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1 - 大泉ほんだクリニック
大泉ほんだクリニック 本田 和也 過活動膀胱(OverActive Bladder : OAB)とは 膀胱が過敏な病気である!! 尿意切迫感を必須症状とし、切迫性尿失禁の有無 は問わない。 通常頻尿や夜間頻尿を伴なう。 (国際尿禁制学会, 2002年) ◎尿意切迫感 ○頻尿・夜間頻尿・切迫性尿失禁 上記症状があれば過活動膀胱 症状だけで診断できる 1 尿意切迫感 必須症状 我慢することが困難な、 どうにもならない強い尿意が急に起こる (水の音・手洗いなどで誘発されることもある) 正常人が感ずる最大尿意とは異なる (通常我慢はできる) がまんできない!! 2 頻尿(夜間頻尿) トイレに何回も行くこと 通常1日8回以上、 夜間1回以上 困っているかどうかが重要 3 切迫性尿失禁 尿意切迫感に続き、我慢して いても トイレまで行く前に尿 が漏れてしまう 腹圧性尿失禁 咳 笑う 笑 くしゃみ くし 走る 重い物を 持ち上げる る 坂道を下る (%) 40 男 37.7 女 36.3 35 25 過活動膀胱の条件 排尿回数 1日8回以上 かつ 尿意切迫感 週1回以上 20 有病率:全体の12.4% 15 (8人に1人) 30 10 5 0 18.6 14.9 9.5 8.4 5.1 5.4 40~49 50~59 4.3 26.3 60~69 70~79 80≦ (歳) 本間之夫 他:日本排尿機能学会誌.14(2):266,2003. 男性、女性ともに年齢とともに有病率が上昇している 40歳以上人口 6,640万人(2002年現在) 87.6% 12.4% 過活動膀胱 810万人 本間之夫 他:日本排尿機能学会誌.14(2):266,2003. 日本全国で810万人がOAB症状を持っていることが推測されている 過活動膀胱症状がある者の受診率 男性 36.4% 女性 7.7% 全体 22.7% 年のせいとあきらめたり、尿もれという羞恥心から多くの 方は医師に相談しない。(特に女性) 男性は排尿困難など前立腺肥大症の症状を合併すること が多いため比較的受診している。 過活動膀胱スクリーニング質問票 以下のような症状がありますか? ●尿をする回数が多い(頻尿) ●急に尿がしたくなって、がまんが難しいことがある (尿意切迫感) ●がまんできずに尿をもらすことがある(切迫性尿失禁) 上の症状が1つ以上ある人は過活動膀胱の可能性があります。 過活動膀胱症状質問票 以下の症状がどれくらいの 頻度でありましたか。この 1週間のあなたの状態に最 も近いものを、ひとつだけ 選んで、点数の数字を○で 囲んで下さい。 尿意切迫感: 週に1回以上 かつ合計点数が3点以上 過活動膀胱 質問 症状 1 朝起きたら寝る時までに、何回くらい尿をし ましたか 2 夜寝てから朝起きるまでに、何回くらい尿 をするために起きましたか 3 急に尿がしたくなり、がまんが難しいことが がまんが難しいことが ありましたか (頻尿) (夜間頻尿) (尿意切迫感) 4 急に尿がしたくなり、がまんできずに尿をも らすことがありましたか (切迫性尿失禁) 合計点数 点数 頻度 0 7回以下 1 8~14回 2 15回以上 0 0回 1 1回 2 2回 3 3回以上 0 無し 1 週に 週に1回より少ない 22 週に 週に1回以上 3 1日1回くらい 4 1日2~4回 5 1日5回以上 0 無し 1 週に1回より少ない 2 週に1回以上 3 1日1回くらい 4 1日2~4回 5 1日5回以上 点 1.膀胱の異常 膀胱がん、膀胱結石、間質性膀胱炎 2.尿道・膀胱のまわりの異常 子宮内膜症、尿道結石 3.感染症 膀胱炎、尿道炎 4.その他 多尿、心因性頻尿 検尿 尿細胞診 (がん細胞の有無) 超音波検査 (症 例)83歳女性 (主 訴)頻尿・夜間頻尿・切迫性尿失禁 (現病歴)2年前より、頻尿・夜間頻尿5回・切迫性尿失禁あり パッドを使用3-4回/日 (検 査) 検尿:白血球(3+) RBC(-) 腹部超音波検査:腎臓:n.p.・膀胱:結石陰影あり レントゲン施行 膀胱結石 5.5*4cm 除外診断はきちんと! 行動療法 生活指導(飲水制限:水分やカフェインを摂り過ぎない 時間排尿:早めにトイレに行くなど) 膀胱訓練 骨盤底筋訓練 薬物療法 抗コリン薬(最も中心) その他の療法 電気 電気刺激法 トイレをがまんする 特徴 頻尿・尿意切迫感のある人が排尿をがまんする。 骨盤底筋体操を行いながらがまんすると効果が高まる (交感神経の働きを高める)。 具体的には… 少しずつ15~60分単位でが まんする間隔を延ばしてい く。目標は2~3時間がまん できる状態。 骨盤底筋の筋力をつけることで、通常、腹圧性尿失禁を改善 →骨盤底筋を収縮させることで、神経が刺激され膀胱過敏を 抑えられるという報告あり。 ●腟と肛門を意識的に締めたり緩める体操 過活動膀胱の中心的治療 抗コリン薬 (ベシケア・デトルシトール・ウリトス・バップフォー) 神経 アセチルコリン 抗コリン薬 膀胱の筋肉 膀胱の神経の過敏な 働きを抑えます 過活動膀胱の時 抗コリン薬を 飲んだ時 抗コリン剤における効果 1日排尿回数 日排尿回数 ( 回/24h ) 15 頻尿 尿意切迫感回数 夜間排尿回数 ( 回/24h ) 4 ( 回/24h /24h ) 夜間頻尿 8 尿意切迫感 切迫性尿失禁回数 ( 回/24h h) 4 切迫性尿失禁 12.5 12.4 10 ** 9.3 2.5 ** 2 3 6 10.8 3 2.6 5.0 ** 2.2 4 2.4 # 2 4.0 1.5 5 投与前 8週後 0 2 投与前 8週後 ** 2.2 ** 0 2.0 1.4 ** ** 1 # 0 投与前 8週後 抗コリン剤は、過活動膀胱によく効く! S.D. mean #:p<0.05(Mann WhitneyのU検定 #:p<0.05(Mann-WhitneyのU検定、 ベシケア vs 投 ミダフェナシン) **:p<0.01 (Wilcoxon’s signed-rank test、投与前 vs 8週後 ) 1.6 1 0 ** 0.8 投与前 8週後 ベシケア(n=71) ウリトス(n=70) 西野好則 他:泌尿器外科 21 (6), 815-822,2008 治療効果 ●尿意切迫感の改善度 投与前 1 2 0 ※:PPIUSグレード3+4で排尿した回数 3 4 5 6 (日) 投与前平均値 変化率( 中央値) -10 プラセボ ・ベシケア 5.11回 ベシケア5mg ・プラセボ 5.54回 *:p<0.05 **:p=0.003 (vs プラセボ、 non-parametric test) -20 ** -30 * * -40 (%) ( ):症例数 内服後3-6日ごろより効果が出てくる ベシケア プラセボ (640) (223) (617) (210) (624) (213) (629) (213) (631) (214) (623) (213) (485) (166) Cardozo L, et al.: BJU Int: 102 (9) 1120-1127, 2008 膀胱過敏を抑える薬 中止すると 症状が再発する。(特に冬場) 基本的には内服継続(降圧剤などと同様) 口渇(口の中が乾くこと) 便秘 排尿困難 眼圧亢進(緑内障発作) →閉塞隅角緑内障に禁忌 電気刺激法 骨盤底筋の収縮力を強化したり、膀胱や尿道の神経の 働きを調整する。 →中止すると1~数ヶ月で元に戻るため、継続が必要である。 ①腟挿入タイプ 日本では好まれない ②肛門挿入タイプ ② ④ ① ③ ③会陰皮膚装着タイプ ④体表装着タイプ 体表装着タイプ →日本で唯一保険適応 抗コリン剤不応例や副作用などで内服困難例に試行可能 平成20年5月12日開業 伊達市唯一の泌尿器科・内科クリニック 伊達市役所北側:伊達市役所より徒歩3分 大泉駅より徒歩5分 平成20年5月~平成21年10月約1800人 泌尿器科:内科(小児科を含む)(カルテベース) 1440:362= 4:1 1日当たりの患者割合: 泌尿器科:内科= 9:1 泌尿器科クリニックとして認知 300 250 288 泌尿器科疾患3番目 208 (高血圧患者49名) 200 150 100 128 80 79 76 55 50 0 前立腺肥大症 血尿 1 2 過活動膀胱 3 4 5 膀胱炎 神経因性膀胱 前立腺がん 7 尿路結石 6 性別: 男性:17例 女性:111例 (前立腺肥大症合併を除く) 年齢: 10-90歳 (平均:66.8歳) 合併症:脳疾患(脳梗塞・認知症など) 17例 脊髄疾患(脊柱管狭窄症など) 9例 特発性 102例 (必須症状) 夜間頻尿: 平均2.4回 生活指導 干渉低周波治療法 薬物療法 5% 1% 94% ほとんどが薬物療法(抗コリン剤) 改善率 頻尿 93.5 尿意切迫感 92.6 切迫性尿失禁 92.6 改善・軽減 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 不変・悪化 夜間頻尿:1.3回(投与前2.4回 P<0.001) 過活動膀胱に対して高い治療効果が得られている 810万人存在するといわれているが、羞恥心 などで実際受診している人は少ない。 診断は問診票にて可能である。 薬物療法を中心に適切な治療を行えば、 ほとんどの場合改善する。 気になる症状がある場合は、泌尿器科専門医を受診 してください。