
造、販売等を規制することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止すること
を目的(法第1条)として、現在、およそ450余りの電気用品を指定している。
(2)規制の内容
指定された電気用品を製造する者(製造事業者)は、氏名、住所、電気用品の型式区
分、製造する工場、所在地について届出を行う(法第3条)とともに、同法に基づく技
術基準に適合させなければならない(法第8条第1項)
。また、基準の適合に当たっては、
検査を行い、検査記録を作成し保存しなければならない(法第8条第2項)
。
基準の適合性について上記義務を履行した場合、当該電気用品には表示(PSEマー
ク)を付することができる(法第10条)とされ、製造事業者、輸入事業者及び販売事
業者は、この表示が付していない電気用品を販売してはならない(法第27条)とされ
ている。
今回の政令改正では、①規制対象とする電気掃除機の範囲の拡大(定格消費電力1k
、②LEDランプ等 2の規制対象への追加、③規制対象とする
W以内→1.5kW以内 1)
リチウムイオン蓄電池の範囲の拡大(特殊な構造のものも含む)を行う。
(3)規制の必要性
上記①電気掃除機は、定格消費電力が1kW以下のものについては既に電気用品に指
定されているが、昨今1kWを超える電気掃除機が家庭に普及してきており、2007
1一般家庭に設置されている配線器具(コンセント、差込みプラグ)は定格電流が15アンペアとなっており、電圧は1
00ボルトである。そのため、1.5キロワット以上のものが家庭で使用される事は想定されないため、1.5キロワ
ット以内の掃除機を対象としている。
2LEDランプ等はLEDランプとLED電灯器具に大別される。
年~2009年の3年間で33件の事故が発生している(図1)
。上記②LEDランプ等
については、現在電気用品に指定されていないが、近年急速に普及し始めており(図2)
、
2007年~2009年の3年間で9件の事故が発生している(NITE調べ)
。上記③
リチウムイオン蓄電池については、事故が多発していることから2年前に電気用品とし
て規制対象とした(平成19年11月に法改正、平成20年11月施行、事故件数は図
3)が、依然としてリチウムイオン蓄電池による事故が発生していること及び当時、リ
チウムイオン蓄電池のうち特殊な構造のものについては、それを使用する電気機器本体
も併せて設計変更を行う必要があり、設計変更準備期間が必要であったため、事業者の
負担を考慮し、規制対象外としていたが、その後の審議会(消費経済審議会製品安全部
会)において、同規制の施行後2年程度の間に規制対象に追加するとの方針が決定され
ていた。以上から、上記3製品について、今回政令(電気用品安全法施行令)を改正し、
規制対象範囲を拡大するもの。
今回、規制対象品目に追加等を行う製品による事故は、発煙等の火災に係る事故であり、
法第1条の目的である電気用品による危険及び傷害の発生を防止する観点から規制対象
化する必要性がある。
【図1
消費電力が1kWを超える電気掃除機の火災認定されている事故件数の推移】
2000年~2009年(NITE調査)
件数(件)
18
17
16
14
14
12
10
8
6
4
2
2
0
0
0
0
0
0
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
0
0
2000年
【図2
2007年
2008年
2009年
LEDランプ等の普及状況】
(百万個)
500
蛍光ランプ
450
白熱電球(一般
照明用)
400
350
電球形LEDランプ
300
250
200
150
100
電球形LEDランプ
(2009年度)
200万個
50
0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
電球類の国内出荷数量推移((社)日本電球工業会自主統計)
(千台)
70,000
HID照明器具
蛍光灯器具
60,000
白熱灯器具
50,000
LED照明器具
40,000
30,000
20,000
10,000
LED照明器具
(2009年度)
127万台
0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
照明器具の国内出荷数量推移((社)日本照明器具工業会自主統計)
照明器具の国内出荷数量推移
千台
2008
2009
増加率
112%
LED照明器具
599.7
1270
白熱灯器具
16590
13120
-21%
蛍光灯器具
36430
33120
-9%
-24%
HID照明器具
1630
1240
(社)日本照明器具工業会自主統計
電球類の国内出荷数量推移
百万個
2008
2009
電球形LEDランプ
2.060035
白熱電球(一般照明用)
84.24414
74.058172
蛍光ランプ
306.4944
286.642964
(社)日本電球工業会自主統計
-12%
-6%
【図3 リチウムイオン蓄電池等の事故件数の推移】
2 0 0 6 年 ~ 2 0 0 9 年 度 ( N I T E 調 査 )
リチウムイオン蓄電池等の事故件数の推移
(年度)
64
リチウムイオン
蓄電池
2100
平成21年
3912
電気製品
133
2303
平成20年
4590
32
全事故件数
2382
平成19年
5949
1190
平成18年
3043
0
2,000
4,000
6,000
8,000
(件)
(4)法令の名称・関連条項とその内容
[名称]
電気用品安全法施行令
[関連条項]
電気用品安全法施行令別表第二に規定する電気用品の「電気掃除機」及び「リチウム
イオン蓄電池」の対象範囲拡大並びに「エル・イー・ディー・ランプ」等の追加
(5) 影響を受ける関係者
① 電気掃除機: 安全規制を受ける製造事業者及び輸入事業者、関係団体((社)日本電機
工業会、
(財)家電製品協会)
、販売事業者、当該機器の消費者、届出受理等手続きを行
う行政機関
② LEDランプ等:安全規制を受ける製造事業者及び輸入事業者、関係団体((社)日本
電球工業会、
(社)日本照明器具工業会)
、販売事業者、当該機器の消費者、届出受理等
手続きを行う行政機関
③ リチウムイオン蓄電池:安全規制を受ける製造事業者及び輸入事業者、関係団体(
(社)
電池工業会、(社)電子情報技術産業協会、カメラ映像機器工業会)、販売事業者、当該
機器の消費者、届出受理等手続きを行う行政機関
5.想定される代替案
LEDランプ等の安全対策として、法的規制により技術基準の遵守を要求し、関連する
事故を未然に防止する改正案に対して、下記のような代替案が想定される。
代替案:事業者・業界による自主的な取組を拡大(安全対策の統一基準の作成等)し、同
時に消費者への注意喚起に係る広報を強化(業界として広報予算の増加)することに
よって、安全対策を促す案。
(ⅰ)業界自主基準による再発防止対策
現状でも取り組まれている業界の自主的な基準を作成し、さらなる進展・徹底を期
待する。
(ⅱ)業界の広報強化
事故防止を促すため、安価な粗悪品の購入・使用防止や誤使用防止等の啓蒙のため
の広報活動(新聞、チラシ、ポスター等)を強化拡大(例えば、業界として広報予算
を増加)することによって、消費者側に安全な使用を促す。
6.規制の費用
改正案及び代替案について、各選択肢の比較を行うため、実施において必要になる費用
を試算する 3。
以下、製造・輸入事業者の負担について特段の記載がない場合、
・電気掃除機については、(社)日本電機工業会、
(財)家電製品協会
・LEDランプ等については(社)日本電球工業会、(社)日本照明器具工業会
・リチウムイオン蓄電池等については(社)電池工業会、(社)電子情報技術産業協会カ
メラ映像機器工業会
に聴取を行い、推計した数字を用いている。
(1)
【改正案】製造・輸入事業者に対し、LEDランプ等の技術基準への遵守を義務付け
る場合の1年あたりの費用
①製造・輸入事業者の負担
〔電気掃除機〕
今回の電気掃除機に係る改正にあたり、製造側の法遵守に係るコストとしては、新た
に規制対象(技術基準の適合及び表示)となるため、設計変更に関わる人件費(設計2
名程度)及び部品等の変更によるコストアップとして、約4,000万円。これに適合
性検査に係る試験費用(雑音試験、モーター温度上昇試験)が、約100万円と見込ま
れるが、一般的に、家庭用電気用品の法定耐用年数は6年 4(電気冷蔵庫、電気洗濯機そ
3 以下では、規制導入後に発生する年間あたりの費用を試算している。したがって、
「分析対象期間」を便宜的に設ける
とすれば1年間ということになる。(便益の試算も同様)
4「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」による。
の他類似の電機機器)として、当該期間以上、製品及びその補修部品等を製造できる体
制を維持すると考え、初期投資を当該期間で回収すると仮定すると、1社あたり680
万円。そのため、業界全体の年間のコストアップ分は、少なくとも約680万円×10
。
社 5=6800(万円/年)
〔LEDランプ等〕
LEDランプについて今回の改正に伴う技術基準への適合のための確認・表示変更費用
(初期投資費用)は1社あたり約39万円。また、当該製品は、長寿命(約10年間 6)
であることから、当該期間中、製品及びその補修部品等を製造できる体制を維持すると
考え、初期投資を約10年間で回収すると仮定すると、年間のコストアップ分は1社あ
たり3.9万円、現在、LEDランプを製造している事業者は国内外で約100社と推
定されるため、業界全体の負担は約390(万円/年)
。
また、LED電灯器具について、今回の改正に伴う技術基準への適合のための確認・表
示変更費用(初期投資費用)は1社あたり約60万円。また、当該製品は、LEDラン
プと同様に長寿命であることから、当該期間中、製品及びその補修部品等を製造できる
体制を維持すると考え、初期投資を約10年間で回収すると仮定すると、年間のコスト
アップ分は1社あたり6万円、LED電灯器具を製造している事業者は国内外で約15
0社と推定されるため、業界全体の負担は計約900(万円/年)
。
〔リチウムイオン蓄電池〕
新たに規制対象となる特殊な構造のリチウムイオン蓄電池を製造・輸入している事業
者の費用は一社あたり設備費用(約4,000万円)、人件費(約1,000万円(50
0万円(円/人)×2人分)
)
、製品検査費用、約3,000万円(各社平均30機種製造
し、各検査経費約100万円)
。これらを鑑みて、1事業者あたりの法令遵守に係る費用
を推計すると、約8,000万円。また、一般的に、家庭用電気用品の法定耐用年数は
6年(電気冷蔵庫、電気洗濯機その他類似の電機機器)とすれば、当該期間中、製品及
びその補修部品等を製造できる体制を維持すると考え、初期投資を当該期間で回収する
と仮定すると、年間のコストアップ分は、1社あたり約1,330万円であるため業界
。
全体を10社 7と仮定すると遵守費用は約1.3(億円/年)
以上から、業界全体の1年あたりの負担総額は、約2.1(億円/年)
。
②行政の負担
5該当する電気掃除機の製造・輸入事業者数は団体によると5社程度とのことであるため、純便益(便益―費用)の試算
を頑健にするため、費用の推計の要素である業者数は多めに見積もり10社と仮定する。
6
http://www.sharp.co.jp/led_lighting/consumer/feature/longlife/index.html
7該当するリチウムイオン蓄電池の製造・輸入事業者数は業界団体によると10社未満程度とのことであるため、純便益
(便益―費用)の試算を頑健にするため、費用の推計の要素である業者数は多めに見積もり10社と仮定する。
新たに法に基づく届出手続きが必要となるが、各地の経済産業局の現行の行政組織・
人員(34名)による対応で十分可能であると考えられる。他に立入検査、違反対応の
コストが推定されるものの、同様に既存人材での対応が可能であることから算定しない。
③消費者の負担
規制による直接的な負担は発生しないが、間接的な影響として、製造・輸入事業者が
行う開発費(製品の設計変更等)及び検査費等に係る費用が将来的に製品価格として消
費者に転嫁される可能性がある 8。
(2) 【代替案】の場合
① 製造・輸入事業者の負担
(ⅰ)自主基準の作成
特段の費用は計上しない。
(ⅱ)広報の強化
最近の製品行政における制度改正として、
「長期使用製品安全点検・表示
制度の創設(H21年4月施行:消費生活用製品安全法改正)」、施行にあたり、要
した費用を参考に、業界団体が広報を行う際の経費を見積もると以下のとおり。
①全国9箇所で延べ3000人の動員、計6100万部のリーフレット準備等の
費用は、約4300万円。
②業界新聞や全国紙への折り込みチラシ挿入、セミナーの実施等に要した費用は、
約7700万円。
③各都道府県等における制度説明会実施のための費用は、約2000万円。
以上により業界全体の負担は合計約1.4(億円/年)
。
②行政の負担
なし。
③消費者の負担
業界規制に係る製造・輸入事業者の行う広告費用等が、将来的に製品価格として消
費者に転嫁される可能性があるが、現時点では算定できない。
7.規制の便益
(1)
【改正案】製造・輸入事業者に対し、LEDランプ等の技術基準への遵守を義務付け
る場合
8 なお、過去に規制対象となったリチウムイオン蓄電池等においては、製品価格の上昇は見られなかった。
製品に起因した人への火災等による被害(物質的、人的)を減少させる便益が期待
される。
規制を導入しない場合、各電気製品による火災等の事故が将来も発生すると見込まれ
るため、各製品における
現在の火災事故の発生状況を踏まえ、仮に今後の火災事故による1年あたりの損失額
を概算すると以下のとおり。
・定格消費電力が1kWを超える電気掃除機
火災事故件数の過去3年間の事故増加率から、今後も増加すると仮定すると来
年の事故件数は、約27件。
建物火災1件あたりの平均損害額は、約332万円(平成21年度消防白書)。
以上から、本製品の火災事故による損害額は、約0.9(億円/年)
。
・LEDランプ等
火災事故件数は、過去3年間で9件であり、火災事故は2007年度から20
09年度に販売された約423万台による事故であるとし、事故率を仮定する。
現在、急速に普及が進んでおり、今後買い換える際に、白熱電球や蛍光灯等の既
存照明から、LEDランプ等を選ぶ割合が、60%以上(民間調査機関:アイシ
ェア調べ。2010年5月。)という調査結果もあることから、2009年度の白
熱等器具、白熱電球の販売実績8718万個を元に、2010年度はその6割が
LEDランプ等により代替されると仮定すると2010年度のLEDランプ等の
販売数量が少なくとも約5,557万個 9と見積もることができることから、そこ
から見積もられる火災事故件数は、少なくとも年間約118件 10発生。
建物火災1件あたりの平均損害は、約332万円(平成21年度消防白書)
。
以上から、本製品の火災事故による損害額は、約3.9(億円/年)
。
・リチウムイオン蓄電池
経済産業省の過去の産業構造審議会消費経済部会製品安全小委員会資料
11
によ
ると、リチウムイオン蓄電池による事故18件のうち、今回の改正によって拡大
される規制範囲に係る蓄電池による事故が6件見受けられることから、過去3年
間の事故件数の平均、約76件のうち3分の1である約25件が今回規制対象と
なるリチウムイオン蓄電池による事故であると見積もることができる。
建物火災1件あたりの平均損害は、約332万円(平成21年度消防白書)
。
以上から、本製品の火災事故による損害額は、約8,300(万円/年)。
以上から、今後の火災事故による1年あたりの損失総額は、約5.6(億円/年)
。
9
白熱電灯器具、白熱電球の売上個数の6割がLEDランプ等によるものと仮定。8718万台(白熱電灯器具、白熱
電球の売上個数)×0.6(6割がLEDランプ等に代替されると仮定)+327万台(LEDランプ等の現状の出荷
量は維持)=5557万個
10 9(件)×5557/423=118件
11 http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g71212d07j.pdf
と見積もられ、規制により事故の90% 12が防止されるとすると改正案の便益は
5.6億円×0.9=約5.0(億円/年)
(2)
【代替案】の場合
(ⅰ)自主基準の作成により、
・電気掃除機
国内業界団体(JEMA:日本電気工業会)傘下企業シェアは流通量の約10%
であるため、改正案に比べ、事故の10%が防止されると仮定し、
0.9(億円/年)×0.9(改正案の事故防止率)×0.1(業界団体シェア)
=0.08(億円/年)
・リチウムイオン蓄電池
日本電池工業会のシェアは流通量の約60% 13と仮定し、改正案に比べ、事故の60%と
仮定し、
3.9(億円/年)×0.9(改正案の事故防止率)×0.6(業界団体シェア)
=2.1(億円/年)
・LEDランプ等
電球工業会、照明工業会併せて、シェアは約70%であるため、改正案に比べ、事故の7
0%が防止されると仮定し、
0.83(億円/年)×0.9(改正案の事故防止率)×0.7(業界団体シェア)
=0.52(億円/年)
(ⅱ)広報の強化
代替案のうち広報により事故の10% 14が防止されると仮定すると、代替案の便益は
5.6億円×0.1=約0.6(億円/年)
以上より、代替案による便益は3.3(億円/年)
8.政策評価の結果
【各選択肢の費用便益分析(費用、便益、純・便益)の結果】
(費用)
(便益)
(純・便益)
改 正 案:▲約 2.1億円 +約5.0億円=
約2.9億円
代 替 案:▲約 1.4億円 +約3.3億円=
約1.9億円
12規制による事故の減少割合は、データが集計できる直近の2件(家庭用ジェットバス(H14年4件死亡事故→H1
5規制:以後、事故ゼロ)レーザーポインター(H12年事故10件→H13規制:以後、事故ゼロ))については10
割削減されている。参照できるデータが少なく、純便益を頑健にするため規制により事故が9割減と仮定した。
13 H22年の上半期の、業界自主統計等から試算。
14 1割は仮定である。平成 20 年 5 月に行われた「
「ガス事業法」及び「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化
に関する法律」の規制対象製品追加(家庭用のガスこんろ)に係る事前評価書」における広報活動による見積もりを引
用。この事例の場合業界団体が約4千(万円/年)の広報経費をかけたものの事故件数は横ばいであったため、純便益を
頑健にするため、広報による効果を10%として仮定する。
(1年あたりの数字)
改正案
代替案
①製造・輸入事業者の負担
(ⅰ)電気掃除機
設計変更に係る費用、適合性試験費用
6800万円
(ⅱ)LEDランプ等
設計変更に係る費用、適合性試験費用
1290万円
(ⅲ)リチウムイオン蓄電池
設計変更に係る費用、適合性試験費用
1.3億円
②行政の負担
特になし
特になし
③消費者の負担
特になし
特になし
火災被害現象の便益 5.0億円
火災被害現象の便益 3.3億円
費用
便益
純便益
広告費及びポスターパンフレット費
1.4億円
2.9億円
1.9億円
【各選択肢の評価】
以下のとおり、本改正案を選択することは妥当である。
費用便益分析によると、規制導入によって、不良品等による火災事故発生を防止するこ
とができ、年間約5.0億円の損害発生を防止することが可能となる一方で、新たな技術
基準に適合するための確認・表示変更費用等に係る事業者の負担は、年間約2.1億円で
あることから、総額として、年間約3.0億円の便益が見込まれる。また、先述の通り、
今回の規制対象製品は、今後急速に普及することが見込まれ、それに伴う事故の増加も見
込まれることから、現状上記の経費を要するとしても規制導入が必要であると考えられる。
なお、代替案として事業者及び業界による自主的な啓発、広報も考えられるが、今回の
規制対象製品の多くが海外事業者によって製造されるなど、アウトサイダーによる供給が
多いことから、効率的な啓発、広報が困難であり、粗悪品等による火災事故予防には、効
果的ではないと想定されたころから、火災事故による損害額を見積もり、その費用と規制
導入にかかる経費とを比較検討した結果、法令による規制導入が妥当であると考えられる。
また、電気用品安全法の前身である電気用品取締法(昭和36年法律第234号)の制
定当時から、その時代に発生した事故に即時に対応し、業界の自主活動に委ねるのではな
く、国が積極的に電気用品に指定すべく政令改正を行ってきており、電気用品に政令指定
することで、初めて必要な安全のための技術基準を当該電気用品に設定し、これらの安全
基準を法的に遵守させることによって当該電気用品による火災等の事故の未然防止が可能
となっている。また、毎年の試買調査や立入検査等により、法令違反(表示違反や技術基
準違反等)が発覚した場合には、当該製造・輸入事業者に対し厳格に対応してきており、
これまでの行政手法により今後も電気用品による火災等の事故の発生の未然防止を図り、
当該法令を適切に運営していくためには、本改正案が適切である。
9.有識者の見解その他の関連事項
産業構造審議会消費経済部会製品安全小委員会では、電気用品安全法で指定された電気
用品や市場に流通し始めたばかりの未指定の電気製品の、事故の発生状況やその原因、普
及状況等について精査・検討を行い、規制対象品目の追加・見直しの必要性について審議
を行っている。
平成22年5月25日に開催した第15回産業構造審議会消費経済部会製品安全小委員
会では、①定格消費電力が1kWを超える電気掃除機(定格消費電力が1.5kW以下ま
で)
、②LEDランプ等、③特殊な構造のリチウムイオン蓄電池について、これらの製品は
近年事故が散見されており、また今後急速な普及が見込まれる製品であるため、規制対象
化とする政省令改正を行う必要があるものとの結論に至った。
10.レビューを行う時期又は条件
本政令が施行されてから5年が経過した時期
11.備考
今回、規制の事前評価を行うにあたり、規制の導入により発生する費用対効果で便宜上
相対比較することとした。したがって、本評価書で試算している数値はあくまでも試算上
仮定している数値であることに留意する必要がある。
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