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NEC ELECTRONICS 23 NEC ELECTRONICS A World-Leading Semiconductor Manufacturer —Delivering differentiated semiconductor solutions アニュアル・レビュー 2003 年 3 月期 Annual Review 03 24 NEC ELECTRONICS ミッション・ステートメント 最先端独自技術を背景に 顧客ニーズに応え 最適ソリューションを提供する ビジネスパートナーを目指します 目 次 財務ハイライト 1 社長からのメッセージ 2 新生NECエレクトロニクスの競争優位性 5 事業の概況 11 当年度の主な研究開発成果 14 環境管理 15 連結貸借対照表 16 連結損益計算書 18 連結キャッシュ・フロー計算書 19 取締役、監査役および執行役員 20 会社概要 21 本アニュアル・レビューに記載されているNECエレクトロニクスの現在の計画、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは将来予想に関する記述です。これらの記述は、現在 入手可能な情報から得られたNECエレクトロニクスの経営者の仮定や確信に基づいています。これら将来予想に関する記述はリスクや不確定な要因を含んでおり、実際の結果とは大 きく異なりうるため、これらの記述に全面的に依拠することは控えるようお願いします。また、法の要求がある場合を除き、新たな情報、将来の事象その他にかかわらず、NECエレ クトロニクスがこれら将来予想に関する記述を見直すとは限りません。業績など実際の結果に影響を与えうるリスクや不確定な要因には、NECエレクトロニクスの事業領域を取り巻 く日本、アジア、北米、欧州等の経済情勢、NECエレクトロニクスの製品、サービスに対する需要動向や競争激化による価格下落圧力、激しい競争にさらされた市場の中でNECエレ クトロニクスが引き続き顧客に受け入れられる製品、サービスを提供し続ける能力、為替レート (特にNECエレクトロニクスが大きな売上を計上している米ドルと円との為替レート) の変動などがあります。ただし、業績など実際の結果に影響を与えうる要因はこれらに限定されるものではありません。 本アニュアル・レビューに記載されているすべての連結財務情報は、米国会計基準に準拠し、2002年11月1日 (NECエレクトロニクスの設立日) 現在のNECエレクトロニクスのグルー プ構成があたかも開示対象期間(NECエレクトロニクスの設立前)の当初から存在していたと仮定して作成されたものです。 Annual Review 03 NEC ELECTRONICS 251 財務ハイライト NECエレクトロニクス株式会社および連結子会社 2001年、2002年および2003年3月31日に終了した事業年度 売上高 通信機器分野 コンピュータおよび周辺機器分野 民生用電子機器分野 自動車および産業機器分野 多目的・多用途IC ディスクリート・光・マイクロ波 その他 税引前損益 法人税等 当期純損益 総資産(3月31日現在) 株主資本(3月31日現在) 設備投資額 研究開発費 減価償却費 単位:百万円 単位:千米ドル 増減率 2001年 2002年 2003年 2003年 2003/2002 ¥830,756 134,228 ¥684,268 87,327 ¥725,093 97,002 $6,144,856 822,051 6.0% 11.1% 171,476 109,140 63,649 143,713 119,789 64,472 125,901 147,127 80,109 1,066,958 1,246,839 678,890 –12.4% 22.8% 24.3% 140,852 176,874 34,537 85,245 112,347 71,375 84,465 117,971 72,518 715,805 999,754 614,559 –0.9% 5.0% 1.6% 15,090 8,234 9,622 127,881 69,780 81,542 — — — 77,423 32,146 45,189 (83,885) (29,023) (53,238) 714,900 290,793 192,366 630,115 232,942 99,257 655,489 238,927 61,304 5,554,992 2,024,805 519,525 4.0% 2.6% –38.2% 101,181 113,460 99,759 110,661 96,666 88,414 819,203 749,271 –3.1% –20.1% 注記:米ドル金額は、便宜上、1ドル=118円で計算されています。 売上高 税引前損益 (単位:十億円) 当期純損益 (単位:十億円) (単位:十億円) 1,000 100 60 750 50 30 500 0 0 250 –50 –30 0 01 02 03 Annual Review 03 –100 01 02 03 –60 01 02 03 2 NEC ELECTRONICS 社長からのメッセージ 半導体専業メーカーとしてのスタート 当社は、 2002年11月1日に、日本電気株式会社から分社・独立し、新たに半導体専業企業「NECエレクトロニクス 株式会社」 として設立されました。 NECエレクトロニクスは、最先端独自技術を背景にお客様のニーズに応え、最適なソリューションを提供 するビジネスパートナーを目指すことを会社の基本方針とし、事業運営を行ってまいります。 具体的には、超高集積・超高速・低消費電力等の先端技術へのチャレンジ、お客様の新製品開発のご要求 に短期間で柔軟に対応できる設計・開発力の整備、そして低コスト・高品質・短納期での製品開発・納入等、 お客様ごとの個別のご要望にお応えする 「先端技術ソリューション」 、 「システムソリューション」 、 「プラット フォームソリューション」を提供してまいります。 当社は、これらの3つのソリューションをグローバルに提供していくことを通じて、お客様のビジネスの成 功への力となり、お客様にベストなビジネスパートナーとして選んでいただくことを目指します。そのために、 提案力と技術力に一層磨きをかけ、また生産革新の推進等、業務効率と品質の向上に努めてまいります。 Annual Review 03 NEC ELECTRONICS 3 2003年3月期の業績 当年度 (2003年3月31日に終了した事業年度) の半導体市場は、前年度 (2002年3月31日に終了した事業年度) の未曾有の不況が底を打ったものの、緩やかな回復にとどまりました。 (6,145百万米ドル) となり、前年度比 このような事業環境の中で、当社の当年度の売上高は、7,251億円 で6.0%増加しました。これは、ゲーム機用LSIや、DVDレコーダー、デジタルカメラなどのデジタルAV機器 向け半導体が好調に推移したことや、携帯電話向けおよび自動車向け半導体の売上高が増加したことによる ものです。 (128百万米ドル) の税引前利益 損益面においても、前年度の税引前損失839億円から、当年度は151億円 へと回復しました。これは、当年度の売上高が増加したことに加え、前年度に実施した構造改革と、分社・ 独立以降の経営改革によって固定費を圧縮したことによるものです。 東証第一部への株式上場 2003年7月24日、当社は設立後わずか9ヵ月で東京証券取引所第一部への上場を実現いたしました。上場を 達成した今、あらためて上場企業としての社会的責務と、新たに株主となっていただいた投資家の皆様から のご期待に応えていくという責任を痛感しております。 当社では、お客様のビジネスの付加価値向上に貢献し、お客様の満足度の向上を追求していくことが、当社 の業績の向上をもたらし、最終的に株主価値の最大化を実現するための鍵になると考えております。そこで、 上場を機に、これまで以上にお客様にご満足いただけるソリューションの提案力の強化をはかり、売上と収 益の着実な拡大を実現して、投資家の皆様にご満足をいただけるよう尽力してまいります。また、事業運営 の面でも、東証第一部上場の企業にふさわしい、誠実で透明性の高い経営を目指してまいります。 Annual Review 03 4 NEC ELECTRONICS グローバルな半導体プレーヤーとして、一層の発展を目指す 半導体事業は非常にグローバルな性格を持っており、今後当社が一層の成長を遂げていくためには、グローバル な事業展開の推進が不可欠です。当社は、日本のお客様はもちろんのこと、海外のお客様へのデザイン・イン (新たなお客様の機器への当社製品の採用)にも大いに注力していくとともに、現地でのきめ細かな技術サ ポート、ワールドワイドでの機動的な納品対応を実践し、グローバルな半導体企業として世界中で認知され ることを目標としてまいります。 お客様に選ばれてこそ (パートナー・オブ・チョイス)当社が存在するという基本理念のもと、当社は世界 中のお客様の獲得を目指し、実績を着実に積み上げていく所存です。そして、さらなる企業成長を目指して、 皆様のご期待に沿うよう努力してまいりますので、今後ともご指導とご支援をよろしくお願い申しあげます。 2003年7月24日 代表取締役社長 Annual Review 03 NEC ELECTRONICS 新生NECエレクトロニクスの競争優位性 2002年11月に誕生したNECエレクトロニクスは、半導体 専業メーカーとして、世界でもトップクラスの技術力、 製品力によって、市場をリードしています。 1. グローバル・リーダーとしての確固たる市場地位 2. バランスのとれた製品ポートフォリオ 3. 顧客との密接な関係に基づく3 つのソリューション 提供力 4. IDM(Integrated Device Manufacturer)モデルによる 優れたソリューションの提供 5. 経営改革の推進による収益力向上 Annual Review 03 5 6 NEC ELECTRONICS 1. グローバル・リーダーとしての確固たる市場地位 当社は、日本初の大手半導体専業企業であると同時に、主要半導体製品におい て、確固たる実績を持っています。 ガートナー データクエストによれば、当社は世界の半導体業界で売上高第6 位のグローバル企業であり、主要製品ごとの世界シェアを見ても、ASICで世界 第4位、マイクロコントローラで世界第3位、LCDドライバICで世界第2位とい う、世界レベルで強い競争力を持つ製品群を保有しています。 国内外の競合他社と比較して、当社はLSI設計力、プロセス技術力、高い信頼 性を持つ生産力の面で、世界トップレベルの優位性を持っており、また、主要 顧客との緊密な関係やシステムノウハウの面でも、高い水準の競争力を持って います。このお客様へのアクセス力と、高い技術を組み合わせることにより、 当社は他社を凌駕する優れたソリューションを提供しています。 世界半導体売上高ランキング 2002年 2002 出荷額 2001 2002 順位 順位 1 1 インテル 4 2 2 3 会社名 (十億ドル) 年間成長率 25.26 1.3% サムスン電子 8.63 36.7% 3 東芝 6.46 (4.8%) 4 STマイクロエレクトロニクス 6.36 (0.2%) 5 5 テキサスインスツルメンツ 6.24 3.1% 6 6 NECエレクトロニクス 5.69 5.6% 9 7 インフィニオンテクノロジーズ 5.25 21.4% 7 8 モトローラ 4.78 0.8% 10 9 フィリップス 4.36 (0.9%) 8 10 日立製作所 4.12 (12.8%) 出典:ガートナー データクエスト(2003年4月)GJ03288 半導体主要製品別売上高ランキング 2002年 順位 ASIC MCU LCDドライバIC 1 IBM モトローラ サムスン電子 2 STマイクロエレクトロニクス 日立製作所 NECエレクトロニクス 3 テキサスインスツルメンツ NECエレクトロニクス 日立製作所 4 NECエレクトロニクス 三菱電機 シャープ 5 アギア・システムズ 松下電器 セイコーエプソン 出典:ガートナー データクエスト(2003年4月)GJ03288 Annual Review 03 NEC ELECTRONICS 077 半導体分野別売上高内訳 2003年3月期実績 半導体売上高注:6,526億円 通信機器 15% コンピュータ・周辺機器 19% 民生用電子機器 (含ゲーム) 23% 自動車・産業機器 12% 多目的・多用途IC 13% ディスクリート・光・マイクロ波 18% 注「その他」 売上を含まず : 当社は、主要な業界におけるバランスのとれた製品ポートフォリオを基礎に、 成長性の高い個別製品分野に注力しています。 当社の売上は、バランスのとれた構成となっており、特定の業界の動向に大 きく左右されにくい体質となっています。 当社の最も重要な戦略は、各業界、アプリケーションごとにシステムノウ ハウを蓄積し、お客様の求める半導体ソリューションをタイムリーに提供し 2. ていくことです。当社は、強みを持っている各分野においてフォーカスを進 め、さらに強い製品、収益力の高い製品を育てていきます。例えば、今後、 急成長が予測されるDVDレコーダー用LSIやカラー携帯電話用のLCDコント ローラ・ドライバIC、自動車のエンジン制御用のマイクロコントローラなど に注力していきます。 バランスのとれた製品ポートフォリオ Annual Review 03 8 NEC ELECTRONICS 3. 顧客との密接な関係に基づく3つのソリューション提供力 第3のポイントは、業界をリードするお客様との密接な関係と、それを支える3つ のソリューションです。 当社では各地域、各業界を代表する多くの優良顧客と、開発の早い段階から 協業関係を構築しており、この良好な関係をもとに、お客様の求めるソリュー ションを提供しています。 当社は、お客様のニーズに応えるために、 (1)最先端技術をベースにハイエンドのカスタムLSIを求めるお客様に対してソ リューションを提供する 「先端技術ソリューション」 (2)業界ごとのお客様のシステム差別化ニーズに応えるシステムLSIを提供する 各製品分野における顧客例 「システムソリューション」 (3)低コスト、短納期での開発と納品 顧客* 製品分野 が求められる汎用製品を、半導体 通信機器分野: ブロードバンド・ネットワーク機器向け NEC 、富士通、日立製作所 携帯電話向け NEC 、パナソニックモバイルコミュニケー ションズ、ソニー・エリクソン、 サムスン電子 コンピュータおよび周辺機器分野: サーバおよびワークステーション向け パソコンおよびパソコン周辺機器向け 民生用電子機器分野: AV機器向け といった「プラットフォーム」を活 用して提供する「プラットフォー NEC 、シリコン・グラフィックス、 サーバワークス、サン・マイクロシステムズ サムスン電子、インターナショナル・ディス プレイ・テクノロジー、パイオニア、HP、 ソニー、NEC 、キヤノン、セイコーエプソン ソニー、松下電器産業、三洋電機、シャープ、 日本ビクター、富士写真フイルム、パイオニア 任天堂 ゲーム機向け 商社の販売網や、サポートツール 自動車および産業機器分野 トヨタ自動車、 デンソー、 ボッシュ、 デルファイ、 シーメンス、アドバンテスト 多目的・多用途IC NEC 、ソニー、松下電器産業、 パナソニックモバイルコミュニケーションズ ディスクリート・光・マイクロ波 モトローラ、NEC 、富士通、ソニー ムソリューション」 の 3 つのソリューションを提供して います。 * ここに掲載されているのは、当社の各製品分野における顧客例です。このリストは、すべての 顧客を網羅しておらず、また、必ずしも各製品分野を代表する顧客というわけではありません。 顧客ニーズに応える3つのソリューション 顧客のニーズ 超高速・高集積等の先端技術へ 当社の提供するソリューション 先端技術ソリューション のニーズ 技 術 的 難 度 システム差別化ニーズ 短納期、高信頼性、低コストの 汎用デバイスへのニーズ 顧客数 Annual Review Review 03 03 Annual システムソリューション プラットフォームソリューション NEC ELECTRONICS 9 グローバルな生産拠点群 NECエレクトロニクス・アメリカ NECセミコンダクターズ・アイルランド (ローズビル) NEC山形 首鋼日電電子有限公司 (首鋼との合弁会社) NECセミコンダクターズ・マレーシア NECセミコンダクターズ・シンガポール NECセミコンダクターズ・インドネシア NEC福井 相模原事業場 NEC山口 (R&Dセンター) NEC関西 NEC九州 NECセミコンダクターズ九州 前工程 (ウエハ処理) 工程 後工程 (組立・検査) 工程 IDMモデルによるソリューションの提供 開発面 生産面 技術の 「再利用」 生産設備・ライン の 「再利用」 先端技術ソリューション プロセス技術 設計・生産の統合に より超高性能を実現 設計ツール システムソリューション IPコア 高品質なシステム 製品を短TAT量産 実装技術 テスト技術 プラットフォームソリューション 汎用品の低コスト 量産に徹底活用 当社は、設計開発力と自社製造拠点の 組み合わせにより、IDM(垂直統合型 デバイスメーカー)ならではの高性 能・高品質なソリューションを提供し ています。 近年、高い処理能力を要求されるハ イエンドサーバや、ルータなどのブ ※TAT: Turn Around Time ロードバンド・ネットワーク機器向け 半導体を中心として、設計からプロセス、実装、テスト技術にいたるトータル 4. なソリューションが求められています。 当社は、全世界に12の生産拠点を有しており、開発から生産までを一貫して 行うIDMモデルを通じて、世界中のお客様が求める高性能、高品質なソリュー ションを提供しています。また、当社は、テクノロジー・ドライバ (競争力の源泉 となる新技術の立ち上げを牽引するもの) である先端技術ソリューションにおい て先行開発した技術や、使用された最先端生産設備をシステムソリューション、 プラットフォームソリューションへと転用していくことにより、開発、生産 の両面での効率化をはかり、収益性を向上させていきます。 IDM(Integrated Device Manufacturer )モデルによる 優れたソリューションの提供 Annual Review 03 10 NEC ELECTRONICS 5. 経営改革の推進による収益力向上 当社は、日本電気 (株)からの分社を契機として、さまざまな面で収益力を向上 させるための施策を実行しています。 先進的なソリューションの提案による高付加価値製品の創出 お客様から高い付加価値を認められる製品を創出するためには、お客様の ニーズをすばやく把握し、それに対して的確なソリューションを他社に先駆け て提案できるかどうかが最大のポイントです。当社では、お客様への提案力を 向上させるため、社内のすべての部門がお客様のニーズを共有できるシステム の構築や、営業やシステム・エンジニア要員向けの教育プログラムの刷新など を行っています。 成長分野への注力と、設計資産の再利用による効率改善 注力分野において競争力のある製品を創出し、収益力を高めていくためには、 各分野におけるリーディング・カンパニーと密接な関係を築くことによって先 端の開発を行い、そこで開発されたIPコア (設計資産) を再利用することで設計 効率を改善させることが不可欠です。当社は、分野別に必要とされるIPコアの 開発ロードマップを作成するとともに、そのIPコアを徹底的に再利用するため の管理システムを新たに構築しました。また、それと同時に、IPコアを短期間 に製品開発に組み込むための設計基盤の構築も進めています。 社内の仕組み、ルールの変更による経営効率の改善 当社では、共通設計環境を整備することによって、設備費やソフトウェアの ライセンス料などが削減され、大きな経費削減効果を上げています。また、そ れに加えて、業績に連動するボーナス制度やストックオプションなど、収益指 向を高めるためのインセンティブ制度の導入も決定しています。 Annual Review 03 NEC ELECTRONICS 11 事業の概況 通信機器分野 売上高構成比 通信機器分野には、ルータ、イーサネット・スイッ 売上高 (十億円) 13.4% 0 50 100 150 チ、携帯電話基地局等のブロードバンド・ネット 200 03 97.0 ワーク機器向け半導体や、携帯電話向け半導体が含 02 87.3 まれます。 01 134.2 当年度(2003年3月31日に終了した事業年度)の (3月31日に終了した事業年度) 売上高は、前年度 (2002年3月31日に終了した事業 年度) の873億円に比べ97億円 (11.1%) 増加し、970億円 (822百万米ドル) となりました。これは、ブロー ドバンド・ネットワーク機器向けのネットワークLSIの売上高が引き続き減少したものの、携帯電話向けのマ ルチ・チップ・パッケージやLCDドライバICの売上 高が増加したことによるものです。 コンピュータおよび周辺機器分野 売上高構成比 コンピュータおよび周辺機器分野には、サーバおよび 売上高 (十億円) 17.4% 0 50 03 125.9 02 143.7 01 171.5 100 150 ワークステーション向け半導体や、パソコンおよび 200 パソコン周辺機器向け半導体が含まれます。 当年度の売上高は、前年度の1,437億円から178 億円(12.4%)減少し、1,259億円(1,067百万米ド (3月31日に終了した事業年度) ル) となりました。これは、主に注力分野をハード・ ディスク・ドライブからDVDドライブやDVDプレーヤー、DVDレコーダーへとシフトしたことにより、ハー ド・ディスク・ドライブ向けLSIの売上高が減少したことによるものです。また、DRAM製品の組立・検査の 受託サービスの売上高も減少しました。 Annual Review 03 12 NEC ELECTRONICS 民生用電子機器分野 売上高構成比 民生用電子機器分野には、デジタルTVやデジタルビ 売上高 (十億円) 20.3% 0 50 100 150 デオカメラ、DVDプレーヤー等のデジタル技術を用 200 03 147.1 いた A V 機器向け半導体や、ゲーム機向けのグラ 02 119.8 フィックス処理LSIや特定用途向け高速メモリなどが 01 109.1 含まれます。 (3月31日に終了した事業年度) 当年度の売上高は、1,471 億円(1,247百万米ド ル)となり、前年度の1,198 億円から273 億円(22.8% )増加しました。これは、主にゲーム機向けのグラ フィックス処理LSIや高速メモリの出荷が増加したことによるものです。それに加えて、サッカーのワールド カップ開催により、デジタルTVやDVDプレーヤー、 DVDレコーダーなどのデジタルAV機器の需要が増加 したため、デジタルAV機器向け半導体の売上高が増 加しました。 自動車および産業機器分野 売上高構成比 自動車および産業機器分野には、自動車に搭載され 売上高 (十億円) 11.0% 0 50 100 150 る電装システムの心臓部であるエンジン制御用マイ 200 03 80.1 クロコントローラや、自動車向けのパワーデバイ 02 64.5 ス、医療機器等の産業機器向け半導体などが含まれ 01 63.6 ます。 (3月31日に終了した事業年度) 当年度の売上高は、前年度の645億円と比べ156 億円 (24.3%) 増加し、801億円 (679百万米ドル)となりました。これは、主に日本、欧州および北米で自動 車向けマイクロコントローラの出荷が増加したことによるものです。 Annual Review 03 NEC ELECTRONICS 13 多目的・多用途IC 売上高構成比 多目的・多用途ICには、汎用マイクロコントローラ、 売上高 (十億円) 11.6% 0 50 03 84.5 02 85.2 01 140.9 100 150 ゲートアレイ、アナログIC 、多用途のSRAM などが 200 含まれます。 当年度の売上高は、845億円(716百万米ドル)と (0.9%) 減少しま なり、前年度の852億円から8億円 (3月31日に終了した事業年度) した。これは、主にゲートアレイおよび4ビット、 8ビットのマイクロコントローラの出荷が伸び悩んだことによるものです。 ディスクリート・光・マイクロ波 売上高構成比 ディスクリート・光・マイクロ波には、ダイオー 売上高 (十億円) 16.3% 0 50 100 150 ド、トランジスタといった個別半導体や、光通信 200 03 118.0 用半導体レーザ、光ストレージ用半導体などの光 02 112.3 半導体、携帯電話、無線 LAN 、セット・トップ・ 01 176.9 ボックスなどに使用されるマイクロ波半導体が含 (3月31日に終了した事業年度) まれます。 当年度の売上高は、前年度の1,123億円と比べ56億円 (5.0%) 増加し、1,180億円(1,000百万米ドル) と なりました。これは、主に自動車や携帯電話向けのパワーMOSFETといった個別半導体の売上高が増加した ことによるものです。 その他 その他は、主に当社グループの販売子会社が受託しているカラーLCD等の販売事業です。 当年度の売上高は、モニタ向けのLCDパネルの需要が増加したことなどにより、前年度の714億円から11 億円 (1.6%) 増加し、725億円(614百万米ドル) となりました。 Annual Review 03 14 NEC ELECTRONICS 当年度の主な研究開発成果 ASSPマイコン DVDデュアル・コンパチブル・ドライブ用LSI 記録型 DVD ドライブ用システム LSI ISSP2 「ISSPシリーズ」を開発 本格的な高性能システムLSIを短期間で容易に実現する 当社では、低い初期開発費で短期間にASICの設計を実現できるセミカスタムIC、 「ISSP(インスタント・シリ コン・ソリューション・プラットフォーム) 」 を開発しました。すでに作り込まれている基本回路をもとに、 お客様が独自の設計を行うことで設計期間を短縮できるのがセミカスタムICの長所です。当社のISSPはこの 長所を追求することにより、大幅なコスト低減を実現しました。さらに、高速通信インタフェース用IPを内 蔵することにより、高性能通信機器への対応が可能になりました。このプラットフォームにより、次世代 ブロードバンド・ネットワークを実現する高性能通信機器の開発において最適な半導体ソリューションを提 供することができます。当社では、今後も90ナノメートル (1ナノメートルは10億分の1メートル) の最先端 プロセス技術を用いてISSPシリーズを拡充し、毎秒10ギガビットのデータを転送できるSerDes(高速通信 インタフェース用IP) の開発をはじめ、各種のIPコアを充実させていきます。 業界最高速の記録が可能なDVDドライブを実現するシステムLSIを開発 当社は、記録型DVDドライブ向けシステムLSIを開発し、2002年10月に量産を開始しました。業界初となる 当社のDVDデュアル・コンパチブル・ドライブ用LSIチップと、ASSPマイコンを用いることにより、業界最 高速の4倍速記録が可能になりました。大容量データ記録が可能な記録型DVDドライブは、昨今のブロードバ ンドの伸展や、デジタル画像などの大容量データの配布、蓄積の需要に合わせてさらにニーズが高まること が予想され、次世代のパソコン標準搭載ドライブとして市場の拡大が期待されています。 Annual Review 03 NEC ELECTRONICS 15 環境管理 環境方針 わたしたちは、 半導体事業活動を通して 地球環境保全に貢献します。 お客様に信頼されるグリーンベンダーを目指して NECエレクトロニクスは、お客様のニーズに応える半導体ソリューションを提供しています。地球環境保全 に配慮したグリーン製品というお客様のニーズを満たし、企業として地球環境保全への貢献をはかるべく、 最先端独自技術を用いた微細化、システム化により省エネルギー・省資源を実現した半導体ソリューション を提供していきます。また、事業活動全般にわたって全員参加による環境負荷低減活動を積極的に実施し、 持続可能な発展を実現する循環型社会の形成に貢献していきます。 環境トピックス 日本産業技術大賞・内閣総理大臣 低消費電力を実現したシステム 鉛フリー品 (環境に有害となる鉛 賞を受賞した世界最高速のスー LSI設計基盤“CB-90”を開発し を使用しない半導体製品) の準備 パーコンピュータ・システムで ました。 を2003年3月に完了しました。 ある“ 地球シミュレータ” にNEC エレクトロニクスの高集積LSIが (当社従来製品比で消費電力を 40%低減) 今後お客様の要求に応じて対応し ていきます。 貢献しました。 (消費電力は従来の最速スーパー コンピュータ比ほぼ5分の1) より詳しい活動内容については、 「NECエレクトロニクス環境報告書2003」 や、下記の当社ウェブサイトにてご覧いただけます。 http://www.necel.com/ja/cprofile/eco/eco_policy.html Annual Review 03 16 NEC ELECTRONICS 連結貸借対照表 NECエレクトロニクス株式会社および連結子会社 2002年および2003年3月31日現在 資産 2002年 単位:百万円 単位:千米ドル 2003年 2003年 78,216 $ 662,847 流動資産: ¥ 現金および現金同等物 12,573 ¥ 受取手形および売掛金: 22,165 83,499 (699) 26,334 97,929 (406) 223,169 829,907 (3,441) 6,861 94,137 4,757 2,888 77,077 8,285 24,475 653,195 70,212 5,286 228,579 4,897 295,220 41,500 2,501,864 9,818 2,475 5,368 2,776 45,492 23,526 12,293 8,144 69,018 17,989 234,832 17,797 233,004 150,822 1,974,610 建設仮勘定 914,776 17,648 1,185,245 881,567 9,107 1,141,475 7,470,907 77,178 9,673,517 減価償却累計額 (855,063) (852,471) (7,224,331) 330,182 289,004 2,449,186 45,622 12,144 1,295 49,635 11,194 2,292 420,636 94,864 19,424 59,061 ¥ 630,115 63,121 ¥ 655,489 534,924 $5,554,992 関連当事者 その他 貸倒引当金 関連当事者に対する貸付金 たな卸資産 繰延税金資産 前払費用およびその他の流動資産 流動資産合計 投資: 市場性ある有価証券 その他の投資 有形固定資産: 土地 建物および構築物 機械装置および備品 その他の資産: 繰延税金資産 ライセンス料およびその他の無形固定資産 その他 Annual Review 03 NEC ELECTRONICS 負債および資本 17 2002年 単位:百万円 単位:千米ドル 2003年 2003年 流動負債: 短期借入金: ¥115,281 11,600 関連当事者 その他 ¥ — 21,297 $ — 180,483 7,875 760 5,038 1,105 42,695 9,364 30,504 77,644 38,211 89,244 323,822 756,305 1,819 35,262 12,183 31,845 103,246 269,873 その他の流動負債 — 3,851 13,606 4,167 3,986 9,801 35,314 33,780 83,059 流動負債合計 298,202 216,877 1,837,941 13,664 1,366 75,318 88,791 5,554 100,030 752,466 47,068 847,712 90,348 194,375 1,647,246 8,623 5,310 45,000 242,509 — — 一年以内に返済期限の到来する長期借入金 一年以内に返済期限の到来する関連当事者に対するキャピタル・リース債務 支払手形および買掛金: 関連当事者 その他 未払金および未払費用: 関連当事者 その他 未払法人税等: 関連当事者 その他 固定負債: 長期借入金 関連当事者に対するキャピタル・リース債務 未払退職および年金費用 連結子会社における少数株主持分 契約債務および偶発債務 資本: NECからの投資 資本金: 授権株式数—400,000,000株 2002年11月1日発行、 2003年3月31日現在 発行済株式数—100,000,000株 — — — (9,567) 資本剰余金 利益剰余金 その他の包括損益累計額 232,942 ¥630,115 Annual Review 03 50,000 423,729 216,744 1,672 (29,489) 1,836,814 14,169 (249,907) 238,927 ¥655,489 2,024,805 $5,554,992 18 NEC ELECTRONICS 連結損益計算書 NECエレクトロニクス株式会社および連結子会社 2001年、2002年および2003年3月31日に終了した事業年度 単位:百万円 単位:千米ドル 2001年 2002年 2003年 2003年 ¥830,756 ¥684,268 ¥725,093 $6,144,856 8,999 935 3,093 2,167 714 1,390 3,573 377 — 30,279 3,195 — 10,257 854,040 11 688,550 162 729,205 1,373 6,179,703 売上原価 562,325 524,754 518,122 4,390,864 研究開発費 101,181 97,148 2,989 99,759 99,772 34,588 96,666 80,102 — 819,203 678,831 — — 9,809 2,579 — 9,213 2,468 1,813 10,214 2,211 15,364 86,560 18,737 — 586 776,617 — 1,881 772,435 3,083 1,904 714,115 26,127 16,136 6,051,822 15,090 8,234 6,856 127,881 69,780 58,101 売上高およびその他の収益: 売上高 有形固定資産売却益およびその他 受取利息および受取配当金 為替差益 (純額) 有価証券売却益 売上原価および費用: 販売費および一般管理費 事業構造改革費用 分社化費用 有形固定資産売却・除却損およびその他 支払利息 為替差損 (純額) 有価証券に関わる損失 法人税等および少数株主損益前当期純損益 法人税等 少数株主損益前当期純損益 少数株主損益(控除) 当期純損益 77,423 32,146 45,277 (83,885) 88 ¥ 45,189 (1,624) ¥(53,238) 1株当たり当期純損益(プロフォーマ) (29,023) (54,862) (2,766) ¥ ¥ Annual Review 03 9,622 (23,441) $ 81,542 単位:円 単位:米ドル 2003年 2003年 96.22 $ 0.82 NEC ELECTRONICS 19 連結キャッシュ・フロー計算書 NECエレクトロニクス株式会社および連結子会社 2001年、2002年および2003年3月31日に終了した事業年度 2001年 2002年 単位:百万円 単位:千米ドル 2003年 2003年 営業活動によるキャッシュ・フロー: 当期純損益 ¥ 45,189 ¥(53,238) ¥ 9,622 $ 81,542 営業活動により増加したキャッシュ (純額) への調整: 減価償却費等 繰延税金 有形固定資産に関わる損失 (純額) 113,460 (1,382) 3,989 4,785 40,551 4,426 88 1,527 3,435 (2,766) 12,941 29,110 (23,441) 14,053 (2,377) (20,495) (173,686) 15,756 26,747 133,525 226,669 退職および年金費用 (支払額控除後) (4,299) たな卸資産 (増加)減少額 614 支払手形および買掛金増加 (減少) 額 その他の流動負債増加(減少) 額 その他 (純額) 営業活動により増加したキャッシュ (純額) 749,271 (20,161) 624 18 (1,624) (786) 受取手形および売掛金(増加) 減少額 88,414 (2,379) 26,816 市場性ある有価証券実現損益 少数株主損益 110,661 (30,788) 213 1,768 177,333 50,942 (32,590) (15,534) 463 3,924 8,658 61,568 (277) (2,347) 124,832 1,057,898 投資活動によるキャッシュ・フロー: 34,081 有形固定資産売却による入金額 有形固定資産増加額 1,016 市場性ある有価証券売却による入金額(純額) 7,022 (63,153) 20 (9,297) 59,508 (535,195) 325 2,754 8,781 (911) (5,667) 3,803 (673) (3,877) 32,229 (5,703) (32,856) (133,966) (123,491) (56,553) (479,263) 81,226 (7,950) 688,356 (67,373) (74,811) (633,992) (1,138) (9,644) 関連当事者に対する貸付金 (増加)減少額 (774) その他の投資有価証券増加額 (4,701) その他 (純額) 投資活動により減少したキャッシュ (純額) 28,153 (154,291) (153,867) 財務活動によるキャッシュ・フロー: 長期借入金返済額 493 (16,919) 短期借入金増加 (減少) 額 (38,431) 長期借入金による調達額 関連当事者に対するキャピタル・リース債務返済額 為替相場変動の現金および現金同等物への影響額 現金および現金同等物純増加 (減少)額 現金および現金同等物期首残高 現金および現金同等物期末残高 71,722 (3,440) (1,749) (36) (47) その他 (純額) 財務活動により増加(減少) したキャッシュ (純額) 2,326 (10,290) (58,333) 674 5,712 61,962 (1,999) (16,941) 535 574 11,999 (637) (5,398) 65,643 12,573 556,296 106,551 ¥ 11,999 ¥ 12,573 ¥ 78,216 $ 662,847 ¥ ¥ ¥ $ 1,144 (13,822) 25,821 補足情報: 年間支払額: 利息 法人税等 2,042 1,649 1,994 4,799 1,794 2,389 15,203 20,246 キャッシュ・フローを伴わない財務取引: — 短期借入金から資本への出資 Annual Review 03 — 15,611 132,297 20 NEC ELECTRONICS 取締役、監査役および執行役員 (2003年6月13日現在) 取締役 代表取締役社長 戸坂 馨 取締役副社長 山本 恭二 取締役副社長 橋本 浩一 高島 二郎 (常勤) 黒坂 昭雄 (常勤) 的井 保夫 柴田 保幸 監査役 執行役員および事業本部長 社長 戸坂 馨 副社長 山本 恭二 橋本 浩一 執行役員 後藤 秀人(兼生産事業本部長) 稲田 義一(兼営業事業本部長) 鈴木 啓士(兼第一開発事業本部長) 事業本部長 山口 純史(企画本部長) 佐藤 博 (財務本部長・CFO) 高嶌 幹夫(情報システム本部長) 川上 雄一(ソリューション事業本部長) 小坂 秀敏(第二開発事業本部長) 松田 善介(第三開発事業本部長) Annual Review 03 取締役 鈴木 俊一 NEC ELECTRONICS 21 会社概要 株主メモ 主な関係会社(2003年3月31日現在) 社名 海外生産会社 NECエレクトロニクス・アメリカ1 NECセミコンダクターズ・アイルランド NECセミコンダクターズ・マレーシア NECセミコンダクターズ・シンガポール NECセミコンダクターズ・インドネシア NECエレクトロニクス株式会社 本社 神奈川県川崎市中原区下沼部1753番地 創立 2002年11月1日 株式名義書換代理人 住友信託銀行株式会社 〒100-8233 東京都千代田区丸の内1-4-4 住所変更等用紙のご請求 Tel: 0120-175-417 その他のご照会 Tel: 0120-176-417 海外販売・設計会社 NECエレクトロニクス・アメリカ1 NECエレクトロニクス・ヨーロッパ NECエレクトロニクス香港 NECコンパウンドセミコンダクターデバイセス香港2 NECエレクトロニクス台湾 NECエレクトロニクス・シンガポール NECエレクトロニクス上海 1:北米の生産・販売設計会社 2:NEC化合物デバイスの販売会社 上場証券取引所 東京証券取引所 問い合わせ先 NECエレクトロニクス株式会社 企画本部 コーポレートコミュニケーション部 IR担当 Tel: 044-435-1664 Fax: 044-435-1870 e-mail: [email protected] http://www.necel.com/ja/ir/ 国内生産会社 NEC山形 NEC福井 NEC関西 NEC山口 NEC九州 NECセミコンダクターズ九州 国内販売・設計会社 NECマイクロシステム NECデバイスポート 独立事業会社 NEC化合物デバイス Annual Review 03 22 NECエレクトロニクス株式会社 NEC ELECTRONICS 〒211-8668 神奈川県川崎市中原区下沼部1753番地 Tel: 044-435-5111(大代表) http://www.necel.co.jp/ ©NEC Electronics Corporation 2003 Printed in Japan このアニュアル・レビューには再生紙が使用されています。 Annual Review 03