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[成果情報名]搾乳牛におけるフリーバーンのふん尿・床管理の実態

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[成果情報名]搾乳牛におけるフリーバーンのふん尿・床管理の実態
[成果情報名]搾乳牛におけるフリーバーンのふん尿・床管理の実態
[要約]床と通路へのふん尿負荷量は排泄量の 11~30%, 70~89%である。床と通路ふん尿の水
分含量は 67, 84%程度であって、床は堆肥化処理、通路ふん尿はセミソリッド処理となる。床
占有面積が小さい場合は床の除ふんと敷料増で、大きい場合は敷料量の増減で床が維持・管理
されている。フリーバーン方式では敷料費が多い。
[キーワード]フリーバーン、ふん尿管理、床管理、ふん尿フロー、家畜ふん尿
[担当]道立畜試・環境草地部・畜産環境科
[連絡先]電話01566-4-0622、電子メール[email protected]
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
フリーバーン(FB)での搾乳牛の飼養方式が道内でも導入されている。FBでは、ふん尿による
牛体汚染を防ぐための床管理、そしてふん尿管理がポイントとなるが、これらについての情報
は乏しい。そこで、現地調査の中で、FBのふん尿フローを明らかにするとともに、ふん尿・床
管理に関する実態、留意点を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1.FB は敷料を敷き詰めた床と通路、飼槽から構成され、ふん尿は床と通路へ排泄される。
床への排ふん割合は排泄量の 30%であり、床の除ふんをしている農場では 8%で除ふんによ
り 22%のふん量が低減するが、その分通路のふん尿が増す。床への排尿割合は排泄量の
23~30%である。FB 床の平均水分含量は 67%であって、床で排泄されたふん尿は床搬出後に
堆肥化処理となる(表1)。
2.通路に排泄されるふん尿の水分含量は 84%であって、床の除ふんの有無によって異なるが、
排泄量の 70~89%の大量のふん尿がセミソリッド処理となるので(表1)、充分な貯留容量を
確保するなど、流出防止のための適切な管理が必要である。
3.床管理の方策として敷料追加、床除ふん、床更新、表層除去があげられる。FB 農場の半
数が床の除ふんを行っており、床管理労力は除ふん有りが無しの 3.8 倍である(表2)。
4.牛体汚れ度を指標として床管理状況をみると、汚れ度のとりわけ高い1農場(F農場)を
除いてはいずれも汚れ度は低く、床管理がおおむね良好であると判断される。床水分、牛体
汚れ度はF農場は 74%, 1.6 と最も高く、他農場の平均は 66%, 0.2 である(図 1)。
5.床管理の要因である床専有面積と床管理労力、敷料量の間には負の相関がみられる。すな
わち、床占有面積が小さい場合は労力、敷料を増して床を管理している(図 2,3)。
6.FB の床占有面積は 4.1~13.4m2 /頭であって、面積が小さい場合に床の除ふんが行われて
いて、ふん尿負荷を低減している。床除ふんの採用は6m 2 /頭以下が目安となる。これより
大きい場合は、面積に対応した敷料量の増減で床が管理されている(図 2,3)。
7.F農場の床専有面積は 4.1m 2 /頭で調査事例中最も高いが、床の除ふん、表層除去、床更新
は行われていない。他農場の推定ふん尿負荷量は 0.5~0.8 トン/m 2 ・年の間にあるが、F農場は
1.6 トン/m 2 ・年であって、床除ふんの採用により 0.7 トン/m2 ・年に低減できる。他農場の床の平
均水分 66%まで低下させるには敷料量は約4割増になる。
8.床の中・下部の窒素、ミネラル含量から、ふん尿成分の床内部への浸透がうかがわれ、FB
導入に際しては床底部に不浸透性資材を用いることが望ましい。
9.FB はつなぎやフリーストールと比べて、1頭当たりの占有面積は大きく、畜舎内のふん
尿管理労力は少なく、敷料費は数倍多いことがうかがわれる。FB の1頭当たりの年間ふん
尿管理費は 19 千円∼51 千円であるが、そのほぼ 80%以上を敷料費が占めている。
平成 15 年度北海道農業試験(成績会議)における課題名および区分
課題名:搾乳牛におけるフリーバーンのふん尿・床管理(指導参考)
[成果の活用面・留意点]
1.FB 農場、あるいはこれから FB 導入を考えている農場のふん尿・床管理の参考となる。
2.FB では敷料の安定的確保が前提となる。
3.通路に排泄されるセミソリッドふん尿の処理について今後検討が必要である。
75
3 .0
F農 場
2 .5
70
2 .0
F農 場
65
1 .5
60
汚れ度
床水分(%)
表 1 床 へ の 排 ふ ん ・排 尿 割 合 と床 ・通 路 へ の ふ ん 尿 負 荷 割 合 (% )
A農 場
D農場
床排ふん割合
30
30
床 除 ふ ん率
0
75
床正味ふん負荷割合
30
8
床排尿割合
23
30
ふ ん 尿 負 荷 割 合 ・床
30
11
・通 路
70
89
水 分 含 量 * ・床
67
・通 路 ふ ん 尿
84
A農 場 :床 除 ふ ん 無 し D 農 場 :床 除 ふ ん 有 り
*
10農 場 の 平 均
1 .0
55
0 .5
50
0 .0
床水分
牛体汚れ度
図 1 牛 体 汚 れ 度 、床 水 分 含 量
8
6
4
2
F
床 除 ふ ん 無 し (5 戸 )
実施
作業時間
農 場 数 (時 間 / 頭 ・ 年 )
床 除 ふ ん 有 り (5 戸 )
実施
作業時間
農 場 数 (時 間 / 頭 ・ 年 )
0
1
2
2
5
5
0
0 .6
0 .6
0 .2
1 .1
1 .5
5
0
2
4
5
5
4 .9
0
0 .1
0 .1
0 .7
5 .7
5
5
1 .8
3 .3
5
5
1 .0
6 .6
3
r = - 0 .7 2 4 ( p< 0 .0 5 )
敷料量(トン/頭・年)
床管理労力(時間/頭・年)
表 2 床 ・ふ ん 尿 の 管 理 内 容 と そ の 労 力
全 体 (1 0 戸 )
実施
作業時間
作業内容
作業頻度
農場数
(時 間 / 頭 ・ 年 )
床管理
除ふん
毎日
5
4 .9
床ならし
毎日
1
0 .6
表層除去
1∼ 8カ月
4
0 .3
更新
6∼ 12カ月
6
0 .1
敷料追加
1∼ 7日
10
0 .9
床 管 理 労 力 ・計
10
3 .6
その他
通路除ふん
1∼ 7日
10
1 .4
ふ ん 尿 管 理 労 力 ・計
10
5
* 作 業 時 間 は 実 施 農 場 の 平 均 r=-0.616(p<0.1)
F
2
1
0
0
0
5
10
2
床専有面積(m /頭)
15
◆ 床除ふん無し
□ 床除ふん有り
図 2 床 占 有 面 積 と床 管 理 労 力 の 関 連
0
5
10
2
床専有面積(m /頭)
15
◆ 床除ふん無し
□ 床除ふん有り
図3 床占有面積と敷料量の関連
[その他]
研究課題名:乳牛・肉牛におけるバイオベッド(発酵床)方式の実規模実証
予算区分:道費
研究期間:1999~2003 年度
研究担当者:阿部英則、吉田 悟、田村 忠、渡部 敢、湊 啓子、平井綱雄、谷川珠子
浦谷孝義(十勝農試)
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