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2010年度 ゲーム理論入門 中間試験[2010/6/9(水)] 解答例

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2010年度 ゲーム理論入門 中間試験[2010/6/9(水)] 解答例
《ゲーム理論入門、中間試験・解答例 2010.06.09》
p.1/2
2010年度 ゲーム理論入門
中間試験[2010/6/9(水)] 解答例
以下に解答例を書いておきます。
この解答に不備があると考える場合は、6月16日までに高木にお伝えください。確認の上善処します。
高木の連絡先:[email protected]
問1:次の(1)~(5)の用語を解説しなさい。(各5点、計25点)
(1) 無差別(indifference)
2つの対象(aとb)間の選好関係を f で表すとして、「a f b かつ b fa」であるとき、aとbは無差
~
~
~
別である。つまり選好の程度が同じであること。
(2) 聖ペテルスブルグのパラドックス
コイン投げをしてn回目ではじめて表が出れば2nの金額がもらえるという選択肢の金額期待値が
無限大になるにもかかわらず、現実にはこの選択肢が選ばれそうにない、というパラドックス。ベル
ヌイは効用関数が対数関数であればこのパラドックスは解消するという回答を出した。
(3) リスク回避型の効用関数
上に凸である効用関数のこと。富の期待値の効用が期待効用より高い場合。この効用関数を持つ行
動主体は、リスクを回避する選択をする。
(4) 正1次変換
次の式によって x → x’ と変換する方法。
x’ = ax + b, a, b は定数で、a > 0.
(5) 同時手番
すべてのプレイヤーが同時に行動を選択して結果が出るようなゲームの形式。逐次手番との対語。
多くの戦略形ゲームは同時手番を仮定している。
問2:3人のプレイヤーがそれぞれ、3つの選択対象(a, b, c)に次のような選好を持つと仮定す
る。
プレイヤー1:a f b f c
プレイヤー2:b f c f a
プレイヤー3:c f a f b
この3人が集団を作り、次のようにして「集団の選好」を決めることにしたとする。
「選択対象の2つを比較し、3人のメンバーの多数派の選好を集団の選好とする」
この「集団の選好」が3つの選択対象(a, b, c)への判断において完備性と推移性を満たすかどう
かを説明しなさい。(25点)
【解答例】結論からいえば、完備性は満たすが推移性は満たさない。
上記の3人の選好から次のように言える。
→ a f b
aとbの比較 → b f c
bとcの比較 → c f a
cとaの比較 従って、完備性は満たされるが、推移性は破られる。
《ゲーム理論入門、中間試験・解答例 2010.06.09》
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問3:金額 x 万円に対する効用関数を u(x) = √x とする。「確率1/2で100万円得るが、確率1/2で何
も得られない」意思決定者が、「確実に50万円を得る」権利を得るために、いくらまでなら払うと考え
られるか、説明しなさい。(25点)
【解答例】
「確率1/2で100万円得るが、確率1/2で何も得られない」ときの期待効用は 1/2√100 + 1/2√0 = 5 = √
25であるから、「25万円を確実にもらえる」ことと同じ効用水準である。「確実に50万円を得る」権
利を得るためには50-25=25万円まで支払う余地があると考えらえる。
問4:ある男女が右の利得行列のような「男性と女性の争い」をしてい
るとしよう。この男女は、一緒に海か山に行けば楽しい(利得が高い)
が、別々に出かけることになると利得が低い。しかし海は男性にとって
有利な選択であり、山は女性にとってうれしい選択である、とする。
右の利得行列で表されるゲームで、男性、女性の最適応答は何か、お
よびナッシュ均衡点が何かを説明しなさい。(25点)
海
海
男
性山
3
0
女性
2
0
山
0
2
0
3
【解答例】
男性が海を選ぶ確率を x、山を選ぶ確率を 1-x、女性が海を選ぶ確率
を y、山を選ぶ確率ヲ 1-yとおく。このとき、男性の期待利
得は、
女性の
3xy + 2(1-x)(1-y) = x(5y-2) + 2(1-y)
最適応答
3/5
であるから、男性の最適応答x*は次のように表せる。
1.0
*
x = 0 if y</2/5
x* = なんでもよい if y = 2/5
y
x* = 1 if y > 2/5
同様に、女性の期待利得は、
2xy + 3(1-x)(1-y) = y(5x-3) + 3(1-x)
男性の 2/5
であるから、女性の最適応答y*は次のように表せる。
最適応答
y* = 0 if x</3/5
1.0
y* = なんでもよい if x = 3/5
0
x
y* = 1 if x > 3/5
この男女の最適応答を図示すると右図のようになる。
このとき、純戦略による2つのナッシュ均衡点(x*=1,y*=1)、(x*=0, y*=0)と、1つの混合戦略によるナ
ッシュ均衡点(x*=3/5, y*=2/5)があることが分かる。
[以上]
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