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アレルギーを考慮したレシピ検索
食物アレルギーを考慮した ユーザの気付いていない好きな料理検索 10764058 中野 辰彦(灘本研究室) あらまし:本論文では多数のレシピからユーザが気付いていないユーザ好みのレシピを検索し, 且つそのレシピから食物アレルギーを引き起こす可能性のある食材を代替するレシピ検索システ ムを提案する.実際にはユーザのシーンに合わせて(1)代替食材手動選択レシピ検索システムと (2)代替食材自動選択レシピ検索システムの 2 つのシステムを提案する. 1.はじめに 近年インターネット上の多くのレシピサイト を利用するユーザが増えている.しかしながら, クックパッド[1]等のレシピサイトでは検索結果 のレシピ数が多すぎて,知らない料理が多数あ るのにもかかわらず,結局自分の知っている料 理名の料理を選択してしまう場合が多数ある. 一方,近年食物アレルギーについての関心が 高まってきている.しかしながら,食物アレル ギーを考慮したレシピ検索サイトがほとんど無 い.食物アレルギーを持っている人がレシピサ イトから料理を検索する場合,自分の食物アレ ルギーを持つ食材を除いた検索を行うのが一般 的である. そこで本論文では多数のレシピからユーザが 気づいていないユーザ好みのレシピを検索し, 且つそのレシピから食物アレルギーを引き起こ す可能性のある食材を代替するレシピ検索シス テムを提案する. 実際にはユーザのシーンに合 わせて(1)代替食材手動選択レシピ検索システ ムと(2)代替食材自動選択レシピ検索システム の 2 つのシステムを提案する. 2.クエリの生成方法 2-1.食材の重み計算 ユーザの好きなレシピを決定するために,ユ ーザの好きな料理から好きな食材を抽出する. この時,料理を特徴づける食材に重みを付ける. 重み付けの手順を以下に示す. (1) レシピの食材欄に掲載されている順に値 を付ける.しかし,ある閾値番目以降の 食材にはすべて同じ値を付ける. (2) 料理名に食材欄に含まれている食材名が 含まれていればその食材はその料理にと って重要であると考え,(1)の値にα倍を する. (3) 調理方法に食材欄の食材名が出てきた回 数分その食材の値にβ倍する. 上記三つの方法により食材の重み付けをし,食 材に値を付ける.その値が閾値を超えればレシ ピ検索のクエリとする. 2-2.料理名と共起度の高い食材の抽出 一つのレシピページで,その料理に通常使用 する食材が網羅されているとは限らない,そこ で重み計算時に抽出できなかった一般的な食材 を抽出するために,料理名と共起度の高い食材 を抽出する. 入力された料理名を Yahoo!の検索を用いて, スニペットを取得し,出現頻度がある閾値以上 の食材名をクエリに追加する. 3.プロトタイプシステム 本研究では,食物アレルギーを引き起こす食 材が多く,代替食材を選択したいユーザを対象 とした「代替食材手動選択レシピ検索システム」 と食物アレルギーにより今まで食べることがで きなかった料理において代替食材を利用するこ とで食べてみたいというユーザを対象とした 「代替食材自動選択レシピ検索システム」の 2 つのシステムを提案する. 3-1.代替食材手動選択レシピ検索システム 図1.料理検索のシステム図 本システムは,ユーザの好きな料理を入力と し,その料理と類似している料理をユーザの気 づいていない好きな料理として検索した後,検 索結果のレシピ中にアレルギーを引き起こす可 能性の高い食材を抽出し,アレルギーを引き起 こす可能性の低い食材一覧を表示する. 本システムのレシピ検索の概要を図 1 に示す. ここでは,東京医大式食物抗原強弱表[2]を用いて, アレルギーを引き起こす可能性の高い食材及び 低い食材を決定する.具体的には,東京医大式 食物抗原強弱表[2]をもとにすべての食材を表 1 に示すように7カテゴリに分ける. 表 1.食物アレルギーのカテゴリ一覧 果物 もも,オレンジ ム「代替食材手動選択レシピ検索システム」と 「代替食材自動選択レシピシステム」を使用し てもらい,実際に気付いていない料理と食物ア レルギーを考慮しているのかを調べた.結果を 表2と表3に示す. 表2.代替食材手動選択レシピ検索システムの実験結果 良い 普通 悪い トマト,れんこん,なす 穀物、芋 玄米,山芋 食肉 魚介類 豚肉,牛肉,鶏肉 鮭,マグロ,イワシ 甲殻類 エビ,カニ 良い 卵、乳製品 卵,牛乳,バター 普通 3-2.代替食材自動選択レシピ検索システム 本システムはユーザが食物アレルギーを引き 起こす食材と食物アレルギーにより食べること のできなかった料理名を入力とする.そして, 入力された料理名をクエリとして基本となるレ シピを検索する.得られたレシピから食材の重 み計算を行い,一定の閾値以上の食材をクエリ とする.ここでは,入力された食物アレルギー を引き起こす食材と料理名をクエリから除外す る. 入力された食材のカテゴリを表 1 を用いて抽 出する.そして,入力された食材のカテゴリに 含まれる食材を一つずつクエリとしてレシピを 検索し,候補のレシピ集合を得る.得られたレ シピ集合の各々のレシピすべてで食材の重み計 算を行い,基本となる入力された料理との類似 度を測り最も類似度の高いものが代替されてい るとして,レシピを出力する. 4評価実験と考察 評価実験として,被験者 7 名に二つのシステ 食物アレルギーの食材が わかりやすい 代替食材一覧が わかりやすい 6 0 1 6 0 1 6 0 1 表3.代替食材自動選択レシピ検索システムの実験結果 野菜 そして,東京医大式食物抗原強弱表には,食 物アレルギーを引き起こす強弱が 5 段階に設定 されているが,本研究ではその内引き起こしや すい上位 2 段階を食物アレルギーを引き起こす 可能性の高い食材として抽出し,下位 2 段階を 代替食材一覧として表示する. 気付いていない 料理か 悪い 入力された食材が 含まれていない 入力された料理と 近い料理 7 0 0 2 3 2 これにより,代替食材手動選択レシピ検索シ ステムでは,比較的良い結果が得られたが,代 替食材一覧等のレイアウトの改善が必要である. また,代替食材自動選択レシピ検索システム では,入力された料理と近い料理が表示されて いないことが分かった.これは入力された料理 の主な食材が食物アレルギーにより除外される ことで,全く違う料理が出力されていることが あるためと考えられる. 5.おわりに 本研究では,食物アレルギーを持っているユ ーザに対し,楽しい食生活を送るために 2 つの システムを提案した. しかしながら,評価実験において,代替食材 自動選択レシピ検索システムでは入力された料 理と離れている料理が出力されていたため,今 後は食材の重み計算のパラメータの最適値を見 つけることを課題としていく. 参考資料 [1] クックパッド http://cookpad.com/ [2] 東京医大式食物抗原強弱表 http://www.a-soken.com/talk/antigen-l ist.html