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本文ファイル - 長崎大学 学術研究成果リポジトリ
NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE Title アルミナセラミックス中の不純物元素の拡散 Author(s) 内山, 休男; 古澤, 誠; 杉元, 雅則; 小林, 和夫; 羽坂, 雅之 Citation 長崎大学工学部研究報告 Vol.27(48) p. 161-166, 1997 Issue Date 1997-01 URL http://hdl.handle.net/10069/15015 Right This document is downloaded at: 2017-04-01T01:16:31Z http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp 長崎大学工学部研究報告 第2 7 巻 第4 8 号 1 6 1 平成 9年 1月 アル ミナセラ ミックス中の不純物元素の拡散 ** 誠夫 和 洋林 古小 ●● *** 男則之 休雅雅 山元坂 内杉羽 Di f f us i o no fHe t e r oa t o mi nAl umi naCe r a mi c s by Ya s u oUCHI YAMA* ,Ma ko t oFURUS AWA* ,Ma s a n o r iSUGI MOTO* Ka z u oKOBAYASHI *a n dMa s a y u kiHAS AKA* Di f f us i on o fs i l i conat o m andt i t a ni um at om i n al umi na c e r a mi c swasi nve s t i gat e d. Di f f us i on c oe f f i c i e ntofs i l i c onat om ort i t a ni um at om i nc omme r c i alal umi nac e r ami c scanbeo bt ai ne d,by mea s ur i ngc onc e nt r at i o no ft hehe t e r oat omswi t hSI MSandus i ngGa us s i ant ypes ol ut i onast het hi n f i l ms ol ut i on. Theamo untofMgO ass i nt e r i ngaddi t i vea ndgr ai ns i z edi dnotaf f e c tdi f f us i on coe f f i c i e ntoft hehe t e r oat omsi nal umi nac e r ami c s . 1.緒 言 用 い られている SI MS法 を用 いて,代表的セ ラ ミック セ ラ ミックス中の拡散 は,セラ ミックスの焼結,セ スであるアル ミナ中の不純物金属元素 の拡散が研究で ラ ミックス粒子の成長 な どを支配 す る重要 な現象であ きるか否 か を明 らかにす る.さらに,アル ミナセラ ミッ る. また,セラ ミックス中の拡散 は,セ ラ ミックス- クス 中へ拡散 した Siお よび Ti原子 の濃 度 を SI MS 金属 の接合 あるいはセラ ミックス基板 とリー ド線 との 法 を用いて解析 し,アル ミナ中での Siお よび Ti 元素 関連 において も重要 な現象である. ところが,金属中 の拡散挙動 を明 らかにす る. にお ける自己拡散 あるいは異種元素の拡散 に関 しては 多数 のデータが蓄積 されてい るのに対 して,セ ラ ミッ 2.実 験 方 法 クス中の拡散 についてはデータの蓄積が金属 中の拡散 2. 1 供試料 および試験片 に比 して少 ない. 2 mm,高 さ 1 2. 7 mm の円柱状 のアル ミ 市販 の直径 1 拡散現象の研究の場合,拡散種 の濃度分布 を明 らか mm 角 に切 り出 ナ焼結体 ( 日本化学 陶業㈱製)か ら約 4 にす るために,従来行われて きた放射性 同位元素 を用 した小片 と,研究室で作製 したアル ミナ焼結体 か ら約 ) ,イオ ンビーム・ ス いた化学分析法 に加 えて,EPMAl 5 mm 角 に切 り出 した小片 を試験 片 として用 いた.後 SI MS)3),4) な どが パ ッタ リング2 ) ,二次 イオ ン質量計 ( 9. 9%のア 者 は,以下 のようにして作製 した.純度 :9 MS法 濃度分布 の測定 に用 い られている.この中で SI ル ミナ粉末 :2 0 0 g,焼結助剤の MgO:0 . 4-1 . 0 g( 添加 では,数 〟m の非常 に短距離 にお ける拡散種 の濃度分 . 2 ,0 . 3 ,0 . 4お よび 0 . 5 mas s %)とメタノール : 重で O 布 を明 らか にす る ことが出来 る,すなわち,小 さな拡 5 0 0 c cをアル ミナ製 ボール とともに容量 :1 0 0 0 c cのプ 散係数 を求 めることが出来 る. 4 h混合粉砕 ラスチ ック製容器 に入れ,ボール ミルで 2 そ こで,本研究で は,金属中での拡散現象の解明 に した.粉砕後 の内容物 をアル ミナボール とスラ リー と 0月2 5日受理 平成 8年 1 *材料工学科 ( De par t me ntofMat e r i al sSc i e nc eandEngi ne e r i ng) 1 6 2 内山休男 ・古津 誠 ・杉元雅則 ・小林和夫 ・羽坂雅之 に分離 し, スラ リー にバ イ ンダー としてポ リエチ レン ミナで挟 む ことによ り拡散種 の蒸発 を防 ぐことがで き, グ リコール :1 0 gをメ タ ノール :5 0 c cに溶 か した も しか も拡散種が両 アル ミナ中へ拡散 して,濃度 一距離 のを加 え,マグネ ッ トスターラーにて撹拝 しなが らメ 曲線が拡散前 に拡散種が存在 していた地点 にピークを タノール を蒸発 させた.得 られた固形物 を 4 2 me s hの 有 し, この点 に関 して左右対称 になる と期待 され るか 節 いを用いて粉末 とし, この粉末 を金型 に入れてプレ らである. ス圧 :5 0 0kg・c m 2 にて予備 プレス し, その後 プレス 2. 3 濃度分布測定 および拡散係数 の決定方法 圧 :1 t on・c m2 にて静水圧 プレス して成形体 を得た. 成形体 を,昇温速 度 :2 o C・mi n11 ,焼 結温度 :1 5 00, 拡散処理後 の試料 について,SI MS として 日立製作 1 5 5 0お よび 1 6 00 o C,保持時間 :1 hにて焼成 し,焼結体 所製 I MA2 A 型 イオ ンマイクロアナ ライザーを用 い, を得 た. 一次イオ ン :0 2+イオ ン,加速電圧 :1 5 kV とし,帯電 市販 のアル ミナ焼結体 の組成 と比重 を Ta bl elに, 防止のた め 5 0/ J A のエ レク トロンシャワーを行 いなが 作製 したアル ミナ焼結体 の MgO添加量,焼結温度 と ら目的元素のイオ ン強度 と全 イオ ン強度 とを一定時間 bl e2に示す. 比重 とを Ta ごとに測定 した. 2. 2 拡 散 処 理 Ta bl e3 Di f f us i ont i me( h)ateac hdi f f us i ont e mpe r at ur e. 試験片の一面 をダイヤモ ン ドペース トを塗布 したバ フにて研磨 して鏡面 に仕上 げて拡散面 とした. この面 上に 1 05Tor r以上の真空下 で Siまたは Ti ,A1 2 03の Te mper at ur e( o C) Si Ti 順 に蒸 着 して A1 20 3 /Siまた は Ti / A1 203 サ ン ドイ ッ 7 00 1 95 20 0 1 9 2 チ試料 を作製 した.この試料 を 7 0 0 o Cか ら 1 50 0 o Cの温 800 1 70 1 6 3 900 1 45 -1 5 0 1 45 1 000 1 0 0 -1 0 5 1 1 00 96 9 6 1 2 00 3 8 3 0 1 3 0 0 21 1 6 1 4 0 0 1 4 1 1 1 5 0 0 1 1 8 度範 囲の所定温度 に真空中で所定時間保持 して拡散焼 鈍 を施 した.保持時間 は,拡散種 の拡散距離が 2 -3 〟m になるように設定 した.各拡散処理温度 と保持時間の 関係 を Ta bl e3に示す. サ ン ドイ ッチ試料 を作製 した 目的 は,拡散種 をアル Tabl e1 Che mi calc ompos i t i on and dens i t y of comme r ci alal umi nace r ami c s . El e me nt( mas s%) 20 3 Si O2 A1 7. 0 CaO 0. 7 0. 4 Na20 ( g・cm 3 ) 0. 3 3. 6 1 50 0 1 5 5 0 1 6 00 0. 2 3. 7 9 3. 91 3. 95 0. 3 3. 7 3 3. 9 0 3. 94 0. 4 3. 69 3. 8 8 3. 93 0. 5 3. 69 3. 8 6 3. 89 ol Si nt e r i ngTempe r at ur e( o C) S t古!su uO !1 u Tabl e2 Ef f ec tofs i nt e r i ngt e mpe r at ur eandMgO 20 3 amounton de ns i t y( g・c m3 )ofA1 s i nt e r e dcompac t . . nd J 一 e t Og J 0! 91. 0 MgO de ns i t y 0 20 40 60 8 0 1 00 Sput t er i ngt i me /mi n Fi g.1 Sc he mat i cdi agr am ofSi +i oni nt e ns i y,Zsl andt ot ali oni nt e ns i t y,ん talWi t hs put t e r i ng t i me of c omme r c i al al umi na ce r ami c s dope dwi t hSiat70 0 o C. 1 6 4 内山休男 ・古津 誠 ・杉元雅則 ・小林和夫 ・羽坂雅之 Temper a t ur e/o C 1 5 0 01 3 0 0 1 1 0 0 9 0 0 l l 2 1 l (L ・ S NL uO \ 0 ) 6 3 .1 l 0二uap苧803u O!SnJ J ! C] 0 r (一 qOlZJ! S Z )u 5. 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 7 0 0 6 . 0 7 . 0 8 . 0 -9 . 0 1 0. 0 1 1 . 0 01 3K1 Rec i pr oc al t emper a t ur e,Tl/1 9 squa r eo fdi s t an c e,x 2/x1 03nm2 Fi g.3 Re l a t i ons hi pbe t we e nnat ur all o gar i t hm o f i oni nt e ns i t yr at i o,Z s . /Z t o t a lands quar eo f di s t a nc e,x 2. 3. 2. 2 濃度曲線 で述べた ようにサ ン ドイ ッチ試料 が作製 で きて 3. 2 Siを 3つの温度 で拡散 させた場合 の 1 n( Z s i /I . . t a . )と x 2 との関係 を ,D Fi g.4 Ar r he ni uspl otf ordi f f us i oncoe f f i c i e nt of Si a nd Ti i n co mme r c i al al umi na C e r aml C S . お り,本項 で述 べた ように拡 散種 の濃度 が Gaus s i an 型の Fi c kの第 2法則 の解 にしたが う と考 えて良い こ Fi g.3に示す. X が大 きい領域で直線関 いずれの温度 の場合 にも, us s i a n型 の 係 が 得 られ て お り,拡 散種 の濃 度 が Ga とか ら,Fi g.3の曲線 の直線部 の傾 きよ り見掛 けの拡 散係数 Da。。を求 めた. Fi c kの第 2法則 の解 にしたが うことが判 る.また,X -0近 くでは,長居 巨離側 か ら予測 され る相対 強度 よ り 大 きな相対強度値が得 られた. この原因 として次の 5 3. 3 市販のアル ミナ焼結体 中への Siおよび Ti原 子の拡散 に及ぼす拡散温度の効果 つ,1) SI MSの表面効果 ,2) 外来格子欠陥 による促進 市販 のアル ミナ焼 結体 へ の Siお よび Ti原 子 の拡 効果, 3)拡散種 の跳ね返 り効果, 4)粒界相 中での優 散 に対 して得 られた見掛 けの拡散係数 と温度 の逆数 と 先拡散効果 , 5) 表面緩和 の効果,が考 えられ る5). 1) の関係 を Fi g. 4に示す.市販 のアル ミナ焼結体-の Si o ∼ 4)のいずれの原因 によって も表面近傍 で拡散種 の お よび Ti原子 の拡散 では, 1 1 0 0C付近 を境 として見 濃度が増加 し, 5)の原因 によ り,拡散焼鈍初期 には表 掛 けの拡散係数 の温度依存性が異 なる ことが明 らかで 面近傍 で拡散種 の濃度が減少す る. これ らの原因 によ ある.Siお よび Tiの高温度域 お よび低温度域 の直線 る試料表面近傍 での拡散種 の濃度増大が見掛 けの拡散 に対 す る見掛 けの拡散係数 は,見掛 けの活性化エネル 係数 に与 える誤差 は,X を十分 に大 き く取 ることによ J・ mol1・ K1 ]で表す と以下 の通 りであった. ギー を [ り回避 で きる. 以上 の他 に,Fi c kの第 2法則 の拡散解 の誤適用 も見 掛 けの拡散係数値 に誤差 を生 じる原因 とな り得 る4 ) . us s i an型 の Fi c kの第 2 た とえば,拡散種 の濃度が Ga 法則 の解 に したが う代 わ りに誤 差 関数型 の拡散解 で Dt / X2-0 . 5で250 / .であ あった とした場合 の誤差 は,4 n( Z i /Z t . t a l ) / X とx る.この場合 ,1 2 とが直線 関係 るが,本研究で は l n( Z s i / Zt . t a l )と x 2 との間 に直線関係 とな が得 られてい ることか ら, この原因 による誤差 は考慮 か ら外 して構 わない と考 え られ る. [ 7 0 0 1 1 0 0C ] o Dsi-7 . 6 0・ 10 11 3e xp( I2 8 0 0 0 / RT) ( 3) [ 1 2 0 0 1 5 0 0C] o Dsi -2 . 5 0・ 10 110e xp( -8 3 0 0 0 /RT) ( 4) [ 1 1 0 0 1 5 0 0C] o Ds i -1 . 0 0・ 1 0 18e xp( -1 3 5 0 0 0 /RT) ( 5) [ 7 0 0 1 1 0 0C ] o DT i -4. 9 7・ 101 3e xp( I2 5 0 0 0 / RT) ( 6) 1 6 5 アル ミナセ ラ ミックス中の不純物元素の拡散 係数 はイオ ン半径 の大 きな酸素 イオ ンの自己拡散係数 [ 1 1 0 0 -1 5 0 0 o C] DTF 3 . 71・ 1 0 6e xp( I2 0 2 0 0 0 / RT) ( 7) この ようなアレニ ウス ・プロッ トの折れ曲が りは, 金属の場合 には相変態,秩序 ・無秩序変態 あるい は粒 界拡散 か ら体拡散への移行 に伴 って起 こることが認 め よ り大 きい と言われてお り,大石 ら6)が得た酸素 の 自 己拡散 よ り本研 究 で得 られ た Siお よび Tiの拡 散係 数の方が図の上 に位置 していることか ら,本研究で得 た値 は妥当である と考 え られ る. られている. また,セラ ミックスの場合 にはイ ン トリ 0 . 2 1 ンシックな欠陥が寄与 した拡散か らエ クス トリンシッ クな欠陥が寄与 した拡散への移行 に伴 って起 こること イン トリンシックな欠陥が寄与 した拡散か らエクス ト る温度 は 1 6 0 0 o C と本研究 の 1 1 0 0 o C に比 して高い6).こ アル ミナ中の自己拡散お よび異種元素の拡散 につい 5 . 4 ■ ■l て これ まで得 られ てい る結果6ト1 0 ) と本研究 の結果 と S n 体拡散への移行 に伴 って起 こった と考 えられ る. 0 . 4 ■ l れ らの ことか ら,Fi g.4の折 れ曲が りは粒界拡散 か ら 5 . 3 1 の自己拡散 において兄 いだされているが,移行が起 こ 1 3 0 0 8 CS a mp l e ー 1 5 0 0 ° C _ _ ▲ …1 5 5 0 ° C 0 ニウス ・プロ ッ トの折れ曲が りは, アル ミナ中の酸素 1 1 0 0 ℃s a mp l e ・ . ・ . . . 0- 1 5 0 0 ○ C ". a p 1 5 5 0 ○ C 0 3 1 リンシックな欠陥が寄与 した拡散への移行 に伴 うアレ (L ・ S NuJ U\0) 6 こu ap! J J ao D uO! J J .r Q ル ミナの相変態お よび秩序 ・無秩序変態 は存在 しない. 5 2 1 が知 られてい る5)・ 6 ) .本研究 の場合 ,1 1 0 0 o C付近 にはア をあわせて Fi g.5に示す. 本研 究 で得 た Siお よび Tiの拡散係 数 は,Le s age らl o )が得た Feお よび Crの拡散係数 よ り大 きな値 で 0 . 2 ある.一般 に, アル ミナ中においては陽イオ ンの拡散 0 0 0 1 02 Temper a t ur e/o C 1 5 0 0 1 0 0 0 7 0 0 4 0 . 3 0. M90c on t e n t/ma s s % Fi g.6 Re l at i ons hi pbe t we e ndi f f us i onc oe f f i c i e nt , 8 0fSii npr e par e dal umi nac e r ami c sand MgO c ont e nt .Si nt e r i ngwaspe r f or me dat 1 5 0 0 o C,1 5 5 0 c cand1 6 0 0 o C.Siwasdo pe dat l l O O o Cor1 3 0 0 o C. 1 0 3 1 5 3 1 0 4 1 5 4 ー 0 5 ,p Fi g.5 Ar r he ni uspl otf ordi f f us i oncoe f f i c i e nt o fvar i o use l e me nt si nc omme r c alal umi na. 1 l 0 . 5 0 . 6 0 . 7 0 . 8 0 . 9 1 . 0 1 . 1 Rec i pr oc al t emp er a t ur e,Tl/1 0-3 K1 5 2 0. 4 1 I ap1 ! 4aO D uO ! S nJ1!凸 Lt u ・ 1 5 7 0 0 0 2 3 1 o t ( TSN EU\0)6 0こ ua! 3 苧8 03uO! SnJ J ! 凸 2 1 B TS N ∈ DJ0) ( Temp er a t u r e/o C 1 4 0 01 3 0 01 1 0 0 9 0 0 1 4 0 . 5 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1/1 03K1 Rec j p r oc al t emp er a t u r e,T ,刀 Fi g.7 Ar r he ni uspl o tf ordi f f us i oncoe f f i c i e nt ofSii npr e par e dal umi nac e r ami c s . 1 6 6 内山休男 ・古津 誠 ・杉元雅則 ・小林和夫 ・羽坂雅之 3. 4 作製 したアル ミナ焼結体 中へ の Si原子 の拡 中島弘道氏 に感謝致 します. ー ノ 散 に及ぼす焼結体 の微細組織の効果 参考文献 MgO の添加量 と焼 結温度 を変 えて作製 したアル ミ ナ焼 結体 中への Si原子 の拡散 に対 して得 られた拡散 係数 と MgO の添加量 との関係 を,一例 として 1 3 0 0 o C 1)例 えば,若松 良徳,大西正 巳,鉄 と鋼 ,6 4( 1 9 7 8 ) , 2 2 1 5 .6 8( 1 9 8 2 ) ,1 8 0 8. 焼結体 について得 られた結果 を Fi g.6に示す.この焼 5( 1 9 8 6 )6 0 8 . 2)藤川辰一郎 :日本金属学会会報 ,2 結体 中の Si原子 の拡散 は,いずれの焼結温度 において 3) 羽坂雅之,古瀬辰治,渡辺哲也, 内山休男,古賀 も MgO の添加量,すなわち粒界相 の割合 の増加 に対 して一義的な関係 は認 め られなかった. また,アル ミ ナの粒度が見掛 けの拡散係数 に及 ぼす影響 も明 らかで そ こで,各焼結温度 について得 られた見か けの拡散 係数 を平均 した値 のアレこ ウス ・プロッ トを Fi g. 7に 示す.この場合 にも 1 1 0 0 ℃ を境 として拡散係数の温度 依存性が変化 していた. しか し,拡散係数 の値 自身 は, 市販 のアル ミナ焼結体 の場合 よ りも 1オーダー低 い値 であった.拡散係数 の高温側お よび低温側 の温度依存 ( 8) [ 1 1 0 0 1 4 0 0 o C] Ds. -1 . 0 2・ 1 02e xp( -1 1 1 0 0 0 / RT) ( 1 9 6 0 )4 8 0. E. Pal adi noandW. D.Ki nge r y:∫. ofChe m. 7)A. Phys . ,3 7( 1 9 6 2 )9 5 7 . ddyandA.R.Coope r:Am.Ce r a. 8)K.P.R.Re l . ,5 5( 1 9 7 6 )4 0 2 . Soc.Bul Ce r a.Soc. ,61( 1 9 8 0 )8 8 . [ 7 0 0 1 1 0 0 o C] Ds1-1 . 1 8・ 1 0 16e xp( -7 1 0 0 / RT) 6)Y. Oi s hiandW. D. Ki nge r y:∫. Che m. Phys . , 3 3 9)D.∫ .ReedandB.∫.Wuensch:∫.oft heAm. 性 を示す と,次式 の通 りで ある. ( 9) 言 SI MSを用 いてセラ ミックス中の異種原子 の拡散係 数 を求 める ことが 出来 るか否か をアル ミナ中の Siお よび Tiに拡散 について調べた.その結果,以下 の こと が明 らかになった. 1.SI MSを用いて深 さ方向の拡散種 の濃度 を測定す ることによ り,アル ミナ中の異種金属原子の不純物拡 散 に対 す る見掛 けの拡散係数 を求 め得 る. 2.拡散種 の濃度 は,試料表面近傍では種 々の原因で 試料 内部か ら予測 され る濃度か ら偏 るが,いずれの原 因 について も,拡散距離が十分 に長 い領域 か ら拡散係 数 を求 めることにより誤差 を回避 で きる. 3.\アル ミナ焼結体 への Si原子の拡散 は,焼結体 中の 粒界相 の割合や粒径 には大 き く依存 しない傾 向が認 め られた. 謝 研究報告書 ,( 1 9 9 2 ) . 5)安藤 健 :セラ ミックス,2 3( 1 9 8 8 )6 6 3 . はなかった. 4.緒 秀人 :長崎大学工学部研究報告,2 0( 1 9 9 0 )5 9. 4)羽坂 雅之, 内山休 男 :文 部 省 科学研 究費 補 助 金 辞 本研究 を行 うに当た り, アル ミナ焼結体 の作製 に協 力いただ くとともに,資金援助 を頂いた 日本 タングス テン㈱ な らびに同社 の関係各位 に感謝いた します. ま た,本研究 の基礎 となる研究 を行 って くれた江島和之 氏, 山本武氏 な らびに I MA 測定 に ご協力Ⅰ 頁きました 1 0 )B.Le s ageandA.M.Hunt z:Sc r i pt aMe t . ,1 4 ( 1 9 8 0 )1 1 4 3 .