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尿失禁について(H28年3月公開) [PDF形式:349KB]

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尿失禁について(H28年3月公開) [PDF形式:349KB]
尿失禁
~悩んでいないで相談を~
昨年に引き続き、新宿区が開催した女性のための健康セミナーで尿失禁~悩んでいないで相談を~をテーマに
お話をさせていただきました。尿もれを自覚されていても、様々な理由で病院に行くことをためらっている方が
たくさんいらっしゃると思います。
女性は男性に比べ尿失禁の頻度も高く、出産後の女性においては 3~4 人に 1 人
の割合で尿失禁を経験しているといわれています。多くの患者様が病院を受診し、
治療を受けることで改善しております。正しい情報を取得し、改善に向けて前向き
になってもらえれば幸いです。
尿失禁の分類
~大きく分けて 2 つあります~
①腹圧性尿失禁
立ち上がり、走る、くしゃみ、咳など腹圧がかかった時に不随意に尿が出てしまう失禁です。女性に一番
多い失禁のタイプです。
骨盤底筋(※1)の緩みが原因と考えられており、出産、加齢、肥満などが影響します。
治療は、まずは骨盤底筋体操、さらに薬物療法を行います。また電気・磁気刺激療法も有効と言われており
ます。それでも改善が得られない方、重症の方には手術(TVT、TOT 手術(※2))を行います。
体操は、3 ヶ月以上継続して行うことで多くの方に効果が得られます。自宅でできる治療法ですので、皆様
に実践して頂きたいです。
(※1)骨盤底筋
骨盤の底にハンモック状に張る筋肉群で、尿失禁、臓器下垂を防いでいます。
(※2)TVT、TOT 手術 尿道にポリプロピレン製のテープを留置する手術。短期入院で行っている病院が多いです。
②切迫性尿失禁(過活動膀胱)
尿意切迫感(※3)が生じ、トイレまで間に合わずに漏れてしまいます。水を触る、足の裏が冷える、家の鍵を
開けるなどある決まった行動が起因になることが多いです。
脳と膀胱の連絡回路に不具合が生じ、脳の命令を待たずに膀胱が勝手に収縮してしまう事が原因で起こる尿
失禁です。加齢とともに罹患率は増加します。
治療は薬物療法(内服薬、貼り薬)がメインとなります。もちろん骨盤底筋体操も効果的です。電気・磁気
刺激療法も有効と言われており、2014 年に特定の機械による磁気刺激療法が保険適応となったことでさら
に治療の選択肢が増えました。
海外ではボツリヌス毒素注入、カプサイシン注入が行われており、難治性の過活動膀胱に有効であることが
わかってきています、今後日本でも行われるようになると考えます。
(※3)尿意切迫感・・・尿意を感じた途端に我慢できなくなる強い尿意。
自分でできる尿失禁予防
①体重のコントロール:骨盤底筋にかかる負荷が大きいと腹圧性尿失禁の症状は悪くなってしまいます。
おなか回りの重りを増やさないことが予防につながります。
②食生活:水分を取りすぎない、特にカフェイン飲料の摂取を減らすと尿失禁が改善します。
③保温:気温の低下とともに過活動膀胱は症状が悪くなってしまいます。
冬は特に、寝床を温めたり、入浴をゆっくりしたりと体の保温に心がけてください。
外出時もおなかにカイロを貼るなど体を温める工夫をするとよいでしょう。
オムツを上手に利用しましょう
今のオムツはパッド型、パンツ型など多様な形態があります、まずは色々試してみて自分の生活スタイルにあった
ものを選びましょう。
吸収、脱臭においても優れていますので、
「失敗が怖くて外出できない」
「外出しても周りの方が臭いを気にするの
では」といった不安は払拭できます。上手に利用して、活動的に過ごしていただきたいです。
骨盤底筋体操
基本動作を様々な体位で行うと効果的です。
今日やれば明日には効く!というわけにはいきません。とにかく継続することが大事です!
頑張りすぎず気軽に続けましょう
平成 28 年 3 月 2 日
【執筆】 JCHO 東京新宿メディカルセンター泌尿器科
医長 松﨑香奈子
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