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和解で終わらぬ水俣病 シンポジウムアピール

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和解で終わらぬ水俣病 シンポジウムアピール
なぜ先にチッソの分社化救済か?
和解で終わらぬ水俣病 シンポジウムアピール
国の水俣病責任を認めた六年前の最高裁判決以降、不知火海沿岸では四万人近くの未認定患者の存在
が明らかとなり、第二次政治決着や司法和解が今春から始まっていますが、その全容はまだ公になって
いません。そして、いくつもの訴訟が継続し、その背後には未認定・潜在患者の問題がなおも広がって
います。
胎児性をはじめとする認定患者の生活をめぐる問題も、患者自身や家族の高齢化とともに切迫の度を
増しています。私たちはこれらの現実を、本日のシンポジウムで、現地からの切実な報告として受けと
めました。
そんな中、水俣病の原因者・チッソの分社化を進める手続きばかりが、国・環境省との緻密な連携の
もと加速度的に進行し、近々にもチッソが環境大臣に特措法八条による事業再編計画の認可申請をし
かねない状況となってきました。患者の認定申請は、処分まで数年も十数年も待たされることが通例
なのに、あまりに不公平な「速さ」ではありませんか。
昨日まで、二週間限定・たった数千字で、計画案について会社によるパブリックコメント募集がな
されましたが、私達は、以下の理由でこの計画案に賛同できません。
・第二次政治決着と司法和解が5月から始まったばかりで、被害者数や賠償総額の全貌はまだ見えてい
ないこと。その間、新会社設立などの動きは控えるべきです。今般の一時金には国の全額融資があり、
チッソ経営を直撃するわけではありません。
・計画に「チッソが最後まで持株会社を貫く」と書いていないこと。チッソの清算消滅が許されないこと
に加え、事業会社についても、補償財源から切り離すことは容認できません。
・水俣の患者・住民に、このパブリックコメント方式はなじみがないこと。患者団体はもとより、熊本県
知事、水俣市長や県議会・市議会にもチッソの責任者が足を運び、直接話を聞くべきです。
・チッソ後藤舜吉会長が社内誌で「水俣病の桎梏からの解放」を謳って環境大臣から注意を受けてから、
一年も経っていないこと。水俣病問題からの撤退を急いでいるかに見える拙速な対応は、チッソや環境
省の信用にもかかわります。
水俣病がここまで拡大し、また多くの住民や被害者の不信を深めた原因の一つに、行政やチッソに
よる「情報の隠蔽・不開示」があります(ひどい時は嘘の情報発信もありましたが)
。過ちを繰り返さ
ないと言うなら、技術的企業秘密以外の一切の情報を開示し、患者・関係者と十分認識を共有しなが
ら事に当たるべきです。そのことを、チッソ及び国・環境省に強く訴えて、メッセージといたします。
二〇一〇年一一月三日
なぜ先にチッソの分社化か? 和解で終わらぬ水俣病シンポジウム 参加者一同
(呼びかけ チッソと国の水俣病責任を問うシンポジウム実行委員会
代表 鷹取良典
事務局 久保田好生 )
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