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フィールドセンターニュース
秋田県立大学生物資源科学部附属フィールド教育研究センターニュース 第 39 号
2014 年 2 月 18 日
フィールドセンターニュース
http://www.akita-pu.ac.jp/bioresource/F-CENTER
〒010-0451 秋田県南秋田郡大潟村字大潟6番地 tel 0185-45-2858 fax 0185-45-2415
フィールド教育研究センターを利用した教育研究の紹介(3)
「排水不良地における堆肥の有効利用」
フィールド教育研究センター
准教授 伊藤 寛治
飼料用トウモロコシ栽培に牛糞尿堆肥を 10a 当たり3t程度投入していますが、堆肥の肥料効果は想定値より少ないよ
うに感じています。堆肥の肥料効率(堆肥肥料成分の植物に吸収される割合)は土壌の理化学性により変化する事が考え
られます。そこで、試験Ⅰとして、表2のように窒素(N)量は同じであるが、堆肥と化学肥料の割合を変えた場合の堆
肥施用量の違いにより、N 肥料効率はどのように変化するのかを調査した。試験Ⅱとして、最も植物の生育に適した最大
容水量の 50%土壌と排水不良地を想定した最大容水量 80%土壌における堆肥 N の肥料効率にどの程度の違いがあるのか
を調査し、八郎潟干拓地の排水不良土壌における堆肥の有効利用の一助とする知見を得るために行った。
八郎潟干拓地土壌は塩基置換容量が多く、塩基飽和度も 82%と理想的であったが、内訳は CaO が多く、特に MgO が
少なくミネラルがアンバランスであった(表1)
。硝酸態窒素、電気伝導率もそれぞれの改良目標値の 10~15、および 0.4
に比べ非常に少なく養分の少ない土壌であった。堆肥は N,P,K 成分が標準的な牛糞由来の堆肥と同程度であったが、土壌
と同様に MgO が少なかった。
試験Ⅰの化学肥料と堆肥の組み合わせを表2に示した。
なお、
堆肥のN肥料効率は30%
(化学肥料のN肥料効率を100%
と対比)として算出した。試験Ⅱでは表3に示す処理区分とし、小松菜の 100 ㎠のポットによる栽培試験を行った。
試験Ⅰの最大容水量が 50%の条件では、乾物収量は対照区を除き、堆肥と化学肥料の組み合わせの違いによる有意差が
みられなかったが、堆肥の割合が高まる程少なくなる傾向があった。N 吸収量は各処理区間毎におのおの有位差が認めら
れた(図1)
。各区の N 吸収量から土壌および化学肥料由来の N 吸収量を差し引き、堆肥単独の N 肥料効率を求めると、
堆肥少区では 45%、堆肥中区では 27%、堆肥多区では 15%と堆肥が多いほど N 肥料効率は低下した(図2)
。
試験Ⅱにおける小松菜の草丈、収量および N 吸収量は各処理区とも最大容水量 50%区が最大容水量 80%区より有意に
高く(多く)なった(図3)
。最大容水量 50%区の堆肥少区の N 肥料効率が最も高くなったが、これを 100 とすると最大
容水量 50%区では堆肥中区が 85、堆肥多区が 74 となり、最大容水量 80%区では堆肥少区が 54、堆肥中区が 35、堆肥多
区が 25 と低くなった(図4)
。つまり、最大容水量 80%区の堆肥の N 利用効率は最大容水量 50%区の 54%~33%に抑
制されることから、排水不良地ではこの低下分を見越した施肥設計を行う必要があると判断された。
秋田県立大学生物資源科学部附属フィールド教育研究センターニュース 第39号
2014年 2 月18 日
「地域交流室 便り」 vol 36
地域交流では、幼・保育園の見学や体験、小・中学校の体験学習の受入を積極的に推進し
ている。1 月現在の見学・協力依頼は 22 団体で、幼・保育園 339 人、小・中学校 310 人、
一般 399 人、合わせて 1,048 人がフィールドセンターで見学や研修(体験)を行っている。
総合学習で「米作り」を体験した大潟小学校や食育の一環として田植えや収穫を体験した飯
島幼稚園、能代第四小学校は遠足で利用している。水田公園は歴史を学び、小さな生き物や
浄化植物の観察を通して人と田んぼとの係わりに気づいたり、発見したりする場となってい
る。また、動物との触れ合いが少なくなっている園児や児童にとって、目の前で動く姿を観
察したり餌やりをしたりすることは貴重な体験となっているようです。
地域交流この1年
「恋するフォーチュンクッキー」の制作秘話?
県立大学アグリビジネス学科とフィールド教育研究センターの良さを PR したい想いから AKB48 の『恋するフォーチ
ュンクッキー』の動画を企画。11 月から撮影し、学生・大潟 CP・FC の教職員や山羊まで含め約 110 人が係わった。自
らの撮影と各学生からスマホでデータを送って頂く手法で編集。多くの教職員に出演して頂くため企画内容を説明したと
ころ、時には断られ難航しましたが、多くの方は積極的に賛同してくれた。そして、見て・楽しいと思える動画をアグリ
ビジネス学科3年 森 美穂さんの協力で完成させ、大潟 CP 事務職員や秋田県立大学企画本部、副理事長に試聴してい
ただき、1 月 8 日 YouTube に動画がアップロードされた。2 月 17 日現在で 4,952 回の再生回数となっています。この動
画は本校の特徴を、受験生に伝えにくい「実践教育の強さ」やプロジェクト活動、本校の明るい学生を視聴者へ伝えるき
っかけになることを期待し、再生回数が 10,000 回を越えることを願っています。<アグリビジネス学科 3 年:甲野恵美>
子牛の誕生ラッシュ
日本短角種牛の子牛が年末2頭、1月末まで3頭、合わせ
て5頭が自然分娩で生まれた。写真は朝生まれたばかりの子
牛の様子。まれに分娩時に介助が必要なこともあり、ストレ
ス低減と安全確保するため分娩房を改修した。今後はこの分
娩房を利用して出産させる。母牛の子育て放棄の場合も人や
哺乳ロボットのミルク投与で対応し65日後には育成牛として
放牧されます。
はコープあきた(茨島店)見学
1 月 27 日(月)
、主婦の目線での意見や改善提案のため、旧農業短大 OB の
永澤店長も同行し 26 名が訪問。アグリ学科 吉田康徳准教授が当大学は地域
貢献・地域交流を含めた開かれた大学であり、大学が情報開示することで消費
に者の信頼につながっていると挨拶。地域交流担当から施設概要説明後、園芸温
室の温度や日照を制御する自動灌水装置を見学してもらう。開花中のプリムラ
や卒業式に飾るサイネリア鉢花、コープあきたに出荷している『ふじ』以外の
リンゴ品種や面積についての質問があった。後日、永澤店長から「参加者も満
足していた。大変有意義な店舗運営委員会となりました。
」とお礼を頂きました。
は「村の先生」
ありがとう集会
2 月 13 日(木)
、大潟小学校『村の先生ありがとう集会』に地域の方々と一緒に招かれ、
「一年間お
米のことについて学習できました」と感謝状を授与されました。
編集後記: 2 月は県内でも雪の行事がたくさんあるが、なんと言っても冬季オリンピックでの選手の活躍が気になる。感
動の陰にはアスリートとしての長く厳しい鍛錬の日々があり、新聞に目を通してはまた感動している。さて、プレッシャ
ーと戦いながら(?)の地域交流便りも、今年度の最終便りとなりました。
ご協力ありがとうございました。
地域交流班:渡邊良一
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