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日本の二大政党制が本格化すると
経済政策に
どのような影響を与えるか
同志社大学政策学部 田中宏樹ゼミ Bパート
福田・井尻・金井・中江・嶋岡
1
フローチャート
現状分析
「日本は二大政党制化しつつある」
二大政党制の定義と日本の現状
中位投票者定理
の立証
政策の収束をめぐる理論とその実際
「日本において、政策は収束していない」
主成分分析による考察
仮説&実証分析
政策の差異と投票行動
「選挙公報の質が高まることは、
有権者の投票行動に影響を与えない」
有権者の投票基準に関する実証分析
政策提言
「有権者の投票行動に影響を与える」
Specific,Familiar,Reliable政策の提言
2
現状分析
1-1 二大政党制の定義
<日本の二大政党制の定義>
G.Sartori
加藤(2005)
「二つの政党間で
政権交代の可能性があること」
・得票率の差が小さい
・得票率二党合計値が高い
3
現状分析
1-2 小選挙区制の導入
<小選挙区制の導入>
デュベルジェの法則
①自動機械的要因
有力政党に票が集中
②心理的要因
二大政党制に近づく
4
現状分析
1-3 得票率の推移
自民党・民主党得票率の推移(小選挙区)
自民党
得票率(%)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
民主党
二党の合計
80%超
1996年10月
2000年6月
2003年11月
2005年9月
総務省HPより作成
5
現状分析
1-3 得票率の推移
自民党・民主党得票率の推移(比例代表)
得票率(%)
自民党
民主党
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
二党の合計
民主党が自民党を上回る
1996年10月
2000年6月
2003年11月
2005年9月
総務省HPより作成
6
現状分析
1-4 日本の二大政党制化
小選挙区の導入
+
得票率の拮抗
日本は
二大政党制化しつつある
7
フローチャート
現状分析
「日本は二大政党制化しつつある」
二大政党制の定義と日本の現状
政策の収束をめぐる理論とその実際
先行研究の整理
仮説&実証分析
政策提言
主成分分析による考察
政策の差異と投票行動
有権者の投票基準に関する実証分析
Specific,Familiar,Reliable政策の提言
8
先行研究の整理
2-1 政党の行動
中位投票者定理
二大政党制化後
自民党の政策 民主党の政策
二大政党制化すれば
政策が収束していく
安定的・支配的な社会的決定点
9
先行研究の整理
2-2 仮説の設定
では、現在の日本において、
・中位投票者定理はあてはまるのか?
・政策は収束するのか?
主成分分析
10
先行研究の整理
2-3 分析手法
データ 2005年衆院選 主要5政党のマニフェスト
97項目
社会保障等
社会保障費
教育・文化
健康的な生活
財政
地方分権等
経済等
農林水産
治安・防災
介護保険
教育基本法
幼児教育
義務教育
・・・
行政改革
医療制度改革
・・・
自民党
マニフェスト
8分野
11
先行研究の整理
2-3 分析手法
民主
公明
自民党
政策
社民
共産
同じ = 0点
記載がない、判断できない = 1点
違う = 2点
12
先行研究の整理
2-3 分析手法
社会保障等
サラリーマン年金一元化
自民
『一元化推進』
民主
『全ての年金を一元化 』
公明
違う
『厚生年金と共済年金の
同じ
統合を推進 』
2点
0点
13
先行研究の整理
2-3 分析手法
自民党 民主党 公明党 社会党 共産党
項目
97
社会保障の国民負担
0
1
1
1
1
健康的な生活
0
1
0
1
1
医療制度改革の断行
0
1
0
0
2
介護保険
0
1
0
1
1
(年金)国庫支出金
0
0
1
1
1
(年金)サラリーマン
年金一元化
0
・
・
・
・
主成分分析
2
0
2
1
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
14
・
先行研究の整理
2-4 分析結果
第一主成分
15.0
自民党と4政党の政策距離
10.0
民主党
5.0
共産党
社民党
0.0
公明党
-5.0
-10.0
民主党
18.76
公明党
15.18
社民党
17.08
共産党
18.11
自民党
-15.0
第二主成分 15
-15.0
-10.0
-5.0
0.0
5.0
10.0
15.0
フローチャート
現状分析
中位投票者定理
の立証
仮説&実証分析
政策提言
「日本は二大政党制化しつつある」
二大政党制の定義と日本の現状
政策の収束をめぐる理論とその実際
「日本において、政策は収束していない」
主成分分析による考察
政策の差異と投票行動
有権者の投票基準に関する実証分析
Specific,Familiar,Reliable政策の提言
16
仮説&実証分析
3-1 仮説の設定
二大政党制化
公
報
自民党
民主党
政策
政策
マニフェスト
マニフェスト
公
報
公
報
公
報
公
報
公
報
公
報
公
報
公
報
マニフェスト・選挙公報は有権者が政策を知る手段
公
報
17
仮説&実証分析
3-1 仮説の設定
<有権者の判断基準>
・候補者の人柄?
政策が・・・
・政党の好き嫌い? ・詳しく記載されているか
・理解しやすいか
・政策の質の高さ?
・地元に有利な政策?
仮説
「有権者は選挙の際に
政策の質が高い候補者に投票する」
18
仮説&実証分析
3-2 分析手法
分析対象
2005年衆院選300小選挙区のデータ
モデル式
Yi = α1 + β1 X 1i + β 2 X 2i + β 3 X 3i + β 4 X 4i + β 5 X 5i + Ui
サンプル数
自民党、民主党が両方出ている280選挙区
19
仮説&実証分析
3-2 分析手法
Yi = α 1 + β 1 X 1 i + β 2 X 2 i + β 3 X 3 i + β 4 X 4 i + β 5 X 5 i + Ui
Y =得票率差
X1 =公報の質の差
(+)
X 2 =都市化度
(-)
X 3 =当選回数差
(+)
X 4 =利益誘導型政策の差
(+)
X 5 =造反選挙区ダミー
(+)
20
仮説&実証分析
3-3 分析結果
公報の質の差
都市化度
当選回数の差
公報をより具体的に
詳しく作成することは、
係数
t値
得票に結びつかない
0.001263 1.26688
P値
-8E-05
0.206278
-0.28248 0.777788
0.017586
8.502345 1.23E-15
利益誘導型政策の差 0.00111
-0.32597 0.744696
有権者は
造反選挙区ダミー当選回数の多い候補者に
-0.02028 -0.75253 0.452379
定数項
0.109036
5.236607 3.27E-07
投票している
21
仮説&実証分析
3-4 分析結果の考察
回帰分析
選挙公報の質が高まることは、
有権者の投票行動に影響を与えない
(仮説) 「有権者は選挙の際に
立証されなかった
政策の質が高い候補者に投票する」
政策を参考に投票していない
22
仮説&実証分析
3-4 分析結果の考察
経済政策決定プロセス
有権者
経済政策
マニフェスト
政党
政党
23
現在の日本で二大政党制が本格化しても経済政策に影響を与えることはない
フローチャート
現状分析
「日本は二大政党制化しつつある」
二大政党制の定義と日本の現状
中位投票者定理
の立証
政策の収束をめぐる理論とその実際
「日本において、政策は収束していない」
主成分分析による考察
仮説&実証分析
政策の差異と投票行動
「選挙公報の質が高まることは、
有権者の投票行動に影響を与えない」
有権者の投票基準に関する実証分析
政策提言
Specific,Familiar,Reliable政策の提言
24
政策提言
問題の原因
「選挙公報の質が高まることは、
有権者の投票行動に影響を与えない」
質の高い経済政策を打ち出しても
有権者には伝わらない
原因①
原因②
マニフェスト・選挙公報が具体的でない
有権者がマニフェストを見るチャンスがない
原因③ 有権者がマニフェスト・選挙公報を信用できない
25
政策提言
原因① no specific
マニフェスト・選挙公報が具体的でないため、
有権者は内容を理解しづらく、見ていない
<選挙公報・マニフェスト>
・政党、候補者が独自に作成
・内容やページ数についての規定なし
マニフェストをSMART基準で分析
26
政策提言
原因① no specific
SMART基準…体裁を定量化
①具体性
②測定可能性
③実現可能性
④適切性
⑤期限明示
自民党
160点/450
25点満点で採点
合計450点
民主党
285点/450
27
政策提言
提言1 Specific manifesto政策
マニフェスト・選挙公報に数値目標や
達成期間などを盛り込むことを義務化!
有権者は候補者の具体的な政策の内容を
知ることができる!
有権者が政策内容で
投票を行うようになる!!
28
政策提言
原因② no chance
マニフェスト・選挙公報を見ることができないため、
有権者がマニフェストを参考にできない
<公職選挙法第142条2の2項>
マニフェストの
配置場所が
限定
・選挙事務所内
・政党演説会
・会場
・街頭演説
気軽にマニフェストを
入手できない
29
政策提言
提言2 Familiar manifesto政策
142条を法改正し、配布場所を増やす!
・コンビニエンスストア
・都道府県、市町村の役場
・許可された会社
・全国の公立学校
・許可された私立学校
・フリーペーパーに折り込む
マニフェスト・選挙公報を見るチャンスが増え、
有権者は投票の際、参考にしやすくなる!
30
政策提言
原因③ no trust
マニフェスト・選挙公報を信用していないため、
有権者がマニフェストを参考にしない
マニフェストどおりに政策が
実施される保証がない
有権者がマニフェストを
見るはずがない
31
政策提言
提言3 Reliable manifesto政策
<マニフェスト評価機関>
自己評価
+
他者評価
二種類の評価を
盛り込む
政党・候補者以外が評価
政策を出した政党・候補者が自ら評価
自己評価と他者評価のギャップにより
評価の論点を明確化
マニフェストへの信用を高め、
有権者が投票の際、参考にするようになる!
32
政策提言
まとめ
Specific
manifesto
Familiar
manifesto
Reliable
manifesto
3つすべてを実行する
有権者が政策を見て投票するようになる
二大政党制の本格化が
経済政策に
なんらかの影響を与える
33
参考文献・URL
《書籍》
•
井堀利宏(2005) 『ゼミナール公共経済学入門』 日本経済新聞社
•
井堀利宏・土居丈朗(1998)『日本政治の経済分析』 木繹社
•
加藤秀治郎(2005)『日本政治の座標軸:小選挙区導入以後の政治課
題』一藝社
•
川人貞史・吉野孝・平野浩・加藤淳子(2001)『現代の政党と選挙』
有斐閣アルマ
•
北坂真一(2006)『経済政策を担う人々 官の構造改革』 日本評論社
•
小林良彰(1991)『現代日本の選挙』 東京大学出版会
•
小林良彰(1997)『現代日本の政治過程 日本型民主主義の計量分析』
東京大学出版会
•
田中善一郎(2005)『日本の総選挙1946-2003』 東京大学出版会
•
村川一郎(1996)『政党学-その理論と実際についての研究』
第一法規出版株式会社
《論文》
•
Sartori, G. (1976), Parties and party systems : a framework for analysis,
New York, Cambridge University Press
•
(岡沢憲芙 川野秀之訳(1992)『現代政党学:政党システム論の分析
枠組み』
早稲田大学出版部)
•
今井 亮佑(2006)「小選挙区比例代表制―小選挙区における得票構
造」
『ジュリスト』 第1311号:pp.36‐47
•
河相俊之(1993)「簡単な二大政党景気循環モデル」
『彦根論業』11月号:pp.277‐289
•
蒲島郁夫・菅原琢(2005)
「2005年総選挙分析--自民党圧勝の構図 地方の刺客が呼んだ「都市
の蜂起」」
『中央公論』11月号:pp.108‐118
•
株式会社日本総合研究所調査部 経済・社会政策研究センター
「自民・民主両党のマニフェスト比較-SMART基準からの評価分析
-」
http://www.jri.co.jp/press/2003/1024-2.pdf
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
川人貞史(2004)「二大政党化進んだが、勝者は公明か」
『論座』 1月号:pp.104‐111
北岡伸一(2004)「二大政党制への歩みを歓迎する」
『中央公論』 1月号:pp.78‐88
久下沼仁笥(2003)
「国際労働力移動の公的年金制度への効果―中位投票者モデルによ
る理論分析」
『京都学園大学経済学部論文集』 第13巻2号:pp.55‐73
品田 裕(1998)「選挙公約データについて」
『神戸法学雑誌』 第48号2巻:pp.541‐572
曽根泰教(2005)「政権掌握か再構築か、野党の壁を突破できるか」
『中央公論』 10月号:pp.70‐77
田中廣滋(1995)「財政規模と税負担率の同時決定と中位投票者理論」
『経済学論纂』 第36巻4号:pp.211‐230
堤 英敬(2006)「選挙競争環境と候補者の政策的主張」
2006年公共選択学会報告論文
西尾真治(2004)
「ローカル・マニフェストにおける評価とマニフェスト・サイクル」
『UFJ Institute REPORT』 Vol.10 No.1
http://www.murc.jp/report/ufj_report/1001/51.pdf
松本 淳(2006)「国政選挙における選挙公約と候補者」
―「投票率」と規定要因としての「政策差異の実証分析」―
2006年公共選択学会報告論文
三宅一郎(2001)
「「小選挙区制は二大政党制に有利に働くか?」ふたつの実証分析」
『関西大学総合情報学部紀要』 第15号:pp.25‐31
34
参考文献・URL
《資料》
• 2005年マニフェスト
• 自民党http://manifesto.mag.keio.ac.jp/archive/J2005jimin.pdf
• 民主党http://www.dpj.or.jp/seisaku/sogo/image/BOX_SG0062_kakuron.pdf
• 共産党http://www.jcp.or.jp/seisaku/2005/20050811_syuin_seisaku.pdf
• 社民党http://www5.sdp.or.jp/central/topics/44syuin/seisaku/seisaku2005.html
• 公明党http://www.komei.or.jp/manifest/index.html
• 47都道府県300小選挙区選挙公報
• 菅原琢『2003年衆議院議員選挙分析』
• http://freett.com/sugawara_taku/data/2003did.html(2006/8/31)
• asahi.com『2005総選挙』 http://www2.asahi.com/senkyo2005/(2006/8/29)
• 総務省http://www.soumu.go.jp/index.html
• 統計局http://www.stat.go.jp/
• 曽根研究室Online http://www.pac.sfc.keio.ac.jp/sone-lab
• 21世紀臨調http://www.secj.jp/
• 法庫http://www.houko.com/00/01/S25/100.HTM
35
ご清聴
ありがとうございました。
36
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