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効能効果、用法用量等の変更 - 近江八幡市立総合医療センター
近江八幡市立総合医療センター 薬剤部 2013.5.15 目次 1.添付文書改訂情報 P.1~ 2.その他ご案内 P.1~ 3.今月のトピックス P.1~ 1.添付文書改訂情報 効能効果、用法用量等の変更 ※以下の採用薬につきまして、添付文書上、効能効果、用法用量等の重要な変更・ 追加がありましたので、臨時報告いたします。 2.その他のご案内 ・販売名類似による取り違え注意について 大日本住友、共和薬品工業、Meiji Seika ファルマ製品の「エクセグラン」 「エクセミド」「エク セラーゼ」について、販売名が類似していることに起因する誤処方、誤調剤に関するヒヤリハッ トが報告されています。上記薬剤を処方、調剤の際には、販売名・薬効等を再度ご確認いただき ますようお願い申し上げます。 薬剤部:小川暁生 甘草と偽アルドステロン症 -1- 甘草とは? 甘草といえば、漢方薬に欠かすことのできない生薬の一つです。漢方で使われる甘 草は、ウラルカンゾウ・スペインカンゾウの根及び根茎を乾燥させたもので、鎮痙・ 鎮痛・鎮咳・去痰・解毒・副作用防止などの目的で、様々な漢方方剤に配合されてい ます。また、漢方に限らず、甘草の主要成分であるグリチルリチンを錠剤・注射とし て、また砂糖の 50 倍の甘さがあるにもかかわらず低カロリーであるため、健康的な 甘味料として使用されることもあります。 しかしながら、上記のように有用な効能を持つ甘草も、多量に摂取しすぎると偽アル ドステロン症と呼ばれる症状を起こすことが知られています。 偽アルドステロン症とは? 偽アルドステロン症とは、副腎より分泌されるホルモンであるアルドステロン(鉱質コルチコイド) が過剰に分泌されていないにもかかわらず、あたかも過剰に分泌されているかのような症状を示すこと をいいます。アルドステロンは腎臓の尿細管におけるナトリウムの再吸収・カリウムの排泄を促進する ため、低カリウム血症、高ナトリウム血症やそれに伴う浮腫や高血圧の症状が起こります。 低カリウム血症は、四肢の脱力・筋肉痛・こむら返り、全身倦怠感、動悸、不整脈、悪心・嘔吐など を引き起こしますが、進行すると筋脱力による転倒、致死性不整脈や横紋筋融解症に至ることがあるた め、注意が必要です。 薬理作用 甘草に含まれるグリチルリチン、その活性代謝物であるグリ チルリチン酸が、コルチゾールからコルチゾンへ代謝させる酵 素の 11β-HSD2 を阻害することで、体内に大量のコルチゾール が蓄積していきます。コルチゾールは、鉱質コルチコイド受容 体にも親和性を持っているため、大量に蓄積したコルチゾール が、尿細管における鉱質コルチコイド受容体に作用してしまう ことで発症し、低カリウム血症などの症状を引き起こすと考え られています。 また、カリウムを排泄する働きを持つ利尿薬などの薬剤を併 用している場合には、さらに低カリウム血症のリスクが増加しますので、注意が必要となります。 偽アルドステロンの治療方法 甘草などによる薬剤の偽アルドステロン症であれば、疑わしい医薬品を直ちに中止、治療薬としては 抗アルドステロン薬であるスピロノラクトン(院内採用アルダクトン A25mg 錠)の投与が有効とされて います。適切な対応がされれば、予後は良好です。 -2- 甘草の限度量 限度量を超えたら必ず副作用が起こるわけではありませんが、甘草の 1 日限度量は 7.5g(グリチルリ チンとして 300mg)と言われています。通常であれば、限度量に達することは無いでしょう。しかしなが ら、甘草は様々な漢方方剤に配合されており、特にこむら返りの治療薬としてよく使用される芍薬甘草 湯には、1 日量で換算すると甘草が 6g も入っています。このため、複数の漢方製剤を併用すると前述の 甘草 1 日限度量に達してしまう場合も考えられるため、注意が必要です。また、副作用の発現には個人 差があります。甘草配合量の多い漢方薬の不必要な連用は避けるべきと思われます。 以上、甘草の副作用である偽アルドステロン症について紹介してきました。もしかしたら、甘草に対す る悪いイメージを持ってしまうかも知れません。しかしながら、漢方製剤の約 7 割に配合されている甘 草は、漢方薬にとってはそれだけ重要で欠かすことのできない生薬だとも言えます。 参考文献・URL 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 http://www.pmda.go.jp/ 日本漢方生薬製剤機構 http://www.nikkankyo.org/kampo/yougo/explanation01.html Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/ 社団法人 新潟県薬剤師会 http://www.niiyaku.or.jp/ 薬剤部:松永 章宏 -3-